(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
膜天井用固定具の配列方向に沿って複数枚の膜材を配し、隣り合う膜材の側縁部近傍を重ね合わせた状態としながら、隣り合うそれぞれの膜材における重なり合った部分の端縁部を共通の膜天井用固定具に固定するとともに、
当該共通の膜天井用固定具の膜材用固定穴において、それぞれの膜材の端縁部に取り付けられた軸体を前後方向又は上下方向でずらして固定する
請求項3記載の膜天井の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の膜天井用固定具は、膜天井を形成する複数枚の膜材を隙間のない状態(本願の
図4に示すように、隣り合う膜材100の側縁部近傍を重ね合わせた状態)で張設しにくいものとなっていた。というのも、膜天井を形成する膜材は、通常、平面視矩形状とされ、その全体を張った状態に保つためには、少なくともその四隅部近傍(端縁部の両端近傍)を膜天井用固定具に固定する必要があるところ、一の膜材の側縁部と他の膜材の側縁部とを重ね合わせた状態にしようとすると、前記一の膜材における前記他の膜材に重なり合う部分の端縁部を固定する一の膜天井用固定具と、前記他の膜材における前記一の膜材に重なり合う部分の端縁部を固定する他の膜天井用固定具とが干渉する不具合が生じる。この不具合は、前記一の膜天井用固定具と前記他の膜天井用固定具とを1つの膜天井用固定具に集約すれば、解決することができるところ、従来の膜天井用固定具は、1つの膜天井用固定具で複数の膜材における重なり合う部分を容易に固定できる構造とはなっていなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、膜天井を形成する複数枚の膜材における重なり合う部分を1つの膜天井用固定具で容易に固定できるようにすることを目的とする。また、この膜天井用固定具を用いる膜天井の施工方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、
膜天井を形成する膜材の端縁部を建物の構造躯体に固定するための膜天井用固定具であって、
その後面側が建物の構造躯体に固定される第一部分と、
膜材の端縁部に取り付けられた軸体を挿通して固定するための膜材用固定穴を有し、第一部分から前方に突出して設けられた第二部分と、
その下端部に膜材の端縁部近傍を掛け回すことができるように、第二部分の前端部から下向きに設けられた第三部分と、
を有し、
膜材用固定穴を、前後方向に延びる長穴状に形成する、又は、前後方向に所定間隔を隔てて複数個形成することによって、膜材の端縁部を軸体を介して固定する位置を前後方向で調節することができるようにしたことを特徴とする膜天井用固定具
を提供することによって解決される。
【0008】
ここで、上記の「後面側」や「前方」や「前後方向」等の記載における「後」や「前」という語句は、膜天井用固定具における各部の相対的な位置関係を表すために用いたものに過ぎず、膜天井用固定具を使用する向きを限定するものではない。「後」や「前」という語句が膜天井用固定具における各部の相対的な位置関係を表したに過ぎないことについては、他の記載(ただし、「前記」等、空間的な位置関係を表さないものを除く。)においても同様である。同様に、上記の「下端部」や「下向き」や、下記の「上下方向」等の記載における「下」や「上」という語句も、膜天井用固定具における各部の相対的な位置関係を表すために用いたものに過ぎず、膜天井用固定具を使用する向きを限定するものではない。「下」や「上」という語句が膜天井用固定具における各部の相対的な位置関係を表したに過ぎないことについては、他の記載(ただし、「上記」等、空間的な位置関係を表さないものを除く。)においても同様である。
【0009】
このように、第二部分に対して膜材の端縁部を固定する箇所を前後方向で調節できるようにしたことによって、1つの膜天井用固定具において、一の膜材における他の膜材に重なり合った状態に配される部分の端縁部と、前記他の膜材における前記一の膜材に重なり合った状態に配される部分の端縁部とを、互いに干渉しないように前後方向にずらして固定することが可能になる。したがって、膜天井を形成する複数枚の膜材における重なり合う部分を1つの膜天井用固定具に容易に固定することが可能になる。
【0010】
また、上記課題は、
膜天井を形成する膜材の端縁部を建物の構造躯体に固定するための膜天井用固定具であって、
その後面側が建物の構造躯体に固定される第一部分と、
第一部分から前方に突出して設けられた第二部分と、
膜材の端縁部に取り付けられた軸体を挿通して固定するための膜材用固定穴を有し、その下端部に膜材の端縁部近傍を掛け回すことができるように、第二部分の前端部から下向きに設けられた第三部分と、
を有し、
膜材用固定穴を、上下方向に延びる長穴状に形成する、又は、上下方向に所定間隔を隔てて複数個形成することによって、膜材の端縁部を軸体を介して固定する位置を上下方向で調節することができるようにしたことを特徴とする膜天井用固定具
を提供することによっても解決される。
【0011】
このように、第三部分に対して膜材の端縁部を固定する箇所を上下方向で調節できるようにしたことによって、1つの膜天井用固定具において、一の膜材における他の膜材に重なり合った状態に配される部分の端縁部と、前記他の膜材における前記一の膜材に重なり合った状態に配される部分の端縁部とを、互いに干渉しないように上下方向にずらして固定することが可能になる。したがって、膜天井を形成する複数枚の膜材における重なり合う部分を1つの膜天井用固定具に容易に固定することが可能になる。
【0012】
以上のように、本発明の膜天井用固定具には、膜材の端縁部を固定する箇所を第二部分において前後方向で調節することができるようにしたものと、膜材の端縁部を固定する箇所を第三部分において上下方向で調節することができるようにしたものとの2つのタイプがある。以下においては、前者の膜天井用固定具を「前後調節タイプの膜天井用固定具」と呼び、後者の膜天井用固定具を「上下調節タイプの膜天井用固定具」と呼ぶことがある。前後調節タイプの膜天井用固定具に係る構成(前後方向に延びる長穴状の膜材用固定穴を第二部分に設ける、又は、第二部分に複数個の膜材用固定穴を前後方向に所定間隔を隔てて設ける構成)と、上下調節タイプの膜天井用固定具に係る構成(上下方向に延びる長穴状の膜材用固定穴を第三部分に設ける、又は、第三部分に複数個の膜材用固定穴を上下方向に所定間隔を隔てて設ける構成)は、1つの膜天井用固定具において同時に採用してもよい。この場合の膜天井用固定具は、前後調節タイプの膜天井用固定具と上下調節タイプの膜天井用固定具との両方の特徴を兼ね備えたものとなる。以下においては、この膜天井用固定具を「複合タイプの膜天井用固定具」と呼ぶことがある。
【0013】
さらに、上記課題は、
上記の前後調節タイプの膜天井用固定具、上下調節タイプの膜天井用固定具、又は、複合タイプの膜天井用固定具を用いる膜天井の施工方法であって、
所定間隔を隔てて列状に配した複数の膜天井用固定具におけるそれぞれの第一部分を建物の構造躯体に固定し、
それぞれの膜天井用固定具における第三部分の下端部に、膜材の端縁部近傍を掛け回した状態とし、
膜材の端縁部に取り付けられた軸体を、膜材用固定穴に挿通して固定する
ことを特徴とする膜天井の施工方法
を提供することによっても解決される。
【0014】
本発明の膜天井の施工方法においては、
膜天井用固定具の配列方向に沿って複数枚の膜材を配し、隣り合う膜材の側縁部近傍を重ね合わせた状態としながら、隣り合うそれぞれの膜材における重なり合った部分の端縁部を共通の膜天井用固定具に固定するとともに、
当該共通の膜天井用固定具の膜材用固定穴において、それぞれの膜材の端縁部に取り付けられた軸体を前後方向又は上下方向でずらして固定する
ようにすることが好ましい。
【0015】
本発明の膜天井の施工方法は、上記の前後調節タイプの膜天井用固定具や上下調節タイプの膜天井用固定具や複合タイプの膜天井用固定具を用いて好適に実施することが可能なものとなっている。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によって、膜天井を形成する複数枚の膜材における重なり合う部分を1つの膜天井用固定具で容易に固定することができる。かかる膜天井用固定具によって、膜天井の施工方法を提供することも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の膜天井用固定具と、この膜天井用固定具を用いた本発明の膜天井の施工方法とについて、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、説明の便宜上、前後調節タイプの膜天井用固定具と上下調節タイプの膜天井用固定具との両方の特徴を兼ね備えた複合タイプの膜天井用固定具を例に挙げて説明するが、以下で述べる内容は、複合タイプの膜天井用固定具に限定されず、前後調節タイプの膜天井用固定具や上下調節タイプの膜天井用固定具においても好適に採用することができる。
【0019】
1.膜天井の施工方法
まず、膜天井の施工方法について説明する。
図1は、本発明に係る膜天井用固定具10を用いて膜天井を施工した状態を示した斜視図である。
図1においては、図示の便宜上、膜材100における重なり合わない部分の端縁部を支持する2つの膜天井用固定具10(後述する
図3に表した膜天井用固定具10の間に配される2つの膜天井用固定具10)を示しており、これら以外の膜天井用固定具10については図示を省略している。また、
図1においては、図示の便宜上、紙面に向かって左側に描いた膜天井用固定具における第二部分12の一部と第三部分13の一部とを破断して描いている。
図2は、本発明に係る膜天井用固定具10を用いて膜天井を施工した状態を、
図1におけるy軸方向負側から見た状態を示した図である。
図3は、本発明に係る膜天井用固定具10を用いて膜天井を施工した状態を、
図1におけるz軸方向正側から見た状態を示した図である。
図3においては、図示の便宜上、膜材100における重なり合う部分(重なり部A)の端縁部を支持する3つの膜天井用固定具10(上述した
図1に表した2つの膜天井用固定具10の隣に配される膜天井用固定具10)を示しており、これら以外の膜天井用固定具10(例えば、上述した
図1に表した、膜材100における重なり合わない部分の端縁部を支持する膜材固定用具10)については図示を省略している。
図4は、
図3の膜材100を、同図におけるX
1−X
1面で切断した状態を示した断面斜視図である。
図4においては、図示の便宜上、膜材100の厚さ(z軸方向の厚さ)と、重なり部Aの幅(y軸方向の幅)を、実際よりも強調して模式的に描いている。
【0020】
本実施態様の膜天井の施工方法は、後述する膜天井用固定具固定工程と、掛け回しガイド固定工程と、アタッチメント取付工程と、膜材固定工程と、張り具合調節工程とを経て膜天井を施工するものとなっている。以下、各工程について詳しく説明する。ただし、各工程は、必ずしも、以下に述べる順番で行う必要はなく、膜天井の施工が可能な範囲でその順番を変更することもできる。例えば、膜天井用固定具固定工程と、掛け回しガイド固定工程とは、その順番を逆にしてもよいし、アタッチメント取付工程は、膜天井用固定具固定工程よりも先に行ってもよい。
【0021】
1.1 膜天井用固定具固定工程
膜天井用固定具固定工程は、
図1及び
図3に示すように、建物の構造躯体200に対して、複数の膜天井用固定具10におけるそれぞれの第一部分11を、所定間隔を隔てて列状に固定する工程である。
図1及び
図3では、一側(x軸方向負側)の構造躯体200しか描いていないが、この一側の構造躯体200と対向する他側(x軸方向正側)にも別の構造躯体200があり、当該他側の構造躯体200に対しても、複数の膜天井用固定具10を同様に固定する。一側の構造躯体200に固定された膜天井用固定具10(以下、「一側の膜天井用固定具」と表記することがある。)は、膜材100における一方(x軸方向負側)の端縁部を固定するために用いられ、他側の構造躯体200に固定された膜天井用固定具10(以下、「他側の膜天井用固定具」と表記することがある。)は、膜材100における他方(x軸方向正側)の端縁部を固定するために用いられる。通常、一側の膜天井用固定具10と他側の膜天井用固定具10は、1対1で対応するように互いに対向配置される。以下においては、一側の膜天井用固定具10を例に挙げて、膜天井の施工方法を説明するが、他側の膜天井用固定具10も、一側の膜天井用固定具10と同様に施工することができる。
【0022】
構造躯体200に対して膜天井用固定具10を固定するピッチ(y軸方向でのピッチ)は、膜天井用固定具10の重量や使用する膜材100の重量等によっても異なり、特に限定されない。しかし、膜天井用固定具10を固定するピッチを狭くしすぎると、使用する膜天井用固定具10の個数が増大する分、天井の単位面積当たりの重量が増大してしまう。特に、平成26年4月に施行された改正建築基準法施行例等においては、天井の単位面積当たりの重量が2kg/m
2を超えると、特定天井(脱落によって重大な危害を生ずる虞がある天井)に該当し、同法令等で定められる天井脱落対策等を施す必要が生じるようになっている。このため、膜天井用固定具10は、膜材100や他の部材(後述する掛け回しガイド20や、アタッチメント30や、構造躯体固定部材51や、掛け回しガイド固定部材52)を含めて、天井の単位面積当たりの重量が2kg/m
2以下となるピッチで固定することが好ましい。一方、膜天井用固定具10を固定するピッチを広くしすぎると、膜材100の端縁部に弛んだ箇所が生じやすくなり、施工後の膜材100にシワ等が形成されやすくなる。このため、膜天井用固定具10を固定するピッチは、2m以下とすることが好ましく、1m以下とすることがより好ましい。本実施態様においては、横幅(y軸方向の幅)が2mの1枚の膜材100の一方の端縁部を、等ピッチで配した4個の膜天井用固定具10に固定するようにしており、膜天井用固定具10を固定するピッチは、70cm弱となっている。
【0023】
ところで、膜天井用固定具10を固定する構造躯体200としては、壁材や柱材や梁材等が例示される。本実施態様において、膜天井用固定具10を固定する構造躯体200は、建物の内壁を形成する壁材としており、当該壁材の室内側の面に、膜天井用固定具10の第一部分11を固定するようにしている。また、膜天井用固定具10における第一部分11を構造躯体100に固定する方法は、特に限定されない。本実施態様においては、
図2に示すように、膜天井用固定具10の第一部分11に設けた構造躯体用固定穴11aに構造躯体固定部材51を挿通することによって、膜天井用固定具10における第一部分11を構造躯体100に固定している。構造躯体固定部材51の種類も、特に限定されないが、本実施態様においては、ボルトとナットとワッシャを用いている。さらに、本実施態様においては、施工後の膜材100が略水平に張られた状態となるように、膜天井用固定具10の配列方向を水平面に対して平行(y軸方向と平行)とし、且つ、一側の膜天井用固定具10と他側の膜天井用固定具10とを同じ高さに配しているが、膜天井の施工態様等によっては、膜天井用固定具10の配列方向を水平面(x−y平面)に対して非平行となるようにしてもよいし、一側の膜天井用固定具10と他側の膜天井用固定具10とを異なる高さに配してもよい。
【0024】
1.2 掛け回しガイド固定工程
掛け回しガイド固定工程は、
図1〜3に示すように、膜天井用固定具10における第三部分13の下端部に対して、掛け回しガイド20を固定する工程である。掛け回しガイド20は、膜天井用固定具10の配列方向(y軸方向)に平行に配され、複数の膜天井用固定具10におけるそれぞれの第三部材13に対して架け渡された状態に取り付けられる。この掛け回しガイド20は、
図1及び
図2に示すように、その外周部に膜材100の端縁部近傍を掛け回すことにより、膜材100にシワが形成されない状態で、膜材100の端縁部を上方に折り返すためのガイドとして機能する部材となっている。
【0025】
掛け回しガイド20は、上記の機能を発揮できるのであれば、それに用いる部材の種類を特に限定されないが、中空な柱状部材を用いると、掛け回しガイド20を軽量化でき、天井の単位面積当たりの重量を削減することが可能になる。本実施態様においては、断面C字状の溝型鋼材(いわゆるチャンネル鋼材)を掛け回しガイド20として用いている。また、膜天井用固定具10の第三部分13に対して掛け回しガイド20を固定する方法も特に限定されない。本実施態様においては、
図2に示すように、第三部分13に設けた掛け回しガイド用固定穴13bに掛け回しガイド固定部材52を挿通することによって、第三部分13に掛け回しガイド20を固定している。掛け回しガイド固定部材52の種類も特に限定されないが、本実施態様においては、ボルトとナットとワッシャを用いている。掛け回しガイド20は、連続した1本の柱状部材によって構成してもよいが、膜天井を施工する面の横幅(y軸方向の幅)が長い場合等には、複数本の柱状部材を継いで構成してもよい。
【0026】
ところで、膜天井を形成する膜材100の素材の種類は、特に限定されず、膜天井としての使用に耐え得る程度の引張強度と可撓性を有する各種シート材を採用することができる。樹脂シートは、膜材100として好適に用いることができる。なかでも、ガラス繊維や金属線等からなる基布を合成樹脂でコーティングした樹脂シートは、膜材100として好適に用いることができる。ただし、膜材100の単位面積当たりの重量が大きすぎると、天井の単位面積当たりの重量も増大してしまう。このため、膜材100は、単位面積当たりの重量が、3kg/m
2以下の素材で形成することが好ましく、2kg/m
2以下の素材で形成することがより好ましく、1kg/m
2以下の素材で形成することがさらに好ましい。本実施態様においては、ガラス繊維からなる基布を樹脂でコーティングした、厚さ1mm未満の樹脂シートを、膜材100として用いており、膜材100の単位面積当たりの重量は、約0.5kg/m
2となっている。
【0027】
1.3 アタッチメント取付工程
アタッチメント取付工程は、
図1及び
図2に示すように、膜材100の端縁部にアタッチメント30を取り付ける工程である。本実施態様の膜天井の施工方法において、膜材100の端縁部は、後述するように、膜天井用固定具10における、第二部分12に設けられた膜材用固定穴12a、又は、第三部分13に設けられた膜材用固定穴13aに固定されるところ、アタッチメント30は、膜材100の端縁部を膜材用固定穴12a又は膜材用固定穴13aに固定しやすくするためのものとなっている。
【0028】
アタッチメント30は、膜天井用固定具10における膜材用固定穴12a又は膜材用固定穴13aに挿通する軸体33を、膜材100の端縁部に取り付けることができるものであれば、その具体的な構成を限定されない。本実施態様においては、
図2に示すように、アタッチメント30を、ループ挿通部材31と、連結部材32と、複数の軸体33と、調節部材34とで構成している。ループ挿通部材31は、膜材100の端縁部近傍に形成されたループに挿通するための棒状部材となっている。連結部材32は、ループ挿通部材31と軸体33とを連結するためのレール状部材となっている。連結部材32におけるループ挿通部材31が配される側には、ループ挿通部材31を保持するための第一保持溝32aが設けられており、連結部材32における軸体33が配される側には、軸体33に設けられた頭部33bを保持するための第二保持溝32bが設けられている。軸体33は、既に述べた通り、膜天井用固定具10における膜材用固定穴12a又は膜材用固定穴13aに挿通するための部材となっている。本実施態様においては、外周面にネジ溝が切られたネジ軸部33aと拡径された頭部33bとを有するボルトを軸体33として用いている。軸体33は、その配置ピッチ(y軸方向のピッチ)が、膜天井用固定具10を構造躯体200に固定するピットと一致するように設けられる。調節部材34は、膜材用固定穴12a又は膜材用固定用13aに対する軸体33の挿通深さを調節するための部材となっている。本実施態様においては、軸体33のネジ軸部33aに螺合可能なナットを調節部材34として用いている。
【0029】
1.4 膜材固定工程
膜材固定工程は、
図1及び
図2に示すように、膜材100の端縁部に取り付けられた複数の軸体33を、構造躯体200に固定された複数の膜天井用固定具10におけるそれぞれの第二部分12に設けられた膜材用固定穴12a、又は、それぞれの第三部分13に設けられた膜材用固定穴13aに挿通して固定することによって、膜材100の端縁部を膜天井用固定具10に固定する工程である。本実施態様においては、膜天井用固定具10の第二部分12における一側(z軸方向負側)から膜材用固定穴12aに軸体33を挿入し、第二部分12から反対側(z軸方向正側)に突き出た軸体33に調節部材34を螺合することによって、膜材100の端縁部を膜天井用固定具10に固定するようにしている。
【0030】
ところで、施工状況等によっては、膜天井用固定具10における第二部分12の膜材用固定穴12aに軸体33を挿通して固定することが困難な場合もあるが、このような場合には、膜天井用固定具10における第三部分13の膜材用固定穴13aに軸体33を挿通して固定するとよい。逆に言うと、膜天井用固定具10における第三部分13の膜材用固定穴13aに軸体33を挿通して固定することが困難な場合には、膜天井用固定具10における第二部分12の膜材用固定穴12aに軸体33を挿通して固定するとよい。本実施態様で用いる膜天井用固定具10は、既に述べた通り、複合タイプのものであるところ、複合タイプの膜天井用固定具10は、このように、膜材100の端縁部を固定する箇所を、施工状況等に応じて変更することができるものとなっている。
【0031】
膜天井を複数枚の膜材100により構成する場合には、全ての膜材100について上記の作業を行う。本実施態様においては、
図3に示すように、複数枚の膜材100(第一膜材101、第二膜材102、第三膜材103、第四膜材104・・・)によって膜天井を構成するようにしている。それぞれの膜材100は、平面視矩形状を為し(z軸方向正側から見たときに矩形状を為し)、x軸方向に細長い帯状を為している。それぞれの膜材100は、互いに平行となるように、膜天井用固定具10の配列方向(y軸方向)に並んだ状態に設けている。このとき、一の膜材100と、当該一の膜材100の隣に配される他の膜材100は、その間に隙間が形成されるように配してもよいが、本実施態様においては、
図4に示すように、隣り合う膜材100の側縁部(y軸方向における両側の縁部)近傍を重ね合わせた状態に配しており、隣り合う膜材100の間に隙間が形成されないようにしている。
図4におけるA部は、隣り合う膜材100が重なり合った部分(重なり部)を示している。
図3におけるA部も同様である。このように、隣り合う膜材100の側縁部近傍を重ね合わせた状態とすることにより、膜天井を複数枚の膜材100によって構成する場合でも、膜天井を連続的に施工することが可能になる。重なり部Aの幅(y軸方向の幅)は、特に限定されないが、通常、5〜50cm程度とされ、好ましくは、10〜30cm程度とされる。
【0032】
膜天井を複数枚の膜材100によって構成し、隣り合う膜材100の側縁部近傍を重ね合わせた状態とする場合には、それぞれの膜材100において、一方の側縁部が上側に重なる場合には、当該一の膜材10における他方の側縁部が下側に重なるようにすることが好ましい。本実施態様においては、
図4に示すように、いずれの膜材100においても、y軸方向負側の側縁部が上側に重なり、y軸方向正側の側縁部が下側に重なるようにしている。これにより、膜天井の見た目を良くするだけでなく、隣り合う膜材100が重なり部Bで密着しやすくなる。また、この場合には、膜材100における下側に重なる側(y軸方向正側)の側縁部が、膜天井が施工される部屋の入口から遠くなるようにする(膜材100における上側に重なる側(y軸方向負側)の側縁部が、前記入口から近くなるようにする)ことが好ましい。これにより、入口から部屋に入って来た人が、膜材100の重なり部Aにおける段差部に気づきにくくして、膜天井の見た目を良くすることが可能になる。
【0033】
また、本実施態様においては、
図3に示すように、隣り合うそれぞれの膜材100における重なり部Aの端縁部を共通の膜天井用固定具10に固定している。換言すると、一の膜材100(例えば第二膜材102)における一対の重なり部Aのうち、y軸方向負側の重なり部Aの端縁部を固定する膜天井用固定具10は、それよりもy軸方向負側に配される他の膜材(例えば第一膜材101)におけるy軸方向正側の重なり部Aの端縁部を固定する膜天井用固定具10と共通とされており、これら以外の膜材100における重なり部Aの端縁部を固定する膜天井用固定具10も同様とされている。加えて、本実施態様においては、上記の共通の膜天井用固定具10の膜材用固定穴12aにおいて、それぞれの膜材100の端縁部に取り付けられた軸体33を前後方向(x軸方向)にずらして固定している。より具体的には、一の膜材100(例えば第二膜材102)における一対の重なり部Aのうち、y軸方向負側の重なり部Aの端縁部に設けられた軸体33は、膜天井用固定具10の膜材用固定穴12aにおけるx軸方向正側に寄った箇所に固定し、前記一の膜材100におけるy軸方向正側の重なり部Aの端縁部に設けられた軸体33は、膜天井用固定具10の膜材用固定穴12aにおけるx軸方向負側に寄った箇所に固定しており、前記一の膜材100以外の膜材100に設けられた軸体33についても同様としている。
【0034】
このため、本実施態様では、隣り合う一の膜材100と他の膜材100とのそれぞれの重なり部Aの端縁部を共通の膜天井用固定具10に固定するようにしており、一の膜材100の端縁部に固定された軸体33が他の膜材100の端縁部に固定された軸体33と同じ膜材用固定穴12aに固定されるようになっているにもかかわらず、一の膜材100の端縁部と他の膜材100の端縁部とが干渉しないようにすること(より具体的には、一の膜材100の端縁部に取り付けられたアタッチメント30と、他の膜材100の端縁部に取り付けられたアタッチメント30とが干渉しないようにすること)が可能となっている。膜材100の端縁部に取り付けられた軸体33を前後方向(x軸方向)にずらしながら固定する構成を採用すると、膜材100を何枚でもy軸方向に並べて配置することが可能である。なお、以上では、膜天井用固定具10の第二部分12における膜材用固定穴12aに対して軸体33を前後方向(x軸方向)にずらしながら固定する場合について説明したが、膜天井用固定具10の第三部分13における膜材用固定穴13aに対して軸体を上下方向(z軸方向)にずらしながら固定しても、同様の効果が得られる。
【0035】
1.5 張り具合調節工程
引張り具合調節工程は、上記の膜材固定工程でその両側の端縁部が膜天井用固定具10に固定された状態となっている膜材100の張り具合を調節する工程である。膜材固定工程を終えたばかり段階では、膜材100は、弛んでその中央部(x軸方向の中央部)が垂れ下がった状態となっているところ、その張り具合が所望のレベルになるまで、膜材100の端縁部(膜天井用固定具10に固定された端縁部)を引っ張っていく。天井膜を複数枚の膜材100で構成し、隣り合う膜材100の側縁部近傍を重ね合わせた状態としている場合には、上側に重なる膜材100から順に張り具合を調節していく(本実施態様においては、
図4におけるy軸方向正側に配された膜材100から順に張り具合を調節していく)とよい。
【0036】
膜材100の張り具合を調節する方法は、特に限定されない。本実施態様においては、
図2を用いて既に説明した通り、膜材100の端縁部に取り付けるアタッチメント30を、ループ挿通部材31と、連結部材32と、軸体33と、調節部材34とで構成しており、軸体33をボルトとし、調節部材34をナットとしているところ、軸体33(ボルト)のネジ軸部33aに対して調節部材34(ナット)を所定の方向に回転させ、調節部材34(ナット)を軸体33(ボルト)のネジ軸部33aにおける頭部33bに近い側(z軸方向負側)に移動させることによって、膜材100の端縁部が上側(z軸方向正側)に引っ張られて、膜材100の弛みが緩むようにしている。
【0037】
1.6 用途
以上で述べた全ての工程を終えると、本実施態様の膜天井の施工方法は終了する。本実施態様の膜天井の施工方法の用途(施工する建物等)は、特に限定されない。しかし、本実施態様の膜天井の施工方法を採用すれば、耐震性や安全性に優れた膜天井を容易に施工することも可能である。このため、本実施態様の膜天井の施工方法は、高い耐震性や安全性が要求される建物の天井を施工する場合に好適に採用することができる。また、本実施態様の膜天井の施工方法を採用すれば、デザイン性に優れた膜天井を容易に施工することも可能である。このため、本実施態様の膜天井の施工方法は、デザイン性が要求される天井を施工する場合にも好適に採用することができる。本実施態様の膜天井の施工方法は、体育館や屋内プールやホールや駅等の比較的大規模な建物における大空間に膜天井を施工する場合だけでなく、一般家屋等の比較的小規模な建物における小空間に膜天井を施工する場合においても、好適に採用することができる。特に、学校の教室における天井が膜天井で置き換えられつつあることについては、既に述べたが、本実施態様の膜天井の施工方法は、教室に膜天井を施工する場合においても、好適に採用することができる。また、本実施態様の膜天井の施工方法は、上述したような建物内の部屋に膜天井を施工する場合だけでなく、屋外に膜天井(膜屋根)を施工する場合にも好適に採用することができる。
【0038】
2.膜天井用固定具
続いて、上記の膜天井の施工方法で用いた膜天井用固定具10について説明する。既に述べた通り、本実施態様の膜天井用固定具10は、前後調節タイプと上下調節タイプとの両方の特徴を兼ね備えた複合タイプのものとなっている。
図5は、本発明に係る膜天井用固定具10を示した斜視図である。
図5の斜視図は、作図の便宜上、角部におけるアール部や面取り部を省略して描いている。
図6は、
図5の膜天井用固定具10を、同図におけるy軸方向負側から見た状態を示した図である。
図7は、
図5の膜天井用固定具10を、同図におけるz軸方向正側から見た状態を示した図である。
図8は、
図5の膜天井用固定具10を、同図におけるx軸方向正側から見た状態を示した図である。
【0039】
本実施態様の膜天井用固定具10は、
図5に示すように、第一部分11と、第一部分11から前方(同図におけるx軸方向正側)に突出して設けられた第二部分12と、第二部分の前端部(x軸方向正側の端部)から下向き(同図におけるz軸方向負側を向く向き)に設けられた第三部分13とで構成されており、
図6に示すように、その側面視形状(y軸方向負側から見た形状)が逆L字状を為すものとなっている。膜天井用固定具10の素材は、必要な強度を有するのであれば、特に限定されないが、通常、金属材とされる。本実施態様の膜天井用固定具10も、金属材によって形成している。具体的には、第一部分11を鋼板によって形成し、第二部分12及び第三部分13を断面C字状の溝型鋼によって形成するとともに、第一部分11と第二部分12、及び、第二部分12と第三部分13とを互いに溶接する(
図6及び
図7において三角状に黒く塗り潰して描いた部分で溶接する)ことによって一体化したものを、膜天井用固定具10としている。
【0040】
第一部分11は、建物の構造躯体200(
図1を参照。)に対して膜天井用固定具10を固定するための部分となっている。既に述べた通り、第一部分11を構造躯体200に固定する方法は、特に限定されないが、本実施態様においては、
図5に示すように、第一部分11の両端部(y軸方向正側の端部とy軸方向負側の端部)近傍に一対の構造躯体用固定穴11aを設けている。このため、
図2に示すように、構造躯体固定部材51(
図2を参照。)を構造躯体用固定穴11aに挿入することによって、膜天井用固定具10を構造躯体200に固定できるようにしている。
【0041】
第二部分12は、
図2に示すように、第三部材13の下端部に掛け回された膜材100の端縁部を固定するための部分(より正確には、第三部材13の下端部に固定された掛け回しガイド20に掛け回された膜材100の端縁部に取り付けられたアタッチメント30の軸体33を固定するための部分)となっている。このため、第二部分12には、膜材用固定穴12aが形成されている。この膜材用固定穴12aでは、アタッチメント30の軸体33を固定する箇所を前後方向(
図2におけるx軸方向)で調節することができるようにしている。本実施態様の膜天井用固定具10において、膜材用固定穴12aは、
図7に示すように、前後方向(同図におけるx軸方向)に延びる長穴状に形成しているが、前後方向に所定間隔を隔てて複数個の膜材用固定穴12aを設けてもよい(この場合、それぞれの膜材用固定穴12aを長穴状にする必要はない。)。
【0042】
膜材用固定穴12aの長さL
1(
図7を参照。複数個の膜材用固定穴12aを前後方向に所定間隔を隔てて設ける場合には、最もx軸方向負側に配された膜材用固定穴12aのx軸方向負側の端部から、最もx軸方向正側に配された膜材用固定穴12aのx軸方向正側の端部までの距離。)は、軸体33におけるネジ軸部33aの外径の2倍以上であれば、特に限定されない。しかし、膜材用固定穴12aの長さL
1は、長くした方が、膜材用固定穴12aに対する軸体33の固定箇所の調節しろが増大する。このため、膜材用固定穴12aの長さL
1は、ネジ軸部33aの外径の4倍以上とすることが好ましく、8倍以上とすることがより好ましい。一方、膜材用固定穴12aの長さL
1は、長くしすぎても、第二部分12が大型化するだけで、あまりメリットがない。このため、膜材用固定穴12aの長さL
1は、通常、ネジ軸部33aの外径の20倍以下とされる。ここで、膜材用固定穴12aの長さL
1について述べた内容は、後述する第三部分13に設ける膜材用固定穴13aを上下方向(z軸方向)に延びる長穴状に形成する場合においても当てはまる。本実施態様の膜天井用固定具10において、ネジ軸部33aの外径は6mmであるのに対し、膜材用固定穴12aの長さL
1は78mm(ネジ軸部33aの外径の13倍)としている。
【0043】
第三部分13は、
図2に示すように、その下端部(z軸方向負側の端部)に膜材100の端縁部近傍を掛け回すための部分(より正確には、膜材100の端縁部近傍を掛け回す掛け回しガイド20を固定するための部分)となっている。既に述べた通り、第三部分13に対して掛け回しガイド20を固定する方法は、特に限定されないが、本実施態様においては、
図8に示すように、第三部分13の下端部(同図におけるz軸方向負側の端部)に、掛け回しガイド用固定穴13bを設けている。このため、
図2に示すように、掛け回しガイド固定部材52を掛け回しガイド用固定穴13bに挿通することで、掛け回しガイド20を第三部分13に固定できるようになっている。
【0044】
第三部分13における第二部分12よりも下側に突き出る部分の長さL
2(
図6を参照。)は、特に限定されない。しかし、長さL
2を短くしすぎると、膜材100の端縁部を引っ張り上げることができるスペースが小さくなり、上記の張り具合調節工程を行いにくくなる虞がある。また、後述するように、第三部分13には、膜材用固定穴13aが設けられるが、第三部分13に膜材用固定穴13aを設けるスペースがなくなる虞もある。このため、長さL
2は、50mm以上とすることが好ましく、100mm以上とすることがより好ましく、130mm以上とすることがさらに好ましい。一方、長さL
2は、長くしすぎても、第三部分13が大型化するだけで、あまりメリットがない。このため、長さL
2は、通常、300mm以下とされ、200mm以下とすることが好ましい。本実施態様の膜天井用固定具10において、長さL
2は、153mmとなっている。
【0045】
また、本実施態様の膜天井用固定具10は、複合タイプのものとなっているため、第三部分13は、膜材100の端縁部を固定する部分(より正確には、第三部材13の下端部に固定された掛け回しガイド20に掛け回された膜材100の端縁部に取り付けられたアタッチメント30の軸体33を固定するための部分)としても機能するようになっている。このため、第三部分13には、
図8に示すように、膜材用固定穴13aが形成されている。この膜材用固定穴13aでは、アタッチメント30の軸体33を固定する箇所を上下方向(z軸方向)で調節することができるようにしている。本実施態様の膜天井用固定具10において、膜材用固定穴13aは、上下方向に所定間隔を隔てて複数個を形成しているが、上下方向(同図におけるx軸方向)に延びる長穴状に形成してもよい(この場合、膜材用固定穴13aは複数個形成する必要はない。)。
【0046】
第三部分13に複数個の膜材用固定穴13aを設ける場合、膜材用固定穴13を設ける個数は、2個以上であれば、特に限定されない。しかし、膜材用固定穴13aの個数は、多くした方が、膜材用固定穴13aに対する軸体33の固定箇所を多段階で調節することができるようになる。このため、膜材用固定穴13aの個数は、3個以上とすることが好ましく、4個以上とすることがより好ましい。一方、膜材用固定穴13aの個数は、多くしすぎても、第三部分13を大型化させる必要が生じるばかりであまりメリットはない。このため、膜材用固定穴13aの個数は、通常、20個以下、好ましくは、10個以下とされる。ここで、膜材用固定穴13aの個数について述べた内容は、上述した第二部分12に複数個の膜材用固定穴12aを設ける場合についても当てはまる。本実施態様の膜天井用固定具10において、膜材用固定穴13aの個数は、4個となっている。
【0047】
以上で述べた膜天井用固定具10は、膜材100の端縁部を固定する位置を前後方向と上下方向との双方で調節できるものとなっており、上述した膜天井の施工方法において、好適に使用することができるものとなっている。以上では、複合タイプの膜天井用固定具10について説明したが、複合タイプの膜天井用固定具10における第三部分13の膜材用固定穴13aをなくして、第二部分12のみに膜材用固定穴12aを設けると、前後調節タイプの膜天井用固定具となり、複合タイプの膜天井用固定具10における第二部分12の膜材用固定穴12aをなくして、第三部分13のみに膜材用固定穴13aを設けると、上下調節タイプの膜材用固定具となる。