特許第6471648号(P6471648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナータス メディカル インコーポレイテッドの特許一覧

特許6471648眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス
<>
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000002
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000003
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000004
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000005
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000006
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000007
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000008
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000009
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000010
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000011
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000012
  • 特許6471648-眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471648
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】眼球運動を測定する頭部装着可能デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/113 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   A61B3/10 B
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-165212(P2015-165212)
(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公開番号】特開2016-116835(P2016-116835A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2018年5月29日
(31)【優先権主張番号】PA201470584
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】DK
(31)【優先権主張番号】14185921.5
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518108195
【氏名又は名称】ナータス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Natus Medical Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドウガル ハミッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー コンラッド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン アンダース セーシング
(72)【発明者】
【氏名】コピーレウィクス アイザック
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05838420(US,A)
【文献】 米国特許第05094521(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0181168(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球運動を測定する頭部装着可能デバイスであって、
フレームと、
第1のカメラを備えるカメラ・システムであり、前記フレームに結合され、ユーザの第1の眼の第1のセットの画像を前記第1の眼の前記第1のセットの画像を処理するように構成された処理ユニットに提供するように構成されたカメラ・システムと、
第1の制御信号に少なくとも部分的には基づいて前記第1の眼への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、前記第1の2次モードでは、前記第1の1次モードのときより前記第1の眼に到達する光を少なくするように構成された第1のLCDシャッタとを備える、頭部装着可能デバイス。
【請求項2】
前記第1の眼の画像を前記第1のカメラに向かって反射する第1の鏡をさらに備える、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項3】
第2の制御信号に少なくとも部分的には基づいて前記ユーザの第2の眼への光の通過を制御するように構成された第2の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第2の1次モードおよび第2の2次モードで動作するように構成され、前記第2の2次モードでは、前記第2の1次モードのときより前記第2の眼に到達する光を少なくするように構成された第2のLCDシャッタをさらに備える、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項4】
眼球運動を測定する頭部装着可能デバイスであって、
フレームと、
第1のカメラを備えるカメラ・システムであり、前記フレームに結合され、ユーザの第1の眼の第1のセットの画像を提供するように構成されたカメラ・システムと、
第1の制御信号に少なくとも部分的には基づいて前記第1の眼への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、前記第1の2次モードでは、前記第1の1次モードのときより前記第1の眼に到達する光を少なくするように構成された第1のLCDシャッタと、
第2の制御信号に少なくとも部分的には基づいて前記ユーザの第2の眼への光の通過を制御するように構成された第2の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第2の1次モードおよび第2の2次モードで動作するように構成され、前記第2の2次モードでは、前記第2の1次モードのときより前記第2の眼に到達する光を少なくするように構成された第2のLCDシャッタを備えており、
前記第1のLCDシャッタが、前記第1の制御信号および共通制御信号に基づいて前記第1のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成され、前記第2のLCDシャッタが、前記第2の制御信号および前記共通制御信号に基づいて前記第2のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成される、頭部装着可能デバイス。
【請求項5】
前記第1の制御信号、前記第2の制御信号、および/または前記共通制御信号が、交流(AC)信号、および/または双極性方形波電圧信号を含む、請求項4に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項6】
前記第1の制御信号、前記第2の制御信号、および前記共通制御信号のうちの少なくとも1つの電圧が、2から14ボルトのいずれかである、請求項4に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項7】
前記カメラ・システムが、前記ユーザの第2の眼の第2のセットの画像を提供するように構成される、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項8】
前記カメラ・システムが、前記第2のセットの画像を提供するように構成された第2のカメラを備える、請求項7に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項9】
前記カメラ・システムが、第1のフレーム・レートで前記第1のセットの画像を提供するように構成され、前記第1のフレーム・レートが、前記第1の眼の眼球サッケードの検出を可能にするのに十分である、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項10】
記第1のセットの画像に基づいて処理ユニット出力を提供するように構成された前記処理ユニットをさらに備える、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項11】
前記第1の制御信号が、前記処理ユニットによって制御される、請求項10に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項12】
前記第1のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するインタフェースをさらに備える、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項13】
前記フレームが、前記カメラ・システムおよび前記第1のLCDシャッタを収容する、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【請求項14】
頭部装着可能デバイスによって実行される方法であり、前記頭部装着可能デバイスが、フレームと、前記フレームに結合された、第1のカメラを備えるカメラ・システムと、第1の制御信号に少なくとも部分的には基づいてユーザの第1の眼への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタとを備え、前記第1のLCDシャッタが、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、前記第1の2次モードでは、前記第1の1次モードのときより前記第1の眼に到達する光を少なくするように構成されている方法であって、
前記第1のLCDシャッタの動作によって前記第1の眼への光の通過を調節するステップと、
処理ユニットによる処理のために、前記カメラ・システムによって前記第1の眼の第1のセットの画像を提供するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記第1のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フレームに配置された前記処理ユニットをさらに備える、請求項1に記載の頭部装着可能デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼球運動を測定するデバイスに関し、特に、ユーザの眼球のうちの1つまたは複数の視覚の遮断を伴う検査に関連して眼球運動を測定する頭部装着可能デバイスに関する。このような検査は、眼科検査、前庭検査、および/または神経学的検査であってもよい。
【背景技術】
【0002】
人間の眼球運動を測定するための測定技法および機器を開発するための研究が進められている。眼球運動の観察を伴う眼科検査、前庭検査、および神経学的検査には、様々なものが存在する。検査は、片眼または両目のいずれかの視覚を遮断し、その間に同時に眼球運動を観察することを含むことがある。片眼または両目のいずれかの視覚の遮断を取り入れた検査は、HINTS検査、あるいは斜偏倚の検査および/または眼振の検査など、HINTS検査に含まれる個々の検査を含むことがある。
【0003】
検査は、例えば眼球サッケードなど、最大で900deg/sの角速度を伴い、約20から200ms続く、高速の眼球運動の測定を含むことがある。このような高速の運動は、臨床医が視認できることもあるが、一貫して数量化することは困難であることもある。検査は、例えば斜偏倚など、主観的に検出および/または数量化することが困難である可能性がある非常に小さな眼球の偏倚の測定を含むこともある。
【0004】
主観的な測定を回避し、検査を行う臨床医や他の人物に依らない実現可能な標準化された検査を実現することが望ましい。さらに、主観的な測定に頼っていると、病院に行く前の環境など、いくつかの環境では、検査を正確に行うことが不可能ではないとしても、不確実になることがある。
【0005】
さらに、視覚の遮断は、従来は、患者の目に黒いカバーを被せることによって行われる。このカバーは、硬いプラスチックであったり、臨床医の手であったりする。いくつかのデバイスは、患者の目を覆うように下ろすことができる、バイザなどの黒いカバーを含むことがある。しかし、上述の検査を行うことができるデバイスが、正確に、一貫して、安全に、快適に、かつ容易に視覚の遮断を制御することができることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
眼科検査、前庭検査、および/または神経学的検査において主観的な手段を使用することを避け、また検査中のユーザとのやり取りの必要性を避ける、または制限し、したがって様々な検査を行っているときに高い信頼性で眼球運動を測定することができる、改良されたデバイスが必要とされている。本開示は、視覚の遮断を必要とする検査において客観的かつ再現可能な眼球運動の測定を実現するデバイスおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
眼球運動を測定する頭部装着可能デバイスを開示する。この頭部装着可能デバイスは、フレームと、カメラ・システムと、第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタとを備える。カメラ・システムは、第1のカメラを備え、ユーザの第1の眼の第1のセットの画像を取得するように構成される。第1のLCDシャッタは、第1の制御信号に基づいて第1の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成される。第1のLCDシャッタは、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、第1の2次モードでの第1のLCDシャッタを通る光の通過は、第1の1次モードと比較して制限される。
【0008】
また、フレームと、第1のカメラを備えるカメラ・システムと、第1の制御信号に基づいてユーザの第1の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタとを備える、開示する頭部装着可能デバイスなどの頭部装着可能デバイスを用いてユーザの眼球運動を測定する方法も開示する。第1のLCDシャッタは、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、第1の2次モードでの第1のLCDシャッタを通る光の通過は、第1の1次モードと比較して制限される。この方法は、第1のLCDシャッタの動作によって第1の眼の少なくとも一部への光の通過を調節するステップと、カメラ・システムによって第1の眼の第1のセットの画像を取得するステップとを含む。
【0009】
上記の方法は、眼球運動を測定するデバイスによって実装することができる。この方法の少なくとも一部は、眼球運動を測定する上記のデバイスの処理ユニットなどの処理ユニット中で動作するように構成されたソフトウェアに組む込まれることもある。
【0010】
任意の1つの態様に関連して説明するような任意の実施形態または要素は、必要な変更を加えて、任意の他の態様または実施形態で使用されることもあるものと想定されている。
【0011】
開示する方法および装置は、眼科的パラメータ、前庭パラメータ、および神経学的パラメータの高速かつ客観的な試験を可能にする。従来の主観的な評価の代替となる客観的な試験は、より信頼性が高く、かつ一貫した試験を実現することができる。したがって、不正確または不必要な処置を回避することができ、患者の状態の変化を検出できる可能性が高まる。さらに、開示する方法および装置は、自動制御による視覚の遮断を実現し、これにより、視覚の遮断を必要とする検査を自動化および標準化することが可能になり、かつ/または試験中に臨床医とやり取りする必要が限定される。さらに、視覚の遮断を電子制御することにより、測定の確度および精度が向上する。
【0012】
頭部装着可能デバイスは、フレームを備える。このフレームは、例えば調節可能かつ/または弾性的なストラップによって、ユーザの頭部に固定されるように構成されることもある。このフレームは、ゴーグル、ヘルメット、帽子、および/または別の頭部装着可能機器の形態を取り得る。一実施形態では、フレームはゴーグルとして具現化される。フレームは、頭部装着可能デバイスがユーザの頭部に対して動くのを防止するように、頭部装着可能デバイスをユーザの頭部に固定するように構成することができる。フレームは、頭部装着可能デバイスの要素を収容することができる。フレームはカメラ・システムおよび/または第1のLCDシャッタを収容することができる。カメラ・システムおよび/または第1のLCDシャッタは、フレームに取り付けられることもある。
【0013】
上記の方法は、頭部装着可能デバイスおよびフレームをユーザの頭部に装着するステップをさらに含むこともある。
【0014】
頭部装着可能デバイスは、配線が取り付けられていなくても動作可能であることがある。頭部装着可能デバイスは、バッテリ電源および/または電源インレットなどの電源を備えることもある。フレームは、電源を収容することもある。電源は、フレームに取り付けられることもある。電源を設けることにより、電源アウトレットを必要とせずに頭部装着可能デバイスを動作させることが可能になり、したがって、例えば頭部装着可能デバイスを救急車で使用したり事故現場で使用したりすることができるなど、運用範囲を広げることができる。
【0015】
頭部装着可能デバイスは、ユーザの第2の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成することができる。例えば、第1のLCDシャッタを、さらに第2の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成することができる。あるいは、かつ/またはこれに加えて、頭部装着可能デバイスは、第2の制御信号に基づいてユーザの第2の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成された第2の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタを備えることもある。第2のLCDシャッタは、第2の1次モードおよび第2の2次モードで動作するように構成することができ、第2の2次モードでの第2のLCDシャッタを通る光の通過は、第2の1次モードと比較して制限される。フレームは、第2のLCDシャッタを収容することができる。
【0016】
第1のLCDシャッタは、第1の2次モードでは、第1の1次モードのときより第1の眼に到達する光を少なくするように構成することができる。
【0017】
第2のLCDシャッタは、第2の2次モードでは、第2の1次モードのときより第2の眼に到達する光を少なくするように構成することができる。
【0018】
第1の1次モードで第1のLCDシャッタを通る光の通過、および/または第2の1次モードで第2のLCDシャッタを通る光の通過は、特定の量の光の通過を許可するように構成されることもある。第1の1次モードで第1のLCDシャッタを通る光の通過、および/または第2の1次モードで第2のLCDシャッタを通る光の通過は、光の完全通過と比較して制限されることもある。例えば、第1の1次モードで第1のLCDシャッタを通る光の通過、および/または第2の1次モードで第2のLCDシャッタを通る光の通過は、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の90%未満、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の85%未満、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の70%未満、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の50%未満、あるいは第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の30%未満にそれぞれ制限されることもある。
【0019】
第1の2次モードで第1のLCDシャッタを通る光の通過、および/または第2の2次モードで第2のLCDシャッタを通る光の通過は、光の通過を遮断するように構成されることもある。例えば、第1の2次モードで第1のLCDシャッタを通る光の通過、および/または第2の2次モードで第2のLCDシャッタを通る光の通過は、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の5%未満、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の10%未満、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の20%未満、第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の35%未満、あるいは第1および/または第2のLCDシャッタに到達する光の50%未満にそれぞれ制限されることもある。
【0020】
共通制御信号は、第1および/または第2のLCDシャッタを通る光の通過を制御することができる。第1のLCDシャッタは、第1の制御信号および共通信号に基づいて、第1のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成されることもある。第2のLCDシャッタは、第2の制御信号および共通信号に基づいて、第2のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成されることもある。例えば、第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタを通る光の通過は、それぞれ共通制御信号と第1の制御信号および/または第2の制御信号との間の位相差によって制御されることもある。
【0021】
例えば、第1の制御信号と共通制御信号が180度位相がずれている、または90から180度の間の角度だけ位相がすれている、あるいは90度を超える位相差を有するときに、第1のLCDシャッタが第1の2次動作モードで動作して、第1のLCDシャッタを通る光の通過が第1の1次動作モードと比較して制限および/または遮断されることもある。第1の制御信号と共通制御信号が同相である、または90度未満の位相差を有するときに、第1のLCDシャッタが第1の1次動作モードで動作して、第1のLCDシャッタを通る光の通過の制限および/または遮断の程度が第1の2次動作モードのときと比較して少なくとも軽くなるようにすることもある。
【0022】
これに加えて、かつ/または代替として、第2の制御信号と共通制御信号が180度位相がずれている、または90から180度の間の角度だけ位相がすれている、あるいは90度を超える位相差を有するときに、第2のLCDシャッタが第2の2次動作モードで動作して、第2のLCDシャッタを通る光の通過が第2の1次動作モードと比較して制限および/または遮断されることもある。第2の制御信号と共通制御信号が同相である、または90度未満の位相差を有するときに、第2のLCDシャッタが第2の1次動作モードで動作して、第2のLCDシャッタを通る光の通過の制限および/または遮断の程度が第2の2次動作モードのときと比較して少なくとも軽くなるようにすることもある。
【0023】
第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号などの制御信号は、例えば直流(DC)電圧信号および/または交流(AC)電圧信号など、どのようなタイプの信号であってもよい。例えば、第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号は、交流(AC)信号であることもある。第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号は、双極性方形波電圧信号であることもある。AC信号および/または方形波信号などの交番成分を有する信号は、第1および/または第2のLCDシャッタにおける結晶の移動(マイグレーション)を防止することにより、第1および/または第2のLCDシャッタが損傷するリスクを低下させることができるので、そのような交番成分を有する信号を使用することが望ましいこともある。
【0024】
第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号などの制御信号の電圧は、LCDシャッタの仕様に応じて選ぶことができる。第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号の電圧は、5ボルトまたは10ボルトなど、2から14ボルトの範囲内となることがある。第1および/または第2の制御信号と共通制御信号との間の電圧差は、5ボルトまたは10ボルトなど、2から14ボルトの範囲内となることがある。
【0025】
一部の検査では、ユーザの両目の画像を取得することができると有利であることもある。したがって、カメラ・システムは、ユーザの第2の眼の第2のセットの画像を取得するように構成されることもある。第1のカメラは、第1のセットの画像および第2のセットの画像を取得するように構成されることもある。あるいは、かつ/またはこれに加えて、カメラ・システムは、第2のセットの画像を取得するように構成された第2のカメラを備えることもある。
【0026】
第1のセットの画像は、第1のフレーム・レートで取得されるように構成されることがある。第1のフレーム・レートは、第1の眼の眼球サッケードの検出を可能にするように選択されることがある。第2のセットの画像は、第2のフレーム・レートで取得されるように構成されることがある。第2のフレーム・レートは、第2の眼の眼球サッケードの検出を可能にするように選択されることがある。第1のフレーム・レートと第2のフレーム・レートは、同じフレーム・レートであってもよい。
【0027】
第1のセットの画像および/または第2のセットの画像を取得することは、第1の眼および/または第2の眼の眼球サッケードの検出を可能にするので好ましい。眼球サッケードは非常に速いことがあり、例えば、20msしか続かないこともある。したがって、第1のフレーム・レートおよび/または第2のフレーム・レートは、信頼性の高い眼球サッケードの検出を可能にするのに十分に高くすることができる。例えば、第1のフレーム・レートおよび/または第2のフレーム・レートは、例えば毎秒150フレーム(150fps)超、175fps超、200fps超、または250fps超など、125fpsより高いこともある。他の例では、第1のフレーム・レートおよび/または第2のフレーム・レートは、125fps未満であることもあるが、それでも、処理ユニットが第1の眼および/または第2の眼の眼球サッケードを検出することを可能にするのに十分な高さである。
【0028】
頭部装着可能デバイスは、第1の眼の画像を第1のカメラに向かって反射し、第1の眼の画像を第2のカメラに向かって反射し、かつ/または第2の眼の画像を第1のカメラに向かって反射し、かつ/または第2の眼の画像を第2のカメラに向かって反射する、第1の鏡を備えることもある。これに加えて、頭部装着可能デバイスは、第2の眼の画像を第1のカメラに向かって反射し、かつ/または第2の眼の画像を第2のカメラに向かって反射する第2の鏡を備えることもある。
【0029】
フレームは、第1の鏡および/または第2の鏡を収容することができる。
【0030】
第1のカメラおよび/または第2のカメラは、第1の眼および/または第2の眼に合焦させることができる。第1のカメラおよび/または第2のカメラは、それぞれ第1および/または第2の鏡を介して第1および/または第2の眼に合焦させることもできる。
【0031】
頭部装着可能デバイスは、第1の眼および/または第2の眼に向かって第1の電磁放射を発出する第1の光源を備えることもある。第1の鏡および/または第2の鏡は、第1の電磁放射の少なくとも一部を第1の眼および/または第2の眼に向かって方向付けるように構成されることもある。
【0032】
頭部装着可能デバイスは、第1の眼および/または第2の眼に向かって第2の電磁放射を発出する第2の光源を備えることもある。第1の鏡および/または第2の鏡は、第2の電磁放射の少なくとも一部を第1の眼および/または第2の眼に向かって方向付けるように構成されることもある。
【0033】
フレームは、第1の光源および/または第2の光源を収容することができる。
【0034】
第1および/または第2の電磁放射は、赤外線、レーザ放射、赤色可視放射、青色可視放射、緑色可視放射、および/または橙色可視放射を含み得る。第1および/または第2の電磁放射は、380〜450nmの範囲、450〜495nmの範囲、495〜570nmの範囲、570〜590nmの範囲、590〜620nmの範囲、620〜750nmの範囲、750〜2,500nmの範囲、2,500〜10,000nmの範囲、または10,000〜1,000,000nmの範囲の波長を有する電磁放射を含み得る。
【0035】
第1および/または第2の光源は、光に対する第1および/または第2の眼の反応を検査するために使用されることがある。第1および/または第2の光源は、第1および/または第2の眼を照明するために使用されることもある。第1および/または第2の光源は、カメラ・システムが第1および/または第2の眼の画像を取得するために第1および/または第2の眼を照明するために使用されることもある。
【0036】
カメラ・システム、および/または第1のカメラ、および/または第2のカメラは、第1の電磁放射および/または第2の電磁放射を検出するように構成されることもある。
【0037】
第1および/または第2の鏡は、部分的に透明であることもある。例えば、第1および/または第2の鏡は、1つまたは複数の選択された範囲の電磁波に対して透明にすることもある。第1および/または第2の鏡は、380〜750nmの範囲の波長を有する電磁放射など、可視光に対して透明にすることもある。
【0038】
第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタは、第1および/または第2の電磁放射の波長を有する光の通過を制御するように構成されることもある。
【0039】
第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタは、第1および/または第2の電磁放射の波長を有する光の通過を許可するように構成されることもある。第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタは、第1および/または第2の電磁放射とは異なる波長を有する光の通過を制御するように構成されることもある。例えば、第1のLCDシャッタは、第1の2次モードで赤外光の通過を許可するが、第1の2次モードの第1のLCDシャッタを通る可視光の通過は、第1の1次モードと比較して制限される。これに加えて、または代替の例では、第2のLCDシャッタは、第2の2次モードで赤外光の通過を許可するが、第2の2次モードの第2のLCDシャッタを通る可視光の通過は、第2の1次モードと比較して制限される。
【0040】
第1のLCDシャッタは、第1の偏光を有する第1の偏光器を備えることがある。第2のLCDシャッタは、第2の偏光を有する第2の偏光器を備えることがある。第1の偏光は、第2の偏光と異なっていることもあり、例えば、第1の偏光は、第2の偏光に対して90度回転していることもある。
【0041】
頭部装着可能デバイスは、第1の処理ユニットおよび/または第2の処理ユニットなど、1つまたは複数の処理ユニットを備えることもある。
【0042】
頭部装着可能デバイスは、第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタを制御するように構成された、第1の処理ユニットなどの処理ユニットを備えることがある。第1の制御信号、第2の制御信号、およびまたは共通制御信号は、第1の処理ユニットによって制御されることもある。
【0043】
頭部装着可能デバイスは、第1のセットの画像および/または第2のセットの画像を処理するように構成された、第1の処理ユニットまたは第2の処理ユニットなどの処理ユニットを備えることもある。例えば第1の処理ユニットおよび/または第2の処理ユニットなどの処理ユニットは、第1のセットの画像および/または第2のセットの画像に基づいて処理ユニット出力を提供するように構成されることもある。
【0044】
第1のセットの画像を処理するように構成された処理ユニットは、第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタを制御するように構成された処理ユニットと同じ処理ユニットであることもある。例えば、第1の処理ユニットが、第1のセットの画像および/または第2のセットの画像を処理し、第1のセットの画像および/または第2のセットの画像に基づいて処理ユニット出力を提供するように構成されることもあり、第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号が、第1の処理ユニットによって制御されることもある。
【0045】
フレームは、第1の処理ユニットおよび/または第2の処理ユニットなどの処理ユニットを収容することもある。
【0046】
頭部装着可能デバイスは、第1のセットの画像および/または第2のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するインタフェースを備えることもある。上記の方法は、第1のセットの画像および/または第2のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するステップを含むこともある。インタフェースは、デバイス出力を頭部装着可能デバイスのユーザおよび/またはオペレータに提供する1つまたは複数のタイプのインタフェースを含み得る。
【0047】
フレームは、インタフェースを収容することもある。
【0048】
インタフェースは、第1のディスプレイおよび/または第2のディスプレイなど、1つまたは複数のディスプレイを備えることもある。第1のディスプレイおよび/または第2のディスプレイなど、1つまたは複数のディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)、OLEDディスプレイ、発光ダイオード(LED)、LEDディスプレイ、および/またはe−inkディスプレイであることがある。第1のディスプレイおよび/または第2のディスプレイなど、1つまたは複数のディスプレイは、デバイス出力またはデバイス出力の一部を、ユーザまたはオペレータに視覚的に提供することがある。デバイス出力は、視覚的出力を含むことがある。
【0049】
インタフェースは、第1のスピーカおよび/または第2のスピーカなど、1つまたは複数のスピーカを備えることもある。第1のスピーカおよび/または第2のスピーカなど、1つまたは複数のスピーカは、デバイス出力またはデバイス出力の一部を、ユーザまたはオペレータに聴覚的に提供することがある。デバイス出力は、聴覚的出力を含むことがある。
【0050】
インタフェースは、1つまたは複数のワイヤレス送信機ユニットを備えることがある。インタフェースは、ワイヤレス送信機ユニットおよびワイヤレス受信機ユニットを備えるワイヤレストランシーバユニットを備えることがある。ワイヤレス送信機ユニット、ワイヤレストランシーバユニット、および/またはワイヤレス受信機ユニットは、Bluetooth(登録商標)、WiFi、3G、および/または4Gに従って動作することがある。
【0051】
デバイス出力を提供するステップは、デバイス出力をワイヤレスに外部ディスプレイに送信することを含むことがある。ワイヤレス送信機ユニットは、デバイス出力またはデバイス出力の一部を、外部ディスプレイなどのディスプレイに送信するように構成されることがある。外部ディスプレイは、頭部装着可能デバイスの外部にあることもある。外部ディスプレイは、頭部装着可能デバイスのフレームの外部にあることもある。外部ディスプレイは、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、ラップトップ、TV、スマートTV、および/または類似のものなどのディスプレイであることもある。
【0052】
インタフェースは、第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタの制御を可能にするなど、頭部装着可能デバイスの制御を可能にすることができる入力デバイスを備えることもある。入力デバイスは、第1の処理ユニットなどの処理ユニットの制御を介して第1のLCDシャッタおよび/または第2のLCDシャッタの制御を行うことができるようにすることもある。入力デバイスは、ワイヤレス受信機であることもある。あるいは、またはこれに加えて、入力デバイスは、タッチ・ディスプレイ、押しボタン、および/またはスイッチを備えることもある。
【0053】
頭部装着可能デバイスは、追加の測定ユニットを備えることもある。例えば、頭部装着可能デバイスは、頭部装着可能デバイスの動きを検出するように構成されたモーション・センサを備えることもある。フレームは、モーション・センサなど、追加の測定ユニットを収容することができる。モーション・センサは、1つまたは複数のジャイロスコープ、および/あるいは1つまたは複数の加速度計、および/あるいは1つまたは複数のカメラを備えることもある。追加の測定ユニットは、頭部装着可能デバイスの追加の用途をもたらすこともあり、例えば、頭部装着可能デバイスは、さらに多くの検査で使用されるように構成できるようになることもある。
【0054】
フレームは、上述の要素のうちのいずれか、または全てを収容することができる。したがって、頭部装着可能デバイスは、外部接続を必要としない独立型デバイスとして構成することができることもある。
【0055】
眼球運動を測定する頭部装着可能デバイスは、フレームと、第1のカメラを備えるカメラ・システムであり、フレームに結合され、ユーザの第1の眼の第1のセットの画像を取得するように構成されたカメラ・システムと、第1の制御信号に少なくとも部分的には基づいて第1の眼への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、第1の2次モードでは、第1の1次モードのときより第1の眼に到達する光を少なくするように構成された第1のLCDシャッタとを備える。
【0056】
必要に応じて、頭部装着可能デバイスは、第1の眼の画像を第1のカメラに向かって反射する第1の鏡をさらに備える。
【0057】
必要に応じて、頭部装着可能デバイスは、第2の制御信号に少なくとも部分的には基づいてユーザの第2の眼への光の通過を制御するように構成された第2の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第2の1次モードおよび第2の2次モードで動作するように構成され、第2の2次モードでは、第2の1次モードのときより第2の眼に到達する光を少なくするように構成された第2のLCDシャッタをさらに備える。
【0058】
必要に応じて、第1のLCDシャッタは、第1の制御信号および共通制御信号に基づいて第1のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成され、第2のLCDシャッタは、第2の制御信号および共通制御信号に基づいて第2のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成される。
【0059】
必要に応じて、第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号は、交流(AC)信号、および/あるいは双極性方形波電圧信号を含む。
【0060】
必要に応じて、第1の制御信号、第2の制御信号、および共通制御信号のうちの少なくとも1つの電圧は、2から14ボルトのいずれかである。
【0061】
必要に応じて、カメラ・システムは、ユーザの第2の眼の第2のセットの画像を取得するように構成される。
【0062】
必要に応じて、カメラ・システムは、第2のセットの画像を取得するように構成された第2のカメラを備える。
【0063】
必要に応じて、カメラ・システムは、第1のフレーム・レートで第1のセットの画像を取得するように構成され、第1のフレーム・レートは、第1の眼の眼球サッケードの検出を可能にするのに十分である。
【0064】
必要に応じて、頭部装着可能デバイスは、第1のセットの画像を処理し、第1のセットの画像に基づいて処理ユニット出力を提供するように構成された処理ユニットをさらに備える。
【0065】
必要に応じて、第1の制御信号は、処理ユニットによって制御される。
【0066】
必要に応じて、頭部装着可能デバイスは、第1のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するインタフェースをさらに備える。
【0067】
必要に応じて、フレームは、カメラ・システムおよび第1のLCDシャッタを収容する。
【0068】
頭部装着可能デバイスによって実行される方法であり、頭部装着可能デバイスが、フレームと、フレームに結合された、第1のカメラを備えるカメラ・システムと、第1の制御信号に少なくとも部分的には基づいてユーザの第1の眼への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタとを備え、第1のLCDシャッタが、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、第1の2次モードでは、第1の1次モードのときより第1の眼に到達する光を少なくするように構成されている方法は、第1のLCDシャッタの動作によって第1の眼への光の通過を調節するステップと、カメラ・システムによって第1の眼の第1のセットの画像を取得するステップとを含む。
【0069】
必要に応じて、上記の方法は、第1のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するステップをさらに含む。
【0070】
その他の特徴および利点については、以下の発明を実施するための形態で説明する。
【0071】
上記その他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の例示的な実施形態の発明を実施するための形態を読めば、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、例示的な頭部装着可能デバイスを示す概略図である。
図2図2は、1次モードで動作している例示的な頭部装着可能デバイスを示す概略図である。
図3図3は、2次モードで動作している例示的な頭部装着可能デバイスを示す概略図である。
図4図4は、例示的な頭部装着可能デバイスを示す概略図である。
図5図5は、例示的な頭部装着可能デバイスを示す概略図である。
図6図6は、例示的な頭部装着可能デバイスを示す概略図である。
図7図7は、例示的なカメラ・システムを示す概略図である。
図8図8は、例示的なカメラ・システムを示す概略図である。
図9図9は、例示的な頭部装着可能デバイスを示す概略図である。
図10図10は、例示的なインタフェースを示す概略図である。
図11図11は、頭部装着可能デバイスの例示的な制御信号を示す図である。
図12図12は、眼球運動を測定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、図面を参照しながら、様々な実施形態について説明する。同様の参照番号は、一貫して同様の要素を指している。したがって、同じ要素について、それぞれの図面を説明するたびに詳細に説明することはしない。また、これらの図面は、単に実施形態の説明を容易にするためのものに過ぎないことに留意されたい。図面は、特許請求の範囲に記載された発明を網羅的に説明するためのものでも、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定するためのものでもない。さらに、例示する実施形態は、示される特徴または利点の全てを有していなければならないとは限らない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるわけではなく、仮にそのように図示されていなくても、あるいはそのように明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実践することもできる。
【0074】
図面を通じて、同じ参照番号は、同一の、または対応する部分に対して使用されている。
【0075】
図1は、眼球運動を測定する例示的な頭部装着可能デバイス2を示す概略図である。頭部装着可能デバイス2は、フレーム4と、カメラ・システム6と、第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタ10とを備える。図示の例では、カメラ・システム6および第1のLCDシャッタ10は、フレーム4に取り付けられる。
【0076】
カメラ・システム6は、第1のカメラ(図7および図8)を備える。カメラ・システム6は、ユーザの第1の眼20の第1のセットの画像8を取得するように構成される。あるいは、またはこれに加えて、カメラ・システム6は、ユーザの第2の眼22の第2のセットの画像26を取得するように構成されることもある。カメラ・システム6は、第1の眼20の画像9を検出し、この第1の眼20の画像9を、第1の眼20の第1のセットの画像8に変換する。あるいは、またはこれに加えて、カメラ・システム6は、第2の眼22の画像27を検出し、この第2の眼22の画像27を、第2の眼22の第2のセットの画像26に変換する。
【0077】
第1のLCDシャッタ10は、第1の制御信号12に基づいて、第1の眼20の少なくとも一部への光13の通過を制御するように構成される。第1のLCDシャッタ10は、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成される。第1の2次モードで第1のLCDシャッタ10を通る光13の通過は、第1の1次モードと比較して制限される。例えば、第1のLCDシャッタ10は、第1の1次モードで動作しているときには光13の通過を許可し、第1の2次モードで動作しているときには光13の通過を遮断することがある。
【0078】
あるいは、またはこれに加えて、頭部装着可能デバイス2は、第2のLCDシャッタ14を備えることもある。第2のLCDシャッタ14は、第2の制御信号16に基づいて、第2の眼22の少なくとも一部への光17の通過を制御するように構成される。第2のLCDシャッタ14は、第2の1次モードおよび第2の2次モードで動作するように構成される。第2の2次モードで第2のLCDシャッタ14を通る光17の通過は、第2の1次モードと比較して制限される。例えば、第2のLCDシャッタ14は、第2の1次モードで動作しているときには光17の通過を許可し、第2の2次モードで動作しているときには光17の通過を遮断することがある。
【0079】
図2は、第1のLCDシャッタ10が、第1のLCDシャッタ10を通る光13の通過が許可される第1の1次モードで動作している、例示的な頭部装着可能デバイス2を示す概略図である。さらに、第2のLCDシャッタ14は、第2のLCDシャッタ14を通る光17の通過が許可される、第2の1次モードで動作している。
【0080】
図3は、第1のLCDシャッタが、第1のLCDシャッタ10を通る光13の通過が図2に示す第1の1次モードと比較して制限される第1の2次モードで動作している、例示的な頭部装着可能デバイス2を示す概略図である。さらに、第2のLCDシャッタ14は、第2のLCDシャッタ14を通る光17の通過が図2に示す第2の1次モードと比較して制限される第2の2次モードで動作している。
【0081】
図2および図3は、第1のLCDシャッタ10および第2のLCDシャッタ14が同時に1次モード(図2)または2次モード(図3)で動作している例を示している。しかし、第1のLCDシャッタ10と第2のLCDシャッタ14とが、独立して動作することもできることを強調しておく。例えば、第2のLCDシャッタ14が第2の2次モードで動作しているときに、第1のLCDシャッタ10が第1の1次モードで動作していることもある。
【0082】
図4は、第1の鏡18を備える例示的な頭部装着可能デバイス2を示す概略図である。第1の鏡18は、第1の眼20の画像9をカメラ・システム6に向かって反射するように構成される。第1の鏡18は、第1の眼20の画像9をカメラ・システム6の第1のカメラに向かって反射するように構成されることもある。あるいは、またはこれに加えて、第1の鏡18は、第2の眼22の画像27をカメラ・システム6に向かって反射するように構成される。第1の鏡18は、第2の眼22の画像27を、カメラ・システム6の第1のカメラおよび/または第2のカメラに向かって反射するように構成されることもある。
【0083】
頭部装着可能デバイス2は、第2の鏡(図示せず)をさらに備えることもあり、第2の鏡は、第2の眼22の画像27をカメラ・システム6に向かって反射するように構成される。第2の鏡は、第2の眼22の画像27を、カメラ・システム6の第1のカメラおよび/または第2のカメラに向かって反射するように構成されることもある。
【0084】
図5は、眼球運動を測定する例示的な頭部装着可能デバイス2を示す概略図である。頭部装着可能デバイス2は、フレーム4と、カメラ・システム6と、第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタ10と、第2の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタ14とを備える。図示の例では、カメラ・システム6、第1のLCDシャッタ10、および第2のLCDシャッタ14は、フレーム4に取り付けられる。
【0085】
カメラ・システム6は、ユーザの第1の眼20の第1のセットの画像8を取得するように構成される。カメラ・システム6は、第1の眼20の画像9を検出し、この第1の眼20の画像9を、第1の眼20の第1のセットの画像8に変換する。
【0086】
第1のLCDシャッタ10は、第1の制御信号12に基づいて、第1の眼20の少なくとも一部への光13の通過を制御するように構成される。第1のLCDシャッタ10は、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成される。第1の2次モードで第1のLCDシャッタ10を通る光13の通過は、第1の1次モードと比較して制限される。
【0087】
第2のLCDシャッタ14は、第2の制御信号16に基づいて、第2の眼22の少なくとも一部への光17の通過を制御するように構成される。第2のLCDシャッタ14は、第2の1次モードおよび第2の2次モードで動作するように構成される。第2の2次モードで第2のLCDシャッタ14を通る光17の通過は、第2の1次モードと比較して制限される。
【0088】
図6は、図5に示す例示的な頭部装着可能デバイスと同じ特徴を備える例示的な頭部装着可能デバイス2を示す概略図である。ただし、図6では、第1のLCDシャッタ10は、第1の制御信号12および共通制御信号24に基づいて第1の眼20の少なくとも一部への光13の通過を制御するように構成される。さらに、第2のLCDシャッタ14は、第2の制御信号16および共通制御信号24に基づいて第2の眼22の少なくとも一部への光17の通過を制御するように構成される。第1の制御信号12、第2の制御信号16、および/または共通制御信号24は、交流(AC)信号および/または双極性方形波電圧信号とすることができる。第1のLCDシャッタ10は、第1の制御信号12と共通制御信号24とが同相であるときに第1の1次モードで動作するように構成することができる。逆に、第1のLCDシャッタ10は、第1の制御信号12と共通制御信号24の位相がずれているとき、例えば第1の制御信号12と共通制御信号24の位相が180度ずれているときには、第1の2次モードで動作するように構成することができる。第2のLCDシャッタ14は、第2の制御信号16と共通制御信号24とが同相であるときに第2の1次モードで動作するように構成することができる。逆に、第2のLCDシャッタ14は、第2の制御信号16と共通制御信号24の位相がずれているとき、例えば第2の制御信号16と共通制御信号24の位相が180度ずれているときには、第2の2次モードで動作するように構成することができる。
【0089】
さらに、図6は、カメラ・システム6がユーザの第2の眼22の第2のセットの画像26を取得するように構成された、例示的な頭部装着可能デバイス2を示す。カメラ・システム6は、ユーザの第1の眼20の第1のセットの画像8を取得するように構成され、かつユーザの第2の眼22の第2のセットの画像26を取得するように構成される。カメラ・システム6は、第1の眼20の画像9を検出し、この第1の眼20の画像9を、第1の眼20の第1のセットの画像8に変換する。カメラ・システム6は、第2の眼22の画像27を検出し、この第2の眼22の画像27を、第2の眼22の第2のセットの画像26に変換する。
【0090】
図7は、頭部装着可能デバイス2の例示的なカメラ・システム6を示す概略図である。カメラ・システム6は、第1のカメラ40を備える。第1のカメラ40は、ユーザの第1の眼20の画像9を検出し、この第1の眼20の画像9を、第1の眼20の第1のセットの画像8に変換する。第1のカメラ40は、第1の眼20の画像9を、第1のフレーム・レートおよび第1の解像度で、第1の眼20の第1のセットの画像8に変換する。あるいは、かつ/またはこれに加えて、第1のカメラ40は、ユーザの第2の眼22の画像27を検出し、この第2の眼22の画像27を、第2の眼22の第2のセットの画像26に変換する。第1のカメラ40は、第2の眼22の画像27を、第2のフレーム・レートおよび第2の解像度で、第2の眼22の第2のセットの画像26に変換する。
【0091】
図8は、頭部装着可能デバイス2の例示的なカメラ・システム6を示す概略図である。図8のカメラ・システムは、第1のカメラ40と、第2のカメラ42とを備える。第1のカメラ40は、第1の眼20の画像9を検出し、この第1の眼20の画像9を、第1の眼20の第1のセットの画像8に変換する。第1のカメラ40は、第1の眼20の画像9を、第1のフレーム・レートおよび第1の解像度で、第1の眼20の第1のセットの画像8に変換する。第2のカメラ42は、第2の眼22の画像27を検出し、この第2の眼22の画像27を、第2の眼22の第2のセットの画像26に変換する。第2のカメラ42は、第2の眼22の画像27を、第2のフレーム・レートおよび第2の解像度で、第2の眼22の第2のセットの画像26に変換する。
【0092】
図7および図8のいずれかに関連して、第1のカメラ40および/または第2のカメラ42は、第1の眼20および/または第2の眼22の眼球サッケードの検出を可能にするように構成されることがある。例えば、第1のフレーム・レートおよび/または第2のフレーム・レートは、125fpsより高くてもよい。第1のカメラ40および/または第2のカメラ42は、赤外線放射(IR)、レーザ光、ならびに/あるいは例えば赤、青、緑、および/または橙の可視光などの有色可視光などの電磁放射を検出することができることもある。第1のカメラ40および/または第2のカメラ42は、第1の光源(図示せず)の電磁放射を検出することができることもある。
【0093】
図9は、図8までの図面のいずれかに関連して説明した頭部装着可能デバイス2に個別に、かつ/または組み合わせて追加することができるいくつかの追加の特徴をさらに備える、例示的な頭部装着可能デバイス2を示す概略図である。図9の頭部装着可能デバイス2は、処理ユニット28と、インタフェース32と、モーション・センサ46とをさらに備える。
【0094】
フレーム4は、カメラ・システム6と、第1のLCDシャッタ10と、第2のLCDシャッタ14と、処理ユニット28と、インタフェース32と、モーション・センサ46とを備える。他の例示的な頭部装着可能デバイス(図示せず)では、フレーム4は、カメラ・システム6、第1のLCDシャッタ10、第2のLCDシャッタ14、処理ユニット28、インタフェース32、およびモーション・センサ46のうちの1つまたは複数を備えることもある。
【0095】
処理ユニット28は、第1のセットの画像8および/または第2のセットの画像26を処理して、処理ユニット出力30を提供するように構成することができる。処理ユニット出力30は、第1のセットの画像8に基づく、かつ/または第2のセットの画像26に基づくこともある。さらに、第1の制御信号12、第2の制御信号16、および共通制御信号24は、処理ユニット28によって制御される。代替の例示的な頭部装着可能デバイスでは、処理ユニット28は、第1の制御信号12、第2の制御信号16、および共通制御信号24のうちの1つまたは複数を制御することもある。
【0096】
インタフェース32は、デバイス出力34を提供する。デバイス出力34は、第1のセットの画像8および/または第2のセットの画像26に基づくこともある。図示の例では、デバイス出力34は、第1のセットの画像8および/または第2のセットの画像26に基づく処理ユニット出力30に基づく。
【0097】
図示の例では、インタフェース32は、処理ユニット制御信号36を提供する。ただし、他の例示的な頭部装着可能デバイスでは、処理ユニット制御信号36の提供は、省略してもよい。処理ユニット制御信号36は、インタフェース32のユーザインタフェースなどの入力デバイスを介した処理ユニット28および/または頭部装着可能デバイス2のユーザ制御を可能にすることができる。
【0098】
モーション・センサ46は、頭部装着可能デバイス2の動きを検出するように構成される。処理ユニット28は、モーション・センサ46に接続される。モーション・センサ46は、センサ出力48を提供する。処理ユニット28は、モーション・センサ46からのセンサ出力48を処理するように構成され、処理ユニット出力30は、センサ出力48に基づくこともある。モーション・センサ46は、1つまたは複数のジャイロスコープおよび/あるいは1つまたは複数の加速度計を備えることがある。
【0099】
処理ユニット28は、処理ユニット出力30のデータ量を圧縮および/または低減することができる。例えば、インタフェース32が例えば10ms程度の遅延など大きな遅延を生じることなくデバイス出力34またはデバイス出力34の一部をワイヤレスで送信するために、処理ユニット出力30を圧縮および/または低減することができる。例えば、処理ユニット出力30は、第1の2次フレーム・レートおよび第1の2次解像度を有する第1の2次セットの画像を含むことがあり、ここで、第1の2次フレーム・レートは、第1のフレーム・レートより低く、かつ/または第1の2次解像度は、第1の解像度より低い。あるいは、かつ/またはこれに加えて、処理ユニット出力30は、第2の2次フレーム・レートおよび第2の2次解像度を有する第2の2次セットの画像を含むこともあり、ここで、第2の2次フレーム・レートは、第2のフレーム・レートより低く、かつ/または第2の2次解像度は、第2の解像度より低い。
【0100】
あるいは、かつ/またはこれに加えて、処理ユニット28は、第1のセットの画像8および/または第2のセットの画像26に基づいて最初の処理ユニット出力を圧縮するように構成されることもあり、ここで、処理ユニット出力30のサイズは、最初の処理ユニット出力の10%または5%など、20%未満である。
【0101】
処理ユニット出力30および/またはデバイス出力34は、眼科的パラメータ、前庭パラメータ、およびまた/神経学的パラメータなど、ユーザの1つまたは複数のパラメータを示すことができる。
【0102】
図10は、例示的なインタフェース32を示す概略図である。インタフェース32は、ワイヤレス送信機ユニット52、第1のディスプレイ54、スピーカ56、および/または入力デバイス58を備える。インタフェース32は、代替の構成(図示せず)では、ワイヤレス送信機ユニット52、第1のディスプレイ54、スピーカ56、および入力デバイス58のうちの1つまたは複数を備えることもある。
【0103】
ワイヤレス送信機ユニット52は、処理ユニット出力30または処理ユニット出力30の一部を受信し、デバイス出力34またはデバイス出力34の一部をワイヤレスでワイヤレス受信機(図示せず)に送信する。ワイヤレス送信機ユニット52は、Bluetooth送信機、WiFi送信機、3G送信機、および/または4G送信機とすることができる。ワイヤレス送信機ユニット52は、さらに、デバイス出力34またはデバイス出力34の一部を短いレーテンシで送信して、外部ディスプレイでデバイス出力34をライブ・プレビューできるようにするように構成されることもある。レーテンシは、20ms未満または10ms未満など、40ms未満にすることができる。
【0104】
第1のディスプレイ54は、処理ユニット出力30または処理ユニット出力30の一部を受信し、デバイス出力34またはデバイス出力34の一部を、デバイスのユーザまたはオペレータに対して視覚的に提示する。第1のディスプレイ54は、有機発光ダイオード(OLED)、OLEDディスプレイ、発光ダイオード(LED)、LEDディスプレイ、および/またはe−inkディスプレイであることがある。
【0105】
スピーカ56は、処理ユニット出力30または処理ユニット出力30の一部を受信し、デバイス出力34またはデバイス出力34の一部を、デバイスのユーザまたはオペレータに対して音声によって聴覚的に提示する。
【0106】
入力デバイス58は、頭部装着可能デバイス2の制御を可能にする。ユーザとのやり取り60は、入力デバイス58によって検出され、入力デバイス58は、制御信号36を処理ユニット12に提供する。入力デバイス58は、押しボタン、スイッチ、および/またはタッチ・ディスプレイを備えることがある。
【0107】
デバイス出力34は、検査の陽性/陰性の結果を示すことができる。例えば、デバイス出力34は、検査結果が陰性である場合に第1のディスプレイ54を赤色に点灯すること、および/または検査結果が陽性である場合に第1のディスプレイ54を緑色に点灯することを含むことがある。例えば、デバイス出力34は、ユーザの眼科的パラメータを示し、ユーザの前庭パラメータを示し、かつ/またはユーザの神経学的パラメータを示す。
【0108】
デバイス出力34は、第1のセットの画像8および/または第2のセットの画像26に基づく複数の出力画像を含むことがある。例えば、デバイス出力34は、第1の眼20および/または第2の眼22の画像9、27のライブ・プレビューを提供することがある。ライブ・プレビューは、例えばタブレット・コンピュータ、スマートフォン、またはラップトップなどの外部デバイスのディスプレイなどの外部ディスプレイに、ワイヤレス送信機52を介してワイヤレスに送信されることがある。
【0109】
図11は、頭部装着可能デバイス2の例示的な制御信号12、16、24の電圧トレース80を示す図である。制御信号12、16、24の電圧トレース80は、時間軸82上に示してある。図示の例では、制御信号12、16、24は、双極性方形波信号である。図示の制御信号は、第1のLCDシャッタ10のための第1の制御信号12と、第2のLCDシャッタ14のための第2の制御信号16と、第1のLCDシャッタ10および第2のLCDシャッタ14の両方のための共通制御信号24である。
【0110】
図示の例は、第1の制御信号12と共通制御信号24の位相が180度ずれているものとして示している。これにより、第1の制御信号12と共通制御信号24との間に電圧差が生じる。この電圧差により結果として、第1のLCDシャッタ10は、第1のLCDシャッタ10を通る光の通過が制限および/または遮断される第1の2次動作モードで動作することがある。
【0111】
図示の例は、第2の制御信号16と共通制御信号24とが同相であるものとして示している。これにより、第2の制御信号16と共通制御信号24との間には電圧差が生じない。電圧差がゼロであることにより結果として、第2のLCDシャッタ14は、第2のLCDシャッタ14を通る光の通過が制限および/または遮断されない、すなわち第2のLCDシャッタ14を通る光の通過が許可される、第2の1次動作モードで動作することがある。
【0112】
第1のLCDシャッタ10および/または第2のLCDシャッタ14の動作モードの変更は、第1の制御信号12、共通制御信号24、および/または第2の制御信号16を、同相になるように、または位相が180度ずれるように変更することによって達成され得る。
【0113】
代替の実施形態(図示せず)では、第1の制御信号12および/または第2の制御信号16は、DC信号であることもある。ただし、AC信号および/または双極性方形波信号を用いると、LCDシャッタ10、14内部で起こりうる結晶の移動(マイグレーション)が防止される。
【0114】
図12は、眼球運動を測定する方法100を示す流れ図である。方法100は、図11までの図面のいずれかに関連して説明したように頭部装着可能デバイス2などの頭部装着可能デバイス2を使用することを含むことがある。この方法は、第1の眼および/または第2の眼の少なくとも一部への光の通過を調節するステップ102と、第1の眼の第1のセットの画像および/または第2の眼の第2のセットの画像を取得するステップ104とを含む。必要に応じて、この方法は、第1のセットの画像および/または第2のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するステップ106を含むこともある。
【0115】
第1の眼および/または第2の眼の少なくとも一部への光の通過を調節するステップ102は、頭部装着可能デバイス2の第1のLCDシャッタ10および/または第2のLCDシャッタ14の動作によって達成することができる。
【0116】
第1のセットの画像および/または第2のセットの画像を取得するステップ104は、頭部装着可能デバイス2のカメラ・システム6によって達成することができる。第1のセットの画像および/または第2のセットの画像は、例えば125fpsより高い第1のフレーム・レートおよび/または第2のフレーム・レートなど、第1の眼および/または第2のそれぞれの眼の眼球サッケードの検出を可能にする第1のフレーム・レートおよび/または第2のフレーム・レートで取得することができる。
【0117】
ステップ106で提供されるデバイス出力は、例えばユーザの前庭パラメータ、ユーザの眼科的パラメータ、および/またはユーザの神経学的パラメータなど、ユーザの1つまたは複数のパラメータを示すことができる。デバイス出力は、さらに、前庭検査、眼科検査、および/または神経学的検査などの検査結果を示すこともできる。デバイス出力は、聴覚出力、視覚出力、および/またはワイヤレス送信を介して外部デバイスに提供することができる(ステップ106)。
【0118】
この方法100は、さらに、頭部装着可能デバイス2をユーザの頭部に装着するステップ(図示せず)、および/または頭部装着可能デバイス2の動きを検出するステップ(図示せず)を含むこともある。
【0119】
頭部装着可能デバイス2をユーザの頭部に装着するステップは、オペレータによって実行されることもあり、頭部装着可能デバイス2をユーザの頭部に固定して、頭部装着可能デバイス2がユーザの頭部に対して動かないようにすることを伴うこともある。デバイスが頭部にしっかりと固定されている場合には、ユーザの頭部を動かすと、頭部装着可能デバイス2も動くことになる。したがって、デバイス2の動きは、ユーザの頭部の動きに対応する。したがって、頭部装着可能デバイスの動きの検出は、ユーザの頭部の動きを示す。
【0120】
具体的な特徴を示し、それらについて説明したが、それらは特許請求の範囲に記載された発明を限定するためのものではないことを理解されたい。また、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な変更および修正を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的なものではなく例示的なものとして見なすべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替形態、修正形態、および均等形態をカバーするものと意図されている。
【0121】
実施形態および態様を、以下の項目に開示する。
【0122】
(項目1)
眼球運動を測定する頭部装着可能デバイスであって、
フレームと、
第1のカメラを備えるカメラ・システムであり、ユーザの第1の眼の第1のセットの画像を取得するように構成されたカメラ・システムと、
第1の制御信号に基づいて第1の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、第1の2次モードで第1のLCDシャッタを通る光の通過が第1の1次モードと比較して制限される第1のLCDシャッタとを備える、頭部装着可能デバイス。
【0123】
(項目2)
第1の眼の画像を第1のカメラに向かって反射する第1の鏡を備える、項目1に記載の頭部装着可能デバイス。
【0124】
(項目3)
第2の制御信号に基づいてユーザの第2の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成された第2の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタであり、第2の1次モードおよび第2の2次モードで動作するように構成され、第2の2次モードで第2のLCDシャッタを通る光の通過が第2の1次モードと比較して制限される第2のLCDシャッタを備える、項目1および2のいずれかに記載の頭部装着可能デバイス。
【0125】
(項目4)
第1のLCDシャッタが、第1の制御信号および共通制御信号に基づいて第1のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成され、第2のLCDシャッタが、第2の制御信号および共通制御信号に基づいて第2のLCDシャッタを通る光の通過を制御するように構成される、項目3に記載の頭部装着可能デバイス。
【0126】
(項目5)
第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号が、交流(AC)信号、および/または双極性方形波電圧信号である、項目4に記載の頭部装着可能デバイス。
【0127】
(項目6)
第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号の電圧が、5ボルトまたは10ボルトなど、2から14ボルトの範囲内である、項目1から5のいずれかに記載の頭部装着可能デバイス。
【0128】
(項目7)
カメラ・システムが、ユーザの第2の眼の第2のセットの画像を取得するように構成される、項目1から6のいずれかに記載の頭部装着可能デバイス。
【0129】
(項目8)
カメラ・システムが、第2のセットの画像を取得するように構成された第2のカメラを備える、項目7に記載の頭部装着可能デバイス。
【0130】
(項目9)
第1のセットの画像が、第1のフレーム・レートで取得されるように構成され、第1のフレーム・レートが、第1の眼の眼球サッケードの検出を可能にするように選択される、項目1から8のいずれかに記載の頭部装着可能デバイス。
【0131】
(項目10)
第1のセットの画像を処理し、第1のセットの画像に基づいて処理ユニット出力を提供するように構成された処理ユニットを備える、項目1から9のいずれかに記載の頭部装着可能デバイス。
【0132】
(項目11)
第1の制御信号、第2の制御信号、および/または共通制御信号が、処理ユニットによって制御される、項目10に記載の頭部装着可能デバイス。
【0133】
(項目12)
第1のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するインタフェースを備える、項目1から11のいずれかに記載の頭部装着可能デバイス。
【0134】
(項目13)
フレームが、カメラ・システムおよび第1のLCDシャッタを収容する、項目1から12のいずれかに記載の頭部装着可能デバイス。
【0135】
(項目14)
フレームと、第1のカメラを備えるカメラ・システムと、第1の制御信号に基づいてユーザの第1の眼の少なくとも一部への光の通過を制御するように構成された第1の液晶ディスプレイ(LCD)シャッタとを備え、第1のLCDシャッタが、第1の1次モードおよび第1の2次モードで動作するように構成され、第1の2次モードで第1のLCDシャッタを通る光の通過が第1の1次モードと比較して制限される頭部装着可能デバイスを使用してユーザの眼球運動を測定する方法であって、
第1のLCDシャッタの動作によって第1の眼の少なくとも一部への光の通過を調節するステップと、
カメラ・システムによって第1の眼の第1のセットの画像を取得するステップとを含む、方法。
【0136】
(項目14)
第1のセットの画像に基づいてデバイス出力を提供するステップを含む、項目14に記載の方法。
【符号の説明】
【0137】
2:頭部装着可能デバイス
4:フレーム
6:カメラ・システム
8:第1のセットの画像
9:1つまたは複数の第1の眼の画像
10:第1のLCDシャッタ
12:第1の制御信号
13:第1のLCDシャッタを通る光
14:第2のLCDシャッタ
16:第2の制御信号
17:第2のLCDシャッタを通る光
18:第1の鏡
20:第1の眼
22:第2の眼
24:共通制御信号
26:第2のセットの画像
27:1つまたは複数の第2の眼の画像
28:処理ユニット
30:処理ユニット出力
32:インタフェース
34:デバイス出力
36:処理ユニット制御信号
40:第1のカメラ
42:第2のカメラ
46:モーション・センサ
48:センサ出力
52:ワイヤレス送信機ユニット
54:第1のディスプレイ
56:スピーカ
58:入力デバイス
60:ユーザとのやり取り
80:制御信号
82:時間軸
100:方法
102:光の通過を調節するステップ
104:第1のセットの画像を取得するステップ
106:デバイス出力を提供するステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12