特許第6471782号(P6471782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6471782
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20190207BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   B62D25/20 C
   B62D21/15 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-159887(P2017-159887)
(22)【出願日】2017年8月23日
【審査請求日】2018年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金丸 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木戸 啓人
(72)【発明者】
【氏名】石川 靖
(72)【発明者】
【氏名】川本 篤史
(72)【発明者】
【氏名】内場 友貴
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−030579(JP,A)
【文献】 特開2014−080091(JP,A)
【文献】 特開2016−037242(JP,A)
【文献】 特開2015−223848(JP,A)
【文献】 特許第5357953(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に搭載されたパワートレインの車幅方向外側で車両前後方向に延びるフレームを備えた車体構造であって、
上記フレームは、該フレームの車両前後方向に離間した2ヶ所に設けられた前側及び後側高強度部と、該フレームの車両前後方向における該前側及び後側高強度部の間に設けられ、該前側及び後側高強度部よりも車幅方向への曲げ強度が低い低強度部とを有し、
上記低強度部の車両前後方向の少なくとも一部である特定部が、上記パワートレインにおける該特定部と同じ高さに位置する部分に対して車幅方向外側でかつ車両前側に位置しており、
更に上記フレームは、上記パワートレインを挟んで該フレームとは反対側で車両前後方向に延びる別のフレームに、車幅方向に延びる連結クロスメンバを介して連結され、
上記フレームにおける上記連結クロスメンバの連結部分が、上記前側高強度部を構成していることを特徴とする車体構造。
【請求項2】
請求項1記載の車体構造において、
上記低強度部は、車幅方向内側に突出するように湾曲していることを特徴とする車体構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車体構造において、
上記フレームの車両前側の端部には、該端部よりも車幅方向外側に突出しかつ該フレームよりも車幅方向外側で上記車両が前面衝突したときの衝突荷重を受ける荷重受け部が設けられていることを特徴とする車体構造。
【請求項4】
請求項3記載の車体構造において、
上記荷重受け部は、上記フレームに接合される板材で構成され、
上記フレームにおける上記板材の接合部分が、上記連結クロスメンバの連結部分と共に、上記前側高強度部を構成していることを特徴とする車体構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の車体構造において、
上記フレームは、車幅方向に延びかつ左右の前輪サスペンションを支持するサスペンションクロスメンバから車両前側に延びる延長フレームであり、
上記延長フレームの車両後側の端部が、上記サスペンションクロスメンバと車両前後方向にオーバーラップした状態で接合されることにより、上記後側高強度部を構成していることを特徴とする車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部に搭載されたパワートレインの車幅方向外側で車両前後方向に延びるフレームを備えた車体構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の前面衝突時に、フレーム(フロントサイドフレームや、サスペンションクロスメンバから車両前側に延びる延長フレーム)の変形により、衝突荷重を吸収するようにすることが知られている。また、車両の前面衝突の一形態として、車両のフロントサイドフレームよりも車幅方向外側で障害物と衝突する場合があり、このような前面衝突は、スモールオーバーラップ衝突と呼ばれる。このスモールオーバーラップ衝突に対処するべく、フロントサイドフレームの前端に車幅方向外側に突出する荷重受け部を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、上記荷重受け部に入力された衝突荷重により、フロントサイドフレームを車幅方向に移動させるとともに、パワーユニット(パワートレイン)を車幅方向に移動させることで、衝突エネルギーを吸収して、車体前部が車室側に後退するのを抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5357953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような構成では、スモールオーバーラップ衝突時において、特に衝突荷重が大きい場合に、パワートレインをフロントサイドフレームに支持するマウント装置が、パワートレインの慣性力により破壊される可能性がある。このマウント装置が破壊されると、パワートレインがその慣性力により車両前側へ移動してしまう。このようにパワートレインが車両前側へ移動すると、例えば、パワートレインのエンジンにコネクタを介して接続されている燃料パイプが該コネクタから外れる虞れがある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両のスモールオーバーラップ衝突時に、パワートレインの車両前側への移動を抑制しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明では、車両の前部に搭載されたパワートレインの車幅方向外側で車両前後方向に延びるフレームを備えた車体構造を対象として、上記フレームは、該フレームの車両前後方向に離間した2ヶ所に設けられた前側及び後側高強度部と、該フレームの車両前後方向における該前側及び後側高強度部の間に設けられ、該前側及び後側高強度部よりも車幅方向への曲げ強度が低い低強度部とを有し、上記低強度部の車両前後方向の少なくとも一部である特定部が、上記パワートレインにおける該特定部と同じ高さに位置する部分に対して車幅方向外側でかつ車両前側に位置しており、更に上記フレームは、上記パワートレインを挟んで該フレームとは反対側で車両前後方向に延びる別のフレームに、車幅方向に延びる連結クロスメンバを介して連結され、上記フレームにおける上記連結クロスメンバの連結部分が、上記前側高強度部を構成している、という構成とした。
【0007】
上記の構成により、フレーム(フロントサイドフレームや、サスペンションクロスメンバから車両前側に延びる延長フレーム)における低強度部の少なくとも一部である特定部(特に前側高強度部の近傍部分)が、パワートレインに対して車幅方向外側でかつ車両前側に位置しており、その特定部は、スモールオーバーラップ衝突時における衝突荷重が車幅方向外側から作用することで、車幅方向内側へ折れ曲がり易い。そして、その折れ曲がった特定部がパワートレインに当接することで、パワートレインが車両前側へ移動するのを抑制することができる。
【0008】
上記車体構造において、上記低強度部は、車幅方向内側に突出するように湾曲している、ことが好ましい。
【0009】
このことにより、スモールオーバーラップ衝突時において、低強度部の特定部(特に前側高強度部の近傍部分)が、車幅方向内側へより一層折れ曲がり易くなる。
【0010】
上記車体構造において、上記フレームの車両前側の端部には、該端部よりも車幅方向外側に突出しかつ該フレームよりも車幅方向外側で上記車両が前面衝突したときの衝突荷重を受ける荷重受け部が設けられている、ことが好ましい。
【0011】
このことで、スモールオーバーラップ衝突時において、荷重受け部に入力された衝突荷重が、フレームに対して車幅方向外側から直接作用するので、低強度部の特定部の車幅方向内側への折り曲げを促進するこができる。よって、スモールオーバーラップ衝突時に、パワートレインの車両前側への移動をより効果的に抑制することができる。
【0012】
上記荷重受け部が設けられている場合、上記荷重受け部は、上記フレームに接合される板材で構成され、上記フレームにおける上記板材の接合部分が、上記連結クロスメンバの連結部分と共に、上記前側高強度部を構成している、ことが好ましい。
【0013】
このことにより、前側高強度部を簡単に構成することができるとともに、スモールオーバーラップ衝突時において、前側高強度部に車幅方向内側へ押圧する押圧力が作用するので、前側高強度部に対して後側の近傍部分、つまり低強度部における前側高強度部の近傍部分を車幅方向内側へ折り曲げるようにすることができる。
【0014】
上記車体構造において、上記フレームは、車幅方向に延びかつ左右の前輪サスペンションを支持するサスペンションクロスメンバから車両前側に延びる延長フレームであり、上記延長フレームの車両後側の端部が、上記サスペンションクロスメンバと車両前後方向にオーバーラップした状態で接合されることにより、上記後側高強度部を構成している、ことが好ましい。
【0015】
こうすることで、後側高強度部を簡単に構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の車体構造によると、車両のスモールオーバーラップ衝突時に、パワートレインの車両前側への移動を抑制することができ、この結果、例えば、パワートレインのエンジンにコネクタを介して接続されている燃料パイプが該コネクタから外れるといった不具合が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車体構造が適用された車両の前部の要部を示す平面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】上記車両の前部を下側から見た底面図である。
図4】上記車両のサスペンションクロスメンバの本体部及び左右の前方延設部、左右の延長フレーム、連結クロスメンバ、クラッシュカン並びにスティフナーを示す平面図である。
図5】右側の延長フレームを拡大して示す平面図である。
図6】上記車両の前面の右側部分で障害物とのスモールオーバーラップ衝突が発生したときにおける、右側の延長フレームの低強度部の変形の様子を概略的に示す底面図である。
図7図6から障害物が上記車両に対して更に後退したときにおける図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1図3は、本発明の実施形態に係る車体構造が適用された車両1の前部の要部を示す。この車両1の前部におけるエンジンルーム2内には、当該車両1の左右の前輪3を駆動するパワートレイン5が配設されている。このパワートレイン5は、エンジン6と、エンジン6にて生成されたトルク(動力)が入力されるトランスミッション7とで構成されている。以下、車両1についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
【0020】
エンジン6及びトランスミッション7は、後述の左右一対のフロントサイドフレーム11間において車幅方向(左右方向)に並んでいて、本実施形態では、エンジン6は、トランスミッション7に対して右側に位置している。
【0021】
エンジンルーム2の車幅方向両側の端部には、前後方向に延びかつ略矩形の閉断面状に形成された左右一対のフロントサイドフレーム11が配設されている。また、エンジンルーム2の後端部には、エンジンルーム2と車室12とを仕切るダッシュパネル13(図2参照)が設けられている。このダッシュパネル13の上端部に、カウル部材14が接合されている。カウル部材14の車幅方向両側の端部には、前後方向に延びる左右のエプロンレインメンバ19の後端部がそれぞれ連結されている。
【0022】
左右のフロントサイドフレーム11の車幅方向外側には、ホイールハウスパネル17及びサスペンションタワー18がそれぞれ設けられている。各ホイールハウスパネル17は、前輪3の上側を覆うように円弧状に形成されて、その円弧内側にフロントホイールハウスを構成する。左右のサスペンションタワー18の下端部は、左右のフロントサイドフレーム11にそれぞれ固定され、左右のサスペンションタワー18の上端部は、左右のエプロンレインメンバ19にそれぞれ固定されている。
【0023】
パワートレイン5は、その長手方向が車幅方向となるように、該パワートレイン5の両端部で、左側マウント装置21及び右側マウント装置25を介して左右一対のフロントサイドフレーム11に弾性支持されている。左側のマウント装置21は、トランスミッション7の左側端部の上部に連結されるパワートレイン側連結部材22と、左側のフロントサイドフレーム11及び左側のホイールハウスパネル17に連結される車体側連結部材23と、これら両連結部材22,23間に配設されたゴムブッシュ(図示省略)とを有している。この左側のマウント装置21により、トランスミッション7の左側端部の上部が左側のフロントサイドフレーム11に弾性支持されることになる。また、右側のマウント装置25は、エンジン6の右側端部の上部に連結されるパワートレイン側連結部材26と、右側のフロントサイドフレーム11及び右側のホイールハウスパネル17に連結される車体側連結部材27と、これら両連結部材26,27間に配設されたゴムブッシュ(図示省略)とを有している。この右側のマウント装置25により、エンジン6の右側端部の上部が右側のフロントサイドフレーム11に弾性支持されることになる。
【0024】
左右のフロントサイドフレーム11の前端面には、クラッシュカン31がそれぞれ設けられ、これら左右のクラッシュカン31の前端面が、車幅方向に延びるバンパービーム32の左右両端部に固定されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、サスペンションタワー18に対して僅かに後側には、左右のフロントサイドフレーム11の下側で車幅方向に延びるサスペンションクロスメンバ34が配設されている。このサスペンションクロスメンバ34は、互いに周縁部で接合された上側部材35と下側部材36とで構成されている。
【0026】
サスペンションクロスメンバ34は、車幅方向に延びる本体部34aと、この本体部34aの左右両端部の前縁から前側に向かって車幅方向外側に傾斜して延びる前方延設部34bとを有している。左右の前方延設部34bは、上側部材35と下側部材36とで、略矩形の閉断面状に形成されている。
【0027】
左右の前輪3は、前輪サスペンションの一部を構成する左右のサスペンションアーム39(ロアアーム)を介して、サスペンションクロスメンバ34の本体部34aに支持されている。左右のサスペンションアーム39の一端部(車幅方向外側の端部)に左右の前輪3がそれぞれ支持され、左右のサスペンションアーム39の他端部(車幅方向内側の端部)が、本体部34aの後側部分の左右両端部において上下方向に延びる軸40(図3図6及び図7参照)によりゴムブッシュを介してそれぞれ支持されている。また、図示は省略するが、サスペンションアーム39の長手方向中間部が、前後方向に延びる軸によりゴムブッシュを介して左右の前方延設部34bにそれぞれ支持されている。
【0028】
左右の前方延設部34bの上面には、上方へ延びる上方延設部(図示省略)がそれぞれ設けられ、これら左右の上方延設部の上端部が、左右のフロントサイドフレーム11の下面にそれぞれ固定される。
【0029】
サスペンションクロスメンバ34の本体部34aにおける車幅方向の中央近傍部には、エンジン6の下面におけるトランスミッション7の近傍部分に設けられたトルクロッド29を、車幅方向に延びる軸回りに回動可能に支持するトルクロッド支持部34cが設けられている。左右のマウント装置21,25によるパワートレイン5の車幅方向両端部における上記弾性支持により、パワートレイン5の全体が車幅方向に延びる軸回りに回動(揺動)することになるが、トルクロッド29は、パワートレイン5の全体が上記軸回りに回動し過ぎるのを規制する。
【0030】
左右の前方延設部34bの前端部には、それぞれ左右のフロントサイドフレーム11の下側の位置で前後方向に延びる、略矩形の閉断面状に形成された延長フレーム41が結合されている。左右の延長フレーム41は、車幅方向において左右のフロントサイドフレーム11とそれぞれ略同じ位置に位置する。各延長フレーム41の後端部は、各前方延設部34bの閉断面内に挿入された状態で該前方延設部34b(上側部材35及び下側部材36)に接合されている。すなわち、各延長フレーム41の後端部は、サスペンションクロスメンバ34と前後方向にオーバーラップした状態で接合されていることになる。
【0031】
各延長フレーム41の前端面には、各フロントサイドフレーム11の前端に設けられたクラッシュカン31と同様のクラッシュカン45が設けられている。左右のクラッシュカン45の前端面が、バンパービーム32の下側の位置で車幅方向に延びるスティフナー46の左右両端部に固定されている。このスティフナー46は、車両1の前面に衝突した歩行者の脚部の下部に接触して該脚部を払うことで、該歩行者を車両1のボンネット上に転倒させ、これにより歩行者の脚部における骨折等の傷害の発生を可及的に防止するものである。尚、バンパービーム32及びスティフナー46の前側部分は、フロントバンパー48(図6及び図7参照)により覆われている。フロントバンパー48は、バンパービーム32及びスティフナー46よりも車幅方向外側に延びている。
【0032】
図5に示すように、各延長フレーム41の前端面には、上下方向の全体に亘って後側に凹む凹部41aが形成されている。この凹部41aは、延長フレーム41の軽量化を図るためのものである。
【0033】
左右の延長フレーム41の前端部同士は、車幅方向に延びる連結クロスメンバ43によって連結されている。サスペンションクロスメンバ34の本体部34a及び左右の前方延設部34b、左右の延長フレーム41並びに連結クロスメンバ43は、平面視で略矩形状をなすペリメータフレームを構成している。
【0034】
各延長フレーム41の前端部における上面には、上下方向に延びる連結部材51(図4参照(図5では記載を省略))の下端面が固定され、各連結部材51の上端面が、各フロントサイドフレーム11の下面に固定される。
【0035】
各延長フレーム41の前端部には、該前端部よりも車幅方向外側に突出しかつ該延長フレーム41よりも車幅方向外側(つまりフロントサイドフレーム11よりも車幅方向外側)で車両1が前面衝突したときの衝突荷重を受ける荷重受け部53が設けられている。すなわち、車両1の前面(特にフロントバンパー48)における延長フレーム41よりも車幅方向外側の部分と障害物71(図6及び図7参照)とが衝突する、いわゆるスモールオーバーラップ衝突が発生したときに、その衝突荷重がフロントバンパー48を介して荷重受け部53に入力されるようになっている。
【0036】
図5に示すように、各延長フレーム41の荷重受け部53は、該延長フレーム41の前端部における上面に接合された、板材で構成された上面部材54と、該延長フレーム41の前端部における下面に、上面部材54に対向するように接合された、板材で構成された下面部材55(図3参照)とを有する。上面部材54及び下面部材55は、平面視で同じ大きさの略三角形状をなすように、延長フレーム41の上面における凹部41aの車幅方向外側の部分から車幅方向外側に真っ直ぐに延びる前側縁と、この前側縁の突出先端から後側に向かって車幅方向内側に傾斜して延びる後側縁とを有している。上面部材54及び下面部材55の前側縁同士は、板材で構成された前面部材56により連結され、上面部材54及び下面部材55の後側縁同士は、板材で構成された後面部材57により連結されている。前面部材56は、凹部41aの側面及び底面に沿って、凹部41aの車幅方向内側に延びていて、クラッシュカン45の後面に設けられたフランジ板45aと連結されている。
【0037】
各延長フレーム41は、該延長フレーム41の前後方向に離間した2ヶ所に設けられた前側及び後側高強度部41b,41cと、該延長フレーム41の前後方向における前側及び後側高強度部41b,41cの間に設けられ、該前側及び後側高強度部41b,41cよりも車幅方向への曲げ強度が低い低強度部41dとを有する。
【0038】
本実施形態では、各延長フレーム41における上面部材54及び下面部材55の接合部分(各延長フレーム41の前端部)が、前側高強度部41bを構成している。また、各延長フレーム41の後端部が、サスペンションクロスメンバ34と前後方向にオーバーラップした状態で接合されていることで、後側高強度部41cを構成している。
【0039】
本実施形態では、低強度部41dは、車幅方向内側に僅かに突出するように湾曲しているが、前後方向に真っ直ぐに延びる形状であってもよい。
【0040】
本実施形態では、右側の延長フレーム41が、本発明のフレームに相当し、車両1の前面の右側部分でスモールオーバーラップ衝突が発生したときに、後述の如く右側の延長フレーム41の折れ曲がりによって、パワートレイン5の車両前側への移動を抑制する。また、左側の延長フレーム41が、連結クロスメンバ43を介して右側の延長フレーム41と連結される別のフレームに相当する。尚、車両1の前面の左側部分でスモールオーバーラップ衝突が発生したときには、左側の延長フレーム41が、右側部分でのスモールオーバーラップ衝突時における右側の延長フレーム41と同様に折れ曲がるが、本実施形態では、左側の延長フレーム41とは別の手段(ここでは、説明を省略する)によって、パワートレイン5の車両前側への移動を抑制する。
【0041】
右側の延長フレーム41は、パワートレイン5(エンジン6)の車幅方向外側(右側)で前後方向に延びている。パワートレイン5において、右側の延長フレーム41と同じ高さ位置には、エンジン6のオイルパン6a(図2図3図6及び図7参照)が設けられている。このオイルパン6aは、金属製である。尚、図3図6及び図7中、6bは、オイルフィルタの金属ケースである。
【0042】
本実施形態では、右側の延長フレーム41の低強度部41dにおける前側高強度部41bの近傍部分が、特定部41eとされている。この特定部41eは、パワートレイン5における該特定部41eと同じ高さに位置する部分(つまりオイルパン6a)に対して車幅方向外側でかつ車両前側に位置している。図3図6及び図7に示すように、オイルパン6aの下部における前側かつ右側の角部は、面取りされており、該角部に、前側に向かって車幅方向内側に傾斜する傾斜面6cが形成されている。この傾斜面6cが、後述の如く折れ曲がった特定部41eが当接する当接部とされている。
【0043】
車両1の前面の右側部分で障害物71とのスモールオーバーラップ衝突が発生したとき、その衝突荷重がフロントバンパー48を介して右側の延長フレーム41の荷重受け部53に前側から入力される。これにより、右側の延長フレーム41の前側高強度部41bには、車幅方向内側へ押圧する押圧力が作用する。この押圧力により、図6に示すように、右側の延長フレーム41の低強度部41dにおける特定部41eが、車幅方向内側へ折れ曲がる。
【0044】
障害物71が車両1に対して更に後退したときには、図7に示すように、特定部41eの折れ曲がりが進行して、特定部41eが車幅方向内側に大きく突出することになり、これにより、特定部41eが上記当接部(傾斜面6c)に当接する。この結果、仮に右側のマウント装置25が、パワートレイン5の慣性力により破損してパワートレイン5(エンジン6)が前側へ移動しようとしても、その前側への移動が抑制される。尚、図7では、特定部41eが傾斜面6cの後端部にしか当接していないが、衝突の状態によっては、傾斜面6cの略全体に当接する。
【0045】
したがって、本実施形態では、車両1の前面の右側部分で障害物71とのスモールオーバーラップ衝突が発生したときに、右側の延長フレーム41の特定部41eの折れ曲がりにより、特定部41eが上記当接部に当接することで、パワートレイン5の車両前側への移動を抑制することができる。この結果、例えば、エンジン6にコネクタを介して接続されている燃料パイプ(図示省略)が該コネクタから外れるといった不具合が生じるのを抑制することができる。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、オイルパン6aが金属製であるが、樹脂製である場合には、例えばオイルフィルタ6bの金属ケースを適切な位置に配置して、該金属ケースを特定部41eが当接する当接部とすればよい。この場合、樹脂製のオイルパン6aが特定部41eとの当接によって破損した後に、特定部41eが上記金属ケースに当接するようにしてもよい。
【0048】
また、右側の延長フレーム41を、本発明のフレームとしたが、これに代えて又は加えて、左側の延長フレーム41を本発明のフレームとすることも可能である。この場合、トランスミッション7の下部に、左側の延長フレーム41の低強度部41dにおける特定部41eが当接する当接部を設ければよい。
【0049】
さらに、上記実施形態では、延長フレーム41の前端部を前側高強度部41bとし、後端部を後側高強度部41cとしたが、前側及び後側高強度部41b,41cは、延長フレーム41において前後方向に離れたどこに設けられていてもよい。但し、低強度部41dの特定部41eが、パワートレイン5よりも前側に位置するようにする必要がある。例えば、延長フレーム41の前端部を前側高強度部41bとし、低強度部41dの前後方向の全体を特定部41eとしてもよい。この場合、後側高強度部41cを、パワートレイン5における特定部41eと同じ高さに位置する部分と前後方向において略同じ位置に設ける。
【0050】
また、延長フレームに限らず、左右のフロントサイドフレーム11を、本発明のフレームとすることも可能である。
【0051】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、車両の前部に搭載されたパワートレインの車幅方向外側で車両前後方向に延びるフレームを備えた車体構造に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
5 パワートレイン
34 サスペンションクロスメンバ
39 サスペンションアーム(前輪サスペンション)
41 延長フレーム
41b 前側高強度部
41c 後側高強度部
41d 低強度部
41e 特定部
53 荷重受け部
【要約】
【課題】車両のスモールオーバーラップ衝突時に、パワートレインの車両前側への移動を抑制する。
【解決手段】車両の前部に搭載されたパワートレインの車幅方向外側で車両前後方向に延びるフレーム(延長フレーム41)が、該フレームの車両前後方向に離間した2ヶ所に設けられた前側及び後側高強度部41b,41cと、該フレームの車両前後方向における前側及び後側高強度部41b,41cの間に設けられ、該前側及び後側高強度部41b,41cよりも車幅方向への曲げ強度が低い低強度部41dとを有し、低強度部41dの少なくとも一部である特定部41eが、パワートレインにおける該特定部41eと同じ高さに位置する部分に対して車幅方向外側でかつ車両前側に位置している。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7