特許第6471783号(P6471783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6471783
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20190207BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20190207BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   B62D25/04 A
   B62D25/08 F
   B62D25/20 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-159888(P2017-159888)
(22)【出願日】2017年8月23日
【審査請求日】2018年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内場 友貴
(72)【発明者】
【氏名】川本 篤史
(72)【発明者】
【氏名】木戸 啓人
(72)【発明者】
【氏名】石川 靖
(72)【発明者】
【氏名】金丸 大輔
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4438416(JP,B2)
【文献】 特開2017−128226(JP,A)
【文献】 特開2015−101218(JP,A)
【文献】 特開2017−124738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側部において前輪の後側で上下方向に延びるように設けられ、ダッシュパネルに連結されたヒンジピラーと、
上記ダッシュパネルに車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバと、
車両前後方向に延び、前端部が上記ヒンジピラーの下端部に連結されたサイドシルと、
上記ヒンジピラーの下端部に設けられ、該ヒンジピラーを上記サイドシルに対して剛性連結するためのヒンジピラー補強部材とを備え、
上記ダッシュクロスメンバは、上記ダッシュパネルにおいて上記ヒンジピラー補強部材に対して車幅方向に離れて設けられており、
上記ダッシュパネルには、上記車両の前面衝突時において、上記前輪から上記ヒンジピラー補強部材に入力された車幅方向内向きの荷重を、上記ダッシュクロスメンバに伝達する荷重伝達部が設けられていることを特徴とする車体構造。
【請求項2】
請求項1記載の車体構造において、
上記荷重伝達部は、車両前側から見て上記ダッシュクロスメンバと上記ヒンジピラー補強部材との間で車幅方向に延びるように設けられたダッシュレインフォースメントで構成されていることを特徴とする車体構造。
【請求項3】
車両の側部において前輪の後側で上下方向に延びるように設けられ、ダッシュパネルに連結されたヒンジピラーと、
上記ダッシュパネルに車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバと、
車両前後方向に延び、前端部が上記ヒンジピラーの下端部に連結されたサイドシルと、
上記ヒンジピラーの下端部に設けられ、該ヒンジピラーを上記サイドシルに対して剛性連結するためのヒンジピラー補強部材とを備え、
上記ダッシュクロスメンバは、上記ダッシュパネルにおいて上記ヒンジピラー補強部材に対して車幅方向に離れて設けられており、
上記ダッシュパネルには、上記ヒンジピラー補強部材に入力された車幅方向内向きの荷重を、上記ダッシュクロスメンバに伝達する荷重伝達部が設けられ、
上記サイドシルの車両前側部分に設けられ、上記車両の前面衝突時に上記前輪が後退して上記ヒンジピラーに当接したときに、該前輪の更なる後退を抑制するサイドシル補強部材を更に備えていることを特徴とする車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側部において前輪の後側で上下方向に延びるように設けられたヒンジピラーを備えた車体構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の前面衝突の一形態として、車両のフロントサイドフレームよりも車幅方向外側で障害物と衝突する場合があり、このような前面衝突は、スモールオーバーラップ衝突と呼ばれる。このスモールオーバーラップ衝突時に、前輪が後退してヒンジピラーに衝突した場合、その衝突した前輪のホイールによってヒンジピラーが変形する可能性がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、ヒンジピラー(フロントピラー)の内部に、傾斜面を有するガイド手段を設け、このガイド手段により、車両のスモールオーバーラップ衝突時に、前輪を車両後方外側にガイドするようにして、スモールオーバーラップ衝突時におけるヒンジピラーの変形を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−141928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、車両のスモールオーバーラップ衝突時に、前輪を車両後方外側にガイドする構成では、そのガイド時に、ヒンジピラーには、そのガイドの反力として、車幅方向内向きの荷重が作用することになる。また、前輪は、通常、サスペンションアーム(ロアアーム)の一端部に支持され、このサスペンションアームの他端部は、上下方向に延びる軸によりサスペンションクロスメンバにゴムブッシュを介して支持されるために、前輪が後退すると、サスペンションアームが上記軸を中心に回動して、最終的には前輪の後部が車幅方向内側に変位しようとする。このため、前輪を車両後方外側にガイドしなくても、前輪がヒンジピラーに衝突したときには、ヒンジピラーには、車幅方向内向きの荷重が作用し易くなる。この結果、前輪がヒンジピラーに衝突したときには、ヒンジピラーの車両後側への変形を抑制できても、ヒンジピラーが車幅方向内側に変形する可能性があり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の前面衝突時(特にスモールオーバーラップ衝突時)に、前輪がヒンジピラーに衝突して、ヒンジピラーに車幅方向内向きの荷重が入力されたとしても、ヒンジピラーの車幅方向内側への変形を抑制しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、車体構造を対象として、車両の側部において前輪の後側で上下方向に延びるように設けられ、ダッシュパネルに連結されたヒンジピラーと、上記ダッシュパネルに車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバと、車両前後方向に延び、前端部が上記ヒンジピラーの下端部に連結されたサイドシルと、上記ヒンジピラーの下端部に設けられ、該ヒンジピラーを上記サイドシルに対して剛性連結するためのヒンジピラー補強部材とを備え、上記ダッシュクロスメンバは、上記ダッシュパネルにおいて上記ヒンジピラー補強部材に対して車幅方向に離れて設けられており、上記ダッシュパネルには、上記車両の前面衝突時において、上記前輪から上記ヒンジピラー補強部材に入力された車幅方向内向きの荷重を、上記ダッシュクロスメンバに伝達する荷重伝達部が設けられている、という構成とした。
【0008】
上記の構成により、車両の前面衝突時(特にスモールオーバーラップ衝突時)に、前輪がヒンジピラーに衝突して、ヒンジピラーに車幅方向内向きの荷重が入力されたとしても、該入力された車幅方向内向きの荷重は、ヒンジピラー補強部材からダッシュパネルの荷重伝達部を介してダッシュクロスメンバに伝達されて、該ダッシュクロスメンバで受け止められる。この結果、ヒンジピラーの車幅方向内側への変形を抑制することができる。
【0009】
上記車体構造の一実施形態では、上記荷重伝達部は、車両前側から見て上記ダッシュクロスメンバと上記ヒンジピラー補強部材との間で車幅方向に延びるように設けられたダッシュレインフォースメントで構成されている。
【0010】
このことにより、ヒンジピラー補強部材に入力された車幅方向内向きの荷重を、ダッシュクロスメンバに効率良く伝達することができる。
【0011】
本発明の他の態様では、車体構造を対象として、車両の側部において前輪の後側で上下方向に延びるように設けられ、ダッシュパネルに連結されたヒンジピラーと、上記ダッシュパネルに車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバと、車両前後方向に延び、前端部が上記ヒンジピラーの下端部に連結されたサイドシルと、上記ヒンジピラーの下端部に設けられ、該ヒンジピラーを上記サイドシルに対して剛性連結するためのヒンジピラー補強部材とを備え、上記ダッシュクロスメンバは、上記ダッシュパネルにおいて上記ヒンジピラー補強部材に対して車幅方向に離れて設けられており、上記ダッシュパネルには、上記ヒンジピラー補強部材に入力された車幅方向内向きの荷重を、上記ダッシュクロスメンバに伝達する荷重伝達部が設けられ、上記サイドシルの車両前側部分に設けられ、上記車両の前面衝突時に上記前輪が後退して上記ヒンジピラーに当接したときに、該前輪の更なる後退を抑制するサイドシル補強部材を更に備えている、という構成とした。
【0012】
このことで、ヒンジピラーの車両後側への変形を抑制することができるとともに、この抑制と、サスペンションアーム(ロアアーム)による前輪の支持構成とによって、ヒンジピラーには車幅方向内向きの荷重が入力され易くなる。このようにヒンジピラーに車幅方向内向きの荷重が入力されたとしても、上記のように、ヒンジピラー補強部材、荷重伝達部及びダッシュクロスメンバによって、ヒンジピラーの車幅方向内側への変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の車体構造によると、車両の前面衝突時(特にスモールオーバーラップ衝突時)に、前輪がヒンジピラーに衝突して、ヒンジピラーに車幅方向内向きの荷重が入力されたとしても、ヒンジピラーの車幅方向内側への変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る車体構造が適用された車両の車室の右前側部分の要部を示す、車両後側かつ車幅方向内側(左側)から見た斜視図である。
図2】上記車両の前部及び右側のヒンジピラーの周辺を示す、車両後側かつ車幅方向外側(右側)から見た斜視図である。
図3】上記車両の右側のヒンジピラー、右側のサイドシルの前端部及びダッシュパネルの右側端部を示す、車両後側かつ車幅方向内側から見た斜視図である。
図4】ダッシュパネルにおけるダッシュクロスメンバ及び右側のダッシュレインフォースメント並びに右側のフロントサイドフレームの位置関係を示す、車両前側かつ右側から見た斜視図である。
図5】ダッシュパネルの右側部分を車両前側から見た正面図(右側のフロントサイドフレームの断面図)である。
図6】上記車両の前面の右側部分で障害物とのスモールオーバーラップ衝突が発生したときにおける、該車両の右側部分の変形の様子を概略的に示す平面図である。
図7図6から障害物が上記車両に対して更に後退したときにおける図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る車体構造が適用された車両1の要部を示す。この車両1の前部には、車両1の左右の前輪3(図6参照)を駆動する不図示のパワートレインが配設されるエンジンルーム2が設けられている。上記パワートレインは、エンジンと、該エンジンにて生成されたトルク(動力)が入力されるトランスミッションとで構成されている。上記エンジン及び上記トランスミッションは、後述の左右一対のフロントサイドフレーム11間において車幅方向に並んでいる。以下、車両1についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
【0017】
エンジンルーム2の車幅方向両側の端部には、前後方向に延びかつ略矩形の閉断面状に形成された左右一対のフロントサイドフレーム11が配設されている。また、エンジンルーム2の後端部には、エンジンルーム2と車室12とを仕切るダッシュパネル13が設けられている。このダッシュパネル13の上端部に、カウル部材14が接合されている。カウル部材14の車幅方向両側の端部には、前後方向に延びる左右のエプロンレインメンバ19(図2に右側のエプロンレインメンバ19のみを記載)の後端部がそれぞれ連結されている。ダッシュパネル13の下端部には、車室12のフロアを構成するフロアパネル15が接合されている。このフロアパネル15の車幅方向中央部には、トンネル部15aが設けられている。
【0018】
左右のフロントサイドフレーム11の車幅方向外側には、ホイールハウスパネル(図示省略)及びサスペンションタワー18(図2に右側のサスペンションタワー18のみを記載)がそれぞれ設けられている。各ホイールハウスパネルは、前輪3の上側を覆うように円弧状に形成されて、その円弧内側にフロントホイールハウスを構成する。左右のサスペンションタワー18の下端部は、左右のフロントサイドフレーム11にそれぞれ固定され、左右のサスペンションタワー18の上端部は、左右のエプロンレインメンバ19にそれぞれ固定されている。
【0019】
左右のフロントサイドフレーム11の前端面には、クラッシュカン31がそれぞれ設けられ、これら左右のクラッシュカン31の前端面が、車幅方向に延びるバンパービーム32の左右両端部に固定されている。
【0020】
左右の前輪3は、左右のサスペンションアーム39(ロアアーム)を介して、左右のフロントサイドフレーム11の下側で車幅方向に延びかつ左右のフロントサイドフレーム11同士を連結するサスペンションクロスメンバ34(図6及び図7に一部を記載)に支持されている。左右のサスペンションアーム39の一端部(車幅方向外側の端部)に左右の前輪3がそれぞれ支持され、左右のサスペンションアーム39の他端部(車幅方向内側の端部)が、サスペンションクロスメンバ34の後側部分の左右両端部において上下方向に延びる軸40(図6参照)によりゴムブッシュを介してそれぞれ支持されている。また、図示は省略するが、左右のサスペンションアーム39の長手方向中間部が、前後方向に延びる軸によりゴムブッシュを介してサスペンションクロスメンバ34の前側部分の左右両端部にそれぞれ支持されている。
【0021】
車両1の左右両側の側部において、前輪3の後側には、左右のヒンジピラー61が上下方向に延びるようにそれぞれ設けられている。左右のヒンジピラー61(詳細には、後述のインナ部材61a)の前端部に、ダッシュパネル13の車幅方向両側の端部がそれぞれ連結されている。
【0022】
左右のヒンジピラー61の下端部には、前後方向に延びる左右のサイドシル62の前端部がそれぞれ連結されている。左右のヒンジピラー61の上端部には、前側に向かって下側に傾斜して延びる左右のフロントピラー63の下端部(前端部)がそれぞれ連結されている。
【0023】
尚、左側のヒンジピラー61、左側のサイドシル62、及び左側のフロントピラー63の図示は省略している。また、本実施形態に係る車体構造は左右対称(車両1の車幅方向中央を通る平面に対して対称)に構成されているため、以下では、基本的に、車両1の右側部分について、図面を参照して説明する。さらに、以下の説明で、左右両方に設けられている部材(後述のサイドシル補強部材65、ヒンジピラー補強部材66、及びダッシュレインフォースメント68を含む)については、断りのない限り、右側に設けられているものを指すものとする。
【0024】
ヒンジピラー61は、インナ部材61aと、インナ部材61aと共に閉断面を形成するアウタ部材61bと、インナ部材61a及びアウタ部材61bの間の閉断面内に設けられたレインフォースメント61cとで構成されている。サイドシル62も、同様に、インナ部材62aと、インナ部材62aと共に閉断面を形成するアウタ部材62bと、インナ部材62a及びアウタ部材62bの間の閉断面内に設けられたレインフォースメント62cとで構成されている。フロントピラー63も、同様に、インナ部材63aと、インナ部材63aと共に閉断面を形成するアウタ部材63bと、インナ部材63a及びアウタ部材63bの間の閉断面内に設けられたレインフォースメント63cとで構成されている。ヒンジピラー61のアウタ部材61bは、サイドシル62のアウタ部材62b及びフロントピラー63のアウタ部材63bと一体形成されている(図2参照)。
【0025】
サイドシル62のレインフォースメント62cの前側部分には、図2に示すように、前後方向に延びるサイドシル補強部材65が設けられている。このサイドシル補強部材65は、車両1の前面衝突時(特にスモールオーバーラップ衝突時)に前輪3が後退してヒンジピラー61に当接したときに、該前輪3の更なる後退を抑制する(すなわち、ヒンジピラー61の車両後側への変形を抑制する)ためのものである。
【0026】
図1及び図3に示すように、ヒンジピラー61の下端部(詳細には、ヒンジピラー61のインナ部材61aの車幅方向内側の面)には、ヒンジピラー61をサイドシル62に対して剛性連結するためのヒンジピラー補強部材66が設けられている。このヒンジピラー補強部材66は、ヒンジピラー61を、サイドシル62に対して、前後方向にも車幅方向にも倒れにくくするものであって、特に車幅方向内側に倒れにくくする。
【0027】
図4及び図5に示すように、ダッシュパネル13の前側の面(エンジンルーム2側の面)における下端部には、車幅方向に延びるダッシュクロスメンバ67が設けられている。尚、ダッシュクロスメンバ67の車幅方向中央部は、トンネル部15aに対応して上側に突出するように湾曲している。
【0028】
ダッシュクロスメンバ67は、ダッシュパネル13の前側の面に溶接により結合されている。ダッシュクロスメンバ67における車幅方向の両端部を除く部分の上下方向中央部には、前側に突出しかつ車幅方向に延びる突出部67aが形成されており、ダッシュクロスメンバ67における車幅方向の両端部を除く部分は断面ハット状に形成されている。ダッシュクロスメンバ67の車幅方向の両端部の下側部分は、前後方向から見て、左右のフロントサイドフレーム11の上側部分とそれぞれ重なっていて、ダッシュクロスメンバ67は左右のフロントサイドフレーム11にも結合されている。尚、図4では、左側のフロントサイドフレーム11の記載を省略しているとともに、後に説明するダッシュレインフォースメント68についても、左側のものは記載を省略している。
【0029】
ダッシュクロスメンバ67は、ダッシュパネル13の前側の面において左右のフロントサイドフレーム11の間に位置している。このため、ダッシュクロスメンバ67は、ヒンジピラー補強部材66に対して車幅方向に離れて設けられていることになる。尚、フロントサイドフレーム11は、ダッシュパネル13と同じ前後位置から後側において、後側に向かって下側に傾斜して延びている。
【0030】
また、ダッシュパネル13の前側の面におけるダッシュクロスメンバ67の車幅方向外側の部分には、車幅方向に延びるダッシュレインフォースメント68が設けられている。このダッシュレインフォースメント68も、ダッシュクロスメンバ67と同様に、ダッシュパネル13の前側の面に溶接により結合されている。ダッシュレインフォースメント68における車幅方向の両端部を除く部分の上下方向中央部には、前側に突出しかつ車幅方向に延びる突出部68aが形成されており、ダッシュレインフォースメント68における車幅方向の両端部を除く部分は断面ハット状に形成されている。
【0031】
フロントサイドフレーム11の車幅方向外側の面には、ダッシュパネル13の直ぐ前側の位置で車幅方向外側に突出するフランジ部11aが形成されている。ダッシュレインフォースメント68の車幅方向内側の端部は、フランジ部11aとダッシュパネル13とに挟持された状態で該フランジ部11a及びダッシュパネル13に結合されている。尚、ダッシュレインフォースメント68の車幅方向内側の端部は、ダッシュクロスメンバ67の長手方向の端部(ここでは、右側の端部)と車幅方向にオーバーラップするように位置している。
【0032】
ヒンジピラー補強部材66の前側の端部は、ダッシュパネル13を間に挟んで、ダッシュレインフォースメント68の車幅方向外側の端部と重なるように、ダッシュパネル13に結合されている。
【0033】
このようにダッシュレインフォースメント68は、前側から見てダッシュクロスメンバ67とヒンジピラー補強部材66との間で車幅方向に延びるように設けられている。これにより、ダッシュレインフォースメント68は、ヒンジピラー補強部材66に入力された車幅方向内向きの荷重を、ダッシュクロスメンバ67に伝達する荷重伝達部としての役割を有する。
【0034】
図6に示すように、車両1の前面におけるフロントサイドフレーム11よりも車幅方向外側の部分(ここでは、右側部分)と障害物71(図6及び図7参照)とが衝突する、いわゆるスモールオーバーラップ衝突が発生したとする。
【0035】
このスモールオーバーラップ衝突時に、前輪3は、障害物71によって、後側に後退する。このとき、サスペンションアーム39の長手方向中間部は、サスペンションクロスメンバ34から外れてサスペンションクロスメンバ34に支持されなくなる。これにより、前輪3が後退するに連れて、サスペンションアーム39が軸40を中心に回動して、最終的には、前輪3の後部が車幅方向内側に変位しようとする。
【0036】
そして、図7に示すように、前輪3のホイール3aがヒンジピラー61の前面に衝突したとき、ヒンジピラー61には、後向きの荷重に加えて、車幅方向内向きの荷重が作用する。後向きの荷重は、サイドシル補強部材65によって受け止められるので、ヒンジピラー61の後側への変形が抑制される。この抑制と、サスペンションアーム39が軸40を中心に回動することと相俟って、前輪3の後部がより一層車幅方向内側に変位する。このため、ヒンジピラー61には、車幅方向内向きの荷重がより一層大きく作用することになる。
【0037】
このようにヒンジピラー61に作用した車幅方向内向きの荷重は、ヒンジピラー補強部材66に入力される。このヒンジピラー補強部材66に入力された車幅方向内向きの荷重は、ヒンジピラー補強部材66からダッシュパネル13のダッシュレインフォースメント68を介してダッシュクロスメンバ67に伝達されて、該ダッシュクロスメンバ67で受け止められる。この結果、ヒンジピラー61の車幅方向内側への変形も抑制される。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態では、ヒンジピラー補強部材66に入力された車幅方向内向きの荷重をダッシュクロスメンバ67に伝達する荷重伝達部を、ダッシュレインフォースメント68で構成したが、これに限らず、ダッシュパネル13におけるヒンジピラー補強部材66とてダッシュクロスメンバ67との間の部分(上記実施形態で、ダッシュレインフォースメント68が設けられる部分)に、例えば、車幅方向に延びるビードを設けて、このビードにより、上記荷重伝達部を構成するようにしてもよい。
【0040】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、車両の側部において前輪の後側で上下方向に延びるように設けられたヒンジピラーを備えた車体構造に有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
3 前輪
13 ダッシュパネル
61 ヒンジピラー
62 サイドシル
65 サイドシル補強部材
66 ヒンジピラー補強部材
67 ダッシュクロスメンバ
68 ダッシュレインフォースメント
【要約】
【課題】車両の前面衝突時(特にスモールオーバーラップ衝突時)に、前輪がヒンジピラー61に衝突して、ヒンジピラー61に車幅方向内向きの荷重が入力されたとしても、ヒンジピラー61の車幅方向内側への変形を抑制する。
【解決手段】ダッシュパネル13にダッシュクロスメンバ67が車幅方向に延びるように設けられ、ヒンジピラー61の下端部に、該ヒンジピラー61をサイドシル62に対して剛性連結するためのヒンジピラー補強部材66が設けられ、ダッシュパネル13には、ヒンジピラー補強部材66に入力された車幅方向内向きの荷重を、ダッシュクロスメンバ67に伝達する荷重伝達部(ダッシュレインフォースメント68)が設けられている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7