特許第6471181号(P6471181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6471181水質浄化用の大規模光キャプチャバイオリアクター及び運行方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471181
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】水質浄化用の大規模光キャプチャバイオリアクター及び運行方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/32 20060101AFI20190204BHJP
   C02F 3/06 20060101ALI20190204BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20190204BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20190204BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   C02F3/32ZAB
   C02F3/06
   B09B3/00 C
   A01G31/00 601A
   A01G31/00 612
   A01K63/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-571457(P2016-571457)
(86)(22)【出願日】2015年2月28日
(65)【公表番号】特表2017-507780(P2017-507780A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】CN2015073453
(87)【国際公開番号】WO2015127904
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】201410072754.8
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516257648
【氏名又は名称】天下光捕(武漢)生態科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】PHOTON ECO−CAPTURE PTY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】胡 佑忠
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−125898(JP,A)
【文献】 特開昭58−199099(JP,A)
【文献】 特開平11−333482(JP,A)
【文献】 特開2011−094522(JP,A)
【文献】 特開2003−023887(JP,A)
【文献】 特表2012−504942(JP,A)
【文献】 実開昭53−029164(JP,U)
【文献】 特開平10−327701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/32
A01G 31/00
A01K 63/04
B09B 3/00
C02F 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターであって、
密封可能な3次元が構築されている空間と、送水管と、羽根車と、発電機とを備え、前記3次元が構築されている空間内には、複数の平面層が含まれ、各平面層は、密封したものであり、各平面層には、開閉可能な通気口が設置されており、各平面層には、迂回形の用水路が設置されており、各前記用水路には、排水口及び入水口がそれぞれ設置されており、各前記用水路内には、間隔をあけて複数の微生物ろ過膜が取り付けられており、各間隔は、1つのろ過ユニットであり、各前記ろ過ユニットには水面に植えられている植物が存在し、水中には微生物が存在し、前記水面に植えられている植物の上方には、高さが調節可能な植物育成ライトが吊り下げられており、上層の水路の排水口には、羽根車が設置されており、羽根車は発電機に接続されており、羽根車の下方には、下層の用水路の入水口があり、浄化が必要な水は、送水管を介して最上層の水路の入水口に連接されていることを特徴とする水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項2】
二酸化炭素の供給パイプをさらに備え、前記二酸化炭素の供給パイプは、3次元が構築されている空間の内部と連通していることを特徴とする請求項1に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項3】
上下平面層の間には、下向き式排水溝が設置されており、排水溝の上端は水路の排水口に連接され、羽根車は排水溝の下端に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項4】
ポンプをさらに備え、前記ポンプは、前記送水管を介して汚水調節プール及び最上層の入水口にそれぞれ連接されており、前記浄化が必要な水の汚染濃度を前記汚水調節プールに適切なレベルまで希釈することを特徴とする請求項3に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項5】
前記ろ過ユニットの水面下には、水生動物が存在することを特徴とする請求項1に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項6】
前記排水溝は、上が広く下が狭い構造であることを特徴とする請求項3に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項7】
地面層には、複数のメタンガス発生タンク及びメタンガス発電機セットが設置されていることを特徴とする請求項1に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項8】
バイオリアクターの地下層は、漏洩防止処理が行われた汚水調節プールであり、汚水は、汚水調節プールに入る前、グリッドを通して物理ろ過が行われることを特徴とする請求項1に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター。
【請求項9】
請求項1に記載の水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターの動作方法であって、
浄化が必要な水の汚染濃度を汚水調節プールに適切なレベルまで希釈し、ポンプによって汚水調節プールから送水管によって3次元が構築されている空間内の最上層の水路の入水口に送られ、迂回して流れる水路に入ってゆっくり流れ始め、浄化が必要な水は、該層の各ろ過ユニットを流れて漸進的な生物ろ過が行われ、水は該層における最後のろ過ユニットの排水口を流れて排水溝の上端に流れ、排水溝の下端を通って羽根車を押し動かして回転させ、羽根車は発電機を連動して発電させ、発電機は植物育成ライトに電源を供給し、水は羽根車を通って酸素が増加された後、次の一層の水路の入水口に入り、これを繰り返すことにより、水が最底層の水路から流れ出した際に、既に浄化された水となり、
各ろ過ユニットの中で、水面に植えられている植物は、植物育成ライトの照射下で光合成を行い、水中の富栄養化の原因物質及び空気中の二酸化炭素の一部を吸収し、微生物は水中の富栄養化の原因物質の一部を利用して生物反応を行い、水生動物は水面に植えられている植物の一部の根系及び水中の浮遊物質を食用し、水質を浄化すると同時に、収穫できる植物及び水生動物が得られることを特徴とする水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオリアクターに関し、特に水質浄化用の大規模光キャプチャバイオリアクター(Large Scale Photon Capture Bioreactor、略称LSPECBR)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオリアクター(英語:Bioreactor)は、1980年代より始められた生物工程技術であり、生物活性環境を提供するいずれかの製造又は工程設備を示す。バイオリアクターは、生物が有する生物機能を利用して、体外又は体内で生化学反応又は生物自体の代謝によって対象物を取得する装置システム、細胞、組織および器官などであり、生物又は生化学の活性物質が特定の生物によって生成される反応プロセスの容器に関するものである。これらのバイオリアクターは、通常円筒状を呈し、数リットルから数立方メートルの体積を有する。一般的にステンレス鋼からなる。
【0003】
バイオリアクター技術は、細菌バイオリアクター、細胞培養用バイオリアクター及びトランスジェニックバイオリアクターの三つの発展段階を経る。トランスジェニックバイオリアクターは、トランスジェニック動物のバイオリアクター及びトランスジェニック植物のバイオリアクターに分類される。トランスジェニック植物のバイオリアクターは、一般的に植物品種の改良及び高品質植物の培養に用いられ、トランスジェニック動物のバイオリアクターは、動物の品種改良に用いられると共に、現在、一般的には高付加価値の医薬品及びタンパク質を生産するために用いられる。
【0004】
水処理に使用されるバイオリアクターは、主に膜バイオリアクター(MembraneBioreactor、MBR)である。膜バイオリアクターは、生物分解機能及び膜の効率的な分離技術を結合させて形成された汚水処理及び再利用技術である。膜バイオリアクターは、通常有機膜を使用し、一般的な膜材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン等、及び、中空糸膜及び平膜からなる精密ろ過膜、限外ろ過膜及び逆浸透膜等が含まれる。膜バイオリアクターのモノマーは、一般的に管状構造を呈し、主に膜分離モジュール及び生物反応器で構成される。使用プロセスにおいて、複数の膜バイオリアクターのモノマーの直列又は並列、或いは、直列と並列との両方の組み合わせによってシステムが形成され、膜分離装置を使用して、汚水処理場の生化学反応槽内の活性汚泥及び高分子物質を遮断する。これにより、二次沈殿槽を省略する。膜バイオリアクターは、実際には次の3つの反応器、1)通気膜バイオリアクター(Aeration Membrane Bioreactor、AMBR)、2)抽出膜バイオリアクター(Extractive Membrane Bioreactor、EMBR)、3)固体/液体分離膜バイオリアクター(Solid/Liquid Separation Membrane Bioreactor、SLSMBR)の総称である。多くの従来の生物水処理工程に比べて、膜バイオリアクターには、処理された後の水が良質で、余剰汚泥の生産も少なく、占有面積も小さく、アンモニア窒素及び分解し難い有機物の除去率が高いなどの主な利点を有するが、製造コストが高く、膜の汚れや目詰まりを起こしやすく、操作及び管理が不便で、エネルギー消費が高く、維持費も高いなど主な欠点を有するため、膜バイオリアクターは、一般的には、例えば、都市下水道管網によって収集することが困難な辺鄙な場所に位置する生活エリア、ホテルやレストラン、リゾート地区、学校、 オフィスビル等に分散している使用者の日常の生活から出る下水処理、再利用及びビール、皮革、食品、化学工業等の産業の有機汚水処理等の流出水の水質に対する要求が比較的に高く、下水処理量が比較的に少ない汚水処理場に応用されている。しかし膜バイオリアクターは欠点を有するため、大規模な下水処理場に展開して応用することが困難である。
【0005】
従来の各種の下水処理技術は、大量のエネルギーを消費したり、大面積の土地を占有するなど、処理プロセスが常に重い負担になっている。
【0006】
また、飲用水の清浄度は、人々の健康に直接的な影響を与える。飲用水の水質における主な問題として、酸素消費量が高いことがあげられる。飲用水において酸素消費量が高いとは、有機物の量が多いことを意味し、従来の技術の条件下において飲用水中の有機物に対しては、通常塩素化法を採用して水質浄化を行う。しかし、増加した消毒副産物は、水の変異原性を増加させ、人の健康に長期的に悪影響を与える。人体に対する有機物の危害は、一般的に遅れて現れ、通常、病気が発見されてから20〜30年人体に反映される可能性がある。下水処理において、従来の処理方法の根本的な欠点は、高エネルギー消費の方法によって水中の潜在的なエネルギー及び資源をオフセットすることである。従来の好気性生物処理プロセスを採用すると、汚染物質は曝気気流で揮発しやすく、ガスストリッピング現象が発生し、処理効果が安定しないだけでなく、大気汚染を引き起こす可能性もある。物理的方法による酸素化、化学的方法によるフロキュレーション、沈殿、生物学的な方法による嫌気性または好気性反応を採用して、一立方メートルの汚水を処理するエネルギー消費量は非常に高い。統計データによると、米国において7%〜8%の電力が2.5万件の汚水処理場及び1.8万件の下水汚泥処理施設に消費されている。米国のモデルに基づいて下水処理を行うとなると、中国の現在の都市化プロセスでは、2040年までに4.5万件の下水処理場及び3万件の下水汚泥処理場を建設する必要があり、下水処理のエネルギー消費量は重い負担になる。従ってエネルギー消費が比較的に小さい新しい人工湿地汚水処理技術が中国の農村や都市に推進されている。しかしこのような技術は、大面積の土地を占有する必要があり、且つ、清浄能力が限られている等の欠点を有するため、大きな障害に直面している。
【0007】
飲用水の水質浄化及び下水処理方面において四つの問題が発生している。
(1)巨大なエネルギー消費は元から持続可能性を持っていない。
(2)排出基準に応じて排出しても希釈された生態水は既に存在しない。
(3)下水処理に対する高コストは、一般市民の生涯負担になっている。
(4)浄化及び処理は、大面積の土地を占有するため農作物を生産できず、生活空間も狭くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術問題は、水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクター装置及びその動作方法を提供し、小面積の土地及び極めて低い運営コストにより、各種の有機汚水処理及び水質浄化のプロセスを財産及び資源の生産プロセスに転化する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の技術問題を解決するために本発明において、水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターは、密封可能な3次元が構築されている空間と、送水管と、羽根車と、発電機とを備え、前記3次元が構築されている空間内には複数の平面層が含まれ、各平面層には、迂回形の用水路が設置されており、各用水路には、排水口及び入水口がそれぞれ設置されており、各用水路内には、間隔をあけて複数の微生物ろ過膜が取り付けられており、各間隔は、1つのろ過ユニットであり、各ろ過ユニットには、水面に植えられている植物が存在し、水中には微生物が存在し、水面に植えられている植物の上方には、高さが調節可能な植物育成ライトが吊り下げられており、前の一層の用水路の排水口には羽根車が設置されており、羽根車は発電機に接続されており、羽根車の下方には次の一層の用水路の入水口があり、浄化が必要な水は、送水管を介して最上層の用水路の入水口に連接されている。
【0010】
本発明の上下層の間には下向き式排水溝が設置されており、排水溝の上端は用水路の排水口に連接され、羽根車は排水溝の下端に設置されている。
【0011】
本発明はポンプを備え、前記ポンプは、前記送水管を介して浄化が必要なプール及び最上層の入水口にそれぞれ連接されている。
【0012】
前記水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターは、前記二酸化炭素の供給パイプをさらに備え、二酸化炭素の供給パイプは、3次元が構築されている空間の内部と連通している。
【0013】
各平面層は密封されたものであり、各平面層には開閉可能的な通気口が設置されている。
【0014】
好ましくは、前記ろ過ユニットの水面下には水生動物が存在する。前記ろ過ユニットの構造は、浄化が必要な水の有機汚染濃度によって決定され、水の汚染濃度が高いろ過ユニット内では、水生動物の養殖に適さない。人工湿地構造を建造し、まず微生物ろ過隔膜を介して有機汚染物を迅速に分解して、水生動物の成長に最適になるようにする。
【0015】
前記排水溝は、上が広く下が狭い構造である。
【0016】
前記水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターは、地面層に、複数のメタンガス発生タンク及びメタンガス発電機セットが設置されている。
【0017】
前記バイオリアクターの建物外の壁面の日が当たる一面及び建物の頂面には、太陽光発電や風力発電システムが設置されている。
【0018】
前記バイオリアクターの地下層は、漏洩防止処理が行われた汚水調節プールであり、汚水は沈殿プールに入る前に、グリッドを通して物理ろ過される。
【0019】
前記用水路の深さは、1.1−1.3メーターである。
【0020】
本発明の運行方法は、浄化が必要な水がポンプによって送水管を介して3次元が構築されている空間内の最上層の用水路の入水口に送られ、浄化が必要な水は、該層の各ろ過ユニットを流れて漸進的な生物ろ過が行われ、水が、該層の最後のろ過ユニットの排水口を流れて排水溝の上端に流れ、排水溝の下端を通って羽根車を押し動かして回転させて、同時に水中に酸素を増加させ、羽根車は発電機を連動して発電させ、発電機は植物育成ライトに電源を供給し、水は羽根車を通って下の一層の用水路の入水口に入る。この流れの繰り返しにより、水が最底層の用水路から流れ出した際に、既に浄化された水となっている。各ろ過ユニットの中で、水面に植えられている植物は、植物育成ライトの照射下で光合成を行い、水の中の富栄養化の原因物質及び空気中の二酸化炭素を吸収し、微生物は、水中の富栄養化の原因物質の一部を利用して生物反応を行い、水生動物は水面に植えられている植物の一部の根系及び水中の浮遊物質を食用する。水質を浄化すると同時に、収穫できる植物及び水生動物が得られる。
【0021】
水質浄化を目的として、水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターを使用する際、副産物の経済的な価値が、あるレベルの主な産物より高くても、主要な産物は浄化した水であり、アクター内で収穫できる他の生物は、反応により得られた副産物に過ぎない。水産養殖及び水面での栽培を目的として水質浄化用大規模光キャプチャバイオリアクターを使用する時、単位面積当たりの産出は、自然の状態下で伝統的な方法の産出より百倍より高い。本発明は、以下のメリットを持つ。
【0022】
(1)制御しやすく、品質も安定している。前記バイオリアクター内において生物反応に参加している各要素及び各要素の配置は、それぞれ効果的に制御でき、数多くの強化対策が生物反応プロセスの効率を高くし、正常の状況下において、外部の自然条件の変化により受ける影響は小さく、生成された品質も安定している。浄化が必要な水がバイオリアクター内に入るまたは出てくる流量及び流速は制御できる。水及び水面に植えられている植物、水生動物は、密封可能的な3次元が構築されている空間内に気候の影響を受けない。
【0023】
(2)集約化でき、占有する面積は小さく、投資も小さい。大規模バイオリアクターの多層式の構造により集約化の目標を実現し、水処理及び水質浄化プロセスが占める土地面積を70パーセント以上減らし、基本的な建築の投資を従来の方法より30パーセント減らす。大規模光キャプチャバイオリアクターを水産物の養殖に使用すると、単位面積当たりの収量は、従来の養魚池の収量より百倍以上向上させ、且つ水産物の品質もさらに向上される。
【0024】
(3)省エネルギーで運行できる。前記大規模光バイオリアクターの運行プロセスにおいて、ポンプにより水位を希望する高さまで上げる以外に、全てのプロセスに高エネルギー消費の設備がない。その上、生物反応プロセスは、エネルギー物質を産出して自身を補う。従来の生活汚水処理技術に比べて、運行エネルギー消費は九割以上節約できる。
【0025】
(4)プロセスにおいて汚染がなく、クリーン生産を実現できる。微生物、水生植物及び水生動物を採用して総合化された生物反応を行うので、余計な非生物の物質を介入させたり加える必要は無く、産出物を十分に利用できる。
【0026】
(5)経済効果が著しい。人工の光の植物生長照射灯は、密封された環境中において、特別に選択された植物に対して調節可能な、長い時間の照射を行い、光合成の効率を著しく向上させることができる。バイオリアクターに二酸化炭素の注入口が設置されることにより、光合成の効率とリアクターの中の生物の生長を促進できる。バイオリアクターの生物の高速生長は水質浄化を加速させる。バイオリアクター内の生物を適当な時期に収穫して、一部はバイオマス発電に利用されてバイオリアクターのエネルギーを提供する。バイオリアクターで収穫可能な植物と動物、特に大規模光バイオリアクターの後半部の比較的清潔な水から収穫された植物及び動物は、経済的価値が非常に高く、生態生産の産業を形成でき、その経済効率は著しい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターは、幅広く応用できる。飲用水の水質浄化または生活汚水の処理、高度富栄養化の小川の汚水の処理、伝統的な汚水処理場の放水を更に浄化し、各種の工業生産プロセスの生産の有機廃水質浄化及び大規模水産養殖及び植物の水耕栽培に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターの構造の背面図である。
図2】本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターの構造の正面図である。
図3】本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターのある層の平面構造の拡大図である。
図4】本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターの第一層の平面レイアウト図である。
図5】本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターの偶数層の平面レイアウト図である。
図6】本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターの第一層以外の奇数層の平面レイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本発明の技術方法を更に具体的に説明する。
【0030】
図1図2図3及び図4は、大規模光キャプチャバイオリアクターを示している。大規模光キャプチャバイオリアクターの本体は、密封可能な複数の平面層から構成された3次元が構築された空間であり、各平面生物反応層1には、深さが約1.2メーターで、水が迂回してゆっくり流れることができる用水路2が設置されており、用水路2は、微生物ろ過膜3によって複数のろ過ユニット4に分けられており、各ろ過ユニット4の水面には、それぞれ水面に植えられている植物5、高密度で養殖されている水生動物6と、水中の植物の根系及び微生物ろ過膜3中の微生物7が存在する。
【0031】
水面に植えられている植物5の上方には、高さが調節可能的な植物育成ライト8が吊り下げられている。浄化が必要な水9は、ポンプ10によって送水管11を介して3次元構築物の最上層の生物反応層の平面入水口12に送られて、水は迂回して用水路2にゆっくり流れ始め、浄化が必要な水9は、該生物反応層の各ろ過ユニット4を介して漸進的なろ過が行われ、水は該生物反応層の最後のろ過ユニット4の溢出排水口13に流れて傾斜式の排水溝14に流れ、排水溝14は、上から下へ徐々に狭くなる構造であり、排水溝14の末端には、発電機を連動して発電させる羽根車15が取り付けられている。浄化が必要な水9は、排水溝14を流れて羽根車15を回転させた後、次の平面生物反応層の入水口12に入って、前の生物反応層の漸進的なろ過による浄化を継続して深める。
【0032】
バイオリアクター内には、各平面生物反応層に入り込む二酸化炭素供給パイプが設置されている。バイオリアクターの第一層には、複数のメタンガス発生タンク18及びメタンガス発電機セット19が設置されている。バイオリアクターの建物の外側の壁面及び建物のルーフ頂面には、太陽光発電や風力発電システム20が設置されている。各生物反応層には、開閉可能な通気口21がそれぞれ設置されている。バイオリアクターの地下層は、漏洩防止処理が行なわれた汚水調節プール22であり、汚水は沈殿プールに入る前に、グリッド23を通して物理ろ過が行われる。
【0033】
図5は、偶数層の平面レイアウト図であり、図6は、第一層と異なる奇数層の平面レイアウト図である。第一層には、複数のメタンガス発生タンク18及びメタンガス発電機セット19が設置されているため、一部の用水路2のスペースを占有している。第一層の上の水平層として、必要な階段以外には、どこに用水路2は設置してもよい。なお、上層の排水口の位置は、下層の入水口の位置と対応している。
【0034】
以下、本発明の動作方法について詳しく説明する。本発明の大規模光キャプチャバイオリアクターが水を浄化するプロセスは、量変から質変までの漸進的な生物化学反応のプロセスであり、これにより、この反応プロセスに参加している有効的な要素も変化していく。密封可能な複数の平面生物反応層の3次元構築空間内において、各生物反応平面層1には、水が迂回してゆっくり流れることができる用水路2が設置され、用水路を複数のろ過ユニット4に分ける微生物ろ過膜3のろ過孔の孔径は、ろ過が徐々に推進することに従って徐々に小さくなっていく。例えば、最上の初期生物反応平面ろ過層1で水が迂回してゆっくり流れる用水路2の前の部分の微生物ろ過膜3の材料がセラミック顆粒である場合、セラミック顆粒からなる微生物ろ過膜3のセラミック顆粒の粒径は、水質浄化の機能を徐々に深化させる要求に適応するように前から後ろへ徐々に小さくなってもよい。流出水の品質を確保するために、最後のろ過層に位置する微生物ろ過膜3は、効率的に分離し且つろ過する機能を持つカーテン式有機ろ過膜である。
【0035】
水が迂回してゆっくり流れる用水路2の幅及び深さが確定された後、各ろ過ユニット4の大きさは、互いに隣接している2つの微生物ろ過膜3の距離によって決定され、微生物ろ過膜3の数量を増加する(つまり、互いに隣接している2つの微生物ろ過膜3の距離を縮める)ことまたは微生物ろ過膜3の自身の厚さを上げることによって、水質浄化の機能を向上させることができ、または、該2つの手段の組み合わせによって水質浄化の機能を向上させることができる。
【0036】
一般的には、水中の有機物汚染濃度CODが150mg/Lを超えると、植物の成長に不利となり、水生動物も生存することが難しい。従って、システムが動作するプロセスにおいて、最後の排水口13からの浄化された流出水の一部を希釈用水として汚水調節プール22に加えて再利用する。汚水調節プール22の汚水を有機物汚染濃度CODが150mg/L以下になるように希釈すること(従来の汚水処理プロセス中での最後のエコ水の希釈プロセスを繰り上げることに相当する)は、大規模光キャプチャバイオリアクター内での全ての生物反応プロセス及び汚水中の資源のリサイクルに非常に有利である。
【0037】
一般的に、水面に植えられている植物5は陸生であって、水を好む根系が特に細かく密集している植物であり、これらの細かく密集する根系は、水中で成長の長さが一般的に90センチメートル以上に達し、これらの植物は、一度植えれば何度も収穫できる特性を有することが好ましい。水面に植えられている植物5は、徐々に浄化される水質に基づいて品種を適切に調整してもよい。同様に、各ろ過ユニット4で高密度養殖されている水生動物6は、徐々に浄化される水質に基づいて品種を適切に調整してもよい。例えば、最上の初期生物反応平面ろ過層1の迂回してゆっくり流れる用水路2の前の部分において、ろ過ユニット4の水中で高密度養殖される水生動物6は、より高い有機物汚染濃度に適応できる品種が要求される。一般的に、主にはタウナギ、ドジョウ及びハクレン等のより高い濃度の汚水環状下で素早く成長可能な捕食性水生動物を含み、後に、徐々にハクレン及びコクレンなどの懸濁物食水生動物等に取り替える。
【0038】
各ろ過ユニット4の水中の植物の根系及び微生物ろ過膜中の微生物7は、自然に生まれるものである。特定の要求がある場合、要求に応じて1つまたは複数のろ過ユニット4中に機能微生物を添加または抑制してもよい。
【0039】
植物育成ライト8の発光光源は、植物に対する最適な照射距離は50センチメートルであるので、水面に植えられている植物5の上方に吊り下げられる植物育成ライト8の高さは、調節することによって50センチメートルの最適な照射距離に常に維持させることができ、これにより、最良な光キャプチャ効果が生成される。植物育成ライト8は、省エネルギー且つ、寿命が長いLEDライトを採用し、且つ植物の光合成を促進することに最も有利である赤いライトと青いライトとの組み合わせを採用する。植物育成ライト8は、一般的に、24時間照射し続け、植物を誘導して光合成を24時間行わせ、酸素を釈放し、植物の成長を加速させ、水質浄化の効率を向上させる。
【0040】
互いに隣接している平面生物反応層の間において、浄化が必要な水9が排水溝14を介して上から下まで流れるすき間以外に、平面生物反応層の間は隔絶されている。
【0041】
互いに隣接している平面生物反応層の間の高さは、2.5メーターから3メーターの間であり、生物反応平面層ろ過層1の上に設置され、水が迂回してゆっくり流れる用水路2の深さは、約1.2メーターであり、植物育成ライト8の発光光源にておいて、植物に対する最適な照射距離は50センチメートルであるので、一般的に、水面に植えられている植物5の高さは、1メーターから1.5メーターである植物を選択することが好ましい。高さが1.5メーターを超える特定の植物を選択する際には、互いに隣接している平面生物反応層の間の高さを大きくする必要がある。
【0042】
単位時間当たりの浄化が必要な水9の量と、大規模光キャプチャバイオリアクターの高さとにより、選択されたポンプ10の出力が決定される。ポンプ10を設置する際、送水管11による抵抗力を考慮すべきであり、計算する際には、水を送る揚程を適切に高めてポンプ10の出力が十分になるように確保することができる。
【0043】
浄化が必要な水9が最上層の平面入水口12に送られて迂回してゆっくり流れる用水路2に入る位置は、水が流れる用水路2の正常運行水平面の上方であり、このように、浄化が必要な水9が流れる用水路2に入るプロセスは、実際には酸素を増加させるプロセスとなる。
【0044】
浄化が必要な水9は、水が流れる用水路2中で本生物反応層の最後のろ過ユニット4の溢出排水口13に流れて傾斜式の排水溝14に入ると、該層の生物反応ろ過は完了する。平面入水口12と、溢出排水口13との湧出量の差は小さい。これにより、同じ生物反応層の水の用水路2での流速を緩くし、生物反応時間を延ばし、生物反応ろ過の効率を向上させることができる。
【0045】
排水溝14は上から下へ徐々に狭くなる構造であるので、溢出排水口13から落ちた水がギャップによって位置エネルギーを蓄積して排水溝14の末端で羽根車15を回転させて発電機16を動作させることができる。発電機16による電気が植物育成ライト8の電源になる。
【0046】
同じ生物反応層において、浄化が必要な水9が平面入水口12から溢出排水口13まで流れる際、本層の全てのろ過ユニット4を通り、水が適切に浄化される。次いで、水は排水溝14を流れて次の平面層入水口12に入って、上層の漸進式な濾過と浄化のプロセスを継続して深める。しかし、この時、浄化が必要な水9は既に上層の水と異なるため、各生物反応層のろ過ユニット4中の水面に植えられている植物5と水中に高密度で養殖されている水生動物の品質を適切に調整する必要がある
【0047】
最後の生物反応層に接近すればするほど用水路2を流れる水質はよい。微生物濾過膜3の材料は、既に効率的な分離濾過機能付きのカーテン式有機濾過膜または類似する材料であり、この際、各ろ過ユニット4の水面に植えられている植物5と高密度で養殖されている水生生物6の品質はさらによくなっており、経済的な価値も上がる。
【0048】
バイオリアクターの各平面生物反応層1は、密封にされて、平面生物反応層1毎に、二酸化炭素の注入口17と独立して二酸化炭素のバルブが設置され、本生物反応層の二酸化炭素に対する必要に基づいてバルブを開閉してもよい。植物育成ライト8は、水面に植えられている植物5を24時間連続照射し、植物を誘導して24時間連続して光合成を行わせる。植物の光合成には充分な二酸化炭素が必要であるので、植物の成長を確保して水質浄化を加速できるよう、密封のリアクターの中に適時適量な二酸化炭素を加える必要がある。
【0049】
水面に植えられている植物5の市場で金銭化できない部分、つまり傷んでいる葉と根、及び高密度で養殖されている水生動物6の損傷している及びと正品のスクラップを全て地面層のメタンガス発生タンク18に収集してバイオガスを生成させる。メタンガスをメタンガス発電機セット19に送って発電させ、植物育成ライト8と及びポンプ10に給電する。メタンガス発生タンク18から生成されたバイオガス発酵残渣は有機肥料になり、バイオガス発酵残液に浄化が必要な水9を混入した後、バイオリアクターに注入して再度処理を行う。
【0050】
メタンガス発電機セット19がバイオガスを燃焼する際、生成された二酸化炭素を収集して、二酸化炭素パイプ17に注入した後大規模の光バイオリアクターに送り、資源として利用する。
【0051】
バイオリアクターの建物の外壁及び頂面にある太陽光発電と風力発電システム20による電力を、植物育成ライトとポンプ10に給電する。
【0052】
バイオリアクターの各生物反応層は密封にされており、独立した構造であり、各生物反応層にはそれぞれ制御可能な通気口21が設置されていて、運営、メンテナンス及び管理に便利である。大規模な光バイオリアクターのメンテナンスは、一層ずつ徐々に行う。ある1つの生物反応ろ過層で、種まき、収穫、季節の変更、漁獲、装置の交換などのメンテナンス措置を行う場合は、前の一層或いは前の多層の生物反応に影響は与えないが、間接的に次ぎの一層或いは次ぎの多層の生物反応ろ過の圧力を増加させる。
【0053】
バイオリアクターの地下層は汚水調節プール22であり、大規模光バイオリアクターが高濃度有機汚水を処理する際特に必要とする。調節プール22は漏洩防止の対策を採用し、汚水が調節プールに流れる前にグリッド23によって物理的なろ過が行われ、大きな粒子の汚染物質が大規模光バイオリアクターに流れ込んで、水質の浄化効果に影響を与えることを防止する。
【0054】
大規模光バイオリアクターを飲用水の浄化或いは水産物養殖に使用される場合、汚水調節プール22及びグリッド23の一部は省略でき、他の一部分の機能も相応的に調節してもよい。
【0055】
大規模光バイオリアクター中、水面に植えられている植物5、水生動物6、微生物7の代謝プロセスは、生物反応の重要な部分である。反応溶液は、浄化が必要な水9、反応に必要な7つの要素である浄化が必要な水の栄養物質、水面に植えられた植物5、水生動物6、微生物7、植物育成ライト8により出射された光、光合成により生成された酸素、及び添加された二酸化炭素が必要である。その中で、光、酸素及び二酸化炭素は、生物反応プロセスにおいて強い触媒効果をもたらす。植物育成ライト8により24時間連続照射された光は、主要な触媒要因であり、同時に、光、酸素及び二酸化炭素が反応容器内で継続して循環利用される(この際、光の循環は、植物が生成したメタンガスによる発電を介して実現される)。
【0056】
バイオリアクター内の光合成作用のプロセス中、排出された酸素は、重要な生物反応触媒であり、酸素は三種類の方式で浄化が必要な水9に入って生物反応プロセスに参加する。一方で、反応溶液と浄化が必要な水9が各層から次の層に落ちるプロセスは発電のプロセスであり、即ち酸素を増やすプロセスである。水生動物6は、水が迂回してゆっくり流れる用水路2から充分な酸素と食物を獲得して浄化が必要な水9の栄養成分を蛋白質に転化する。もう一方で、水面に植えられている植物5は、植物育成ライト8から出射された光の連続照射により誘発された連続光合成作用によって、水面に植えられている植物5の根系は、酸素を連続して浄化が必要な水9に送り、根の共生微生物7を刺激して繁殖速度を加速させ、浄化が必要な水9のグレート分子の捕捉と分解を加速させて、水面に植えられている植物5が直接に吸収できる栄養に転化する。さらにもう一方で、浄化が必要な水9が流動する用水路2中で緩やかに流れるプロセスにおいて酸素が水に入る。このプロセスと同時に、生物の全プロセスにおいて効果的に酸素を均一に分散させて、生物反応を完全にさせる。
【0057】
バイオリアクターの反応プロセスはほとんど密封されているため、バイオリアクター内の食物連鎖における全体の生物量は、バイオリアクターを流れる浄化が必要な水9の浄化レベルと添加された二酸化炭素との和の間に、物質とエネルギーのバランスが存在する。全体のバイオリアクター内の食物連鎖の生物量は2倍に増加されているが、バイオリアクター内の浄化が必要な水9からの各種の栄養物質と添加された二酸化炭素が原因である。水質浄化の目的として大規模光バイオリアクターを使用する場合、主要な産物は浄化された水であり、バイオリアクター中で収穫された他の生物(水面に植えられている植物5、水生動物6)は、生物反応プロセスの副産物であり、副産物の経済的な価値は、現在の状況下で一定のレベル、主要産物より高い可能性がある。
【0058】
実施例
【0059】
3つのレベルの浄化処理排水基準において、レベル基準が一級Aであって、毎日一万トンの生活汚水を処理するプロジェクトを例として説明する。現在比較的によく使用されている技術を利用すると、一般土地利用面積は2万平方メートルが必要であるが、大規模光バイオリアクターを使用すると、3500平方メートル(50×70m)のみ必要である。五層のリアクターの建築面積は、12000(40×60×5)平方メートルであり、大規模光バイオリアクターの容積(密封式の建物の高さは、15メートル)は、3.6万立方メートル(40×60×15)である。また、大規模光バイオリアクターの捕捉設備及び発電機セット等、見積もられた総投資額は、約0.230.3億元になる(土地代を含まず)。
【0060】
大規模光バイオリアクターの各生物反応ろ過層の総面積は、約60m×40mであり、深さが1.2mであり、幅が2mであり、長さが60mである用水路が20本(幅が40mのろ過層を20等分する)構築されている。本層の用水路は、水の流入口から出口まで迂回しており、首尾が接続されているが、その長さは、1200m(20m×60m)である。用水路内には、2メートルの間隔毎に微生物ろ過膜が設置されており、用水路を600本のろ過ユニットに分割する。各生物反応ろ過ユニットの容積は、4.8立方メートル(長さ2メートル、幅2メートル、深さ1.2メートル)である。この600つのろ過ユニット中に、水面に植えられている植物と養殖されている水生動物が存在する。
【0061】
この五層の反応層の大規模光バイオリアクターにおいて、全ての用水路の総長は、6000mであり、3000個の生物反応ろ過ユニットを有する。生物の反応容積は、14400立方メートル(4.8立方メートルの生物反応ろ過ユニットが3000個)である。
【0062】
管理及びメンテナンスを行う職員は、制御室の機器のモニターによって各層の温度、湿度、反応層空気中の二酸化炭素の含有量などを監視でき、操作マニュアルの要求に基づいて、管理及びメンテナンスを行う。モニターによって、各層の植物の高さを監視し、植物育成ライトと植物の間の距離を適切に調節する。
【0063】
大規模光バイオリアクターの管理と運営に必要な人数は20人(24時間中、3組に分かれる)であり、一人の年俸を3.6万元と計算すると、毎年の人件費は72万元になり、補助電力、交通運送、設備のメンテナンス及びその他のコストを毎年156万元と見積もると、毎年の運営費用の合計は約228万元になる。従来型の技術によって、毎日1万トンの生活汚水を処理する場合、費用を1立方メートル当たりに1元と計算すれば、毎年の運営費用は365万元である。大規模光バイオリアクターがろ過水の落差による位置エネルギーを利用して発電し、且つ生物の発電、建物に設置されている太陽光発電や風力発電を利用するため、日常運営において必要とする電力は基本的に自給自足である。したがって、大規模光バイオリアクターを利用する外部エネルギーは、従来の設備の1割である。運営費用は、従来の方法より137万元節約できる。
【0064】
大規模光バイオリアクターは、運営のプロセスにおいて経済的利益を生み出す。生物反応に用いられる水面に植えられる植物の面積は約8000平方メートルであり、1平方メートルの湿地に植えられる植物当たり40キロの植物を産出できる(埋め込み式トレーの上の部分が20キロであり、下の部分が20キロである)、埋め込み式トレーの上の部分の20キロの植物を1キロ当たり5元と計算すれば、1平方メートル当たり100元の経済的利益が生み出される、毎年販売可能な160トンの植物の生産は80万元になる。水産養殖の水は、約1万立方メートルであり、1立方メートル当たり100キロの水産品を生産するとすれば、毎年1000トンの水産品を生産し、1キロ当たり6元の経済的利益(高付加価値の濃縮有機肥料を生産することに用いられる)と計算すると、年間の水産価値は、約600万元になり、毎年大規模光バイオリアクターの運営の総収入は680万元になる。従来の技術は、経済的な利益を生み出すことができないだけでなく、汚泥処理の費用も必要である。
【0065】
最後に、以上の実施例は、ただ本発明の技術を説明するためのものであり、制限するものではない。実施例を挙げて本発明を詳しく説明したが、当技術分野の技術者なら、本発明の技術考案に対して修正及び変更を行っても、本発明の技術提案の趣旨及び範囲に逸脱せず、本発明の特許請求範囲内に含まれるべきであることを理解できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6