(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471031
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】位相フィルタ、撮像光学系、及び撮像システム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20190204BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20190204BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20190204BHJP
G03B 11/00 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
G02B5/00 Z
H04N5/225
H04N5/232
G03B11/00
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-83500(P2015-83500)
(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公開番号】特開2016-206233(P2016-206233A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】317015179
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島野 健
(72)【発明者】
【氏名】太田 光彦
(72)【発明者】
【氏名】崎田 康一
【審査官】
樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−325269(JP,A)
【文献】
特開2010−085487(JP,A)
【文献】
特開2011−150635(JP,A)
【文献】
特表2011−518341(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0122180(US,A1)
【文献】
特開平07−325258(JP,A)
【文献】
特開2014−197115(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/015944(WO,A1)
【文献】
特開2009−088829(JP,A)
【文献】
特開2007−323480(JP,A)
【文献】
Jiangfei Hu et al.,Comparative study of wavefront coding imaging with rotational and non-rotational symmetric phase masks,PROCEEDINGS OF SPIE,2013年,8911,89110Z-1 - 89110Z-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00− 5/136
G02B 9/00−17/08
21/02−21/04
25/00−25/04
G03B11/00−11/06
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材料から成り、光軸を有する位相フィルタであって、
前記位相フィルタの表面は、前記光軸の周りに連続的に形成されるn個(但し、nは2以上の自然数)の傾斜面と、隣り合う前記傾斜面の境界に形成される段差とを有する曲面で構成され、
前記光軸に平行に入射する光束の光線を、前記曲面を介して前記光軸に対する周方向に偏向屈折させるようにし、
前記光軸に平行に入射する光線の前記周方向への偏向角は、前記入射する光線の前記光軸からの半径方向における距離が離れるほど大きいことを特徴とする位相フィルタ。
【請求項2】
透明材料から成り、光軸を有する位相フィルタであって、
前記位相フィルタの表面は、前記光軸の周りに連続的に形成されるn個(但し、nは2以上の自然数)の傾斜面と、隣り合う前記傾斜面の境界に形成される段差とを有する曲面で構成され、
前記光軸に平行に入射する光束の光線を、前記曲面を介して前記光軸に対する周方向に偏向屈折させるようにし、
前記各傾斜面の、前記光軸に垂直な面に対する前記周方向への傾斜角の絶対値は、前記光軸から半径方向に距離が離れるほど大きいことを特徴とする位相フィルタ。
【請求項3】
透明材料から成り、光軸を有する位相フィルタであって、
前記位相フィルタの表面は、前記光軸の周りに連続的に形成されるn個(但し、nは2以上の自然数)の傾斜面と、隣り合う前記傾斜面の境界に形成される段差とを有する曲面で構成され、
前記光軸に平行に入射する光束の光線を、前記曲面を介して前記光軸に対する周方向に偏向屈折させるようにし、
前記各傾斜面の、前記光軸に垂直な面に対する半径方向への傾斜角は、前記光軸からの半径方向における距離が離れるほど大きいことを特徴とする位相フィルタ。
【請求項4】
透明材料から成り、光軸を有する位相フィルタであって、
前記位相フィルタの表面は、前記光軸の周りに連続的に形成されるn個(但し、nは2以上の自然数)の傾斜面と、隣り合う前記傾斜面の境界に形成される段差とを有する曲面で構成され、
前記光軸に平行に入射する光束の光線を、前記曲面を介して前記光軸に対する周方向に偏向屈折させるようにし、
前記各傾斜面の、前記光軸に対する半径方向に沿った面形状は、入射光線の前記光軸からの距離の3乗に比例する凹凸量を有することを特徴とする位相フィルタ。
【請求項5】
前記曲面は、前記光軸の周りにn回の回転対称となる形状であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相フィルタ。
【請求項6】
前記各傾斜面の、前記光軸に垂直な面に対する前記周方向への傾斜角は、前記光軸に対する半径方向の同一位置において前記周方向の位置によらず一定であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相フィルタ。
【請求項7】
前記各段差の高さは、前記光軸に対する半径方向への距離が離れるほど大きいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相フィルタ。
【請求項8】
前記曲面は、前記光軸に平行に入射する光束の光線の全てを、集光レンズによって集光された焦点面上においても互いにねじれて近接しながら交わらずにぼけた状態となるように偏向屈折させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相フィルタ。
【請求項9】
前記光軸近傍に、前記光軸に沿って突出し、先端が平面で構成される凸部が設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相フィルタ。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相フィルタと、複数の屈折面で構成される結像レンズと、絞りと、イメージセンサとによって少なくとも構成される撮像光学系。
【請求項11】
前記位相フィルタの前記曲面は、前記結像レンズのどの屈折面よりも前記絞りからの距離が遠くない位置に配置されることを特徴とする請求項10に記載の撮像光学系。
【請求項12】
前記位相フィルタの前記曲面が、前記結像レンズの屈折面上に一体となって付加されていることを特徴とする請求項10に記載の撮像光学系。
【請求項13】
請求項10に記載の撮像光学系と、前記イメージセンサからの画像信号出力に対して、前記撮像光学系による点像のぼけを除去して再生画像上の輝点として再生する画像処理回路が一体として構成される撮像システム。
【請求項14】
前記画像信号出力は、時系列な動画像信号であることを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項15】
前記画像処理回路には、前記時系列な動画像信号のある時刻の画像フレームに対し、少なくとも直前の画像フレームとの平均化処理機能を有することを特徴とする請求項14に記載の撮像システム。
【請求項16】
前記平均化処理機能は、前記点像のぼけを除去する処理の前に行うことを特徴とする請求項15に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相フィルタ、撮像光学系、及び撮像システムに関するものであり、具体的には、WFCの画像処理後の焦点深度拡大画像において、ノイズを低減する技術、及び再生像の位置ずれを解消する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像カメラ光学系の瞳面において、瞳面内座標に対して3次関数で与えられる位相分布を与えることによって焦点ずれに対する点像のぼけを均一化し、均一なぼけをデコンボリューションと称される画像処理によって除去して光学系の被写界深度や焦点深度を拡大するWavefront Coding(以下WFCと略す)と呼ばれる技術が提案されている。
【0003】
こうしたWFCに関する従来技術として、例えば、撮像カメラの光学系に3次位相関数を実現した位相フィルタによって、瞳関数を位相変調し、撮像された画像に対して画像処理を施すことによって光学系の焦点深度を拡大する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、光学的伝達関数(OTF)を変調させる位相フィルタとして、光軸に直交する座標系をx、y座標とするとき、それらの任意のべき乗の積で表される関数の級数によって3次関数を一般化した形の位相分布を与え、撮像された画像に対して画像処理を施すことによって光学系の焦点深度を拡大する技術も提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、輪帯構造を備え、各輪帯が略放物断面形状から成る位相フィルタを用いることにより、光軸方向のスポット形状を一様にして、一様な画像処理を施すことによって焦点深度を拡大する技術が提案されている(特許文献3参照)。さらに、位相分布に螺旋状の分布を用いる技術が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5748371号明細書
【特許文献2】特開2011−120309号公報
【特許文献3】特開2014−197115号公報
【特許文献4】国際公開第2015/004881号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2においては、瞳面内に定義される互いに直交するx軸とy軸に対して、式(1)で与えられる波面収差を与える位相フィルタを撮像光学系の絞り位置に挿入する。
【数1】
ここでαは3次関数係数であり、このような位相フィルタはCPM(Cubic Phase Mask)と呼ばれている。
【0008】
これに対して収差係数βの焦点ずれの波面収差が加わると、式(1)は式(2)のように変形できる。
【数2】
式(2)に示すように、焦点ずれβは第1項の瞳面内の位置ずれと、第2項の波面の傾きに分解される。第1項は像面の強度分布に影響せず、みかけ上、焦点ずれの波面収差によって波面形状が変化せず、点像のぼけが焦点ずれに対して不感となる根拠となっている。しかし、第2項は焦点面内で焦点ずれ量の2乗に比例した点像の位置ずれを生じるので、画像認識などの用途で用いる上では問題となる。これが本発明の解決すべき第1の課題である。
【0009】
一方、特許文献3では、軸対称な位相フィルタを用いるため、このようなスポット位置ずれの問題が生じないが、以下に述べるもう1つの問題点については特許文献1、2と同様の課題が残る。
【0010】
もう1つの問題点について説明すると、点像の強度分布である点像分布関数PSF(Point Spread Function)は、レンズによるフーリエ変換作用により、式(3)で与えられる。
【数3】
ここで、Fは2次元フーリエ変換演算を示す。
【0011】
これを用いて光強度分布A(x,y)を発する物体のぼけた像B(x,y)は、AとPSFの重なり積分により、式(4)で与えられる。
【数4】
ここで*は重なり積分演算を示す。
【0012】
これらの両辺をフーリエ変換することにより、重なり積分がフーリエ変換の積に変換され、式(5)のように表される。
【数5】
【0013】
このことから、PSFが焦点ずれによらず一様であれば、焦点ずれがあっても式(6)のような画像処理演算によりピントの合った像を求めることができる。
【数6】
この処理はデコンボリューションと呼ばれる。
【0014】
またここで、PSFのフーリエ変換は光学的伝達関数OTF(Optical Transfer Function)と呼ばれ、この光学的伝達関数OTFは、物体が発する光強度分布のx方向の空間周波数u、y方向の空間周波数vの関数として、式(7)のように表される。
【数7】
【0015】
ここで、式(3)によって与えられる点像は、焦点深度拡大効果を得る収差量において比較的大きく、それに伴い、式(7)で与えられるOTFは高い空間周波数成分ほど小さな値となる。式(6)から分かるように、再生画像を得るための画像処理は、この値の小さいOTFで除算することから、大きな増幅ゲインで高周波成分を増幅する周波数フィルタリング処理となっている。
【0016】
一般に、撮像カメラのセンサでは熱雑音などの電気的なノイズが生じ、検出される画像信号にそれが無相関に混在している。そのようなノイズの混在した検出画像に対して式(6)による大きな増幅ゲインの周波数フィルタリング処理を行うと、ピントの合った画像信号に対して、大きく増幅されたノイズが混在することになり、画質の劣化の原因となる。これが画像の性能指標で評価したときの実効的な焦点深度拡大効果を縮減させていた。すなわちノイズ増大を抑えることが、本発明の解決すべき第2の課題である。
【0017】
また、特許文献4では、位相フィルタに螺旋状の波面形状を与えることで、集光スポットを光軸方向に均一にぼかすことを狙っている。しかし、光軸を中心としたある半径位置における周方向への位相面の傾きが一様でないため、光線の傾きも一様でなく、集光スポットの周方向の一様性がくずれ、それが焦点ずれに対するスポットの一様性も悪化させるという問題点がある。この問題点を解決することが、本発明の第3の課題である。
【0018】
このように、本発明は、上記した各課題を解決するためになされたものであり、その目的は、再生像の位置ずれを防ぎ、ノイズ増大を抑え、かつ、焦点方向へのスポット分布の一様性に優れた焦点深度拡大像を実現する位相フィルタ、撮像光学系、及び撮像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の位相フィルタは、透明材料から成り、光軸を有する位相フィルタであって、前記位相フィルタの表面は、前記光軸の周りに連続的に形成されるn個(但し、nは2以上の自然数)の傾斜面と、隣り合う前記傾斜面の境界に形成される段差とを有する曲面で構成され、前記光軸に平行に入射する光束の光線を、前記曲面を介して前記光軸に対する周方向に偏向屈折させるようにしたことを特徴とする。
【0020】
また、代表的な本発明の撮像光学系は、上記した位相フィルタと、複数の屈折面で構成される結像レンズ系と、絞りと、イメージセンサとによって少なくとも構成される。さらに代表的な本発明の撮像システムは、上記した撮像光学系と、前記イメージセンサからの画像信号出力に対して、前記撮像光学系による点像のぼけを除去して再生画像上の輝点として再生する画像処理回路が一体として構成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、再生像の位置ずれを防ぎ、ノイズ増大を抑え、かつ、焦点方向へのスポット分布の一様性に優れた焦点深度拡大像を得ることができ、車載カメラや監視カメラや検査装置カメラやスマートフォンのカメラなどにおいて、信頼性を維持して奥行き方向の視野範囲を広げ、初期調整のピント調整精度を緩和させることができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の位相フィルタによる基本的な光線の偏向屈折作用を説明する図である。
【
図2】
図1に示す光線の仮想平面Bへの射影図である。
【
図3】n=4の場合の本発明の位相フィルタによる波面収差の概略図である。
【
図4】本発明の位相フィルタの一実施形態を説明するための詳細図である。
【
図5】ノイズのない条件での実施例1の各種位相フィルタによるPSNRのシミュレーション結果を示す図である。
【
図6】ノイズのある条件での実施例1の各種位相フィルタによるPSNRのシミュレーション結果を示す図である。
【
図7】本発明の位相フィルタの位相分布の半径依存性によるPSNR比較シミュレーション結果を示す図である。
【
図8】本発明の位相フィルタのOTFのシミュレーション結果である。
【
図9】本発明の位相フィルタと比較するためのCPMのOTFシミュレーション結果である。
【
図10】本発明の位相フィルタによる波面収差、点像、検出画像、再生画像の焦点ずれ依存性の一覧図である。
【
図11】本発明の位相フィルタを用いない通常光学系での波面収差、点像、検出画像の焦点ずれ依存性の一覧図である。
【
図12】CPMとねじれ位相フィルタとの再生画像の位置ずれ量計算結果である。
【
図13】実施例1の位相フィルタの波面収差形状を示す図である。
【
図14】
図13の位相フィルタの半径方向の位相プロファイルを示す図である。
【
図15】
図13の位相フィルタの周方向の位相プロファイルを示す図である。
【
図16】本発明の実施例2に係る位相フィルタの波面収差を示す図である。
【
図17】通常光学系の検出画像、本発明の実施例3に係る光学系において位相フィルタを用いた場合の検出画像、及び再生画像の焦点ずれ依存性の一覧図である。
【
図18】本発明の実施例4に係る撮像光学系及び撮像システムを示す図である。
【
図19】本発明の実施例5において、位相フィルタをレンズ屈折面に一体にした構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面等を用いて、本発明の一実施形態及び各種実施例について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る位相フィルタ101による基本的な光線の偏向屈折作用を説明する図である。
図1(a)は比較対象のための通常レンズによる集光作用を示す図であり、レンズ102に入射する光線104が焦点105に向けて集光されている。焦点105から光軸方向前後の等しい距離にある仮想平面Aから焦点105を経て仮想平面Bに至る光束の最外縁の光線を右に斜視図で示している。光線に収差がなく、焦点105からの距離が等しいので、仮想平面Aの12時の位置を通る光線は仮想平面Bの6時の位置に到達し、以下同様に、3時は9時に、6時は12時に、9時は3時に到達する。
【0025】
図1(b)では本発明の実施形態に係る位相フィルタ101によりレンズ103に入射する光線106はわずかに屈折され、
図1(a)とは異なる光路となる。右の斜視図において、仮想平面Aの12時の位置を通る光線は、仮想平面Bにおいて6時でなく5時近傍の位置に到達している。以下同様に3時は8時、6時は11時、9時は2時に到達している。
【0026】
このように位相フィルタ101は、光線を光軸10に対してねじるように屈折させる。これを本明細書では以下「偏向屈折」させる、と称している。このように光線10を偏向屈折させることで通常光学系での焦点105は最小錯乱円107のようにぼけ、光軸方向にねじれながらゆるやかにビーム径が広がるような集光光束となる。これによってスポット強度分布を均一化させる。以下、便宜上、このように形成される光スポットをねじれスポット、ねじれスポットを生成する位相フィルタをねじれ位相フィルタと称することとする。このようなスポットを構成する光線は互いに近接しながら交わらずに集光している。
【0027】
図2は、
図1(b)の仮想平面Aから仮想平面Bへの光線を仮想平面Bに射影し、これを仮想平面B側から見た光線の射影図である。
図2において、仮想平面Aの光線開始点には小円をつけて示している。このうち、仮想平面Aの12時の位置を出発し、仮想平面Bの5時位置に到達する光線の焦点位置近傍部分を右側に拡大して示している。この光線の仮想平面Bへの射影は、12時と5時を結ぶ弦となり12時位置を通る直径となす角をねじれ角γとする。5時と6時を結ぶ弦の長さをwとすれば、
図2の右側の拡大図に示すように、中心Oから12時と5時を結ぶ弦に下ろした垂線の長さはw/2となり、wが最小錯乱円107の直径に対応することがわかる。
【0028】
また、垂線と3時を通る直径とのなす角はねじれ角γに等しい。図示しているのは光束の最外縁の光線であるが、任意の半径位置の光線の焦点面上の到達位置は、たとえば仮想平面Aの最外縁の半径に対する当該半径の比でw/2から小さくなると考えることができる。ここで、焦点面上で最外縁の光線位置がw/2だけ光軸からずれているということは、レンズ103の焦点距離をfとすれば、当該最外縁光線は光軸10から弧度でw/2fだけ傾いており、波面も同じだけ傾いていることを意味している。
【0029】
wがレンズ103の有効半径Rに対して十分小さいとすれば、レンズ瞳面上の任意の半径位置rの波面傾きの方向は瞳面の周方向であり、瞳面内の座標を極座標(r、φ)として、式(8)のように表せる。
【数8】
ここで、W(r,φ)は波面収差分布である。
【0030】
これより、ねじれスポットを形成する波面収差が、たとえば式(9)のように表せる。
【数9】
これは動径角φに対して1次関数的に大きく、半径方向に対して2次関数的に大きくなる関数であるため、たとえばC=0、φ=0〜2πで定義したとき、φ=0で段差のあるらせん状の形状となる。
【0031】
このままだと対称性が悪く、画角特性が劣化する可能性が高いので、動径角をn分割し、式(10)のように表す。
【数10】
【0032】
式(10)は、rは瞳半径Rで規格化した規格化瞳半径ρと、開口数NA=R/fを用いれば、式(11)のように表すことができる。
【数11】
【0033】
さらにこのとき、最外周の段差の光路差hは、式(12)となる。
【数12】
【0034】
式(12)を用いれば、式(11)は式(13)のように表すこともできる。
【数13】
【0035】
たとえばn=4のとき、この波面収差分布は
図3のようになる。波面収差は位相フィルタの凹凸量dに対して屈折率をNとするとき(N−1)dで生じる光路差と等価であるので、位相フィルタの面形状もほぼこの形状を忠実に反映した形状となる。
図4に本発明の一実施形態に係る位相フィルタ101の形状を示す。
図4(a)は、本発明の一実施形態に係る位相フィルタ101を斜め上方から見た斜視図、
図4(b)は、位相フィルタ101の上面図である。
図4に示すように、位相フィルタ101は、透明材料から成り、光線を偏向屈折させるための4つの傾斜面20が、光軸10の周りに連続的に形成され、隣り合う傾斜面20の境界に段差30が形成された曲面を有する略円盤状(平板状)の構造となっている。すなわち、位相フィルタ101は、4つの傾斜面20(20a〜20d)と4つの段差30(30a〜30d)を有している。傾斜面20は、
図4の上方から見て光軸10の時計回りの方向であるT方向に向かって下り傾斜するよう構成される。
【0036】
さらに詳しく形状を説明すると、本実施形態に係る位相フィルタ101は、段差30と段差30とに挟まれた領域の対称性から、光軸10の周りに1/n回転ずつ、n回回転ごとに元の形状と重なるn回回転同一対称性を有している。すなわち、位相フィルタ101は、光軸10の周りにn回(但し、nは2以上の自然数)の回転対称となる構造である。
図4に示す実施形態では、傾斜面20a,20b,20c,20dは全て平面視で1/4円形状を成しており、位相フィルタ101を1/4回転させると自ら重なり、1回転させる間に4回重なる性質(4回対称)である。
【0037】
また、本実施形態に係る位相フィルタ101は、上記式に示すように、周方向への傾斜角が半径に比例して大きくなっている。また特定の動径角に着目すれば、半径方向への傾斜角は光軸10からの距離に比例して正または負の方向に大きくなっている。また、段差30も光軸10からの距離が離れるほど大きくなっている。すなわち、段差30の高さは、位相フィルタ101が光軸10と交わる中心点Oから半径方向の外方に向かうに連れて、高くなるように形成されている。なお、
図4に示す位相フィルタ101は、n=4のときの構成であるが、実際には以下の各種実施例で説明している通り、例えば、n=50の構成などが用いられる。
【実施例1】
【0039】
焦点距離50mm、有効径15.625mm、Fナンバー3.2、センササイズ15mm角(以下、□と記す)、画素数1024×1024、中心波長500nmの光学系に本発明を適用する例について述べる。波長は中心波長前後の400nmと600nmについても計算し、これらの平均値の像を計算結果とする。サンプル画像は512×512画素、256階調のLenaと呼ばれる一般的な女性の顔のテスト画像を、1024×1024のエリアの中心におき、他の領域は輝度0の値で埋めたものである。
【0040】
再生像の評価は、式(14)で定義されるPSNR(Peak Signal to Noise Ratio)と呼ばれる評価指標で行う。
【数14】
ここで、f’(x,y)、f(x,y)はそれぞれ再生画像及び元画像の画素(x,y)における輝度である。Max Valueは最大輝度であり、本実施例では255である。X,Yは画素数であり、本実施例では中心のLena画像についてのみ評価したのでともに512である。この指標は再生画像が元の画像に近いほど分母が小さくなって大きな評価値となる。単位はdBである。
【0041】
図5に、まずノイズのない条件での、上記条件におけるPSNRのシミュレーション結果を示す。グラフ横軸はセンサ面と焦点とのデフォーカス量である。「通常」のカーブは位相フィルタを用いず、センサ上に結像される像のPSNR値、「CPM(α20)」及び「CPM(α60)」は中心波長をλとして式(1)のα値がそれぞれ20λ、60λの場合である。ただしCPMは開口が矩形である必要があるため、12mm□の矩形の開口絞りが付加されている。
【0042】
「輪帯」は等幅等深さの放物断面溝の輪帯位相フィルタの場合であり、放物断面の位相深さが2.5λであり、さらに内側から外側に向けてn番目の輪帯境界に5nλの位相段差が付加された輪帯位相フィルタである。
【0043】
「ねじれ」は本発明のねじれフィルタの実施例であり、周方向分割数50分割、最外周における分割境界の位相段差が18λとした場合の計算値である。Defocus=0の焦点位置においてはいずれもPSNRは45dB以上に達しているがDefocusが大きくなるにつれて減少している。仮に許容値を35dBと仮定すれば、通常条件の焦点深度は約0.3mm、CPMはα=60λで約1.0mm、α=20λで約0.6mm、輪帯フィルタとねじれフィルタは共に約0.8mmとなっており、CPMが最も焦点深度拡大効果があるように見える。しかしノイズがあると状況が変化する。
【0044】
図6はノイズが最大輝度に対して標準偏差で0.12%の正規分布ノイズがある場合のPSNRの計算結果である。ただしCPMは矩形開口の開口面積比で相対的に円形開口よりノイズが増大している。α=20λの場合はDefocus=0の焦点位置でピークが約10dB低下し、35dB以上の焦点深度は0.4mm程度に減少している。α=60λの場合はもはやピークでも30dB以下に低下している。これらはデコンボリューションにおける増幅ゲインが大きく、ランダムノイズが増幅された結果によりPSNRを劣化させたためと考えられる。実はα=20λの条件はいくつかαを探索した結果、このノイズ条件において35dB以上の焦点深度を最も広くする条件である。「輪帯」及び「ねじれ」についても同様であるが、輪帯フィルタはピークでα=20のCPMを少し上回るものの、焦点深度はほぼ同等に過ぎない。
【0045】
一方、ねじれフィルタはピークでCPMを約5dB上回り、焦点深度も約0.7mmとCPMの2倍近く広くなっている。一方、「ねじれ(CPM等価)」と表示しているカーブはPSNR35dB以上の焦点深度がCPMとほぼ等しい場合のねじれフィルタであり、分割数40分割、最外周位相段差5λの条件である。同じ焦点深度であれば焦点位置におけるPSNRはCPMより10dB以上高くなることがわかる。
【0046】
このようにノイズがある場合に、本発明のねじれスポットを生成するねじれ位相フィルタは顕著な焦点深度拡大効果と高S/N化が期待できるが、実は先の式(13)の説明と異なり
図6のねじれスポットの計算結果は半径方向の位相プロファイルが半径の2乗に比例する関数ではなく、3乗に比例する関数となっている。すなわち、式(15)の関数で与えられる波面収差分布であった。
【数15】
【0047】
式(13)の導出において、焦点位置の光線分布を瞳面での分布と相似回転形に配置させることを意図していたが、スポット強度分布は必ずしも光線分布通りになるとは限らず、波動光学的な回折作用によって光軸方向の強度分布の一様性が影響を受ける可能性は大いにありえる。そこで
図7に、半径方向依存性について2乗、3乗、4乗の場合、それぞれについて35dB以上の焦点深度を最大化する条件を探索した結果を示す。ここで2乗の場合は、段差2λ、分割数100、3乗の場合は先に示した通り、4乗の場合は、段差30λ、50分割である。このように焦点深度は3乗の場合が最も広い結果となった。4乗の場合もほぼ同等の焦点深度であり、焦点位置におけるPSNRが3乗の場合よりも3dB程度高いので、条件によっては適用できる場合もありえる。しかし段差が30λと大きいため、製造が難しくなる可能性もある。2乗の場合もCPMや輪帯と同程度の焦点深度であり、焦点位置のPSNRは高い。
【0048】
図13に
図7の3乗の位相分布の場合の位相分布の計算結果の鳥瞰図を示す。垂直方向の軸は位相差であるため、面内の空間座標の軸より拡大して表示されているので、実際の位相フィルタの形状の凹凸としてはほとんど目視できるかどうかという程度となる。また
図14には
図13の半径方向の断面の位相分布を示す。凡例の値は動径角であり、動径角0の近傍の段差間の1周期を10分割した11点の角度値である。半径方向にはいずれの動径角でも半径に対して3次関数的に位相が変化しており、動径角方向によってその位相値が正から負まで相似的に変化している。
図15は周方向の断面であり、動径角0°近傍の2周期の領域を示している。凡例は規格化半径値である。ある半径位置では傾きが一定であり、その傾きが半径位置によって変化していることがわかる。また段差位置が半径位置によって変化していないことから、段差が半径に沿っていることがわかる。
【0049】
高PSNR化の効果を確認するために、
図8にねじれスポットのOTFの計算結果を示す。上はシミュレーションの過程で得られた焦点ずれ0における1024×1024のOTF画像であり、一辺が0.235NA/λの空間周波数幅となっている。下はその断面プロファイルをx、y軸に沿って表示したものであり、横軸は画素数である。表示面内における値の積分値は318.45であった。
図9は比較のために示したα=20λのCPMにおける同様のOTFである。空間周波数表示エリアは
図8と同等であり、プロファイルはx、y軸に沿った方向の分布であるため、
図8よりも大きく見えるが、画像からわかるように対角方向で値が小さくなるため、積分値は281.82と
図8のねじれスポットのOTFより小さくなっている。このため、これらの逆数によって与えられるデコンボリューションフィルタの増幅ゲインが大きくなり、ノイズが増幅されてCPMではPSNRを劣化しているものと考えられる。
【0050】
図10は本実施例における本発明のねじれスポットによるデフォーカス量(焦点ずれ)−0.4mm、−0.2mm、0、0.2mm、0.4mmでの波面収差、点像、検出画像、再生画像である。波面収差は収差のある単色光の波面に、同じ波長の垂直入射無収差平面波を重ねたときに生じる干渉縞で表示している。点像はセンサ面上の0.938mm□範囲の256階調の強度分布を輝度1以上の微弱強度も視認できるように明るさを強調して表示している。検出画像はテスト画像をセンサ面上に結像した像の中央の像を示しており、再生画像はデコンボリューション画像処理後の画像である。これらの画像の元画像とのPSNRは
図6の「ねじれ」、
図7の「3乗」のカーブの値に対応する。点像は±0.4mmで急に周辺部に大きなスポット像が出現しているように見えるが、これは強調表示によるもので、元の明るさレベルでは焦点ずれによる変化はあまり見られない。それに伴い、検出画像のぼけも焦点ずれによらず変化が少なくなっている。デコンボリューション処理後はいずれの焦点ずれ量でも鮮明な像が再生されている。
【0051】
図11は同様にして、本実施例における位相フィルタを用いることなく通常通りに検出する場合の、焦点ずれによる波面収差、点像、検出画像である。検出画像は印刷の状態によってはぼけが視認できないかもしれないが、PSNR値は
図6、
図7の「通常」のカーブ値に対応している。
【0052】
図12はCPMとねじれ位相フィルタにおける再生像の位置ずれの計算結果である。再生像に位置ずれがあると、PSNRの計算のときにそのままの位置で式(14)の計算をするよりも、当該位置ずれをさせた上で演算した方が、PSNRの値が大きくなる。その位置ずれ量を計算したものである。横軸はデフォーカス量、縦軸は位置ずれを画素サイズを単位として表示している。このようにCPMでは大きく発生していた画像の位置ずれがねじれスポットでは原理的にほぼゼロにできる。Defocus±0.6でわずかに発生しているDefocusは、1024×1024のエリアの中心の512×512のエリアにおいてのみPSNRを計算するときに、ぼけがあると中心画像から周辺エリアへの輝度値のにじみが生じ、それが画像の輝度分布によって必ずしも対称にならないので、もとの画像とのPSNRが少しずれた位置で大きくなるためと推定される。
【0053】
したがって、今回の評価手法の位置ずれ量は、ぼけが大きい状態ではこの程度の誤差を持つ可能性がある。しかし実際上、CPMの再生画像は大きい位置ずれの画像でも比較的鮮明であるので、CPMに対してはぼけの非対称性の影響というより、本質的な画像の位置ずれとして評価できるものと考える。特性曲線の形としても式(2)から画像の位置ずれに影響するx、yの1次の成分の係数が焦点ずれの係数βの2乗に比例していることから、それが
図12のCPMのカーブがほぼ放物線となっていることに対応していると考える。
【実施例2】
【0054】
図13に示した位相フィルタを実際に金型成形により加工する場合、形状が回転対称でないため、金型の加工には旋盤加工を用いることができない。しかも光学部品であるため、鏡面加工が必要であり、段差があるため磨きもできないので、ある程度の切削速度で切削工具を当てる必要がある。そのため位相フィルタの径の外から工具を進入させるようにすると、位相フィルタの中央部で工具を逃がす必要がある。
【0055】
そこで金型の中央部に凹部を設けて工具を光学面から退避させるようにするのが望ましい。金型で凹部があるようにするためには、位相フィルタとしては中央部に凸部があるのが望ましい。そこで
図16に示すように中央部に凸の位相段差(凸部)40を設けた。ここで段差は10λの波面収差量で与えている。元々、式(15)で与えられる形状では隣接する扇形領域の境界の段差が中央部ほど小さくなるが、その波面収差量が数λ以下になると、段差の両側に入射する光の間で干渉が起き、光線の屈折が幾何光学的な屈折方向とずれて、本発明で期待する効果が低減するおそれがある。そこで、あえて中央部の位相段差40の先端(端面)を平面にすることで、この影響も排除することができる。このような位相フィルタにおいてシミュレーションを行った結果、PSNR値はわずかながら増大し、悪影響はないことを確認した。
【実施例3】
【0056】
次に、スマートフォンやウエアラブルデバイスなどのカメラを想定し、少し小さいサイズの光学系条件でのシミュレーション結果を示す。ここでは焦点距離4mm、有効径2mm、センササイズ2mm□、画素数1024×1024、とした。レンズとセンサとの間隔は固定であることを想定し、ピント中心を物体距離400mmに固定した。このときレンズとセンサの間隔は4.04mmである。この条件において、物体を10m、1m、40cm、20cmにおいたときの撮影画像を評価した。このときねじれフィルタの周方向分割数は50分割、最外周の位相段差を8λとした。ノイズは実施例1と同様に標準偏差で最大輝度比0.12%である。
【0057】
図17にシミュレーション結果画像を示す。左の列がねじれ位相フィルタのない状態での通常検出画像、中間の列がねじれ位相フィルタを通して検出された画像、右側の列が検出画像からデコンボリューションによって得られた再生画像である。画像中の数値はPSNR値である。35dBには達していないものの、すべての距離に対してほぼ解像できていることがわかる。
【実施例4】
【0058】
図18には本発明の撮像光学系及び撮像システムの例を示す。組みレンズ1301は第1レンズ1302、第2レンズ1303、絞り1304、ねじれ位相フィルタ1305、第3レンズ1306、第4レンズ1307によって構成され、それらを通して集光される光が、センサモジュール1308内のイメージセンサ1309に結像している。このうち、第3レンズ1306は貼り合わせレンズであり、色消しを兼ねている。また、ねじれ位相フィルタは絞り1304に近接して配置されている。さらにまた組みレンズ1301とセンサモジュール1308が一体として撮像光学系を構成している。なお、ねじれ位相フィルタ1305の構造としては、第1実施例〜第3実施例で用いた位相フィルタの何れも適用可能である。
【0059】
センサからの動画出力は画像処理回路1310によってリアルタイムにデコンボリューション演算が行われ、モニタディスプレイ1311に画像を表示する。画像処理回路の中では、デコンボリューション演算の前に、時々刻々の時系列フレーム画像の、連続する複数のフレーム間で平均化演算を行うことにより、ねじれ位相フィルタを用いても低減しきれないノイズを抑圧する。平均化演算をデコンボリューション演算の前に行うのは、ノイズが増幅されていない状態で平均化した方が効率的であるからである。またこの実施例は、たとえばスマートフォンやウエアラブルデバイスのようなサイズに実施する場合にも基本的な構成としては同じである。
【実施例5】
【0060】
図19にはねじれ位相フィルタ1405を、絞り1404に最も近接した光学面である、第2レンズ1403の出射面側に、形成した場合の実施例である。このようにすることにより、部品点数を削減することができる。なお、ねじれ位相フィルタ1405の構造としては、第1実施例〜第3実施例で用いた位相フィルタの何れも適用可能である。
【0061】
以上説明したように、上記した本発明の実施例に係る位相フィルタによれば、再生像の位置ずれを防ぎ、ノイズ増大を抑え、かつ、焦点方向へのスポット分布の一様性に優れた焦点深度拡大像を得ることができる。そして、かかる位相フィルタを用いることで、車載カメラや監視カメラや検査装置カメラやスマートフォンのカメラなどにおいて、信頼性を維持して奥行き方向の視野範囲を広げ、初期調整のピント調整精度を緩和させることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 光軸
20 傾斜面
30 段差
40 位相段差(凸部)
101 位相フィルタ
102、103 レンズ
104、106 入射光線
105 焦点
107 最小錯乱円
1301、1401 組みレンズ
1302、1402 第1レンズ
1303 第2レンズ
1304、1404 開口絞り
1305 ねじれ位相フィルタ
1306、1406 第3レンズ
1307、1407 第4レンズ
1308、1408 センサモジュール
1309、1409 イメージセンサ
1310 画像処理回路
1311 モニタディスプレイ
1403 ねじれ位相フィルタ一体レンズ
1405 レンズ一体型ねじれ位相フィルタ