(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電部を巻回状態とした面状のコイル体を有し、磁石板に対面して配置され、(a)前記磁石板で形成される磁界と、前記導電部に流れる音響信号電流とによって発生する電磁力で、前記導電部を振動させて音を発生させる、又は(b)前記磁石板で形成される磁界と、音による前記導電部の振動とによって、該導電部に音響信号電流を発生させる電気音響変換器のボイスコイル振動板であって、
前記コイル体は、1又は面状に並列配置された複数の導電体からなる前記導電部と、該導電部を絶縁する絶縁部とを有し、前記各導電体及び前記絶縁部が巻回状態とされることにより、前記コイル体に分離され並列に配置された複数の巻回部が形成され、
前記各巻回部は、(1)隣り合う他の前記巻回部に対して少なくとも振動時に部分的に接触するように配置され、並列に配置された他の前記巻回部と可動連結部で連結され、又は(2)隣り合う他の前記巻回部と、該巻回部の巻回方向に断続的に接合部で接合されていることを特徴とするボイスコイル振動板。
請求項1記載のボイスコイル振動板において、前記コイル体の一面側に配置され、前記可動連結部が形成された支持体を有し、前記可動連結部は、前記巻回部に面していながら該巻回部に接合されない可動部と、該可動部の両端部で前記巻回部に接合される接合支持部とを有することを特徴とするボイスコイル振動板。
請求項1〜3のいずれか1記載のボイスコイル振動板において、前記導電部は並列配置された複数の前記導電体からなり、前記絶縁部を挟んで隣り合う前記導電体同士は、前記絶縁部で接合されていることを特徴とするボイスコイル振動板。
請求項1〜3のいずれか1記載のボイスコイル振動板において、前記絶縁部は、非駆動用導電体と、該非駆動用導電体の外周を覆う絶縁被膜からなることを特徴とするボイスコイル振動板。
【背景技術】
【0002】
従来のスピーカーの構造として最も一般的なコーン型スピーカーでは、ボイスコイルで発生した振動がボビンを経由し、さらに振動板を経由して音を発生する。厳密に言えば振動は、その他にもボイスコイルの絶縁体や様々な部品を接合している接着剤等を経由している。コーン型スピーカーの音質は、振動がこれらの様々な物質を経由し、伝搬する過程で悪化している。また、振動の伝搬は、位相遅れの振動や分割振動の原因にもなっていた。これに対して、例えば、特許文献1には、導電体(導電部)を巻回状態とし、面状としたボイスコイル振動板を用いたスピーカーが示されている。ボイスコイル振動板は振動を発生する導電体が駆動部であり、振動板でもある。従って、導電体の各部分で発生した振動は、他の部分に伝搬することなく、直接、音として放出させることが原理的に可能である。
【0003】
図18は、特許文献1に記載されているような円状のボイスコイル振動板を採用したスピーカー(電気音響変換器の一例)10Zの一部分で、動作原理を示す要部断面図である。スピーカー10Zで用いられるボイスコイル振動板20Zは、シート状の支持体40z上に巻回状態の導電体31zが隙間33zを設けて設置され、駆動力を発生する導電体31zと支持体40zが一体となったものである。
図18は、スピーカー10Zをボイスコイル振動板20Zの半径方向に沿って切断した断面の一部を示しており、導電体31zは隙間33zを設けて巻回状態とされることにより絶縁された構造となっている。なお、
図18の上方向と下方向を、それぞれ電気音響変換器10Z(ボイスコイル振動板20Z)の前方方向と後方方向としている。また、符号xはボイスコイル振動板20Zの表面に対して平行な導電体31zの幅方向(ボイスコイル振動板20Zの半径方向)を示し、yはボイスコイル振動板20Zの表面に対して垂直な導電体31zの振動方向(ボイスコイル振動板20Zの軸方向(前後方向))を示している。この構造では、支持体40zにおいて、導電体31zに面していない可動部42zと、導電体31zに接合された接合支持部43zが存在する。そして、ボイスコイル振動板20Zの後面側には、円板状の磁石板60Zが対向して設置されており、この磁石板60Zは、互いが平行となるように同心円上に配置された複数の帯状磁石65zで構成されている。このとき、各帯状磁石65zは軸方向(y方向)に磁化されており、軸方向かつ前方方向に磁化されたものと、軸方向かつ後方方向に磁化されたものが、磁石板60Zの半径方向に交互に並べられている。
【0004】
以上のように構成された磁石板60Zにより、導電体31zを横切る磁界が形成されるため、導電体31zに音響信号電流を供給することによって、導電体31zは電磁力を発生する。この電磁力により、スピーカー10Zは、導電体31zと支持体40zが一体化したボイスコイル振動板20Zを振動させ、音を発生させることができる。なお、符号85zは、非磁性体で形成され、磁石板60Zを後方から支持する後方フレームである。このボイスコイル振動板20Zを使用したスピーカー10Zは、導電体31zをボイスコイル振動板20Zのほぼ全域に配置させた構造であるため、ボイスコイル振動板20Zのほぼ全面が同位相で駆動され、良好な過渡特性が得られるという特徴を有している。
【0005】
この構造では、導電体31zがボイスコイル振動板20Zの半径方向(x方向)に隙間33zを設けて設置されているが、支持体40zの可動部42zは導電体31zに面していないため、可動部42zの剛性(スティフネス)が、支持体40zのその他の領域(接合支持部43z)の剛性よりも低くなっている。これにより、導電体31zは、y方向への変位(以下、前後方向変位という)が可能となって、本来の振動方向(ボイスコイル振動板20Zの表面に対して垂直方向)に振動できるようになっている。
しかしながら、この場合、可動部42zの剛性が低いため導電体31zは、導電体31zの幅方向(ボイスコイル振動板20Zの半径方向)であるx方向にも変位(以下、幅方向変位という)するようになり、導電体31zの振動が複雑化してバタツキと言われる異常振動を引き起こす大きな原因となっていた。
【0006】
また、
図18のような構造の場合、導電体31zは、磁石板60Zを構成している多くの帯状磁石65zの磁界の向きに合わせて配置する必要があり、巻回方向の反転も必要となる。従って、導電体31zをボイスコイル振動板20Z(支持体40z上)に等間隔に配置することができないだけでなく、軸対称に配置することもできない。その結果、ボイスコイル振動板20Zでは、導電体31zによる駆動力や可動部42zの剛性が均一にはならず、また、軸対称でもないため、これらも異常振動の発生につながっていた。特に、磁石板60Z(帯状磁石65z)の磁界の方向が反転する部分では磁界強度が低下して導電体31zを配置できなくなるため、可動部42zの領域が広くなる。そのため、剛性が低くなって導電体31zの幅方向変位が発生し易く、異常振動の大きな原因となっていた。
【0007】
図18のような構造の場合、支持体40z全体を厚くして可動部42zの剛性を高くすれば異常振動を軽減できるが、駆動部(導電体31z)以外の物質が増加して音質が悪化するという問題が発生する。このように高音質化と異常振動の防止はトレードオフの関係にあり、理想的なスピーカーの実現は難しかった。
また、ボイスコイル振動板の面積や振幅が大きくなる程、幅方向変位の波及し合う範囲が広がって異常振動が発生し易くなる。スピーカーでは、再生する周波数が低くなる程、ボイスコイル振動板の面積を広くする必要があり振幅も大きくなるため、異常振動は、中音域用や低音域用のスピーカーを設計する上で、大きな問題となっていた。
【0008】
このような問題を解決するために、本発明者は鋭意研究して特許文献2の新しい電気音響変換器を開発し、特許権を取得した。特許文献2の電気音響変換器では、新たな磁界発生構造により、広い範囲に対して強い磁界を分布させることができ、また、導電体を配置できない領域が無いためボイスコイル振動板の全体に渡って導電体を均一に配置でき、巻回方向の反転もない。従って、ボイスコイル振動板の内周部と外周部に可動支持部(図示せず)を設けて前後方向変位を可能とすることにより、
図18における導電体31z配置時の隙間33z及び支持体40zの可動部42zを全て無くすことが可能となった。なお、この可動支持部は、コルゲーション等を設けることによって、ボイスコイル振動板(導電体31z)を幅方向に変位し難くしている。その結果、導電体を絶縁しながら密着させて接合したボイスコイル振動板を採用できるようになり、幅方向変位が原因となる異常振動を著しく減少させることが可能となった。そこで、本発明者は、導電体を絶縁しながら密着させて接合するボイスコイル振動板の製造方法を開発し、特許文献3を出願した。
【0009】
このようにして、広い面積のボイスコイル振動板が採用できるようになり、異常振動が発生し難い中音域や低音域を再生できるスピーカーが実現できた。即ち、全ての帯域に渡ってボイスコイル振動板を採用したスピーカーが実現できるようになった。
そして、本発明者は改良を重ねることにより磁石板の構成を簡素化する技術を確立し、特許文献4の特許権も取得した。
さらに、本発明者は、磁石板の表面に対し、傾斜した振動面又は垂直な振動面を有する立体的な形状のボイスコイル振動体を採用することによって、磁石の利用効率を向上させる方法も開発し、特許文献5を出願した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上説明したように、本発明者はこれまで、導電体を絶縁しながら密着させて接合したボイスコイル振動板を採用することにより、全ての帯域に渡ってスピーカーの異常振動等の問題を解決してきた。しかし、導電体から直接、音を放出させるというボイスコイル振動板の長所を理想的な状態で引き出し、さらに高音質化を図るためには、導電体で発生した振動を他の部分に伝搬し難くする必要があった。つまり、導電体の振動に対する拘束を減らし、コイル体の各部(導電体)が独立して(周囲に影響を及ぼすことなく)振動できるようにしなければならない。しかし、その対策として前述のように、単に可動部を有する支持体を設け、その剛性を低下させるだけでは、導電体が幅方向変位を引き起こし、それが原因となって異常振動を発生させる。従って、ボイスコイル振動板は全体に渡って剛性が低く、コイル体の各部の振動が相互に影響し難い構造であると同時に、さらに、その状態でも導電体の幅方向変位を抑えることができなければならない。そのような、導電体の振動が他の部分に伝搬し難く、異常振動を発生し難い構造としたボイスコイル振動板が強く要望されていた。
本発明は、上記要望に応えるもので、導電部(導電体)の本来の振動方向への振動を維持しつつ、その他の方向への変位を抑えて異常振動を防止し、導電部の振動を他の部分に伝搬し難くすることによって、電気音響変換器の品質を向上させることができるボイスコイル振動板
及びそれを用いた電気音響変換器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的に沿う
第1の発明に係るボイスコイル振動板は、導電部を巻回状態とした面状のコイル体を有し、磁石板に対面して配置され、(a)前記磁石板で形成される磁界と、前記導電部に流れる音響信号電流とによって発生する電磁力で、前記導電部を振動させて音を発生させる、又は(b)前記磁石板で形成される磁界と、音による前記導電部の振動とによって、該導電部に音響信号電流を発生させる電気音響変換器のボイスコイル振動板であって、
前記コイル体は、1又は面状に並列配置された複数の導電体からなる前記導電部と、該導電部を絶縁する絶縁部とを有し、前記各導電体及び前記絶縁部が巻回状態とされることにより、前記コイル体に分離され並列に配置された複数の巻回部が形成され、
前記各巻回部は、(1)隣り合う他の前記巻回部に対して少なくとも振動時に部分的に接触するように配置され、並列に配置された他の前記巻回部と可動連結部で連結され、又は(2)隣り合う他の前記巻回部と、該巻回部の巻回方向に断続的に接合部で接合されている。
【0013】
ここで、ボイスコイル振動板(コイル体)は平面状で全体が円環状のものが一般的だが、外形を楕円や方形としても利用できる。ボイスコイル振動板が円環状で、導電部(導電体)が円形に巻回されている場合、導電体の幅方向は、ボイスコイル振動板の半径方向となる。導電部(導電体)の材質としては、銅、アルミニウム、銅クラッドアルミ、銀、金等の非磁性体の金属が用いられる。巻回部は、コイル体において、分離された単位の各部分を示しており、巻回状態を渦巻状とすることによって、周回の異なる巻回部が半径方向に並列に形成される。可動連結部は、コイル体に形成される各巻回部と、各巻回部と並列に配置された他の巻回部とを連結するものであればよく、必ずしも隣り合う(直近の)巻回部同士を連結する必要はない。つまり、コイル体において、各巻回部の要所が他の巻回部の要所と可動連結部で連結されることにより、互いに支持し合っていれば良い。例えば、可動連結部によって、2つの巻回部を連結する際に、途中に他の巻回部を跨いだ状態で連結しても良い。
【0014】
第1の発明に係るボイスコイル振動板において、前記コイル体の一面側に配置され、前記可動連結部が形成された支持体を有し、前記可動連結部は、前記巻回部に面していながら該巻回部に接合されない可動部と、該可動部の両端部で前記巻回部に接合される接合支持部とを有することが好ましい。
【0015】
ここで、支持体は、膜状(平板状)に形成されたものが好適に用いられるが、必ずしもコイル体の全面を覆っている必要はなく、コイル体を部分的に覆うものでも良いし、網状に形成したものでも良い。また、支持体は、複数に分割されていてもよく、帯状又は線状(紐状)等に形成したものを適宜、配置しても良い。さらに、支持体はシート状である必要はなく、糸状の繊維等を編んで面状や帯状等の所定の形状に形成したものも用いることができ、様々な形態が存在する。支持体の材料としては、高い伸縮性(弾性)を有するものとして、例えば、シリコーン樹脂、合成ゴム、又は天然ゴム等が好適に用いられる。また、繊維状の材料(素材)を編むことによって伸縮性を高めたもの等もある。但し、ボイスコイル振動板では、巻回部等の弾性を利用する場合があるため、必ずしも支持体が伸縮性を必要とするとは限らない。その他の支持体の材料として、例えば非磁性体であるポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂、若しくは合成繊維又は木質繊維等がある。なお、巻回部に面していながら巻回部に接合されない可動部については、平面視して巻回部と重なる領域に形成されるので、可動部を形成するために、隣り合う巻回部の間隔を拡げる必要はない。
【0016】
第1の発明に係るボイスコイル振動板において、前記接合部は、前記巻回部の巻回方向及び幅方向に対して千鳥状に配置されていることが好ましい。
【0017】
第1の発明に係るボイスコイル振動板において、前記導電部は、該導電部の一部又は全体に被膜を有することが好ましい。
ここで、導電部が複数の導電体で構成される場合、導電部の一部とは、いずれかの導電体の一部又は全体に被膜を有するものも含む。なお、ボイスコイル振動板の前面側は、導電体が露出した状態の方が音を導電体から直接放出させることができるので、音質的に有利である。このような理由により、駆動部として用いる導電体は、一般的には被膜を有していない方が好ましい。従って、隣り合う導電体の振動時の接触による摩擦を低減する目的で被膜を設ける場合等では、全ての導電体が被膜を有していなくても良いため、被膜を有する導電体と、被膜を有していない導電体を交互に並べる方法等を採用すると良い。また、導電体同士が接触する部分にのみ被膜を設けるような方法も採用できる。このようにして被膜を減らすことにより、音質の低下を抑えることができるが、導電体表面の錆びの防止のために被膜を設ける場合等では、全ての導電体に対して被膜を設ける必要がある。従って、駆動部である導電部に被膜をどの程度まで設けるかについては、被膜を設ける目的、改善効果、さらに音質への影響等を考慮して総合的に判断する必要がある。なお、絶縁被膜で覆われた導電体を駆動部として使用する場合は、絶縁被膜が上記の絶縁部となるので、別途、絶縁部を設ける必要がなくなる。被膜を有する導電体を使用する場合、被膜が音質に及ぼす影響内容は被膜の材質によって異なる。一般的に、高音質のためには被膜は薄くて軽く、また、硬質な方が良い。絶縁被膜として、ポリエステル被膜やポリウレタン被膜が多く用いられているが、硬質なジルコニア等のセラミックを用いることにより音質への影響を少なくできる。また、導電体であるアルミニウム線の表面に陽極酸化被膜を形成(所謂アルマイト処理)する方法では、薄くて硬質な絶縁被膜を得ることができる。
【0018】
第1の発明に係るボイスコイル振動板において、前記導電部は並列配置された複数の前記導電体からなり、前記絶縁部を挟んで隣り合う前記導電体同士は、前記絶縁部で接合されていることが好ましい。
ここで、隣り合う導電体同士を絶縁部で接合する方法としては、絶縁体を両側から導電体で挟みながら接合する方法、隣り合う導電体の間に予め形成した溝(隙間)に絶縁体を充填しながら接合する方法等がある。なお、絶縁部を挟んで隣り合う導電体の断面積の合計は、他の絶縁部を挟まない各導電体の断面積と等しいことが好ましい。これにより、絶縁部によって接合された二本の導電体と、他の絶縁部を挟まない各導電体の機械的性質を揃えることができ、コイル体の各部(巻回部)の振動状態が均等化されて、ボイスコイル振動板の全面で均一な振動が得られる。
【0019】
第1の発明に係るボイスコイル振動板において、前記絶縁部は、非駆動用導電体と、該非駆動用導電体の外周を覆う絶縁被膜からなることが好ましい。
前記目的に沿う第2の発明に係る電気音響変換器は、第1の発明に係るボイスコイル振動板を用いている。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明に係るボイスコイル振動板では、分離されて隣り合う巻回部が、少なくとも振動時に部分的に接触するように配置され、他の巻回部と可動連結部で連結されているか、又は巻回方向に断続的に接合部で接合されている。このようにして、ボイスコイル振動板の全体としての剛性を低くしながら、各巻回部に幅方向(半径方向)の力が加わっても、隣り合う他の巻回部に阻まれるようにして各巻回部を幅方向に変位し難くしている。従って、各導電体の幅方向変位が主な原因となって発生していた異常振動が大幅に減少する。また、ボイスコイル振動板の全体としての剛性が低いため、各巻回部から他の巻回部への振動の伝搬が減少し、それによって、振動が伝搬する過程で生じる音質の劣化を減少させることが可能となる。さらに、振動の伝搬に伴って発生する位相遅れの音を減少させ、分割振動の原因ともなる固有振動の発生も効果的に防止することができる。
以上の結果、
第1の発明に係るボイスコイル振動板を用いた
第2の発明に係る電気音響変換器では、音の劣化を防ぎ、音質を大幅に改善することが可能となる。また、面状に並列配置された複数の導電体からなる導電部では、複数の導電体を電気的に並列に接続することにより、ボイスコイル振動板として所定のインピーダンスを維持しながら各導電体の断面積を小さくすることができる。このようにして、断面積を小さくした導電体を採用することにより、各導電体の内部で振動の伝搬が減少し、電気音響変換器としての音質を向上させることができる。
【0021】
コイル体の一面側に配置され、可動連結部が形成された支持体を有し、可動連結部が、巻回部に面していながら巻回部に接合されない可動部と、可動部の両端部で巻回部に接合される接合支持部とを有する場合、支持体の接合支持部を巻回部(導電体又は絶縁部)の要所に接合するだけで、巻回部の設置状況に拘束されることなく独立して振動し易くした可動部を簡単に形成できる。このようにして設けた可動部により、ボイスコイル振動板の剛性を低くして、各巻回部から他の巻回部への振動の伝搬を効果的に減少させることができる。可動部は、巻回部に面していながら巻回部に接合されずに可動となっているので、可動部の領域を確保するための支持体の面積拡大や導電部の領域縮小を行う必要がなく、また、巻回部の間隔を拡げる必要もなくなる。従って、ボイスコイル振動板の体積及び音の放射面において、導電部の占める割合を最大限にまで高めることができるようになる。これにより、スピーカーに用いた場合の音への変換効率を著しく向上させることができると共に、高音質化が可能となる。
【0022】
接合部が、巻回部の巻回方向及び幅方向に対して千鳥状に配置されている場合、ボイスコイル振動板の剛性を低く維持しながら、巻回部の幅方向に対して全ての隣り合う巻回部間に接合部を設けることが可能となる。また、接合部によって隣り合う巻回部同士が確実に固定されるため、異常振動の原因となっている各巻回部の幅方向変位が効果的に抑えられ、さらに、各巻回部で位置ずれが生じたとしても、その位置ずれがコイル体の他の部分に波及することも防止される。従って、ボイスコイル振動板全体の位置ずれによる変形等の障害の発生を効果的に防止できる。特に、低音域を再生するスピーカーで用いられるボイスコイル振動板は、面積が大きいだけでなく振幅も大きくなり、巻回部の位置ずれ(変形)自体が発生し易くなるが、上記構造により、巻回部の位置ずれ及びその波及(拡大)を食い止めて、上記障害の発生を防止することができる。
【0023】
導電部の一部又は全体に被膜を有する場合、導電部表面の錆びを防止できる他、被膜の材質を選択することにより、振動時の各巻回部と、隣り合う他の巻回部との間の摩擦を減少させることができる。また、各巻回部と他の巻回部とを可動連結部で連結する際、又は各巻回部と隣り合う巻回部を部分的に接合部で接合する際に、接着剤等による接着力を強化することができ、ボイスコイル振動板の耐久性及び動作の安定性を向上させることができる。
【0024】
導電部が並列配置された複数の導電体からなり、絶縁部を挟んで隣り合う導電体同士が、絶縁部で接合されている場合、絶縁部は導電体に挟まれて保護される。このように、絶縁部の周囲(外部)への露出が減少するので、導電体が振動しても絶縁部の剥がれや欠損の心配が少なくなる。そのため、絶縁部を極めて薄く形成することが可能となり、絶縁部が音質に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
【0025】
絶縁部が、非駆動用導電体と、非駆動用導電体の外周を覆う絶縁被膜からなる場合、薄い絶縁被膜の採用により、絶縁部と、各導電体の機械的性質が近くなる。従って、コイル体の全体を均質化することができ、コイル体の全体を導電部(導電体)のみで構成したものとみなすことが可能となり、ボイスコイル振動板の設計や取り扱いが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)に示す電気音響変換器10は、本発明の第1の実施例に係るボイスコイル振動板20が、後述する磁石板60の前面側に磁石板60に対向して配置されたものである。このとき、ボイスコイル振動板20の軸方向が電気音響変換器10の前後方向である。なお、
図1(A)の上方向と下方向を、それぞれ電気音響変換器10(ボイスコイル振動板20)の前方方向と後方方向とし、左右方向を電気音響変換器10(ボイスコイル振動板20)の幅方向(半径方向)としている(以下の
図3、
図4、
図6、
図8、
図9、
図12、
図16、
図17において同じ)。本実施例に係るボイスコイル振動板20を用いた電気音響変換器10は、低音域まで再生できるスピーカーとして好適である。
まず、ボイスコイル振動板20は、
図2に示すように、面状で円環状(リング状)に形成されたコイル体30を有しており、このコイル体30は、
図3に示すように、面状に並列配置され電気的に並列に接続された複数(本実施例では9本)の導電体31からなる導電部32と絶縁部33により、渦巻状の巻回状態が形成されたものである。この渦巻状の巻回状態によりコイル体30には、内周と外周との間で分離され並列に配置された複数の巻回部34が形成される。よって、各巻回部34は、それぞれ導電体31又は絶縁部33で構成される。ここで、導電部32と並列に絶縁部33が配置されているが、導電部32の中で幅方向に隣り合う導電体31は全て電気的に並列に接続されているので、各導電体31の間を絶縁する必要はない。これにより、隣り合う導電体31同士は接触状態又は微小な隙間を空けて配置することができる。以上のようにして、各巻回部34(各導電体31又は絶縁部33)は、隣り合う他の巻回部34に対して、少なくとも振動時に部分的に接触するように配置される。
【0028】
図1(A)、
図2に示すように、9本並列に配置された導電体31の内周側端部には内周側端子38が電気接続され、外周側端部には外周側端子39が接続されている。本実施例では、コイル体30の内径を40mm、外径を140mmとし、導電体31として断面が直径100μmの円形状に形成された銅クラッドアルミ線を用いた。また、本実施例では、絶縁部33として、断面が直径80μmの円形状に形成された銅クラッドアルミ線で、外周を厚さ6μmのポリウレタン絶縁被膜で覆ったものを用いた。そして、9本の導電体31を絶縁部33と共に並列として渦巻状に巻回し、9本の導電体31を電気的に並列に接続することにより、ボイスコイル振動板20のインピーダンスを約5Ωとした。導電体31の断面積を小さくする程、スピーカーとしての音質が改善されるが、本実施例のように、電気的に並列に接続する導電体31の数を増やすことにより、ボイスコイル振動板20として所定のインピーダンスを維持しながら各導電体31の断面積を小さくすることが可能となる。このようにして、各導電体31内での振動の伝搬を少なくすることにより、スピーカーに用いた場合の音質を向上させることができる。
【0029】
ボイスコイル振動板20は、
図3に示すように、コイル体30の一側(
図3では下方であり、ボイスコイル振動板20の後面側)に配置され、コイル体30の後面側の全面を覆う薄膜状の支持体40を有している。支持体40には、各巻回部34と他の巻回部34を連結する可動連結部41が形成されている。この可動連結部41は、巻回部34に面していながら巻回部34に接合されない可動部42と、可動部42の両端部で巻回部34に接合される接合支持部43を有している。支持体40の材質としては、例えばシリコーン樹脂が用いられ、各巻回部34と接合支持部43は、シリコーン樹脂からなる相互接合部44によって接合されている。
【0030】
次に、ボイスコイル振動板20と共に用いられる磁石板60について説明する。
まず、
図1(A)、(B)に示すように、磁石板60の中心領域には円筒状のネオジム磁石を用いた中心領域磁石61が配置されている。中心領域磁石61の寸法は、例えば外径60mm、内径32mm、厚さ(軸方向寸法)16mmである。そして、中心領域磁石61の外周には基本領域磁石62が配置されている。基本領域磁石62は、ネオジム磁石を用いた全24個の小磁石62’で構成されており、各小磁石62’は平面視して内周側(中心領域磁石61側)が上底となり、外周側が下底となるように台形状に形成されて中心領域磁石61の周囲(外周)に放射状に配置されている。なお、円環状(リング状)に形成されたボイスコイル振動板20は、振動時に内周側端部と外周側端部の中間位置で最大の変位(振幅)が発生するような波状に変形する。よって、振動時にボイスコイル振動板20と基本領域磁石62が接触(干渉)しないように、ボイスコイル振動板20の振動時の形状に合わせて、各小磁石62’の上面に窪みを設けている。各小磁石62’の寸法は、例えば平面視して上底4.4mm、下底14mm、高さ(半径方向寸法)33mmの台形状で、最大厚さ(軸方向寸法)16mmである。
【0031】
磁石板60の基本領域磁石62の周囲(外周)には、外周領域磁石63が配置されている。外周領域磁石63は、直方体状に形成されたネオジム磁石を用いた全24個の小磁石63’を基本領域磁石62の周囲(外周)に放射状に配置したものである。各小磁石63’の寸法は、例えば平面視して縦(半径方向寸法)10mm、横(円周方向寸法)14mmの長方形状で、厚さ(軸方向寸法)16mmである。このとき、基本領域磁石62において円周方向に隣り合う小磁石62’の間、及び外周領域磁石63において円周方向に隣り合う小磁石63’の間には、それぞれ音通過孔71となる開口(隙間)が形成されている。ここで、ボイスコイル振動板20と磁石板60の間隔は最も狭い部分を6mmとした。
なお、
図1(A)においては、説明の都合上、中心線の右側には小磁石62’を通る位置で切断した断面を示し、中心線の左側には音通過孔71を通る位置で切断した断面を示している。また、磁石板60の各部の形状及び寸法は、本実施例に限定されるものではなく、適宜、選択することができる。
【0032】
次に、電気音響変換器10の前方側には、
図1(A)に示すように、非磁性体で形成されて、ボイスコイル振動板20の外周部を後面側から支持するメインフレーム81が設置されている。また、中心領域磁石61の前方には、非磁性体で円板状に形成されて、ボイスコイル振動板20の内周部を後面側から支持する前方フレーム82が設置され、中心領域磁石61の中心孔には、非磁性体で円柱状に形成された中央フレーム83が挿通されている。さらに、外周領域磁石63の外周には、非磁性体で円筒状に形成された外周フレーム84が設置され、磁石板60の後方には、非磁性体で形成された後方フレーム85が設置されている。後方フレーム85には音通過孔86が形成されており、音通過孔71と連通して、ボイスコイル振動板20の後面側の音を電気音響変換器10の外部に放出させることができる。ここで、中心領域磁石61は、
図1(A)に示すように、磁石板60の軸方向かつ前方方向に磁化されている。基本領域磁石62(小磁石62’)は磁石板60の半径方向かつ中心方向に磁化されている。外周領域磁石63(小磁石63’)は磁石板60の軸方向かつ後方方向に磁化されている。
【0033】
中心領域磁石61に対しては、前方に押し出す磁力が働くため、前方フレーム82と後方フレーム85との間で挟むようにして固定している。外周領域磁石63に対しても、前方に押し出す磁力が働くため、メインフレーム81と後方フレーム85との間で挟むようにして固定している。前方フレーム82と中央フレーム83の間、中央フレーム83と後方フレーム85の間、メインフレーム81と外周フレーム84の間、外周フレーム84と後方フレーム85の間はそれぞれ接合されているが、前記磁力が強力なため接合力が不足する場合にはボルト等を使用すると良い。基本領域磁石62を構成している小磁石62’に対しては後方フレーム85に強く押し付ける磁力が働いて固定されるため、特別な固定手段は用いていない。なお、後方フレーム85に対しては小磁石62’が押し付けられるため、後方フレーム85に設けた複数の開口部である音通過孔86は、小磁石62’が後方に抜け落ちないような形状と大きさにしている。
【0034】
以下、ボイスコイル振動板20を用いた電気音響変換器10の動作について説明する。
円環状のコイル体30に対しては、磁石板60によって半径方向の磁界が形成されている。そして、渦巻状に巻回された導電部32の各導電体31に、内周側端子38と外周側端子39より音響信号電流が供給されることによって各導電体31に電磁力が発生する。磁石板60によって形成される磁界のうち、ボイスコイル振動板20の表面に対して平行な磁界成分が、ボイスコイル振動板20を前後方向に振動させて音を発生する。このとき、導電体31の機械的性質と絶縁部33の機械的性質が大きく異なると、導電体31の振動時に可動連結部41が破れたり、絶縁部33と接合支持部43を接合している相互接合部44が剥がれたりして、ボイスコイル振動板20が破損する場合がある。ここでは、絶縁部33の機械的性質を導電体31の機械的性質に近付けるために、先に説明したように、導電体31と同じ材質の非駆動用導電体を薄い絶縁被膜で覆って絶縁部33として使用した。このようにコイル体30において各巻回部34の機械的な性質を揃えることにより、ボイスコイル振動板20の破損を防止することができる。特に、低音域まで再生するスピーカーではボイスコイル振動板20の振幅が大きくなるので、コイル体30(巻回部34)の機械的な性質を均一化することは有効である。なお、絶縁部33には、絶縁被膜による音質への影響を考慮して音響信号電流を流していない。
【0035】
ボイスコイル振動板20は可動連結部41(可動部42)の剛性が低く、各巻回部34が独立して振動し易くなっているため、隣り合う巻回部34間では振動によって前後方向変位に差が生じる。隣り合う巻回部34間は、前後方向変位に差が生じて互いが接触した状態になると、摩擦により元の位置に戻り難くなって位置ずれを引き起こす可能性がある。特に、低音域まで再生できるスピーカー用のボイスコイル振動板20では、振幅が大きくなって波状の変形が大きくなる。その場合、隣り合う巻回部34間の前後方向変位の差も大きくなって、それぞれが所定の位置に戻らなくなる可能性がある。従って、本実施例では、各巻回部34の間に遊びとなる平均6μm程度の隙間を設けて、各巻回部34を所定の位置(元の位置)に納まり易くしている。なお、この隙間の大きさは、各巻回部34が、少なくとも振動時に、隣り合う他の巻回部34に部分的に接触しながら振動可能な範囲で決定するが、各巻回部34の直径や振幅等に応じて、適宜、選択することができ、均一である必要もない。
このように構成したボイスコイル振動板20は、巻回部34に幅方向の力が加わっても、各巻回部34が隣り合う他の巻回部34に接触して、幅方向への移動が阻まれる。このため、ボイスコイル振動板20は全体として剛性が低いにも関わらず、従来のボイスコイル振動板で問題となっていた幅方向変位が発生し難い。この幅方向変位の防止機能によって、各巻回部34の幅方向変位が主な原因となって発生していた異常振動を大幅に減少させることができる。
【0036】
なお、ボイスコイル振動板20を振動板として有効に機能させるためには、ボイスコイル振動板20の前面側と後面側との間で空気の流通を遮断する必要がある。低音域まで再生できるボイスコイル振動板20は振幅が大きくなり、隣り合う巻回部34間で前後方向変位の差も大きくなって隙間が発生するが、ボイスコイル振動板20の後面側に膜状の支持体40が配置されていることにより、空気の流通を確実に遮断することができる。
また、可動連結部41の可動部42は、巻回部34に接合されておらず、それによって巻回部34を独立して振動(可動)し易くしている。このようにして、隣り合う巻回部34同士が互いに接触し合うような間隔の巻回状態であるにも関わらず、ボイスコイル振動板20全体の剛性を著しく低下させることができ、それによってこれまでにない高音質を実現している。高音質化のためには、可動連結部41(可動部42)の剛性を低くすることが好ましいが、可動連結部41の剛性を適正に設定するに当たって、可動部42の長さ(隣り合う接合支持部43同士の間隔)、厚さ、硬さは適宜、選択することができる。また、高音質化のためには駆動部である導電体31以外の物質の質量と体積はできるだけ小さくすることが望ましく、可動連結部41(支持体40)は薄い方が良い。
【0037】
さらに、ボイスコイル振動板20の振幅が大きくなる場合は、隣り合う巻回部34間で生じる前後方向変位の差が大きくなるが、そのような場合でも支持体40の低い剛性を維持させるために、可動部42の長さを充分に確保しておく必要がある。これらの条件を満たすために本実施例では、
図3に示すように、支持体40の半径方向寸法の半分を可動部42の長さとして確保した。即ち、可動部42と接合支持部43のそれぞれが支持体40に対して占める割合を50%ずつとした。また、支持体40を構成しているシリコーン膜は、ショア硬さHS(JIS B7727に準拠して測定)を約15とし、厚さを8μmとした。なお、相互接合部44は、接合支持部43を巻回部34に接合する機能のみを有する駆動部以外の物質であるので、高音質化のためには接合が外れない範囲でその使用量をできるだけ少なくした方が良い。従って、支持体40と相互接合部44の材質が同じシリコーン樹脂である場合、支持体40を形成する際に巻回部34に対して直接的に接合することができれば、相互接合部44を別途、設ける必要はない。
【0038】
以上のようにして、ボイスコイル振動板20は、各導電体31から他の導電体31又は絶縁部33への振動の伝搬を減少させて音質の大幅な改善を実現している。さらに、低音域の再生によりボイスコイル振動板20の振幅が大きくなっても、低い剛性を維持して音質の悪化を防ぐことができ、また、支持体40の裂けも発生し難くなっている。このようなボイスコイル振動板20の採用により、電気音響変換器10は、導電体から直接、音を放出させるというボイスコイル振動板の本来の特長を最大限に生かせるようになった。なお、本実施例では、中心領域磁石61,基本領域磁石62,外周領域磁石63の3種類の磁石を組合せて磁石板60を構成したが、磁石板の構成はこれに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。また、電気音響変換器の各部のサイズを変更してマイクロホンとして使用する場合は、音によりボイスコイル振動板を振動させるようにする。それによって導電体に起電力が生じるため、内周側端子と外周側端子から音響信号電流として取り出すことができる。
【0039】
続いて、本発明の第2の実施例に係るボイスコイル振動板20Aについて説明する。なお、第1の実施例と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示す電気音響変換器10Aは、本発明の第2の実施例に係るボイスコイル振動板20Aが、磁石板60Aの前面側に対向して配置されたものである。
ボイスコイル振動板20Aが、第1の実施例と異なる点は、
図5、
図6に示すように、コイル体30aを構成する導電部32aが、並列に配置され電気的に並列に接続された3本の導電体31からなり、膜状の支持体40の代わりに、複数(本実施例では20本)の紐状(線状)の支持体40aが、等角度間隔で放射状に設置されている点である。また、ボイスコイル振動板20Aと共に用いられる磁石板60Aが磁石板60と異なる点は、基本領域磁石62aを構成する各小磁石62a’の上面が平坦状に形成され、外周領域磁石63aが1つのネオジム磁石で円筒状に形成されている点である。
なお、
図4においては、説明の都合上、中心線の右側には小磁石62a’を通る位置で切断した断面を示し、中心線の左側には音通過孔71を通る位置で切断した断面を示している。
【0040】
支持体40aは、
図5、
図6に示すように、各巻回部34と他の巻回部34を連結する可動連結部41aを有している。そして、可動連結部41aは、巻回部34に面していながら巻回部34に接合されない可動部42aと、可動部42aの両端部で巻回部34に接合される接合支持部43aを有している。このとき接合支持部43aはシリコーン樹脂からなる相互接合部44aによって巻回部34に接合されるが、この相互接合部44aは、
図6に示すように、隣り合う2本の巻回部34を部分的に接合する接合部でもある。つまり、隣り合う2本の巻回部34の間に形成される溝(隙間)に対し、巻回部34の巻回方向に断続的に相互接合部44aを設け、支持体40a(接合支持部43a)と接合している。このように、隣り合う2本の巻回部34同士を相互接合部44aで部分的に接合することによって、互いの振動の伝搬を少なくしている。さらに、相互接合部44aによって接合支持部43aと巻回部34、及び隣り合う巻回部34同士を確実に接合するようにしている。これらの構成により、各巻回部34は、可動部42aによって前後方向への独立した(自由な)振動がし易くなると共に、少なくとも振動時に、隣り合う巻回部34に接触して、幅方向への移動が阻まれる。従って、実施例1と同様の作用、効果が得られる。
【0041】
ボイスコイル振動板20Aは、中音域用スピーカー、高音域用スピーカー、又はマイクロホンに好適に用いられ、その場合は、ボイスコイル振動板20と異なり、振幅が大きくならないため、隣り合う巻回部34間の前後方向変位の差も大きくならない。よって、ボイスコイル振動板20Aでは、各巻回部34の振動時に、隣り合う巻回部34との間に発生する隙間も少ないので、本実施例では膜状ではなく紐状の支持体40aを採用することができている。また、隣り合う巻回部34間で前後方向変位の差が大きくならないため、コイル体30aの形成時に、各巻回部34と隣り合う他の巻回部34との間に設ける隙間(遊び)も小さくすることができ、それによって隣り合う巻回部34間の空気の遮断効果を高めることができる。
【0042】
ここで、導電体31以外の物質となる支持体40aや相互接合部44a等については、高音質化のためには、その質量と体積をできるだけ減らし、また、導電体31との接触面積もできるだけ小さくすることが望ましい。本実施例のような紐状の支持体40aは、膜状の支持体40よりも全体の面積及び体積が小さく、導電体31が相互接合部44aを介して支持体40aと接触する面積も小さくなるので、音質面で有利になる。なお、複数の紐状(線状)の支持体40aの代わりに、予め網状に形成された支持体を用いても良い。また、本実施例のような紐状(線状)の支持体40aの他、帯状の支持体を用いても良い。但し、本実施例のように複数の支持体を放射状に配置すると、支持体の配置間隔は内周側の方が外周側よりも狭くなるため、ボイスコイル振動板20Aを全体として見たときに外周側に比べて内周側の剛性が高くなる。よって、内周側の幅が狭く外周側の幅が広い台形状の支持体を用いれば、ボイスコイル振動板20Aの全体としての剛性を均一化できる。なお、ボイスコイル振動板20Aは、前述のように、振動時の振幅が大きくならないので、その振幅に合わせて基本領域磁石62a(各小磁石62a’)の上面に窪みを設けても、窪みは非常に浅くなる。従って、基本領域磁石62a(各小磁石62a’)の上面は、製作の容易性を考慮して平坦状としている。
【0043】
次に、本発明の第2の実施例におけるボイスコイル振動板の変形例について説明する。なお、第1の実施例又は第2の実施例と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
先に説明した
図4において、磁石板60Aによって形成され、導電体31を駆動させる磁界の強度は、ボイスコイル振動板20Aの内周側と外周側で急激に低下することが分かっている。そこで、磁界強度が低い内周側及び外周側の領域における電流密度を、磁界強度が高い他(中間部)の領域における電流密度よりも低下させれば音への変換効率を向上させることができる。これに対応したのが、
図7〜
図9に示す第1の変形例のボイスコイル振動板20Bである。このボイスコイル振動板20Bがボイスコイル振動板20Aと異なる点は、内周側緩衝部21B、主振動部22B及び外周側緩衝部23Bの3つの領域からなるコイル体30bを用いており、内周側緩衝部21Bに対し、紐状の支持体40aの代わりに膜状の支持体40bを配置している点である。なお、内周側緩衝部21B及び外周側緩衝部23Bは、ボイスコイル振動板20Bの内周側と外周側で主振動部22Bの振動に対する緩衝部としての機能も有している。
【0044】
まず、内周側緩衝部21Bでは、
図8に示すように、導電部32bを構成する3本の導電体31及び絶縁部33の配置間隔をコイル体30a(
図6参照)よりも広くすることによって、導電体31の密度と共に導電部32bでの電流密度を低下させている。なお、内周側緩衝部21Bのように巻回部34(導電体31又は絶縁部33)の配置間隔を拡げた構造は、
図18の従来例と同様に、巻回部34の幅方向変位を発生させる要因となるが、内周側緩衝部21Bの面積が小さいため、その影響は殆どない。だが、外周側緩衝部23Bにおいても内周側緩衝部21Bと同様の構造を採用すると、主振動部22Bの全体が一緒になって幅方向に変位するようになるため、異常振動を発生し易くなる。そこで、外周側緩衝部23Bでは、
図9に示すように、3本の導電体31の間にそれぞれ導電体31と材質及び直径が同じ付加導電体31bを追加し、導電体31と電気的に並列に接続して導電部32cを構成することにより、導電部32cの断面積を増やして電流密度を低下させている。つまり、外周側緩衝部23Bでは、導電体31、付加導電体31b、及び絶縁部33を密着するように配置することにより、電流密度を低下させると共に巻回部34(導電体31、付加導電体31b、及び絶縁部33)における幅方向変位の発生を防止している。なお、主振動部22Bの構成はコイル体30a(
図6参照)と同様なので、説明を省略する。
また、ボイスコイル振動板20Aでは、複数の支持体40aを放射状に配置したことにより、支持体40aの内周側の配置間隔が外周側よりも狭くなり、ボイスコイル振動板20Aを全体として見たときに外周側に比べて内周側の剛性が高くなっていた。そこで、ボイスコイル振動板20Bでは、内周側緩衝部21Bに対し、支持体40aの代わりに、剛性の低い薄膜状の支持体40bを配置してボイスコイル振動板20Bの全体としての剛性を均一化すると共に、配置間隔を拡げた巻回部34間の空気の流通を遮断している。
【0045】
次に、
図10に示す第2の変形例のボイスコイル振動板20Cがボイスコイル振動板20Aと異なる点は、隣り合う支持体40aの間隔が各位置でできるだけ均一となるように、コイル体30aに対して、支持体40aの一部が枝分かれするように設置されている点である。ボイスコイル振動板20Aのように、全ての支持体40aが放射状に配置された場合に比べ、ボイスコイル振動板20Cでは、内周側の剛性の上昇を防ぐことができるため、音質を改善することができる。なお、支持体40aの数及び配置はこれに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。
【0046】
次に、
図11、
図12に示す第3の変形例のボイスコイル振動板20Dがボイスコイル振動板20Aと異なる点は、コイル体30dを構成する導電部32dが、方形断面を有した同一幅の2本の導電体31dと、導電体31dの幅に対して半分の幅で方形断面を有した2本の導電体31d’で構成され、絶縁部33dを薄い層状としている点である。隣り合うように並列に配置された2本の導電体31dと、その両側にそれぞれ並列に配置された2本の導電体31d’は、電気的に並列に接続されている。また、導電部32dを渦巻状とすることにより外周側の導電体31d’と内周側の導電体31d’が隣り合うようになるが、絶縁部33dをその2つの導電体31d’の間に挟んで2つの導電体31d’同士を接合し絶縁することにより1つの巻回部34としている。ボイスコイル振動板20Aでは、各導電体31及び絶縁部33を巻回してコイル体30aを形成したが、ボイスコイル振動板20Dでは、例えば導電部32dとなる1枚の導電体箔を並列な3本の分離部35dによって導電体31d、31d’に分離してコイル体30dを形成している。分離部35dを形成する方法としては、導電体箔に対してプレス加工、レーザー加工、又はエッチング等を施す方法等を用いることができる。隣り合う導電体31d’は、分離部35dと同様の加工によって分離された後、絶縁部33dで接合されている。
ここで、絶縁部33dを挟んで隣り合う導電体31d’の幅は、先に説明したように、他の導電体31dの幅の半分である。絶縁部33dで接合された2本の導電体31d’の断面積の合計が、他の各導電体31dの断面積と等しくなるので、導電部32dの断面積としては導電体31dの3本分の断面積となっている。従って、コイル体30dとしては、3本分の導電体31dが並列に配置されたような巻回状態であり、電気的には、巻回状態の絶縁部33dで絶縁された各2本の導電体31d、31d’が導電部32dを構成して、等電位な状態で音響信号電流が流れる。
【0047】
ボイスコイル振動板20Aでは、導電体31に近い断面積を有する絶縁部33を使用していたが、ボイスコイル振動板20Dでは、絶縁部33dを層状に形成して面積と質量を減らすことによって、音質を改善している。この絶縁体33dは、導電体31d’に挟まれて保護された状態なので、非常に薄く形成することが可能であり、音質に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。また、絶縁体33dで接合された2本の導電体31d’と他の各導電体31dは断面形状及び寸法が、それぞれほぼ同等であるため、ボイスコイル振動板20Dの機械的性質が全体的に均一になる。このようにして、ボイスコイル振動板20Dの全面で均一な振動状態が得られるようになり、高音質化が可能となる。さらに、ボイスコイル振動板20Dでは、音の放射面となるボイスコイル振動板20D(コイル体30d)の表面(前面)の殆どを駆動部である導電体31d、31d’で占めて直接、音を放出させることができるため、この点においても高音質化にとって非常に有利となる。
【0048】
次に、
図13に示す第4の変形例のボイスコイル振動板20Eがボイスコイル振動板20Aと異なる点は、巻回部34の巻回方向に断続的に設けられた相互接合部44aが巻回部34の巻回方向及び幅方向に対して千鳥状に配置されている点である。相互接合部44aを千鳥状に配置することにより、ボイスコイル振動板20Eの全体の剛性を低く維持しながら、半径方向(巻回部34の幅方向)に対して全ての隣り合う巻回部34間に相互接合部44aを設けることができている。相互接合部44aでは、隣り合う巻回部34同士が確実に固定されるため、各巻回部34で位置ずれが発生し難くなるだけでなく、巻回部34に位置ずれが生じても他の部分に波及することが防止される。これにより、各巻回部34(導電体31及び絶縁部33)の要所を接合支持部43aで支持すると共に、各巻回部34の巻回方向及び幅方向への位置ずれを効果的に防ぐことができる。また、各巻回部34で位置ずれが生じたとしても、半径方向に対して全ての隣り合う巻回部34間に相互接合部44aを設けているため、その位置ずれがコイル体30aの他の部分に波及し難く、ボイスコイル振動板20E全体の位置ずれによる変形等を効果的に防止できる。
【0049】
次に、
図14に示す第5の変形例のボイスコイル振動板20Fがボイスコイル振動板20Aと異なる点は、巻回部34の巻回方向に断続的に設けられた相互接合部44aが巻回部34の巻回方向及び幅方向に対して千鳥状に配置され、さらに支持体40aが廃止(省略)されている点である。つまり、ボイスコイル振動板20Fは、ボイスコイル振動板20Eから支持体40aを取り除いたものに相当する。ここで、相互接合部44aは、各巻回部34と各巻回部34に隣り合う他の巻回部34とを部分的に接合する接合部である。この相互接合部44aが、巻回部34の巻回方向及び幅方向に対して千鳥状に配置されることにより、各巻回部34の要所が相互接合部44aで固定されている。このようにして、各巻回部34が、相互接合部44aを支点として隣り合う巻回部34間で互いに支持し合いながら前後方向に変形可能となるので、支持体40aを省略することができる。このとき、各巻回部34が支持体としての機能を有するため、ボイスコイル振動板20Fとしての剛性は、巻回部34の材質(弾性率)及び断面積、さらに、巻回方向で隣り合う相互接合部44aの間隔によって決まる。このような構造の場合、各巻回部34は相互接合部44aによって部分的に接合されているだけなので拘束を受け難く、振動が他の巻回部34に伝搬し難くなって音質が改善される。また、ボイスコイル振動板20Fは、相互接合部44aによって隣り合う巻回部34同士が確実に固定されるため、各巻回部34の巻回方向や前後方向(振動方向)への位置ずれが防止され、異常振動の原因となっている各巻回部34の幅方向変位も効果的に抑えることができる。
なお、相互接合部44aには、シリコーン樹脂の他、エポキシ系、シアノアクリレート系等の合成樹脂系接着剤等を用いることができるが、導電体31同士を接合する箇所では、半田付けやワイヤーボンディング等の金属による接合を用いると強い接合力が得られ、しかも硬質であるため高音質化という点でも有利になる。また、導電体31の材質として、非磁性で高弾性な(復元性の高い)材質、例えばベリリウム銅、りん青銅、非磁性ばね用ステンレス鋼線等を選択した場合、導電体31自身の支持体としての機能を向上させることができ、動作の安定性及び耐久性の面でも有効である。
【0050】
次に、
図15〜
図17に示す第6の変形例のボイスコイル振動板20Gがボイスコイル振動板20Eと異なる点は、コイル体30gを構成する導電部32gが、方形断面を有した同一幅の2本の導電体31gと、導電体31gの幅に対して半分の幅で方形断面を有した2本の導電体31g’で構成され、絶縁部33gを薄い層状としている点と、支持体40gを膜状としている点である。隣り合うように並列に配置された2本の導電体31gと、その両側にそれぞれ並列に配置された2本の導電体31g’は、電気的に並列に接続されている。また、導電部32gを渦巻状とすることにより外周側の導電体31g’と内周側の導電体31g’が隣り合うようになるが、絶縁部33gをその2つの導電体31g’の間に挟んで2つの導電体31g’同士を接合することにより巻回部34としている。
図15において、コイル体30gの表面全体(手前側)は、支持体40gで覆われているが、薄膜状であるため、図面上は透けて見えた状態を示している。
なお、ボイスコイル振動板20Eでは、各導電体31及び絶縁部33を巻回してコイル体30aを形成したが、ボイスコイル振動板20Gでは、例えば導電部32gとなる1枚の導電体箔を並列な3本の分離部35gによって導電体31g、31g’に分離して、コイル体30gの巻回部34を形成している。さらに、分離部35gによって巻回部34を形成する際には、巻回部34の巻回方向に断続的に分離しない部分を設けて導電体結合部36gとし、導電体結合部36gを巻回部34の巻回方向及び幅方向に対して千鳥状となるように配置している。このコイル体30gの製造方法は、基本的に前述のコイル体30dと同様であり、導電体結合部36gの有無が異なるだけである。
【0051】
また、支持体40gには、
図17に示すように、導電体結合部36gと重なる位置に可動連結部41gが形成される。可動連結部41gは、巻回部34の一部である導電体結合部36gに面していながら導電体結合部36gに接合されない可動部42gと、可動部42gの両端部で導電体結合部36gに接合される接合支持部43gを有している。各導電体結合部36gと接合支持部43gは、シリコーン樹脂からなる相互接合部44gによって接合されている。このとき、膜状の支持体40gの大部分(接合支持部43g以外)は、
図16に示すように、巻回部34に面していながら巻回部34に接合されない可動部42gとなっている。このように、膜状の支持体40gにおいて接合支持部43gがコイル体30gの中で動きの少ない部分、即ち、変形し難い部分である導電体結合部36gの位置に設けられることにより、巻回部34本来の動作(振動)が支持体40g(接合支持部43g)で妨げられることを防止している。また、巻回部34と接合支持部43gの接合を点状の相互接合部44gで行うことにより、駆動部以外の物質である相互接合部44gの体積を極力減らして、高音質化を図ることができる。
【0052】
ボイスコイル振動板20Eでは、隣り合う巻回部34の要所を相互接合部44aで接合すると共に、相互接合部44aを介して巻回部34と支持体40a(接合支持部43a)を接合したが、このボイスコイル振動板20Gでは、導電部32gに分離しない部分を設けて導電体結合部36gとすることにより、隣り合う巻回部34を部分的に結合(一体化)させている。この結果、隣り合う巻回部34同士が導電体結合部36gの領域で強く固定され、異常振動の原因となる巻回部34(導電体31g、31g’)の幅方向変位がさらに発生し難くなる。
一般的に低音域を再生するスピーカーでは、振動板の面積が大きくなり振幅も大きくなるので、面状のコイル体の各部(巻回部)では様々な方向の位置ずれが生じ易く、その位置ずれが波及する範囲も広がって、コイル体の変形に対する影響が大きくなる。これに対して、このボイスコイル振動板20Gでは、半径方向に対して全ての隣り合う巻回部34間で導電体結合部36gを設けているため、導電体結合部36gから離れた位置の巻回部34で位置ずれが生じても、その位置ずれが巻回部34の他の部分へ波及することを各導電体結合部36gによって防止することができる。このようにして、巻回部34間の段差の発生及びコイル体30g全体の位置ずれによる変形を防ぐことができる。また、ボイスコイル振動板20Gは、振幅が大きくなると波状の変形が大きくなって、隣り合う巻回部34の間で前後方向変位の差が大きくなる。このような場合、分離部35gの隙間が前後方向に拡大してボイスコイル振動板20Gの前面側と後面側との間で空気が流通し易くなる。これに備え、ボイスコイル振動板20Gでは、支持体40gを膜状とすることにより、上記空気の流通を支持体40gで遮断するようにしている。以上のような特徴を有するボイスコイル振動板20Gは、特に低音域用のスピーカーに好適に用いることができる。
【0053】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は何ら上記した実施例に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施例や変形例も含むものである。
上記実施例では、面状のボイスコイル振動板について説明したが、このボイスコイル振動板は、例えば特許文献5のように、傾斜面又は垂直面を有する立体状に形成することもできる。即ち、導電部と絶縁部を折り曲げたり、湾曲させたりしながら巻回してコイル体を立体状に形成したもの、又は導電部と絶縁部を平面状に巻回した後に折り曲げたり、湾曲させたりしてコイル体を立体状に形成したもの等を使用することもできる。また、必要に応じて、導電部の一部又は全体に被膜を設けても良い。なお、上記実施例では、導電部が、面状に並列配置された複数の導電体からなる場合について説明したが、導電体の本数は適宜、選択することができ、1本とすることもできる。
また、上記実施例では、コイル体30d、30gの製造方法として、予め面状に形成された導電部に対してプレス加工、レーザー加工、又はエッチング等を施して分離部35d、35g等を形成する方法について説明したが、蒸着、スパッタリング、メッキ等の手段を用いて、分離部35d、35g及び絶縁部33d、33g以外の導電体31d、31d’、31g、31g’部分を形成することもできる。
さらに、上記実施例のボイスコイル振動板と組合せて使用する磁石板の構造は、上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。よって、従来の磁石板を使用した電気音響変換器の振動板の代わりに、上記実施例のボイスコイル振動板を適用できる場合は、これらの採用によって高音質が得られる。
コイル体30は、1又は面状に並列配置された複数の導電体31からなる導電部32と、導電部32を絶縁する絶縁部33とを有し、各導電体31及び絶縁部33が巻回状態とされることにより、コイル体30に分離され並列に配置された複数の巻回部34が形成され、各巻回部34は、隣り合う他の巻回部34に対して少なくとも振動時に部分的に接触するように配置され、並列に配置された他の巻回部34と可動連結部41で連結されている。