特許第6472047号(P6472047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6472047電力消費管理装置、電力消費管理方法および電力消費管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472047
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】電力消費管理装置、電力消費管理方法および電力消費管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20190207BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20190207BHJP
   B60L 50/40 20190101ALI20190207BHJP
   B60L 50/50 20190101ALI20190207BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20190207BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20190207BHJP
   B60L 58/00 20190101ALI20190207BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   H02J13/00 311T
   B60R16/02 640K
   B60L11/18 C
   H02J3/14
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-53077(P2015-53077)
(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-174467(P2016-174467A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2017年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】504126112
【氏名又は名称】住友電工システムソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩
(72)【発明者】
【氏名】池田 路
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/179876(WO,A1)
【文献】 特開2014−220892(JP,A)
【文献】 特開2014−158375(JP,A)
【文献】 特開2014−236580(JP,A)
【文献】 特開2012−196055(JP,A)
【文献】 特開2013−021798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−5/00
H02J 13/00
B60R 16/02
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と
通信可能な電力消費管理装置であって、
節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得する要請側取得部と、
前記要請側取得部によって前記節電要請情報が取得されると、前記車両における電力消
費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知する通知部と、
前記通知部によって通知された前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得す
る車両側取得部と、
前記車両側取得部によって前記応答情報が取得されると、前記要請側取得部によって取
得された前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報
告情報を前記節電要請側に通知する報告部とを備える、電力消費管理装置。
【請求項2】
前記通知部は、複数の前記車両に前記要求情報を通知し、
前記応答情報は、前記車両の節電内容を含み、
前記報告部は、前記車両側取得部によって取得された各前記車両からの前記応答情報の
示す前記節電内容をまとめた節電内容を示す前記報告情報を前記節電要請側に通知する、
請求項1に記載の電力消費管理装置。
【請求項3】
前記車両に通知される要求情報は節電期間を含み、
前記車両からの前記応答情報は、前記節電期間における前記車両の位置を含み、
前記報告部は、前記位置を含まない前記報告情報を前記節電要請側に通知する、請求項
1または請求項2に記載の電力消費管理装置。
【請求項4】
前記通知部は、複数の前記車両に前記要求情報を通知し、
前記報告部は、前記車両側取得部によって取得された各前記車両からの前記応答情報の
示す前記節電内容を所定の区域ごとにまとめた節電内容を示す前記報告情報を前記節電要
請側に通知する、請求項に記載の電力消費管理装置。
【請求項5】
蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と
通信可能な電力消費管理装置における電力消費管理方法であって、
節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得するステップと、
前記節電要請情報を取得すると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要
求情報を前記車両に通知するステップと、
通知した前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得するステップと、
前記応答情報を取得すると、取得した前記節電要請情報に対する報告情報であって、前
記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知するステップとを含む、電
力消費管理方法。
【請求項6】
蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と
通信可能な電力消費管理装置において用いられる電力消費管理プログラムであって、コン
ピュータに、
節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得するステップと、
前記節電要請情報を取得すると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要
求情報を前記車両に通知するステップと、
通知した前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得するステップと、
前記応答情報を取得すると、取得した前記節電要請情報に対する報告情報であって、前
記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知するステップとを実行させ
るための、電力消費管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力消費管理装置、電力消費管理方法および電力消費管理プログラムに関し、特に、車両に節電を要請する電力消費管理装置、電力消費管理方法および電力消費管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車およびハイブリッド自動車等に搭載されたバッテリへの給電を行なうシステムとして、たとえば、特許文献1(特開2013−169869号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、蓄電部および通信部を備える車両と、前記蓄電部に対する給電に関する給電情報の通信を行なう通信装置との通信を中継する中継装置を備える通信システムにおいて、前記中継装置は、前記車両と第1方式で給電情報の通信を行なう手段と、前記通信装置と、第1方式と異なる第2方式で給電情報の通信を行なう手段と、第1方式および第2方式の一方の方式で受信した給電情報に基づいて、他方の方式で送信すべき給電情報を生成する手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−169869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車およびハイブリッド自動車等の充電対象車両の普及に伴い、充電対象車両を充電するために使用される電力が増大することが想定される。
【0005】
このような状況において、たとえば電力需給が逼迫することが予想される場合、電力消費が抑制されるように、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうことが考えられる。
【0006】
このように充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供可能とする技術が望まれる。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供することが可能な電力消費管理装置、電力消費管理方法および電力消費管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力消費管理装置は、蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と通信可能な電力消費管理装置であって、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得する要請側取得部と、前記要請側取得部によって前記節電要請情報が取得されると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知する通知部と、前記通知部によって通知された前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得する車両側取得部と、前記車両側取得部によって前記応答情報が取得されると、前記要請側取得部によって取得された前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知する報告部とを備える。
【0009】
(5)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力消費管理方法は、蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と通信可能な電力消費管理装置における電力消費管理方法であって、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得するステップと、前記節電要請情報を取得すると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知するステップと、通知した前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得するステップと、前記応答情報を取得すると、取得した前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知するステップとを含む。
【0010】
(6)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力消費管理方法は、蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と通信可能な電力消費管理装置において用いられる電力消費管理プログラムであって、コンピュータに、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得するステップと、前記節電要請情報を取得すると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知するステップと、通知した前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得するステップと、前記応答情報を取得すると、取得した前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0011】
また、本発明は、このような特徴的な処理部を備える電力消費管理装置として実現できるだけでなく、電力消費管理装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現したり、電力消費管理装置を含む電力消費管理システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける車両電力消費情報の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける要求情報の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける応答情報の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける報告情報の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置による節電要請情報の処理の手順を定めたフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける電力消費の抑制処理のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0015】
(1)本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置は、蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と通信可能な電力消費管理装置であって、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得する要請側取得部と、前記要請側取得部によって前記節電要請情報が取得されると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知する通知部と、前記通知部によって通知された前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得する車両側取得部と、前記車両側取得部によって前記応答情報が取得されると、前記要請側取得部によって取得された前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知する報告部とを備える。
【0016】
このような構成により、電力消費管理装置から要請側管理装置へ提供される情報に、充電対象車両の個別情報、たとえば充電対象車両のユーザの個人情報、充電対象車両の車種、および充電対象車両の充電に関する情報等が含まれることを防ぐことができる。すなわち、充電対象車両の個別情報を特定できないような報告情報を作成することにより、充電対象車両に関する秘密保持を行いながら、必要な情報を節電要請側に伝えることができる。すなわち、電力消費管理装置を運用する自動車会社等の事業者から要請側管理装置を運用する電力会社等へ、充電対象車両の個別情報を開示することなく、電力会社等からの節電要請を達成するとともに充電対象車両の節電に関する報告を行なうことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供することができる。
【0017】
(2)好ましくは、前記通知部は、複数の前記車両に前記要求情報を通知し、前記応答情報は、前記車両の節電内容を含み、前記報告部は、前記車両側取得部によって取得された各前記車両からの前記応答情報の示す前記節電内容をまとめた節電内容を示す前記報告情報を前記節電要請側に通知する。
【0018】
このような構成により、複数の充電対象車両に対して節電要請を行なった場合に、充電対象車両に関する秘密保持を行いながら、電力消費管理装置において節電予想量を集約して節電要請側に通知することができる。
【0019】
(3)好ましくは、前記車両に通知される要求情報は節電期間を含み、前記車両からの前記応答情報は、前記節電期間における前記車両の位置を含み、前記報告部は、前記位置を含まない前記報告情報を前記節電要請側に通知する。
【0020】
このような構成により、電力消費管理装置から要請側管理装置に通知される情報に、充電対象車両の個別情報として充電対象車両の駐車場所および走行経路の情報等が含まれることを防ぐことができる。
【0021】
(4)より好ましくは、前記通知部は、複数の前記車両に前記要求情報を通知し、前記報告部は、前記車両側取得部によって取得された各前記車両からの前記応答情報の示す前記節電内容を所定の区域ごとにまとめた節電内容を示す前記報告情報を前記節電要請側に通知する。
【0022】
このような構成により、たとえば、充電対象車両の充電予定エリアの情報を用いて、節電要請側の発電エリア単位の節電予想量を節電要請側に通知することができる。
【0023】
(5)本発明の実施の形態に係る電力消費管理方法は、蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と通信可能な電力消費管理装置における電力消費管理方法であって、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得するステップと、前記節電要請情報を取得すると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知するステップと、通知した前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得するステップと、前記応答情報を取得すると、取得した前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知するステップとを含む。
【0024】
このような構成により、電力消費管理装置から要請側管理装置へ提供される情報に、充電対象車両の個別情報、たとえば充電対象車両のユーザの個人情報、充電対象車両の車種、および充電対象車両の充電に関する情報等が含まれることを防ぐことができる。すなわち、充電対象車両の個別情報を特定できないような報告情報を作成することにより、充電対象車両に関する秘密保持を行いながら、必要な情報を節電要請側に伝えることができる。すなわち、電力消費管理装置を運用する自動車会社等の事業者から要請側管理装置を運用する電力会社等へ、充電対象車両の個別情報を開示することなく、電力会社等からの節電要請を達成するとともに充電対象車両の節電に関する報告を行なうことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供することができる。
【0025】
(6)本発明の実施の形態に係る電力消費管理方法は、蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と通信可能な電力消費管理装置において用いられる電力消費管理プログラムであって、コンピュータに、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得するステップと、前記節電要請情報を取得すると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知するステップと、通知した前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得するステップと、前記応答情報を取得すると、取得した前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0026】
このような構成により、電力消費管理装置から要請側管理装置へ提供される情報に、充電対象車両の個別情報、たとえば充電対象車両のユーザの個人情報、充電対象車両の車種、および充電対象車両の充電に関する情報等が含まれることを防ぐことができる。すなわち、充電対象車両の個別情報を特定できないような報告情報を作成することにより、充電対象車両に関する秘密保持を行いながら、必要な情報を節電要請側に伝えることができる。すなわち、電力消費管理装置を運用する自動車会社等の事業者から要請側管理装置を運用する電力会社等へ、充電対象車両の個別情報を開示することなく、電力会社等からの節電要請を達成するとともに充電対象車両の節電に関する報告を行なうことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供することができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの構成を示す図である。
【0029】
図1を参照して、電力会社または系統運用会社等である節電要請側は、たとえば電力需給の逼迫が予想される期間を対象として、各種事業者に対して節電要請を行なう、具体的には、たとえば、各種事業者に対してデマンドレスポンス(DR:Demand Response)等の節電要請を発行する。事業者は、節電要請側からの節電要請を受けて、1または複数の装置または施設等を管理する需要家に、たとえば当該期間を対象として節電要請を行なう。電力会社は、たとえば発電事業者または電力小売り事業者である。
【0030】
需要家において節電要請側からの節電要請に従った節電が行われることにより、節電要請側は、たとえば、需要家における電力消費の削減の対価を事業者に与える、具体的には、節電に対するインセンティブすなわち節電要請の対象期間において節電が行われたことに対する報酬を事業者に与える。事業者は、節電要請側から得た節電の報酬を需要家に分配する。
【0031】
電力消費管理システム301は、要請側管理装置201と、電力消費管理装置101と、1または複数の充電対象車両202とを備える。
【0032】
充電対象車両202は、電気自動車およびハイブリッド自動車等であり、蓄電池を備え、当該蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能である。
【0033】
電力消費管理装置101は、たとえば自動車会社によって運用され、1または複数の充電対象車両202と通信を行なうことにより、各充電対象車両202における電力消費を管理する。電力消費管理装置101の通信対象は、詳細には、たとえば充電対象車両202におけるナビゲーション装置等の車載装置である。
【0034】
要請側管理装置201は、電力会社または系統運用会社等によって運用され、節電要請を示す節電要請情報を電力消費管理装置101へ送信する。節電要請情報は、たとえば、事業者が参加可能な節電イベントの内容を示す。
【0035】
具体的には、節電要請情報は、節電イベントの内容として、たとえば、電力消費を抑制すべき節電期間を示す。
【0036】
なお、節電要請情報は、節電期間において、電力消費管理装置101が削減すべき消費電力の目標である要請目標を示してもよい。また、節電要請情報は、節電イベントの対象エリアを示してもよい。また、節電要請情報は、さらに、時間ごとの電力料金の単価を示してもよい。また、要請目標は、削減すべき消費電力量であってもよいし、削減率または削減割合であってもよいし、消費電力量の上限値等であってもよい。
【0037】
電力消費管理装置101は、要請側管理装置201から節電要請情報を受信して、充電対象車両202における電力消費の抑制を要求するための要求情報を作成し、作成した要求情報を配下の1または複数の充電対象車両202へ送信する。
【0038】
要求情報は、たとえば、充電対象車両202が参加可能な節電イベントの内容を示す。具体的には、要求情報は、たとえば充電対象車両202において消費電力を削減すべき期間である節電期間を示す。
【0039】
充電対象車両202は、電力消費管理装置101から受信した要求情報に基づいて、要求情報の示す節電イベントに充電対象車両202が参加すべきか否かを判断し、判断結果および自己の識別情報を示す応答情報を電力消費管理装置101へ送信する。
【0040】
より詳細には、たとえば、充電対象車両202には、節電イベントへの参加基準に関する情報をユーザが設定可能である。充電対象車両202は、電力消費管理装置101から受信した要求情報の示す節電イベントが参加基準を満たす場合、当該節電イベントに参加すべきであると判断する。
【0041】
なお、充電対象車両202は、節電イベントに参加すべきか否かを、ユーザからの指示に従って判断する構成であってもよい。
【0042】
具体的には、たとえば、充電対象車両202は、電力消費管理装置101から要求情報を受信すると、ユーザのスマートフォン等の携帯端末へ当該要求情報の内容を送信する。ユーザは、充電対象車両202からの要求情報の内容を携帯端末のディスプレイ等で確認し、節電イベントに参加するか否かを携帯端末を用いて充電対象車両202に通知する。充電対象車両202は、ユーザからの通知に従って、節電イベントに参加すべきか否かを判断する。
【0043】
あるいは、たとえば、充電対象車両202は、電力消費管理装置101から要求情報を受信すると、当該要求情報の内容を自己のナビゲーション装置等のディスプレイ等に表示する。ユーザは、当該ディスプレイの表示内容を確認し、節電イベントに参加するか否かを充電対象車両202のナビゲーション装置等へ入力する操作を行う。充電対象車両202は、ユーザの操作内容に従って、節電イベントに参加すべきか否かを判断する。なお、電力消費管理装置101からの要求情報の到着時にユーザが充電対象車両202に乗車していない場合には、ユーザの乗車後に当該ディスプレイの表示内容が確認され、節電イベントに参加すべきか否かの判断がなされることになる。
【0044】
充電対象車両202は、たとえば、節電イベントに参加する旨を示す応答情報に、節電期間において自己の蓄電池への充電を中止する時間を含めて送信する。
【0045】
電力消費管理装置101は、充電対象車両202から応答情報を受信して、節電要請情報に対する報告情報を要請側管理装置201に通知する。具体的には、たとえば、電力消費管理装置101は、各充電対象車両202から受信した応答情報に基づいて、節電期間において配下の各充電対象車両202で削減される予定の消費電力量の合計値を示す報告情報を作成し、要請側管理装置201へ送信する。
【0046】
節電要請側は、事業者が節電イベントに参加した場合、たとえば事業者によって削減された消費電力に応じて事業者にインセンティブを与える。電力消費管理装置101は、与えられたインセンティブの内容を示すインセンティブ情報を要請側管理装置201から取得する。
【0047】
電力消費管理装置101は、要請側管理装置201からのインセンティブ情報に基づいて、充電対象車両202における電力消費の削減の対価を示す対価情報を作成し、要求情報の送信先である充電対象車両202へ送信する。
【0048】
対価情報は、たとえば、充電対象車両202が節電イベントに参加した場合に、たとえば充電対象車両202において削減された消費電力量に応じた、当該充電対象車両202に与えられる消費電力の削減の対価を示す。
【0049】
なお、電力消費管理装置101は、要請側管理装置201、および各充電対象車両202と直接接続される構成に限らず、他の装置を介して接続される構成であってもよい。
【0050】
図2は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置の構成を示す図である。
【0051】
図2を参照して、電力消費管理装置101は、要請側取得部11と、通知部12と、車両側取得部13と、報告部14と、記憶部15と、ユーザ情報作成部16とを含む。なお、記憶部15が、電力消費管理装置101の外部に設けられる構成であってもよい。
【0052】
車両側取得部13は、充電対象車両202から電力消費に関する車両電力消費情報を取得する。具体的には、車両側取得部13は、充電対象車両202から送信された車両電力消費情報を受信してユーザ情報作成部16へ出力する。
【0053】
図3は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける車両電力消費情報の一例を示す図である。
【0054】
図3を参照して、車両電力消費情報は、たとえば、充電対象車両202の識別情報である車両IDと、充電予定期間すなわち充電対象車両202の蓄電池が充電ステーションまたはユーザの自宅等において充電される期間と、充電対象車両202の充電予定エリアとの対応関係を示すテーブルである。
【0055】
図3に示す車両電力消費情報は、車両IDがaaaaの充電対象車両202が、月曜日から金曜日の9時から17時30分までの期間において、充電予定エリアxxxxにおいて充電される予定であり、また、月曜日から金曜日の19時から翌朝の7時30分までの期間において、充電予定エリアyyyyにおいて充電される予定であることを示している。たとえば、充電予定エリアxxxxは、充電対象車両202のユーザの職場近くの充電ステーションを含むエリアであり、充電予定エリアyyyyは、充電対象車両202のユーザの自宅を含むエリアである。
【0056】
再び図2を参照して、ユーザ情報作成部16は、車両側取得部13から受けた車両電力消費情報に基づいて充電情報を作成し、作成した充電情報を記憶部15に保存するか、または車両電力消費情報に基づいて、記憶部15に保存されている充電情報を更新する。
【0057】
充電情報は、たとえば、各充電対象車両202からの車両電力消費情報をまとめた内容に、充電対象車両202の車種、充電対象車両202のユーザの氏名および充電予定エリアの住所等を加えた情報である。
【0058】
要請側取得部11は、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得する。具体的には、要請側取得部11は、要請側管理装置201から送信された節電要請情報を受信して通知部12へ出力する。
【0059】
通知部12は、要請側取得部11によって節電要請情報が取得されると、充電対象車両202における電力消費の抑制を要求するための要求情報を充電対象車両202に通知する。
【0060】
たとえば、通知部12は、節電要請情報および充電情報に基づいて要求情報を作成する。具体的には、たとえば、通知部12は、要請側取得部11から節電要請情報を受けると、記憶部15における充電情報を参照することにより、節電要請情報の示す節電期間において蓄電池の充電を行なう予定の充電対象車両202を検索し、検索した各充電対象車両202の全部または一部を選択する。たとえば、通知部12は、節電期間における充電量の大きい充電対象車両202を節電要請先として選択する。
【0061】
また、たとえば、通知部12は、要請側取得部11から節電期間および対象エリアを示す節電要請情報を受けると、記憶部15における充電情報を参照することにより、節電要請情報の示す節電期間において、かつ節電要請情報の示す対象エリアにおいて蓄電池の充電を行なう予定の充電対象車両202を検索し、検索した各充電対象車両202の全部または一部を選択する。
【0062】
通知部12は、選択した充電対象車両202の車両IDおよび節電期間を示す要求情報を作成する。
【0063】
なお、通知部12は、節電要請情報の内容に基づいて要求情報を作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通知部12は、要請側取得部11によって節電要請情報が取得されると、所定内容の要求情報、たとえば、節電要請を単に示す要求情報を充電対象車両202に通知し、所定時間経過後に節電要請の解除を示す解除情報を充電対象車両202に通知する構成であってもよい。
【0064】
図4は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける要求情報の一例を示す図である。
【0065】
図4を参照して、要求情報は、たとえば、車両IDと、節電期間との対応関係を示すテーブルである。
【0066】
具体的には、図4に示す要求情報は、車両IDがaaaaの充電対象車両202に対する2015年3月2日(月曜日)の12時から14時までの節電期間における節電要求を示している。
【0067】
なお、通知部12は、節電要請先とすべき充電対象車両202を選択する構成に限らず、たとえば要求情報をブロードキャストする構成であってもよい。
【0068】
再び図2を参照して、車両側取得部13は、通知部12によって通知された要求情報に対する充電対象車両202からの応答情報を取得する。
【0069】
より詳細には、車両側取得部13は、充電対象車両202から、当該充電対象車両202が節電イベントに参加するか否か等の節電内容、および当該充電対象車両202の車両IDを示す応答情報を取得する。また、応答情報の示す節電内容は、たとえば充電対象車両202の節電時間を含む。
【0070】
車両側取得部13は、充電対象車両202から送信された応答情報を受信して報告部14へ出力する。
【0071】
図5は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける応答情報の一例を示す図である。
【0072】
図5を参照して、応答情報は、たとえば、車両IDと、節電イベントへの参加意思と、節電期間における充電予定エリアと、節電イベントへの参加時間すなわち節電時間との対応関係を示すテーブルである。
【0073】
図5は、5台の充電対象車両202からの応答情報をまとめて示している。具体的には、車両IDがaaaaの充電対象車両202の応答情報は、当該充電対象車両202が節電イベントに参加する予定であり、充電予定エリアxxxxにおいて2時間節電する、すなわち充電予定であった2時間において充電を行なわずに節電することを示している。より具体的には、この応答情報は、充電対象車両202が、図4に示すように本来なら2015年3月2日の12時から14時までの期間は充電を行なう予定であったが、この予定を中止する旨を示している。
【0074】
同様に、車両IDがbbbbの充電対象車両202の応答情報は、当該充電対象車両202が節電イベントに参加する予定であり、充電予定エリアyyyyにおいて1時間節電することを示している。車両IDがccccの充電対象車両202の応答情報は、当該充電対象車両202が節電イベントに参加する予定であり、充電予定エリアzzzzにおいて2時間節電することを示している。車両IDがddddの充電対象車両202の応答情報は、当該充電対象車両202が節電イベントに参加する予定であり、充電予定エリアxxxxにおいて2時間節電することを示している。車両IDがeeeeの充電対象車両202の応答情報は、当該充電対象車両202が節電イベントに参加しない予定であることを示している。
【0075】
ここで、車両電力消費情報および応答情報における「充電予定エリア」は、たとえば、「X市Y町3丁目」など、詳細な住所に対応する識別情報である。
【0076】
再び図2を参照して、報告部14は、車両側取得部13によって応答情報が取得されると、要請側取得部11によって取得された節電要請情報に対する報告情報であって、充電対象車両202の個別情報を含まない報告情報を節電要請側に通知する。
【0077】
たとえば、通知部12は、複数の充電対象車両202に要求情報を通知する。
【0078】
報告部14は、車両側取得部13によって取得された各充電対象車両202からの応答情報の示す節電内容をまとめた節電内容を示す報告情報を節電要請側に通知する。
【0079】
また、たとえば、充電対象車両202に通知される要求情報は節電期間を含む。充電対象車両202からの応答情報は、節電期間における当該充電対象車両202の位置を含む。
【0080】
報告部14は、充電対象車両202の個別情報として当該位置を含まない報告情報を節電要請側に通知する。
【0081】
また、たとえば、報告部14は、車両側取得部13によって取得された各充電対象車両202からの応答情報の示す節電内容を所定の区域ごとにまとめた節電内容を示す報告情報を節電要請側に通知する。
【0082】
より詳細には、たとえば、報告部14は、車両側取得部13から応答情報を受けると、記憶部15における充電情報を参照することにより、応答情報の示す充電対象車両202の識別情報に基づいて充電対象車両202を特定し、特定結果、応答情報および充電情報に基づいて報告情報を作成する。
【0083】
具体的には、報告部14は、応答情報の示す車両IDから充電対象車両202の車種を特定し、特定した車種、および応答情報の示す節電時間に基づいて、当該充電対象車両202で削減される予定の消費電力量すなわち節電予想量を算出する。そして、報告部14は、応答情報の示す充電予定エリアに基づいて、節電要請側の管轄する発電エリアごとに各充電対象車両202の節電予想量の合計値を算出する。
【0084】
なお、応答情報は、節電時間を含まなくてもよい。この場合、報告部14は、たとえば、節電期間における所定割合の時間だけ充電対象車両202が充電を行なわなかったと仮定して節電予想量を算出する。
【0085】
また、応答情報は、充電予定エリアを含まなくてもよい。この場合、報告部14は、たとえば、充電情報から節電期間に対応する充電予定エリアを取得し、取得した充電予定エリアにおいて、充電対象車両202が充電を行なわなかったと仮定して節電予想量を算出する。
【0086】
また、応答情報は、「普通充電」および「急速充電」等、充電対象車両202の充電種別を含んでもよい。この場合、報告部14は、たとえば、充電対象車両202の車種、節電時間および充電種別に基づいて、当該充電対象車両202の節電予想量を算出する。
【0087】
図6は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける報告情報の一例を示す図である。
【0088】
図6を参照して、報告情報は、たとえば、節電要請側の管轄する発電エリアと、節電イベントにおける節電予想量との対応関係を示すテーブルである。
【0089】
具体的には、図6に示す要求情報は、X市の節電予想量が2.5MWhであり、Y市の節電予想量が1.2MWhであり、Z市の節電予想量が1.3MWhであることを示している。X市、Y市およびZ市は、節電要請側の発電エリアの一単位である。なお、発電エリアは、このような単位に限らず、変電所単位で規定することも可能である。
【0090】
再び図2を参照して、車両側取得部13は、充電対象車両202から節電イベントへの参加結果を示す結果情報を取得する。具体的には、車両側取得部13は、充電対象車両202から送信された結果情報を受信して報告部14へ出力する。
【0091】
なお、車両側取得部13は、充電ステーション等、充電対象車両202以外の装置から結果情報を取得してもよい。
【0092】
結果情報は、たとえば、車両IDと、節電期間における充電エリアと、節電イベントへの参加時間すなわち節電時間との対応関係を示すテーブルである。
【0093】
報告部14は、車両側取得部13から受けた各充電対象車両202からの結果情報に基づいて、発電エリアと節電量の合計値との対応関係を示す総合結果情報を作成して要請側管理装置201へ送信する。
【0094】
たとえば、報告部14は、車両側取得部13から結果情報を受けると、記憶部15における充電情報を参照することにより、総合結果情報を作成する。
【0095】
具体的には、報告部14は、結果情報の示す車両IDから充電対象車両202の車種を特定し、特定した車種、および結果情報の示す節電時間に基づいて、当該充電対象車両202で削減された消費電力量すなわち節電量を算出する。そして、報告部14は、結果情報の示す充電エリアに基づいて、節電要請側の管轄する発電エリアごとに各充電対象車両202の節電量の合計値を算出する。
【0096】
要請側管理装置201は、たとえば、電力消費管理装置101から受信した総合結果情報に基づいて、前述のインセンティブ情報を作成して電力消費管理装置101へ送信する。
【0097】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムが電力消費の抑制を行なう際の動作について説明する。
【0098】
電力消費管理システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0099】
図7は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置による節電要請情報の処理の手順を定めたフローチャートである。
【0100】
図7を参照して、まず、電力消費管理装置101は、充電対象車両202から車両電力消費情報を受信して(ステップS30)、充電情報を作成して記憶部15に保存するか、または記憶部15における充電情報を更新する(ステップS31)。
【0101】
電力消費管理装置101は、要請側管理装置201から節電要請情報を受信するまで(ステップS32でNO)、車両電力消費情報の受信および充電情報の更新を繰り返す(ステップS30およびステップS31)。なお、電力消費管理装置101は、節電要請情報を受信した後も、節電要請情報の処理と並行して車両電力消費情報の受信および充電情報の更新を行なってもよい。
【0102】
次に、電力消費管理装置101は、節電要請情報を要請側管理装置201から受信する(ステップS32でYES)。
【0103】
次に、電力消費管理装置101は、受信した節電要請情報に基づいて、節電要求先とすべき1または複数の充電対象車両202を選択し(ステップS33)、要求情報を作成して、選択した各充電対象車両202へ送信する(ステップS34)。
【0104】
次に、電力消費管理装置101は、すべての節電要求先の充電対象車両202から応答情報を受信するまで待機し(ステップS35でNO)、すべての節電要求先の充電対象車両202から応答情報を受信した場合(ステップS35でYES)、報告情報を作成して要請側管理装置201へ送信する(ステップS36)。なお、電力消費管理装置101は、すべての節電要求先の充電対象車両202から応答情報を受信するまで待機する構成に限らず、所定時間が経過すると、タイムアウト処理として、応答情報が一部到着していない場合でも報告情報を作成して要請側管理装置201へ送信する構成であってもよい。
【0105】
次に、電力消費管理装置101は、すべての節電要求先から結果情報を受信するまで待機し(ステップS37でNO)、すべての節電要求先から結果情報を受信した場合(ステップS37でYES)、総合結果情報を作成して要請側管理装置201へ送信する(ステップS38)。なお、電力消費管理装置101は、すべての節電要求先から結果情報を受信するまで待機する構成に限らず、所定時間が経過すると、タイムアウト処理として、結果情報が一部到着していない場合でも総合結果情報を作成して要請側管理装置201へ送信する構成であってもよい。
【0106】
図8は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムにおける電力消費の抑制処理のシーケンスの一例を示す図である。図8は、一例として、電力消費管理システム301において2つの充電対象車両202である充電対象車両A,Bが設けられる場合を示している。
【0107】
図8を参照して、まず、充電対象車両A,Bは、定期的または不定期に、車両電力消費情報を作成して電力消費管理装置101へ送信する。電力消費管理装置101は、充電情報の作成または更新を行なう(ステップS11,S12)。
【0108】
次に、要請側管理装置201は、たとえば翌日の電力需要を予測し、電力需給が逼迫する可能性が高い場合、電力消費の抑制を行なうべきであると判断する。そして、要請側管理装置201は、節電要請情報を電力消費管理装置101へ送信する(ステップS13)。
【0109】
次に、電力消費管理装置101は、要請側管理装置201から受信した節電要請情報に基づいて、電力需要施設3における電力消費の抑制を要求するための要求情報を作成し、作成した要求情報を充電対象車両A,Bへ送信する(ステップS14,S15)。
【0110】
次に、充電対象車両202は、電力消費管理装置101から要求情報を受信して、受信した要求情報に基づいて、節電イベントに参加するか否かの判断処理を行なう。なお、この判断処理は、充電対象車両202のユーザが行い、判断結果を充電対象車両202における車載装置に入力してもよい。充電対象車両A,Bは、要求情報に対する応答情報を作成して電力消費管理装置101へ送信する(ステップS16,S17)。
【0111】
次に、電力消費管理装置101は、充電対象車両A,Bから応答情報を受信し、受信した各応答情報に基づいて報告情報を作成し、作成した報告情報を要請側管理装置201へ送信する(ステップS18)。
【0112】
節電要請側では、要請側管理装置201が受信した報告情報に基づいて、たとえば、節電期間における総消費電力量の確認、および節電量が不足している場合の何らかの対処を講じることができる。
【0113】
次に、節電期間が終了し、充電対象車両A,Bは、結果情報を作成して電力消費管理装置101へ送信する(ステップS19,S20)。
【0114】
次に、電力消費管理装置101は、充電対象車両A,Bから結果情報を受信し、受信した各結果情報に基づいて総合結果情報を作成し、作成した総合結果情報を要請側管理装置201へ送信する(ステップS21)。
【0115】
ところで、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供可能とする技術が望まれる。
【0116】
本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、要請側取得部11は、節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得する。通知部12は、要請側取得部11によって節電要請情報が取得されると、充電対象車両202における電力消費の抑制を要求するための要求情報を充電対象車両202に通知する。車両側取得部13は、通知部12によって通知された要求情報に対する充電対象車両202からの応答情報を取得する。そして、報告部14は、車両側取得部13によって応答情報が取得されると、要請側取得部11によって取得された節電要請情報に対する報告情報であって、充電対象車両202の個別情報を含まない報告情報を節電要請側に通知する。
【0117】
このような構成により、電力消費管理装置101から要請側管理装置201へ提供される情報に、充電対象車両202の個別情報、たとえば充電対象車両202のユーザの個人情報、充電対象車両202の車種、および充電対象車両202の充電に関する情報等が含まれることを防ぐことができる。すなわち、充電対象車両202の個別情報を特定できないような報告情報を作成することにより、充電対象車両202に関する秘密保持を行いながら、必要な情報を節電要請側に伝えることができる。
【0118】
すなわち、電力消費管理装置101を運用する自動車会社等の事業者から要請側管理装置201を運用する電力会社等へ、充電対象車両202の個別情報を開示することなく、電力会社等からの節電要請を達成するとともに充電対象車両202の節電に関する報告を行なうことができる。
【0119】
したがって、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、充電対象車両に対して予め節電要請を行なうシステムとして、優れたシステムを提供することができる。
【0120】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、通知部12は、複数の充電対象車両202に要求情報を通知する。応答情報は、充電対象車両202の節電内容を含む。そして、報告部14は、車両側取得部13によって取得された各充電対象車両202からの応答情報の示す節電内容をまとめた節電内容を示す報告情報を節電要請側に通知する。
【0121】
このような構成により、複数の充電対象車両202に対して節電要請を行なった場合に、充電対象車両202に関する秘密保持を行いながら、電力消費管理装置101において節電予想量を集約して節電要請側に通知することができる。
【0122】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、充電対象車両202に通知される要求情報は節電期間を含む。充電対象車両202からの応答情報は、節電期間における当該充電対象車両202の位置を含む。そして、報告部14は、当該位置を含まない報告情報を節電要請側に通知する。
【0123】
このような構成により、電力消費管理装置101から要請側管理装置201に通知される情報に、充電対象車両202の個別情報として充電対象車両202の駐車場所および走行経路の情報等が含まれることを防ぐことができる。
【0124】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置では、通知部12は、複数の充電対象車両202に要求情報を通知する。報告部14は、車両側取得部13によって取得された各充電対象車両202からの応答情報の示す節電内容を所定の区域ごとにまとめた節電内容を示す報告情報を節電要請側に通知する。
【0125】
このような構成により、たとえば、充電対象車両202の充電予定エリアの情報を用いて、節電要請側の発電エリア単位の節電予想量を節電要請側に通知することができる。
【0126】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0127】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0128】
[付記1]
蓄電池を備えており前記蓄電池に蓄えられた電気エネルギーを用いて走行可能な車両と通信可能な電力消費管理装置であって、
節電要請側からの節電要請を示す節電要請情報を取得する要請側取得部と、
前記要請側取得部によって前記節電要請情報が取得されると、前記車両における電力消費の抑制を要求するための要求情報を前記車両に通知する通知部と、
前記通知部によって通知された前記要求情報に対する前記車両からの応答情報を取得する車両側取得部とを備え、
前記応答情報は、前記車両の節電内容と、前記車両の識別情報とを含み、
前記電力消費管理装置は、さらに、
前記車両側取得部によって前記応答情報が取得されると、前記要請側取得部によって取得された前記節電要請情報に対する報告情報であって、前記車両の個別情報を含まない報告情報を前記節電要請側に通知する報告部を備え、
前記通知部は、前記節電要請情報に基づいて前記要求情報を作成し、
前記応答情報の示す節電内容は、前記車両の節電時間を含み、
前記報告部は、前記識別情報に基づいて前記車両を特定し、特定結果および前記節電時間に基づいて、前記車両の節電内容を示す前記報告情報を作成する、電力消費管理装置。
【符号の説明】
【0129】
11 要請側取得部
12 通知部
13 車両側取得部
14 報告部
15 記憶部
16 ユーザ情報作成部
101 電力消費管理装置
201 要請側管理装置
202 充電対象車両
301 電力消費管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8