特許第6471742号(P6471742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6471742ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471742
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20190207BHJP
   C08J 9/24 20060101ALI20190207BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20190207BHJP
【FI】
   B29C44/00 G
   C08J9/24CES
   B29K23:00
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-506192(P2016-506192)
(86)(22)【出願日】2015年3月6日
(86)【国際出願番号】JP2015056712
(87)【国際公開番号】WO2015133619
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2018年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2014-45413(P2014-45413)
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】飛松 祐紀
【審査官】 弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−147567(JP,A)
【文献】 特開昭60−166442(JP,A)
【文献】 特開昭51−091971(JP,A)
【文献】 特開2000−212320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
C08J 9/00−9/42
B29C 67/20
B29K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填した後、該予備発泡粒子を加熱発泡させ、該予備発泡粒子を融着させる型内発泡成形法により成形されてなるポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法であって、
金型から取り出した後の型内発泡成形体を、70℃以上85℃以下で一次養生にて形状を回復させ、しかる後に35℃以上55℃以下の範囲内の一定の温度及び3時間以上で二次養生することを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記一次養生は、前記型内発泡成形体の寸法が安定した状態で終了する、請求項1記載のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子又はポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
【請求項4】
前記ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、発泡倍率が30〜60倍であり、前記ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、発泡倍率が18〜60倍である請求項3記載のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂発泡成形体の製造方法として、金型の成形空間内に予備発泡されたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を充填した後、成形空間に蒸気を供給して予備発泡粒子を加熱発泡融着させ、所望形状の発泡成形体を得る型内発泡成形方法が広く採用されている。
【0003】
型内発泡成形方法にて成形された発泡成形体は、加熱発泡時に発泡樹脂粒子のセル内に存在していた空気が膨張しながら散逸すると共に、蒸気がセル内に充満された状態となる。成形後に常温放置した状態では、発泡成形体の温度低下に伴い、セル内の空気が収縮し、蒸気の凝縮も起こることから、セルの収縮が急速に進行して発泡成形体は大きく変形することがある。特に、樹脂の柔軟性が高いポリエチレン系樹脂粒子、高倍率のポリプロピレン系樹脂粒子からの発泡成形体では、この現象が顕著に現れる。
【0004】
このため、一般的には、ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の成形後に樹脂の溶融温度以下の高温雰囲気下に発泡成形体を一定時間維持することにより、セル内の空気を膨張させると共に、一旦凝縮した水分を蒸発させることにより、セル内の圧力を上昇させながら、発泡成形体の形状を回復させつつ、セル内の蒸気を空気に置換するという養生処理が行われている。
【0005】
例えば、特許文献1では、ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体を取り出した後、発泡成形体の体積が金型容積の70〜110%の間に、基材樹脂の融点よりも25〜55℃低い温度雰囲気中に静置して養生する方法が開示されている。
特許文献2では、養生初期温度を発泡成形体の溶融温度よりも15℃以下で、且つ高温に保ち、それ以降は養生初期よりも10℃低く、且つ75〜85℃の温度で養生する方法が開示されている。
特許文献3では、高発泡倍率の発泡成形体を40〜60℃で一昼夜一次養生し、その後、一次養生温度よりも10℃〜30℃高い温度での二次養生を行う養生方法が開示されている。
特許文献4では、密度により定めた一定の温度で養生する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−166422号公報
【特許文献2】特開2000−212320号公報
【特許文献3】特開昭63−47128号公報
【特許文献4】特開昭60−90744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法における養生では、樹脂溶融温度以下である60〜85℃の高温雰囲気下に発泡成形体を一定時間静置する必要があり、特許文献1〜4においても種々の養生方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、いずれの方法も、発泡成形体の形状を短時間に、且つ、安定的に回復させる方法であるが、高温状態から外気に発泡成形体を取り出した際には、外気との温度差により、発泡成形体が再収縮するといった現象がみられる。
外気温が常温である場合には、発泡成形体の形状回復は緩やかであり、この状態から安定した寸法に落ち着くまでに長い時間を要するとは言うまでもなく、外気温がさらに低い場合では、発泡成形体に過剰な収縮が発生する為に、生産性を低下させるといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、以上の課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填した後、該予備発泡粒子を加熱発泡させ、該予備発泡粒子を融着させる型内発泡成形法により成形されてなるポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法において、金型から取り出した後、70℃以上85℃以下で一次養生にて形状を回復させ、しかる後に35℃以上55℃以下で二次養生することにより、養生後の過剰な発泡体の収縮を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の構成によりなる。
(1)ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填した後、該予備発泡粒子を加熱発泡させ、該予備発泡粒子を融着させる型内発泡成形法により成形されてなるポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法であって、金型から取り出した後の型内発泡成形体を、70℃以上85℃以下で一次養生にて形状を回復させ、しかる後に35℃以上55℃以下の範囲内の一定の温度及び3時間以上で二次養生することを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
(2)前記一次養生は、前記型内発泡成形体の寸法が安定した状態で終了する、前記(1)記載のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
(3)前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子又はポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子である、前記(1)又は(2)に記載のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
(4)前記ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、発泡倍率が30〜60倍であり、前記ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、発泡倍率が18〜60倍である前記(3)記載のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、例えば、ポリプロピレン系樹脂においては発泡倍率が30倍以上であり、ポリエチレン系樹脂においては発泡倍率が18倍以上である柔軟性の高い発泡成形体に対して、特に発泡成形体の寸法収縮を抑制することができる。また、本発明の製造方法によれば、外気温(外気環境温度)が低くなる程、発泡成形体の寸法収縮を抑制する効果が顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、表1、2に示す実施例1〜4及び比較例1〜6の寸法比を基にして作成したグラフであって、型内発泡成形直後の発泡成形体を75℃で一次養生した後、所定温度で二次養生した後、外気温(外気環境温度)23℃に取り出して4時間後に測定した長手方向での寸法Aと、発泡成形体を23℃の恒温室にて48時間以上静置し、寸法が安定した後に測定した長手方向の寸法Bから算出される寸法比と、二次養生温度との関係を示すグラフである。図中の菱形は、発泡倍率45倍のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子であるエペラン−PP45での結果、三角形は、発泡倍率35倍のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子であるエペラン−XL35での結果を示す。
図2図2は、表3、4に示す実施例5〜8及び比較例7〜12の寸法比を基にして作成したグラフであって、図1における外気温(外気環境温度)を0℃に変更した場合のグラフである。
図3図3は、表5、6に示す実施例9〜12及び比較例13〜18の寸法比を基にして作成したグラフであって、図1における外気温(外気環境温度)を−20℃に変更した場合のグラフである。
図4図4は、表1、表2、表7、表8を基に、実施例1〜4、13、14、19、20及び比較例1〜6の外気環境温度23℃における二次養生温度と寸法比の関係を示したグラフである。
図5図5は、表3、表4、表7、表8を基に、実施例5〜8、15、16、21、22及び比較例7〜12の外気環境温度0℃における二次養生温度と寸法比の関係を示したグラフである。
図6図6は、表5、表6、表7、表8を基に、実施例9〜12、17、18、23、24及び比較例13〜18の外気環境温度−20℃における二次養生温度と寸法比の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法における型内発泡成形法とは、例えば、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を2つの金型よりなる閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填し、水蒸気などを加熱媒体として0.10〜0.40MPa(G)程度の加熱水蒸気圧で3〜60秒程度の加熱時間で成形し、ポリオレフィン系樹脂予備発泡ビーズ同士を融着させ、このあと金型を水冷により冷却した後、金型を開き、ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体を得る方法である。
【0014】
本発明の型内発泡成形体の製造方法では、型内発泡成形された発泡成形体を金型から離型した後、温度調整された養生室内にて所定時間養生する。本発明に係る製造方法においては、その養生を行う際に、70℃以上85℃以下で一次養生にて形状を回復させ、しかる後に35℃以上55℃以下で二次養生することを特徴とする。
【0015】
本発明の型内発泡成形体の製造方法においては、70℃以上85℃以下で一次養生することにより、セル内の空気を膨張させると共に、一旦凝縮した水分を蒸発させることにより、セル内の圧力を上昇させながら、発泡成形体の形状を回復させることができる。
一次養生温度が70℃未満では、セル内への空気の流入速度が低下して養生時間が長くなる傾向があり、85℃超では、発泡成形体の寸法が収縮する傾向がある。また、ポリエチレン系樹脂では、予備発泡粒子の発泡倍率が高くなるにつれて、一次養生温度が70℃未満では、寸法が安定するまでの養生時間が長時間を要し、生産性が悪化する傾向にあり、85℃超では、熱収縮が大きくなる傾向にある。
尚、本発明者らが検討したところによると、例えば後述する実施例に記載と同様の長さ400mm×幅300mm×高さ60mmの平板状金型を用いて成形した型内発泡成形体において、65℃〜90℃の温度(5℃間隔で6水準)にて18時間一次養生を行った時の寸法比(後述する実施例における寸法比に準じて測定した。)を測定したところ、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂では、65℃、90℃では、寸法比(絶対値)が70℃〜85℃の場合より大きくなる傾向にあり、90℃では熱収縮が大きいため、二次養生を行っても寸法比(絶対値)を小さくする改善効果は期待できず、65℃では、二次養生を行うことで僅かに改善効果は期待できるが、二次養生に長時間を要し生産性の面で問題がある。
また、一次養生の温度は、一次養生を行う時間内で、範囲で変化させてもよいし、一定でもよいが、養生時間短縮化の観点からは、高温で一定であるのが好ましい。
【0016】
本発明の型内発泡成形体の製造方法においては、一次養生処理は、発泡成形体の寸法が安定した状態で、終了することになる。
一次養生処理の終了のタイミングは、養生する発泡成形体の寸法をその都度測定して判断してもよいが、発泡成形体の寸法が、例えば75℃にて24時間養生した場合における発泡成形体と同じになる迄の養生時間を予め測定しておき、当該養生時間に基づいて養生処理の終了タイミングを設定することが好ましい。より具体的に説明すると、厚み50mmの一般的な箱型発泡成形体において、ポリプロピレン系樹脂の場合は、70〜80℃の一次養生温度に応じて24時間以上で、概ね発泡成形体の寸法が安定する。同様に、ポリエチレン系樹脂の場合は、70〜80℃の一次養生温度に応じて36時間以上で、概ね発泡成形体の寸法が安定する。但し、一次養生時間は、発泡成形体の形状や厚み等に大きく左右され、一般的な一次養生時間より極端に短くなる、もしくは、長くなる場合もある。
一次養生処理を、発泡成形体の寸法が安定した状態で終了することで、所定条件の二次養生を行うことと相まって、二次養生後の型内発泡成形体の品質が安定するため、好ましい。尚、一次養生処理において1時間当たりの寸法変化が0.1mm以下となる、かつ、その状態が10時間以上続いた場合、寸法変化が0.1mmになった瞬間を「寸法が安定した状態」とする。
【0017】
本発明の型内発泡成形体の製造方法においては、35℃以上55℃以下で二次養生することにより、養生後の発泡成形体の過剰な収縮を抑制できる。より好ましい二次養生温度は、40℃以上50℃以下である。
二次養生温度が35℃未満では、セル内への空気流入速度が低下し、セル内に十分な空気が含浸できず、収縮抑制の効果が乏しい傾向がある。二次養生温度が55℃超では、外気との温度差が大きいため、収縮抑制の効果が乏しい傾向がある。
また、二次養生の温度は、二次養生を行う時間内で、範囲で変化させてもよいし、一定でもよいが、安定した徐冷効果を得るためには、一定であるのが好ましい。
【0018】
本発明における二次養生時間としては、3時間以上であることが好ましい。二次養生時間は、発泡成形体の形状や厚み等にもより異なり、1時間程度で十分な効果が得られる場合もあるが、例えば、発泡倍率30〜60倍特に45〜60倍のポリプロピレン系樹脂の場合は、35〜55℃の二次養生温度に応じて3時間以上が、同様に、発泡倍率18〜60倍特に35〜60倍のポリエチレン系樹脂の場合は、35〜55℃の二次養生温度に応じて3時間以上が好ましい。
二次養生時間が3時間未満では、発泡成形体の収縮抑制効果が十分に得られない傾向がある。二次養生時間の上限は特に制限は無いが、望ましくは8時間以下である。二次養生時間が8時間超では、著しく生産性が低下する為に望ましくない。
このように、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子、例えば、上述の特定の発泡倍率のポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の予備発泡粒子を用いる場合、二次養生時間は3時間以上8時間以下がより好ましい。
【0019】
本発明の製造方法では、二次養生後に外気環境に取り出す。外気環境下で所定時間静置してもよい。
【0020】
本発明の製造方法によれば、ポリプロピレン系樹脂においては予備発泡粒子の発泡倍率が30倍以上であり、ポリエチレン系樹脂においては予備発泡粒子の発泡倍率が18倍以上である柔軟性の高い発泡成形体に対して、発泡成形体の寸法収縮を抑制することができる。
一方、ポリプロピレン系樹脂において上記発泡倍率が30倍未満、ポリエチレン系樹脂において上記発泡倍率が18倍未満である柔軟性の低い発泡成形体に対しては、外気環境中に取り出した際の発泡成形体の寸法収縮が小さい為に、目的の効果が乏しい傾向がある。
【0021】
本発明の製造方法によれば、外気温(外気環境温度)が低くなる程、発泡成形体の寸法収縮を抑制する効果が顕著となる。
【0022】
本発明において、養生処理は、離型後における発泡成形体の収縮を防止する為、離型直後から行うことが好ましいが、一定の待機時間を設け、その間に製造した複数の発泡成形体をストックし、同時に養生室へ移送して養生処理を施してもよい。
【0023】
本発明においては、第一養生温度による養生処理および第二養生温度による養生処理を、それぞれ専用の養生室にて行うことも可能である。この場合には、第一養生温度に温度調節された養生室から、第二養生温度に温度調節された養生室へ、できるだけ速やかに発泡成形体を移送することが好ましい。
本発明においては、同一の養生室において、第一養生温度から第二養生温度へ、段階的あるいは連続的に温度を変化させながら、養生温度を切り換えてもよい。
【0024】
本発明において用いられるポリオレフィン系樹脂は、オレフィン系単量体を75重量%以上含んでなる重合体である。
【0025】
本発明で用いられるオレフィン系単量体の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、3,4−ジメチル−ブテン−1、へプテン−1、3−メチル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの炭素数2〜12のα−オレフィンなどがあげられる。これらオレフィン系単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明で用いられるオレフィン系単量体と共重合性を有するその他の単量体の具体例としては、例えば、シクロペンテン、ノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,8,8a,6−オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエンなどがあげられる。これら共重合性を有するその他の単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのエチレン単位を主成分とするポリエチレン系樹脂、プロピレン単位を主成分とするポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、単量体の主成分としてプロピレンを含んでいれば、特に限定はなく、例えば、プロピレンホモポリマー、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、α−オレフィンがエチレンである、エチレンを共重合単量体成分として含有するポリプロピレン系樹脂が、入手が容易であり、加工成形性に優れていることから、型内発泡成形に好適に使用し得る。中でも、エチレン−プロピレンランダム共重合体がより好適である。
【0029】
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンホモポリマー、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。ここでいう、α−オレフィンとしては、炭素数3〜15のα−オレフィンなどが挙げられ、これらα−オレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのポリエチレン系樹脂の中でも、エチレン以外のα−オレフィン含量が1〜10重量%であるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体、または直鎖状低密度ポリエチレン(直鎖状ポリエチレンコポリマー)が、良好な発泡性を示し、型内発泡成形に好適に使用し得る。
【0030】
型内発泡成形体に対して一次養生を行うことで、成形時にセル内に充満していた蒸気を空気へと置換するとともに、セル内の空気量を増加させ、更に、二次養生を行うことで、セル内の空気量の増加に加え、外気環境温度との温度差を小さくすることにより、過剰な再収縮を抑制することができる。この時、セル内の蒸気はセルの樹脂膜を透過してセル外に放出されるとともに、セル外から空気が樹脂膜を透過してセル内に侵入することになる。この場合、蒸気と空気のセルの樹脂膜の透過は、概ねガス透過基礎式(dm/dt=(QA/h)(P−P)、m:物質移動質量、Q:膜透過係数、A:膜表面積、h:膜厚、P:外圧、t:移動時間、P:セル内圧)に従うと考えられる。セル内圧はガス透過基礎式の膜透過係数により異なると考えられるが、ポリオレフィン系樹脂、特に、ポリエチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂は、概ね同様の膜透過係数を有すると考えられる。そのため、本発明における養生条件では、各種のポリオレフィン系樹脂(特に、ポリエチレン系樹脂やポリオレフィン系樹脂)を用いても、同様の傾向を示すと考えられ、本発明の効果を奏することが期待できる。
【0031】
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂は、必要に応じて、さらに、
タルク等のセル造核剤;
酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸などの安定剤;
架橋剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填剤、強化剤、無機系顔料、有機系顔料、導電性改良剤、難燃性改良剤、界面活性剤型もしくは高分子型の帯電防止剤;
等の添加剤が添加されたポリオレフィン系樹脂組成物として使用されうる。
【0032】
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂組成物は、通常、予備発泡に利用されやすいように、予め押出機、ニーダー、バンバリミキサー、ロール等を用いて、ポリオレフィン系樹脂を、必要に応じて前記添加剤と共に溶融混練し、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等の所望の粒子形状のポリオレフィン系樹脂粒子に成形加工される。
【0033】
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造する方法には、特に限定はないが、例えば、密閉容器内にポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤存在下、分散剤等と共に分散媒中に分散させ、加圧下で所定の発泡温度まで加熱すると共に、発泡剤を樹脂粒子に含浸させた後、容器内の温度、圧力を一定に保持しながら、密閉容器内の水分散物を低圧域に放出して発泡させる方法、いわゆる、除圧発泡法が好ましい。
【0034】
除圧発泡法における密閉容器内の加熱温度は、好ましくはポリオレフィン系樹脂粒子の融点−25℃以上ポリオレフィン系樹脂粒子の融点+25℃以下、更に好ましくはポリオレフィン系樹脂粒子の融点−15℃以上ポリオレフィン系樹脂粒子の融点+15℃以下の範囲の温度である。
当該温度に加熱し、加圧して、ポリオレフィン系樹脂粒子内に発泡剤を含浸させた後、密閉容器の一端を開放してポリオレフィン系樹脂粒子を密閉容器内よりも低圧の雰囲気中に放出することにより、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造することができる。
【0035】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造するに際し、用いられる発泡剤に特に制限はなく、例えば、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素;空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス;水等があげられる。これら発泡剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率は、特に限定はないが、柔軟性の高い発泡成形体において寸法収縮が大きいため、18〜60倍の場合に、本発明の効果を得られ易くなる。また、発泡倍率が大きくなるほど発泡成形体の柔軟性が高くなる傾向にあるため、上記範囲で発泡倍率が高くなるほど本発明の効果を得られ易くなる傾向にある。特に、ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の場合は、18〜60倍、好ましくは35〜60倍である場合に、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の場合は、30〜60倍、好ましくは45〜60倍である場合に、本発明の効果をより得られ易くなる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
実施例および比較例において、使用した予備発泡粒子は、以下のとおりである。
●ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子:
エペラン−PP45(SBS45、株式会社カネカ製、エチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂[MFR=7.0g/10分、融点145℃]を、45倍の発泡倍率で発泡したもの)
●ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子:
エペラン−XL35(XL35、株式会社カネカ製、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体[MFR=2.0g/10分、融点122℃]を、35倍の発泡倍率で発泡したもの)
【0039】
実施例および比較例における評価は、以下のように行った。
<寸法評価>
得られた型内発泡成形体を二次養生後、外気環境に取り出し、4時間静置した後の発泡成形体において、ノギス(株式会社ミツトヨ製)を用いて長手方向の寸法(寸法A)を測定した。
その後、発泡成形体を23℃の恒温室にて48時間以上静置し、寸法が安定した後、ノギスを用いて長手方向の寸法(寸法B)を測定した。
寸法Aと寸法Bを用いて、下記式から寸法比を算出し、小数点以下第3位を四捨五入した。
寸法比(%)=(寸法A−寸法B)/寸法B×100
なお、寸法比が大きい程、二次養生後での収縮量が小さいことを示している。
【0040】
(実施例1)
[型内成形発泡体の作製]
予備発泡樹脂粒子として、発泡倍率45倍のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子であるエペラン−PP45を用いた。
耐圧容器内にて、エペラン−PP45に対して加圧空気を含浸させて、エペラン−PP45の内圧を約0.1MPa(G)にした後、KD345成形機(DAISEN株式会社製)に搭載した平板状金型[長さ400mm×幅300mm×高さ60mm]内に充填した。
その後、12秒間かけて水蒸気圧力0.26MPa(G)まで昇圧し、そのまま5秒間加熱して、該予備発泡粒子同士を融着させ、130秒間水冷した後、金型から取り出し、型内発泡成形体を得た。
[成形発泡体の養生]
得られた型内発泡成形体を、一次養生として75℃の恒温室内に24時間静置した後、二次養生として50℃の恒温室内に5時間静置した後、23℃の外気環境に取り出した。
外気環境に取り出して4時間静置した後に、23℃恒温室に静置した。
外気環境温度での寸法比を、表1に示す。
【0041】
(実施例2)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を40℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表1に示す。
【0042】
(比較例1)
[成形発泡体の養生]において、二次養生を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表1に示す。
【0043】
(比較例2)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を65℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表1に示す。
【0044】
(比較例3)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を30℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
(実施例3)
[型内成形発泡体の作製]
予備発泡樹脂粒子として、発泡倍率35倍のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子であるエペラン−XL35を用いた。
エペラン−XL35を、KD345成形機(DAISEN株式会社製)に搭載した平板状金型[長さ400mm×幅300mm×高さ60mm]内に充填した。
その後、5秒間かけて水蒸気圧力0.11MPa(G)まで昇圧し、そのまま12秒間加熱、該予備発泡粒子同士を融着させ、140秒間水冷した後、金型から取り出し、型内発泡成形体を得た。
[成形発泡体の養生]
得られた型内発泡成形体を、一次養生として75℃の恒温室に36時間静置した後、二次養生として50℃の恒温室内に5時間静置した後、23℃の外気環境に取り出した。外気環境に取り出し4時間後に23℃恒温室に静置した。
外気環境温度での寸法比を、表2に示す。
【0047】
(実施例4)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を40℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表2に示す。
【0048】
(比較例4)
[成形発泡体の養生]において、二次養生を行わなかった以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表2に示す。
【0049】
(比較例5)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を65℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表2に示す。
【0050】
(比較例6)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を30℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
(実施例5)
[成形発泡体の養生]において、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表3に示す。
【0053】
(実施例6)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を40℃、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表3に示す。
【0054】
(比較例7)
[成形発泡体の養生]において、二次養生を行わなかった、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表3に示す。
【0055】
(比較例8)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を60℃、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表3に示す。
【0056】
(比較例9)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を23℃、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
(実施例7)
[成形発泡体の養生]において、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表4に示す。
【0059】
(実施例8)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を40℃、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表4に示す。
【0060】
(比較例10)
[成形発泡体の養生]において、二次養生を行わなかった、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表4に示す。
【0061】
(比較例11)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を60℃、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表4に示す。
【0062】
(比較例12)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を23℃、外気環境を0℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
(実施例9)
[成形発泡体の養生]において、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表5に示す。
【0065】
(実施例10)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を40℃、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表5に示す。
【0066】
(比較例13)
[成形発泡体の養生]において、二次養生を行わなかった、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表5に示す。
【0067】
(比較例14)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を60℃、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表5に示す。
【0068】
(比較例15)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を23℃、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表5に示す。
【0069】
【表5】
【0070】
(実施例11)
[成形発泡体の養生]において、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表6に示す。
【0071】
(実施例12)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を40℃、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表6に示す。
【0072】
(比較例16)
[成形発泡体の養生]において、二次養生を行わなかった、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表6に示す。
【0073】
(比較例17)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を60℃、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表6に示す。
【0074】
(比較例18)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を23℃、外気環境を−20℃に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表6に示す。
【0075】
【表6】
【0076】
(実施例13)
[型内成形発泡体の作製]
実施例1と同様にして、型内発泡成形体を得た。
[成形発泡体の養生]
金型から取り出した型内発泡成形体を、23℃で、1時間静置した。次に、一次養生として75℃の恒温室内に24時間静置した。次に、55℃の恒温室内に型内発泡成形体を速やかに移動させて、二次養生として55℃の恒温室内に5時間静置した。次に、23℃の外気環境に取り出した。
外気環境に取り出して4時間静置した後に、23℃の恒温室に静置した。
尚、予め、この系での一次養生における寸法が安定した状態になる時間が24時間であることを確認した。
外気環境温度での寸法比を、表7に示す。
【0077】
(実施例14)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を35℃に変更した以外は、実施例13と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表7に示す。
【0078】
(実施例15)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を55℃、外気環境温度を0℃に変更した以外は、実施例13と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表7に示す。
【0079】
(実施例16)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を35℃、外気環境温度を0℃に変更した以外は、実施例13と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表7に示す。
【0080】
(実施例17)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を55℃、外気環境温度を−20℃に変更した以外は、実施例13と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表7に示す。
【0081】
(実施例18)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を35℃、外気環境温度を−20℃に変更した以外は、実施例13と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表7に示す。
【0082】
【表7】
【0083】
(実施例19)
[型内成形発泡体の作製]
実施例3と同様にして、型内発泡成形体を得た。
[成形発泡体の養生]
得られた型内発泡成形体を、一次養生として75℃の恒温室に36時間静置した。次に、55℃の恒温室内に型内発泡成形体を速やかに移動させて、二次養生として55℃の恒温室内に5時間静置した。
次に、23℃の外気環境に取り出した。外気環境に取り出し4時間後に23℃の恒温室に静置した。
尚、予め、この系での一次養生における寸法が安定した状態になる時間が36時間であることを確認した。
外気環境温度での寸法比を、表8に示す。
【0084】
(実施例20)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を35℃に変更した以外は、実施例19と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表8に示す。
【0085】
(実施例21)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を55℃、外気環境温度を0℃に変更した以外は、実施例19と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表8に示す。
【0086】
(実施例22)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を35℃、外気環境温度を0℃に変更した以外は、実施例19と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表8に示す。
【0087】
(実施例23)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を55℃、外気環境温度を−20℃に変更した以外は、実施例19と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表8に示す。
【0088】
(実施例24)
[成形発泡体の養生]において、二次養生温度を35℃、外気環境温度を−20℃に変更した以外は、実施例19と同様の操作により、養生を行った。
外気環境温度での寸法比を、表8に示す。
【0089】
【表8】
【0090】
図1は、表1及び表2を基に、また、図4は、表1、表2、表7、表8を基に、外気温度23℃における二次養生温度と寸法比の関係を示したものである。
図2は、表3及び表4を基に、また、図5は、表3、表4、表7、表8を基に、外気環境0℃における二次養生温度と寸法比の関係を示したものである。
図3は、表5及び表6を基に、また、図6は、表5、表6、表7、表8を基に、外気環境−20℃における二次養生温度と寸法比の関係を示したものである。
エペラン−PP45(発泡倍率45倍のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子)においては、二次養生を行わなかった場合、あるいは他の温度23℃もしくは30℃と60℃もしくは65℃で二次養生を行った場合には、寸法比が小さいのに対して、二次養生温度35〜55℃では、寸法比が大きい、つまり、発泡成形体の寸法の収縮が小さいことが判る。
エペラン−XL35(発泡倍率35倍のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子)においても、二次養生を行わなかった場合、あるいは他の温度23℃もしくは30℃と60℃もしくは65℃で二次養生を行った場合には、寸法比が小さいのに対して、二次養生温度35〜55℃では、寸法比が大きい、つまり、発泡成形体の寸法の収縮が小さいことが判る。
【0091】
以上のように、様々な外気環境温度において、養生温度35℃〜55℃で二次養生した場合の寸法収縮抑制の効果は明白である。
さらに、外気環境温度が低い程、35℃〜55℃での二次養生による効果は顕著となる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6