(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図10〜
図13において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に搭載した際の前、後、上、下、左、右である。
図9のレンズの断面図においては、ハッチングを省略してある。
【0017】
(実施形態の構成の説明)
以下、
図1〜
図13を参照して、この実施形態にかかる車両用灯具の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態にかかる車両用灯具(たとえば、車両用前照灯、ロービーム用ヘッドランプなど)である。前記車両用灯具1は、車両(図示せず)の前部の左右両端部に搭載されている。前記車両用灯具1は、左側通行用の車両用灯具である。従って、走行車線側が左側であり、対向車線側が右側である。
【0018】
(ランプユニットの説明)
前記車両用灯具1は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、レンズ(投影レンズ)2と、半導体型光源3と、リフレクタ6と、ヒートシンク部材7と、フレーム部材(レンズホルダ)8と、を備えるものである。前記ヒートシンク部材7および前記フレーム部材(レンズホルダ)8は、前記レンズ2および前記半導体型光源3および前記リフレクタ6を取り付ける取付部材と兼用している。
【0019】
前記レンズ2および前記半導体型光源3および前記リフレクタ6および前記ヒートシンク部材7および前記フレーム部材8は、ランプユニットを構成する。前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記ランプユニット2、3、6、7、8は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット2、3、6、7、8以外のランプユニット、たとえば、フォグランプ、ハイビーム用ヘッドランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプなどが配置されている場合がある。
【0020】
(半導体型光源3の説明)
前記半導体型光源3は、
図1〜
図5、
図8に示すように、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源3は、発光チップ(LEDチップ)30から構成されている。前記パッケージは、基板31に実装されている。前記基板31に取り付けられているコネクタ(図示せず)を介して前記発光チップ30には、点灯回路(図示せず)からの電流が供給される。前記半導体型光源3は、スクリューなど(図示せず)を介して前記ヒートシンク部材7に取り付けられている。
【0021】
前記発光チップ30は、平面矩形形状(平面長方形状)をなす。すなわち、4個の正方形のチップをX軸方向(水平方向)に配列してなるものである。なお、2個もしくは3個もしくは5個以上の正方形のチップ、あるいは、複数個の長方形のチップ、あるいは、1個の長方形のチップ、あるいは、1個の正方形のチップ、を使用しても良い。前記発光チップ30の正面(前記レンズ2と対向する面)この例では長方形の正面が発光面をなす。前記発光面は、前記レンズ2の基準光軸(前記車両用灯具1の基準光軸)Zの前側に向いている。前記発光チップ30の前記発光面の中心Oは、前記レンズ2の基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、かつ、前記基準光軸Z上もしくはその近傍に位置する。
【0022】
図2〜
図5、
図8、
図9において、X、Y、Zは、直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。X軸は、前記発光チップ30の前記発光面の中心Oを通る左右方向の水平軸であって、この実施形態において、左側が+方向であり、右側が−方向である。また、Y軸は、前記発光チップ30の前記発光面の中心Oを通る上下方向の鉛直軸であって、この実施形態において、上側が+方向であり、下側が−方向である。さらに、Z軸は、前記発光チップ30の前記発光面の中心Oを通る法線(垂線)、すなわち、前記X軸および前記Y軸と直交する前後方向の軸(前記基準光軸Z)であって、この実施形態において、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0023】
(基本レンズ200の説明)
以下、前記レンズ2を構成する基本レンズ200について説明する。前記基本レンズ200は、
図8、
図9に示すように、入射面20と、出射面21、22、23U、23D、24、25(以下、「出射面21〜25」と記載する場合がある)と、から構成されている。前記基本レンズ200の正面視形状は、横長の楕円形状をなす。なお、前記レンズ2を構成する基本レンズとしては、
図8、
図9に示す前記基本レンズ200以外の既存のレンズであっても良い。すなわち、基本レンズは、入射面と出射面とから構成されていて、所定の配光パターンを形成するレンズであれば良い。
【0024】
(入射面20の説明)
前記入射面20は、1個の面から構成されている。前記入射面20は、前記半導体型光源3と対向する面であって、この例では2次曲面または複合2次曲面または自由曲面により連続的に形成されている。前記入射面20は、前記半導体型光源3からの光(直射光)L1を前記基本レンズ200中に入射させるものである。
【0025】
(出射面21〜25の説明)
前記出射面21〜25は、前記半導体型光源3と対向する面と反対側の面であって、この例では自由曲面または複合2次曲面または2次曲面からそれぞれ独立して形成されている。前記出射面21〜25は、前記入射面20から前記基本レンズ200中に入射した前記半導体型光源3からの光を、外部(前記車両の前方)に、所定の配光パターンP1、P2、P3、P4、P5、LP0(
図12、
図13を参照)として出射(照射)させるものである。
【0026】
前記出射面21〜25は、2本の水平分割段差面(横方向の分割線)2U、2Dにより、上段の前記出射面21と中段の前記出射面22、23U、23D、24と下段の前記出射面25とに分割されている。中段の前記出射面22、23U、23D、24は、2本の垂直分割段差面(縦方向の分割線)2L、2Rにより、左側(走行車線側)の前記出射面24と中央の前記出射面23U、23Dと右側(対向車線側)の前記出射面22とに分割されている。
【0027】
前記出射面21〜25は、前記基準光軸Zを含む部分の中央の中段の前記出射面23U、23Dと、前記基準光軸Zを含まない部分の上段の前記出射面21、左右両側の中段の前記出射面22、24、下段の前記出射面25と、に分割されている。前記基準光軸Zを含む部分の前記出射面(中央の中段の前記出射面)23U、23Dは、前記基準光軸Zもしくはその近傍を通る段差面23により、上下に2分割されている。なお、前記出射面23U、23Dは、上下に2分割されていなくても良い。
【0028】
上段の前記出射面21は、スクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して左右対称もしくはほぼ左右対称の拡散配光パターンとしての第1配光パターンP1(
図12(A)を参照)を出射する。
【0029】
右側の中段の前記出射面22は、右側の下水平カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンとしての第2配光パターンP2(
図12(B)を参照)を照射する。
【0030】
中央の中段の前記出射面23U、23Dは、右側の下水平カットオフラインCL1、中央の斜めカットオフラインCL2、左側の上水平カットオフラインCL3を有する集光配光パターンとしての第3配光パターンP3(
図12(C)を参照)を照射する。
【0031】
左側の中段の前記出射面24は、左側の上水平カットオフラインCL3を有する拡散配光パターンとしての第4配光パターンP4(
図12(D)を参照)を照射する。
【0032】
下段の前記出射面25は、スクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して左右対称もしくはほぼ左右対称の拡散配光パターンとしての第5配光パターンP5(
図12(E)を参照)を出射する。
【0033】
前記第1配光パターンP1、前記第2配光パターンP2、前記第3配光パターンP3、前記第4配光パターンP4、前記第5配光パターンP5が合成(重畳)されることにより、ロービーム配光パターンLP0(
図13(A)、(B)を参照)が得られる。
【0034】
(補助レンズ部400の説明)
前記基本レンズ200の下辺には、補助レンズ部400が一体に設けられている。前記補助レンズ部400は、入射面40と、全反射面41と、出射面42と、から構成されている。前記補助レンズ部400は、前記半導体型光源3からの光を前記入射面40から入射して、その入射光を前記全反射面41で全反射させ、その全反射光を前記出射面42から出射させ、その出射光により、
図12(F)、
図13(A)に示すオーバーヘッドサイン配光パターンP6として照射する。
【0035】
前記補助レンズ部400により形成される前記オーバーヘッドサイン配光パターンP6は、前記基本レンズ200により形成される前記ロービーム配光パターンLP0の主配光パターンに対する補助配光パターンである。
【0036】
(フランジ部500の説明)
前記基本レンズ200および前記補助レンズ部400の周囲には、フランジ部500が一体に設けられている。前記フランジ部500は、取付部材(前記ヒートシンク部材7、前記フレーム部材8)に取り付けるためのものである。前記フランジ部500を介して前記基本レンズ200および前記補助レンズ部400は、前記取付部材に取り付けられる。
【0037】
(レンズ2の説明)
前記レンズ2は、
図8、
図9中の太線の破線に示すように、前記基本レンズ200の周辺部分(上側部分、下側部分、右側部分、左側部分)を除いたレンズである。すなわち、前記レンズ2は、前記基本レンズ200のうち、上段の前記出射面21および右側の中段の前記出射面22および左側の中段の前記出射面24および下段の前記出射面25の一部と、前記補助レンズ部400の全部と、前記フランジ部500の大部分と、を除いたレンズである。これにより、前記レンズ2の上部および下部には、平坦もしくはほぼ平坦な平坦面26U、26Dがそれぞれ形成されている。
【0038】
この結果、前記レンズ2から照射される前記ロービーム配光パターンLPは、
図11に示すように、前記基本レンズ200から照射される前記ロービーム配光パターンLP0に対して、配光パターンの下部分P8(斜線が施されている部分)における光(光度、照度、光量、光束など)が不足する。光が不足している前記配光パターンの下部分P8は、前記基本レンズ200の除かれた周辺部分により形成される部分(前記ロービーム配光パターンLP0の一部分)に対応する。また、前記レンズ2の任意の部分からは、補助レンズ部400により形成される前記オーバーヘッドサイン配光パターンP6が照射される場合がある。
【0039】
前記レンズ2は、
図1に示すように、正面視形状が、横長の楕円形状をなす前記基本レンズ200の正面視形状よりも一回り小さい横長の長方形形状をなす。前記レンズ2の左右両端の縁には、フランジ部5が一体に設けられている。前記フランジ部5には、凸部50や小円形の孔51が設けられている。前記レンズ2は、
図1〜
図5に示すように、前記フランジ部5を介して、前記フレーム部材8および前記ヒートシンク部材7に、前記半導体型光源3と対向するように、取り付けられている。
【0040】
(リフレクタ6の説明)
前記リフレクタ6は、この例では、金属板をプレス加工してなるものである。前記リフレクタ6は、前部と後部と下部とが開口していて、かつ、上部と左右両側部とが閉塞している筒形状をなす。前記リフレクタ6は、取付手段(図示せず)を介して、前記ヒートシンク部材7に取り付けられている。
【0041】
前記リフレクタ6は、
図2〜
図5に示すように、前記レンズ2と前記半導体型光源3との間に配置されている。すなわち、前記リフレクタ6は、前記レンズ2の周辺よりも内側に配置されていて、かつ、前記半導体型光源3の上側(
図2参照)から左右両側(
図3〜
図5を参照)にかけて配置されている。
【0042】
図2、
図9に示すように、前記リフレクタ6の前記半導体型光源3と対向する面(内面)には、前記半導体型光源3から前記レンズ2の前記入射面20以外、この例では、前記レンズ2の上部の平坦面26Uより上方に進む光L2(すなわち、前記基本レンズ200の除かれた部分に入射する光L2)を前記レンズ2の前記入射面20に入射させる反射面60が、設けられている。前記反射面60からの反射光であって前記レンズ2に入射しかつ前記レンズ2から出射した光L4は、
図10、
図11に示すように、補充配光パターンP7として、光が不足する前記ロービーム配光パターンLPの前記配光パターンの下部分P8およびその周辺に照射される。
【0043】
図4、
図5に示すように、前記リフレクタ6は、前記半導体型光源3からの光L1のうち前記レンズ2の前記入射面20以外であって、前記レンズ2の前記フランジ部5に入射する光L3を遮蔽する遮光機能を有する。すなわち、前記フランジ部5に入射した光は、光学的に制御が難しい。このために、前記フランジ部5に入射する光L3を遮蔽するものである。
【0044】
図6(A)、
図7(A)に示すように、前記リフレクタ6には、切欠61が設けられている。すなわち、
図6(B)、
図7(B)に示すように、前記切欠61が設けられていないリフレクタ600の場合においては、前記レンズ2を通して影S(
図1中の破線にて囲まれた部分参照)が見える場合がある。
【0045】
以下、前記影Sについて説明する。前記リフレクタ6、600は、前記半導体型光源3の上側(
図2参照)から左右両側(
図3〜
図5を参照)にかけて配置されていて、前記レンズ2の上部の平坦面26Uより上方に進む光L2を前記反射面60で反射させて前記レンズ2の前記入射面20に入射させるものである。このために、前記切欠61が設けられていない前記リフレクタ600は、前記半導体型光源3から全周方向に放射状に放射される光であって、前記レンズ2の上側の左右両側に進む光L1を遮蔽する。この結果、
図1中の破線にて示すように、前記レンズ2の上側の左右両側において前記影Sが発生する。前記影Sは、正面視形状が横長の長方形形状をなす前記レンズ2の場合において、顕著に現れる。そこで、前記リフレクタ6に前記切欠61を設けて、前記レンズ2の上側の左右両側に進む光L1を、遮蔽せずに、前記レンズ2の前記入射面20に入射させるものである。
【0046】
(ヒートシンク部材7の説明)
前記ヒートシンク部材7は、熱伝達(熱伝導)が良い部材(熱抵抗が小さい部材)から構成されている。前記ヒートシンク部材7は、
図1〜
図3に示すように、取付部70と、複数枚のフィン部71と、複数本の取付ボス部72と、複数個この例では3個の取付片部73と、コネクタ部(図示せず)と、から構成されている。
【0047】
前記取付部70は、正面視形状が前記レンズ2の正面視形状よりも一回り大きい横長の長方形形状の垂直板からなる。前記取付部70の正面には、前記半導体型光源3と前記リフレクタ6とがスクリューなどや取付手段により取り付けられている。
【0048】
前記取付部70の背面には、複数枚の前記フィン部71が垂直方向に一体に設けられている。複数枚の前記フィン部71は、等間隔もしくはほぼ等間隔に配置されている。複数枚の前記フィン部71は、上端と、下端と、後端と、がそれぞれ開口している。
【0049】
前記取付部70の正面には、複数本の前記取付ボス部72が正面方向に一体に設けられている。複数本の前記取付ボス部72には、前記フレーム部材8が取り付けられている。
【0050】
前記取付部70の上端の一側および下端の両側には、3個の前記取付片部73が上方向および下方向に一体に設けられている。3個の前記取付片部73は、スクリュー(図示せず)などを介して、前記上下方向用光軸調整機構および前記左右方向用光軸調整機構に直接もしくは取付ブラケットなど(図示せず)を介して取り付けられている。これにより、前記ランプユニット2、3、6、7、8は、前記上下方向用光軸調整機構および前記左右方向用光軸調整機構を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0051】
前記ヒートシンク部材7の前記コネクタ部は、前記半導体型光源3の前記コネクタに電気的に接続されている。前記コネクタ部には、電源側コネクタ(図示せず)が着脱可能に取り付けられていてかつ断続可能に電気的に接続されるものである。前記コネクタ部に前記電源側コネクタが取り付けられることにより、前記半導体型光源3には、点灯回路(図示せず)からの電力が供給される。
【0052】
(フレーム部材8の説明)
前記フレーム部材8は、光不透過性の部材から構成されている。前記フレーム部材8は、正面視形状が前記レンズ2の正面視形状よりも一回り大きくかつ前記取付部70の正面視形状よりも一回り小さい横長の長方形形状をなす。前記フレーム部材8は、正面(前面)が壁部80により閉塞されかつ背面(後面)が開口された四角筒形状をなす。
【0053】
前記壁部80には、開口部81が設けられている。前記開口部81は、正面視形状が前記レンズ2の正面視形状とほぼ同等かもしくは若干大きい。前記開口部81の縁部(前記壁部80)には、レンズ取付部82およびレンズ取付ピン部83がそれぞれ設けられている。前記レンズ取付部82には、前記凸部50が取り付けられている。また、前記レンズ取付ピン部83は、前記孔51中に挿入されている。この結果、前記フレーム部材8には、前記レンズ2が取り付けられている。このとき、前記フランジ部5は、前記フレーム部材8の前記壁部80の背面(後面)側に位置する。
【0054】
前記フレーム部材8の背面開口部の縁部には、ロ形状の取付板部84が一体に設けられている。前記取付板部84には、小円形の取付孔85が設けられている。前記取付孔85には、前記取付ボス部72が挿入されている。この結果、前記フレーム部材8は、前記ヒートシンク部材7に取り付けられ、かつ、前記レンズ2は、前記フレーム部材8を介して前記ヒートシンク部材7に取り付けられる。
【0055】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0056】
半導体型光源3を点灯する。すると、半導体型光源3の発光面からの光の大部分は、レンズ2の1個の入射面20からレンズ2中に屈折して入射する。このとき、入射光は、入射面20において配光制御される。その入射光は、レンズ2の6個の出射面21〜25から外部にそれぞれ屈折して出射する。このとき、出射光は、出射面21〜25において配光制御される。その出射光は、5個の配光パターンP1〜P5として車両の前方に照射される。
【0057】
すなわち、上段の出射面21からは、出射光が出射されて
図12(A)に示す第1配光パターンP1として車両の前方に照射される。右側の中段の出射面22からは、出射光が出射されて
図12(B) に示す下水平カットオフラインCL1を有する第2配光パターンP2として車両の前方に照射される。中央の中段の上側の出射面23Uおよび下側の出射面23Dからは、出射光が出射されて
図12(C) に示す下水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、上水平カットオフラインCL3を有する第3配光パターンP3として車両の前方に照射される。左側の中段の出射面24からは、出射光が出射されて
図12(D)に示す上水平カットオフラインCL3を有する第4配光パターンP4として車両の前方に照射される。下段の出射面25からは、出射光が出射されて
図12(E) に示す第5配光パターンP5として車両の前方に照射される。
【0058】
前記の5個の配光パターンP1〜P5が重畳されることにより、
図10、
図11に示す下水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、上水平カットオフラインCL3を有するロービーム配光パターンLPが形成される。ここで、第1配光パターンP1および第5配光パターンP5の上縁は、下水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、上水平カットオフラインCL3より若干下側に位置する。
【0059】
また、半導体型光源3から基本レンズ200の除かれた部分に入射する光L2がリフレクタ6の反射面60で反射する。その反射面60からの反射光であってレンズ2に入射しかつレンズ2から出射した光L4は、
図10、
図11に示すように、補充配光パターンP7として、光が不足するロービーム配光パターンLPの配光パターンの下部分P8およびその周辺に照射される。また、リフレクタ6の切欠61からの光L1は、リフレクタ6により遮蔽されずに、レンズ2の入射面20に入射する。これにより、レンズ2を通して見える影Sを無くすことができ、正面視形状が横長の長方形形状をなすレンズ2の入射面20(表面、前面)が全面に亘って横長の長方形形状に光って見える。
【0060】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0061】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、レンズ2の上部および下部に平坦もしくはほぼ平坦な平坦面26U、26Dを設けるものであるから、レンズ2をコンパクト化して灯具全体(ランプユニット2、3、6、7、8全体)をコンパクト化したりすることができる。
【0062】
また、この実施形態にかかる車両用灯具1は、レンズ2の上部および下部に平坦もしくはほぼ平坦な平坦面26U、26Dを設けるものであるから、レンズ2の正面視形状を任意の意匠形状とすることができてレンズ2の正面視形状の自由度が向上される。
【0063】
さらに、この実施形態にかかる車両用灯具1は、リフレクタ6の反射面60により、半導体型光源3からレンズ2の入射面20以外、この例では、レンズ2の上部の平坦面26Uより上方に進む光L2(すなわち、基本レンズ200の除かれた部分に入射する光L2)をレンズ2の入射面20に入射させることができるので、レンズ2をコンパクト化することによって伴う配光パターンの光(光度、照度、光量、光束など)の不足を十分に補ったりすることができる。
【0064】
すなわち、反射面60からの反射光であってレンズ2に入射しかつレンズ2から出射した光L4は、
図10、
図11に示すように、補充配光パターンP7として、光が不足するロービーム配光パターンLPの配光パターンの下部分P8およびその周辺に照射される。この結果、基本レンズ200の除かれた周辺部分により形成される部分、すなわち、ロービーム配光パターンLPの配光パターンの下部分P8の光の不足が、補充配光パターンP7により、補充される。
【0065】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、リフレクタ6が半導体型光源3からの光のうちレンズ2の入射面20以外(すなわち、フランジ部5)に入射する光L3を遮蔽する遮光機能を有する。このために、フランジ部5に入射する光L3であって、光学的に制御が難しい光L3を遮蔽することができる。この結果、ロービーム配光パターンLPおよび補充配光パターンP7の光学的制御が容易である。
【0066】
しかも、この実施形態にかかる車両用灯具1は、フランジ部5から外部に直射する光を遮蔽することができるので、フランジ部5にプリズムなどを設けてフランジ部5からの直射光を拡散させる必要がない。そのうえ、プリズムなどを設ける必要がないので、レンズ2の見栄えが向上される。
【0067】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、リフレクタ6には、切欠61が設けられている。すなわち、リフレクタ6に切欠61を設けて、レンズ2の入射面20に入射する光L1を、遮蔽せずに、レンズ2の入射面20に入射させるものである。このために、リフレクタ6の切欠61からの光により、レンズ2を通して見える影Sを無くすことができる。これにより、基本レンズ200の周辺部分を除いたレンズ2の外形がスッキリと見え、見栄えが向上する。
【0068】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、レンズ2が正面視形状が横長の長方形状をなすものである。このために、正面視形状が円形のレンズと比較して、斬新な意匠形状を得ることができ、見栄えが向上する。
【0069】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、リフレクタ6がレンズ2の周辺よりも内側に配置されていて、かつ、半導体型光源3の上側から左右両側にかけて配置されている。このために、リフレクタ6の反射面60からの反射光は、基本的には下向きとなる。これにより、リフレクタ6の反射面60からの反射光により形成される補充配光パターンP7は、下向きとなり、光が不足するロービーム配光パターンLPの配光パターンの下部分P8およびその周辺に確実に照射される。
【0070】
(実施形態以外の例の説明)
この実施形態においては、車両用前照灯、ロービーム用ヘッドランプについて説明するものである。ところが、この発明においては、車両用前照灯、ロービーム用ヘッドランプ以外の車両用灯具たとえばフォグランプ、ハイビーム用ヘッドランプなどであっても良い。
【0071】
また、この実施形態においては、基準光軸Zを含まない部分の出射面が、上段の出射面21、左右両側の中段の出射面22、24、下段の出射面25と、4個に分割されている。ところが、この発明においては、基準光軸Zを含まない部分の出射面を、1個〜3個、あるいは、5個以上に分割しても良い。
【0072】
この実施形態においては、リフレクタ6を半導体型光源3の上側から左右両側にかけて配置して、半導体型光源3からレンズ2の入射面20以外、すなわち、レンズ2の上部の平坦面26Uより上方に進む光L2をリフレクタ6の反射面60で反射させて、レンズ2の入射面20に入射させるものである。ところが、この発明においては、リフレクタ6を半導体型光源3の下側から左右両側にかけて配置して、半導体型光源3からレンズ2の入射面20以外、すなわち、レンズ2の下部の平坦面26Dより下方に進む光をリフレクタ6の反射面60で反射させて、レンズ2の入射面20に入射させるものであっても良い。または、リフレクタ6を半導体型光源3の上側から左右両側にかけての箇所と下側から左右両側にかけての箇所とにそれぞれ配置して、半導体型光源3からレンズ2の入射面20以外、すなわち、レンズ2の上部の平坦面26Uより上方およびレンズ2の下部の平坦面26Dより下方に進む光L2をそれぞれリフレクタ6の反射面60で反射させて、レンズ2の入射面20に入射させるものであっても良い。