(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トレッド部に周方向主溝によって区画されたタイヤ周方向に延びるリブが設けられ、前記リブの表面にタイヤ周方向に延在する彩色された識別表示が設けられ、前記識別表示の幅が前記周方向主溝の溝幅よりも大きく設定され、
前記識別表示は、縦横比が一定で縦寸法が同じ大きさを持つ同一または異なる基本模様をタイヤ周方向に隙間なく並列した繰り返し模様の列を、タイヤ幅方向に隙間なく複数列で配置して形成された
空気入りタイヤ。
トレッド部に周方向主溝によって区画されたタイヤ周方向に延びるリブが設けられ、前記リブの表面にタイヤ周方向に延在する彩色された識別表示が設けられ、前記識別表示の幅が前記周方向主溝の溝幅よりも大きく設定された空気入りタイヤの製造方法であって、
未加硫タイヤのトレッドゴム表面に、縦横比が一定で縦寸法が同じ大きさを持つ同一または異なる基本模様をタイヤ周方向に隙間なく並列した繰り返し模様の列を、タイヤ幅方向に隙間なく複数列で配置した識別表示を設けておき、前記未加硫タイヤを加硫成型することにより前記識別表示を前記リブの表面に設ける
空気入りタイヤの製造方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気入りタイヤのトレッド面には、タイヤの種類等を識別するために識別線と称されるタイヤ周方向に延びる彩色された識別表示が設けられている。識別表示は、未加硫のトレッドゴムの表面に、トレッドゴムの色彩(通常は黒色)とは異なる色彩の塗料を塗布することにより形成されており、加硫成型後の空気入りタイヤのトレッド面においてタイヤ周方向の全周にわたって1本又は複数本設けられている。例えば、特許文献1には、識別線の塗料使用量を低減するために、識別線をタイヤ周方向において2以上の途切れ部を有した途切れ線状に形成することが開示されている。
【0003】
なお、特許文献2には、タイヤ外表面の少なくとも一部を覆う表皮膜に模様を設けて装飾性を持たせることが開示されている。しかしながら、特許文献2の表皮膜は耐摩耗性等のタイヤ性能を改良することを意図したものであって、そのようなタイヤ性能の改善に寄与しない上記識別表示とは異なる技術であり、また、周方向主溝やそれによって区画されるリブと識別表示との関係についても何ら開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように識別表示は未加硫段階でトレッドゴム表面に形成されるが、タイヤの加硫成型時にはトレッド面に周方向主溝などの所定の凹凸パターンが形成される。その際、識別表示が周方向主溝の溝底に落ち込むと、加硫成型後の空気入りタイヤにおいて、識別表示を目視で確認しにくく、またカメラなどの検出装置によっても検出しにくい。上記特許文献1にも記載されているように塗料の使用量を減じる要請もあることから、一般に識別表示は、太さが3mm程度の識別線として、周方向主溝の溝幅よりも十分に細く形成されており、周方向主溝の溝底への落ち込みによる識別性の低下が懸念される。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、トレッド面に設けた識別表示の周方向主溝への落ち込みを低減することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る空気入りタイヤは、トレッド部に周方向主溝によって区画されたタイヤ周方向に延びるリブが設けられ、前記リブの表面にタイヤ周方向に延在する彩色された識別表示が設けられ、前記識別表示の幅が前記周方向主溝の溝幅よりも大きく設定され、前記識別表示は、縦横比が一定で
縦寸法が同じ大きさを持つ同一または異なる基本模様をタイヤ周方向に隙間なく並列した繰り返し模様の列を、タイヤ幅方向に隙間なく複数列で配置して形成されたものである。
本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法は、トレッド部に周方向主溝によって区画されたタイヤ周方向に延びるリブが設けられ、前記リブの表面にタイヤ周方向に延在する彩色された識別表示が設けられ、前記識別表示の幅が前記周方向主溝の溝幅よりも大きく設定された空気入りタイヤの製造方法であって、未加硫タイヤのトレッドゴム表面に、縦横比が一定で
縦寸法が同じ大きさを持つ同一または異なる基本模様をタイヤ周方向に隙間なく並列した繰り返し模様の列を、タイヤ幅方向に隙間なく複数列で配置した識別表示を設けておき、前記未加硫タイヤを加硫成型することにより前記識別表示を前記リブの表面に設けるものである。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、トレッド部のリブ表面に設ける識別表示を、当該リブを区画する周方向主溝の溝幅よりも広幅に設定したので、識別表示の周方向主溝への落ち込みを低減することができ、識別性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ10は、乗用車用タイヤであり、左右一対のビード部12及びサイドウォール部14と、左右のサイドウォール部14のタイヤ径方向における外端部同士を連結するトレッド部16とを備えてなり、トレッド部16の表面構成を除いては公知の空気入りタイヤと同様の構成を採用することができる。
【0011】
トレッド部16の表面には、タイヤ周方向Cに延びる複数(この例では4本)のストレート状の周方向主溝18が設けられている。この例では、周方向主溝18は、タイヤ赤道線を挟んで両側に配された一対のセンター主溝18A,18Aと、一対のセンター主溝18A,18Aのタイヤ幅方向W外側にそれぞれ配された一対のショルダー主溝18B,18Bとから構成されている。
【0012】
トレッド部16には周方向主溝18によって複数の陸部が区画形成されている。詳細には、トレッド部16には、左右一対のセンター主溝18A,18Aの間に形成された中央陸部20と、センター主溝18Aとショルダー主溝18Bの間に形成された左右一対の中間陸部22,22と、左右一対のショルダー主溝18B,18Bのタイヤ幅方向W外側に形成された左右一対のショルダー陸部24,24と、が設けられている。そのうち、トレッド部16の中央部に位置する中間陸部20は、タイヤ周方向Cに連続して延びるリブとして形成されており、以下、中央リブ20という。
【0013】
中央リブ20の表面(接地面)には、タイヤ周方向Cに延在する彩色された識別表示26が設けられている。識別表示26は、黒色のトレッドゴムに対してよく目立つ色、例えば、白色、黄色、青色、赤色などの色彩を持つ薄膜の着色層であり、例えば、未加硫段階のトレッドゴム表面に対し、色彩ゴム塗料などの塗料を転写ロール等により転写させたり、色彩を持つテープを貼付したりすることにより形成することができる。
【0014】
識別表示26は、上記従来の識別線に比べて広幅であり、
図2に拡大して示すように、識別表示26の幅w1は、中央リブ20を区画するセンター主溝18Aの溝幅w2よりも大きく設定されている(w1>w2)。このように識別表示26を広幅に設定することで、識別表示26のセンター主溝18Aの溝底への落ち込みを減じることができる。特に限定するものではないが、識別表示26の幅w1は、15mm超30mm以下であることが好ましく、より好ましくは20〜30mmである。また、識別表示26の幅w1は、中央リブ20の幅w3の50%よりも大きいことが好ましく(w1>0.5×w3)、より好ましくは中央リブ20の幅w3の70〜80%である。なお、この例では、中央リブ20の両側のセンター主溝18Aの溝幅w2が同一であるが、両側の溝幅は異なっていてもよく、その場合、識別表示26の幅w1は、より広い溝幅を持つセンター主溝18Aの溝幅w2よりも大きいことが好ましい。
【0015】
識別表示26は、タイヤ周方向Cにおける繰り返し模様からなる識別模様であり、タイヤ周方向Cの全周にわたって形成されている。この例では、識別表示26は、円形の輪郭形状を持つ基本模様28をタイヤ周方向Cに隙間なく並べてなる連続模様のデザインとされており、より詳細には、基本模様28として縦横比が一定で同じ大きさの円形模様を、タイヤ周方向Cに隙間なく一列に並べた繰り返し模様に形成されている。このような繰り返し模様とすることにより、タイヤ加硫成型時におけるトレッドゴムのゴム流れ不良を目視で確認することができる。すなわち、加硫成型時にトレッドゴムはタイヤ径方向に拡張しつつモールド面に押し当てられて所望の凹凸形状に成型されるが、その際、ゴム流れ不良が生じると、タイヤ周方向Cにおいて均等に伸張せず、局部的な伸びや収縮が発生することがある。これに対し、上記のような繰り返し模様の識別表示26を設けておけば、タイヤ周方向Cにおける基本模様28の変形バラツキによって均等に伸張したか否かを判別しやすく、ゴム流れ不良の確認が容易である。また、このような繰り返し模様からなる広幅の識別表示26を設けることにより、例えば小売店での陳列時に目立つ装飾性を持たせることもできる。
【0016】
ここで、基本模様28について輪郭形状の円形は真円形だけでなく楕円形も含む概念である。そのため、基本模様28としての円形模様は、加硫成型後の段階で真円形でもよく楕円形でもよく、例えば、未加硫タイヤ(グリーンタイヤ)の段階で真円形のものが加硫成型により楕円形となってもよく、これらをまとめて円形模様という。
【0017】
また、縦横比とは、基本模様28のタイヤ周方向Cでの大きさである縦寸法xとタイヤ幅方向Wでの大きさである横寸法y(この例ではy=w1)との比x/yである。縦横比は、例えば未加硫タイヤの段階でx/y=1/1としてもよく、その場合、加硫成型によるタイヤ周方向Cでの伸張度合いが分かりやすく、目視によるゴム流れ不良の確認がより容易となる。あるいはまた、縦横比は、加硫成型時におけるタイヤ周方向Cでの伸張率を考慮して、加硫成型後にx/y=1/1となるように設定してもよく、装飾性を向上することができる。
【0018】
なお、縦寸法x及び横寸法yは、本実施形態のように基本模様28の輪郭形状が円形の場合、タイヤ周方向C及び幅方向Wに沿って配された長軸及び短軸の寸法(真円の場合は直径)に等しい。
【0019】
以上説明した本実施形態によれば、トレッド部16のリブ20表面に設ける識別表示26を、当該リブ20を区画する周方向主溝18Aの溝幅w2よりも広幅に設定したので、識別表示26の周方向主溝18Aへの落ち込みを低減することができ、識別性を確保することができる。また、かかる広幅の識別表示26をタイヤ周方向Cにおける繰り返し模様で構成したことにより、タイヤ加硫成型時におけるトレッドゴムのゴム流れ不良を目視で確認することができ、また、例えば小売店での陳列時に目立つ装飾性を持たせることができる。また、基本模様28をタイヤ周方向Cに隙間なく並べた連続模様デザインとしたことにより、上記ゴム流れ不良の目視での確認をより容易にすることができる。
【0020】
(変更例)
図3(a)〜(e)は、第1実施形態の変更例に係る識別表示26A〜26Eを示したものである。これらの識別表示26A〜26Eは、タイヤ周方向Cにおける繰り返し模様からなり、円形又は矩形の輪郭形状を持つ基本模様28A〜28Eをタイヤ周方向C及びタイヤ幅方向Wに隙間なく並べてなる連続模様のデザインを持つものである。詳細には、縦横比が一定で同じ大きさの基本模様28A〜28Eをタイヤ周方向Cに隙間なく並設した繰り返し模様の列29を、タイヤ幅方向Wに隙間なく2列で配置した例である。このように基本模様28A〜28Eをタイヤ周方向Cだけでなくタイヤ幅方向Wにも隙間なく並べて設けることにより、上記ゴム流れ不良の目視での確認がより容易になる。
【0021】
図3(a)の例では、基本模様28Aとして第1実施形態と同様の彩色された円形模様を採用し、該基本模様28Aの繰り返し模様からなる列29を2列配置している。2列であるため、識別表示26Aの幅w1は基本模様28Aの横寸法yの2倍である(w1=y×2)。この点、
図3(b)〜(e)の例も同様である。このように基本模様の列を複数列で配置した場合、識別表示の幅は基本模様の横寸法の整数倍である。
【0022】
図3(b)の例では、矩形とこれに内接する円形(真円形又は楕円形)との間を彩色部とする模様を、基本模様28Bとしている。
図3(c)の例では、輪郭をなす矩形をその対角線を境に半分だけ彩色部とした模様を、基本模様28Cとしている。
図3(d)の例では、矩形の輪郭部分のみを彩色部とした模様を、基本模様28Dとしており、そのため、識別表示26Dは格子状の模様に形成されている。
図3(e)の例では、
図3(d)の基本模様28Dに対し、その矩形の輪郭部分の内側に菱形の彩色部を追加した模様を、基本模様28Eとしている。
【0023】
図4(a)及び(b)は、第1実施形態の更なる変更例に係る識別表示26F,26Gを示したものである。
図4(a)の例では、輪郭をなす矩形を縦横等分して4つに区画し、そのうちの対角線上の2領域を彩色部とした模様を、基本模様28Fとしている。そして、この基本模様28Fをタイヤ周方向Cに隙間なく一列に並べた連続模様デザインを、識別表示26Fとしている。そのため、この例では、識別表示26Fの幅w1は、基本模様28Fの横寸法yに等しい。
【0024】
図4(b)の例では、識別表示26Gは、
図4(a)の識別表示26Fを2列に隙間なく並べた連続模様デザインとされている。すなわち、識別表示26Gは、上記基本模様28Fをタイヤ周方向Cに隙間なく並設した繰り返し模様の列29を、タイヤ幅方向Wに隙間なく2列で配置した例である。
【0025】
なお、上記の基本模様28B〜28Fの輪郭形状をなす矩形は、正方形と長方形を含む概念であり、加硫成型後の段階で縦横比x/y=1/1の正方形でもよく、加硫成型後の段階で長方形でもよく、例えば、未加硫タイヤの段階で正方形のものが加硫成型により長方形となってもよい。また、この場合、縦寸法x及び横寸法yは、タイヤ周方向C及び幅方向Wに沿って配された矩形の辺の長さに等しい。
【0026】
図3(a)〜(e)、
図4(a)及び(b)の変更例について、その他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0027】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る空気入りタイヤ10Aを示したものであり、中央リブ20に設けた識別表示の構成が第1実施形態とは異なる。この実施形態において、識別表示26Hは、文字列により構成されている。
【0028】
詳細には、識別表示26Hは、タイヤ周方向Cに並べられた文字からなる文字列30をタイヤ周方向Cに繰り返して配置することにより、タイヤ周方向Cに延在する繰り返し模様として構成されている。ここで、文字としては、例えばローマ字、漢字、仮名文字、数字、顔文字などが挙げられ、図案化した文字でもよく、また、これらを適宜に組み合わせて用いてもよい。文字列としては、例えば、商標、製造業者名、販売業者名、商品名、タイヤサイズなどが挙げられ、これらを適宜に組み合わせてもよい。図示した例では、識別表示26Hは、「TOYO TIRES」を文字列として、これをタイヤ周方向Cの全周にわたって繰り返して配置した模様である。
【0029】
識別表示26Hの幅w1(この場合は、文字列30のタイヤ幅方向Wにおける幅)は、第1実施形態と同様、中央リブ20を区画するセンター主溝18Aの溝幅をw2よりも大きく設定されており、これにより、識別表示26Hのセンター主溝18Aへの落ち込みを減じることができる。また、識別表示26Hの幅w1は、中央リブ20の幅w3の50%よりも大きく、より好ましくは中央リブ20の幅w3の70〜80%である。
【0030】
第2実施形態によれば、識別表示26Hが文字列30の繰り返し模様から構成されているので、例えば小売店での陳列時に目立つ装飾性を持たせることができる。また、文字列30の変形バラツキの有無を確認することで、タイヤ加硫成型時におけるトレッドゴムのゴム流れ不良を目視で確認することも可能である。また、タイヤ識別性という点でも、色彩を変えるだけでなく、例えば商品名やタイヤサイズを文字列に含めることで、識別が容易である。第2実施形態について、その他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0031】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では、基本模様28,28A〜28Fの繰り返し模様からなる列29を、1列又は2列配置する構成としたが、3列以上設けてもよい。また、複数列設ける場合、基本模様が異なる列であっても、縦横比が一定で同じ大きさのものであれば組み合わせて配置することができ、例えば、
図3(a)に示す基本模様28Aの列29と
図3(e)に示す基本模様28Eの列29とを組み合わせて、2列の基本模様28Aの列29の間に1列の基本模様28Eの列29を挟み込んだ構成としてもよい。
【0032】
また、第1実施形態では、同一の基本模様28,28A〜28Fのタイヤ周方向Cにおける繰り返し模様としたが、縦横比が一定で同じ大きさを持つものであれば、異なる基本模様をタイヤ周方向に隙間なく並べて識別表示を構成してもよい。すなわち、識別表示についての連続模様デザインは、円形又は矩形の輪郭形状を持ち縦横比が一定で同じ大きさを持つ基本模様を、タイヤ周方向又はタイヤ周方向及びタイヤ幅方向に隙間なく並べたものであれば、基本模様は1種で構成されてもよく、2種以上組み合わせてもよい。
【0033】
また、第2実施形態では、識別表示Hを文字列30のみで構成したが、第1実施形態のような基本模様28の繰り返しと文字列30とを組み合わせてもよい。更には、識別表示としては、第1及び第2実施形態のようなタイヤ周方向の繰り返し模様には限定されず、例えば単なる太線により構成してもよい。
【0034】
上記実施形態では、トレッド部16の中央リブ20に識別表示26を設けたが、中間陸部22やショルダー陸部24がタイヤ周方向Cに連続して延びるリブであれば、これらのリブに設けてもよく、また、1つのリブだけでなく、複数のリブに設けてもよい。
【0035】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。