(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記線材が、互いに平行に延びる複数本の第1の線材と、互いに平行に延びる複数本の第2の線材とを有し、前記複数本の第1の線材と前記複数本の第2の線材とが異なる方向に延び、前記複数本の第1の線材と前記複数本の第2の線材とが交差することにより、網状部材が構成されている、請求項1または2に記載の波長変換部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
波長変換部材においては、励起光が蛍光体粉末によって波長変換される際に、エネルギーの一部が熱に変換される。特許文献1のように、蛍光体粉末がガラスマトリクスに覆われている波長変換部材においては、ガラスマトリクスの放熱性が十分でないことから、波長変換される際発生する熱を、十分に外部に放出できない場合があった。そのため、発生した熱により、波長変換部材の波長変換効率が低下(温度消光)しやすいという問題があった。また、発生した熱によりガラスマトリクスが融解して、波長変換部材が破損するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、波長変換効率に優れ、かつ、放熱性が高く、励起光照射時の発熱による破損が生じにくい波長変換部材及び発光デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の波長変換部材は、励起光の入射により励起して蛍光を出射する蛍光体粒子を含む蛍光体層と、蛍光体層中に配置されており、金属からなる線材とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明においては、線材の端部が波長変換部材の端部に至るように、線材が設けられていることが好ましい。
【0009】
また、蛍光体粒子と線材とが接していることが好ましい。
【0010】
本発明においては、線材が、互いに平行に延びる複数本の第1の線材と、互いに平行に延びる複数本の第2の線材とを有し、複数本の第1の線材と複数本の第2の線材とが異なる方向に延び、複数本の第1の線材と複数本の第2の線材とが交差することにより、網状部材が構成されていることが好ましい。
【0011】
蛍光体粒子は、隣接する第1の線材間及び/または隣接する第2の線材間に挟まれることにより保持されていることが好ましい。
【0012】
蛍光体層は、マトリクスと、マトリクス中に分散した蛍光体粒子とから構成されていることが好ましい。この場合、蛍光体粒子は、マトリクスにより保持されていることが好ましい。
【0013】
蛍光体粒子は、隣接する第1の線材及び/または隣接する第2の線材と接するように設けられていることが好ましい。
【0014】
線材は、Al、Ag及びPtから選ばれる少なくとも1種の金属からなることが好ましい。
【0015】
上記マトリクスは、ガラス、ポリシラザン及び樹脂から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
【0016】
本発明の発光デバイスは、上記本発明の波長変換部材と、励起光を出射する光源とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、放熱性が高い波長変換部材及び発光デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る波長変換部材の平面図である。
図2は、
図1中のA−A線に沿う波長変換部材の断面図である。波長変換部材1は、蛍光体層2を有する。本実施形態では、蛍光体層2は、円板状の形状を有する。なお、蛍光体層2は、上記形状には限られない。
【0021】
蛍光体層2は、マトリクス2a及びマトリクス2a中に分散した蛍光体粒子2bを有する。励起光Mが蛍光体層2に入射し、マトリクス2aを通り蛍光体粒子2bに入射すると、蛍光体粒子2bが励起することにより、蛍光Nを出射する。
【0022】
本実施形態において、マトリクス2aは、ガラス、ポリシラザン及び樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる。なお、ガラスとしては、例えば、ホウ珪酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラスなどを用いることができる。樹脂としては、例えば、シリコーンやポリイミドなどを用いることができる。
【0023】
蛍光体粒子2bは、励起光Mの入射により蛍光Nを出射するものであれば、特に限定されるものではない。蛍光体粒子2bの具体例としては、例えば、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、塩化物蛍光体、酸塩化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体、カルコゲン化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ハロリン酸塩化物蛍光体、ガーネット系化物蛍光体から選ばれた1種以上などが挙げられる。励起光として青色光を用いる場合、例えば、緑色光、黄色光または赤色光を蛍光として出射する蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体粒子2bは、ガーネット系化物蛍光体であるYAG蛍光体であれば、耐熱性が高いため好ましい。
【0024】
蛍光体層2中には、複数の格子部3cを有する網状部材3が配置されている。網状部材3は、互いに平行に延びる複数本の第1の線材3a及び互いに平行に延びる複数本の第2の線材3bにより構成されている。本実施形態では、複数本の第1の線材3aと複数本の第2の線材3bとが略直交するように交差することにより、網状部材3が構成されている。なお、各第1の線材3aと各第2の線材3bとは、互いに異なる方向に延びていればよく、略直交していなくてもよい。各第1,第2の線材3a,3bは、金属からなる。好ましくは、Al、Ag及びPtから選ばれる少なくとも1種の金属からなる。あるいは、各第1,第2の線材3a,3bは、Al、Ag及びPt以外の金属がAl、AgまたはPtによりめっきされたものであってもよい。
【0025】
本実施形態において、各第1の線材3aの端部3a1,3a2及び各第2の線材3bの端部3b1,3b2は、波長変換部材1の幅方向の端部1aに至っている。なお、各第1,第2の線材3a,3bの端部3a1,3a2,3b1,3b2は、波長変換部材1の厚み方向の端部(主面2cまたは主面2d)に至っていてもよい。また、必ずしも両端部が波長変換部材1の端部に至ってなくともよく、一方の端部のみが、波長変換部材1の端部に至っていてもよい。
【0026】
蛍光体粒子2bは、網状部材3に接しており、かつ格子部3c上に位置している。より具体的には、蛍光体粒子2bは、互いに隣接する第1の線材3a及び互いに隣接する第2の線材3bに接している。なお、蛍光体粒子2bは、互いに隣接する第1の線材3a及び互いに隣接する第2の線材3bの内の少なくとも一方と接していればよい。
【0027】
本実施形態の特徴は、蛍光体層2中に網状部材3が配置されており、かつ網状部材3と蛍光体粒子2bとが接していることにある。それによって、放熱性を効果的に高めることができる。このことを、以下において説明する。
【0028】
従来、ガラスマトリクス及びガラスマトリクス中に分散された蛍光体粒子を有する波長変換部材と、出力が大きく、発光効率が高いレーザー光源とが、発光デバイスに用いられていた。しかしながら、レーザー光を照射された対象の発熱量は大きい。そのため、レーザー光を照射された従来の波長変換部材においては、レーザー光が照射された部分の温度が急激に上昇していた。一般的に、波長変換部材の蛍光体粒子の温度が200℃以上になると、蛍光体粒子に入射した光の大部分が熱に変換され、温度消光が生じる。温度消光が生じると、波長変換部材における光の波長の変換効率が下がり、かつ温度が加速度的に上昇する。従来の波長変換部材は、放熱性が充分に高められていなかったため、温度消光が生じることにより、ガラスマトリクスのレーザー光が照射された部分が高温になっていた。そのため、ガラスマトリクスの上記部分が融解することがあった。
【0029】
これに対して、本実施形態では、蛍光体層2中に金属からなる網状部材3が配置されている。それによって、熱伝導率を効果的に高めることができる。そのため、レーザー光などの励起光Mが照射されている部分の局所的な温度上昇を生じ難くすることができる。さらに、網状部材3の各第1,第2の線材3a,3bの端部3a1,3a2,3b1,3b2は、波長変換部材1の端部1aに至っている。それによって、網状部材3により、外部に直接的に放熱することができる。従って、放熱性を効果的に高めることができる。
【0030】
例えば、波長変換部材1を他の発光デバイスに組み込むに際し、端部1aを他の部品に接触させることが好ましい。このとき、波長変換部材1の入射面及び出射面を他の部品と接触させないことがより好ましい。それによって、波長変換部材1に入射する励起光Mまたは波長変換部材1から出射する蛍光Nが他の部品により遮られない。従って、発光効率を低くすることなく、放熱性を効果的に高めることができる。
【0031】
各第1,第2の線材3a,3bの外径は、好ましくは、蛍光体層2の厚みの80%以下であることが望ましい。また、各第1,第2の線材3a,3bの外径は、5μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、各第1,第2の線材3a,3bの外径は20μm以上であり、蛍光体層2の厚みの70%以下であることが望ましい。各第1,第2の線材3a,3bの外径が蛍光体層2の厚みの80%よりも大きい場合、あるいは500μmよりも大きい場合、光の透過率が小さくなるため、発光効率が低くなるおそれがある。各第1,第2の線材3a,3bの外径が5μmよりも小さい場合、充分な放熱性を得られないおそれがある。
【0032】
各第1,第2の線材3a,3bは、上述したように、Al、Ag及びPtから選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。それによって、各第1,第2の線材3a,3bに励起光Mを吸収され難くすることができる。従って、発光効率を効果的に高めることができる。あるいは、各第1,第2の線材3a,3bは、Al、Ag及びPt以外の金属がAl、AgまたはPtによりめっきされたものであってもよい。それによっても、各第1,第2の線材3a,3bに励起光Mを吸収され難くすることができる。
【0033】
図3に示すように、蛍光体粒子2bのサイズLは、網状部材3の格子部3cにおいて互いに隣接する第1の線材3a間の距離、及び互いに隣接する第2の線材3b間の距離よりも大きい。そのため、蛍光体粒子2bは、互いに隣接する第1の線材3a、及び互いに隣接する第2の線材3bと接している。よって、蛍光体粒子2bと網状部材3とが接する部分を効果的に増やすことができる。従って、放熱経路を効果的に増やすことができるため、放熱性を効果的に高めることができる。
【0034】
図4に示す第1の変形例のように、網状部材53の端部53aは、波長変換部材51の端部51aに至っていなくてもよい。この場合でも、励起光Mが照射されている部分の局所的な温度上昇を生じ難くすることができるため、上記の本発明の効果を享受することができる。
【0035】
図5に示す第2の変形例の波長変換部材61のように、蛍光体粒子2bと網状部材3とは接していなくてもよい。この場合でも、マトリクス2aに生じる熱を網状部材3によって放出することができるので、放熱性を高めることができる。
【0036】
図6に示す第3の変形例のように、第2の線材を有しておらず、波長変換部材71の蛍光体層2中に少なくとも1本以上の第1の線材3aが配置されているだけであってもよい。この場合でも、互いに隣接する第1の線材3aと接するように蛍光体粒子2bを配置することができるため、放熱性を高めることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る波長変換部材の平面図である。
図8は、
図7中のB−B線に沿う波長変換部材の断面図である。波長変換部材11の蛍光体粒子12bは、隣接する第1の線材3a間及び隣接する第2の線材3b間に挟まれることにより保持されている。本実施形態では、蛍光体層12はマトリクスを有さない。上記以外の点においては、本実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0038】
蛍光体粒子12bは、隣接する第1の線材3a及び隣接する第2の線材3bに接している。それによって、複数本の第1,第2の線材3a,3bからなる網状部材3に、蛍光体粒子12bから直接的に放熱することができる。従って、放熱性を効果的に高めることができる。
【0039】
第1の実施形態では、蛍光体粒子2bはマトリクス2aにより保持されているが、本実施形態では、蛍光体粒子12bは、網状部材3により保持されている。上述したように、従来の波長変換部材においては、ガラスマトリクスのレーザー光が照射された部分が融解していた。これに対して、本実施形態では、蛍光体層12は、マトリクスを有さない。従って、波長変換部材を破損し難くすることができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る波長変換部材の断面図である。本実施形態においては、波長変換部材21の蛍光体粒子2bが、網状部材3の両面に配置されている点で、第1の実施形態と異なる。上記以外の点においては、第3の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を有する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る波長変換部材の断面図である。波長変換部材31の蛍光体層2上に、波長選択層34が設けられている。より具体的には、蛍光体層2の蛍光Nの出射側の主面2c上に波長選択層34が設けられている。上記以外の点においては、第4の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0042】
波長選択層34は、蛍光Nを透過し、かつ励起光Mを反射するバンドパスフィルターである。波長選択層34は、例えば、高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜とが交互に積層された誘電体多層膜からなる。
【0043】
なお、蛍光体粒子2bは、蛍光体層2の主面2cに露出していない。従って、蛍光体層2と波長選択層34との接合強度を効果的に高めることができる。
【0044】
ここで、蛍光体層2に入射した励起光Mの一部は、蛍光体粒子2bを励起させずに波長変換部材の外部に出射されるおそれがある。本実施形態では、蛍光体層2の主面2cに波長選択層34が設けられている。このため、蛍光体粒子2bを励起させなかった励起光Mは、マトリクス2aを通って波長選択層34に至り、反射される。反射された励起光Mは、蛍光体粒子2bを励起させる。このように、励起光Mを波長選択層34で反射させて閉じ込めることにより、蛍光体粒子2bをより一層励起させることができる。従って、発光強度をより一層効果的に高めることができる。
【0045】
(発光デバイスの実施形態)
図11は、本発明の第5の実施形態としての発光デバイスの断面図である。発光デバイス40は、波長変換部材1と、励起光Mを出射する光源45とを備える。光源45は、例えば、レーザー光源やLED光源からなる。光源45から励起光Mを出射し、励起光Mを波長変換部材1の蛍光体層2に入射させる。蛍光体層2に入射した励起光Mが、蛍光体粒子2bを励起させることにより、蛍光体粒子2bから蛍光Nが出射される。蛍光Nは、蛍光体層2から出射される。本実施形態では、第1の実施形態の波長変換部材1を用いているため、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(製造方法)
以下において、
図1及び
図2に示した第1の実施形態の波長変換部材1の製造方法を説明する。
図12(a)及び
図12(b)は、本発明の波長変換部材の製造方法を説明するための断面図である。まず、
図12(a)に示すように、網状部材3を用意する。次に、網状部材3上に蛍光体粒子2bを配置する。このとき、蛍光体粒子2bを格子部3c上に配置することが好ましい。それによって、蛍光体粒子2bと網状部材3とが接する部分を多くすることができる。よって、放熱性を効果的に高めることができる。
【0047】
次に、
図12(b)に示すように、蛍光体粒子2b及び網状部材3を覆うように、コーティング材2Aを塗布する。このとき、網状部材3の各第1の線材3aの端部3a1,3a2及び各第2の線材3bの端部が露出するように、コーティング材2Aを塗布する。次に、焼成を行うことにより、蛍光体層2を形成する。これにより、
図1及び
図2に示した波長変換部材1を得ることができる。
【0048】
本実施形態では、コーティング材2Aは、ポリシラザンからなる。ポリシラザンは、空気中の水分と反応し、アンモニアを発生して縮合することにより、SiO
2を形成することができる。ここで、縮合反応は、室温〜200℃という比較的低温で行われるため、蛍光体粒子2の波長変換効率が劣化し難い。従って、発光効率を効果的に高めることができる。
【0049】
コーティング材2Aには、液体ガラスを用いてもよい。液体ガラスは、室温においてSiO
2を形成することができる。そのため、焼成を行わなくてもよい。この場合においても、蛍光体粒子2の波長変換効率が劣化し難いため、発光効率を効果的に高めることができる。
【0050】
なお、コーティング材2Aを塗布するに際し、各第1の線材3aの端部3a1,3a2及び各第2の線材3bの端部を覆うようにコーティング材2Aを塗布してもよい。この場合、焼成工程の後に、波長変換部材の端部を研削することにより、各第1の線材3aの端部3a1,3a2及び各第2の線材3bの端部を露出させればよい。
【0051】
図7及び
図8に示す第2の実施形態の波長変換部材11を製造するに際しては、まず、蛍光体粒子12bを網状部材3の各格子部3c上に配置する。次に、蛍光体粒子12bを網状部材3の方向に押圧する。それによって、網状部材3の隣接する第1の線材3a間及び隣接する第2の線材3b間に蛍光体粒子12bが挟まれ、保持された状態にすることができる。これにより、波長変換部材11を得ることができる。
【0052】
図13(a)〜
図13(d)は、第3の実施形態の波長変換部材の製造方法を説明するための断面図である。
図13(a)に示すように、網状部材3の上面に蛍光体粒子2bを配置する。次に、
図13(b)に示すように、網状部材3の上面及び網状部材の上面に配置された蛍光体粒子2bにコーティング材2Aを塗布する。次に、
図13(c)に示すように、網状部材3の下面に蛍光体粒子2bを配置する。次に、網状部材3の下面及び網状部材3の下面に配置された蛍光体粒子2bにコーティング材2Aを塗布する。次に、焼成を行う。これにより、
図9に示した波長変換部材21を得ることができる。
【0053】
図10に示す第4の実施形態の波長変換部材31を製造するに際しては、まず、第1の実施形態の波長変換部材を用意する。しかる後、蛍光体層2の主面2c上に、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等により高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜とを交互に積層することにより、誘電体多層膜である波長選択層34を形成する。これにより、波長変換部材31を得ることができる。蛍光体粒子2bが蛍光体層2の主面2cに露出していないため、波長選択層34を容易に設けることができる。
【0054】
本発明の波長変換部材は、コーティング材2Aを用いる方法以外の方法によっても製造することができる。以下において、第1の実施形態の波長変換部材1の上記製造方法を説明する。
図14(a)〜
図14(c)は、本発明の波長変換部材の製造方法を説明するための断面図である。
【0055】
まず、
図14(a)に示すように、網状部材3上に蛍光体粒子2bを配置する。
【0056】
次に、
図14(b)に示すように、第1,第2のグリーンシート2B,2Cを用意する。第1のグリーンシート2B及び第2のグリーンシート2Cは、例えば、以下のようにして製造することができる。ガラス粒子と、バインダー樹脂や溶剤等の有機成分とを含むスラリーを、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム上にドクターブレード法等により塗布し、加熱乾燥することにより、第1のグリーンシート2B及び第2のグリーンシート2Cをそれぞれ製造することができる。次に、第1のグリーンシート2B及び第2のグリーンシート2Cを、蛍光体粒子2b及び網状部材3を挟むように配置する。このとき、網状部材3の各第1の線材3aの端部3a1,3a2及び第2の線材3bの端部が第1のグリーンシート2Bの端部2Ba及び第2のグリーンシート2Cの端部2Caに至るように、第1,第2のグリーンシート2B,2Cを配置する。
【0057】
次に、
図14(c)に示すように、第1のグリーンシート2B、蛍光体粒子2b、網状部材3及び第2のグリーンシート2Cを挟むように、アルミナなどからなるセラミックシート6B,6Cを配置する。より具体的には、第1のグリーンシート2Bの上にセラミックシート6Bを、第2のグリーンシート2Cの下にセラミックシート6Cを配置する。この状態で、上下に配置したセラミックシート6B,6Cを互いに近づけるように押圧する。それによって、第1,第2のグリーンシート2B,2Cにより蛍光体粒子2b及び網状部材3が覆われる。この状態で焼成することにより、有機成分が除去されるとともにガラス粒子が焼結され、蛍光体層が形成される。これによって、
図1及び
図2に示した波長変換部材1を得ることができる。
【0058】
なお、第1,第2のグリーンシート2B,2Cを配置するときに、各第1の線材3aの端部3a1,3a2及び各第2の線材3bの端部を第1のグリーンシート2Bの端部2Ba及び第2のグリーンシート2Cの端部2Caよりも内側に位置させてもよい。この場合、焼成工程の後に、波長変換部材の端部を研削することにより、各第1の線材3aの端部3a1,3a2及び各第2の線材3bの端部を露出させればよい。