特許第6470912号(P6470912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケー イノベーション カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6470912
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】燃料電池システム制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04858 20160101AFI20190204BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20190204BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20190204BHJP
   H01M 8/00 20160101ALN20190204BHJP
【FI】
   H01M8/04858
   H01M8/04 Z
   !H01M8/12
   !H01M8/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-88860(P2014-88860)
(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-53259(P2015-53259A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0106676
(32)【優先日】2013年9月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514020459
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】ユ・キュン ビン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨン デ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ション ゼ
(72)【発明者】
【氏名】リ・ス ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】カン・ビュン フィ
(72)【発明者】
【氏名】リ・ジョン ピョ
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−096787(JP,A)
【文献】 特開2007−311335(JP,A)
【文献】 特開2007−207620(JP,A)
【文献】 特開2004−234973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M8/00−8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの並列連結を含むように連結された複数の燃料電池スタックと、
前記複数の燃料電池スタックのそれぞれの状態を感知する複数のスタック状態感知部;
前記複数の燃料電池スタックの中で少なくとも一部を直列または並列で連結するスイッチング部;及び
前記複数のスタック状態感知部によって感知されたスタックの状態に基づいて少なくとも一つの劣化スタックを感知し、前記劣化スタックが残りの正常スタックと並列から直列で連結されるように前記スイッチング部の動作を制御する制御部を含むことを特徴とする、燃料電池システム制御装置。
【請求項2】
前記複数の燃料電池スタックは(2以上の整数(行)×1(列))、(2以上の整数(行)×2以上の整数(列))、または(2以上の整数(行)×2以上の整数(列)×2以上の整数(層))のアレイに配列されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御し、前記アレイのスタックを直列、並列または直並列で連結して、前記スタックの出力を電力調節システム(PCS)に供給することを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システム制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1〜第nスタック状態感知部によって感知されたスタック状態に基づいて少なくとも一つの動作不可能なスタックが感知される場合、前記スイッチング部の動作を制御して、前記少なくとも一つの動作不可能なスタックを電気的に前記燃料電池システムから分離することを特徴とする、請求項3に記載の燃料電池システム制御装置。
【請求項5】
前記スタック状態感知部は、前記スタックの電流または電圧を感知して前記制御部に伝達し、
前記制御部は、前記スタック状態感知部で感知された電流または電圧に基づいて劣化スタックを感知することを特徴とする、請求項4に記載の燃料電池システム制御装置。
【請求項6】
前記スイッチング部は、
前記制御部の制御信号によって前記スタックの負極を選択的に前記電力調節システムの負電圧入力端子に連結するための負極連結スイッチング部;
前記制御部の制御信号によって前記スタックの中で隣り合うスタックの負極を互いに連結するとか、隣り合うスタックを直列で連結するための直並列連結スイッチング部;
前記制御部の制御信号によって前記スタックの中で隣り合うスタックの正極を互いに連結するための並列連結スイッチング部;及び
前記制御部の制御信号によって前記スタックの正極を選択的に前記電力調節システムの正電圧入力端子に連結するための正極連結スイッチング部を含むことを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池システム制御装置。
【請求項7】
nを2以上の整数であるとするとき、前記複数のスタックは第1〜第nスタックを含み、前記スタック状態感知部は第1〜第nスタック状態感知部を含み、前記第1〜第nスタック状態感知部の一端はそれぞれ前記第1〜第nスタックの正極に連結され、
前記負極連結スイッチング部は第1〜第n負極連結スイッチを含み、前記直並列連結スイッチング部は第1〜第(n−1)直並列連結スイッチを含み、前記並列連結スイッチング部は第1〜第(n−1)並列連結スイッチを含み、前記正極連結スイッチング部は第1〜第n正極連結スイッチを含み、
前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチは、それぞれ共通端子及び第1〜第3端子を含み、
前記第1〜第n負極連結スイッチ、前記第1〜第(n−1)並列連結スイッチ及び前記第1〜第n正極連結スイッチはそれぞれ一端及び他端を含み、前記制御部の制御信号によって一端が他端に電気的に連結されるとか連結解除され、
前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチはそれぞれ前記制御部の制御信号によって、共通端子を第1端子〜第3端子の中で一つの端子に連結することを特徴とする、請求項6に記載の燃料電池システム制御装置。
【請求項8】
前記第1〜第n負極連結スイッチの一端はそれぞれ前記電力調節システムの負電圧入力端子に連結され、前記第1〜第n負極連結スイッチの他端はそれぞれ前記第1〜第nスタックの負極に連結され、
前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの共通端子はそれぞれ前記第1〜第(n−1)スタックの負極に連結され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの第1端子はそれぞれ前記第2〜第nスタック状態感知部の他端に連結され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの第2端子はそれぞれ前記第2〜第nスタックの負極に連結され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの第3端子は開放されており、
前記第1〜第(n−1)並列連結スイッチの一端はそれぞれ前記第1〜第(n−1)スタック状態感知部の他端に連結され、前記第1〜第(n−1)並列連結スイッチの他端はそれぞれ前記第2〜第nスタック状態感知部の他端に連結され、
前記第1〜第n正極連結スイッチの一端はそれぞれ前記第1〜第nスタック状態感知部の他端に連結され、前記第1〜第n正極連結スイッチの他端はそれぞれ前記電力調節システムの正電圧入力端子に連結されることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システム制御装置。
【請求項9】
複数の燃料電池スタックが並列で電気的に連結された燃料電池システムの制御方法において、
制御部が前記燃料電池スタックの状態を感知して少なくとも一つの劣化スタックが存在するかどうかを判断する段階;及び
前記制御部が少なくとも一つの劣化スタックが存在すると判断する場合、前記複数の燃料電池スタックのうちの少なくとも一部を直列または並列で連結するスイッチング部が前記劣化スタックと残りの正常スタックの連結を並列から直列に変更するように前記スイッチング部の動作を制御する段階を含むことを特徴とする、燃料電池システムの制御方法。
【請求項10】
前記複数の燃料電池スタックは(2以上の整数(行)×1(列))、(2以上の整数(行)×2以上の整数(列))、または(2以上の整数(行)×2以上の整数(列)×2以上の整数(層))のアレイに配列されることを特徴とする、請求項9に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項11】
前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御して前記アレイのスタックを直列、並列または直並列で連結し、前記スタックの出力を電力調節システム(PCS)に供給することを特徴とする、請求項10に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項12】
前記制御部は、前記燃料電池スタックの状態を感知して少なくとも一つの動作不可能なスタックが存在するかどうかを判断し、少なくとも一つの動作不可能なスタックが存在する場合、前記スイッチング部の動作を制御して前記少なくとも一つの動作不可能なスタックを電気的に前記燃料電池システムから分離することを特徴とする、請求項11に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項13】
スタック状態感知部は、前記スタックの電流または電圧を感知して前記制御部に伝達し、
前記制御部は、前記スタック状態感知部で感知された電流または電圧に基づいて劣化スタックを感知することを特徴とする、請求項12に記載の燃料電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システムに係り、より詳しくは多数の燃料電池を含む燃料電池システム制御装置及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数十キロワット(KW)ないし数メガワット(MW)の中大型発電用固体酸化物燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)システムは多くの小容量燃料電池スタックを連結して大容量を持たせる。燃料電池スタックとは、所望の電気出力を得るために、数十ないし数百枚の単位燃料電池が積層して連結した構造を意味する。
燃料電池スタック連結の際、電気的に直列連結のみを構成する場合、一つのスタックでも問題が発生してシャットダウン(shutdown)すれば、電気的な連結が切られて全ての燃料電池システムがシャットダウンする欠点を持っている。それで、一般に、スタック間に電気的に直列及び並列連結を混合して燃料電池システムを構成する。
【0003】
しかし、スタックを並列で連結する場合、連結されている多くのスタックの中で一部のスタックで劣化が発生すれば、その影響が他の正常スタックに伝播して、全ての燃料電池システムの耐久性低下を加速化するのみならず、容量も減少して寿命が短縮される。
【0004】
図1aは燃料電池スタックを並列で連結する場合、スタック間の劣化伝播影響を説明する図、図1bは燃料電池スタックを並列で連結する場合、スタック間の劣化伝播影響を説明するスタック電圧及びスタック電流のグラフである。
図1a及び図1bに示したように、燃料電池スタックが電気的に並列で連結されている燃料電池システムにおいて、一つのスタックが劣化すれば([2]一つ劣化)、劣化したスタックの内部抵抗が増加し、正常スタックへの電流偏り現象が発生する。すなわち、並列で連結されたスタックの中でより早く劣化したスタックは内部抵抗の増加によって電流が少なく流れ、他の正常スタックには正常運転時の電流より高い電流が流れるようになる。すなわち、正常スタックに電流が偏って電流不均衡をもたらすようになる。劣化スタックに流れる電流は減るが、正常スタックに電流が偏って劣化が伝播する([3]1次伝播)。
また、劣化したスタックは発熱反応が減少し温度が低下して抵抗がもっと高くなり、また正常スタックへの電流偏り現象がもっとひどくなって正常スタックへの劣化伝播影響がより大きくなるため、劣化スタックと正常スタックにおいて共に劣化が加速化する([4]2次伝播)。
【0005】
図1cは、燃料電池システムにおいて、スタックの劣化加速の際、劣化したスタックの劣化が他の正常スタックに伝播されることを示す図、図1dは、燃料電池システムにおいて、スタックの劣化加速の際、劣化スタックを含む燃料電池システムと正常な燃料電池システムの寿命を比較したグラフである。
図1c及び図1dを参照すれば、燃料電池システム内に連結された多くのスタックの中で一部スタックに劣化が発生して劣化が加速化する場合、劣化したスタックの劣化が他の正常スタックにも伝播して全ての燃料電池システムの耐久性及び容量が減少して寿命が短縮される。
【0006】
劣化したスタックが他の正常スタックに影響を与えないようにする最も易しい方法は、燃料電池システム内の全スタックの電流及び電圧などを独立的に制御することである。しかし、全スタックの電流及び電圧などを独立的に制御するためには、システムの構成が複雑となるだけでなく、費用増加も避けることができなくなる。特に、中大型発電用SOFCシステムは多数のスタックから構成されるため、それぞれのスタックに電力調節システム(PCS:Power Conditioning System)を一つずつ構成することはとても商用化し難い問題点がある。
【0007】
下記の先行技術文献に開示された特許文献1は、バイパス回路を備えた燃料電池システム及びその駆動方法に関するものである。特許文献1の図2を参照すれば、特許文献1の発明は、バイパス回路300及びスイッチング回路250〜254)を含み、不良スタックが発生する場合、スイッチング回路を使って不良スタックをバイパスさせることで、不良スタックが他の正常スタックに影響を与えないようにする。
しかし、特許文献1の発明は不良スタックをバイパスさせることのみを開示しているだけ、劣化スタックを再配列して使うことを全然開示していない。
【0008】
したがって、多数の電力調節システム(PCS)を使わず、安価の電気スイッチを用い、動作中に早くて易しくスタックを直列、並列または直並列で連結してスタック間の性能低下による伝播を防止することにより、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させ、容量低下を防止し、寿命短縮を最小化し、劣化したスタックを再配列して使うことにより、燃料電池スタックを効率よく使うことができる燃料電池システムの制御装置及び制御方法が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2012−0017596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、本発明が解決しようとする課題は、多数の電力調節システム(PCS)を使わず、安価の電気スイッチを用い、動作中に早くて易しくスタックを直列、並列または直並列で連結してスタック間の性能低下による伝播を防止することにより、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させ、容量低下を防止し、寿命短縮を最小化し、劣化したスタックと正常スタックを再配列して使うことにより、燃料電池スタックを効率よく使うことができる燃料電池システム制御装置を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする他の課題は、多数の電力調節システム(PCS)を使わず、安価の電気スイッチを用い、動作中に早くて易しくスタックを直列、並列または直並列で連結してスタック間の性能低下による伝播を防止することにより、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させ、容量低下を防止し、寿命短縮を最小化し、劣化したスタックと正常スタックを再配列して使うことにより、燃料電池スタックを効率よく使うことができる燃料電池システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための本発明の実施例による燃料電池システム制御装置は、複数の燃料電池スタックのそれぞれの状態を感知する複数のスタック状態感知部;前記複数の燃料電池スタックの中で少なくとも一部を直列または並列で連結するスイッチング部;及び前記複数のスタック状態感知部によって感知されたスタックの状態に基づいて少なくとも一つの劣化スタックを感知し、前記スイッチング部の動作を制御して、感知された少なくとも一つの劣化スタックを含む少なくとも一つの劣化スタック部を形成する制御部を含む。
【0013】
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御して、前記少なくとも一つの劣化スタック部を他の劣化スタック部または少なくとも一つの正常スタックと直列、並列または直並列で連結することができる。
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御して、前記感知された少なくとも一つの劣化スタックを含む少なくとも一つの劣化スタック部のそれぞれを他の劣化スタック部または少なくとも一つの正常スタックと直列で連結することができる。
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記少なくとも一つの劣化スタック部のそれぞれは、少なくとも一つの劣化スタック及びm個以上の正常スタックを含み、前記mは0以上の整数であることができる。
【0014】
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記複数の燃料電池スタックは(2以上の整数(行)×1(列))、(2以上の整数(行)×2以上の整数(列))、または(2以上の整数(行)×2以上の整数(列)×2以上の整数(層))のアレイに配列されることができる。
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御し、前記アレイのスタックを直列、並列または直並列で連結して、前記スタックの出力を電力調節システム(PCS)に供給することができる。
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記制御部は、前記第1〜第nスタック状態感知部によって感知されたスタック状態に基づいて少なくとも一つの動作不可能なスタックが感知される場合、前記スイッチング部の動作を制御して、前記少なくとも一つの動作不可能なスタックを電気的に前記燃料電池システムから分離することができる。
【0015】
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記スタック状態感知部は、前記スタックの電流または電圧を感知して前記制御部に伝達し、前記制御部は、前記スタック状態感知部で感知された電流または電圧に基づいて劣化スタックを感知することができる。
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記スイッチング部は、前記制御部の制御信号によって前記スタックの負極を選択的に前記電力調節システムの負電圧入力端子に連結するための負極連結スイッチング部;前記制御部の制御信号によって前記スタックの中で隣り合うスタックの負極を互いに連結するとか、隣り合うスタックを直列で連結するための直並列連結スイッチング部;前記制御部の制御信号によって前記スタックの中で隣り合うスタックの正極を互いに連結するための並列連結スイッチング部;及び前記制御部の制御信号によって前記スタックの正極を選択的に前記電力調節システムの正電圧入力端子に連結するための正極連結スイッチング部を含むことができる。
【0016】
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、nを2以上の整数であるとするとき、前記複数のスタックは第1〜第nスタックを含み、前記スタック状態感知部は第1〜第nスタック状態感知部を含み、前記第1〜第nスタック状態感知部の一端はそれぞれ前記第1〜第nスタックの正極に連結され、前記負極連結スイッチング部は第1〜第n負極連結スイッチを含み、前記直並列連結スイッチング部は第1〜第(n−1)直並列連結スイッチを含み、前記並列連結スイッチング部は第1〜第(n−1)並列連結スイッチを含み、前記正極連結スイッチング部は第1〜第n正極連結スイッチを含み、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチは、それぞれ共通端子及び第1〜第3端子を含み、前記第1〜第n負極連結スイッチ、前記第1〜第(n−1)並列連結スイッチ及び前記第1〜第n正極連結スイッチはそれぞれ一端及び他端を含み、前記制御部の制御信号によって一端が他端に電気的に連結されるとか連結解除され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチはそれぞれ前記制御部の制御信号によって、共通端子を第1端子〜第3端子の中で一つの端子に連結することができる。
【0017】
本発明の実施例による燃料電池システム制御装置において、前記第1〜第n負極連結スイッチの一端はそれぞれ前記電力調節システムの負電圧入力端子に連結され、前記第1〜第n負極連結スイッチの他端はそれぞれ前記第1〜第nスタックの負極に連結され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの共通端子はそれぞれ前記第1〜第(n−1)スタックの負極に連結され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの第1端子はそれぞれ前記第2〜第nスタック状態感知部の他端に連結され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの第2端子はそれぞれ前記第2〜第nスタックの負極に連結され、前記第1〜第(n−1)直並列連結スイッチの第3端子は開放されており、前記第1〜第(n−1)並列連結スイッチの一端はそれぞれ前記第1〜第(n−1)スタック状態感知部の他端に連結され、前記第1〜第(n−1)並列連結スイッチの他端はそれぞれ前記第2〜第nスタック状態感知部の他端に連結され、前記第1〜第n正極連結スイッチの一端はそれぞれ前記第1〜第nスタック状態感知部の他端に連結され、前記第1〜第n正極連結スイッチの他端はそれぞれ前記電力調節システムの正電圧入力端子に連結されることができる。
【0018】
本発明の一実施例による燃料電池システム制御装置は、所定数の燃料電池スタックからなる燃料電池スタックモジュールを複数含む燃料電池システムの制御装置において、複数の燃料電池スタックモジュールのそれぞれの状態を感知する複数のスタックモジュール状態感知部;前記複数の燃料電池スタックモジュールの中で少なくとも一部を直列または並列で連結するスイッチング部;及び前記複数のスタックモジュール状態感知部によって感知されたスタックモジュールの状態に基づいて少なくとも一つの劣化スタックモジュールを感知し、前記スイッチング部の動作を制御して、感知された少なくとも一つの劣化スタックモジュールを含む少なくとも一つの劣化スタックモジュール部を形成する制御部を含むことができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御装置において、前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御して、前記少なくとも一つの劣化スタックモジュール部を他の劣化スタックモジュール部または少なくとも一つの正常スタックモジュールと直列、並列または直並列で連結することができる。
【0019】
本発明の一実施例による燃料電池システム制御装置において、前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御して、前記感知された少なくとも一つの劣化スタックモジュールを含む少なくとも一つの劣化スタックモジュール部のそれぞれを他の劣化スタックモジュール部または少なくとも一つの正常スタックモジュールと直列で連結することができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御装置において、前記少なくとも一つの劣化スタックモジュール部のそれぞれは、少なくとも一つの劣化スタックモジュール部及びm個以上の正常スタックモジュールを含み、前記mは0以上の整数であることができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法は、複数の燃料電池スタックが直列または並列で電気的に連結された燃料電池システムの制御方法において、制御部が前記燃料電池スタックの状態を感知して少なくとも一つの劣化スタックが存在するかどうかを判断する段階;及び前記制御部が少なくとも一つの劣化スタックが存在すると判断する場合、スイッチング動作を制御して、前記少なくとも一つの劣化スタックを含む少なくとも一つの劣化スタック部を形成する段階を含む。
【0020】
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法は、前記制御部が前記スイッチング部の動作を制御して、前記少なくとも一つの劣化スタック部を他の劣化スタック部または少なくとも一つの正常スタックと直列、並列または直並列で連結する段階をさらに含むことができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法において、前記制御部は前記スイッチング部の動作を制御して、前記少なくとも一つの劣化スタック部のそれぞれを他の劣化スタック部または少なくとも一つの正常スタックと直列で連結することができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法において、前記少なくとも一つの劣化スタック部のそれぞれは、少なくとも一つの劣化スタック及びm個以上の正常スタックを含み、前記mは0以上の整数であることができる。
【0021】
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法において、前記複数の燃料電池スタックは(2以上の整数(行)×1(列))、(2以上の整数(行)×2以上の整数(列))、または(2以上の整数(行)×2以上の整数(列)×2以上の整数(層))のアレイに配列されることができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法において、前記制御部は、前記スイッチング部の動作を制御して前記アレイのスタックを直列、並列または直並列で連結し、前記スタックの出力を電力調節システム(PCS)に供給することができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法において、前記制御部は、前記燃料電池スタックの状態を感知して少なくとも一つの動作不可能なスタックが存在するかどうかを判断し、少なくとも一つの動作不可能なスタックが存在する場合、前記スイッチング部の動作を制御して前記少なくとも一つの動作不可能なスタックを電気的に前記燃料電池システムから分離することができる。
本発明の一実施例による燃料電池システム制御方法において、スタック状態感知部は、前記スタックの電流または電圧を感知して前記制御部に伝達し、前記制御部は、前記スタック状態感知部で感知された電流または電圧に基づいて劣化スタックを感知することができる。
【0022】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づく以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
本発明の説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者が自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想に合う意味及び概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、多数の電力調節システム(PCS)を使わず、安価の電気スイッチを用い、動作中に早くて易しくスタックを直列、並列または直並列で連結してスタック間の性能低下による伝播を防止することにより、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させ、容量低下を防止し、寿命短縮を最小化し、劣化したスタックと正常スタックを再配列して使うことにより、燃料電池スタックを効率よく使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】燃料電池スタックを並列で連結する場合、スタック間の劣化伝播影響を説明する図である。
図1b】燃料電池スタックを並列で連結する場合、スタック間の劣化伝播影響を説明するスタック電圧及びスタック電流のグラフである。
図1c】燃料電池システムにおいてスタック劣化加速の際、劣化が他の正常スタックに伝播されることを示す図である。
図1d】燃料電池システムにおいてスタック劣化加速の際、正常システムと寿命を比較したグラフである。
図2a】正常スタックのみ場合、本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置の動作ブロック図である。
図2b図2aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図3a】劣化スタックが存在する場合、本発明の第2実施例による燃料電池システム制御装置の第1動作ブロック図である。
図3b図3aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図4a】劣化スタックが存在する場合、本発明の第3実施例による燃料電池システム制御装置の第2動作ブロック図である。
図4b図4aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図5a】動作不可能なスタックが存在する場合、本発明の第4実施例による燃料電池システム制御装置の第3動作ブロック図である。
図5b図5aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施例による燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は添付図面に基づく以下の詳細な説明及び好適な実施例からより明らかになるであろう。
本明細書において、各図の構成要素に参照符号を付け加えるに当たり、同一構成要素にはたとえ他の図に示されていてもできるだけ同一符号を付けることにする。
また、“第1”、“第2”などの用語は一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使われるもので、構成要素が前記用語によって制限されるものではない。
【0026】
以下、本発明の説明において、本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができる関連の公知技術についての詳細な説明は省略する。
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図2aは正常スタックのみがある場合、本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置の動作ブロック図、図2bは図2aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図2aに示した本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置は、第1〜第4スタックSTK1〜STK4のそれぞれの状態を感知する第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4、前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の中で少なくとも一部を直列または並列で連結するスイッチング部200、202、204、206及び前記第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4によって感知されたスタックの状態に基づいて少なくとも一つの劣化スタックを感知し、前記スイッチング部200、202、204、206の動作を制御し、感知された少なくとも一つの劣化スタックを含む劣化スタック部(図3bに図示)を形成して少なくとも一つの正常スタックと直列で連結する制御部212を含む。
前記劣化スタック部は、少なくとも一つの劣化スタック及びm個以上の正常スタックを含み、前記mは0以上の整数である。
前記劣化スタック部は感知された少なくとも一つの劣化スタックを0個以上の所定数の正常スタックと直列または並列で連結した構成を意味する。すなわち、劣化スタック部は一つ以上の劣化スタックのみを含むとか、一つ以上の劣化スタック及び一つ以上の正常スタックを含むことができる。
【0028】
本発明においては、劣化スタックが存在する場合、制御部212が感知された少なくとも一つの劣化スタックを0個以上の正常スタックと直列または並列で連結して少なくとも一つの劣化スタック部を形成し、形成された少なくとも一つの劣化スタック部を他の劣化スタック部または他の正常スタックと直列、並列または直並列で連結する。
劣化スタック部を正常スタックと直列で連結すれば、正常スタックへの電流偏りが発生しないので、劣化スタックによって他の正常スタックに劣化が伝播されることを防止することができる。また、劣化スタックを0個以上の正常スタックと直列または並列で連結して劣化スタック部を形成すれば、劣化スタックと並列で連結された所定数の正常スタックは電流偏りによって劣化が進むが、残りの正常スタックは劣化スタックの影響を受けないので、劣化スタックによる燃料電池システムの性能低下は小さい。
【0029】
また、本発明は、劣化スタックを燃料電池システムから電気的に分離するものではなく、劣化スタックを0個以上の正常スタックと直列または並列で連結して劣化スタック部を形成し、劣化スタックと正常スタックを再配列して使うので、劣化スタックが動作不可能な状態となるまで劣化スタックを使うことが可能である。よって、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させることができ、寿命短縮を防止することができ、燃料電池システムを効率よく使うことができる。
図2aは正常スタックのみ存在する場合の本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置の動作ブロックで、劣化スタックが存在しないので劣化スタック部も存在しない。
【0030】
前述した劣化スタック部についての説明は図3a及び図5bを参照して後に説明する。
前記制御部212は、前記スイッチング部200、202、204、206の動作を制御し、直列、並列または直並列で連結されたスタックの出力を電力調節システム208(PCS:Power Conditioning System)に供給する。電力調節システム208は、入力される直流電力を交流に変換し、電力を調節して負荷210に出力する。
前記第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4は、第1〜第4スタックSTK1〜STK4の電流または電圧を感知して状態感知信号CS1〜CS4を出力し、前記制御部212は、前記状態感知信号CS1〜CS4に基づいて劣化スタックを感知する。
前記第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4は流れる電流を感知する分流器またはホール(hall)センサーを含むことができ、前記制御部212は、前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の電流または電圧に基づいて劣化スタックを感知することができる。
【0031】
前記スイッチング部200、202、204、206は、前記制御部212の制御信号(NC1〜NC4)によって前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の負極を選択的に前記電力調節システム208の負電圧入力端子NIに連結するための負極連結スイッチング部200、前記制御部212の制御信号(SPC1、SPC2、SPC3)によって前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の中で隣り合うスタックの負極を互いに連結するとか、隣り合うスタックを直列で連結するための直並列連結スイッチング部202、前記制御部212の制御信号(IPC1、IPC2、IPC3)によって前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の中で隣り合うスタックの正極を互いに連結するための並列連結スイッチング部204、及び前記制御部212の制御信号(PC1〜PC4)によって前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の正極を選択的に前記電力調節システム208の正電圧入力端子PIに連結するための正極連結スイッチング部206を含む。
前記第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4の一端はそれぞれ前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の正極に連結され、前記負極連結スイッチング部200は第1〜第4負極連結スイッチNPSW1〜NPSW4を含み、前記直並列連結スイッチング部202は第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3を含み、前記並列連結スイッチング部204は第1〜第3並列連結スイッチIPSW1、IPSW2、IPSW3を含み、前記正極連結スイッチング部206は第1〜第4正極連結スイッチPPSW1〜PPSW4を含む。
【0032】
前記第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3は、それぞれ共通端子N1_0、N2_0、N3_0、第1端子N1_1、N2_1、N3_1、第2端子N1_2、N2_2、N3_2及び第3端子N1_3、N2_3、N3_3を含む。
前記第1〜第4負極連結スイッチNPSW1〜NPSW4、前記第1〜第3並列連結スイッチIPSW1〜IPSW3及び第1〜第4正極連結スイッチPPSW1〜PPSW4は、前記制御部212の制御信号(NC1〜NC4、IPC1、IPC2、IPC3、PC1、PC2、PC3)によって一端が他端に電気的に連結されるとか連結解除される。
前記第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3は、前記制御部212の制御信号(SPC1、SPC2、SPC3)によって、共通端子N1_0、N2_0、N3_0を第1端子N1_1、N2_1、N3_1、第2端子N1_2、N2_2、N3_2及び第3端子N1_3、N2_3、N3_3の中で一つの端子に連結する。
前記第1〜第4負極連結スイッチNPSW1〜NPSW4の一端は前記電力調節システム208の負電圧入力端子NIに連結され、前記第1〜第4負極連結スイッチNPSW1〜NPSW4の他端はそれぞれ前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の負極に連結される。
【0033】
前記第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3の共通端子N1_0、N2_0、N3_0はそれぞれ前記第1〜第4スタックSTK1〜STK4の負極に連結され、前記第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3の第1端子N1_1、N2_1、N3_1はそれぞれ前記第2〜第4スタック状態感知部S2〜S4の他端に連結され、前記第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3の第2端子N1_2、N2_2、N3_2はそれぞれ前記第2〜第4スタックSTK2〜STK4の負極に連結され、前記第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3の第3端子N1_3、N2_3、N3_3は開放されている。前記で端子が開放されているとは端子が何の所にも連結されていないことを意味する。
前記第1〜第3並列連結スイッチIPSW1、IPSW2、IPSW3の一端はそれぞれ前記第1〜第3スタック状態感知部S1〜S3の他端に連結され、前記第1〜第3並列連結スイッチIPSW1、IPSW2、IPSW3の他端はそれぞれ前記第2〜第4スタック状態感知部S2〜S4の他端に連結される。
前記第1〜第4正極連結スイッチPPSW1〜PPSW4の一端はそれぞれ前記第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4の他端に連結され、前記第1〜第4正極連結スイッチPPSW1〜PPSW4の他端は前記電力調節システム208の正電圧入力端子PIに連結される。
【0034】
本実施例において、前記燃料電池は固体酸化物燃料電池を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
前記第1〜第3直並列連結スイッチSPSW1、SPSW2、SPSW3は制御信号(SPC1、SPC2、SPC3)によって共通端子を第1端子〜第3端子の中で一つの端子に電気的に連結するSPTT(Single Pole Triple Throw)スイッチであることができ、前記第1〜第4負極連結スイッチNPSW1〜NPSW4、前記第1〜第3並列連結スイッチIPSW1、IPSW2、IPSW3及び前記第1〜第4正極連結スイッチPPSW1〜PPSW4は一端を他端に電気的に連結するSPDT(Single Pole Double Throw)スイッチであることができる。しかし、前記スイッチはこれに限定されなく、同一機能を果たす他の構成要素を含むことができる。
図2aに示した本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置は第1〜第4スタックSTK1〜STK4の4個のスタックの電気的な連結を制御するが、本発明はこれに限定されなく、nを2以上の整数であるとするとき、第1〜第nスタックSTK1〜STKnのn個のスタックの電気的な連結を制御することができる(図示せず)。この場合、図2aに示したスイッチング部200、202、204、206の構成は第1〜第nスタックSTK1〜STKnの電気的構成連結を変更するようにさらに拡張できる。
【0035】
また、図2aに示した本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置は、(2以上の整数(行)×1(列))個のスタック、(2以上の整数(行)×2以上の整数(列))個のスタックまたは(2以上の整数(行)×2以上の整数(列)×2以上の整数(層))個のスタックを備えるスタックアレイのスタックを含むことができ、直列、並列または直並列で連結されているスタックアレイのスタックの電気的構成連結を変更することができる(図示せず)。この場合、図2aに示したスイッチング部200、202、204、206の構成は直列、並列または直並列で連結されている(2以上の整数(行)×1(列))個のスタック、(2以上の整数(行)×2以上の整数(列))個のスタックまたは(2以上の整数(行)×2以上の整数(列)×2以上の整数(層))個のスタックの電気的構成連結を変更するようにさらに拡張できる。
また、図2aにおいては、制御部212及びスイッチング部200、202、204、206によって複数の燃料電池スタックのそれぞれの連結が制御されるが、本発明はこれに限定されなく、所定数の燃料電池スタックから燃料電池スタックモジュールを構成し、複数の燃料電池スタックから複数の燃料電池スタックモジュールを構成して、制御部212及びスイッチング部200、202、204、206によって複数の燃料電池スタックモジュールの電気的構成連結を変更することができる。
【0036】
すなわち、所定数の燃料電池スタックからなる燃料電池スタックモジュールを複数含む燃料電池システムにおいて、制御部212は複数のスタックモジュール状態感知部(図示せず)によって感知されたスタックモジュールの状態に基づいて少なくとも一つの劣化スタックモジュールを感知し、スイッチング部(図示せず)の動作を制御し、感知された少なくとも一つの劣化スタックモジュールを含む劣化スタックモジュール部(図示せず)を形成し、他の劣化スタックモジュール部または少なくとも一つの正常スタックモジュールと直列、並列または直並列で連結することができる。
このように構成された本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置の動作を以下に説明する。
【0037】
第1実施例:正常スタックのみある場合の動作
図2aは劣化スタックが存在しないで正常スタックのみある場合、本発明の第1実施例による燃料電池システム制御装置の動作ブロック図、図2bは図2aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図2aにおいて、制御部212は、第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4によって獲得される第1スタック〜第4スタックSTK1〜STK4の状態を示す状態感知信号CS1〜CS4に基づいて性能が低下する劣化スタックが存在するかどうかを判断する。
前記状態感知信号CS1〜CS4は第1スタック〜第4スタックSTK1〜STK4の電圧または電流を含む信号であることができるが、本発明はこれに限定されない。
図2aにおいては、劣化スタックが存在しなく、全てのスタックが正常に動作しているので、制御部212はスイッチング部200、202、204、206に適切な制御信号(NC1〜NC4、SPC1、SPC2、SPC3、IPC1、IPC2、IPC3、PC1〜PC4)を出力して第1〜第4スタックSTK1〜STK4を並列で連結し、電力調節システム208に第1〜第4スタックSTK1〜STK4の電力を供給する。
図2bは前記のように劣化スタックが存在しないで正常スタックのみ存在し、第1〜第4スタックSTK1〜STK4が並列で連結される場合、スタックの電気的構成を示すブロック図で、並列で連結された第1〜第4スタックSTK1〜STK4の電力が電力調節システム208に供給されることを示す。
【0038】
第2実施例:劣化スタックが存在する場合の第1動作
図3aは劣化スタックが存在する場合、本発明の第2実施例による燃料電池システム制御装置の第1動作ブロック図、図3bは図3aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図3aにおいて、制御部212は第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4によって獲得される第1〜第4スタックSTK1〜STK4の状態を示す状態感知信号CS1〜CS4に基づいて性能が低下する劣化スタックが存在するかどうかを判断する。
前記状態感知信号CS1〜CS4は第1〜第4スタックSTK1〜STK4の電圧または電流を含む信号であることができるが、本発明はこれに限定されない。
図3aにおいては、第2スタックSTK2で劣化が発生したと仮定する。
したがって、劣化したスタックの第2スタックSTK2の電圧または電流は正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4の電圧または電流とは異なる。
【0039】
一般に、スタックが劣化すれば、スタックの性能が低下してスタックの電圧及び電流が正常状態の電圧及び電流より低くなる。よって、制御部212は、第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4から出力される状態感知信号CS1〜CS4に含まれている電圧または電流を正常状態の電圧または電流と比較してスタックが劣化したかを判断する。
図3aにおいては、第2スタックSTK2で劣化が発生したので、制御部212は状態感知信号(CS2)に含まれている電流または電圧が正常状態の電圧または電流より低いことを感知し、第2スタックSTK2で劣化が発生したと判断し、第2スタックSTK2を劣化スタックと判断する。
制御部212は、劣化スタックが発生する場合、図3bのようにスタックが連結されるようにスイッチング部200、202、204、206の動作を制御する。
図3a及び図3bに示したように、制御部212は、スイッチング部200、202、204、206の動作を制御し、劣化スタックの第2スタックSTK2を正常スタックの第1スタックSTK1と並列で連結して劣化スタック部300を形成する。
【0040】
また、制御部212は、図3bに示したように、正常スタックの第3スタックSTK3と第4スタックSTK4を並列で連結して正常スタック部302を形成した後、正常スタック部302を劣化スタック部300と直列で連結する。
劣化スタック部300を参照すれば、正常スタックの第1スタックSTK1は劣化スタックの第2スタックSTK2と並列で連結されているので、第1スタックSTK1で電流偏り現象が発生して第1スタックSTK1も劣化が進むことができる。しかし、正常スタック部302を構成する残りの正常スタックの第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4は劣化スタックの第2スタックSTK2と直列で連結されるので、劣化した第2スタックSTK2の性能低下が正常スタックの第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4に伝播されることを防止することができる。
【0041】
前記のように劣化スタック部300を正常スタック部302内の正常スタックSTK3、STK4と直列で連結すれば、正常スタックSTK3、STK4への電流偏りが発生しないので、劣化スタックSTK2によって他の正常スタックSTK3、STK4まで劣化が伝播されることを防止することができる。また、劣化スタックSTK2を正常スタックSTK1と並列で連結して劣化スタック部300を形成すれば、劣化スタックSTK2と並列で連結された正常スタックSTK1は電流偏りによって劣化が多少進むが、残りの正常スタックSTK3、STK4は劣化スタックSTK2の影響を受けないので、劣化スタックSTK2による燃料電池システムの性能低下は小さい。
【0042】
また、劣化スタックSTK2の場合、出力電圧及び電流が正常状態より低いとしても充分に使用可能であるので、図3a及び図3bに示したように、スタックSTK1〜STK4を連結して劣化スタックSTK2の性能低下が他の正常スタックに伝播されることを防止すれば、劣化スタックSTK2を廃棄しなくても、前記のように劣化スタックを再配列して使うことができる。よって、全ての燃料電池システムの性能を低下させないで劣化スタックを使うことができ、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させて寿命短縮を最小化することができる。
図3aをまた参照して、制御部212がスイッチング部200、202、204、206の動作を制御してスタックSTK1〜STK4を図3bのように連結する動作について詳細に説明する。
【0043】
図3aにおいて、第2スタックSTK2で劣化が発生したので、制御部212は状態感知信号(CS2)に含まれている電流または電圧が正常状態の電圧または電流より低いことを感知し、第2スタックSTK2で劣化が発生したと判断し、第2スタックSTK2を劣化スタックと判断する。
制御部212は、適切な制御信号(NC1、NC2及びNC4)をそれぞれ第1、第2及び第4負極連結スイッチNPSW1、NPSW2及びNPSW4に印加して第1、第2及び第4負極連結スイッチNPSW1、NPSW2及びNPSW4をオフ状態となるようにする。すなわち、第1、第2及び第4負極連結スイッチNPSW1、NPSW2及びNPSW4の一端が他端と連結されないようにする。また、制御部212は適切な制御信号(NC3)を第3負極連結スイッチNPSW3に印加して第3負極連結スイッチNPSW3をオン状態となるようにする。すなわち、第3負極連結スイッチNPSW3の一端が他端と連結されるようにする。
【0044】
また、制御部212は、適切な制御信号(SPC1)を第1直並列連結スイッチSPSW1に印加して共通端子N1_0が第2端子N1_2に連結されるようにし、適切な制御信号(SPC2)を第2直並列連結スイッチSPSW2に印加して共通端子N2_0が第1端子N2_1に連結されるようにし、適切な制御信号(SPC3)を第3直並列連結スイッチSPSW3に印加して共通端子N3_0が第2端子N3_2に連結されるようにする。
【0045】
また、制御部212は、適切な制御信号(IPC1)を第1並列連結スイッチIPSW1に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(IPC2)を第2並列連結スイッチIPSW2に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(IPC3)を第3並列連結スイッチIPSW3に印加してオン状態となるようにする。
また、制御部212は、適切な制御信号(PC1)を第1正極連結スイッチPPSW1に印加してオン状態となるようにし、適切な制御信号(PC2)を第2正極連結スイッチPPSW2に印加してオン状態となるようにし、適切な制御信号(PC3)を第3正極連結スイッチPPSW3に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(PC4)を第4正極連結スイッチPPSW4に印加してオフ状態となるようにする。
本発明において、スイッチのオン状態はスイッチの一端が他端と電気的に連結されることを意味し、スイッチのオフ状態はスイッチの一端が他端と電気的に連結解除、つまり断絶されることを意味する。
【0046】
前記のように、制御部212がそれぞれのスイッチNPSW1〜NPSW4、SPSW1、SPSW2、SPSW3、IPSW1、IPSW2、IPSW3、PPSW1〜PPSW4の動作を制御すれば、スタックの電気的構成が図3bのように形成される。
すなわち、制御部212は、スイッチNPSW1〜NPSW4、SPSW1、SPSW2、SPSW3、IPSW1、IPSW2、IPSW3、PPSW1〜PPSW4の動作を制御し、劣化スタックの第2スタックSTK2を正常スタックの第1スタックSTK1と並列で連結して劣化スタック部300を形成し、正常スタックの第3スタックSTK3と第4スタックSTK4を並列で連結して正常スタック部302を形成した後、劣化スタック部300を正常スタック部302と直列で連結する。
正常スタック部302を構成する残りの正常スタックの第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4は劣化スタックの第2スタックSTK2と直列で連結されるので、劣化した第2スタックSTK2の性能低下が正常スタックの第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4に伝播されることを防止することができる。
【0047】
また、劣化スタックSTK2の性能低下が他の正常スタックに伝播されることを防止することにより、劣化スタックSTK2を廃棄しなくても、劣化スタックを再配列して使うことができる。よって、全ての燃料電池システムの性能を低下させないで劣化スタックを使うことができ、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させて寿命短縮を最小化することができる。
【0048】
第3実施例:劣化スタックが存在する場合の第2動作
図4aは劣化スタックが存在する場合、本発明の第3実施例による燃料電池システム制御装置の第2動作ブロック図、図4bは図4aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図4aにおいて、制御部212は第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4によって獲得される第1スタック〜第4スタックSTK1〜STK4の状態を示す状態感知信号CS1〜CS4に基づいて性能が低下する劣化スタックが存在するかどうかを判断する。
前記状態感知信号CS1〜CS4は第1スタック〜第4スタックSTK1〜STK4の電圧または電流を含む信号であることができるが、本発明はこれに限定されない。
図4aにおいては、第2スタックSTK2で劣化が発生したと仮定する。
したがって、劣化したスタックの第2スタックSTK2の電圧または電流は正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4の電圧または電流と異なるであろう。
【0049】
一般に、スタックが劣化すれば、スタックの性能が低下してスタックの電圧及び電流が正常状態の電圧及び電流より低くなる。よって、制御部212は第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4から出力される状態感知信号CS1〜CS4に含まれている電圧または電流を正常状態の電圧または電流と比較してスタックが劣化したかを判断する。
図4aにおいては、第2スタックSTK2で劣化が発生したので、制御部212は状態感知信号(CS2)に含まれている電流または電圧が正常状態の電圧または電流より低いことを感知し、第2スタックSTK2で劣化が発生したと判断し、第2スタックSTK2を劣化スタックと判断する。
制御部212は、劣化スタックが発生する場合、図4bのように、スタックが連結されるようにスイッチング部200、202、204、206の動作を制御する。
【0050】
図4a及び図4bに示したように、制御部212は、スイッチング部200、202、204、206の動作を制御して劣化スタックの第2スタックSTK2を正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4と直列で連結する。図4a及び図4bにおいて、劣化スタック部400は第2スタックSTK2である。すなわち、図4bにおいて、劣化スタック部400は正常スタックを一つでも含まなく、劣化したスタックの第2スタックSTK2のみを含む。
正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4は劣化スタックの第2スタックSTK2と直列で連結されるから、劣化した第2スタックSTK2の性能低下が正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4に伝播されることを防止することができる。
【0051】
前記のように、劣化スタック部400を正常スタックSTK1、STK3、STK4と直列で連結すれば、正常スタックSTK1、STK3、STK4への電流偏りが発生しないので、劣化スタックSTK2によって他の正常スタックSTK1、STK3、STK4に劣化が伝播されることを防止することができる。
また、劣化スタックSTK2の場合、出力電圧及び電流が正常状態より低いとしても充分に使用可能であるので、劣化スタックSTK2の性能低下が他の正常スタックに伝播されることを防止すれば、劣化スタックSTK2を廃棄しなくても、前記のように劣化スタックを再配列して使うことができる。よって、全ての燃料電池システムの性能を低下させないで劣化スタックを使うことができ、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させて寿命短縮を最小化することができる。
【0052】
図4aをまた参照して、制御部212がスイッチング部200、202、204、206の動作を制御してスタックを図4bのように連結する動作について詳細に説明する。
図4aにおいて、第2スタックSTK2で劣化が発生したので、制御部212は状態感知信号(CS2)に含まれている電流または電圧が正常状態の電圧または電流より低いことを感知し、第2スタックSTK2で劣化が発生したと判断し、第2スタックSTK2を劣化スタックと判断する。
【0053】
制御部212は、適切な制御信号(NC1、NC2、NC3)をそれぞれの第1〜第3負極連結スイッチNPSW1〜NPSW3に印加して第1〜第3負極連結スイッチNPSW1〜NPSW3をオフ状態となるようにする。すなわち、第1〜第3負極連結スイッチNPSW1〜NPSW3の一端が他端と連結されないようにする。また、制御部212は適切な制御信号(NC4)を第4負極連結スイッチNPSW4に印加して第4負極連結スイッチNPSW4をオン状態となるようにする。すなわち、第4負極連結スイッチNPSW4の一端が他端と連結されるようにする。
また、制御部212は、適切な制御信号(SPC1)を第1直並列連結スイッチSPSW1に印加して共通端子N1_0が第1端子N1_1に連結されるようにし、適切な制御信号(SPC2)を第2直並列連結スイッチSPSW2に印加して共通端子N2_0が第1端子N2_1に連結されるようにし、適切な制御信号(SPC3)を第3直並列連結スイッチSPSW3に印加して共通端子N3_0が第1端子N3_1に連結されるようにする。
【0054】
また、制御部212は、適切な制御信号(IPC1)を第1並列連結スイッチIPSW1に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(IPC2)を第2並列連結スイッチIPSW2に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(IPC3)を第3並列連結スイッチIPSW3に印加してオフ状態となるようにする。
また、制御部212は、適切な制御信号(PC1)を第1正極連結スイッチPPSW1に印加してオン状態となるようにし、適切な制御信号(PC2)を第2正極連結スイッチPPSW2に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(PC3)を第3正極連結スイッチPPSW3に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(PC4)を第4正極連結スイッチPPSW4に印加してオフ状態となるようにする。
【0055】
本発明において、スイッチのオン状態はスイッチの一端が他端と電気的に連結されることを意味し、スイッチのオフ状態はスイッチの一端が他端と電気的に連結解除、つまり断絶されることを意味する。
前記のように、制御部212がそれぞれのスイッチNPSW1〜NPSW4、SPSW1、SPSW2、SPSW3、IPSW1、IPSW2、IPSW3、PPSW1〜PPSW4の動作を制御すれば、スタックの電気的構成が図4bのように形成される。
すなわち、制御部212は、スイッチNPSW1〜NPSW4、SPSW1、SPSW2、SPSW3、IPSW1、IPSW2、IPSW3、PPSW1〜PPSW4の動作を制御して劣化スタックの第2スタックSTK2を正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4と直列で連結する。
正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4は劣化スタックの第2スタックSTK2と直列で連結されるので、劣化した第2スタックSTK2の性能低下が正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4に伝播されることを防止することができる。
【0056】
また、劣化スタックSTK2の性能低下が他の正常スタックに伝播されることを防止することにより、劣化スタックSTK2を廃棄しなくても、劣化スタックを再配列して使うことができる。よって、全ての燃料電池システムの性能を低下させないで劣化スタックを使うことができ、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させて寿命短縮を最小化することができる。
【0057】
表1は第1〜第4スタックSTK1〜STK4の4個のスタックにおいて正常スタックのみある第1実施例、劣化スタックが存在するとき、本発明によって電気的構成を変更する第2実施例及び第3実施例、及び劣化スタックが存在するが本発明を適用しない場合のそれぞれのスタックの状態及び出力電力を比較した表である。
【0058】
【表1】
【0059】
前記表1に示したように、何らの措置も取らない燃料電池システムの全容量は本発明の第2実施例及び第3実施例で燃料電池システムの制御装置を使う場合より大きいように見えるが、何らの措置も取らない場合、第2スタックSTK2の劣化が他の正常スタックに伝播されて全てのスタックが劣化するので、時間が経つにつれてより速い速度で全容量の低下が現れるであろう。
これとは異なり、本発明の第2実施例及び第3実施例においては、劣化したスタックの第2スタックSTK2の劣化が劣化したスタックと並列で連結されたスタック以外の他の正常スタックに伝播されることを防止し、時間が経つことによる燃料電池システムの容量低下が小さい。よって、本発明によれば、燃料電池システムの耐久性を向上させることができ、寿命短縮を防止することができ、劣化したスタックを再配列して使うことによって燃料電池スタックを効率よく使うことができる。
【0060】
第4実施例:動作不可能なスタックが存在する場合の動作
図5aは動作不可能なスタックが存在する場合、本発明の第4実施例による燃料電池システム制御装置の第3動作ブロック図、図5bは図5aの燃料電池システムの燃料電池スタックの電気的構成を示すブロック図である。
図5aにおいて、制御部212は第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4によって獲得される第1スタック〜第4スタックSTK1〜STK4の状態を示す状態感知信号CS1〜CS4に基づいて動作不可能なスタックが存在するかどうかを判断する。
前記状態感知信号CS1〜CS4は第1スタック〜第4スタックSTK1〜STK4の電圧または電流を含む信号であることができるが、本発明はこれに限定されない。
図5aにおいては、第2スタックSTK2が動作不可能な状態にあると仮定する。よって、動作不可能なスタックの第2スタックSTK2の電圧または電流は正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4の電圧または電流と全く異なるであろう。
【0061】
一般に、スタックが動作不可能であれば、スタックの性能が非常に低下してスタックの電圧及び電流が正常状態の電圧及び電流よりずっと低くなる。よって、制御部212は第1〜第4スタック状態感知部S1〜S4から出力される状態感知信号CS1〜CS4に含まれている電圧または電流を正常状態の電圧または電流と比較してスタックが動作不可能であるかを判断する。
図5aにおいては、第2スタックSTK2が動作不可能な状態にあるので、制御部212は、状態感知信号(CS2)に含まれている電流または電圧が正常状態の電圧または電流より低いことを感知して第2スタックSTK2が動作不可能であると判断し、第2スタックSTK2を動作不可能なスタックと判断する。
制御部212は、動作不可能なスタックが発生する場合、図5bのように、スタックが連結されるようにスイッチング部200、202、204、206の動作を制御する。
【0062】
図5a及び図5bに示したように、制御部212は、スイッチング部200、202、204、206の動作を制御し、動作不可能なスタックの第2スタックSTK2を正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4から電気的に分離し、動作不可能なスタックの第2スタックSTK2を燃料電池システムから電気的に孤立させる。
正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4は動作不可能なスタックの第2スタックSTK2から電気的に分離されるので、動作不可能なスタックの第2スタックSTK2の性能低下が正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4に伝播されることを防止することができる。
【0063】
図5aをまた参照し、制御部212がスイッチング部200、202、204、206の動作を制御してスタックを図5bのように連結する動作について詳細に説明する。
図5aにおいて、第2スタックSTK2が動作不可能であるので、制御部212は状態感知信号(CS2)に含まれている電流または電圧が正常状態の電圧または電流より低いことを感知し、第2スタックSTK2が動作不可能であると判断して第2スタックSTK2を動作不可能なスタックと判断する。
制御部212は、適切な制御信号(NC1、NC3、NC4)をそれぞれ第1、第3及び第4負極連結スイッチNPSW1、NPSW3及びNPSW4に印加して第1、第3及び第4負極連結スイッチNPSW1、NPSW3及びNPSW4をオン状態となるようにする。すなわち、第1、第3及び第4負極連結スイッチNPSW1、NPSW3及びNPSW4の一端が他端と連結されるようにする。また、制御部212は、適切な制御信号(NC2)を第2負極連結スイッチNPSW2に印加して第2負極連結スイッチNPSW2をオフ状態となるようにする。すなわち、第4負極連結スイッチNPSW4の一端が他端と連結されないようにする。
【0064】
また、制御部212は、適切な制御信号(SPC1)を第1直並列連結スイッチSPSW1に印加して共通端子N1_0が第3端子N1_3に連結されるようにし、適切な制御信号(SPC2)を第2直並列連結スイッチSPSW2に印加して共通端子N2_0が第3端子N2_3に連結されるようにし、適切な制御信号(SPC3)を第3直並列連結スイッチSPSW3に印加して共通端子N3_0が第3端子N3_3に連結されるようにする。
また、制御部212は、適切な制御信号(IPC1)を第1並列連結スイッチIPSW1に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(IPC2)を第2並列連結スイッチIPSW2に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(IPC3)を第3並列連結スイッチIPSW3に印加してオフ状態となるようにする。
また、制御部212は、適切な制御信号(PC1)を第1正極連結スイッチPPSW1に印加してオン状態となるようにし、適切な制御信号(PC2)を第2正極連結スイッチPPSW2に印加してオフ状態となるようにし、適切な制御信号(PC3)を第3正極連結スイッチPPSW3に印加してオン状態となるようにし、適切な制御信号(PC4)を第4正極連結スイッチPPSW4に印加してオン状態となるようにする。
【0065】
本発明において、スイッチのオン状態はスイッチの一端が他端と電気的に連結されることを意味し、スイッチのオフ状態はスイッチの一端が他端と電気的に連結解除、つまり断絶されることを意味する。
前記のように、制御部212がそれぞれのスイッチNPSW1〜NPSW4、SPSW1、SPSW2、SPSW3、IPSW1、IPSW2、IPSW3、PPSW1〜PPSW4の動作を制御すれば、スタックの電気的構成が図5bのように形成される。
【0066】
すなわち、制御部212は、スイッチNPSW1〜NPSW4、SPSW1、SPSW2、SPSW3、IPSW1、IPSW2、IPSW3、PPSW1〜PPSW4の動作を制御し、動作不可能なスタックの第2スタックSTK2を正常スタックの第1スタックSTK1、第3スタックSTK3及び第4スタックSTK4から電気的に分離させる。
したがって、動作不可能なスタックの第2スタックSTK2の性能低下が他の正常スタックに伝播されることを防止することができるので、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させて寿命短縮を最小化することができる。
【0067】
燃料電池システムの制御方法
図6は本発明の実施例による燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。
図6を参照すれば、段階S600で、制御部212は第1スタック〜第4スタックSTK1〜STK4の電圧または電流に基づいて劣化スタックまたは動作不可能なスタックが存在するかどうかを判断する。
段階S600で少なくとも一つの劣化スタックが存在すると判断する場合、段階S602で、制御部212はスイッチング部200、202、204、206の動作を制御して、感知された少なくとも一つの劣化スタックを含む少なくとも一つの劣化スタック部を形成し、形成された少なくとも一つの劣化スタック部を他の劣化スタック部または少なくとも一つの正常スタックと直列、並列または直並列で連結する。
前記段階S600で動作不可能なスタックが存在すると判断する場合、段階S604で、制御部212はスイッチング部200、202、204、206の動作を制御して動作不可能なスタックを電気的に燃料電池システムから分離して孤立させる。
【0068】
したがって、劣化スタック及び動作不可能なスタックが正常スタックに影響を及ぼすことを最小化するとか防止することができるので、燃料電池システムの耐久性を向上させて寿命短縮を最小化することができる。また、劣化スタックを再配列して使うことができるので、燃料電池システムを効率よく使うことができる。
【0069】
本明細書で説明した方法は、適用例によって多様な手段を用いて具現されることもできる。例えば、このような方法は、ハードウェア、ファームウエア、ソフトウェアまたはこれらの任意の組合せの形態に具現されることもできる。ハードウェアを伴う具現例において、制御回路または制御部は一つ以上の注文型集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、制御器、マイクロ−制御器、マイクロプロセッサー、電子装置、本明細書で説明した機能を果たすように設計された他の電子ユニットまたはこれらの組合せで具現されることもできる。
【0070】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するもので、本発明はこれに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該技術分野の通常の知識を持った者によってその変形や改良が可能であるのは明らかであろう。
【0071】
本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の領域に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求範囲によって明らかになるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、多数の電力調節システム(PCS)を使わず、安価の電気スイッチを用い、動作中に早くて易しくスタックを直列、並列または直並列で連結してスタック間の性能低下による伝播を防止することにより、全ての燃料電池システムの耐久性を向上させ、容量低下を防止し、寿命短縮を最小化し、劣化したスタックと正常スタックを再配列して使うことにより、燃料電池スタックを効率よく使うことができる燃料電池システム制御装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
200 負極連結スイッチング部
202 直並列連結スイッチング部
204 並列連結スイッチング部
206 正極連結スイッチング部
208 電力調節システム
210 負荷
212 制御部
STK1、...、STK4 第1〜第4スタック
S1、...、S4 第1〜第4スタック状態感知部
NPSW1、...、NPSW4 第1〜第4負極連結スイッチ
SPSW1、SPSW2、SPSW3 第1〜第3直並列連結スイッチ
IPSW1、IPSW2、IPSW3 第1〜第3並列連結スイッチ
PPSW1、...、PPSW4 第1〜第4正極連結スイッチ
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6