(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471373
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】4行程用インジェクションバルブ
(51)【国際特許分類】
F02M 61/08 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
F02M61/08 B
F02M61/08 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-789(P2017-789)
(22)【出願日】2017年1月5日
(65)【公開番号】特開2017-122453(P2017-122453A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年1月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0002250
(32)【優先日】2016年1月7日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517006430
【氏名又は名称】ハンビット プレシジョン カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANBIT PRECISION Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100146639
【弁理士】
【氏名又は名称】船本 康伸
(72)【発明者】
【氏名】リ,スー チュル
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン エウン
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/157297(WO,A1)
【文献】
特開昭53−113923(JP,A)
【文献】
特表2002−525488(JP,A)
【文献】
特表2010−512484(JP,A)
【文献】
特開2011−236887(JP,A)
【文献】
特開昭47−006406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直径を有するベーススライド孔、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第1の燃料室、燃料室から遠ざかるにつれて直径が小さくなるテーパー状の第1の開閉面、第1及び第2の直径よりも小さい第3の直径を有する第2の燃料室、第3の直径よりも小さい第4の直径を有する第2の開閉面、第4の直径よりも大きく、且つ、第3の直径よりも小さい第5の直径を有する第3の燃料室及び第2の開閉面から外部に向かって燃料を噴射できるように放射状に形成される噴射孔を有するステッピングホルダーと、
ベーススライド孔と摺動しながら往復運動するベース部、第1の開閉部を開閉する第1の開閉部、第3の直径及び第4の直径よりも小さい第6の直径を有する燃料流入部、第2の開閉面と摺動する第2の開閉部、第2の開閉面の端部から燃料流入部の所定の深さまで形成される軸孔及び軸孔と連通するように燃料流入部に形成される燃料流入孔を有するステッピングロッドと、
を備えることを特徴とし、さらに第2の開閉面の長さが、第1の燃料室、第1の開閉面、第2の燃料室の長さより大きく、ステッピングロッドのストローク長よりも大きく、しかも第2の開閉面の長さは第2の開閉部の長さに等しいものである4行程用インジェクションバルブ。
【請求項2】
ステッピングホルダーは、第1の燃料室に燃料を供給する燃料流入流路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の4行程用インジェクションバルブ。
【請求項3】
ステッピングロッドは、第2の開閉部に潤滑溝をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の4行程用インジェクションバルブ。
【請求項4】
潤滑溝は、ノズルの閉鎖に際してステッピングホルダーの噴射孔及び第2の燃料室と遭遇しない個所に形成されることを特徴とする請求項3に記載の4行程用インジェクションバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4行程用燃料の噴射のためのインジェクションバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、2行程エンジン及び4行程エンジンに大別され、2行程エンジンは、吸入、圧縮、燃焼、排気のサイクルがピストンの2回の往復で終わり、4行程エンジンは、吸入、圧縮、燃焼、排気のサイクルがピストンの4回の往復で終わる。2行程エンジンは、吸気及び排気のための弁駆動系がないが故にシリンダーヘッドが単純であり、燃焼室には点火プラグのみ存在するが故に、燃焼効率が良好であるとはいえ、構造からみて4行程のレベルまで圧縮比を高め難く、その結果、熱効率及び燃費は低い。4行程エンジンは、吸気弁及び排気弁のそれぞれにおいて、吸入行程において吸気弁が開かれ、排気行程において排気弁が開かれて混合空気及び燃焼ガスを吸気・排気する。4行程エンジンは、ピストンが高速にて往復運動するが故に2行程よりもやや力は弱いとはいえ、高速にて運行可能であることから小型の快速艇などに用いられる。
【0003】
図1は、従来の技術による2行程エンジンが備える燃料噴射用ノズルを示す図である。前記燃料噴射用ノズルは、大韓民国公開特許公報第10−2012−0074327号に開示されているノズルであり、前記ノズルは、バルブハウジング2の端部において中心孔を介して突出するが、その環状の表面3は破線にて示すシリンダーカバー又はシリンダーライダー内の対応する接触表面に対して付勢されて、ノズルボア4付きノズルのティップは燃焼室Aに突出し、燃料弁が開かれるときに燃料を噴射することが可能になる。前記燃料弁は、スライダーガイド8の底端部に図示の弁のデザインで配設された弁座7及び弁ニードル6を有するバルブスライダー5を備える。前記スライダーガイドは、ノズル1上において上側の対向表面に対して下方に付勢される。
【0004】
図2は、従来の技術による4行程エンジンが備える燃料噴射用ノズルを示す図である。前記燃料噴射用ノズルは、大韓民国公開特許公報第10−2010−0002127号に開示されているノズルであり、この例のディーゼルエンジン用燃料噴射装置は、燃料が供給されるノズル本体21(ノズルボディ)と、その内部において移動可能なように配置されるニードルバルブ22と、を有している。
【0005】
ノズル本体21は、先細まりの略円筒状のブロック体であり、その基底端部の中心にはニードルバルブ22の案内孔23が形成されている。前記案内孔23の前側は拡径状の燃料溜まり部24であり、外部から燃料供給孔25を介して前記燃料溜まり部24内に燃料が供給されるようになっている。また、燃料溜まり部24の先端にはテーパー状のシート部26が形成されている。前記シート部26のさらに前側には、燃料溜まり部24と連通する小径の孔27が形成されており、前記孔27の壁部には外部と連通するようにノズル孔28が形成されている。
【0006】
ニードルバルブ22は、ノズル本体21の案内孔23に摺動自在に保持された丸棒状のベース部30(ニードルの直径φD)と、燃料溜まり部24の内径よりも直径が小さく、ベース部30と一体に形成されて、その先端にはノズル本体21のシート部26と接触するテーパー状のシート部31が形成された丸棒状の先端部32(シート直径φd<φD)と、を有している。
【0007】
ニードルバルブ22は、そのシート部31が、ノズル本体21のシート部26と当接する方向にバネなどの付勢手段により荷重Wで付勢されており、外力を受けていない状態では、ニードルバルブ22のシート部31はノズル本体21のシート部26に接触してシート部26、31の間を閉鎖していて、燃料溜まり部24とノズル孔28との間は遮断されている。
【0008】
燃料の噴射に際しては燃料供給孔25から所定の圧力の燃料が燃料溜まり部24内に供給されて、内圧の上昇によりニードルバルブ22が力を受けて案内孔23に導かれて上方に移動し、シート部26、31の間が開放されてノズル孔28から外部に燃料が噴射される。
【0009】
従来の燃料噴射装置における燃料噴射ノズルの先端には、複数の噴霧孔の加工及び流量係数の増大のための袋状の小さな体積部が存在するが、これをノズルサック(sac)と呼び、噴射後にサック容積(sac volume)に相当する残留燃料オイルが後噴射燃焼を引き起こすため、煤、未燃焼HCなどの燃焼室内の体積物が持続的に発生する。
【0010】
サック容積を減らすと、燃料の噴射が終わった後に後だれが減って炭化水素が減るが、噴霧特性及び噴霧孔間のバラツキは大きくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10−2012−0074327号
【特許文献2】大韓民国公開特許公報第10−2010−0002127号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、未噴射の燃料が第1の燃料室及び燃料供給流路に逆流することを信頼性よく遮断することのできる4行程用インジェクションバルブを提供することを目的とする。
【0013】
また、サック容積を減らすとともに、安定的に燃料を噴射孔に噴射することのできる4行程用インジェクションバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の直径を有するベーススライド孔、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第1の燃料室、燃料室から遠ざかるにつれて直径が小さくなるテーパー状の第1の開閉面、第1及び第2の直径よりも小さい第3の直径を有する第2の燃料室、第3の直径よりも小さい第4の直径を有する第2の開閉面、第4の直径よりも大きく、且つ、第3の直径よりも小さい第5の直径を有する第3の燃料室及び第2の開閉面から外部に向かって燃料を噴射できるように放射状に形成される噴射孔を有するステッピングホルダーと、
ベーススライド孔と摺動しながら往復運動するベース部、第1の開閉部を開閉する第1の開閉部、第3の直径及び第4の直径よりも小さい第6の直径を有する燃料流入部、第2の開閉面と摺動する第2の開閉部、第2の開閉面の端部から燃料流入部の所定の深さまで形成される軸孔及び軸孔と連通するように燃料流入部に形成される燃料流入孔を有するステッピングロッドと、を備えることを特徴と
し、さらに第2の開閉面の長さが、第1の燃料室、第1の開閉面、第2の燃料室の長さより大きく、ステッピングロッドのストローク長よりも大きく、しかも第2の開閉面の長さは第2の開閉部の長さに等しいものである4行程用インジェクションバルブを提供する。
【0015】
また、本発明の他の態様は、ステッピングホルダーは、第1の燃料室に燃料を供給する燃料流入流路をさらに備えることを特徴とする4行程用インジェクションバルブを提供する。
【0016】
さらに、本発明の他の態様は、ステッピングロッドは、第2の開閉部に潤滑溝をさらに備えることを特徴とする4行程用インジェクションバルブを提供する。
【0017】
さらにまた、本発明の他の態様は、潤滑溝は、ノズルの閉鎖に際してステッピングホルダーの噴射孔及び第2の燃料室と遭遇しない個所に形成されることを特徴とする4行程用インジェクションバルブを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明が提供する4行程用インジェクションバルブは、未噴射の燃料が噴射孔の周りにおいて一回、第1の燃料室の周りにおいてもう一回(すなわち、二重に)遮断されて第1の燃料室及び燃料供給流路に逆流することを信頼性よく遮断することができる。
【0019】
また、本発明が提供する4行程用インジェクションバルブは、燃料室と噴射孔との間が二重に遮断されることにより、汚泥の発生を防ぐことができてステッピングホルダー及びステッピングロッドの耐摩耗性を向上させることができる。
【0020】
さらに、本発明が提供する4行程用インジェクションバルブは、逆流ガスの流入を防ぐことにより、ステッピングロッド及びステッピングホルダーの脱炭を防ぐことができ、これにより、摺動面の寿命を延ばすことができる。
【0021】
さらにまた、後噴射燃焼の原因となるサック容積を減らすことができて、NOx、CO、スモーク、未燃焼HC及び燃焼室内の堆積物を減らしてシリンダーの作動条件を改善することができる。
【0022】
加えて、ステッピングホルダーとステッピングロッドとの間に潤滑溝を備えることにより、摩擦熱の発生を減らして、ステッピングホルダーとステッピングロッドとの間の公差をタイトに設定することにより、燃料ガスの逆流を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来の技術による2行程エンジンが備える燃料噴射用ノズルを示す図である。
【
図2】従来の技術による4行程エンジンが備える燃料噴射用ノズルを示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による4行程用インジェクションバルブのステッピングホルダーを示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による4行程用インジェクションバルブのステッピングロッドを示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態による4行程インジェクションバルブが遮断された様子を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態による4行程インジェクションバルブが開放された様子を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態による4行程用インジェクションバルブのステッピングロッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づき、本発明を詳述する。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態による4行程用インジェクションバルブのステッピングホルダーを示す図である。
【0026】
本発明に係るインジェクションバルブは、軸方向に後述するステッピングロッド200(
図4参照)を収容するための摺動孔が形成されるステッピングホルダー100と、摺動孔の内に嵌め込まれて摺動しながら燃料の噴射を制御するステッピングロッド200(
図4参照)と、を備える。
【0027】
ステッピングホルダー100に形成される摺動孔は、上部から順番に、第1の直径を有するベーススライド孔110、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第1の燃料室120、第1の燃料室120から遠ざかるにつれて直径が小さくなるテーパー状の第1の開閉面140、第1及び第2の直径よりも小さい第3の直径を有する第2の燃料室150、第3の直径よりも小さい第4の直径を有する第2の開閉面160及び第4の直径よりも大きく、且つ、第3の直径よりも小さい第5の直径を有する第3の燃料室170からなる。ここで、上部とは、図中の上部に示す個所のことをいう。また、燃料を流入させる燃料流入流路130が第1の燃料室120と連通するように斜めに形成される。なお、ステッピングホルダー100は、外部に燃料を噴射できるように第2の開閉面160に放射状に形成される噴射孔180をさらに備える。
【0028】
図4は、本発明の第1の実施形態による4行程用インジェクションバルブのステッピングロッドを示す図である。
【0029】
ステッピングロッド200は、ベーススライド孔110(
図3参照)と摺動しながら往復運動するベース部210、第1の開閉面140(
図3参照)を開閉する第1の開閉部240、第3の直径及び第4の直径よりも小さい第5の直径を有する燃料流入部250、第2の開閉面と摺動する第2の開閉部260、第2の開閉面の端部から燃料流入部の所定の深さまで形成される軸孔270及び軸孔270と連通するように燃料流入部250に形成される燃料流入孔280を上部からこの順に備える。
【0030】
第1の開閉部240は、第1の開閉面140を開閉するために、第1の開閉面140と対応するテーパー状に形成される。第1の開閉部240及び第1の開閉面140が密着して閉鎖されたとき、燃料が一時的に貯留される第1の燃料室120の空間を十分に確保できるように、第1の開閉部240の軸方向の長さは、第1の開閉面140の軸方向の長さよりも短い。
【0031】
このため、第1の開閉部240の最大の直径と同じ直径を有する中間部230は、第1の燃料室120よりも小さい直径を有する。したがって、中間部230と第1の燃料室120との間の空間が燃料を一時的に貯留するのに用いられる。このとき、燃料貯留空間を 十分に確保するために、中間部230とベース部210との間に中間部230よりも直径が小さい小径部220がさらに配設されてもよい。
【0032】
第1の開閉部240の下部には、第1の開閉部240の最も小さい直径よりもさらに直径が小さい燃料流入部250が形成される。燃料流入部250は、第2の燃料室150及び第2の開閉面160よりもさらに小さい直径を有する。燃料流入部250の下部には、第2の開閉面160と摺動する第2の開閉部260が形成される。
【0033】
ステッピングロッド200の最下端部、すなわち、第2の開閉部260の下端から燃料流入部250の所定の位置まで軸孔270が形成される。なお、軸孔270と連通するように、燃料流入部250に複数の燃料流入孔280が形成される。
【0034】
図5は、本発明の第1の実施形態による4行程インジェクションバルブが遮断された様子を示す図であり、
図6は、本発明の第1の実施形態による4行程インジェクションバルブが開放された様子を示す図である。
図3から
図6を参照して、本発明の第1の実施形態による4行程インジェクションバルブの作動について説明する。
【0035】
ベーススライド孔110は、後述するステッピングロッドのベース部210が摺動する部分であり、ステッピングロッド200が上下に往復運動するように案内する役割を果たす。ステッピングロッド200は、ベース部210の上部に配設されてバネと連結される連結軸290を備え、連結軸290から伝わる動力を受け取って上下に往復運動しながら噴射孔180を開閉する。第1の燃料室120は、燃料流入流路130を介して流入した燃料が一時的に貯留される個所であり、第1の燃料室120に燃料が溜まって安定的に燃料が噴射されるようにする。第1の開閉面140はテーパー状を呈し、第1の開閉面140と同様にテーパー状を呈するステッピングロッドの第1の開閉部240との接離を繰り返し行い、第1の燃料室120と第2の燃料室150との間を開閉する。第2の燃料室150は、第1の開閉面140と第1の開閉部240が分離されると、第1の燃料室120と連通して第1の燃料室120に溜まった燃料が流入する。燃料は、第2の燃料室150から燃料流入孔280及び軸孔270を介して第3の燃料室170に流動して、第3の燃料室170にも一時的に溜まることがある。第3の燃料室170は、弁の閉鎖時に既に噴射された燃料を一時的に収容可能な空間である。
【0036】
ステッピングロッド200が下死点に位置するときに第1の開閉面140及び第2の開閉面160は両方とも閉鎖され、噴射孔180を介して燃料が噴射されない。
【0037】
第2の開閉面160は、燃料の逆流を遮断するのに十分な面積を有するように十分な長さに形成される。すなわち、
図3に示すように、第1の燃料室120、第1の開閉面140、第2の燃料室150の長さよりも第2の開閉面160の長さの方がさらに大きい。また、ステッピングロッド200のストローク長さよりも十分に大きいことが好ましい。第2の開閉面160の長さは第2の開閉部260の長さと等しく、第2の開閉面160と第2の開閉部260との間の接触面積が十分に確保されてエンジンから噴射孔180を介して燃料が逆流することを遮断することができる。
【0038】
また、第1の開閉面140と第1の開閉部160との接触により第2の燃料室150から第1の燃料室120への燃料の逆流が遮断される。
【0039】
このように二重に燃料流入流路130及び噴射孔180が遮断されるので、燃料の逆流を確実に遮断することができるだけではなく、燃料の漏れを防ぐことができる。また、燃料の逆流が遮断されるので、汚泥の発生を防ぐことができてノズルの耐摩耗性を向上させることができる。なお、逆流ガスによる脱炭を防ぐことができて、摺動面の寿命を延ばすことができるというメリットがある。
【0040】
さらに、後噴射燃焼の原因となるサック容積を減らすことができて、NOx、CO、スモーク、未燃焼HC及び燃焼室内の堆積物を減らしてシリンダーの作動条件を改善することができるという効果がある。
【0041】
図6を参照すると、弁が開放されたとき、燃料流入流路130を介して流入した燃料は第1の燃料室120を経て、第1の開閉面140と第1の開閉部240との間の空間を通って第2の燃料室150に流入する。また、第2の燃料室150から燃料流入孔280及び軸孔270を経て噴射孔180を介してエンジンの内部に燃料が噴射される。このとき、軸孔270の最下端部は、下部に進むにつれて軸孔270の直径が次第に大きくなることが好ましい。このような形状により、燃料の流動を円滑にして噴射孔180を介した燃料の噴霧量を増やすことができる。
【0042】
図7は、本発明の第2の実施形態による4行程用インジェクションバルブのステッピングロッドを示す図である。
【0043】
本発明の第2の実施形態による4行程用インジェクションバルブは、ステッピングロッド200の第2の開閉部260に1以上の潤滑溝260aを形成したことを除いては、第1の実施形態と構成要素及び動作原理が同様である。4行程用エンジンは高速にて作動され、これにより、エンジン内に燃料を噴射するノズルのステッピングロッド200もまたステッピングホルダー100(
図3から
図6参照)に沿って高速にて往復運動することになる。これにより、ステッピングロッド200及びステッピングホルダー100が過熱され、ほとんどの4行程用ノズルは冷却流路を備えている。本発明の第2の実施形態による4行程用インジェクションバルブのステッピングロッド200は、特に、ステッピングロッド200とステッピングホルダー100との間の摩擦面積が大きい第2の開閉面160及び第2の開閉部260における摩擦熱を減らすために、第2の開閉部260に潤滑のための1以上の潤滑溝260aを備える。
図7に示すように、潤滑溝260aは、第2の開閉部260の外周に沿ってリング状に形成されてもよい。しかしながら、
図7に示す形状に加えて、窪み状や螺旋状など、ステッピングロッド200とステッピングホルダー100との間の摩擦熱を減らし、円滑な往復運動を補助する形状であれば、いかなる形状であっても構わない。
【0044】
但し、第2の開閉面160及び第2の開閉部260は信頼性よく燃料の逆流及び漏れを遮断しなければならないため、潤滑溝260aは、ステッピングロッド200のノズルの閉鎖に際してステッピングホルダー100の噴射孔180及び第2の燃料室150と遭遇しない個所に形成されなければならない。
【0045】
このように、ステッピングロッド200の第2の開閉部260に潤滑溝260aを形成することにより、第2の開閉部260と第2の開閉面160との間に潤滑及び冷却が行われる結果、さらに精度よい公差で結合可能であり、これにより、第2の開閉部260及び第2の開閉面160による逆流防止機能をさらに向上させることができる。