(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471621
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 12/00 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
G06F12/00 531M
G06F12/00 537A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-122710(P2015-122710)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2017-10150(P2017-10150A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【弁理士】
【氏名又は名称】在原 元司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 賢治
(72)【発明者】
【氏名】荒木 甲和
(72)【発明者】
【氏名】井上 淳次
【審査官】
平井 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−231656(JP,A)
【文献】
特開2004−164226(JP,A)
【文献】
特開2002−116938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するバックアップ手段であって、前記バックアップデータに隠しファイル属性を付与することで、前記バックアップデータへのアクセスが制限される態様で前記バックアップデータを前記記憶媒体に格納するバックアップ手段と、
複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータについて、ユーザーの指示に応じて隠しファイル属性を解除することで、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする制御手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するバックアップ手段と、
複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータをユーザーの指示に応じて複写し、複写された前記特定単位のバックアップデータを、前記記憶媒体内における複写元の前記特定単位のバックアップデータの格納場所とは別の場所に格納することで、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする制御手段と、
を含み、
前記制御手段は、前記複写を実行後、複写元の前記特定単位のバックアップデータを削除する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記特定単位のバックアップデータは、前記バックアップ手段によって新たなバックアップデータが前記記憶媒体に格納される際に新たに選定され、
前記制御手段は、新たに前記特定単位のバックアップデータが選定されるタイミングで、当該新たに選定される特定単位バックアップデータについて、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置において、
前記選定されるバックアップデータは、前記バックアップ手段によって最後に前記記憶媒体に格納されたバックアップデータである
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
バックアップ手段が、対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するステップであって、前記バックアップデータに隠しファイル属性を付与することで、前記バックアップデータへのアクセスが制限される態様で前記バックアップデータを前記記憶媒体に格納するステップと、
制御手段が、複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータについて、ユーザーの指示に応じて隠しファイル属性を解除することで、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にするステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
バックアップ手段が、対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するステップと、
制御手段が、複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータをユーザーの指示に応じて複写し、複写された前記特定単位のバックアップデータを、前記記憶媒体内における複写元の前記特定単位のバックアップデータの格納場所とは別の場所に格納することで、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にするステップと、
制御手段が、前記複写を実行後、複写元の前記特定単位のバックアップデータを削除するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するバックアップ手段であって、前記バックアップデータに隠しファイル属性を付与することで、前記バックアップデータへのアクセスが制限される態様で前記バックアップデータを前記記憶媒体に格納するバックアップ手段、及び、
複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータについて、ユーザーの指示に応じて隠しファイル属性を解除することで、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする制御手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するバックアップ手段、及び、
複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータをユーザーの指示に応じて複写し、複写された前記特定単位のバックアップデータを、前記記憶媒体内における複写元の前記特定単位のバックアップデータの格納場所とは別の場所に格納することで、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする制御手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記制御手段は、前記複写を実行後、複写元の前記特定単位のバックアップデータを削除する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記憶媒体にバックアップする情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日々増加するデータなどを記憶媒体にバックアップする場合、世代バックアップなどのように複数回にわたってバックアップ処理を行うことが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−116938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数回にわたってバックアップが行われると、類似するバックアップデータが複数個記憶媒体に格納されることになる。このような状態になると、ユーザーは個々のバックアップデータを識別しにくくなり、誤って意図しないバックアップデータにアクセスするおそれが生じる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ユーザーが誤って意図しないバックアップデータにアクセスすることを防止できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するバックアップ手段と、複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータについて、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記情報処理装置において、前記制御手段は、前記特定単位のバックアップデータを参照先として設定した参照ファイルを生成し、当該参照ファイルをユーザーがアクセス可能な記憶媒体に格納することとしてもよい。
【0008】
さらに、前記制御手段は、ユーザーの指示に応じて前記参照ファイルの参照先を前記特定単位のバックアップデータにすることとしてもよい。
【0009】
また、前記情報処理装置において、前記バックアップ手段は、前記バックアップデータへのアクセスが制限される態様で前記バックアップデータを前記記憶媒体に格納することとしてもよい。
【0010】
さらに、前記バックアップ手段は、前記バックアップデータに隠しファイル属性を付与することで、当該バックアップデータへのアクセスを制限することとしてもよい。
【0011】
さらに、前記制御手段は、ユーザーの指示に応じて前記特定単位のバックアップデータの隠しファイル属性を解除することとしてもよい。
【0012】
また、前記情報処理装置において、前記制御手段は、ユーザーの指示に応じて前記特定単位のバックアップデータを複写し、複写された前記特定単位のバックアップデータを、前記記憶媒体内における複写元の前記特定単位のバックアップデータの格納場所とは別の場所に格納することとしてもよい。
【0013】
さらに、前記制御手段は、前記複写を実行後、複写元の前記特定単位のバックアップデータを削除することとしてもよい。
【0014】
また、前記情報処理装置において、前記特定単位のバックアップデータは、前記バックアップ手段によって新たなバックアップデータが前記記憶媒体に格納される際に新たに選定され、前記制御手段は、新たに前記特定単位のバックアップデータが選定されるタイミングで、当該新たに選定される特定単位バックアップデータについて、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にすることとしてもよい。
【0015】
また、前記選定されるバックアップデータは、前記バックアップ手段によって最後に前記記憶媒体に格納されたバックアップデータであることとしてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る情報処理方法は、対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するステップと、複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータについて、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にするステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、対象データをバックアップデータとして記憶媒体に格納するバックアップ処理を実行するバックアップ手段、及び、複数回の前記バックアップ処理によって前記記憶媒体に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータについて、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする制御手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、記憶媒体に複数単位のバックアップデータがある場合に、そのうちの特定単位のバックアップデータにその他のバックアップデータと異なる態様でユーザーがアクセスできるようにすることで、ユーザーが誤って特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータにアクセスしにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す構成ブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図3】バックアップデータ及び参照ファイルの格納場所の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1の構成を示す構成ブロック図である。情報処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータやNAS(Network Attached Storage)、メディアサーバなどであって、バックアップの対象となる対象データを記憶し、そのバックアップ処理を実行する。
図1に示すように、情報処理装置1は、CPU11と、メモリ12と、記憶部13と、操作受入部14と、を含んで構成されている。また、外部記憶装置15と接続可能に構成されている。外部記憶装置15と情報処理装置1との間の接続形態の例については、後述する。
【0022】
CPU11は、プログラム制御デバイスであって、メモリ12に格納されるプログラムに従って各種の情報処理を実行する。本実施形態においてCPU11が実行する処理の具体例については、後述する。メモリ12は揮発性のRAM及び不揮発性のROMを含み、CPU11が実行するプログラム、及びそのプログラムによる処理の対象となるデータを記憶する。
【0023】
記憶部13は、不揮発性のストレージデバイスであって、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などであってよい。記憶部13は、バックアップ処理の対象となる対象データを格納する。対象データは、例えば音楽データや映像データなどのコンテンツデータであってもよいし、その他の各種のデータであってもよい。
【0024】
操作受入部14は、ユーザーからの情報処理装置1に対する操作入力を受け付ける。具体的に、例えば操作受入部14は、有線、又は無線により情報処理装置1と接続されたキーボード等の操作デバイスに対するユーザーからの操作入力の内容を受け付ける。また、情報処理装置1の筐体表面に配置されたボタンやスイッチ等の物理的手段による操作入力を受け付けてもよい。
【0025】
外部記憶装置15は、外付けハードディスクドライブ等の情報記憶媒体を備えており、例えばUSB等のバスインタフェースを介して、情報処理装置1に対して着脱可能に接続される。外部記憶装置15は、情報処理装置1からデータの読出しや書込みが可能に構成され、特に本実施形態では、後述するように記憶部13に格納された対象データのバックアップ先として利用される。なお、上記のUSBインタフェースは一例であり、IEEE1394や、PCI−Express、Thunderbolt(登録商標)等のバス接続や、Bluetooth(登録商標)や2.4GHz帯、5GHz帯や60GHz帯の無線通信、NFCやRFID等を利用した近距離無線通信を経由して接続されてもよい。
【0026】
以下、本実施形態に係る情報処理装置1が実現する機能について、
図2の機能ブロック図を用いて説明する。同図に示すように、情報処理装置1は、記憶部13に格納される対象データのバックアップに関する機能部として、バックアップ処理部21及びアクセス制御部22を含む。これらの機能は、CPU11がメモリ12に格納されているプログラムを実行することにより、実現される。このプログラムは、情報処理装置1の製造時に記憶部13に格納されて、実行時に記憶部13からメモリ12に読み出されてもよいし、出荷後にコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体から読み出されて情報処理装置1に提供されてもよい。また、インターネット等の通信ネットワークを経由して情報処理装置1に提供されてもよい。
【0027】
バックアップ処理部21は、記憶部13内に格納されている対象データを外部記憶装置15に格納するバックアップ処理を実行する。以下では、外部記憶装置15にバックアップされた対象データをバックアップデータという。具体的にバックアップ処理部21は、予め定められた日時が到来するごとにバックアップ処理を実行してもよいし、ユーザーからのバックアップ指示を操作受入部14が受け付けた場合にバックアップ処理を実行してもよい。また、システムの更新が行われた場合など、所定の実行条件が満たされた場合にバックアップ処理を実行してもよい。また、バックアップ処理部21が実行するバックアップ処理は、フルバックアップであってもよいし、差分バックアップや増分バックアップであってもよい。
【0028】
バックアップ処理部21が複数回にわたってバックアップ処理を実行すると、外部記憶装置15には複数単位のバックアップデータが並列に記録されることになる。ここで一単位のバックアップデータとは、一回のバックアップ処理によって格納されるバックアップデータの全体を指し、対象データが複数のファイルから構成される場合、これら複数のファイルをバックアップして得られるファイル群であってもよい。
【0029】
なお、バックアップ処理部21は、バックアップデータを外部記憶装置15に格納する際に、そのアクセスが制限される態様で格納することとしてもよい。具体的に、例えばバックアップ処理部21は、バックアップデータを格納するディレクトリ(フォルダ)に対して、隠しファイル属性を付与する。これにより、隠しファイル属性が付与されたディレクトリ配下の個々のバックアップデータにも隠しファイル属性が付与される。隠しファイル属性が付与されたファイルは、通常のファイル閲覧処理では表示されないようになるため、ユーザーによるバックアップデータへのアクセスが制限されることになる。なお、バックアップ処理部21は、バックアップデータに対して隠しファイル属性を付与する代わりに、またはこれに加えて、読み取り専用属性などの他のアクセス制限に関する属性を付与してもよい。読み取り専用属性をバックアップデータに付与すると、バックアップデータに対するユーザーの読み取りアクセスは制限されないが、更新や削除等のアクセスは制限されることになる。
【0030】
アクセス制御部22は、バックアップ処理部21による複数回のバックアップ処理によって外部記憶装置15に格納された複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータについて、当該特定単位のバックアップデータ以外のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセス可能な状態にする制御を実行する。以下では、アクセス制御部22が特定単位のバックアップデータに対して行うこのような制御を特定データアクセス制御という。また、特定単位のバックアップデータを単に特定バックアップデータという。このような制御によれば、ユーザーが外部記憶装置15内に格納されたバックアップデータに後からアクセスしようとした場合に、特定バックアップデータに対して他のバックアップデータとは異なる方法でアクセスできるようになり、他のバックアップデータに誤ってアクセスしにくくなる。特にバックアップ処理部21が前述したようにバックアップデータ全体にアクセス制限を実施する場合、アクセス制限がされた複数単位のバックアップデータのうち、特定バックアップデータのみアクセス可能にすることで、特定バックアップデータ以外のデータにユーザーが誤ってアクセスすることを防止できる。特定データアクセス制御の具体例については、後述する。
【0031】
ここで、特定バックアップデータは、バックアップ処理部21がバックアップ処理を実行するタイミングで選定されるものであってよい。具体例として、アクセス制御部22は、バックアップ処理部21がバックアップ処理を実行する毎に、最後に外部記憶装置15に格納されたバックアップデータ(すなわち、そのバックアップ処理によって新たに格納されたバックアップデータ)を特定バックアップデータとして選定し、選定した特定バックアップデータに対して特定データアクセス制御を実行する。
【0032】
なお、特定バックアップデータは、最後のバックアップ処理で格納された一単位のバックアップデータに限らず、直近の過去所定回数のバックアップ処理で外部記憶装置15に格納された複数単位のバックアップデータであってもよい。また、例えば最新の月曜日のバックアップデータや、前回特定バックアップデータの選定が行われた後から数えてn回目のバックアップ処理で格納されたバックアップデータなど、所定のタイミングで実行されたバックアップ処理によって外部記憶装置15に格納されたバックアップデータを特定バックアップデータとしてもよい。また、特定バックアップデータは、バックアップ処理の実行時などのタイミングでユーザーによって指定されるバックアップデータであってもよい。また、複数種類の実行条件のいずれかが満足された場合にバックアップ処理が実行される場合、特定バックアップデータは、特定種類の実行条件に応じて実行されたバックアップ処理により格納されたバックアップデータであってもよい。具体例として、バックアップ処理部21が定期的なバックアップのほかにシステム更新時に自動バックアップを行う場合に、アクセス制御部22はシステム更新時のバックアップ処理によって格納されたバックアップデータを特定バックアップデータとして選定してもよい。
【0033】
以下、特定データアクセス制御のいくつかの具体例について、説明する。
【0034】
まず特定データアクセス制御の第1の具体例として、参照ファイルを使用する制御について、説明する。この例では、アクセス制御部22は、特定バックアップデータを参照先として設定した参照ファイルRを生成し、ユーザーがアクセス可能な記憶媒体に格納する。例えばアクセス制御部22は、この参照ファイルRをバックアップデータとは別に外部記憶装置15に格納する。この参照ファイルRを利用することで、ユーザーは特定バックアップデータに間違えずにアクセスできるようになる。
【0035】
ここで参照ファイルRは、当該参照ファイルRをユーザーが指定する操作を行った場合に、参照先として設定された特定バックアップデータへのアクセスが行われるようなファイルである。具体例として、参照ファイルRは、シンボリックリンク、ハードリンク、ショートカットなどのように、ファイルシステム内のファイルやディレクトリを別の名前で参照するために用いられる別名ファイルであってよい。また、参照ファイルRは、参照先のファイルやディレクトリの内容を表示する処理を実行内容として含んだバッチファイル等の実行形式ファイルであってもよい。この参照ファイルRを外部記憶装置15内のバックアップデータの格納場所とは別の格納場所(ディレクトリ)に格納しておくことによって、ユーザーは参照ファイルRにアクセスすることで特定バックアップデータにアクセスすることができる。特に、特定バックアップデータを含むバックアップデータに隠しファイル属性を付与した場合であっても、参照ファイルRを隠しファイル属性を付与せずに外部記憶装置15に格納するようにすれば、ユーザーはこの参照ファイルRを用いて隠しファイル属性が付与された特定バックアップデータにアクセスすることができる。
【0036】
なお、このような参照ファイルRのデータ形式は、オペレーティングシステムの種類によって異なる場合がある。例えばUNIX(登録商標)系のオペレーティングシステムでは別名ファイルとしてシンボリックリンクやハードリンクが用いられるが、MS−Windows(登録商標)ではショートカットファイルが用いられる。そして、ユーザーが外部記憶装置15内のバックアップデータにアクセスするときは、バックアップ処理を実行した情報処理装置1上でアクセスを行うとは限らず、外部記憶装置15を別のオペレーティングシステムが動作するコンピュータに接続して、そのコンピュータからアクセスする場合もあり得る。そこでアクセス制御部22は、複数種類のオペレーティングシステムに対応して同じ参照先が設定された複数種類の参照ファイルRを記録してもよい。あるいは、特定のオペレーティングシステムに対応する参照ファイルRと、その参照ファイルRの内容に基づいて別のオペレーティングシステムに対応する新規の参照ファイルを生成する処理を記述したバッチファイル等の実行ファイルを記録してもよい。こうすれば、ユーザーはこの実行ファイルを実行することで現在使用中のコンピュータのオペレーティングシステムに対応した新規の参照ファイルを生成させることができる。
【0037】
また、アクセス制御部22は、既に外部記憶装置15に記録された参照ファイルRの参照先を、ユーザーの指示に応じて変更してもよい。具体的に、例えばアクセス制御部22は、外部記憶装置15に記憶された複数単位のバックアップデータの一覧を画面上に表示し、その中のいずれかを指定する選択操作をユーザーから受け付ける。そして、選択されたバックアップデータの外部記憶装置15内における格納場所を参照先として指定するように、記録済みの参照ファイルRの内容を更新する。こうすれば、ユーザーは特定バックアップデータを任意に選択して、別のコンピュータ等で外部記憶装置15にアクセスした際に予め選択した特定バックアップデータに間違えずにアクセスできるようになる。
【0038】
図3は、バックアップデータと参照ファイルRの外部記憶装置15内における格納場所の一例を示す説明図であって、外部記憶装置15内に情報処理装置1が生成するディレクトリの構造の具体例を示している。同図の例では、バックアップ処理部21は、ルートディレクトリ直下にあるバックアップデータ格納用のディレクトリ「バックアップ」の直下に、装置を特定する情報(例えばMACアドレスやシリアル番号など)を含んだ名称のディレクトリ(装置用ディレクトリ)を生成する。このような装置用ディレクトリを装置毎に生成することで、外部記憶装置15を複数の情報処理装置1と接続し、そのそれぞれに記憶されている対象データのバックアップ先として利用することができる。さらにバックアップ処理部21は、バックアップ処理を実行するごとに、装置用ディレクトリの直下にバックアップデータ格納用のディレクトリ(単位ディレクトリ)を生成し、その直下に実際のバックアップデータを格納する。すなわち、バックアップ処理部21がバックアップ処理を新たに開始するごとに、新たな単位ディレクトリが生成されることになる。単位ディレクトリは、例えばバックアップ処理が実行される日時の情報などを含む名称であってよい。この一つの単位ディレクトリに格納されるバックアップデータが一単位のバックアップデータに相当する。
【0039】
図3の例では、「装置A」の名称で識別される情報処理装置1が過去3回バックアップ処理を実行し、その結果「装置A」ディレクトリの直下に3個の単位ディレクトリが生成されて3単位のバックアップデータが格納された状態が示されている。より具体的に、1回目のバックアップ処理が実行された際には、対象データとしてファイルF1及びF2の2つのデータファイルが存在しており、これら2つのデータファイルが1回目のバックアップ処理日に対応する「20150501」というディレクトリに格納されている。そして、1回目のバックアップ処理の後、2回目のバックアップ処理が実行されるまでに、ファイルF2の内容だけが更新され、ファイルF1の内容は変更されていないものとする。ここではバックアップ処理部21は、2回目のバックアップ処理日を表す「20150502」ディレクトリに、更新されたファイルF2をバックアップデータとして格納するとともに、変更がないファイルF1については前回のバックアップデータを参照するリンクファイルを生成して格納している。さらに、2回目のバックアップ処理の後、3回目のバックアップ処理が実行されるまでに、ファイルF2は削除され、新たにファイルF3が追加されたものとする。この場合バックアップ処理部21は、3回目のバックアップ処理日を表す「20150503」ディレクトリに、前回のバックアップ処理に対応する単位ディレクトリ内のファイルF1を参照先として指定したリンクファイルと、ファイルF3とを格納する。このように、前回のバックアップ処理の後変更がないファイルについては、前回のバックアップ処理に対応する単位ディレクトリ内の同一ファイルを参照するリンクファイルを格納することで、同一のファイルを重複して何個もバックアップデータとして格納することを避けつつ、バックアップ処理実行時に存在している全てのファイルをそのバックアップ処理によって生成される単位ディレクトリからから参照することができる。なお、
図3では実体のデータを持たないリンクファイルは破線で示されており、リンクファイルの参照先は破線の矢印で示されている。
【0040】
さらにこの
図3では、「バックアップ」ディレクトリの全体に隠しファイル属性が設定されているものとする。これにより、ユーザーが不用意にバックアップデータにアクセスできないようにすることができる。そして、アクセス制御部22は、隠しファイル属性が付与されたバックアップデータ格納用ディレクトリとは別の格納場所(ここではルートディレクトリ)に、特定バックアップデータを参照する参照ファイルRを格納している。具体的に、
図3の例では、特定バックアップデータとして3回目のバックアップ処理により記録されたバックアップデータが指定されており、その格納場所である「20150503」ディレクトリが参照ファイルRの参照先として設定されている。なお、この参照ファイルRには隠しファイル属性は設定されていない。ユーザーは、ルートディレクトリ直下にある参照ファイルRにアクセスすることで、「20150503」ディレクトリ内の実体ファイルやリンクファイルから構成されるバックアップデータに間違えずにアクセスすることができる。
【0041】
なお、以上の説明では参照ファイルRをバックアップデータと同じ外部記憶装置15内に格納することとしたが、参照ファイルRの格納先は別の情報記憶媒体であってもよい。例えばアクセス制御部22は、記憶部13内に参照ファイルRを格納してもよい。これにより、外部記憶装置15が情報処理装置1に接続された状態であれば、ユーザーは情報処理装置1上で記憶部13内の参照ファイルRにアクセスすることによって、特定バックアップデータにアクセスすることができる。あるいはアクセス制御部22は、情報処理装置1と通信ネットワーク(有線LAN、無線LAN、無線PAN、インターネット等)を介して接続された他の情報処理装置が有する記憶媒体に参照ファイルRを格納してもよい。この場合、参照ファイルRは、ネットワーク上に接続された外部記憶装置15を特定する情報と、外部記憶装置15内における特定バックアップデータの格納場所の情報とを含むこととする。これによりユーザーは、参照ファイルRにアクセスすることで通信ネットワーク経由で特定バックアップデータにアクセスすることができる。
【0042】
次に、特定データアクセス制御の第2の具体例として、バックアップデータのファイル属性を変更する制御について説明する。この例では、バックアップ処理の実行時にバックアップデータに隠しファイル属性が付与されるものとする。アクセス制御部22は、ユーザーの指示に応じて複数単位のバックアップデータの中から特定バックアップデータを選定する際に、この特定バックアップデータについてのみ、隠しファイル属性を解除する。これにより、ユーザーは他のバックアップデータと間違えずに特定バックアップデータにアクセスできるようになる。
【0043】
具体的に、
図3の「バックアップ」ディレクトリと同様のディレクトリ構造でバックアップデータが記録される場合、バックアップ処理部21は、バックアップ処理の実行時に新たに生成する単位ディレクトリに隠しファイル属性を設定する。そして、アクセス制御部22は、特定バックアップデータの格納先の単位ディレクトリについてのみ隠しファイル属性を解除するよう制御する。なお、新たなバックアップ処理が実行されるごとに特定バックアップデータが変更される場合、アクセス制御部22は、新たに特定バックアップデータとして選定されるバックアップデータについては隠しファイル属性を解除するとともに、それまで特定バックアップデータであったが特定バックアップデータから除外されることになるバックアップデータについては、隠しファイル属性を再設定する。これにより、新たに選定された特定バックアップデータのみ閲覧可能とすることができる。
【0044】
次に、特定データアクセス制御の第3の具体例として、特定バックアップデータを複写する制御について説明する。この例では、アクセス制御部22は特定バックアップデータを複写して、複写元の特定バックアップデータの格納場所とは別の格納場所に格納する。複写された特定バックアップデータの格納場所は、元のバックアップデータの格納場所よりもアクセスしやすい場所であることが望ましい。これにより、ユーザーが特定バックアップデータに間違えずにアクセスできるようになる。例えばアクセス制御部22は、
図3で示した参照ファイルの格納場所と同様の格納場所に複写した特定バックアップデータを格納してもよい。
【0045】
なお、アクセス制御部22は、複写を実行した後、複写元の特定バックアップデータを削除してもよい。これにより、同じバックアップデータが重複して外部記憶装置15に格納された状態を避けることができる。また、第2の具体例と同様に、特定バックアップデータが変更される場合には、この変更に伴って特定バックアップデータから除外されるバックアップデータについては、その複写データを削除することとする。
【0046】
以下、本実施形態において情報処理装置1が実行するバックアップ処理の流れの一例について、
図4のフロー図を用いて説明する。情報処理装置1は、予め設定されたタイミングや、ユーザーの指示を受け付けたタイミングなどで、以下に例示する処理を実行する。また、このフローの例では、最新のバックアップデータが特定バックアップデータとして選定されるものとする。
【0047】
まずバックアップ処理部21は、外部記憶装置15にデータを書き込める状態にあるかを判定する(S1)。判定の結果、外部記憶装置15にアクセスできなければ、エラーコードを出力して異常終了する。外部記憶装置15にアクセス可能な場合、続いてバックアップ処理部21は今回のバックアップデータを格納するための単位ディレクトリを生成する(S2)。そして、単位ディレクトリの配下にバックアップデータを格納するための空き容量があるかを判定する(S3)。空き容量がなければ、エラーコードを出力して異常終了する。
【0048】
空き容量があると判定された場合、バックアップ処理部21は、バックアップの対象データを構成するファイルの一つを選択して(S4)、選択されたファイルが前回のバックアップ処理でバックアップされているかを判定する(S5)。選択されたファイルが前回のバックアップ処理でバックアップされており、そのファイルパス、更新日時、及びサイズに前回から変更がなければ、バックアップ処理部21は当該ファイルのリンクファイルを生成してS2で生成した単位ディレクトリ配下に格納する(S6)。一方、選択されたファイルが前回バックアップされていなかったり、前回のバックアップから変更されていたりする場合には、選択されたファイルをS2で生成した単位ディレクトリ配下に複写する複写処理を実行する(S7)。その後、バックアップ処理部21は、全てのファイルについて処理を実行したかを判定する(S8)。未処理のファイルがあれば、S4に戻って、未処理のファイルを新たに選択対象としてS4からS7の処理を繰り返す。
【0049】
S8ですべてのファイルについて処理が実行されたと判定された場合、対象データのバックアップ処理は完了したことになる。この場合、アクセス制御部22が、S2で生成した単位ディレクトリを参照先として指定する参照ファイルを生成し、外部記憶装置15内の所定の格納場所に格納する(S9)。これによりユーザーは、今回のバックアップ処理で外部記憶装置15内に格納されたバックアップデータに参照ファイルを利用してアクセスできるようになる。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る情報処理装置1によれば、複数回のバックアップ処理によって外部記憶装置15に格納される複数単位のバックアップデータのうち、特定単位のバックアップデータに対して他のバックアップデータとは異なる態様でユーザーがアクセスできるようにすることで、ユーザーが複数単位のバックアップデータの中から他のバックアップデータと混同せずに特定単位のバックアップデータにアクセスできるようにすることができる。
【0051】
なお、本発明の実施の形態は以上説明したものに限られない。例えば以上の説明では外部記憶装置15は外付けハードディスクドライブなどのようにそれ自体が記憶媒体を内蔵しているものとしたが、これに限らず記憶媒体を交換可能な光ディスク装置等であってもよい。この場合にも、同じ記憶媒体に複数単位のバックアップデータが格納される場合に、以上説明したような特定データアクセス制御を実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 情報処理装置、11 CPU、12 メモリ、13 記憶部、14 操作受入部、15 外部記憶装置、21 バックアップ処理部、22 アクセス制御部。