(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
<1>スルホン酸誘導体
本発明の一つの態様のスルホン酸誘導体は、上記一般式(1)で表される。なお、スルホン酸誘導体とはスルホン酸及びその塩をいう。また、本発明の上記一般式(1)で表されるスルホン酸誘導体は、光学活性でも不活性でもよい。
【0019】
本発明の一つの態様のスルホン酸誘導体は、α位の全部とβ位の一部の水素原子をフッ素原子に置換した特定の構造を有し、且つ、カルボニル基に結合するR
1基が少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物である。フッ素原子を有する特定の構造を有し、且つ、R
1基が少なくとも1つのヒロドキシル基を有することで、レジスト組成物の光酸発生剤として用いた場合、活性エネルギー線の照射により十分な酸強度を有する酸を発生するとともに、リソグラフィにおける解像性に優れ、且つ、微細パターンにおけるLWR(Line width roughness)を低減できる。
【0020】
また、上記一般式(1)のR
1基が少なくとも1つのヒドロキシル基を有することで、該スルホン酸誘導体を光酸発生剤として、例えばアクリレート構造又はヒドロキシル基等を有するベースポリマーと共に用いた場合、ベースポリマーとスルホン酸誘導体との水素結合等の相互作用により酸拡散性が小さくなる傾向がある。
ヒドロキシル基以外の置換基、例えばアミノ基、シアノ基等も水素結合等の相互作用に影響を有することが考えられるが、以下の理由により、ヒドロキシル基はこれらに比べて酸拡散性の抑制の点で顕著な効果を有する。アミノ基は光酸発生剤から発生する酸を失活させてしまうおそれがある。シアノ基は、ヒドロキシル基と比較して極性相互作用が弱い。シアノ基は、発生した酸と反応し、カルボキシル基となる可能性があり、該カルボキシル基はpKaが小さいため、水素結合等の相互作用がヒドロキシル基に加えて弱い。
ニトロ基は、プロトン供与性基ではないため、一般的にレジスト用ポリマーとして使用されるアクリル樹脂等との極性相互作用性が弱いと考えられる。
また、ハロゲン原子は露光中に分解し、活性なハロゲン種を生成する可能性がある。ハロゲン種の発生は、露光機等にダメージを与える恐れがあるため好ましくない。
【0021】
上記一般式(1)のR
1は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、且つ、該ヒドロキシル基以外の置換基を有していてもよい炭素数1〜200の1価の有機基を示す。該有機基として、好ましくは、炭素数1〜200の下記式(2)で表される基が挙げられる。
R
2−(A−R
3)
n− (2)
【0022】
上記式(2)において、R
2は、直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族炭化水素基;芳香族炭化水素基;並びに、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−N=、−S−、−SO−及び−SO
2−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を骨格に含む脂肪族複素環基又は芳香族複素環基;から選ばれるいずれかの1価の基である。
【0023】
また、Aは、各々独立に、直接結合;又は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−S−及び−CO−O−CH
2−CO−O−からなる群より選ばれるいずれかの基である。
【0024】
R
3は、各々独立に、直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族炭化水素基;芳香族炭化水素基;並びに、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−NHCO−、−CONH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−、−N=、−S−、−SO−及び−SO
2−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を骨格に含む脂肪族複素環基又は芳香族複素環基;より選ばれるいずれかの2価の基である。
【0025】
また、nは0又は1〜10の整数である。ただし、nが0のときR
2が前記ヒドロキシル基を有し、nが1以上のときR
2及びR
3のうち少なくともいずれかが上記ヒドロキシル基を有する。nは0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
【0026】
なお、R
1が置換基を有している場合、その置換基の炭素数も含めて、炭素数1〜200であることが好ましく、炭素数1〜100であることがより好ましく、炭素数1〜30であることがさらに好ましく、炭素数3〜30であることが特に好ましい。また、R
1が置換基を有していることが好ましく、すなわち、R
2及びR
3が有する少なくとも1つの水素が該置換基で置換されていることが好ましい。
【0027】
ヒドロキシル基以外にR
1が有していてもよい上記置換基としては、カルボキシル基、アルコキシ基(−OR
4)、アシル基(−COR
4)、アルコキシカルボニル基(−COOR
4)、アリール基(−Ar
1)、アリーロキシ基(−OAr
1)、ホスフィノ基、アルキルチオ基(−SR
4)及びアリールチオ基(−SAr
1)等を挙げることができるが、これらに制限されない。
【0028】
上記R
4は、炭素数1以上のアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルエキシル基等の分岐状アルキル基;これらの水素の1つがトリメチルシリル基、トリエチルシリル基及びジメチルエチルシリル基等のトリアルキルシリル基で置換されたシリル基置換アルキル基;これらの水素原子の少なくとも1つがシアノ基又はハロゲン基等で置換されたアルキル基;等が好ましく挙げられる。
【0029】
上置換基におけるAr
1は、アリール基であることが好ましい。上記Ar
1のアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントレニル基、ペンタレニル基、インデニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、ヘプタレニル基、ナフタセニル基、ピレニル基、クリセニル基、テトラセニル基、フラニル基、チエニル基、ピラニル基、チオピラニル基、ピロリル基、イミダゾイル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾイル基、及びピリジル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾフラニル基、イソクロメニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾイル基、キサンテニル基、アクアジニル基及びカルバゾイル基等が好ましく挙げられる。
【0030】
上記一般式(2)のR
2は置換基を有していても良い。R
2としての非置換の直鎖状又は分岐状の1価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基及びn−ドデシル基等のアルキル基;該アルキル基の炭素−炭素一重結合の少なくとも1つが、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合に置換されたアルケニル基又はアルキニル基;等を挙げることができる。
【0031】
上記一般式(2)のR
2の非置換の環状の1価の脂肪族炭化水素基としては、単環脂肪族炭化水素基、スピロ環脂肪族炭化水素基、橋かけ環脂肪族炭化水素基、縮合多環脂肪族炭化水素基、及び、これらのうち少なくとも2つ以上の基が直接に一重結合で又は二重結合を含む連結基で結合された連結多環脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0032】
上記単環脂肪族炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0033】
上記スピロ環脂肪族炭化水素基としては、スピロ[3,4]オクタン及びスピロビシクロペンタン等が挙げられる。
【0034】
上記橋かけ環脂肪族炭化水素基としては、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン及びアダマンタン等の2環以上の単環炭化水素が橋かけとなる骨格を有するもの等が挙げられる。
【0035】
上記縮合多環脂肪族炭化水素基としては、デカリン及び下記に示すステロイド骨格等を有する基が挙げられる。
【0037】
上記連結多環脂肪族炭化水素基としては、ビシクロヘキサン骨格等を有する基が挙げられる。
【0038】
上記1価の環状の脂肪族炭化水素基は、炭素−炭素一重結合の少なくとも1つが炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合に置換された基であってもよい。
【0039】
上記一般式(2)のR
2の置換基としては、上記一般式(1)のR
1の置換基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(2)のR
2としての置換基で置換された直鎖状、分岐状又は環状の1価の脂肪族炭化水素基としては、上記例示の非置換の1価の脂肪族炭化水素基が上述の置換基を有したものであり、具体的に例えば、ベンジル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロプロピル基、トリフルオロアセチルメチル基、トリクロロアセチルメチル基、ペンタフルオロベンゾイルメチル基、アミノメチル基、シクロヘキシルアミノメチル基、ジフェニルホスフィノメチル基、トリメチルシリルメチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基及び2−アミノエチル基等を挙げることができる。
【0040】
上記一般式(2)のR
2の1価の芳香族炭化水素基としては、単環芳香族炭化水素基、該単環芳香族炭化水素が少なくとも2環縮合した縮合多環芳香族炭化水素基、及び、該単環芳香族炭化水素の少なくとも2つが直接に一重結合で又は二重結合を含む連結基で結合された連結多環芳香族炭化水素基等を挙げることができる。これら芳香族炭化水素基は、上記置換基を有していてもよい。
【0041】
上記単環芳香族炭化水素基としては、シクロペンテン及びベンゼン等の骨格を有する基が挙げられる。
【0042】
上記縮合多環芳香族炭化水素基としては、インデン、ナフタレン、アズレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン及びフルオレン等の骨格を有する基が挙げられる。
【0043】
上記連結多環芳香族炭化水素基としては、ビフェニル、ターフェニル及びスチルベン等の骨格を有する基が挙げられる。
【0044】
上記一般式(2)のR
2の1価の脂肪族複素環基としては、オキセタン、シクロヘキサノン、アセチジン−2−オン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン及びキヌクリジン等の骨格を有する基が挙げることができる。またそれ以外に、上記の環状の脂肪族炭化水素基の中の炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子で置換されたものを挙げることができる。これら脂肪族複素環基は、上記置換基を有していてもよい。
【0045】
また、上記1価の脂肪族複素環基は、炭素−炭素一重結合、又は、炭素と炭素以外の原子(ヘテロ原子)との一重結合の少なくとも1つが、二重結合又は三重結合に置換された基であってもよい。
【0046】
上記一般式(2)のR
2の1価の芳香族複素環基としては、単環芳香族複素環基、該単環芳香族複素環の少なくとも1つが上記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基と縮合した縮合多環芳香族複素環基、及び、該単環芳香族複素環の少なくとも1つと上記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基とが直接に一重結合で又は二重結合を含む連結基で結合された連結多環芳香族複素環基等を挙げることができる。これら芳香族複素環基は、上記置換基を有していてもよい。
【0047】
上記単環芳香族複素環基としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン及びピラジン等の骨格を有する基が挙げられる。
【0048】
縮合多環芳香族複素環基としては、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロモン、クマリン、チアントレン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン及びカルバゾール等の骨格を有する基が挙げられる。
【0049】
上記連結多環芳香族複素環基としては、4−フェニルピリジン、9−フェニルアクリジン、バトフェナントロリン等が挙げられる。
【0050】
上記R
3は、上記R
2の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基として例示した1価の基が2価となったものが挙げられる。なお、nが2以上のとき、R
3は各々独立に上記2価の基から選択され得る。
【0051】
上記R
2としては、1価の環状の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの多環基が酸拡散性の低減の点から好ましい。より好ましくは、スピロ環脂肪族炭化水素基、縮合多環脂肪族炭化水素基、連結多環脂肪族炭化水素基、縮合多環芳香族炭化水素基及び連結多環芳香族炭化水素基等である。R
3も同様の理由により、2価の環状の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの多環基であることが好ましい。
【0052】
上記式(1)中のR
1の具体例として、例えば、下記に示される構造が例示できる。なお、下記構造式において、「*」は上記式(1)のR
1COOCH
2CH
2CFHCF
2SO
3−M
+の「−CH
2CH
2CFHCF
2SO
3−M
+」を示している。すわなち、下記構造式は、R
1COO−の構造を示す。
【0053】
なお、下記構造中、立体位置は以下に限定されない。
【0057】
上記R
1中のヒドロキシル基の導入数は、光酸発生剤として用いたときのベースポリマーとの親和性によるが、溶解性の点から10個以下が好ましく、より好ましくは1〜5個であり、さらに好ましくは1〜3個である。また、ヒドロキシル基は、酸拡散性の低減の点から、疎水性のある基、例えば、上記R
1中、環状の脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が有していることが好ましい。
【0058】
上記化合物例示の中で、アダマンタン骨格にヒドロキシ基を有する構造を有するもの及び上記ステロイド骨格にヒドロキシ基を有するもの等が、酸拡散性低減の点から好ましい。
【0059】
スルホン酸と塩を形成するカチオンM+としては、具体的には、水素イオン、金属イオン、オニウムイオンが挙げることができる。
【0060】
カチオンM+の金属イオンとして具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の第1属元素による一価の陽イオン、マグネシウムイオン(II)、カルシウムイオン(II)等の第2属元素による二価の陽イオン、鉄イオン(II)、鉄イオン(III)、銅イオン(I)、銅イオン(II)、ニッケルイオン(II)、ニッケルイオン(III)等の遷移金属イオン、鉛イオン(II)等の重金属イオンが挙げられ、これら金属イオンが配位子と錯体を形成していてもよい。
【0061】
また、カチオンM
+のオニウムイオンとしては、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、リン原子等により構成されるオニウム塩が挙げられる。具体的には、例えば、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ジフェニルアンモニウムイオン、トリフェニルアンモニウムイオン、ジメチルフェニルアンモニウムイオン、トリメチルフェニルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、フルオロピリジニウムイオン、クロロピリジニウムイオン、ブロモピリジニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン等の窒素原子により構成されるオニウム塩、トリメチルスルホニウムイオン、トリブチルスルホニウムイオン、ジメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムイオン、ビス(2−オキソシクロヘキシル)メチルスルホニウムイオン、(10−カンフェノイル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムイオン、(2−ノルボルニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニルトリルスルホニウムイオン、ジフェニルキシリルスルホニウムイオン、メシチルジフェニルスルホニウムイオン、(t−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(オクチルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(シクロヘキシルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、ビフェニルジフェニルスルホニウムイオン、(ヒドロキシメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(メトキシメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(アセチルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(ベンゾイルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(ヒドロキシカルボニルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(メトキシカルボニルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(トリフルオロメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(クロロフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(ブロモフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(ヨードフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、ペンタフルオロフェニルジフェニルスルホニウムイオン、(ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(アセチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(ベンゾイルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(ジメチルカルバモイルフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(アセチルアミドフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、フェニルジトリルスルホニウムイオン、フェニルジキシリルスルホニウムイオン、ジメシチルフェニルスルホニウムイオン、ビス(t−ブチルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(オクチルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(シクロヘキシルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ジビフェニルフェニルスルホニウムイオン、ビス(ヒドロキシメチルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(メトキシメチルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(アセチルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ベンゾイルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ヒドロキシカルボニルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(メトキシカルボニルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(フルオロフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(クロロフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ブロモフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ヨードフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ジペンタフルオロフェニルフェニルスルホニウムイオン、ビス(ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(メトキシフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ブトキシフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(アセチルオキシフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ベンゾイルオキシフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ジメチルカルバモイルフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(アセチルアミドフェニル)フェニルスルホニウムイオン、トリストリルスルホニウムイオン、トリスキシリルスルホニウムイオン、トリスメシチルフェニルスルホニウムイオン、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(オクチルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(シクロヘキシルフェニル)スルホニウムイオン、トリビフェニルスルホニウムイオン、トリス(ヒドロキシメチルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(メトキシメチルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(アセチルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(ベンゾイルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(ヒドロキシカルボニルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(メトキシカルボニルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(フルオロフェニル)スルホニウムイオン、トリス(クロロフェニル)スルホニウムイオン、トリス(ブロモフェニル)スルホニウムイオン、トリス(ヨードフェニル)スルホニウムイオン、ジペンタフルオロフェニルスルホニウムイオン、トリス(ヒドロキシフェニル)スルホニウムイオン、トリス(メトキシフェニル)スルホニウムイオン、トリス(ブトキシフェニル)スルホニウムイオン、トリス(アセチルオキシフェニル)スルホニウムイオン、トリス(ベンゾイルオキシフェニル)スルホニウムイオン、トリス(ジメチルカルバモイルフェニル)スルホニウムイオン、トリス(アセチルアミドフェニル)スルホニウムイオン、メチルジフェニルスルホニウムイオン、エチルジフェニルスルホニウムイオン、ブチルジフェニルスルホニウムイオン、ヘキシルジフェニルスルホニウムイオン、オクチルジフェニルスルホニウムイオン、シクロヘキシルジフェニルスルホニウムイオン、2−オキソシクロヘキシルジフェニルスルホニウムイオン、ノルボルニルジフェニルスルホニウムイオン、カンフェノイルジフェニルスルホニウムイオン、ピナノイルジフェニルスルホニウムイオン、ナフチルジフェニルスルホニウムイオン、アントラニルジフェニルスルホニウムイオン、ベンジルジフェニルスルホニウムイオン、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムイオン、メトキシカルボニルメチルジフェニルスルホニウムイオン、ブトキシカルボニルメチルジフェニルスルホニウムイオン、ベンゾイルメチルジフェニルスルホニウムイオン、(メチルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、(アセチルフェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムイオン、ジメチルフェニルスルホニウムイオン、ジエチルフェニルスルホニウムイオン、ジブチルフェニルスルホニウムイオン、ジヘキシルフェニルスルホニウムイオン、ジオクチルフェニルスルホニウムイオン、ジシクロヘキシルフェニルスルホニウムイオン、ビス(2−オキソシクロヘキシル)フェニルスルホニウムイオン、ジノルボルニルフェニルスルホニウムイオン、ジカンフェノイルフェニルスルホニウムイオン、ジピナノイルフェニルスルホニウムイオン、ジナフチルフェニルスルホニウムイオン、ジベンジルフェニルスルホニウムイオン、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムイオン、ビス(メトキシカルボニルメチル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(ブトキシカルボニルメチル)フェニルスルホニウムイオン、ジベンゾイルメチルフェニルスルホニウムイオン、ビス(メチルチオフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(フェニルチオフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ビス(アセチルフェニルチオフェニル)フェニルスルホニウムイオン、ジメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムイオン、ビス(2−オキソシクロヘキシル)メチルスルホニウムイオン、(10−カンフェノイル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムイオン、(2−ノルボルニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムイオン、トリメチルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン、トリブチルスルホニウムイオン、ジヘキシルメチルスルホニウムイオン、トリオクチルスルホニウムイオン、ジシクロヘキシルエチルスルホニウムイオン、メチルテトラヒドロチオフェニウムイオン、メチルテトラヒドロチオフェニウムイオン、トリフェニルオキソスルホニウムイオン、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビスイオン等の硫黄原子により構成されるオニウム塩、テトラフェニルホスホニウムイオン等のりん原子により構成されるオニウム塩等がある。ハロニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムイオン、ビス−(t−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン、(メトキシフェニル)フェニルヨードニウムイオン、(ブトキシフェニル)フェニルヨードニウムイオン、トリフルオロエチルフェニルヨードニウムイオン、ペンタフルオロフェニルフェニルヨードニウムイオン等が挙げられ、好ましくは、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオンである。
【0062】
上記一般式(1)で表されるスルホン酸誘導体は、α位の全部の水素原子とβ位の一部の水素原子とをフッ素置換した特定の構造を有する化合物である。該スルホン酸誘導体を光酸発生剤として用いる場合は、カチオンがスルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであることが好ましい。上記一般式(1)で表されるスルホン酸誘導体は、特定の位置にフッ素原子を有し、かつ、カチオンがスルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであることにより、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、F
2エキシマレーザ光、電子線、X線及びEUV等の活性エネルギー線の照射により効率よく分解し、十分な酸強度を有する酸を発生する光酸発生剤として有用である。また、カルボニル基に結合するR
1基が少なくとも1つのヒドロキシル基を有することにより、酸拡散性が低減する。そのため、レジスト組成物の光酸発生剤として用いた場合、リソグラフィにおける解像性に優れ、且つ、微細パターンにおけるLWR(Line width roughness)を低減できる効果を有する。
【0063】
また、レジスト組成物の光酸発生剤として用いた場合、ヒドロキシル基を有することからアルカリ現像液に対する親和性が高いため、現像後又はレジストの剥離時において異物が生じにくいという効果を有する。
【0064】
ここで、上記特許文献3のスルホン酸誘導体は、α位及びβ位の水素原子全部がフッ素で置換された、フッ素を4つ有する化合物である。そのため、酸強度が強すぎ、現像後、特にアルカリ現像後やレジストの剥離時に異物が発生しやすい傾向がある。なお、特許文献3においては、α位の全部の水素原子とβ位の一部の水素原子とをフッ素置換した本発明の上記一般式(1)で表されるスルホン酸誘導体についての思想はない。さらに、特許文献3に記載された製造方法を元にして、例えば原料を変える等しても、本発明の一つの態様のスルホン酸誘導体を製造することはできない。また、α位等にフッ素を2つ有するスルホン酸誘導体では、酸強度が十分ではない。
【0065】
一般的には、3つ以上のフッ素原子を有するスルホン酸誘導体では、通常アルカリ現像後やレジストの剥離時において異物が生じてしまうという問題がある。本発明の一つの態様におけるスルホン酸誘導体は3つのフッ素原子を有するが、上記一般式(1)で表される特定の構造を有するため、十分な酸強度をもち、且つ、現像後やレジストの剥離時において異物の発生がほとんど無いものとすることができる。
【0066】
本発明においては、アルカリ現像液を用いる水系現像に限定されず、中性現像液を用いる水系現像、又は、有機溶剤現像液を用いる有機溶剤現像等でも適応可能である。
【0067】
<2>光酸発生剤及びそれを用いたレジスト組成物
本発明の一つの態様は、上記スルホン酸誘導体を含む光酸発生剤(以下、「(A)成分」ともいう)である。
【0068】
本発明の光酸発生剤の一つの態様は、上記活性エネルギー線の照射により酸を放出する特性を有し、酸反応性有機物質に作用して分解や重合を引き起こすことができる。そのため、本発明の一つの態様のスルホン酸誘導体は、ポジ型及びネガ型のレジスト組成物の光酸発生剤として好ましく用いることができる。
【0069】
本発明の一つの態様は、光酸発生剤としての上記スルホン酸誘導体((A)成分)と、酸により反応する化合物(以下、「(B)成分」ともいう)と、を含有するレジスト組成物である。
【0070】
上記酸により反応する化合物((B)成分)としては、酸解離性基を有する化合物(以下、「(B1)成分」ともいう)、酸により重合する重合性基を有する化合物(以下、「(B2)成分」ともいう)、及び、酸により架橋作用を有する架橋剤(以下、「(B3)成分」ともいう)等が挙げられる。
【0071】
上記酸解離性基を有する化合物((B1)成分)とは、酸によって酸解離性基が解離して極性基を生じることにより現像液に対する溶解性が変化する化合物である。例えばアルカリ現像液等を用いる水系現像の場合、アルカリ現像液に対して不溶性であるが、露光により上記光酸発生剤から発生する酸によって露光部において酸解離性基が解離することにより、アルカリ現像液に対して可溶となる化合物である。
【0072】
本発明においては、アルカリ現像液に限定されず、中性現像液あるいは有機溶剤現像であってもよい。そのため、有機溶剤現像液を用いる場合は、酸解離性基を有する化合物は、露光により上記光酸発生剤から発生する酸によって露光部において酸解離性基が脱保護し、有機溶剤現像液に対して溶解性が低下する化合物である。
【0073】
上記極性基の具体例としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO
3H)等が挙げられる。これらの中で、カルボキシル基、水酸基が好ましい。
上記酸解離性基は、上記極性基の水素原子を保護基で保護した基であり、該保護基の具体例としては、化学増幅型レジスト分野で通常、酸解離性基として用いられているものであれば特に制限はないが、第3級アルキルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニル基、シロキシ基及びベンジロキシ基等が挙げられる。
酸解離性基を有する化合物は、低分子化合物であっても、ポリマー成分であっても、またこれらの混合成分であってもよい。本発明において、低分子化合物とは重量平均分子量が2000未満のものであり、ポリマー成分とは重量平均分子量が2000以上のものとする。上記酸解離性基を有する化合物として、これら酸解離性基がペンダントしたヒドロキシスチレン骨格、メタクリレート又はアクリレート骨格を有する化合物等が好適に用いられる。
酸解離性基を有する化合物((B1)成分)がポリマー成分であるとき、レジスト組成物のベースポリマーとして用いても良い。
【0074】
酸解離性基を有する化合物((B1)成分)がポリマー成分であるとき、酸解離性基含有単位を有することが好ましい。酸解離性基含有単位以外の単位をポリマー成分に含有することが好ましい。酸解離性基含有単位以外の単位としては、化学増幅型レジスト分野で通常用いられている単位であれば特に制限はないが、例えば、ラクトン骨格、スルトン骨格及びラクタム骨格等からなる群より選択される少なくともいずれかの骨格を有する単位;エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基、グリシジル基及びオキセタニル基等からなる群より選択される少なくともいずれかの基を有する単位;等が挙げられる。
【0075】
本発明において、酸解離性基を有する化合物((B1)成分)として、例えば下記に示す化合物が挙げられる。しかしながら、各単位の配合比、各単位の構造はこれに限定されない。
【0077】
酸により重合する重合性基を有する化合物((B2)成分)とは、酸によって重合性基が重合することにより現像液に対する溶解性が変化する化合物であり、例えば水系現像の場合、水系現像液に対して可溶であるが、露光により上記光酸発生剤から発生する酸によって露光部において該重合性基が重合して、水系現像液に対し溶解性が低下する化合物である。この場合においても、水系現像液に代えて有機溶剤現像液を用いてもよい。
【0078】
酸により重合する重合性基としては、エポキシ基、アセタール基及びオキセタニル基等が挙げられる。該重合性基を有する化合物((B2)成分)として、これらの重合性基を有するスチレン骨格、メタクリレート又はアクリレート骨格を有する化合物等が好適に用いられる。
酸により重合する重合性基を有する化合物((B2)成分)は、重合性低分子化合物であっても、重合性ポリマー成分であってもよい。酸により重合する重合性基を有する化合物がポリマー成分であるとき、レジスト組成物のベースポリマーとして用いても良い。
【0079】
酸により架橋作用を有する架橋剤((B3)成分)とは、酸によって架橋することにより現像液に対する溶解性を変化させる化合物であり、例えば水系現像の場合、水系現像液に対して可溶である化合物に対して作用し、架橋後に該化合物を水系現像液に対して溶解性を低下させるものである。具体的には、エポキシ基、アセタール基及びオキセタニル基等を有する架橋剤が挙げられる。このとき、架橋する相手の化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。
酸により架橋作用を有する化合物((B3)成分)は、重合性低分子化合物であっても、重合性ポリマー成分であってもよい。酸により架橋作用を有する化合物がポリマー成分であるとき、レジスト組成物のベースポリマーとして用いても良い。
【0080】
本発明の一つの態様であるレジスト組成物として、より具体的には例えば下記が例示できる。
【0081】
上記酸解離性基を有する化合物と上記光酸発生剤とを含むレジスト組成物;上記酸により重合する重合性基を有する化合物と上記光酸発生剤とを含むレジスト組成物;酸により架橋作用を有する架橋剤と、該架橋剤と反応して現像液に対する溶解性が変化する化合物と、光酸発生剤と、を含むレジスト組成物;等が挙げられる。
【0082】
本発明の一つの態様のレジスト組成物中の光酸発生剤((A)成分)の含有量は、該光酸発生剤を除くレジスト組成物成分100質量部に対し1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、1〜15質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内で光酸発生剤をレジスト組成物中に含有させることで、例えば、表示体等の絶縁膜等の永久膜として使用する場合でも光の透過率を高くすることができる。
【0083】
本発明の一つの態様のレジスト組成物には、上記成分以外に必要により任意成分としてさらに、通常のレジスト組成物で用いられる含フッ素撥水ポリマーあるいは含ケイ素撥水ポリマー(以下、「(C)成分」ともいう)、有機溶剤(以下、「(D)成分」ともいう)、添加剤(以下、「(E)成分」ともいう)、更には他の光酸発生剤を組み合わせて含んでいてもよい。
【0084】
上記撥水ポリマー((C)成分)としては、液浸露光プロセスに通常用いられるものが挙げられ、上記ベースポリマーよりもフッ素原子あるいはケイ素原子含有率が大きい方が好ましい。そうすることで、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する場合に、撥水ポリマーの表面自由エネルギーが該ベースレジストよりも相対的に低いため、レジスト膜表面に上記撥水ポリマーを偏在化させることができる。この効果によりレジスト膜表面の液浸水の追従性、液残りを防止することで欠陥の発生を抑止すると共に、レジスト成分からの液浸水への溶出量を低減することが可能となり、レンズ汚染を防止することが可能となる。
【0085】
レジスト組成物中の(C)成分の配合量としては、上記(B)成分100質量部に対し、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部がより好ましく、1〜10質量部が最も好ましい。
(D)成分としては、レジスト組成物で通常用いられている有機溶剤であれば特に制限はない。
(E)成分としては、クエンチャ、酸性化合物、溶解阻止剤、安定剤及び色素等の各種添加剤が挙げられ、レジスト組成物に通常用いられるものを用いることができる。
【0086】
<3>スルホン酸誘導体の合成方法
上記一般式(1)で表されるスルホン酸誘導体は、例えば次のような反応経路により合成することができる。まず、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテンを出発原料とし、酢酸ナトリウムによるアセチル化を行う。その後、塩基等により加水分解を行い、更に亜硫酸水素塩を用いたスルホン化により、スルホン酸塩として得る。そして、この塩を常法に基づき上述したM+と塩交換する。その後、さらに上記R
1を有する酸無水物又は酸ハライド等でエステル化、あるいは上記R
1を有するカルボン酸と縮合することにより上記一般式(1)で表されるスルホン酸誘導体を得ることができる。
【0087】
エステル化する条件を適宜調整することで、1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシブタンスルホネート塩に対し、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するR
1として、上記で例示した様々な基を導入することができる。
【0088】
スルホン酸誘導体合成の原料となる上記R
1を有する酸無水物、酸ハライド及びカルボン酸等は、入手可能なものを用いるか、又は、対応する原料を準備し、通常の方法により適宜合成したものを用いればよい。
【0090】
<4>デバイスの製造方法
本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を基板上に塗布しレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、活性エネルギー線を用いて、上記レジスト膜をパターン状に露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むデバイスの製造方法である。
【0091】
フォトリソグラフィ工程において露光に用いる活性エネルギー線としては、本発明のスルホン酸誘導体が活性化して酸を発生させ得る光であればよく、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、F
2エキシマレーザ光、電子線、UV、可視光線、X線、電子線、イオン線、i線、EUV等を意味する。
【0092】
上記光酸発生剤を含むレジスト組成物を用いる以外は、通常のデバイスの製造方法に従えばよい。
【実施例】
【0093】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0094】
[スルホン酸誘導体の合成]
(実施例1−1)
ナトリウム1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシブタンスルホネートの合成
【0095】
【化7】
【0096】
<第一工程>
4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン36.9gと酢酸ナトリウム65.4gとを酢酸156.5gに溶解し、115℃まで昇温する。40時間撹拌した後、反応液を90℃に冷却し、蒸留水626gを加える。その後、室温まで冷却し、t−ブチルメチルエーテル128gを用いて2回抽出する。次いで、炭酸ナトリウム水溶液165gを用いて洗浄し、残存する酸を除去する。その後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、4−アセトキシ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテンをクルード状態で25.6gで得る。この物質の1H NMR測定結果を以下に示す。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3)δ2.07(s,3H),2.63(d、t、d、d,2H),4.24(t,2H)
【0097】
<第二工程>
4−アセトキシ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン25.0gと炭酸カリウム40.3gとをメタノール49g及び蒸留水49gの混合溶液に溶解する。これらを室温で15時間撹拌した後、濾過により反応で析出した固形分を取り除く。そして、ジクロロメタンで目的物を抽出する。その後、蒸留精製することにより、3,4,4−トリフルオロ−3−ブテン−1−オール13.8gを得る。この物質の1H NMR測定結果を以下に示す。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3)δ2.2(s,1H),2.55(d,t,d,d,2H),3.83(t,2H)
【0098】
<第三工程>
3,4,4−トリフルオロ−3−ブテン−1−オール11.9gと、亜硫酸水素ナトリウム29.5gと、亜硫酸ナトリウム14.3gとを蒸留水214gに溶解し、その後90℃まで昇温する。15時間撹拌した後、反応液を25℃以下に冷却する。次いで、トルエン24gで水層を洗浄する。その後、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することによりナトリウム1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシブタンスルホネート18.46gを得る。1H NMR及びイオンクロマトブラフィによる測定結果から、この化合物が目的物であることを確認する。1H NMR測定結果を以下に示す。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3)δ1.9−2.4(m,2H),3.5−3.7(m,2H),4.9−5.2(m,1H)
【0099】
(実施例1−2)
トリフェニルスルホニウム4−(3−ヒドロキシアダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタンスルホネートの合成
【0100】
【化8】
【0101】
<第一工程>
ナトリウム1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシブタンスルホネート17.6gと、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート34.4gとを水106g及びジクロロメタン360gの混合溶液に加え、3時間撹拌する。反応液を分液後、有機層をロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、トリフェニルスルホニウム1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシブタンスルホネート32.4gを得る。この物質の1H NMR測定結果を以下に示す。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3)δ1.9−2.4(m,2H),3.5−3.7(m,2H),4.9−5.2(m,1H),7.66−7.80(m,15H)
【0102】
<第二工程>
トリフェニルスルホニウム1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシブタンスルホネート9.4gと、3−ヒドロキシ−1−アダマンタンカルボン酸4.3gとを、ジクロロメタン94.0g及び4−ジメチルアミノピリジン0.3gに添加し撹拌する。その後、15℃以下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩5.5gを添加し23℃まで昇温する。18時間撹拌した後、反応液を15℃以下に冷却し10質量%塩酸を加え反応を停止する。そして有機層を純水にて洗浄を行う。その後、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、トリフェニルスルホニウム4−(3−ヒドロキシアダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタンスルホネート7.1gを得る。この化合物の1H NMR測定結果を以下に示す。
1H NMR(400 MHz, DMSO−d6)δ1.47−1.65(m,12H),1.82−2.11(m,1H),2.18(brs,2H),2.28−2.45(m,1H),4.03−4.22(m,2H),4.55(s,1H), 4.87−5.07(m,1H),7.76−7.88(m,15H)
得られた化合物のpKaをACD/Labs v.11.02を用いて計算する。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0103】
[スルホン酸誘導体の合成]
上記実施例1の実施例1−2において、3−ヒドロキシ−1−アダマンタンカルボン酸に代えてβ-ヒドロキシイソ吉草酸を用いた以外は同様の処方にて合成を行い、下記式に示すスルホン酸誘導体を合成する。1H NMRよりこの化合物が目的化合物であることを確認する。1H NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ1.47(s,6H),1.80−2.10(m,1H),2.28−2.47(m,3H),4.05−4.24(m,2H),4.50(s,1H),4.87−5.05(m,1H),7.79−7.92(m,15H)
【0104】
【化9】
【実施例3】
【0105】
[フォトレジスト組成物の調製と特性評価]
【0106】
【化10】
【0107】
上記で合成したトリフェニルスルホニウム4−(3−ヒドロキシアダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタンスルホネートを5質量部と、上記一般式(3)で示される構成単位を有するポリマー100質量部と、トリエタノールアミン0.2質量部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1250質量部に溶解し、PTFEフィルターでろ過し、フォトレジスト組成物溶液を調製する。次いでフォトレジスト組成物溶液をシリコンウエハー上に回転塗布した後、ホットプレート上で110℃で60秒間プレベークし、膜厚300nmのレジスト膜を得る。この膜に、ArFエキシマレーザーステッパー(波長193nm)により露光し、次いで110℃で60秒間ポストベークを行う。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液にて60秒間現像を行い、30秒間純水でリンスを行う。
【0108】
良好なパターンが得られ、露光後のパターン上及び剥離後のシリコン基板上を観察した結果、異物がないものである。なお、異物はKLAテンコール社製の表面欠陥観察装置(型番:KLA2351)を用いて観察する。
【0109】
解像性及びLWR(Line width roughness)については、下記のようにして評価する。下記比較例2で調製したレジスト組成物を用いて、解像性及びLWRを測定する。それらの値をそれぞれ1とし、トリフェニルスルホニウム4−(3−ヒドロキシアダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタンスルホネートの解像性及びLWRを相対比として算出する。その結果を表1に示す。
【実施例4】
【0110】
トリフェニルスルホニウム4−(3−ヒドロキシアダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタンスルホネート5質量部の代わりに、
実施例2で合成したスルホン酸誘導体スルホン酸誘導体4.4質量部を用いた以外は、実施例3と同様にしてレジスト組成物を調製し評価を行う。実施例3と同様に、化合物のpKa並びにレジスト組成物の解像性及びLWRについて評価した結果を表1に示す。
【0111】
トリフェニルスルホニウム4−(3−ヒドロキシアダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタンスルホネート5質量部の代わりに、下記式に示すスルホン酸誘導体4.3質量部を用いて、実施例3と同様にしてレジスト組成物を調製し評価を行う。実施例3と同様に化合物のpKa、並びに、レジスト組成物の解像性及びLWRについて評価した結果を表1に示す。
【0113】
トリフェニルスルホニウム4−(3−ヒドロキシアダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタンスルホネート5質量部の代わりに、下記式に示すスルホン酸誘導体4.3質量部を用いて、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製し評価を行う。実施例3と同様に化合物のpKaを算出する。また、レジスト組成物の解像性及びLWRについては比較例2を基準として用いる。その結果を表1に示す。
【0116】
表1における解像性及びLWRは、数値が小さいほど優れた効果を有することを示す。
以上の結果から、本発明におけるスルホン酸誘導体は、酸強度の強さを保ちつつ、酸拡散性が小さいため、リソグラフィにおける解像性に優れ、且つ、微細パターンにおけるLWRを低減できる効果を有することがわかる。