特許第6471801号(P6471801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471801
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】ショットブラスト装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20190207BHJP
   B24C 3/18 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   B24C9/00 H
   B24C9/00 G
   B24C3/18
   B24C9/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-523085(P2017-523085)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2015079424
(87)【国際公開番号】WO2016199321
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2017年12月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-118279(P2015-118279)
(32)【優先日】2015年6月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔一
(72)【発明者】
【氏名】神山 拓哉
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−025986(JP,A)
【文献】 特開2011−224726(JP,A)
【文献】 特表平07−503665(JP,A)
【文献】 実開昭59−140164(JP,U)
【文献】 米国特許第06364748(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 9/00
B24C 3/00 − 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショットブラスト装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内に設けられ内部にワークを収容可能であり、搬入出位置と投射位置との間で選択的に移動可能な複数の処理室と、
前記処理室に外気を導入する給気口と、
前記投射位置に配置された処理室を挟んで前記給気口と対向する位置に設けられ、前記投射位置に配置された処理室内の空間と直線的に連通する排気口と、を備え、
前記排気口からの吸引により、前記給気口から前記投射位置にある処理室に流入した空気が、前記投射位置に配置された処理室を通り、前記排気口に導かれ
前記処理室に隣接して外気導入室が設けられ、
前記外気導入室は、前記仕切り板によって前記処理室と仕切られ、前記給気口と外気に連通する外気導入口とを有している、
ことを特徴とするショットブラスト装置。
【請求項2】
前記排気口が、前記投射位置に配置された処理室の中心領域を挟んで、前記給気口と対向する位置に設けられている、
請求項1に記載のショットブラスト装置。
【請求項3】
天井板と、底板と、前記処理室を形成するように前記天井板と底板とを連結する仕切り板とを備え前記キャビネット内で回転可能に配置された略円筒状のロータリハンガーを備え、
前記複数の処理室は、前記ロータリハンガーの周方向に離間している、
請求項1または2に記載のショットブラスト装置。
【請求項4】
前記複数の処理室は、所定の角度間隔で設けられている、
請求項3に記載のショットブラスト装置。
【請求項5】
前記給気口が、前記仕切り板に設けられている、
請求項に記載のショットブラスト装置。
【請求項6】
前記外気導入室は、上下方向に延び通気穴を備える分割板によって2つの小室に分割されている、
請求項に記載のショットブラスト装置。
【請求項7】
前記給気口は、前記外気導入室側から、前記仕切り板に取付けられたフードに覆われている、
請求項5または6に記載のショットブラスト装置。
【請求項8】
前記排気口に連通した集塵機を更に備えている、
請求項1ないしのいずれか1項に記載のショットブラスト装置。
【請求項9】
前記排気口がキャビネットの奥側に配置されたバケットエレベータに形成されている、
請求項1ないしのいずれか1項に記載のショットブラスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショットブラスト装置に関し、詳細には、ワークに投射材を投射するショットブラスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投射室に配置されたワークに投射材を投射してワークを加工するショットブラスト装置が知られている(特許文献1参照)。ショットブラスト装置では、投射室内でワークに投射材が衝突するため、必然的に、投射室内で大量の粉塵が発生する。このため、投射室内で発生した粉塵を、集塵装置によって集め、装置周囲の作業環境を維持している。
【0003】
このようショットブラスト装置として、例えば、図1、および図2に示されているような装置が一般に知られている。このショットブラスト装置は、キャビネット1と、キャビネット1内に設置されたロータリハンガー2とを備えている。ロータリハンガー2は、ワークを吊り下げ支持するハンガフックを備えている。
【0004】
ロータリハンガー2は、ドラム状(円筒状)の部材であり、径方向に対向した位置に配置された2つの処理室3a、3bと、各処理室内にワークを吊り下げるハンガフックとを備えている。ロータリハンガー2は、上下方向に延びる長手方向軸線を中心に間歇的に、矢印R1で示すように、回転可能に構成されている。
【0005】
この回転により、各処理室3a、3bが、ショットブラスト装置の装置手前側の搬入出位置と、装置奥側の投射位置との間を選択的に移動する。処理室は、搬入出位置では、ワークをショットブラスト装置に出し入れするための搬入出室3aとなり、投射位置では、ワークに投射材が投射される投射室3bとなる。
【0006】
このようなショットブラスト装置では、搬入出室3a内のハンガフックにワークをセットし、次いで、ロータリハンガー2を180度回転させ、ワークが配置された搬入出室3aを装置奥側に配置し、投射室3bとする。次いで、投射機を作動させ、投射室3b内に吊り下げられているワークに投射材を投射し、ショット処理を行う。
【0007】
このようなショットブラスト装置では、キャビネット1の天井の一側端奥側位置にキャビネット部吸引口4が設けられ、このキャビネット部吸引口4からキャビネット1内に外気が導入される。さらに、キャビネット1の奥側の幅方向中央に配置されたセパレータ5にも、セパレータ部吸引口6が設けられ外気が吸引される。そして、キャビネット部吸引口4およびセパレータ部吸引口6から導入された外気は、ダクト7、8を通って集塵機(図示せず)に流入する。
【0008】
このように、上記従来技術のショットブラスト装置では、吸引装置を備えた集塵機によって、投射室3内の空気から粉塵を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−329482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、上記ショットブラスト装置では、キャビネットへの外気供給口となるキャビネット吸引口4と、セパレータ部吸引口6は、いずれも、キャビネット奥側に設けられている。したがって、キャビネットの奥側のキャビネット吸引口4からキャビネット内に導入された外気、およびキャビネット1の奥側のセパレータ部吸引口6から吸引された外気は、図1に矢印で示すように、キャビネットの奥側(すなわち投射室より奥側)を流れ、いずれも、投射室を通過することなく、ダクト7、8を介してキャビネット(ショットブラスト装置)外に導出される。
【0011】
このように、キャビネット内に導入された外気の流路が、粉塵源となる投射室3を通らないため、投射室3内の粉塵を効果的に除去することができないという問題があった。
さらに、吸引口が2ケ所に設けられているため、集塵機に空気を吸引する吸引装置に大きな吸引力が必要とされ、その結果、集塵機に空気を吸引する吸引装置がサイズアップし、運転コスト、および価格が高くなるという問題があった。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、小型かつ低コストの吸引装置を備えた集塵機を用いながら、投射室内の集塵・換気を効率的に行なうことができるショットブラスト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、
ショットブラスト装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内に設けられ内部にワークを収容可能であり、装置手前側の搬入出位置と装置奥側の投射位置との間で選択的に移動可能な複数の処理室と、
前記処理室に外気を導入する給気口と、
前記投射位置に配置された処理室を挟んで前記給気口と対向する位置に設けられ、前記投射位置に配置された処理室内の空間と直線的に連通する排気口と、を備え、
前記排気口からの吸引により、前記給気口から前記投射位置にある処理室に流入した空気が、前記投射位置に配置された処理室を通り、前記排気口に導かれる、
ことを特徴とするショットブラスト装置が提供される。
【0014】
このような構成によれば、給気口から流れ込んだ外気が、確実に投射室を通って排気口に流れ込むので、投射室内の換気率を向上させることができる。
【0015】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記排気口が、前記投射位置に配置された処理室の中心領域を挟んで、前記給気口と対向する位置に設けられている。
【0016】
このような構成によれば、給気口から流れ込んだ外気が、確実に投射室の中心領域通って排気口に流れ込むので、投射室内の換気率をより向上させることができる。
【0017】
本発明の他の好ましい態様によれば、
天井板と、底板と、前記処理室を形成するように前記天井板と底板とを連結する仕切り板とを備え前記キャビネット内で回転可能に配置された略円筒状のロータリハンガーを備え、
前記複数の処理室は、前記ロータリハンガーの周方向に離間している。
【0018】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記複数の処理室は、所定の角度間隔で設けられている。
【0019】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記処理室に隣接して外気導入室が設けられ、
前記外気導入室は、前記仕切り板によって前記処理室と仕切られ、前記給気口と外気に連通する外気導入口とを有している。
【0020】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記給気口が、前記仕切り板に設けられている。
【0021】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記外気導入室は、上下方向に延び通気穴を備える分割板によって2つの小室に分割されている。
【0022】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記給気口は、前記外気導入室側から、前記仕切り板に取付けられたフードに覆われている。
【0023】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記排気口に連通した集塵機を更に備えている。
【0024】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記排気口がキャビネットの奥側に配置されたバケットエレベータに形成されている。
【0025】
このような構成によれば、排気に必要なダクトが減少し、ショットブラスト装置全体をコンパクト化にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、小型かつ低コストの吸引装置を備えた集塵機を用いながら、投射室内の集塵・換気を効率的に行なうことができるショットブラスト装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来技術のショットブラスト装置を示す水平断面図である。
図2図1のA−A線に沿った断面図である。
図3】本実施形態の実施形態のショットブラスト装置を示す水平断面図である。
図4図3のショットブラスト装置の要部の水平断面図である。
図5図4のB−B線に沿った断面図である。
図6図3のショットブラスト装置の正面図である。
図7図3のショットブラスト装置の右側面図である。
図8図3のショットブラスト装置の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に沿って、本発明の好ましい実施形態のショットブラスト装置を説明する。
図3は、本発明の好ましい実施形態のショットブラスト装置の水平断面図である。本実施形態のショットブラスト装置は、投射室に配置されたワークに投射材を投射し、ワークを加工するショットブラスト装置である。
【0029】
本実施形態のショットブラスト装置は、キャビネット10と、キャビネット10内に配置されたロータリハンガー11と、を備えている。ロータリハンガー11は、ドラム(円筒)状のロータリハンガーであり、長手方向中心軸線が上下に配向されるように配置されている。さらに、ロータリハンガー11は、回転駆動機構によって、長手方向軸線を中心として回転可能とされている。
【0030】
ロータリハンガー11の上端および下端には、天井板と底板とが取付けられている。また、ロータリハンガー11の円柱状の内部空間は、径方向且つ上下(軸線)方向に延びる仕切り板12a、12b、16によって、周方向に4分割されている。
【0031】
詳細には、ロータリハンガー11の円柱状の内部空間は、径方向に対向し略台形の断面を有する第1および第2の処理室13a、13bと、第1および第2の処理室13a、13bの間で第1および第2の処理室13a、13bに隣接して形成され扇形の断面を有する第1および第2の外気導入室17、18と、に分割されている。第1および第2の処理室13a、13b、第1および第2の外気導入室17、18は、何れも、ロータリハンガー11の全高にわたって上下方向に延びている。
【0032】
第1および第2の処理室13a、13bは、同一の断面形状を有し、第1および第2の外気導入室17、18も同一の断面形状を有している。したがって、第1および第2の処理室13a、13bは、所定の角度間隔で、詳細には、径方向に対向した位置に配置されている。
【0033】
第1および第2の処理室13a、13bは、ロータリハンガー11の径方向外方側の面に、壁を備えず、径方向外方に開放した形状を備えている。一方、第1および第2の外気導入室17、18は、ロータリハンガー11の径方向外方側の面も閉鎖されている。このため、第1および第2の外気導入室17、18は、後述する吸引口19、給気口22等を除き、閉鎖された空間となっている。
【0034】
上述したように、ロータリハンガー11は、回転駆動機構によって、長手方向軸線を中心として回転可能とされている。この結果、第1および第2の処理室13a、13bは、ロータリハンガー11の回転により、図4で第1の処理室13aが配置されている装置手前側(図4における下側)の位置(搬入出位置)と、図4で第2の処理室13bが配置されている装置奥側(図4における上側)の位置(投射位置)とに選択的に配置可能とされている。
【0035】
本実施形態のショットブラスト装置では、キャビネット1に、正面側の位置に配置された処理室13と連通する搬入出口14が形成され、この搬入出口14を通し、搬入出位置に配置された処理室13a(または13b)に対しワーク出し入れ作業を行うことができるように構成されている。
【0036】
また、ロータリハンガー11の天井板には、ワークに連結された治具を吊下げ支持するハンガフック(図示せず)が取付けられている。ハンガフックは、ワークを、第1および第2の処理室13a、13bの内部に吊り下げることができるように、第1および第2の処理室13a、13b内に配置されている。従来技術のハンガフックと同様、このハンガフックも垂直軸を中心に自転できるように構成されている。このような構成によって、キャビネット10の正面の搬入出口14を通して、処理室13a内のハンガフックに吊るされた治具に、ワークを取付けることができる。
【0037】
図3に示すように、キャビネット10の奥側には、投射装置23が配置されている。本実施形態のショットブラスト装置では、投射装置23は、公知の遠心投射装置であり、2台が上下に設けられている。投射装置23は、投射位置に配置された処理室13b(または13a)に配置されたワークに、投射材を投射してショットブラスト処理を行う。
【0038】
さらに、本実施形態のショットブラスト装置は、投射材の循環装置の一部を構成するバケットエレベータ25を備えている。循環装置は、投射装置23から投射された投射材を回収し、循環させて再利用する装置である。
【0039】
本実施形態のショットブラスト装置の循環装置は、図6図8に示すように、投射位置にある処理室13bの下方に配置されたスクリューコンベヤ26を備えている。このスクリューコンベヤ26は、内蔵されたスクリューが軸周りに回転することによって、投射位置に配置された処理室13bから下方に落下した投射材を、図6の右方向へ搬送する。スクリューコンベヤ26は、下流側の端部が、バケットエレベータ25の下部に接続され、搬送してきた投射材を、バケットエレベータ25に送り込むように構成されている。
【0040】
バケットエレベータ25は、四角柱状のケーシングと、ケーシング25内に配置されモータ27によって駆動される無端ゴムベルトとを備えている。無端ゴムベルトには、多数のバケットが取付けられている。バケットエレベータ25は、公知のバケットエレベータと同様に、スクリューコンベヤ26が搬送してきた使用済み投射材をバケットで掬い上げ、装置上部、すなわちキャビネット10の上部に搬送する。バケットエレベータ25によって上部に搬送された投射材は、シュートを介してショットタンク28に貯められ、開閉ゲート30を通って投射材導入パイプ29に送られ、投射装置23から再度、投射されることになる。
【0041】
また、ショットブラスト装置の上端部には、集塵機31、セパレータ等を備えた公知の異物分離装置が設けられている。セパレータでは、ブロワ32によって、投射材に混入した微粉などの異物が分離回収される。
【0042】
本実施形態のショットブラスト装置では、バケットエレベータ25が、下端部に設けられた吸引口(排気口)と、内部に設けられたブロア32への吸引通路とを備え、ブロア32の作動によって、バケットエレベータ25の下端部近傍の空気を吸引して集塵機31に送り、投射材の投射によって投射室内等で生成された粉塵を収集するように構成されている。
【0043】
一方、上述したように、第1および第2の処理室13a、13bの間には、扇形の横断面形状を有する第1および第2の外気導入室17、18が形成されている。これら第1の外気導入室17と第2の外気導入室18の各々は、径方向かつ上下方向に延びるように配置された分割板35、36によって、それぞれが第1の小室17a、17b及び第2の小室18a、18bに分割されている。
【0044】
分割板35、36の下部には、通気穴20が形成され、第1の小室17aと17b、第2の小室18aと18bは、この通気穴20を介して連通している。
【0045】
ロータリハンガー11を構成する天井板の第1の小室17a、18aを覆う部分には、外気と連通した吸引口(外気導入口)19が、それぞれ、形成されている。したがって、第1の小室17a、18aは、これら吸引口19を介して装置外の空間と連通することになる。
【0046】
天井板に吸引口19が形成されていない第2の小室17b、18bと、隣接する処理室13a、13bとの間の仕切り板12b、12aには、第2の小室17b、18bと隣接する処理室13a、13bとを連通させる上下に細長い長方形状の給気口22が、上下2箇所に、形成されている。
【0047】
第1および第2の処理室13a、13bは、これらの給気口22を介して、外気と連通する第2の小室17b、18bと連通することになる。すなわち、第1の小室17aまたは18aの天井板に形成された吸引口19を通って第1の小室17aまたは18aに流入した外気は、分割板35または36の通気穴20を通って第2の小室18aまたは18bに流入し、さらに、給気口22を通って、第1または第2の処理室13a、13bに流入することになる。
【0048】
各給気口22は、第2の小室17b、18b側からフード21に覆われている。フード21は、互いに平行に並列配置された直角三角形状の2枚の側板と、2枚の側板を連結する長方形状の底板とを備えている。長方形状の底板の幅は、給気口22の幅と略等しく、また、底板の長さは、給気口22の上下方向の長さより長い。
さらに、直角三角形状の側板の上下方向に延びる隣辺は、給気口22の上下方向の長さと略等しい長さを有している。
【0049】
フード21は、平行に配置された2枚の側板の斜辺部分に底板の両側縁が接合されることによって横断面コ字状に構成されている。
【0050】
2枚の側板の短い方の隣辺に挟まれた空間には、他の部分が配置されていない。したがって、2枚の側板の短い方の隣辺の間に、上方に向かって開口する開口部22aが形成される。この開口部22aを通して、第2の小室17bまたは18bと、第1または第2の処理室13a、13bとが連通する。
【0051】
一方、図5に示されているように、フード21の底板は、下端が、給気口22の下端に接続され、上方に向かって、仕切り板12b、12aから徐々に離れるように傾斜して、吸気口22の第2の小室17b、18b側に配置されている。この結果、フード21の底板が、給気口22から第2の小室17b、18b側に水平方向に離間して配置される。
【0052】
このようなフード21によって、第1または第2の処理室13a、13bから吸気口22を通って、第2の小室17b、18b側に飛び込んできた投射材が、第2の小室17b、18b内に侵入することが抑制される。
【0053】
また、第2の小室17b、18bと第1の小室17a、18aとの間は、分割板35、36によって仕切られているので、フード21の開口部22aを通り抜けて、第2の小室17b、18bに侵入した一部の投射材は、この分割板35、36によって、第1の小室17a、18aへの侵入することが更に抑制される。
【0054】
本実施形態のショットブラスト装置は、一方の処理室13a(13b)が投射位置に配置されたとき、この処理室13a(13b)に外気を導入する給気口22が、この処理室13a(13b)の中心領域を挟んで、バケットエレベータ25の下端部に形成された排気口と対向する位置に配置されるように構成されている。
【0055】
フード21は、上方に向かって開口する開口部分を備えているので、給気口22は、側方すなわち周方向にはフード21によって覆われるが、この開口部分を介して、処理室13a、13bと小室17b、18bとが連通される。
【0056】
給気口22の数は、2箇所に限定されず、例えば、4箇所であってもよい。
尚、フード21の側板の形状は、直角三角形状に限定はされず、その他の三角形状や矩形状等であっても良い。
【0057】
次に、このように構成されたショットブラスト装置の動作を説明する。
【0058】
まず、図示しない投射材投入口から投射材が投入され、操作盤34の操作によって集塵機31、スクリューコンベヤ26、バケットエレベータ25、投射装置23などのモータが起動され、投射材を装置全体に循環させる。投射材は、例えばSUS304系の投射材である。
【0059】
次いで、作業者が、キャビネット10の正面の搬入出口14から、搬入出位置に配置されている処理室13a(または13b)内に、ワークを配置する。具体的には、ワークは、ハンガフックに吊るされた治具に取付けられる。また、ワークは、例えばアルミダイカスト品である。
【0060】
次いで、ロータリハンガー11を、180度回転させ、ワークが配置された処理室13a(または13b)を、搬入出位置から装置奥側の投射位置に移動させる。次いで、ハンガフックを10〜15rpmの回転速度で自転させる。さらに、開閉ゲート30を開き、ショットタンク28に貯まっている投射材を、投射材導入パイプ29を介して投射装置23に送り込み、投射材をワークに投射する。
【0061】
図4に示されているように、処理室13bが投射位置に配置されると、ブロア32の吸引によって、バケットエレベータ25の下端部の吸引口(排気口)から、周囲の空気が吸引される。この結果、小室17aの天井板に形成された吸引口19から、第1の外気導入室17の小室17aに外気が吸引され、小室17aに吸引された外気は、図5に示すように、分割板35の下部の通気穴20から隣接する小室17bに流入し、空気流通用の給気口22から、第2の処理室13b内に斜め下向きに流れ込む。
【0062】
一方、第2の外気導入室18は、開口を有しない仕切り板12aによって、ブロアの吸引から隔絶されているので、吸引口19からは外気が吸引されない。
【0063】
図4に示すように、給気口22から処理室13b内に斜め下向きに流れ込んだ外気は、最も発塵が多く発生する処理室13bの中央領域を流れる。その後、外気はキャビネット10の奥部に形成されたバケットエレベータ25の下部の開口に吸い込まれ、バケットエレベータ25を通って、集塵機32に吸引される。このように、バケットエレベータ25内に存在する流路は吸引口19に対してキャビネット10の対角となる位置にあり、集塵機に通ずる吸引流路として利用される。なお、集塵機31で粉塵を除去された空気は、大気中に放出される。
【0064】
このように、投射位置に配置された処理室13bの中央領域を挟んで対向する位置に、給気口22と集塵機に通ずる吸引流路の入口を配置することにより、給気口22から供給された外気が流れる空気流路が、処理位置に配置された処理室13bの中心を通るようになり、従来に比べてはるかに優れた換気効率を得ることができる。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態のショットブラスト装置によれば、ロータリハンガー11の天井部に形成された吸引口19から吸引された空気の流路が、投射位置に配置された処理室13bの中央領域を通る構成としたので、投射室内の換気効率を向上させ、効率的な集塵を行なうことができる。
【0066】
また、外気の吸引口が一カ所であるので、出力が小さなブロア32で効率的に換気を行うことができ、装置の小型化が可能となる。
更に、バケットエレベータ25の内部が吸引流路として利用されるので、ダクト数も減少し、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0067】
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【符号の説明】
【0068】
10:キャビネット
11:ロータリハンガー
12a、12b、16:仕切り板
13a、13b:第1および第2の処理室
14:搬入出口
23:投射装置
25:バケットエレベータ
31:集塵機
32:ブロワ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8