【実施例】
【0036】
図1は本発明のMRI用通話装置を被験者が装着した状態を示す実施例で、(a)装着状態を示す正面図、(b)通話装置のみの側面図である。
図において、1はヘッドホンユニットでヘッドホンバンド3にヒンジ4を介して搖動自在に取り付けられているもので、左のヘッドホン1にはヘッドホンアーム5を介して光センサーマイクが取り付けられている。
【0037】
図2は
図1に示すMRI用通話装置のヘッドホンバンド3からヘッドホンユニット1等を外して被験者が装着した状態を示してあり、この状態でMRIのガントリー7に被験者6が入るもので、その状態を
図4に示してある。
図2においては、ヘッドホンを装着することによってヘッドホンアーム5に取り付けられた光センサーマイク2がヘッドホンアーム5の弾性によって被験者6の顔の側面に当接することになり、被験者6の皮膚を通して被験者の発する音声をピックアップすることができるものである。
【0038】
図3は
図2のような装着状態の場合に音の方向を概念的に示したもので、ヘッドホン1は被験者6に向かって矢印の方向に音声が伝達され、光センサーマイク2は被験者6の内部から外に向かって矢印の方向に音が伝達される事を示し、それぞれの信号線1a、2aには信号線に対して矢印の方向に信号が伝達されるものである。
【0039】
図4は上記したようにガントリー7の内部に被験者6の頭部を入れ、検査を行っている状態を示す図である。このような使用状態の場合、ヘッドホン1とガントリー7が直接接触するようにすることもできるが、図に示すように吸音材8をヘッドホン1とガントリー7の間に介在させることによってガントリー7からヘッドホン1に直接伝達される振動を遮断することができるので、被験者6はより騒音の少ない再生音を聞くことができるようになる。
【0040】
図5はヘッドホンバンド3からヘッドホンユニット1を着脱する状態を示すもので、ヘッドホンバンド3の両側の端部は図に示すように二股に分かれ、それぞれの端部にC字状の嵌合部3a、3bが形成されている。
一方、ヘッドホンユニット1の両側面には円筒状の突起4a、4bが設けられており、ヘッドホンバンドのC字状の嵌合部3a、3b内に嵌入することによって、突起4a、4bが嵌合部3a、3b内で回転することにより、ヘッドホンユニット1がそれぞれ自由に搖動するものである。
【0041】
次に
図6(a)に示すヘッドホン1の断面図に基づき、ヘッドホンの構造について説明する。
111はセラミック振動素子で、その前面(音の放射方向)に非磁性材料である樹脂やアルミで形成された振動板112が一体に接着されている。
113は吸音材から成るヘッドホンの構造体で、その前面にはドーナツ状の吸音材114が一体に形成されており、更にその前面に設けられた内側の円の経が吸音材114よりも小さく形成された吸音材115が配置され、吸音材113、114、115によってセラミック振動子111と振動板112が設置されるとともに、聴取者の耳殻が入る音響的な空間Sを構成するものである。空間Sは吸音材によって形成されている事により、被験者が装着したときに被験者の耳を吸音材で覆う事になり、MRIの騒音が被験者の耳に到達するのを効果的に防止することができるものである。
【0042】
セラミック振動子111の背面は吸音材113の内側の前面に接着剤などにより固定されるものであり、図示していないが、被験者がこのヘッドホン1を装着したときに、振動板112は被験者の耳殻の近傍に配置されるような位置に空間Sが構成されており、振動板112が耳殻に接触する場合でも問題なく音声を被験者に伝達できるものである。
構造体である吸音材113の背面には、非磁性材料のプラスチックなどの可撓性を有する素材で形成されたヘッドホンアーム5が一体に接着されており、ヘッドホンアーム5はヘッドホン1の外部にまで延長されていて、ヘッドホンアーム5は被験者の顔に沿うように顔の方向に曲げられて下方に伸びている。
【0043】
ヘッドホンアーム5の先端付近には図に示すように光センサーマイク2が装着され、被験者の顔に接触して被験者の発する音声をピックアップするように構成されているものである。ヘッドホンアーム5は可撓性を有する素材で形成されていることにより、その曲げ角を設定することにより、ヘッドホンアーム5の撓みと弾性により、被験者の顔の大きさに関わりなく、どのような被験者の顔にもフィットするように構成するものである。
ヘッドホン1のヘッドホンアーム5の更に背面には、MRIの騒音をより効果的に防止するために更に吸音材116が一体に設けられており、更にその外側にはヘッドホン1にヒンジ4などを取り付ける場合全体を覆うようなカバー117が設けられている。
【0044】
この実施例では、吸音材113、114,115によって振動板が配置される音響的な空間Sを形成したが、一つの吸音材によって空間Sを構成するようにしても良い事はもちろんであり、それぞれの吸音材は複数の吸音特性の異なる素材の組み合わせによって効果的に騒音を遮断するようにしても良く、適宜追加しても良いことはもちろんである。
【0045】
図6(a)(b)に示すものは、この発明におけるMRI用通話装置が被験者に装着された場合の被験者の顔の大きさなどの個体差が有る場合の状況を示すもので、太い実線で示したXは顔の輪郭の仮想線である。
図6(a)は比較的顔の大きい人を仮想線Xで示して有り、
図6(b)は比較的顔の細い人を示すものである。
図から分かるように、被験者の顔の大きい、細いなどに合わせて
図6(a)は顔の大きい人であるから光センサーマイク2が取り付けられたヘッドホンアーム5の角度θが浅く、
図6(b)は顔の細い人であるから角度θが大きくなるものである。このような被験者の顔の個体差については、ヘッドホンアーム5の弾性によってそれぞれに適応するように構成したものである。
【0046】
図7は本発明のMRI用通話装置がMRIに使われた場合を示す図で、シールド隔壁9を介して左側がMRIが置かれたMRI室で、右側が医師などの検査を行う人が居る操作室であり、MRI10の移動ベッド11に寝た被験者6が頭部にヘッドホン1及び光センサーマイク2を装着してガントリー7内部に入った状態を示している。この状態で被験者6は移動ベッド11と共にMRI10内部に入って画像を撮影するものであるが、この場合被験者に対しては操作室からマイク14aを通して医師などが指示を与えると、入力制御装置13を通して被験者6のヘッドホン1に音声が伝達されるものである。
また、被験者6がMRI内の狭い空間に挿入される事でストレスを感じたような場合で医師に検査の中断などを依頼したい場合に、マイク2を通して話すことにより、操作室のスピーカ12から音声で操作室に伝達することができるものである。
説明は省略するが、操作室からは、被験者の心を落ち着かせるために、14bに示すように音楽や色々なソースを被験者に送る事が出来るようになっているものである。
【0047】
図8に示すものは、MRI10の内部に被験者が入った場合にどのような騒音に曝されるかを視覚的に表したもので、被験者の周辺全体から騒音が被験者に降りかかるもので、その状態を矢印で概念的に示したものである。
【0048】
図9は本発明に用いる光センサーマイク2の横断面図を示したもので、22は光センサーユニットで、非磁性体で有底円筒状に非磁性材料で形成された音響キャビティ23の内部に装着され、光ファイバー222、223によって音響キャビティ23の外部に信号を送出できるように構成されている。
音響キャビティ23の端面には、音響キャビティ23の端面全体を覆うように、非磁性体のアルミやプラスチックなどの可撓性材料で形成された振動板24が張られている。
音響キャビティ23の内部には、光センサーユニット22を固定するための吸音材から成る取り付け部材28が設けられており、光センサーユニット22がその内部に埋め込まれている。
【0049】
取り付け部材28と振動板24の間には、空間27が形成されており、その空間27は光センサーユニット22の端部まで連続しており、光センサーユニット22
の空間27に露出しているダイアフラム224に空気振動が伝達されるように構成されている。
また、音響キャビティ23の外側は、吸音材25と26に覆われており、外部からの騒音を遮断するものである。吸音材25と26は非磁性体で形成されており、吸音特性が同じものを2枚重ねても良いが、吸音特性が異なるものを組み合わせて騒音のエネルギーの高い部分を吸収するようにして、光センサーマイクに飛び込む騒音を効果的に減らす事もできるものである。
【0050】
図10に示すものは光センサーユニット22の概略的な横断面図で、円筒状のケース22aの端面にフランジ部22bを形成し、フランジ部22bにアルミなどで形成されたダイアフラム
224が張られている。ケース内部には光ファイバー222、223が外部から挿入されており、固定部材225に装着されている。光ファイバー222の端面からレーザー光Fが振動板の中央に当てられるように構成されており、ダイアフラム
224で反射したレーザー光Rは光ファイバー223に入射するように構成されている。
次に、この光センサーマイク2の動作について説明する。
このように構成された光センサーマイク2は、振動板24が被験者の皮膚に接触するか近傍に置かれることにより振動すると、その振動が音響キャビティ内の空間27の空気を振動させることになり、空間27の空気振動は、光センサーユニット22のダイアフラム224を振動させることになる。
【0051】
ダイアフラム224の振動は、その背面に照射されたレーザー光Fを変調することになり、反射したレーザー光Rはダイアフラム224の振動で変調された光が送出されることになる。
この反射したレーザー光Rを
図11に示すように、制御室内の光変換素子30に供給することにより、音声信号に復調し、音声増幅器32、スピーカ制御部34を通して操作室のモニタースピーカ35から音声として出力するものである。
図11において、29は光発行素子で31は光制御部、33は電源部、36は電源プラグである。
このような本発明の光センサーマイク2は、振動板24の振動が色々な振動成分を含んでいるとしても、光センサーユニット22内のレーザー光はダイアフラム224の1点で反射することによって、エネルギーの大きな部分の1点における振動のみを検知する事になるため、被験者の音声のみを効率的にピックアップできる事になるから、再生音の明瞭度が向上し、クリアーな音声としてモニタースピーカ35によって再生されるものである。