(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、水力発電所の関連設備(導水路や貯水槽、水圧鉄管等)や送電鉄塔は山間部の急峻な場所に建設されることが多く、設備保全等の観点から、環境情報として設備の近傍に存在する傾斜面の地盤変位を観測する必要が生じる。ここで上記地盤変位の要因としては、自然現象に関するもの(積雪後の融雪による地下水位の上昇、梅雨や台風時の大雨、地震等)や人の活動に関するもの(近隣で行われている工事等)がある。
【0005】
地盤変位を検知する方法としては、伸縮計を用いる方法、B−OTDR方式、レーザー測距方式、GPS相対測位方式などがあり、いずれの方法も高い精度(数mm程度)が得られるが、機器の設置の手間やコストがかかる。そのため、近年、複数の傾斜センサを傾斜面に広範囲に配置し、計測データを面的に収集することにより地盤変位を検知する方式(以下、傾斜センサ方式と称する。)が注目されている。
【0006】
傾斜センサ方式では、地盤の変位量そのものではなく傾斜角度を計測することにより間接的に地盤変位を検知する。傾斜センサ方式による場合、各傾斜センサにバッテリや太陽電池を併設することで恒常電源が不要となり、また各傾斜センサに無線通信機能を設けることで通信ケーブルの付設も不要となる。
【0007】
ここで地盤変位の大きな状態変化を監視することを主目的とするのであれば必ずしも高い検知精度は求められないが、地盤変位の大きな状態変化を予兆の段階で捉えることを目的とするのであれば既存技術と同等の検知精度が要求される。このため傾斜センサ方式において既存技術と同程度の検知精度(数mm)を得るための様々な試みがなされている。
【0008】
前述したように、傾斜センサ方式は、地盤の変位量そのものではなく傾斜角度を計測することで間接的に地盤変位を検知する方式である。そのため、前述した他の技術と同等の検知精度(数mm)を得るには0.01〜0.09 ゜の精度が必要となる(例えば、地点Aを基点とし、水平方向に5m離れた地点Bで地盤が1mm低下すると仮定すると、地点A〜地点Bの傾斜角度は tan
-1(1/5000)より0.01゜と算出できる)。
【0009】
また傾斜センサ方式では、各傾斜センサの測定値に正規分布をなす誤差が含まれていることが課題となるが、このような誤差を低減する方法としては、統計的に有意な数の測定値を得た上で平均値を算出するのが一般的である。このため、状態変化が急激に進行するようなケースについてその予兆を確実に捉えようとすれば、単位時間あたりのサンプリング数を増やす必要があり、バッテリの消費量が増大してメンテナンスの手間やコストが増大してしまう。また太陽電池の出力は環境に左右されやすく、単位時間あたりのサンプリング数を増やすと日射量が不十分な場合は発電量が不足することも考えられる。
【0010】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、消費電力を抑えつつ、簡素な構成にて高い精度で地盤変位を検知することが可能な地盤変位観測システム、及び地盤変位観測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明のうちの一つは、地盤変位を観測する地盤変位観測システムであって、地盤変位の観測が行われる屋外のエリアに設けられる複数のセンサノードと、前記センサノードから送信される無線信号を受信するゲートウェイ装置と、前記ゲートウェイ装置と通信可能に接続する情報処理装置であるサーバ装置と、を含み、前記センサノードは、前記地盤変位の検知に用いる情報を計測するセンサ、前記無線信号を生成する無線装置、及び前記無線信号を送信するアンテナを備え、前記アンテナは、積雪時に少なくともその一部が埋雪される高さで前記センサノードに設けられ、前記ゲートウェイ装置は、前記センサノードから受信する前記無線信号の受信電界強度を計測する電界強度計を備え、前記サーバ装置は、前記ゲートウェイ装置が前記センサノードから受信する前記無線信号の受信電界強度の変化に基づき、前記エリアにおける融雪の有無を判定することとする。
【0012】
本発明によれば、センサノードからゲートウェイ装置に送信される無線信号の受信電界強度が、センサノードのアンテナが積雪によって埋雪されることにより変化することを利用して融雪の有無を判断するので、簡素な仕組みにより融雪があったことを検知することができる。そのため、高精度の計測が必要となる融雪の時機を正確に把握することができ、他の期間においてはセンサノードやゲートウェイ装置の消費電力を抑制することができる。これによれば、消費電力を抑えつつ、簡素な構成にて融雪に起因する地盤変位を予兆の段階から高精度で検知することができる。
【0013】
本発明のうちの他の一つは、上記地盤変位観測システムであって、前記サーバ装置は、所定数以上の前記センサノードから受信する前記無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値以上から前記閾値未満に変化した場合に、前記エリアに積雪があったと判定することとする。
【0014】
このように所定数以上のセンサノードから送られてくる無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値以上から閾値未満に変化した場合に積雪があったと判定することで、精度よく積雪があったことを検知することができ、これにより融雪があったか否かの判定精度を高めることができる。
【0015】
本発明のうちの他の一つは、上記地盤変位観測システムであって、前記センサノードは、前記エリアにおける外気温を計測する温度センサを備え、前記サーバ装置は、所定数以上の前記センサノードから受信する前記無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値以上から前記閾値未満に変化し、かつ、前記温度センサの計測値が予め設定された閾値未満である場合に、前記エリアに積雪があったと判定することとする。
【0016】
このように所定数以上のセンサノードから送られてくる無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値以上から閾値未満に変化し、かつ、温度センサの計測値が予め設定された閾値未満である場合に積雪があったと判定することで、より高い精度で確実に積雪があったことを検知することができる。
【0017】
本発明のうちの他の一つは、上記地盤変位観測システムであって、前記サーバ装置は、前記積雪があったと判定した後、所定数以上の前記センサノードから受信する前記無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値未満から前記閾値以上に変化した場合に、前記エリアに融雪があったと判定することとする。
【0018】
このように所定数以上のセンサノードから送られてくる無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値未満から閾値以上に変化した場合に融雪があったと判定することで、精度よく融雪があったことを検知することができる。
【0019】
本発明のうちの他の一つは、上記地盤変位観測システムであって、前記センサノードは、前記エリアにおける外気温を計測する温度センサを備え、前記サーバ装置は、前記積雪があったと判定した後、所定数以上の前記センサノードから受信する前記無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値未満から前記閾値以上に変化し、かつ、前記温度センサの計測値が予め設定された閾値以上である場合に、前記エリアに融雪があったと判定することとする。
【0020】
このように積雪があったと判定した後、所定数以上のセンサノードから送られてくる無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値未満から閾値以上に変化し、かつ、温度センサの計測値が予め設定された閾値以上である場合に融雪があったと判定することで、より高い精度で融雪があったことを検知することができる。
【0021】
本発明のうちの他の一つは、上記地盤変位観測システムであって、前記センサノードは、前記センサノードにおける消費電力を制御する制御装置を備え、前記サーバ装置が前記エリアに融雪があったと判定すると、前記ゲートウェイ装置が前記センサノードに消費電力の制限を解除する指示を含む消費電力制御指示を送信し、前記センサノードは、前記消費電力制御指示を受信すると前記センサノードにおける消費電力の制限を解除することとする。
【0022】
このようにサーバ装置が融雪があったと判定した場合はセンサノードにおける消費電力の制限が解除されるので、平時は消費電力を抑制しつつ、必要な時機には地盤変位の検知精度を高めることができる。
【0023】
本発明のうちの他の一つは、上記地盤変位観測システムであって、前記消費電力制御指示は、前記センサの計測値の単位時間当たりのサンプリング数の増大を指示する内容を含み、前記センサノードは、前記消費電力制御指示を受信すると前記センサの計測値の単位時間当たりのサンプリング数を増大させることとする。
【0024】
このようにサーバ装置が融雪があったと判定した場合は、消費電力に与える影響が比較的大きな、センサの計測値の単位時間当たりのサンプリング数を増大させるので、平時は消費電力を抑制しつつ、必要な時機には地盤変位の検知精度を高めることができる。
【0025】
本発明のうちの他の一つは、上記地盤変位観測システムであって、前記サーバ装置は、前記ゲートウェイ装置が前記センサノードから受信する前記無線信号の受信電界強度の変化に基づき、前記エリアにおける積雪があった日時及び融雪があった日時を取得し、これらを用いて前記エリアにおける積雪量を求めることとする。
【0026】
このようにサーバ装置は、ゲートウェイ装置がセンサノードから受信する無線信号の受信電界強度の変化に基づき、積雪があった日時及び融雪があった日時を取得し、これらに基づきエリアにおける積雪量を求めるので、積雪計等を用いた場合等に比べて簡素かつ安価な構成に積雪量を把握することができる。
【0027】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、消費電力を抑えつつ、簡素な構成にて高い精度で地盤変位を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面とともに本発明の実施形態について詳述する。
【0031】
図1に一実施形態として説明する地盤変位観測システム1の概略的な構成を示している。同図に示すように、地盤変位観測システム1は、水力発電所の関連設備(導水路や貯水槽、水圧鉄管等)や送電鉄塔が建設される山間部の傾斜面等の、屋外の所定範囲(以下、観測エリア2と称する。)における地盤変位を観測(計測)するシステムである。
【0032】
同図に示すように、地盤変位観測システム1は、観測エリア2に面的に配設され、計測値を含む無線信号(後述の計測データ500)を随時送信する複数のセンサノード10、観測エリア2内もしくは観測エリア2の近傍に設置され、センサノード10と無線通信するゲートウェイ装置20、システムセンタやクラウド等に設けられ、ゲートウェイ装置20と通信網5(インターネット、携帯通信網等)を介して通信するサーバ装置30、電力会社の事業所等に設置され、通信網5を介してサーバ装置30にアクセスするユーザ端末40を含む。
【0033】
図2にセンサノード10の構成を示している。同図に示すように、センサノード10は、制御装置11、無線装置12、アンテナ13、電界強度計14(RSSI(Received Signal Strength Indication))、傾斜センサ15、温度センサ16、蓄電池17、及び太陽電池18を備える。制御装置11、無線装置12、アンテナ13、電界強度計14(RSSI(Received Signal Strength Indication))、傾斜センサ15、及び温度センサ16は、各種制御線(I2C(Inter-Integrated Circuit)、SPI(Serial Peripheral Interface)、USB(Universal Serial Bus)等)を介して通信可能に接続されている。
【0034】
制御装置11は、センサノード10の各構成についての統括的な制御、電界強度計14、傾斜センサ15、及び温度センサ16が出力する計測値の取得、計測値を含む無線信号の送信制御、ゲートウェイ装置20との間の通信等を行う。
【0035】
無線装置12は、ゲートウェイ装置20や他のセンサノード10の無線装置12と無線通信を行う。無線装置12は、例えば、特定小電力無線局(315MHz帯、426MHz帯、1200MHz帯、920MHz帯等)、小電力無線局(2.4GHz帯等)、微弱な無線局等として機能する。尚、無線装置12は、ゲートウェイ装置20と直接通信するものであってもよいし、アドホック機能等により他の無線装置12を介して間接的にゲートウェイ装置20と通信するものであってもよい。
【0036】
アンテナ13は、無線装置12に入力、もしくは無線装置12から出力される電波の送受信に用いられる。アンテナ13は、例えば、ホイップ(ロッド)アンテナであり、地表面から所定の高さ(積雪によってアンテナ13から放射される電波の電界強度が変動する高さ)で上方に延出させて設けられる。アンテナ13は、その電波の放射部分の少なくとも一部が積雪時に埋雪される高さで設けられる。尚、アンテナから放射される電波は、埋雪されることによって大きく減衰すること、また、降雨によっては減衰は殆ど生じないことが知られている。
【0037】
電界強度計14は、例えば、ログアンプ(Logarithmic Amplifier)や演算増幅器(Operational Amplifier)を用いて構成され、無線装置12が受信する電波の受信電界強度を示す値を出力する。
【0038】
傾斜センサ15は、傾斜角(変位角)(1軸又は2軸)に応じた信号(例えば、傾斜角に応じた大きさのアナログ電圧。)を出力するセンサであり、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を応用したもの、板ばねを用いた振り子式のもの、フロート式(錘と浮きを併用したハイブリッド機構)のもの等である。
【0039】
温度センサ16は、サーミスタ、リニア抵抗器、測温抵抗体等を用いて構成される素子であり、観測エリア2における外気温に応じた信号(例えば、温度に応じたアナログ電圧値を示す信号)を出力する。
【0040】
蓄電池17は、二次電池(リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池等)であり、センサノード10の構成要素に駆動電力を供給する。蓄電池17は、電池残量を計測するセンサ(例えば、蓄電池17の端子間電圧を計測する電圧計)を備えており、制御装置11に随時電池残量を通知する。
【0041】
太陽電池18は、太陽電池パネルや充電制御装置(チャージコントローラ)を備え、太陽電池パネルによって発電された電力を蓄電池15に供給する。尚、太陽電池パネルは積雪により埋雪されてしまわない程度の高さ(例えば、過去の最大積雪量を上回る高さ)で設けられる。尚、太陽電池18に代えて、もしくは太陽電池18とともに、風力発電設備等の他の自然エネルギー利用の発電設備をセンサノード10に設けてもよい。
【0042】
図3に制御装置11のハードウェア構成を示している。同図に示すように、制御装置11は、中央処理装置111、記憶装置112、計時装置113、及び電池残量センサ114を備える。
【0043】
中央処理装置111は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)等である。記憶装置112は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non Volatile RAM)等である。
【0044】
計時装置113は、RTC(Real Time Clock)等を用いて構成され、現在日時を示す情報を出力する。計時装置113が計時する日時と後述するゲートウェイ装置20の計時装置23が計時する日時とは、ゲートウェイ装置20と制御装置11との間の無線通信により随時同期が取られる。
【0045】
電池残量センサ114は、蓄電池17の残量を示す情報(例えば、蓄電池17の端子間電圧)を出力する。
【0046】
図4に制御装置11の機能(ソフトウェア構成)及び制御装置11が記憶する情報を示している。同図に示すように、制御装置11は、計測処理部411、計測データ送信部412、及び消費電力制御部413の各機能を有する。これらの機能は、制御装置11の中央処理装置111が、記憶装置112に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0047】
計測処理部411は、計測値の計測時機が到来すると、電界強度計14、傾斜センサ15、及び温度センサ16から計測値を取得し、取得した計測値を計測データ送信部412に渡す。尚、計測処理部411が計測する電界強度計14の計測値は、ゲートウェイ装置20から受信した無線信号の受信電界強度(センサノード10の電界強度計14の出力値)である。
【0048】
計測データ送信部412は、計測処理部411から渡された計測値を含むデータである計測データ500を送信する。
【0049】
図5に計測データ500のフォーマットを示している。同図に示すように、計測データ500には、送信元のセンサノード10を特定する識別子であるノードID511、計測値512、計測値512を取得した日時である取得日時513、電池残量514、及び受信電界強度515等の情報を含む。制御装置11は、ノードID511を
図4のノードID421として記憶している。計測値512は、ゲートウェイ装置20から受信した無線信号の受信電界強度(センサノード10の電界強度計14の出力値)、及び傾斜センサ15の出力値、温度センサ16の出力値である。尚、計測データ500の各項目は必ずしも全てが一度にまとめて送信されなくてもよく、ノードID511と他の一つ以上の項目との組合せが個別に送信される構成としてもよい。
【0050】
図4に戻り、消費電力制御部413は、センサノード10の構成要素のうち駆動電力を必要とする構成(例えば、制御装置11、無線装置12、傾斜センサ15、温度センサ16)について消費電力の制御を行う。この消費電力の制御は、例えば、計測処理部411による単位時間当たりの計測値(電界強度計14の出力値、傾斜センサ15の出力値、温度センサ16の出力値のうちの少なくともいずれか)の取得回数(単位時間当たりのサンプリング数)の増減、スタンバイモード等の待機状態への遷移等により行われる。
【0051】
消費電力制御部413は、例えば、ゲートウェイ装置20から消費電力の制御を指示する命令(以下、消費電力制御指示600と称する。)を受信したのに応じて消費電力の制御を行う。また消費電力制御部413は、蓄電池17の電池残量が少なくなった(閾値未満となった)場合や温度が低下して蓄電池17の性能が低下する可能性がある場合にセンサノード10の構成要素のうち駆動電力を必要とする構成について消費電力を自動的に抑制する。消費電力制御部413は、外部からの入力設定等に応じて、消費電力制御指示600を優先するモードと自身の自動的な抑制を優先するモードのいずれかに切り替える機能を備える。
【0052】
図6にゲートウェイ装置20から送られてくる消費電力制御指示600のフォーマットを示している。同図に示すように、消費電力制御指示600は、制御対象となるセンサノード10の構成要素を特定する情報である制御対象611、制御の内容に関する情報である制御内容612(制御装置11がセンサ(電界強度計14、傾斜センサ15、温度センサ16)から取得する計測値の単位時間当たりのサンプリング数等)等の情報を含む。
【0053】
図4に戻り、制御装置11は、制御情報422を記憶している。制御情報422は、消費電力の制御の内容に関する情報であり、例えば、制御装置11がセンサ(電界強度計14、傾斜センサ15、温度センサ16)から取得する計測値の単位時間当たりのサンプリング数、消費電力制御の対象となるセンサノード10の構成要素を特定する情報、構成要素ごとの制御の内容等である。制御情報422はゲートウェイ装置20から受信した消費電力制御指示600によって随時更新される。
【0054】
図7にゲートウェイ装置20のハードウェア構成を示している。同図に示すように、ゲートウェイ装置20は、中央処理装置21、記憶装置22、計時装置23、無線装置24、電界強度計25(RSSI)、及び通信装置26を備える。
【0055】
中央処理装置21は、例えば、MPU、CPU等であり、記憶装置22は、例えば、RAM、ROM、NVRAM等である。中央処理装置21及び記憶装置22は、ゲートウェイ装置20に情報処理装置としての機能を実現する。計時装置23は、RTC等を用いて構成され、日時情報を出力する。無線装置24は、センサノード10の無線装置12と無線通信する装置であり、例えば、特定小電力無線局、小電力無線局、微弱な無線局等である。電界強度計25は、例えば、ログアンプや演算増幅器を用いて構成され、無線装置24が受信する電波の受信電界強度を計測する。通信装置26は、NIC(Network Interface Card)や無線LANアダプタ等であり、通信網5を介してサーバ装置30等の他の装置と通信する。
【0056】
図8にゲートウェイ装置20の機能(ソフトウェア構成)及びゲートウェイ装置20が記憶する情報を示している。同図に示すように、ゲートウェイ装置20は、計測データ受信部811、電界強度取得部812、計測データ送信部813、及び制御指示中継部814の各機能を有する。これらの機能は、ゲートウェイ装置20の中央処理装置21が、記憶装置22に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0057】
計測データ受信部811は、センサノード10の制御装置11が送信する計測データ500を受信し、受信した計測データ500の内容を計測値管理テーブル900に登録する。
【0058】
電界強度取得部812は、計測データ受信部811がセンサノード10から受信した無線信号(計測データ500)の受信電界強度を取得し、当該計測データ500の内容に対応づけて計測値管理テーブル900に後述する受信電界強度(センサノード)913として登録する。
【0059】
図9に計測値管理テーブル900の一例を示している。同図に示すように、計測値管理テーブル900は、ノードID911、受信電界強度(ゲートウェイ装置)912、受信電界強度(センサノード)913、計測値914(温度9141、傾斜角9142)、及び計測日時915の各項目を有するレコードの集合である。
【0060】
ノードID911は、当該レコードの計測値914の送信元のセンサノード10のノードIDである。受信電界強度(ゲートウェイ装置)912は、当該レコードに対応する計測データ500を受信した際の当該計測データ500を載せた無線信号(電波)の受信電界強度である。受信電界強度(センサノード)913は、当該レコードの計測値914の送信元のセンサノード10において計測されたゲートウェイ装置20からの無線信号(電波)の受信電界強度である。
【0061】
計測値914は、センサノード10において計測された傾斜角9141(傾斜センサ15の出力値)と温度9142(温度センサ16の出力値)とを含む。計測日時915は、当該レコードの計測値914が計測された日時である。
【0062】
図8に戻り、計測データ送信部813は、計測データ受信部811が受信した計測データ500をサーバ装置30に中継送信する。制御指示中継部814は、サーバ装置30から送られてくる消費電力制御指示600を受信するとこれをセンサノード10に中継送信する。
【0063】
図10にサーバ装置30のハードウェア構成を示している。同図に示すように、サーバ装置30は、中央処理装置31、記憶装置32、及び通信装置33を備える。中央処理装置31は、例えば、MPU、CPU等であり、記憶装置32は、例えば、RAM、ROM、NVRAM等である。中央処理装置31及び記憶装置32は、サーバ装置30に情報処理装置としての機能を実現する。通信装置33は、NICや無線LANアダプタ等であり、通信網5を介してゲートウェイ装置20やユーザ端末40と通信する。
【0064】
図11にサーバ装置30の機能(ソフトウェア構成)及びサーバ装置30が記憶する情報を示している。同図に示すように、サーバ装置30は、計測データ受信部1111、積雪/融雪判定部1112、積雪量算出部1113、制御指示送信部1114、及び監視制御機能提供部1115の各機能を有する。これらの機能は、サーバ装置30の中央処理装置31が、記憶装置32に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0065】
計測データ受信部1111は、ゲートウェイ装置20から送られてくる計測データ500を受信する。
【0066】
積雪/融雪判定部1112は、計測値管理テーブル1122の内容に基づき、積雪の有無及び融雪の有無を判定する。
【0067】
例えば、積雪/融雪判定部1112は、所定数以上のセンサノード10から受信する無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値以上から閾値未満に順次或いはほぼ同時に変化した場合に観測エリア2に積雪があったと判定する。
【0068】
また例えば、積雪/融雪判定部1112は、所定数以上のセンサノード10から受信する無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値以上から閾値未満に変化し、かつ、温度センサ16の計測値が予め設定された閾値(例えば0℃)未満である場合に観測エリア2に積雪があったと判定する。
【0069】
また例えば、積雪/融雪判定部1112は、積雪があったと判定した後、所定数以上のセンサノード10から受信する無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値未満から閾値以上に変化した場合に観測エリア2に融雪があったと判定する。
【0070】
また例えば、積雪/融雪判定部1112は、積雪があったと判定した後、所定数以上のセンサノード10から受信する無線信号の受信電界強度が予め設定された閾値未満から閾値以上に変化し、かつ、温度センサ16の計測値が予め設定された閾値(例えば0℃)以上である場合に観測エリア2に融雪があったと判定する。
【0071】
尚、積雪又は融雪の判定に際し、傾斜センサ15の計測値が大きく変化していないこと(観測エリア2に土砂崩れ等が発生していないこと)を確認するようにしてもよい。
【0072】
積雪量算出部1113は、積雪/融雪判定部1112により取得される、積雪があった日時及び融雪があった日時、及び計測値管理テーブル1122の内容に基づき、観測エリア2における積雪量を求める。
【0073】
制御指示送信部1114は、計測値管理テーブル1122の内容に基づき消費電力制御指示600を生成し、ゲートウェイ装置20に送信する。例えば、制御指示送信部1114は、融雪があったと判定した際、計測値の単位時間あたりのサンプリング数を増大させる内容の消費電力制御指示600を生成してゲートウェイ装置20に送信する。
【0074】
監視制御機能提供部1115は、通信網5を介してアクセスしてくる情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)であるユーザ端末40に、計測値管理テーブル900に基づく情報の提供やセンサノード10の制御のための機能の提供を行う。これらの機能は例えばWebページを介してユーザ端末40に提供される。
【0075】
同図に示すように、サーバ装置30は、計測値管理テーブル1122を記憶する。計測値管理テーブル1122の内容は、
図9の計測値管理テーブル900の内容と基本的に同様である。計測値管理テーブル1122の内容はゲートウェイ装置20から送られてくる計測データ500によって随時更新される。
【0076】
図12は、地盤変位観測システム1において行われる処理(以下、地盤変位観測処理S1200と称する。)を説明するフローチャートである。以下、同図とともに地盤変位観測処理S1200について説明する。
【0077】
センサノード10の制御装置11は、ゲートウェイ装置20からの消費電力制御指示600の受信有無をリアルタイムに監視している(S1211)。消費電力制御指示600を受信すると(S1211:YES)、制御装置11は、受信した消費電力制御指示600の内容に従って消費電力の制御を行う(S1212)。消費電力制御指示600を受信していない場合(S1211:NO)、制御装置11はS1213からの処理を行う。
【0078】
S1213では、制御装置11は、現在が計測時機か否かを判定する。現在が計測時機である場合(S1213:YES)、制御装置11は、傾斜センサ15及び温度センサ16から計測値を取得し(S1214)、計測値を含む計測データ500を生成してゲートウェイ装置20に送信する。現在が計測時機でない場合(S1213:NO)、処理はS1211に戻る。
【0079】
一方、ゲートウェイ装置20は、現在がセンサノード10からの計測データ500の受信時機であるかをリアルタイムに判定している(S1221)。現在が計測データ500の受信時機であると判定すると(S1221:YES)、ゲートウェイ装置20は、計測データ500の受信を開始する。計測データ500を受信すると(S1222)、ゲートウェイ装置20は、センサノード10から受信した計測データ500(無線信号)の受信電界強度を取得し(S1223)、取得した受信電界強度を受信電界強度(ゲートウェイ装置)912として、計測データ500の内容とともに計測値管理テーブル900に登録する(S1224)。尚、ゲートウェイ装置20は、計測データ500を随時サーバ装置30に中継送信し、サーバ装置30は、計測値管理テーブル1122の内容を、受信した計測データ500の内容に更新する。
【0080】
S1225では、ゲートウェイ装置20は、全てのセンサノード10から計測データ500を受信したか否か、もしくは、タイムアウトしたか(予定されている受信期間を過ぎたか)否かを判定する。条件が成立する場合(S1225:YES)、処理はS1226に進む。条件が成立しない場合(S1225:NO)、処理はS1222に戻る。
【0081】
S1226では、サーバ装置30は、計測値管理テーブル1122の内容に基づき、積雪又は融雪があったか否かを判定する。サーバ装置30が積雪及び融雪のいずれも無かったと判定した場合(S1226:NO)、処理はS1221に戻る。一方、積雪又は融雪があったと判定した場合(S1226:YES)、サーバ装置30は、現在日時を積雪又は融雪があった日時として記憶し(S1227)、その後はS1228の処理に進む。
【0082】
S1228では、サーバ装置30は、融雪があったか否かを判定する。融雪がなかったと判定した場合(S1228:NO)、処理はS1221に戻る。融雪があったと判定した場合(S1228:YES)、処理はS1229に進む。
【0083】
S1229では、サーバ装置30は、ゲートウェイ装置20を介して消費電力制御指示600をセンサノード10に送信する。
【0084】
S1230では、サーバ装置30は、積雪があった日時、融雪があった日時、及び計測値管理テーブル1122の内容に基づき積雪量を算出して記憶する。その後、処理はS1221に戻る。
【0085】
尚、S1212で消費電力の抑制が解除された場合には、必要とされる精度を得るための計測値のサンプリングが行われた後、自動的に又は手動によりセンサノード10において消費電力の抑制が再開される。
【0086】
以上に説明したように、本実施形態の地盤変位観測システム1にあっては、センサノード10からゲートウェイ装置20に送信される無線信号の受信電界強度が、センサノード10のアンテナ13が積雪によって埋雪されることにより変化することを利用して融雪の有無を判断するので、簡素な仕組みにて融雪があったことを確実に検知することができる。そのため、消費電力を抑えつつ、簡素な構成にて融雪に起因する地盤変位を予兆の段階から高精度で検知することができる。
【0087】
また融雪を検知した場合、地盤変位観測システム1は、平時等における消費電力の抑制を解除して計測値の単位時間あたりのサンプリング数を増加させるので、融雪開始時等の地盤変位が発生しやすい時機を狙って所定期間だけ計測値の単位時間当たりのサンプリング数を増大させることができる。このため、平時は電力消費を抑えつつ、必要な時機には精度を高めて効率よく地盤変位観測システム1を機能させることができる。
【0088】
尚、積雪や融雪を検知する方法としては、積雪計を用いることも考えられるが、積雪計はポール上に設けた測定部と雪面との間の距離を測る原理により積雪の深さを求める一種の距離計であり、雪面に向けて照射したレーザー光や超音波が雪面に反射して戻ってくるまでの時間を計る仕組みであるまえ、設置場所の安定性や強風の有無に注意が必要であり、機器の導入やメンテナンスに費用がかかる。これに対し、本実施形態の地盤変位観測システム1は、既存のシステムに対して電界強度計の設置とソフトウェアの変更を行うだけで実施することが可能であり、積雪計を用いた場合に比べて簡素かつ安価な構成にて、積雪や融雪の検知や積雪量を取得する仕組みを実現することができる。
【0089】
ところで、以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0090】
例えば、ゲートウェイ装置20とサーバ装置30を共通のハードウェアとしてもよい(ゲートウェイ装置20とサーバ装置30の双方の機能を兼ね備えた装置を構成する)。