(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471298
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】表示体および広告装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/04 20060101AFI20190207BHJP
G09F 19/12 20060101ALI20190207BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20190207BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20190207BHJP
F21V 3/04 20180101ALI20190207BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20190207BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20190207BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20190207BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20190207BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20190207BHJP
【FI】
G09F13/04 N
G09F19/12 Z
F21S2/00 491
F21S2/00 497
F21V3/00 530
F21V3/00 320
F21V3/04
F21V5/02 100
F21V5/02 300
F21V5/02 350
F21V5/00 600
F21V5/00 530
F21V15/01 360
F21V17/00 150
F21V17/00 200
F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-512219(P2018-512219)
(86)(22)【出願日】2017年8月22日
(86)【国際出願番号】JP2017029989
(87)【国際公開番号】WO2018038120
(87)【国際公開日】20180301
【審査請求日】2018年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-162301(P2016-162301)
(32)【優先日】2016年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591236932
【氏名又は名称】株式会社ロッソ
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】早川 泰弘
【審査官】
大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−202298(JP,A)
【文献】
実公昭47−035256(JP,Y1)
【文献】
特開2013−243095(JP,A)
【文献】
米国特許第05544019(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00−13/46
G09F 19/00−19/22
F21S 2/00
F21Y 115/10
F21V 3/00−17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光が通過する光拡散部と、
前記光拡散部の上に設けられ、前記光拡散部を通過した光が通過する透明体と、
前記光拡散部と前記透明体との間の少なくとも一部に設けられた空間部と、を含み、
前記透明体の上側の表示面は、一つもしくは複数の平面および一つもしくは複数の曲面の少なくとも一方とを含んで構成され、
前記透明体の上側の表示面が平面のみで構成される場合には、前記表示面は複数の平面から構成され、
前記空間部を介して前記光拡散部と対向する前記透明体の面は、前記透明体の表示面から入射した光を反射するための反射面を構成し、
看者の見る位置によって、前記透明体の表示面のうち前記光源からの光が表示される第1の表示領域と、前記透明体の所定の表示面の部分から入射した光が前記反射面で反射し、前記所定の表示面の部分以外の前記透明体の表示面に表示される第2の表示領域とが変化し得る表示体。
【請求項2】
光源と、
前記光源からの光が通過する光拡散部と、
前記光拡散部の上に設けられ、前記光拡散部を通過した光が通過する透明体と、
前記光拡散部と前記透明体との間の少なくとも一部に設けられた空間部と、を含み、
前記透明体は、前記光拡散部と向かい合う底部と、前記底部の上に設けられた凸部とを含み、
前記透明体の底部は、前記透明体の表示面から入射した光を反射するための反射面を構成し、
看者の見る位置によって、前記透明体の表示面のうち前記光源からの光が表示される第1の表示領域と、前記透明体の所定の表示面の部分から入射した光が前記反射面で反射し、前記所定の表示面の部分以外の前記透明体の表示面に表示される第2の表示領域とが変化し得る表示体。
【請求項3】
光源と、
前記光源からの光が通過する光拡散部と、
前記光拡散部の上に設けられ、前記光拡散部を通過した光が通過する透明体と、
前記光拡散部と前記透明体との間の少なくとも一部に設けられた空間部と、を含み、
前記透明体の表示面は、当該透明体の底面に対して平行でない平面および曲面の少なくとも一方を含み、
前記透明体の表示面が平面のみで構成される場合には、前記透明体の表示面は複数の平面から構成され、
前記空間部を介して前記光拡散部と対向する前記透明体の底面は、前記透明体の表示面から入射した光を反射するための反射面を構成し、
看者の見る位置によって、前記透明体の表示面のうち前記光源からの光が表示される第1の表示領域と、前記透明体の所定の表示面の部分から入射した光が前記反射面で反射し、前記所定の表示面の部分以外の前記透明体の表示面に表示される第2の表示領域とが変化し得る表示体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記光拡散部と前記透明体との間に接着層が介在していない表示体。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記光拡散部は、乳白色の光拡散部である表示体。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記光源を収容する光源収容部を含み、
前記光源収容部は、上側に開口部を有し、
前記光拡散部は、前記光源収容部の開口部を塞ぐように設けられている表示体。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記光源は、複数設けられ、
前記光源は、前記光源収容部の壁面に設けられている表示体。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記透明体および前記光拡散部は、アクリル樹脂からなる表示体。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の表示体を含む広告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を含む表示体および広告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル板の下にLED光源を設けた表示体が提案されている(特許文献1〜2参照)。その表示体は、たとえば、広告宣伝の看板などに適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−53295号公報
【特許文献2】特開2007−34246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な意匠性を有する表示体および広告装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.表示体
(1)第1の表示体
本発明の第1の表示体は、
光源と、
前記光源からの光が通過する光拡散部と、
前記光拡散部の上に設けられ、前記光拡散部を通過した光が通過する透明体と、
前記光拡散部と前記透明体との間の少なくとも一部に設けられた空間部と、を含み、
前記透明体の上側の表示面は、一つもしくは複数の平面および一つもしくは複数の曲面の少なくとも一方とを含んで構成される。
【0006】
本発明によれば、観者の見る位置により、たとえば、メタル感がある部分と、光ってみえる部分とが変わっていく新しい意匠性を有する表示体を実現することができる。
【0007】
(2)第2の表示体
本発明の第2の表示体は、
光源と、
前記光源からの光が通過する光拡散部と、
前記光拡散部の上に設けられ、前記光拡散部を通過した光が通過する透明体と、
前記光拡散部と前記透明体との間の少なくとも一部に設けられた空間部と、を含み、
前記透明体は、前記光拡散部と向かい合う底部と、前記底部の上に設けられた凸部とを含む。
【0008】
本発明によれば、観者の見る位置により、たとえば、メタル感がある部分と、光ってみえる部分とが変わっていく新しい意匠性を有する表示体を実現することができる。
【0009】
本発明において、
前記凸部は、前記底部から互いに近づく方向に立ち上がる第1の斜面および第2の斜面を含むことができる。
【0010】
(3)第3の表示体
本発明の第3の表示体は、
光源と、
前記光源からの光が通過する光拡散部と、
前記光拡散部の上に設けられ、前記光拡散部を通過した光が通過する透明体と、
前記光拡散部と前記透明体との間の少なくとも一部に設けられた空間部と、を含み、
前記透明体は、当該透明体の底面に対して平行でない平面および曲面の少なくとも一方を含む。
【0011】
本発明によれば、観者の見る位置により、たとえば、メタル感がある部分と、光ってみえる部分とが変わっていく新しい意匠性を有する表示体を実現することができる。
【0012】
上記の本発明の表示体において、前記光拡散部と前記透明体との間に接着層が介在していない態様をとることができる。光拡散部と透明体との間に接着層が介在していないことで、部分的に異なった色味、光沢をより確実に現すことができる。
【0013】
上記の本発明の表示体において、前記光拡散部は、乳白色の光拡散部であることができる。これにより、光って見える部分が、柔らかく光が現れることになる。
【0014】
上記の本発明の表示体において、
前記光源を収容する光源収容部を含み、
前記光源収容部は、上側に開口部を有し、
前記光拡散部は、前記光源収容部の開口部を塞ぐように設けられていることができる。
【0015】
本発明によれば、光源の光が光拡散部を通じて外部に発せられることになり、透明体に光を確実に導くことができる。
【0016】
上記の本発明の表示体において、
前記光源は、複数設けられ、
前記光源は、前記光源収容部の壁面に設けられていることができる。
【0017】
本発明によれば、観者から光源が直接見えることを防ぐことができる。
【0018】
上記の本発明の表示体において、前記透明体および前記光拡散部は、アクリル樹脂からなることができる。これによれば、加工性、コスト、意匠性などから好適である。
【0019】
2.広告装置
本発明の広告装置は、本発明に係る表示体を含む。新規な意匠性を有する広告装置を実現することができる。
本特許請求の範囲および本明細書において、「平面」には多少の表面粗さがあっても平面として視認されるものを含むものとし、「曲面」には多少の表面粗さがあっても曲面として視認されるものを含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態に係る表示装置を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態に係る表示装置を模式的に示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る表示装置の原理を説明するための図である。
【
図4】実施の形態に係る透明体の構成例を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態に係る透明体の構成例を模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態に係る透明体の構成例を模式的に示す図である。
【
図7】実施の形態に係る透明体の構成例を模式的に示す図である。
【
図8】実施の形態に係る透明体の構成例を模式的に示す図である。
【
図9】実施の形態に係る透明体の構成例を模式的に示す図である。
【
図10】実施の形態に係る表示装置の変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図11】実施の形態に係る表示装置の変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図12】実施の形態に係る表示装置の変形例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
1.表示体の構成
実施の形態に係る表示体100は、
図1および
図2に示すように、光源12と、光拡散部20と、透明体30とを含む。
【0023】
光源12は、特に限定されないが、たとえばLED光源12からなることができる。光源12は、光源12収容部10に収容されている。光源12は、たとえば、光源12収容部10の内側の壁面に設けることができる。光源12収容部10は、上側に開口部を有することができる。光源12は、複数設けることができ、たとえばチップLED照明リボンなどから構成することができる。
【0024】
光拡散部20は、光源12からの光が通過するものである。光拡散部20は、光源12収容部10の開口部を塞ぐように設けることができる。光拡散部20は、特に限定されないが、たとえば、乳白色の光拡散部20からなることができる。光拡散部20の材質は、屈折率を考慮して決定され、たとえばアクリル樹脂からなることができる。光拡散部20は、無色又は有色の部材(たとえば透明のアクリル製の板)の上に公知の光拡散シートを設けた態様のものや、無色又は有色の部材の表面を光が拡散するような処理をしてもよい。
【0025】
透明体30は、光拡散部20の上に設けられ、光拡散部20を通過した光が通過するものである。光拡散部20は、透明体30との間に少なくとも一部において空間部22が設けられるように設けられている。空間部22は、空気層であってもよい。透明体30は、無色または有色であることができる。
【0026】
透明体30は、一例として、光拡散部20と向かい合う底部32と、底部32の上に設けられた凸部34とを含むことができる。凸部34は、表示面として複数の斜面、たとえば、第1の斜面34aおよび第2の斜面34bを含むことができる。第1の斜面34aおよび第2の斜面34bの形状は求められる意匠により決定されるが、たとえば、底部32から互いに近づく方向に立ち上がる。凸部34と底部34とは別体であっても一体的に設けたものでもよい。
【0027】
透明体30の断面形状は、求める意匠によって決定されるが、たとえば、逆T字形状などの凸形状(
図4参照)、台形形状(
図5参照)、弦形状および半球形状など曲面を有する形状(
図6参照)、鋸刃状の形状(
図7参照)、V字溝などの溝が設けられている形状(
図8参照)、三角形状(
図9参照)またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
光拡散部20と透明体30との間には接着層が介在しないように構成することができる。底部32の底面と第1の斜面34aとのなす角は、求める意匠により決定される。透明体30の材質としては、屈折率を考慮して決定され、たとえばアクリル樹脂からなることができる。
【0029】
透明体30を固定する方法としては特に限定されないが、
図1に示すように、たとえば、上端部が透明体30の端部(側方に突出する端部)32aと係り合うような抑え部材40を設け、その抑え部材40を光源収容部10に第1の固定部(組込ボルトなどのボルト)42などで固定してもよい。表示体100自身を壁などに固定するために光源収容部10の底面32aに貫通穴を設け、第2の固定部(ボルトなど)44で壁に固定することができる。
【0030】
透明体30の固定方法としては、次のような態様であってもよい。1)
図10に示すように、透明体30の端部32a、光拡散体20および光源収容部10を貫通させて固定ボルトなどの固定部42より固定する態様。2)
図11に示すように、透明体30の端において、下側に突出する端部30bを設け、抑え部材40、端部30bおよび光源収容部10に対して固定ボルトなどの固定部32を貫通させ、固定させる態様。3)
図12に示すように、抑え部材40および透明体30に対して固定ボルトなどの固定部42により固定させる態様。
【0031】
この表示体100は、たとえば、文字や模様などを表示する広告装置に応用することができる。
【0032】
2.光の進む態様
図3に基づいて、表示体100の原理の一例を説明する。なお、透明体30が第1の斜面34aと第2の斜面34bを含む例を用いて、表示体100の原理を説明する。
【0033】
光源12の光が光拡散部20により拡散し、光を拡散し、光源12の色と光拡散部20の色の光とが混じった光を発することになる。光拡散部20を通った光が空間部22を介して透明体30に入射し、第1の斜面34aまたは第2の斜面34bから出射される。透明体30の第1の斜面34aまたは第2の斜面34bから入射した光は、透明体30の底面32aで全反射し、第1の斜面34aまたは第2の斜面34bから出射される。
【0034】
3.作用効果
図3に基づいて、表示体100の作用効果を説明する。なお、本実施の形態は、
図3の表示体100に限定されるものではない。
【0035】
本願発明者は、このような構成を有することによって、視点Aによって、反射と屈折との関係から、観者の見る位置により、第1の斜面34aおよび第2の斜面34bの光沢および色に様々な変化が生じ、意匠性が向上することを見出した。具体的には、第1の斜面34aまたは第2の斜面34bにおいて、光拡散部20を通ってきた光の色味の部分と、第1の斜面34aまたは第2の斜面34bから入射した光が透明体30の底面32aにより反射した光の色味との部分とが変化しながら現れることを見出した。
【0036】
図3に示す観者の視点Aからは、第1の斜面34aにおける、第1の地点34a1および第2の地点34a2の箇所には、それぞれ、対象物P1における、第1の地点B1および第2の地点B2の箇所が映ってみえる。一方、第2の斜面34bにおける、第1の地点34b1および第2の地点34b2の箇所には、それぞれ、光散乱部20における、第1の地点C1および第2の地点C2が映ってみえる。
【0037】
本願発明者は、光拡散部20がたとえば乳白色のアクリル樹脂からなり、透明体30が透明のアクリル樹脂からなる場合には、メタル感をもった色味の部分と、白く光ってみえる部分とが現れることを見出した。
【0038】
実施の形態に係る表示装置100は、文字、模様、図形など表すものとして適用することができ、特に、広告装置に好適である。
【0039】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の表示体は、広告装置などに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 光源収容部
12 光源
20 光拡散部
22 空間部
30 透明体
32 底部
32a 底面
34 凸部
34a 第1の斜面
34b 第2の斜面
40 抑え部材
42 第1の固定部
44 第2の固定部
100 表示体