特許第6472004号(P6472004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6472004コアシェル型金属ナノ粒子及びコアシェル型金属ナノ粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472004
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】コアシェル型金属ナノ粒子及びコアシェル型金属ナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/44 20060101AFI20190207BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20190207BHJP
   B01J 35/08 20060101ALI20190207BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20190207BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20190207BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20190207BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20190207BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20190207BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20190207BHJP
   H01M 4/92 20060101ALN20190207BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20190207BHJP
【FI】
   B01J23/44 MZNM
   B01J35/02 H
   B01J35/08 B
   H01M4/88 Z
   B82Y30/00
   B82Y40/00
   B22F9/00 A
   B22F1/02 A
   B22F1/00 K
   !H01M4/92
   !H01M8/10
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-32003(P2016-32003)
(22)【出願日】2016年2月23日
(65)【公開番号】特開2017-148708(P2017-148708A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年3月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年9月11日、北海道大学札幌キャンパスにて開催された化学工学会第47回秋季大会にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年8月26日、化学工学会第47回秋季大会webサイトにて公表 URL:http://www3.scej.org/meeting/47f/abst/A303.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】591020423
【氏名又は名称】株式会社新光化学工業所
(73)【特許権者】
【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
(72)【発明者】
【氏名】小林 芳男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 正尭
(72)【発明者】
【氏名】甲田 秀和
(72)【発明者】
【氏名】国上 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】國上 溥
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−398(JP,A)
【文献】 特開2015−213036(JP,A)
【文献】 特開2014−18796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B22F 1/00− 9/30
B82Y 5/00−99/00
C22C 1/04− 1/05
C22C 33/02
H01M 4/86− 4/98
H01M 8/00− 8/0297
H01M 8/08− 8/2495
DWPI(Derwent Innovation)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウム(Pd)コア・白金(Pt)シェルのコアシェル型金属ナノ粒子の製造工程において、Pd粒子を合成後に、前記合成液にエバポレーションを行い、その後溶液を加えて超音波分散を少なくとも1回行って形成したコア粒子を担体に担持させ、前記担体に担持させたコア粒子に白金シェルを形成させることを特徴とするコアシェル型金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
パラジウム(Pd)コア・白金(Pt)シェルのコアシェル型金属ナノ粒子の製造工程において、Pd粒子を合成後に、Pdコアの周囲にPtシェルを形成し、その後前記合成液にエバポレーションを行い、その後前記コアシェル粒子に溶液を加えて超音波分散を少なくとも1回行って形成したコアシェル粒子を担体に担持させたことを特徴とするコアシェル型金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
少なくとも1組の多核化したパラジウム(Pd)コア粒子と、前記Pdコア粒子を担持する担体と、前記担体に担持されたPdコア粒子の周囲に形成した白金(Pt)シェルを有することを特徴とするコアシェル型金属ナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコアシェル型金属ナノ粒子とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年粒子サイズが100nm以下の金属ナノ粒子が、同種のバルク金属が有する物性とは異なる物性を有したり、体積に比してきわめて大きな表面積を有していたりするなど、その有するナノ粒子特有の特徴の活用に大きな期待が集まり、触媒を始め、工業分野における利用可能性が期待され、多くの改善が提案されている。白金などの貴金属を利用する活用分野では体積に対する表面積の大きさに注目され、触媒への利用が進められている。
【0003】
貴金属のナノ粒子を工業利用する場合、その性能の高さに期待が集まると同時に、コストが高いことが問題になる。例えば白金を使用していた触媒のための物質として白金を代替する物質の発明を試みたり、白金の使用量を減らすなど、コスト低減が期待されている。
【0004】
特許文献1には、自動車の排ガス浄化用触媒に用いられるシリカ(酸化ケイ素)(SiO)粉末、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等に担持させた白金が記載されている。白金を浸漬で担持させている。
【0005】
特許文献2には、色素増感太陽電池等の光電変換素子の正極材料用に、酸化チタンナノチューブや酸化チタン微粒子に担持させた白金ナノ粒子が記載されている。白金ナノ粒子は白金微粒子前駆体を特に制限されない還元剤を用いて還元したものを用いている。白金を一種類の還元剤を用いて担持させている。
【0006】
白金微粒子触媒の性能改善がとりわけ期待されているのが固体高分子燃料電池の正極である。正極では酸素分子が還元されて水に変化する反応が起こる。
【0007】
白金微粒子触媒の性能は評価されているが、コストが高いこともあり、白金の使用量を減らすための多くの試みがなされている。その一つとして、パラジウム(Pd)ナノ粒子をコアとして、その周囲に白金(Pt)ナノ粒子をシェルとして配置するコアシェル型のPdPtナノ粒子の研究が行われている。
【0008】
しかし、コアシェル型のPdPtナノ粒子の核となるPdナノ粒子の形状が単純形状になることが多いこと、Ptシェル層が均一に形成しにくいこと、PdPtナノ粒子の触媒性能を高める工夫が充分なされているとは言えないことなど、工業的観点から、その性能を高めること、製造コストを低減することなど改善が必要なことが多いのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−112961号公報
【特許文献2】特開2012−214373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の事情に鑑み、本発明の解決すべき課題の一つは、電池用触媒などに用いる触媒として、白金とは異なる素材の微粒子を下地粒子として、下地粒子の表面積を多くし、その周囲をできるだけ均一な触媒効果の大きいナノ粒子で被覆し、高い触媒効果を発揮できる、コアシェル型金属ナノ粒子とその製造方法を提供することにある。シェルとしての触媒ナノ粒子としては、たとえば、白金が特に望ましく、シェルとして白金を用いた場合は、下地としてたとえばパラジウムを用いることが好ましいが、これに狭く限定されず、たとえば、パラジウムコア白金シェルのコアシェルナノ粒子をカーボンのような担体に担持させて触媒効果を上げることも本発明の課題である。
【0011】
本発明の解決すべき課題の一つは、触媒効果の大きいコアシェル型ナノ粒子を安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
課題を解決するためになされた本発明の第1の発明(以下、発明1という)は、金属ナノ粒子の生成工程に,生成したナノ粒子の製造工程の一部としてエバポレーション工程を含むことを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0013】
発明1を展開してなされた本発明の第2の発明(以下、発明2という)は、発明1に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、金属ナノ粒子がコアシェル型ナノ粒子であることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0014】
発明1または2を展開してなされた本発明の第3の発明(以下、発明3という)は、発明
1または2に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、金属ナノ粒子がPdとPtの少なくとも一方を含むことを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0015】
発明3を展開してなされた本発明の第4の発明(以下、発明4という)は、発明3に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、金属ナノ粒子がPdPtコアシェル型ナノ粒子であることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0016】
発明4を展開してなされた本発明の第5の発明(以下、発明5という)は、発明4に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、エバポレーション工程を入れるのがPdコアナノ粒子を形成した後でPtシェルナノ粒子を形成する前の製造工程であることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0017】
発明4または5を展開してなされた本発明の第6の発明(以下、発明6という)は、発明
4または5に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、エバポレーション工程を入れるのが、Ptシェルナノ粒子を形成する後の製造工程であることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0018】
発明4〜6を展開してなされた本発明の第7の発明(以下、発明7という)は、発明4〜6のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、Pdナノ粒子を担体に担持させるのが、Pdコアナノ粒子を形成した後であることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0019】
発明7を展開してなされた本発明の第8の発明(以下、発明8という)は、発明7に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、Pdナノ粒子を担体に担持させるのが、PdPtコアシェルナノ粒子を形成した後であることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【0020】
課題を解決するためになされた本発明の第9の発明(以下、発明9という)は、多核化したナノ粒子を含むことを特徴とするコアシェル型金属ナノ粒子である。
【0021】
発明9を展開してなされた本発明の第10の発明(発明10という)は、発明9に記載のコアシェル型金属ナノ粒子において、少なくとも1組の前記多核化したコアシェル型金属ナノ粒子の接する部分の間にシェルを形成する元素が存在することを特徴とするコアシェル型金属ナノ粒子である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ナノレベルで作製したコア粒子及び/またはコアシェル粒子を複数個集合させ、コアシェルナノ粒子の触媒効果を発揮させるので、単核の場合よりも触媒効果が大きく、たとえば、白金に代表される触媒ナノ粒子を、その効果を遜色ないレベルで維持し、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】Pd分散液の作製手順の例を示す図である。
図2】PdPtナノ粒子の作製手順を説明する図である。
図3】エバポレーション前のPdPtナノ粒子のTEM像である。
図4】エバポレーション後のPdPtナノ粒子のTEM像である。
図5】本実験で得られたPdPtナノ粒子のXRD測定およびピーク分割結果である。
【符号の説明】
【0024】
1:単核のPdPtナノ粒子
2:多核になったPdPtナノ粒子
3:多核になったPdPtナノ粒子を構成する単核ナノ粒子
4:白金のピーク
5:パラジウムのピーク
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明の例を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明の例の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、説明の重複を避けることもある。
【0026】
本発明者らは、パラジウム(Pd)をコアシェル型ナノ粒子のコアナノ粒子として、コアナノ粒子の周囲に、触媒粒子として定評のある白金(Pt)ナノ粒子を形成するための種々の実験を行い、ナノ粒子の形成状況を透過型電子顕微鏡(TEM)やその他の測定手段を用いて調べながら、触媒性能も調べた。
【0027】
衆知のように、Pdも触媒性能を有する。しかし、PdコアPtシェルのコアシェル構造にすることよってPd単体の時よりも触媒性能が高くなり、なおかつ、Pt単体よりも材料費が安価になる。このことに着目して,コアシェル構造での触媒性能を高めることを種々試みた。
【0028】
コアナノ粒子としてのPdナノ粒子の形状や、コアシェル構造のPdコアPtシェルナノ粒子(以下、PdPtナノ粒子という)の粒子形状の制御のための実験を種々行い、このような目的には通常用いられない方法も試みてみた。
【0029】
金属塩の還元反応を利用して形成したPdナノ粒子やPdPtナノ粒子にエバポレーションを行い、TEMで測定したところ、エバポレーションを行う前にはあまり目立たなかったナノ粒子の多核化がエバポレーションを行うことによって進行することを見出した。触媒作用を測定したところ、エバポレーションを行う前よりも改善がみられた。
【0030】
たとえば、電池用の触媒として用いる場合、導電性の担体に担持させる用い方がある。担体の例としては炭素を用いた場合を説明する。
【0031】
エバポレーションの行い方の例は種々ある。第1の例として、金属塩の反応作用を利用してコアナノ粒子としてのPdナノ粒子を作製し、それに、金属塩の反応作用を利用してシェルナノ粒子としてのPtナノ粒子をPdナノ粒子の周囲に形成し、それにエバポレーションを行い、それを担体としての炭素に担持させる方法がある。
【0032】
第2の例として、金属塩の反応作用を利用してコアナノ粒子としてのPdナノ粒子を作製し、それにエバポレーションを行い、それに、金属塩の反応作用を利用してシェルナノ粒子としてのPtナノ粒子をPdナノ粒子の周囲に形成し、それを担体としての炭素に担持させる方法がある。
【0033】
第3の例として、金属塩の反応作用を利用してコアナノ粒子としてのPdナノ粒子を作製し、それにエバポレーションを行い、それに、金属塩の反応作用を利用してシェルナノ粒子としてのPtナノ粒子をPdナノ粒子の周囲に形成し、それに再びエバポレーションを行い、それを担体としての炭素に担持させる方法がある。
【0034】
第4の例として、金属塩の反応作用を利用してコアナノ粒子としてのPdナノ粒子を作製し、それにエバポレーションを行い、それを担体としての炭素に担持させ、それに、金属塩の反応作用を利用してシェルナノ粒子としてのPtナノ粒子を形成する方法がある。
【0035】
これらの方法と、エバポレーションを行わない従来の方法とで、触媒効果の比較を行ったところ、どこかの段階でエバポレーションを行った前記各方法の方が触媒効果が高いという結論を得た。
【0036】
以下に図を参照しながら、その例を説明する。
【実施例1】
【0037】
(パラジウムナノコロイドの作製)
イオン交換水18mlとエタノール12mlを30mlスクリュウ管に秤量し、そこへPVP0.228gを添加し溶解させ、塩化パラジウムPdCl2 0.028gを加え、超音波(周波数38kHz、50W)で分散し、80℃で3時間還流し、パラジウムナノコロイドを30ml得た。パラジウム濃度は5.3mM、PVPPd=8:1(g/g)。この工程を図1に示してある。
【0038】
(塩化白金酸溶液の調整)
36%塩酸1.69mlにイオン交換水16mlを加え、4%塩酸を17.69ml作製し、その内10.0mlに、塩化白金酸(H2PtCl・6H2O)0.1gを溶解させ、塩化白金酸溶液を調整した。白金濃度は19.3mM。
【0039】
(パラジウムコア白金シェルの単核及び多核の混合粒子の作製)
上記で作製したパラジウムナノコロイド10mlに、19.3mM塩化白金酸溶液0.84mlとイオン交換水9.14mlを添加し、5℃で1時間攪拌した。この溶液に、還元剤であるヒドラジン・1水和物(NH2NH2・H2O)を加え、反応温度5℃にて24時間反応させた。なお、本発明でいう[単核」とは、単結晶という意味ではなく、コアシェル型ナノ粒子を形成させる過程において、コアが一まとまりで、その周りにシェルが形成されてひとまとまりのコアシェル型ナノ粒子に形成されているという意味で、「多核」とは、各一まとまりのコアシェル型ナノ粒子が形成されてからそれらが複数個集まって一まとまりのコアシェル型ナノ粒子を形成しているという意味である。
【0040】
図3にエバポレーション前のTEM写真を示した。符号1で示す点線で囲ったPdPtナノ粒子は単核ナノ粒子、符号2で示す実線で囲ったPdPtナノ粒子は多核ナノ粒子の例を示す。図3からもわかるように、単核のPdPtナノ粒子が多いことが確認された。
【0041】
反応終了後、エバポレーションにより溶媒を除去し、乾固直前で止め、エタノール20mlを添加し、遠心24,000rpm 30分処理し、生じた上清を除いた。そこへエタノール20mlを添加し、超音波分散(42kHz、100W)した後、次に2回目のエバポレーションにより溶媒を留去し、エタノール添加、超音波分散、遠心操作を繰り返した。エバポレーションの条件は、温度設定40℃、減圧度0.8kPaで行った。遠心操作で得られた上清を除いた後、エタノール20mlを添加した。超音波を照射し、分散させ、遠心24,000rpm、30分処理し、生じた上清を除去し、パラジウムコア白金シェルの単核と多核粒子の混合物を得た。PdPtナノ粒子の作製手順の例を説明する図2に示してある。
【0042】
図4にエバポレーション後のTEM写真を示す。単核の粒子と共に、多核の粒子が多く確認され、粒子径の増大も確認された。還元剤のヒドラジンにより、白金のナノクラスターが生成している状態で、減圧下でエバポレーションすることで、白金シェルの形成と同時に、単核のパラジウムコア白金シェル粒子がファンデルワールス力で集まり、多核化するものと考えられる。多核化は、2〜6個の単核ナノ粒子の集合したものが多く見られる。
【0043】
図4から分かるように、単核のPdPtナノ粒子より多核化したPdPtナノ粒子の方が、TEM像の画面の面積で多くなっているのが分かる。これを担体の炭素に担持させることにより、担体表面から突き出しているPdPtナノ粒子の表面積が、単核のPdPtナノ粒子の場合より多くなり、Ptナノ粒子の電池の液など、触媒効果を発揮させるべき液体に接する表面積が多くなる。担持のさせ方の例として、たとえば、多核化したPdPtナノ粒子の構成部分3(構成前の単核PdPtナノ粒子)を担持すれば、前記電池の液などに接するPtナノ粒子の表面積が多くなることが期待される。
【0044】
図5は本実験で得られたPdPtナノ粒子のXRD測定およびピーク分割結果である。カーブフィッティングに用いた関数はガウシアン関数である。図5の左側の図で、黒丸はPdを、白丸はPtを示す。図5の右側の図において、符号4及び5は、それぞれPt及びPdのフィッティングにより得られたXRDパターンを示す。40,46および68°付近に回折ピークがみられる。これらのピークは、立方晶系金属Ptの(111)、(200)および(220)面(ICSDカード01−071−3757番)だと考えられるが、PtとPdの格子定数が非常に近いので、帰属を断定することができなかった。そこで、ガウス関数解析を行った。40°付近のガウス関数解析によると、39.8°および40.1°のピークに分割された。これらはそれぞれ金属Ptおよび金属Pdによるものである。したがって、金属Ptおよび金属Pdの生成が確認された。
【0045】
一方で、Pt−Pd合金の生成の可能性もある。Scherrer式によると、金属Pdと金属Ptの結晶子径はそれぞれ3.8および5.0nmであった。この値は、TEM像から求めた粒子径(3.8および4.8nm)とほぼ一致したので、本実験で得られた粒子は単結晶であるとみなした。以上より、本実験で金属Ptと金属Pd、あるいはPt−Pd合金の生成が確認された。
【0046】
(パラジウムコア白金シェルの単核及び多核の混合粒子のカーボンへの担持)
0.1%VulcanXC−72(カーボン)/H2O:イソプロパノール(体積比19:6)混合溶媒に、パラジウムコア白金シェルの単核及び多核の混合粒子5mgを加えた。超音波照射後、20分静置してカーボンに担持した。次に。遠心分離により上清を除去し、0.01%Nafion / H2Oで懸濁し、再度遠心分離後、H2O:IPA混合溶媒に分散させ、電気化学測定用触媒インクを得た。
【0047】
得られた触媒インクの酸化還元の触媒活性は高かった。
(比較例1)
【0048】
エバポレーションの操作を行なわない以外は、実施例1と同じ工程でパラジウムコア白金シェル粒子を作製した。多核の粒子はできなかった。
(比較例2)
【0049】
エバポレーションの代わりに、40℃に加温しながら2時間攪拌した以外は、実施例1と同じ工程でパラジウムコア白金シェル粒子を作製したが、多核の粒子はできなかった。
【実施例2】
【0050】
実施例1のパラジウムナノコロイドを作製した後、エバポレーション操作を2回繰り返し、実施例1と同様に白金シェルを付けた。パラジウムコア白金シェルの単核と共に、多核の多い混合粒子が作製された。その粒子をカーボンに担持し、電気化学測定を行った。
【実施例3】
【0051】
実施例2と同様に合成したが、白金シェルをつけた後のエバポレーションはしなかった。パラジウムコア白金シェルの単核と多核の混合粒子が合成された。得られた粒子を実施例1と同様にカーボンに担持し、電気化学測定を行った。
【実施例4】
【0052】
実施例1のパラジウムナノコロイドを作製した後、エバポレーション操作を2回繰り返し、得られたパラジウム粒子をカーボンに担持し、その後、白金シェルを形成させた。パラジウムコア白金シェルの単核と多核の混合粒子が合成された。得られた粒子を実施例と同様にカーボンに担持し、電気化学測定を行った。
【0053】
コアシェル型ナノ粒子の製造工程にエバポレーション工程を入れる入れ方はこれに限られない。前記第2の例、第3の例、第4の例に記載の製造工程にそれぞれ前記のようなエバポレーション工程を導入した。それぞれ多核化の効果を確認できた。
【0054】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに狭く限定されず、多くのバリエーションを可能とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、電池をはじめとする触媒効果を必要とする産業の分野に、触媒を安価に提供するもので、産業の発展に大きく寄与するものである。
図1
図2
図3
図4
図5