(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御装置が、ヒートポンプ暖房試運転において、循環ポンプを駆動してヒートポンプに暖房用熱媒を循環させた状態で、暖房用熱媒の温度が安定するまで待機し、暖房用熱媒の温度が安定すると、ヒートポンプによる暖房用熱媒の加熱を開始するように構成されている、請求項1または2の暖房装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例)
図1は、本実施例の暖房装置が組み込まれた給湯暖房装置2を示している。給湯暖房装置2は、タンクユニット4と、HP(ヒートポンプ)ユニット6と、燃焼器ユニット8を備えている。
【0015】
HPユニット6は、HP(ヒートポンプ)装置50と、循環ポンプ22を備えている。HP装置50は、冷媒(例えばR410AといったHFC冷媒や、CO
2、イソブタン、プロパン等の自然冷媒など)を循環させるための冷媒循環路52と、空気熱交換器54と、ファン56と、圧縮機62と、給湯用熱交換器51と、給湯用膨張弁58と、暖房用熱交換器53と、暖房用膨張弁59を備えている。HP装置50では、空気熱交換器54が蒸発器を構成しており、給湯用熱交換器51と暖房用熱交換器53が凝縮器を構成している。なお、図示はしていないが、冷媒循環路52の各所には、冷媒の温度を検出するサーミスタが設けられている。
【0016】
空気熱交換器54は、ファン56によって送風された外気と冷媒循環路52内の冷媒との間で熱交換させる。空気熱交換器54には、給湯用膨張弁58および暖房用膨張弁59を通過後の低圧低温の液体状態にある冷媒が供給される。空気熱交換器54は、冷媒と外気とを熱交換させることによって、冷媒を加熱する。冷媒は、加熱されることにより気化し、低圧の気体状態となる。
【0017】
圧縮機62には、空気熱交換器54を通過後の冷媒が供給される。即ち、圧縮機62には、低圧の気体状態の冷媒が供給される。圧縮機62によって冷媒が圧縮されることにより、冷媒は高温高圧の気体状態となる。圧縮機62は、圧縮後の高温高圧の気体状態の冷媒を、給湯用熱交換器51と暖房用熱交換器53に送り出す。圧縮機62から送り出された冷媒は、分岐して給湯用熱交換器51と暖房用熱交換器53にそれぞれ流入する。
【0018】
給湯用熱交換器51には、圧縮機62から送り出された高温高圧の気体状態の冷媒が供給される。給湯用熱交換器51は、冷媒循環路52内の冷媒と、後述の給湯用水循環路20内の水(以下では給湯用水ともいう)との間で熱交換を行う。給湯用熱交換器51を通過した冷媒は、給湯用膨張弁58へ送られる。給湯用膨張弁58には、給湯用熱交換器51を通過後の比較的低温で高圧の液体状態の冷媒が供給される。冷媒は、給湯用膨張弁58を通過することによって減圧され、低温低圧の液体状態となる。給湯用膨張弁58を通過した冷媒は、暖房用膨張弁59を通過した冷媒と合流して、空気熱交換器54に送られる。
【0019】
暖房用熱交換器53には、圧縮機62から送り出された高温高圧の気体状態の冷媒が供給される。暖房用熱交換器53は、冷媒循環路52内の冷媒と、後述の第2暖房加熱路84からの水(以下では暖房用水ともいう)との間で熱交換を行う。暖房用熱交換器53を通過した冷媒は、暖房用膨張弁59へ送られる。暖房用膨張弁59には、暖房用熱交換器53を通過後の比較的低温で高圧の液体状態の冷媒が供給される。冷媒は、暖房用膨張弁59を通過することによって減圧され、低温低圧の液体状態となる。暖房用膨張弁59を通過した冷媒は、給湯用膨張弁58を通過した冷媒と合流して、空気熱交換器54に送られる。
【0020】
HP装置50において、圧縮機62を作動させると、冷媒循環路52内の冷媒は、圧縮機62、給湯用熱交換器51、給湯用膨張弁58、空気熱交換器54の順に循環するとともに、圧縮機62、暖房用熱交換器53、暖房用膨張弁59、空気熱交換器54の順に循環する。この場合、HP装置50は、空気熱交換器54において自然環境である外気から吸熱して、給湯用熱交換器51において給湯用水循環路20内の給湯用水を加熱し、かつ暖房用熱交換器53において第2暖房加熱路84内の暖房用水を加熱する。なお、HP装置50において、給湯用膨張弁58を全閉として圧縮機62を作動させると、冷媒は、圧縮機62、暖房用熱交換器53、暖房用膨張弁59、空気熱交換器54の順に循環する。この場合、HP装置50は、空気熱交換器54において自然環境である外気から吸熱して、暖房用熱交換器53において第2暖房加熱路84内の暖房用水を加熱する。また、HP装置50において、暖房用膨張弁59を全閉として圧縮機62を作動させると、冷媒は、圧縮機62、給湯用熱交換器51、給湯用膨張弁58、空気熱交換器54の順に循環する。この場合、HP装置50は、空気熱交換器54において自然環境である外気から吸熱して、給湯用熱交換器51において給湯用水循環路20内の給湯用水を加熱する。
【0021】
タンクユニット4は、タンク10を備えている。タンク10は、HP装置50によって加熱された給湯用水を貯える。本実施例の給湯用水は、水道水である。タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク10内には満水まで給湯用水が貯留される。
【0022】
給湯用水循環路20は、上流端がタンク10の下部に接続されており、HPユニット6の給湯用熱交換器51を通過して、下流端がタンク10の上部に接続されている。給湯用水循環路20には、HPユニット6の循環ポンプ22が介装されている。HPユニット6において、HP装置50を作動させて、循環ポンプ22を駆動すると、タンク10の下部の給湯用水が給湯用熱交換器51に送られて加熱され、加熱された給湯用水がタンク10の上部に戻される。タンク10の内部には、低温の給湯用水の層の上に高温の給湯用水の層が積み重なった温度成層が形成される。
【0023】
水道水導入路24には、給湯暖房装置2の外部の水道水供給源(図示せず)から水道水が供給される。水道水導入路24は、第1導入路24aと第2導入路24bに分岐している。第1導入路24aの下流端は、タンク10の下部に接続されている。第2導入路24bの下流端は、第1給湯路36の途中に接続されている。
【0024】
第1給湯路36は、上流端がタンク10の上部に接続されている。上述したように、第1給湯路36の途中には、水道水導入路24の第2導入路24bが接続されている。第1給湯路36と第2導入路24bの接続部には、混合弁30が介装されている。混合弁30は、タンク10の上部から第1給湯路36へ流入する高温の給湯用水の流量と、第2導入路24bから第1給湯路36へ流入する低温の水道水の流量の割合を調整する。第2導入路24bとの接続部より下流側の第1給湯路36は、燃焼器ユニット8の給湯加熱路37を通過して、第2給湯路39へ接続している。第1給湯路36と第2給湯路39の間は、燃焼器バイパス路33によって接続されている。燃焼器バイパス路33にはバイパス弁34が介装されている。第2給湯路39の下流端は給湯栓38に接続されている。
【0025】
燃焼器ユニット8は、シスターン70と、給湯用燃焼器81と、暖房用燃焼器82を備えている。シスターン70は、上部が開放されているタンクであり、内部に暖房用水を貯留している。本実施例の暖房用水は例えば水道水である。シスターン70には、低水位電極64と、高水位電極66が設けられている。低水位電極64は、シスターン70の水位が所定の第1水位に達するとONとなり、シスターン70の水位が第1水位に満たないとOFFとなる。高水位電極66は、シスターン70の水位が第1水位よりも高い所定の第2水位に達するとONとなり、シスターン70の水位が第2水位に満たないとOFFとなる。また、シスターン70には、給湯暖房装置2の外部の水道水供給源(図示せず)から、補水経路68を介して、水道水が供給される。補水経路68には、補水経路68を開閉する補水弁69が設けられている。
【0026】
シスターン70には、暖房往路72の上流端が接続されている。暖房往路72には、循環ポンプ74が介装されている。循環ポンプ74を駆動すると、シスターン70内の暖房用水が暖房往路72に流れ込む。
【0027】
暖房往路72の下流端は、第1暖房加熱路73と、低温暖房循環路75に分岐している。第1暖房加熱路73には、暖房用燃焼器82が介装されている。暖房用燃焼器82は、燃料ガスの燃焼によって第1暖房加熱路73内の暖房用水を加熱する。暖房用燃焼器82には、給湯暖房装置2の外部の燃料ガス供給源(図示せず)から燃料ガスが供給される。第1暖房加熱路73の下流端は、高温暖房循環路77と追い焚き循環路79に分岐している。高温暖房循環路77には、高温暖房端末76が取り付けられている。本実施例の高温暖房端末76は、例えばファンコンベクタである。高温暖房端末76は、供給される暖房用水の熱を利用して暖房する。高温暖房端末76は、高温暖房端末76に暖房用水が流れる経路を開閉する熱動弁(図示せず)と、供給される暖房用水の温度を検出するサーミスタ(図示せず)を備えている。高温暖房循環路77の下流端は、暖房復路96の上流端に接続している。暖房復路96の下流端は、シスターン70に接続している。なお、高温暖房循環路77の高温暖房端末76よりも上流側からは、暖房端末バイパス路71が分岐している。暖房端末バイパス路71は、暖房復路96に合流している。
【0028】
追い焚き循環路79には、追い焚き熱動弁83と、追い焚き熱交換器97が介装されている。追い焚き熱動弁83は、追い焚き循環路79を開閉する。追い焚き熱交換器97では、追い焚き循環路79を流れる暖房用水と、浴槽水循環路91を流れる浴槽水の間で熱交換が行われる。追い焚き循環路79の下流端は、暖房復路96に接続している。
【0029】
低温暖房循環路75には、低温暖房端末78a、78b、78cが取り付けられている。本実施例の低温暖房端末78a、78b、78cは、例えば床暖房端末である。低温暖房端末78a、78b、78cは、供給される暖房用水の熱を利用して暖房する。低温暖房端末78a、78b、78cのそれぞれは、その低温暖房端末78a、78b、78cに暖房用水が流れる経路を開閉する熱動弁(図示せず)と、供給される暖房用水の温度を検出するサーミスタ(図示せず)を備えている。低温暖房端末78a、78b、78cは、互いに並列に接続されている。低温暖房循環路75の下流端は、第2暖房加熱路84の上流端に接続している。低温暖房循環路75を流れる暖房用水は、分岐して低温暖房端末78a、78b、78cのそれぞれを流れた後、合流して第2暖房加熱路84へ送られる。
【0030】
第2暖房加熱路84には、HPユニット6の暖房用熱交換器53が取り付けられている。第2暖房加熱路84の、暖房用熱交換器53よりも上流側と、暖房用熱交換器53よりも下流側は、HPバイパス路44によって接続されている。暖房用熱交換器53よりも上流側の第2暖房加熱路84と、HPバイパス路44の接続箇所には、分流弁46が介装されている。分流弁46は、第2暖房加熱路84において、暖房用熱交換器53を通過して流れる暖房用水の流量と、暖房用熱交換器53をバイパスして流れる暖房用水の流量の割合を調整する。HPバイパス路44と分流弁46は、タンクユニット4の内部に収容されている。第2暖房加熱路84の下流端は、暖房復路96に合流している。第2暖房加熱路84には、サーミスタ84a、84b、84c、84dが設けられている。サーミスタ84aは、分流弁46より上流側での暖房用水の温度を検出する。サーミスタ84bは、暖房用熱交換器53より下流側であって、HPバイパス路44の接続箇所よりも下流側での暖房用水の温度を検出する。サーミスタ84cは、分流弁46より下流側であって、暖房用熱交換器53より上流側での暖房用水の温度を検出する。サーミスタ84dは、暖房用熱交換器53より下流側であって、HPバイパス路44の接続箇所よりも上流側での暖房用水の温度を検出する。サーミスタ84a、84bは、タンクユニット4の内部に収容されている。サーミスタ84c、84dは、HPユニット6の内部に収容されている。
【0031】
上記のように、給湯暖房装置2においては、シスターン70、暖房往路72、第1暖房加熱路73、低温暖房循環路75、高温暖房循環路77、暖房端末バイパス路71、追い焚き循環路79、第2暖房加熱路84、HPバイパス路44、暖房復路96によって、暖房用水が循環する暖房回路が構成されている。なお、図示はしていないが、暖房回路の各所には、暖房用水の温度を検出するサーミスタが設けられている。
【0032】
浴槽水循環路91の上流端は、浴槽98の底部に接続している。浴槽水循環路91の下流端は、浴槽98の側部に接続している。浴槽水循環路91には、循環ポンプ99が介装されている。循環ポンプ99が駆動すると、浴槽98の底部から吸い出された浴槽水が、追い焚き熱交換器97を通過して、浴槽98の側部へ戻される。
【0033】
給湯加熱路37には、給湯用燃焼器81が介装されている。給湯用燃焼器81は、燃料ガスの燃焼によって給湯加熱路37内の給湯用水を加熱する。給湯用燃焼器81には、給湯暖房装置2の外部の燃料ガス供給源(図示せず)から燃料ガスが供給される。給湯加熱路37の給湯用燃焼器81よりも下流側から、浴槽注湯路40が分岐している。浴槽注湯路40には、浴槽注湯路40を開閉する注湯電磁弁42が介装されている。浴槽注湯路40の下流端は、循環ポンプ99に接続している。
【0034】
上記のように、給湯暖房装置2においては、水道水導入路24(第1導入路24aおよび第2導入路24b)、タンク10、給湯用水循環路20、第1給湯路36、給湯加熱路37、第2給湯路39、燃焼器バイパス路33、浴槽注湯路40によって、給湯用水が流れる給湯回路が構成されている。なお、図示はしていないが、給湯回路の各所には、給湯用水の温度を検出するサーミスタが設けられている。
【0035】
タンクユニット4は、コントローラ12を備えている。コントローラ12は、タンクユニット4の内部の各構成要素の動作を制御する。
【0036】
HPユニット6は、コントローラ14を備えている。コントローラ14は、HPユニット6の内部の各構成要素の動作を制御する。コントローラ14は、タンクユニット4のコントローラ12と通信可能である。
【0037】
燃焼器ユニット8は、コントローラ16と、リモコン18を備えている。コントローラ16は、燃焼器ユニット8の内部の各構成要素の動作を制御する。コントローラ16は、タンクユニット4のコントローラ12と通信可能である。また、コントローラ16は、高温暖房端末76、低温暖房端末78a、78b、78cと通信可能であり、これらの動作を制御可能である。リモコン18は、コントローラ16に接続されている。リモコン18には、給湯暖房装置2を操作するためのスイッチやボタン、給湯暖房装置2の動作状態を報知する液晶表示器やスピーカ等が設けられている。
【0038】
給湯暖房装置2は、以下のように、蓄熱運転、給湯運転、暖房運転、湯はり運転、追い焚き運転等を実施することができる。
【0039】
(蓄熱運転)
蓄熱運転では、給湯暖房装置2は、タンク10内の給湯用水をHP装置50で加熱し、高温となった給湯用水をタンク10に戻す。蓄熱運転を実行する際には、HPユニット6が、給湯用膨張弁58を開いた状態で圧縮機62およびファン56を駆動するとともに、循環ポンプ22を駆動する。
【0040】
圧縮機62の駆動により、冷媒循環路52内の冷媒は、圧縮機62、給湯用熱交換器51、給湯用膨張弁58、空気熱交換器54の順に循環する。この場合、給湯用熱交換器51を通過する冷媒循環路52内の冷媒は、高温高圧の気体状態である。また、循環ポンプ22の駆動により、給湯用水循環路20内をタンク10内の給湯用水が循環する。即ち、タンク10の下部に存在する給湯用水が給湯用水循環路20内に導入され、導入された給湯用水が給湯用熱交換器51を通過する際に、冷媒循環路52内の冷媒の熱によって加熱され、加熱された給湯用水がタンク10の上部に戻される。これにより、タンク10に高温の給湯用水が貯められる。タンク10の内部が高温の給湯用水で満たされた満蓄状態となると、給湯暖房装置2は蓄熱運転を終了する。
【0041】
(給湯運転)
給湯運転は、タンク10内の給湯用水を給湯栓38に供給する運転である。給湯運転は、上記の蓄熱運転と並行して行うこともできる。給湯栓38が開かれると、水道水供給源(図示せず)からの水圧によって、水道水導入路24から第1導入路24aを介してタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の給湯用水が、第1給湯路36を介して給湯栓38に供給される。
【0042】
タンク10から第1給湯路36に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度より高い場合には、タンクユニット4が混合弁30を駆動して、第2導入路24bから第1給湯路36に水道水を導入する。従って、タンク10から供給された給湯用水と第2導入路24bから供給された水道水とが、第1給湯路36内で混合される。タンクユニット4は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁30の開度を調整する。一方、タンク10から第1給湯路36に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、燃焼器ユニット8が給湯用燃焼器81によって第1給湯路36を通過する水を加熱する。燃焼器ユニット8は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、給湯用燃焼器81で燃焼させる燃料ガス量を制御する。
【0043】
(暖房運転)
暖房運転は、HP装置50および/または暖房用燃焼器82によって暖房用水を加熱し、高温となった暖房用水を用いて低温暖房端末78a、78bや高温暖房端末76によって暖房する運転である。暖房運転は、上記の蓄熱運転や給湯運転と並行して行うこともできる。利用者によって暖房運転の実行が指示されると、燃焼器ユニット8が、循環ポンプ74を回転させるとともに、HPユニット6が、暖房用膨張弁59を開いた状態で圧縮機62およびファン56を駆動する。
【0044】
圧縮機62の駆動により、冷媒循環路52内の冷媒は、圧縮機62、暖房用熱交換器53、暖房用膨張弁59、空気熱交換器54の順に循環する。この場合、暖房用熱交換器53を通過する冷媒循環路52内の冷媒は、高温高圧の気体状態である。また、循環ポンプ74の駆動により、第2暖房加熱路84を暖房用水が循環する。第2暖房加熱路84を循環する暖房用水は、暖房用熱交換器53を通過する際に、冷媒循環路52内の冷媒の熱によって加熱される。暖房用熱交換器53で加熱された暖房用水は、シスターン70を経て、低温暖房端末78a、78b、78cや高温暖房端末76に供給される。さらに、燃焼器ユニット8は、必要に応じて暖房用燃焼器82を作動する。これにより、高温暖房端末76には、暖房用燃焼器82での加熱によってさらに高温となった暖房用水が供給される。暖房運転においては、低温暖房端末78a、78b、78cに供給される暖房用水の温度が低温暖房設定温度となるように、また高温暖房端末76に供給される暖房用水の温度が高温暖房設定温度となるように、HPユニット6におけるHP装置50の動作や、燃焼器ユニット8が暖房用燃焼器82で燃焼させる燃料ガス量が調整される。
【0045】
(湯はり運転)
湯はり運転は浴槽98に湯はりをする運転である。利用者が湯はり運転の開始を指示すると、燃焼器ユニット8は注湯電磁弁42を開く。注湯電磁弁42が開くと、水道水供給源からの水圧によって、水道水導入路24から第1導入路24aを介してタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の給湯用水が、第1給湯路36、浴槽注湯路40、浴槽水循環路91を介して浴槽98に供給される。湯はり運転においては、給湯運転と同様にして、浴槽注湯路40に供給される水の温度が湯はり設定温度に調整される。浴槽98に供給される水の水量が湯はり設定水量に達すると、湯はり運転は終了する。
【0046】
(追い焚き運転)
追い焚き運転は、浴槽98に貯められた浴槽水を追い焚きする運転である。利用者が追い焚き運転の開始を指示すると、燃焼器ユニット8は、循環ポンプ99を駆動する。また、燃焼器ユニット8は、追い焚き熱動弁83を開いて、循環ポンプ74を駆動する。これにより、浴槽98の底部から浴槽水が吸い出されて、追い焚き熱交換器97で暖房用水との熱交換によって加熱される。加熱された浴槽水は、浴槽98の側部へ戻される。追い焚き運転においては、暖房用燃焼器82による暖房用水の加熱が行われる。浴槽98の水温が追い焚き設定温度に達すると、追い焚き運転は終了する。
【0047】
(自動試運転)
給湯暖房装置2は、給湯試運転、暖房試運転などの各種の自動試運転を実行可能である。燃焼器ユニット8のコントローラ16には、給湯暖房装置2が実行可能な各種の自動試運転に対応して、試運転開始スイッチ、試運転結果確認スイッチ、エラー呼び出しスイッチ、エラーリセットスイッチなどのスイッチと、自動試運転の結果を表示する表示用LEDが設けられている。給湯暖房装置2を家屋へ設置する際には、施工業者はコントローラ16を介して給湯暖房装置2に各種の自動試運転を実行させることができるとともに、各種の自動試運転の結果を知ることができる。また、リモコン18は、コントローラ16と同様に、給湯暖房装置2が実行可能な各種の自動試運転に対応して、試運転開始、試運転結果確認、エラー呼び出し、エラーリセットなどの指示を入力可能であるとともに、自動試運転の結果を表示可能に構成されている。したがって、施工業者は、リモコン18を介して給湯暖房装置2に各種の自動試運転を実行させることもできる。
【0048】
(暖房試運転)
以下では
図2−
図5を参照しながら、給湯暖房装置2が行う暖房試運転について説明する。
図2に示すように、暖房試運転においては、給湯暖房装置2は、暖房用水供給運転(ステップS2)、HP暖房試運転(ステップS4)、個別暖房端末試運転(ステップS6)を順に実行する。
【0049】
図3は、暖房用水供給運転において給湯暖房装置2が行う動作を示している。
【0050】
ステップS12では、給湯暖房装置2は、暖房用燃焼器82が暖房用水の加熱を行っている場合には、暖房用燃焼器82による暖房用水の加熱を停止する。
【0051】
ステップS14では、給湯暖房装置2は、HP装置50が暖房用水の加熱を行っている場合には、HP装置50による暖房用水の加熱を停止する。
【0052】
ステップS16では、給湯暖房装置2は、全ての暖房端末、すなわち高温暖房端末76、低温暖房端末78a、78b、78cに対して、試運転の実行を指示する。これにより、高温暖房端末76、低温暖房端末78a、78b、78cは、それぞれの暖房端末での試運転を開始する。
【0053】
ステップS18では、給湯暖房装置2は、全ての暖房端末、すなわち高温暖房端末76、低温暖房端末78a、78b、78cの熱動弁を開く。
【0054】
ステップS20では、給湯暖房装置2は、補水弁69を開く。これによって、水道水供給源(図示せず)から補水経路68を介してシスターン70に暖房用水が供給される。
【0055】
ステップS22では、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74が駆動している場合には、循環ポンプ74を停止する。
【0056】
ステップS24では、給湯暖房装置2は、シスターン70の低水位電極64がONになるまで待機する。ステップS24では、補水経路68の補水弁69が開かれており、かつ循環ポンプ74は停止している。この状態で、シスターン70の水位が第1水位まで上昇して、低水位電極64がONとなると(ステップS24でYESとなると)、ステップS26へ進む。
【0057】
ステップS26では、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74を駆動する。これによって、シスターン70から暖房往路72、第1暖房加熱路73、低温暖房循環路75、高温暖房循環路77、暖房端末バイパス路71、追い焚き循環路79、第2暖房加熱路84、HPバイパス路44、暖房復路96に暖房用水が供給され、これらの配管の内部に残留している空気がシスターン70から排出される。
【0058】
ステップS28では、給湯暖房装置2は、シスターン70の低水位電極64がONであるか否かを判断する。循環ポンプ74の駆動により、シスターン70から暖房往路72に暖房用水が送り出された結果、シスターン70内の水位が低下して、低水位電極64がOFFとなると(ステップS28においてNOとなると)、ステップS22へ戻る。循環ポンプ74を駆動した状態でも、シスターン70内の水位が第1水位を超えており、シスターン70の低水位電極64がONである場合には(ステップS28においてYESの場合には)、ステップS30へ進む。
【0059】
ステップS30では、給湯暖房装置2は、シスターン70の高水位電極66がONになったか否かを判断する。高水位電極66がONになると(YESとなると)、ステップS32で、給湯暖房装置2は、暖房回路への暖房用水の供給が正常に終了したと判定する。そして、ステップS34で、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74を停止し、ステップS36で、給湯暖房装置2は、補水弁69を閉じて、
図2の暖房用水供給運転を終了する。
【0060】
ステップS30で、高水位電極66がONになっていない場合(NOの場合)、ステップS38へ進む。ステップS38では、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74を駆動してからの経過時間が所定時間(例えば30分)に達したか否かを判断する。循環ポンプ74を駆動してからの経過時間が所定時間に達していない場合(ステップS38でNOの場合)、ステップS28へ戻る。
【0061】
ステップS38で、循環ポンプ74を駆動してからの経過時間が所定時間に達すると(YESとなると)、ステップS40へ進む。ステップS40で、給湯暖房装置2は、暖房回路への暖房用水の供給が正常に終了しなかったと判定する。ステップS40の後、ステップS34へ進む。
【0062】
図3の暖房用水供給運転が正常に終了しなかった場合、給湯暖房装置2は、その旨をコントローラ16またはリモコン18に表示して、暖房試運転を終了する。
図3の暖房用水供給運転が正常に終了した場合、給湯暖房装置2は、
図4のHP暖房試運転を開始する。
【0063】
ステップS42では、給湯暖房装置2は、HP暖房試運転で使用する低温暖房端末78a、78b、78cを選択する。本実施例の給湯暖房装置2では、HP装置50の暖房用熱交換器53は、低温暖房端末78a、78b、78cに対して直列に接続されている。従って、HP暖房試運転でHP装置50に暖房用水を循環させるためには、何れかの低温暖房端末78a、78b、78cを使用する必要がある。例えば、給湯暖房装置2は、HP暖房試運転で使用する暖房端末として、低温暖房端末78aを選択する。
【0064】
ステップS44では、給湯暖房装置2は、ステップS42で選択された低温暖房端末78aに対応する熱動弁を開き、それ以外の低温暖房端末78b、78cの熱動弁と、高温暖房端末76の熱動弁を閉じる。
【0065】
ステップS46では、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74を駆動する。これによって、シスターン70、暖房往路72、低温暖房循環路75、第2暖房加熱路84、暖房復路96を暖房用水が循環する。
【0066】
ステップS48では、給湯暖房装置2は、暖房用水の温度が安定するまで待機する。本実施例では、以下の(1)から(4)のすべての条件が満たされたときに、給湯暖房装置2は、暖房用水の温度が安定したと判断する。
(1)サーミスタ84cの検出温度(以下では暖房入水温度ともいう)が所定温度(例えば35℃)未満である。
(2)サーミスタ84aの検出温度(以下では暖房HP戻り温度ともいう)が所定温度(例えば35℃)未満である。
(3)サーミスタ84dの検出温度(以下では暖房出湯温度ともいう)とサーミスタ84cの検出温度の差の絶対値が所定温度差(例えば1.5℃)以下である。
(4)サーミスタ84bの検出温度(以下では暖房HP出湯温度ともいう)とサーミスタ84aの検出温度の差の絶対値が所定温度差(例えば1.5℃)以下である。
上記の(1)から(4)のすべての条件が満たされると、ステップS50へ進む。
【0067】
ステップS50では、給湯暖房装置2は、暖房用膨張弁59を開いた状態で圧縮機62およびファン56を駆動して、HP装置50による暖房用水の加熱を開始する。
【0068】
ステップS52では、給湯暖房装置2は、暖房出湯温度(サーミスタ84dの検出温度)が暖房入水温度(サーミスタ84cの検出温度)に所定温度幅(例えば5℃)を加算した温度以上になったか否かを判断する。暖房出湯温度が暖房入水温度に所定温度幅を加算した温度以上になると(ステップS52でYESとなると)、給湯暖房装置2は、ステップS54で、第2暖房加熱路84のタンクユニット4とHPユニット6の間の配管(以下ではHP暖房配管ともいう)が正常に接続されていると判定する。そして、ステップS56で、給湯暖房装置2は、圧縮機62およびファン56を停止して、HP装置50による暖房用水の加熱を停止し、ステップS58で、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74を停止し、
図4のHP暖房試運転を終了する。
【0069】
ステップS52で、暖房出湯温度が暖房入水温度に所定温度幅を加算した温度より低い場合(ステップS52でNOの場合)、ステップS60へ進む。ステップS60では、給湯暖房装置2は、HP装置50による加熱を開始してからの経過時間が所定時間(例えば20分)に達したか否かを判断する。HP装置50による加熱を開始してからの経過時間が所定時間に達していない場合(ステップS60でNOの場合)、ステップS52へ戻る。
【0070】
ステップS60で、HP装置50による加熱を開始してからの経過時間が所定時間に達すると(YESとなると)、ステップS62で、給湯暖房装置2は、HP暖房配管が誤って接続されていると判定する。ステップS62の後、ステップS56へ進む。
【0071】
図4のHP暖房試運転が終了すると、給湯暖房装置2は、
図5の個別暖房端末試運転を開始する。なお、給湯暖房装置2は、
図4のHP暖房試運転の結果が正常であっても、異常であっても、
図5の個別暖房端末試運転を実行する。
【0072】
ステップS64では、給湯暖房装置2は、全ての暖房端末、すなわち高温暖房端末76、低温暖房端末78a、78b、78cの中から、1つの暖房端末を選択する。
【0073】
ステップS66では、給湯暖房装置2は、ステップS64で選択された暖房端末に対応する熱動弁を開き、それ以外の暖房端末の熱動弁を閉じる。
【0074】
ステップS68では、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74を駆動する。これによって、シスターン70と選択された暖房端末の間で暖房用水が循環する。
【0075】
ステップS70では、給湯暖房装置2は、シスターン70の高水位電極66がONであるか否かを判断する。選択された暖房端末の暖房用水の経路にまだ空気が残っており、暖房用水の供給が完全に行われていない場合には、循環ポンプ74の駆動によってシスターン70の水位が低下する。シスターン70の水位が低下して、高水位電極66がOFFになると(ステップS70でNOとなると)、ステップS72へ進む。
【0076】
ステップS72では、給湯暖房装置2は、補水弁69を開く。これによって、水道水供給源(図示せず)から補水経路68を介してシスターン70に暖房用水が供給される。
【0077】
ステップS74では、給湯暖房装置2は、シスターン70の高水位電極66がONになるまで待機する。高水位電極66がONになると(ステップS74でYESとなると)、ステップS76へ進む。
【0078】
ステップS76では、給湯暖房装置2は、補水弁69を閉じる。ステップS76の後、ステップS78へ進む。
【0079】
なお、ステップS70で、シスターン70の高水位電極66がONの場合(YESの場合)には、ステップS72、S74およびS76を行うことなく、ステップS78へ進む。
【0080】
ステップS78では、給湯暖房装置2は、暖房用燃焼器82による暖房用水の加熱を開始する。
【0081】
ステップS80では、給湯暖房装置2は、ステップS64で選択された暖房端末において暖房用水の温度上昇が検出されたか否かを判断する。選択された暖房端末で温度上昇が検出された場合(ステップS80でYESの場合)、ステップS82で、給湯暖房装置2は、選択された暖房端末の配管が正常に接続されていると判断する。ステップS82の後、ステップS90へ進む。
【0082】
ステップS80で、選択された暖房端末で温度上昇が検出されない場合(NOの場合)、ステップS84へ進む。ステップS84では、給湯暖房装置2は、暖房用燃焼器82で加熱を開始してからの経過時間が所定時間(例えば20分)に達したか否かを判断する。暖房用燃焼器82で加熱を開始してからの経過時間が所定時間に満たない場合(ステップS84でNOの場合)、ステップS80へ戻る。
【0083】
ステップS84で、暖房用燃焼器82で加熱を開始してからの経過時間が所定時間に達した場合(YESの場合)、ステップS86へ進む。ステップS86では、給湯暖房装置2は、選択された暖房端末の配管が正常に接続されていないと判断する。ステップS86の後、ステップS90へ進む。
【0084】
ステップS90では、給湯暖房装置2は、暖房用燃焼器82による暖房用水の加熱を停止する。
【0085】
ステップS92では、給湯暖房装置2は、循環ポンプ74を停止する。
【0086】
ステップS94では、給湯暖房装置2は、全ての暖房端末、すなわち高温暖房端末76、低温暖房端末78a、78b、78cについて、上記した試運転が終了したか否かを判断する。いまだ試運転を行っていない暖房端末がある場合(ステップS94でNOの場合)、ステップS64へ戻る。全ての暖房端末について試運転が終了した場合(ステップS94でYESの場合)、
図5の個別暖房端末試運転を終了する。
【0087】
以上のように、本実施例の給湯暖房装置2は、暖房用水(暖房用熱媒に相当する)が循環する暖房回路と、暖房回路に組み込まれており、暖房用水からの放熱により暖房する低温暖房端末78a、78b、78cと、暖房回路に組み込まれており、自然環境からの吸熱により暖房用水を加熱するHP装置50と、暖房回路に組み込まれており、燃料ガスの燃焼により暖房用水を加熱する暖房用燃焼器82と、暖房回路に組み込まれた循環ポンプ74と、暖房回路に暖房用水を供給する補水経路68および補水弁69(暖房用熱媒供給手段に相当する)と、コントローラ12、14、16(制御装置に相当する)を備えている。コントローラ12、14、16は、暖房試運転を実行可能に構成されている。コントローラ12、14、16は、暖房試運転において、暖房回路が暖房用水で満たされるように、補水経路68および補水弁69で暖房回路に暖房用水を供給しながら循環ポンプ74を駆動する暖房用熱媒供給運転(
図3参照)と、暖房用熱媒供給運転の後に、循環ポンプ74を駆動してHP装置50に暖房用水を循環させながら、HP装置50による暖房用水の加熱を行って、HP装置50が正常に接続されているか否かを判定するHP暖房試運転(
図4参照)と、HP暖房試運転の後に、循環ポンプ74を駆動して低温暖房端末78a、78b、78cと暖房用燃焼器82に暖房用水を循環させながら、暖房用燃焼器82による暖房用水の加熱を行って、低温暖房端末78a、78b、78cが正常に接続されているか否かを判定する個別暖房端末試運転(
図5参照)を実行するように構成されている。
【0088】
本実施例の給湯暖房装置2は、暖房端末として、互いに並列に接続された複数の低温暖房端末78a、78b、78cを備えている。複数の低温暖房端末78a、78b、78cのそれぞれが、その低温暖房端末78a、78b、78cに暖房用水が流れる経路を開閉する熱動弁(開閉弁に相当する)を備えている。HP装置50は、複数の低温暖房端末78a、78b、78cに対して直列に接続されている。
図4のステップS42、S44に示すように、コントローラ12、14、16は、HP暖房試運転において、一部の低温暖房端末の熱動弁のみを開くように構成されている。
【0089】
図4のステップS46、S48、S50に示すように、本実施例の給湯暖房装置2では、コントローラ12、14、16は、HP暖房試運転において、循環ポンプ74を駆動してHP装置50に暖房用水を循環させた状態で、暖房用水の温度が安定するまで待機し、暖房用水の温度が安定すると、HP装置50による暖房用水の加熱を開始するように構成されている。
【0090】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0091】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。