(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記履行判定手段は、前記利用開始予定時刻までに前記利用者が前記駐車場に到着できるか否か及び前記利用終了予定時刻までに前記利用者が前記駐車場に到着できるか否かを判定する、請求項5に記載の駐車場予約管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態による施設予約管理システムの全体構成の概略を示している。
本実施形態による施設予約管理システムは、例えば、利用者が利用可能な駐車場及び専用の移動手段を有した施設に適用され、利用者による駐車場の予約及びその履行を管理する。前記施設は、多数の人が利用するものであればよく、特に制限されないが、代表的には、商業施設、レジャー施設、又は公共施設などが該当する。
なお、本実施形態において、施設利用者(以下単に「利用者」という)は、事前に施設の駐車場を予約しておき、当該施設まで自動車で移動すると共に当該自動車を予約した駐車場に駐車し、その後、駐車場から歩行で又は施設の移動手段を利用して施設内の目的場所(店舗、設備等)へと移動し、目的場所内を歩行で又は前記移動手段を利用して移動するものとする。
【0010】
図1に示すように、本実施形態による施設予約管理システム1は、前記施設に設置された複数の無線局2と、利用者の所持する情報通信端末3と、予約管理装置4と、を含む。
【0011】
複数の無線局2は、いわゆるアクセスポイント(AP)として機能する。複数の無線局2は、前記施設内の各地点が少なくとも一つの無線局2からの無線電波によってカバーされるように配置されている。好ましくは、複数の無線局2は、前記施設内の各地点が二つ以上(さらに好まくは、三つ以上)の無線局2からの無線電波によってカバーされるように配置されている。
【0012】
複数の無線局2は、基本的には前記施設内に配置されるのが好ましいが、その一部の無線局2が前記施設外に配置されてもよい。また、無線局2の個数や設置場所は、前記施設の形状や大きさ、前記施設内における店舗等の建物やこれに類する構造物などに応じて任意に設定される。例えば、図には示していないが、前記施設内にある前記建物や構造物などが複数階建てである場合には、当該建物や構造物などの各階に一つ以上の無線局2が設置される。
【0013】
情報通信端末3は、例えば、各種のセンサ類が搭載された、いわゆるスマートフォンなどの多機能携帯端末である。情報通信端末3は、各無線局2と無線通信が可能に構成されている。また、情報通信端末3は、ネットワーク通信機能を有しており、インターネットなどの公衆ネットワーク5を介して予約管理装置4との間で各種データの送受信が可能である。
【0014】
また、本実施形態において、情報通信端末3には、事前に所定のアプリケーションがインストールされており、この所定のアプリケーションの機能によって、情報通信端末3は、以下のような処理を実行するようになっている。
【0015】
すなわち、情報通信端末3は、複数の無線局2のうちの少なくとも一つの無線局2の通信範囲内(無線電波の到達範囲内)に入ると、無線局2からの無線電波を受信して当該無線局2との間で無線通信を確立する。そして、情報通信端末3は、少なくとも一つの無線局2との間で無線通信が確立されている間、換言すれば、情報通信端末3が全ての無線局2の通信範囲外に出るまでの間、各無線局2から受けた無線の電波強度を連続的又は断続的に測定し、その測定結果(以下「受信電波強度情報」という)を自身の識別情報とともに前記無線通信が確立されている無線局2へと送信する。
【0016】
また、情報通信端末3は、少なくとも一つの無線局2との間で無線通信が確立されている間、情報通信端末3を所持する利用者の行動に起因する情報(以下「行動情報」という)を連続的又は断続的に検出して自身の識別情報とともに前記無線通信が確立されている無線局2へと送信する。
ここで、無線局2と情報通信端末3との間の無線通信は、例えば無線LANによって行われるが、これに限るものではなく、WIMAX、Bluetooth(登録商標)、ZigBeeなどによって行われてもよい。すなわち、無線局2は、情報通信端末3との間で無線通信が可能に構成されていればよい。
【0017】
さらに、情報通信端末3は、予約管理装置4から送信される情報送信要求コマンド(後述する)を受信すると、自身の識別情報とともに、その位置情報及び前記行動情報を検出して予約管理装置4に送信する。
【0018】
ここで、情報通信端末3が無線局2から受けた無線の電波強度は、例えば、情報通信端末3に搭載されている受信強度測定回路によって測定(検出)される。また、前記行動情報は、情報通信端末3を所持する利用者の身体の揺れ、姿勢の変化、進行方向などに関する情報を含み、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気(方位)センサ、重力センサ、その他情報通信端末3に搭載された各種センサなどによって検出される。さらに、前記位置情報は、情報通信端末3の位置を特定可能な情報であり、代表的には、情報通信端末3に搭載されているGPSセンサによって検出されるGPS位置情報である。
【0019】
予約管理装置4は、例えば、前記施設内に設置されており、利用者から前記施設における前記駐車場の利用予約を受け付ける共に、当該利用者が予約を履行できるか否かを判定する。そして、その判定結果に応じて当該利用者に所定の問い合わせを行う。予約管理装置4は、各無線局2と通信可能に構成されていると共に、公衆ネットワーク5に接続されている。
【0020】
図2は、予約管理装置4の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、予約管理装置4は、予約サーバ41と、通信部42と、ネットワーク通信部43と、メモリ44と、制御部45と、を有する。
【0021】
予約サーバ41は、公衆ネットワーク5上に前記駐車場の予約に関するサイト又はホームページ(以下「予約サイト」という)を提供する。利用者は、前記予約サイトにアクセスして前記駐車場の利用予約を行うことができる。例えば、利用者は、自身の情報通信端末3を用いて公衆ネットワーク5を介して前記予約サイトにアクセスし、所定の予約情報を入力することによって前記駐車場の利用予約を行うことができる。
【0022】
ここで、前記予約サイトは、前記駐車場の空き状況を表示するように構成されており、前記予約サイトにアクセスした利用者は、表示された空き状況を確認しながら前記駐車場の利用予約を行うことができる。利用者は、前記駐車場の利用予約を行う際に、前記予約情報として、情報通信端末3の識別情報に関連付けられた利用者ID、情報通信端末3のメールアドレス、駐車場の利用日、駐車場の利用開始予定時刻及び駐車場の利用終了予定時刻などの情報を前記予約サイトに入力する。また、予約サーバ41は、利用者による前記駐車場の利用予約の際に、当該利用者の情報通信端末3のIPアドレスを取得する。このようにして、予約サーバ41は、利用者による前記駐車場の利用予約を受け付ける。そして、予約サーバ41は、利用者による前記駐車場の利用予約を受け付けると、入力された前記予約情報及び取得した情報通信端末3のIPアドレスを制御部45に出力する。
【0023】
通信部42は、各無線局2との間で無線又は有線通信を行うためのインターフェースである。通信部42は、利用者の所持する情報通信端末3が無線局2へと送信した自身の識別情報、前記受信電波強度情報、及び前記行動情報を、当該無線局2から受信する。通信部42で受信された情報通信端末3の識別情報、前記受信電波強度情報、及び前記行動情報は、制御部45へと転送される。
【0024】
ネットワーク通信部43は、公衆ネットワーク5を介して、他の装置との間でデータや電子メールを送受信するためのインターフェースである。本実施形態において、ネットワーク通信部43は、制御部45からの指示に基づいて情報送信要求コマンドや電子メールなどを所定の情報通信端末3に送信すると共に、情報通信端末3から送信された各種情報(情報通信端末3の識別情報、位置情報(GPS位置情報)、前記行動情報などを受信する。ネットワーク通信部43で受信された情報(情報通信端末3の識別情報、位置情報(GPS位置情報)及び前記行動情報など)は、制御部45に転送される。
【0025】
メモリ44は、複数のメモリ領域(図示省略)を有している。メモリ44には、予約管理装置4(特に、制御部45)が実施する制御に必要な各種データや各種プログラムが格納されている。また、メモリ44は、制御部45からの指示に基づいて所定の情報、例えば、通信部42やネットワーク通信部43から転送された情報を格納する。メモリ44は、これらの情報を情報通信端末3の識別情報に対応付けて格納される。したがって、制御部45等は、メモリ44内を参照することによって、各利用者(情報通信端末3)についての各種情報を確認することが可能である。
【0026】
制御部45は、予約サーバ41、通信部42、ネットワーク通信部43、及びメモリ44と通信線を介して接続されており、予約管理装置4における各種の動作及び処理を統括的に制御する。また、本実施形態において、制御部45は、空き状況管理部451と、位置検出部(位置検出手段)452と、行動検出部453と、履行判定部(履行判定手段)454と、問合せ部455(問合せ手段)と、を有している。
【0027】
空き状況管理部451は、メモリ44に格納された予約サーバ41からの入力情報に基づいて前記駐車場の空き状況を確認し、その結果を予約サーバ41に出力する。これにより、前記予約サイトには、前記駐車場の空き状況が表示される。
【0028】
位置検出部452は、利用者(情報通信端末3)の位置を検出する。位置検出部452は、基本的に、利用者が前記施設内にいる(情報通信端末3が前記施設内に位置している)場合には、通信部42から転送される前記受信電波強度情報に基づいて利用者の前記施設内における位置を検出し、利用者が前記施設外にいる(情報通信端末3が前記施設外に位置している)場合には、ネットワーク通信部43から転送される情報通信端末3の位置情報(GPS位置情報)に基づいて利用者の前記施設外における位置を検出する。但し、複数の無線局2の一部が前記施設外に設置されている場合など、無線局2と情報通信端末3とが無線通信を行える場合には、位置検出部452は、通信部42から転送される前記受信電波強度情報に基づいて利用者の前記施設外における位置を検出することもできる。
位置検出部452によって検出された利用者の位置(情報)は、当該利用者の所持する情報通信端末3の識別情報と関連付けられて履行判定部454に出力される。
【0029】
ここで、通信部42から転送される前記受信電波強度情報に基づく利用者の位置検出について説明する。かかる位置検出は、次のようにして行われる。
すなわち、複数の無線局2を適切に設置することによって、複数の無線局2からの無線の電波強度は前記施設内の各場所(各位置)で異なる情報、すなわち、各場所の固有情報となる。また、本実施形態において、メモリ44には、前記施設内の各場所における各無線局2からの無線の電波強度を示す電波強度マップが格納されている。そして、位置検出部452は、通信部42から転送される前記受信電波強度情報に基づいて前記電波強度マップを参照し、これにより、情報通信端末3(すなわち、利用者)が前記施設内のどこに位置しているか検出する。
【0030】
行動検出部453は、通信部42又はネットワーク通信部43から転送される前記行動情報に基づいて、前記施設内及び前記施設外における利用者の行動を検出する。なお、ここでは、情報通信端末3に搭載されている前記加速度センサの検出情報(以下「加速度情報」という)を前記行動情報として用いる場合について説明する。但し、これに限るものではなく、情報通信端末3に搭載されている他のセンサの検出情報(センサ情報)又は情報通信端末3の搭載されている複数のセンサの検出情報を前記行動情報として用いてもよい。また、センサの検出情報そのものではなく、センサの検出情報を情報通信端末3側で加工・処理(演算処理)した二次情報を前記行動情報として用いてもよい。この場合、情報通信端末3は、前記所定のアプリケーションの機能によって前記加工・処理(演算処理)を行う。
【0031】
図3は、行動検出部453の構成を示すブロック部である。
図3に示すように、本実施形態において、行動検出部453は、参照データベース4531と、特徴抽出部4532と、比較判定部4533と、を含む。
【0032】
参照データベース4531には、利用者の行動状態を示す各種の参照モデルが格納されている。本実施形態において、参照データベース4531には、利用者が歩行で移動中であることを示す第1移動モデル、利用者が自動車で移動中であることを示す第2移動モデル、利用者が前記移動手段で移動中であることを示す第3移動モデルが前記参照モデルとして格納されている。
【0033】
前記第1移動モデルは、例えば、歩行中の人が所持する情報通信端末3(又は加速度センサ)によって検出された加速度情報に共通する特徴を算出(抽出)することによって予め作成される。前記第2移動モデルは、例えば、自動車で移動中の人が所持する情報通信端末3(又は加速度センサ)によって検出された加速度情報に共通する特徴を算出(抽出)することによって予め作成される。前記第3移動モデルは、例えば、前記移動手段で移動中の人が所持する情報通信端末3(又は加速度センサ)によって検出された加速度情報に共通する特徴を算出(抽出)することによって予め作成される。
【0034】
前記第1〜第3移動モデルは、例えば、それぞれの状態に対応する複数の前記加速度情報からノイズ等を除去すると共に、情報通信端末3の向きなどに依存しない成分を抽出した上で統計的手法を用いて算出することができる。なお、
図4(a)は、前記第1移動モデル(歩行移動)の一例を示しており、
図4(b)は、前記第2移動モデル(自動車による移動)の一例を示しており、
図4(c)は、前記第3移動モデル(移動手段による移動)の一例を示している。
【0035】
特徴抽出部4532は、前記参照モデルの算出(抽出)に用いた方法と同様の方法によって、通信部42又はネットワーク通信部43から転送される前記加速度情報の特徴を情報通信端末3ごとに抽出する。
【0036】
比較判定部4532は、特徴抽出部332によって抽出された特徴と、参照データベース4531に格納されている各参照モデルとを比較し、情報通信端末3を所持する利用者の行動状態、すなわち、利用者が歩行中であるか、利用者が自動車による移動中であるか、前記移動手段による移動中であるかを判定(識別)する。これにより、利用者の行動状態が検出される。比較判定部4532の判定(識別)結果、すなわち、検出された利用者の行動状態は、当該利用者が所持する情報通信端末3の識別情報と関連付けて履行判定部454に出力される。
【0037】
履行判定部454は、位置検出部452によって検出された利用者(情報通信端末3)の位置及び行動検出部453によって検出された利用者の行動状態に基づいて、当該利用者による前記駐車場の利用予約の履行が可能であるか否かを判定する。具体的には、履行判定部454は、各利用者の位置(現在位置)及び行動状態に基づいて、各利用者が前記駐車場の前記利用開始予定時刻及び前記利用終了予定時刻までに予約の履行場所である前記駐車場に到着できるか否かを判定する。かかる判定は、前記利用開始予定時刻の所定時間前及び前記利用終了予定時刻の所定時間前のそれぞれで実施され、各利用者の位置及び行動状態に基づいて各利用者の現在位置から前記駐車場までの所要時間を演算し、演算された所要時間と予め設定された閾値とを比較することによって行う。そして、履行判定部454は、演算された所要時間が前記閾値以上である場合には、当該利用者による駐車場の利用予約の履行がなされない又は履行がなされないおそれがあると判定する。
【0038】
履行判定部454による前記所要時間の演算方法は、特に制限されないが、例えば、カーナビゲーション・システムにおける目的地までのルート検索及び目的地までの所要時間の予測と同様の方法によって各利用者の現在位置から前記駐車場までの所要時間を演算することができる。この場合において、履行判定部454は、利用者が前記施設内にいる場合には、予め作成された前記施設に関するマップ(施設マップ)を用いて各利用者の前記駐車場までのルート検索を行う。また、履行判定部454は、利用者の行動状態が歩行中である場合には、利用者の移動速度として予め設定した歩行用速度を用い、利用者の行動状態が前記移動手段による移動中である場合には、予め設定した前記移動手段用の速度を用いて前記所要時間の演算(予測)を行う。
【0039】
問合せ部455は、履行判定部454が利用者による前記駐車場の利用予約の履行がなされない又は履行がなされないおそれがあると判定した場合に、当該利用者への問合せ情報を生成し、ネットワーク通信部43を介して当該利用者の所持する情報通信端末3に送信する。前記問合せ情報は、利用者に対して、前記駐車場の利用予約をキャンセルするか否か、及び/又は、前記駐車場の利用予約を変更するか否かを問い合わせるものであり、例えば、電子メールやメッセージとして作成される。
【0040】
なお、本実施形態における前記駐車場の利用予約の変更は、主に、前記利用開始予定時刻を変更(遅延)すること及び前記利用終了予定時刻を変更(遅延)することであり、前記問合せ情報には、利用者が選択可能な複数の遅延時間が含まれている。
【0041】
一方、前記問合せ情報を受信した利用者は、前記駐車場の利用予約をキャンセルする旨又は前記駐車場の利用予約を変更する旨を、当該問合せ情報に対する返信にて回答することができる。また、前記駐車場の利用予約の変更の場合には、利用者は、前記回答において、前記利用開始予定時刻又は前記利用終了予定時刻の遅延時間を前記問合せ情報に含まれた前記複数の遅延時間の中から選択することができる。
【0042】
より具体的には、問合せ部455は、履行判定部454によって利用者が前記利用開始予定時刻までに前記駐車場に到着できない又は到達できないおそれがあると判定された場合には、前記駐車場の利用予約のキャンセル又は前記利用開始予定時刻の変更を問い合わせる問合せ情報(以下「第1問合せ情報」という)を生成して当該利用者の情報通信端末3に送信する。
【0043】
また、問合せ部455は、履行判定部454によって利用者が前記利用終了予定時刻までに前記駐車場に到着できない又は到達できないおそれがあると判定された場合には、前記利用終了予定時刻の変更を問い合わせる問合せ情報(以下「第2問合せ情報」という)を生成して当該利用者の情報通信端末3に送信する。
【0044】
さらに、問合せ部455は、前記問合せ情報(前記第1、第2問合せ情報)に対する利用者の回答の有無及び回答の内容に応じて、以下のような処理を実施する。
例えば、問合せ部455は、前記第1問合せ情報に対する利用者の回答が前記駐車場の利用予約のキャンセルである場合や前記第1問合せ情報に対する利用者の回答がない場合には、当該利用者による駐車場の利用予約をキャンセルする。この場合、問合せ部455は、メモリ44に格納されている当該利用者の前記駐車場の利用予約に関する情報を削除する。また、当該利用者が前記駐車場の利用予約をキャンセルしたことを示す情報をメモリ44に格納する。
【0045】
問合せ部455は、前記第1問合せ情報に対する利用者の回答が前記利用開始予定時刻の変更である場合には、当該利用者によって選択された遅延時間(以下「第1遅延時間」という)だけ前記利用開始予定時間を遅らせる。この場合、問合せ部455は、メモリ44に格納されている当該利用者の前記利用開始予定時刻を、前記第1遅延時間だけ遅らせた時刻に書き換える。
【0046】
問合せ部455は、前記第2問合せ情報に対する利用者の回答が前記利用終了予定時刻の変更である場合には、当該利用者によって選択された遅延時間(以下「第2遅延時間」という)だけ前記利用終了予定時刻を遅らせる。この場合、問合せ部455は、メモリ44に格納されている当該利用者の前記利用終了予定時刻を、前記第2遅延時間だけ遅らせた時刻に書き換える。
【0047】
問合せ部455は、前記第2問合せ情報に対する利用者の回答がない場合には、当該利用者の前記利用終了予定時刻を予め設定された遅延時間(以下「第3遅延時間」という)だけ遅らせる。この場合、問合せ部455は、メモリ44に格納されている当該利用者の前記利用終了予定時刻を、前記第3遅延時間だけ遅らせた時刻に書き換える。なお、前記第3遅延時間は、利用者によって選択可能なように前記第2問合せ情報に含まれた複数の遅延時間のうち最長の遅延時間よりも長い時間に設定される。
【0048】
図5、6は、予約管理装置4が実施する処理の例を示すフローチャートである。
図5は、予約管理装置4が、前記駐車場の利用予約を行った各利用者についてその利用開始予定時刻の第1所定時間(例えば30分)前に実施する処理の一例を示している。なお、ここでは利用者Aに対して実施する処理について説明する。
【0049】
図5において、ステップS1では、前記情報送信要求コマンドを利用者Aの所持する情報通信端末3に送信する。この情報送信要求コマンドの送信には、利用者Aの所持する情報通信端末3のIPアドレス又はメールアドレスを用いることができる。
【0050】
ステップS2では、利用者Aの所持する情報通信端末3から前記位置情報(GPS位置情報)及び前記行動情報(加速度情報)を受信したか否かを判定する。前記位置情報及び前記行動情報を受信すればステップS3に進む。一方、一定時間が経過しても前記位置情報及び前記行動情報を受信しなければステップS11に進む。
【0051】
ステップS3では、ステップS2で受信した前記位置情報及び前記行動情報に基づいて利用者Aの現在位置及び行動状態を把握する。なお、ここで把握される行動状態は、ほとんどの場合、自動車で移動中である(但し、歩行中の場合もあり得る)。
ステップS4では、ステップS3で把握した利用者Aの現在位置及び行動状態に基づいて利用者Aが現在位置から前記駐車場に移動するまでに要する所要時間を演算(推定)する。
【0052】
以上のステップS1〜S4の処理により、利用者Aが前記駐車場に到着するまでの所要時間が演算される。なお、かかる所要時間の演算において、通常、利用者Aは自動車で移動中であると考えられるので、簡易的には、利用者Aの所持する情報通信端末3からは前記位置情報(GPS位置情報)のみを受信するようにしてもよい。
【0053】
ステップS5では、ステップS4で演算(推定)した前記所要時間が第1閾値以上であるか否かを判定する。前記所要時間≧前記第1閾値であればステップS6に進み、前記所要時間<前記第1閾値であれば本フローを終了する。前記第1閾値は、例えば、前記第1所定時間と同じかそれよりもやや長い時間として設定される。前記所要時間が前記第1閾値以上の場合、利用者Aによる前記駐車場の利用予約(前記利用開始所定時刻)の履行がなされない又は履行がなされないおそれがあると判定される。
【0054】
ステップS6では、利用者Aに対する前記第1問合せ情報を生成する。
ステップS7では、ステップS6で生成した前記第1問合せ情報を利用者Aの所持する情報通信端末3に送信する。この第1問合せ情報の送信には、利用者Aの所持する情報通信端末3のメールアドレスを用いることができる。上述のように、前記第1問合せ情報は、利用者Aに前記駐車場の利用予約をキャンセルするか又は前記利用開始予定時刻を変更するかを問い合わせるものであり、利用者Aは、前記第1問合せ情報に対して「キャンセル」又は「変更」を選択的に回答(返信)することができ、「変更」の場合には、前記第1問合せ情報に含まれた複数の遅延時間のいずれかを選択することができる。
【0055】
ステップS8では、前記第1問合せ情報に対する利用者Aからの回答を受信したか否かを判定する。利用者Aからの回答を受信すればステップS10に進む。一方、前記第1問合せ情報を送信してから一定時間が経過しても利用者Aからの回答を受信しなければステップS11に進む(ステップS8→ステップS9→ステップS11)。なお、前記一定時間が経過するまでの間に、再度、前記第1問合せ情報を送信してもよい。
【0056】
ステップS10では、利用者Aからの回答が「キャンセル」であるか否かを判定し、「キャンセル」であればステップS11に進む。一方、利用者Aからの回答が「キャンセル」でない場合、すなわち、「変更」である場合には、ステップS12に進む。
ステップS11では、利用者Aによる前記駐車場の利用予約をキャンセルする。
ステップS12では、利用者Aの前記利用開始予定時刻を、前記第1遅延時間、すなわち、利用者によって選択された遅延時間だけ遅らせる。
【0057】
ここで、前記位置情報及び前記行動情報を受信できなかった場合(ステップS2→S11)、及び/又は、ステップS3で把握された利用者Aの行動状態が自動車で移動中でなかった場合には、所定の待機時間(例えば5分)が経過した後に、再度本フローを実施するようにしてもよい。この再実施におけるステップS5では、ステップS4で演算(推定)した所要時間が「前記第1閾値−前記待機時間」以上であるか否かを判定する。
【0058】
図6は、予約管理装置4が、前記駐車場の利用予約を行った各利用者についてその利用終了予定時刻の第2所定時間(例えば10分)前に実施する処理の一例を示している。なお、前記第2所定時間は、通常、前記第1所定時間よりも短い時間に設定される。
図5と同様に、ここでは利用者Aに対して実施する処理について説明する。
【0059】
図6において、ステップ21では、利用者Aが前記施設内にいるか否かを判定する。かかる判定は、利用者Aの所持する情報通信端末3から前記受信電波強度情報及び前記行動情報(加速度情報)を受信しているか否かによって行う。すなわち、利用者Aの所持する情報通信端末3から前記受信電波強度情報及び前記行動情報を受信していれば利用者Aは前記施設内にいると判定し、受信していなければ利用者Aは前記施設内にいないと判定する。そして、利用者Aが前記施設内にいればステップS22に進み、利用者Aが前記施設内にいなければステップS30に進む。
【0060】
ステップS22では、ステップS21で受信した前記受信電波強度情報及び前記行動情報に基づいて、利用者Aの前記施設内における現在位置及び行動状態を把握する。ここで把握される行動状態は、ほとんどの場合、歩行中又は前記移動手段による移動中である。
ステップS23では、ステップS22で把握した利用者Aの前記施設内における現在位置及び行動状態に基づいて利用者Aが現在位置から前記駐車場に移動するまでに要する所要時間を演算(推定)する。
【0061】
ステップS24では、ステップS23で演算(推定)した前記所要時間が第2閾値以上であるか否かを判定する。前記所要時間≧前記第2閾値であればステップS25に進み、前記所要時間<前記第2閾値であれば本フローを終了する。前記第2閾値は、前記第2所定時間と同じかそれよりもやや長い時間として設定される。前記所要時間が前記第2閾値以上の場合には、利用者Aによる前記駐車場の利用予約(前記利用終了予定時刻)の履行がなされない又は履行がなされないおそれがあると判定される。
【0062】
ステップS25では、利用者Aに対する前記第2問合せ情報を生成する。
ステップS26では、ステップS25で生成した前記第2問合せ情報を利用者Aの所持する情報通信端末3に送信する。前記第1問合せ情報の送信と同様に、この第2問合せ情報の送信には、利用者Aの所持する情報通信端末3のメールアドレスを用いることができる。上述のように、前記第2問合せ情報は、利用者Aに前記利用開始予定時刻の変更を問い合わせるものであり、利用者Aは、前記第2問合せ情報に対して、そこに含まれた複数の遅延時間のいずれかを選択して回答することができる。
【0063】
ステップS27では、前記第2問合せ情報に対する利用者Aからの回答を受信したか否かを判定する。利用者Aからの回答を受信すればステップS29に進む。一方、前記第2問合せ情報を送信してから一定時間が経過しても利用者Aからの回答を受信しなければステップS30に進む(ステップS27→ステップS28→ステップS30)。なお、前記一定時間が経過するまでの間に、再度、前記第2問合せ情報を送信してもよい。
【0064】
ステップS29では、利用者Aの前記利用終了予定時刻を、前記第2遅延時間、すなわち、利用者によって選択された遅延時間だけ遅らせる。
ステップS30では、利用者Aの前記利用終了予定時刻を、前記第3遅延時間(>前記第2遅延時間)だけ遅らせる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態による施設予約管理システム1は、利用者による前記施設の前記駐車場の利用予約を受け付けると共に(予約サーバ41)、利用者の所持する情報通信端末3からの情報(前記位置情報、前記受信電波強度情報、前記行動情報)に基づいて利用者の位置及び行動を検出し(位置検出部452,行動検出部453)、検出した利用者の位置及び行動に基づいて当該利用者による前記施設の前記駐車場の利用予約の履行がなされるか否かを判定する(履行判定部454)。このため、利用者が現在位置から前記駐車場に到着するまでに要する所要時間の予測精度が向上し、利用者による前記駐車場の利用予約の履行がなされるか否かを精度よく判定することができる。
【0066】
また、施設予約管理システム1は、利用者による前記駐車場の利用予約の履行がなされない又は履行がなされないおそれがある場合には、当該利用者に対して前記利用予約のキャンセル又は変更を問い合わせるための前記問合せ情報を当該利用者の所持する情報通信端末3に送信する(問合せ部455)。これにより、前記利用予約の履行をできない又はそのおそれがあることを事前に利用者に知らせることができると共に、問い合せに対する利用者からの回答に応じて事前に前記利用予約のキャンセル又は変更を行うことが可能となる。
【0067】
また、施設予約管理システム1は、利用者の所持する情報通信端末3が前記施設に設置された複数の無線局2の少なくとも一つから受けた無線の電波強度(前記受信電波強度情報)に基づいて当該利用者の位置を検出する(位置検出部452)。このため、利用者の前記施設内における位置(前記施設外における位置を含む場合もある)を精度よく検出することができ、利用者による前記駐車場の利用予約の履行がなされるか否か、特に、前記利用終了予定時刻までの前記駐車場の利用を終了するか否かを精度よく判定することができる。
【0068】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形や変更が可能である。
【0069】
例えば、上述の実施形態において、問合せ部455は、利用者が前記利用開始予定時刻までに前記駐車場に到着できない又は到達できないおそれがある場合に、前記駐車場の利用予約のキャンセル又は前記利用開始予定時刻の変更を問い合わせる前記第1問合せ情報を生成して当該利用者の情報通信端末3に送信している。しかし、これに限るものではなく、施設予約管理システム1が、複数の駐車場についての利用予約及びその履行を管理するような場合には、問合せ部455は、前記第1問合せ情報に駐車場(すなわち、予約の履行場所)の変更の問合せを含ませるようにしてもよい。この場合、利用者は、駐車場の利用予約を行う際に、前記複数の駐車場のいずれかを特定する情報を前記予約サイトに入力するように構成する。また、好ましくは、前記第1問合せ情報に、変更先の駐車場を含ませておき、その返信において、利用者が当該変更先の駐車場を利用するか否かを回答できるようにしておく。
【0070】
また、上述の実施形態では、施設内の駐車場の利用予約を対象としているが、駐車場以外の利用予約、例えば施設内のレストランの予約を対象とすることもできる。この場合、利用終了予定時刻についてはほとんど考慮する必要がないので、
図5に示す処理のみを実施すればよい。但し、通常は、利用者が施設内にいることが想定されるので、
図5に示す処理に代えて、
図6に示す処理を「利用開始予定時刻」の所定時間前(前記第2所定時間としてもよい)に実施するようにしてもよい。このように
図6を示す処理を、利用終了予定時刻の前ではなく、利用開始予定時刻の前に実施する場合には、ステップS30において利用者の利用予約をキャンセルするようにしてもよい。
【0071】
さらに、上述の実施形態において、予約管理装置4は、前記駐車場の利用予約を行った各利用者について、その利用終了予定時刻の第2所定時間前に前記駐車場の利用予約(前記利用終了予定時刻)の履行がなされるか否かを判定している(
図6参照)。しかし、これに限るものではなく、予約管理装置4は、かかる判定処理に代えて、例えば、次のような処理を実施するようにしてもよい。
予約管理装置4は、各利用者についてその利用終了予定時刻の第3所定時間(>前記第2所定時間、例えば30分)前になったら、各利用者の前記施設内における現在位置及び行動状態の把握を開始して、各利用者が前記駐車場に移動するまでに要する所要時間を継続的に演算する。そして、予約管理装置4は、演算した所要時間をそのときの時刻(現在時刻)に加算して得られる時刻(駐車場到着予測時刻)が、前記利用終了予定時刻を越えるおそれがある場合にはそのことを知らせる通知を生成して利用者の情報通信端末3に送信する。また、予約管理装置4は、前記得られた駐車場予測時刻が、前記利用終了予定時刻を越える場合には前記第2問合せ情報を生成して利用者の情報通信端末3に送信する。ここで、前記利用終了予定時刻を越えるおそれがある場合とは、前記得られた時刻(駐車場到着予測時刻)が前記利用終了予定時刻の所定時間(例えば、5分)前の時刻を越える場合をいう。
【0072】
さらに、予約管理装置4は、各利用者による前記駐車場の利用開始時に各利用者が自動車を駐車させた駐車位置を検出し、各利用者が当該駐車位置に移動するまでに要する所要時間を演算して前記駐車場の利用予約(前記利用終了予定時刻)の履行がなされるか否かを判定してもよい。このようにすると、前記利用終了予定時刻の履行がなされるか否かをより精度よく判定することができる。この場合、予約管理装置4は、駐車位置検出部をさらに有し、当該駐車位置検出部は、位置検出部452によって検出された利用者の前記駐車場内における位置と、行動検出部453によって検出された利用者の前記駐車場内における行動とに基づいて前記駐車位置を検出する。例えば、前記駐車位置検出部は、前記駐車場内において、利用者の行動状態が自動車による移動中から歩行中に変化した位置を前記駐車位置として検出することができる。もちろん、参照データベース4531に、降車を示す参照モデルを格納しておき、行動検出部453が利用者の行動状態として降車を検出してもよい。
【0073】
さらにまた、上述の実施形態では、施設内の駐車場の利用予約を対象としているが、一般的な駐車場の利用予約を対象としてもよい。この場合、行動検出部453の参照データベース4531には、当該駐車場の利用者が自動車を駐車させた後にとり得る行動状態を示す各種の参照モデルを格納しておく。例えば、利用者が歩行で移動中であることを示す前記第1移動モデルや利用者が公共交通機関で移動中であることを示す移動モデルを前記参照モデルとして参照データベース4531に格納しておく。
そして、予約管理装置4は、前記利用開始予定時刻の前記第1所定時間前に
図5に示す処理を実施すると共に、前記利用終了予定時刻の前記第1所定時間前に、
図6に示す処理に代えて、例えば
図7に示す処理を実施する。
【0074】
図7において、ステップS41では、
図5のステップS1と同様、前記情報送信要求コマンドを利用者Aの所持する情報通信端末3に送信する。
ステップS42では、
図5のステップS2と同様、利用者Aの所持する情報通信端末3から前記位置情報(GPS位置情報)及び前記行動情報(加速度情報)を受信したか否かを判定する。前記位置情報及び前記行動情報を受信すればステップS43に進む。一方、一定時間が経過しても前記位置情報及び前記行動情報を受信しなければステップS51に進む。
【0075】
ステップS43では、ステップS42で受信した前記位置情報及び前記行動情報に基づいて利用者Aの現在位置及び行動状態を把握する。
ステップS44では、ステップS43で把握した利用者Aの現在位置及び行動状態に基づいて利用者Aが現在位置から前記駐車場に移動するまでに要する所要時間を演算(推定)する。
なお、その後のステップS46〜S52の処理は、
図6のステップS24〜S30と同様である。また、前記位置情報及び前記行動情報を受信できなかった場合(ステップS42→S51)には、所定の待機時間(例えば5分)が経過した後に、再度本フローを実施するようにしてもよく、この再実施におけるステップS45では、ステップS44で演算(推定)した所要時間が「前記第2閾値−前記待機時間」以上であるか否かを判定する。