特許第6472103号(P6472103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6472103-分子ふるいSSZ−101 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472103
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】分子ふるいSSZ−101
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20190207BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   C01B39/48
   B01J20/18 A
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-513244(P2017-513244)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公表番号】特表2017-532279(P2017-532279A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】US2015020110
(87)【国際公開番号】WO2016039806
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年1月17日
(31)【優先権主張番号】14/480,818
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス、トレイシー マーガレット
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】シェ、ダン
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−521574(JP,A)
【文献】 特表2015−518814(JP,A)
【文献】 特表2012−509828(JP,A)
【文献】 特表2008−525300(JP,A)
【文献】 特表2002−512583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ケイ素酸化アルミニウムに対するモル比が少なくとも5であり、且つ、合成されたままの形態で、下表に示すとおりのX線回折パターンを有する分子ふるい。
【表1】
【請求項2】
前記分子ふるいが、合成されたままで且つ無水状態にて、モル比換算で、以下のような組成を有する、請求項1に記載の分子ふるい:
【表2】

表中、
(1)Tは、Siであり
(2)Xは、Alであり
(3)bは、Xの原子価状態に等しく;
(4)Qは、N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオンであり;そして
(5)Mは、周期表の1族及び2族からの元素からなる群から選択される。
【請求項3】
酸化ケイ素の酸化アルミニウムに対するモル比が少なくとも5であり、且つそのか焼形態で、下表に示すとおりのX線回折パターンを有する、分子ふるい。
【表3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、SSZ−101と称される新規な結晶性分子ふるい、SSZ−101の調製法、及びSSZ−101の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
天然及び合成の両方の分子ふるい材料は、これまでに、吸着剤として有用であること、そして様々なタイプの炭化水素転化反応のための触媒特性を有することが実証されている。ゼオライト、アルミノホスフェート、及びメソポーラス材料等の特定の分子ふるいは、X線回折(XRD)によって決定される明確な結晶構造を有する規則正しい多孔質結晶性材料である。結晶性分子ふるい材料内には、多数のチャネル又は細孔によって相互接続され得る非常に多数のキャビティ(cavity)が存在する。これらのキャビティ及び細孔は、特定の分子ふるい材料内では、サイズが均一である。これらの細孔は、より大きな寸法の吸着分子を排除しつつ特定の寸法のものを受け入れるような寸法であるため、これらの材料は「分子ふるい」として知られるようになり、様々な工業プロセスで利用されている。
【0003】
多くの異なる結晶性分子ふるいが発見されているが、気体分離及び乾燥、炭化水素転化反応、並びに他の用途に対して望ましい特性を有する新規な分子ふるいに対する必要性が引き続き存在する。新規な分子ふるいは、新規な内部細孔構造を含み、これらのプロセスに高められた選択性を提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、本明細書中で「分子ふるいSSZ−101」又は単に「SSZ−101」と称される独特な特性を有する分子ふるいの新規な一群を目的とする。
【0005】
一態様では、(1)少なくとも1種の4価元素の少なくとも1種の酸化物の(2)任意選択的に、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物に対するモル比が少なくとも5であり、且つ、合成されたままの形態で、表5のX線回折線を有する分子ふるいを提供する。「モル比が少なくとも5」のフレーズには、(2)の酸化物が存在しない場合、即ち、(1)の酸化物の(2)の酸化物に対するモル比が無限大である場合が含まれることに留意すべきである。その場合、分子ふるいは、本質的に全てが1種以上の4価元素の酸化物から構成される。
【0006】
別の態様では、(1)少なくとも1種の4価元素の酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)任意選択的に、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;並びに(5)N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオンを、結晶化条件下で接触させることにより、結晶性分子ふるいを調製する方法を提供する。
【0007】
更に別の態様では、(a)(1)少なくとも1種の4価元素の酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)任意選択的に、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;(5)N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオン;及び(6)水、を含有する反応混合物を調製すること、並びに(b)前記反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、により合成されたままの形態で、表5のX線回折線を有する結晶性分子ふるいを調製する方法を提供する。
【0008】
本開示は、更に、合成されたままで且つ無水状態にて、モル比換算で以下のような組成を有するSSZ−101と称される新規な分子ふるいを提供する:
【表1】

表中、(1)Tは、周期表の4〜14族からの4価元素、及びそれらの混合物からなる群から選択され;(2)Xは、周期表の3〜13族からの3価元素及び5価元素、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;(3)化学量論的変数bは、組成変数Xの原子価状態に等しく(例えば、Xが3価のとき、b=3であり;Xが5価のとき、b=5である。);(4)Qは、N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオンであり;そして(5)Mは、周期表の1族及び2族からの元素からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、例2で調製された、合成されたままの分子ふるいの粉末X線回折(XRD)パターンである。
【0010】
図2図2は、例3で調製された、か焼された分子ふるいの粉末XRDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
序論
以下の用語を、明細書を通じて使用し、特に断りのない限り、以下の意味を有するものとする。
【0012】
「分子ふるい」の用語には、(1)直接合成又は(2)ポスト結晶化処理(第2の合成)によって製造された(a)中間体及び(b)最終的な又は目的の分子ふるい及び分子ふるいが含まれる。第2の合成技術により、ヘテロ原子格子置換又は他の技術による中間材料からの目的の材料の合成が可能になる。
【0013】
本明細書で使用される場合、周期表の族の番号付けスキームは、Chem.Eng.News,63(5),27(1985)に開示されている。
【0014】
SSZ−101の調製に際し、N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオンが構造規定剤(「SDA」)として使用されるが、これは結晶化テンプレートとしても知られている。SSZ−101を作製するのに有用なSDAは、以下の構造(1)により表される。
【化1】
【0015】
SDAカチオンは、SSZ−101の形成に有害ではない任意のアニオンであり得るアニオンと結びつく。代表的なアニオンには、周期表の17族からの元素(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、水酸化物、酢酸塩、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボン酸塩等が含まれる。
反応混合物
【0016】
一般に、分子ふるいSSZ−101は、(a)(1)少なくとも1種の4価元素の酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)任意選択的に、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;(5)N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオン;及び(6)水、を含有する反応混合物を調製すること;並びに(b)前記反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、によって調製される。
【0017】
分子ふるいが形成される反応混合物の組成は、モル比換算で以下の表1に記載される:
【表2】

表中、組成変数T、X、M、及びQ並びに化学量論的変数bについては、本明細書中に上記した通りである。
【0018】
一のサブの実施態様では、SSZ−101が形成される反応混合物の組成は、モル比換算で以下の表2に記載される:
【表3】

表中、組成変数M及びQ並びに化学量論的変数bについては、本明細書中に上記した通りである。
【0019】
上記のように、本明細書中に記載された各実施態様の場合、Tは、周期表の4〜14族からの4価元素からなる群から選択される。一のサブの実施態様では、Tは、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。別のサブの実施態様では、Tは、Si、Ge、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一のサブの実施態様では、TはSiである。組成変数Tのために選択される元素の供給源には、Tのために選択される元素(単数種又は複数種)の酸化物、水酸化物、酢酸塩、シュウ酸塩、アンモニウム塩及び硫酸塩が含まれる。一のサブの実施態様では、組成変数Tのために選択される元素(単数種又は複数種)の各供給源(単数種又は複数種)は酸化物である。TがSiである場合、ケイ素に有用な供給源には、ヒュームドシリカ、沈降ケイ酸塩、シリカヒドロゲル、ケイ酸、コロイドシリカ、オルトケイ酸テトラアルキル(例えば、オルトケイ酸テトラエチル)、及び水酸化シリカが含まれる。Geのための本明細書における有用な供給源には、酸化ゲルマニウム及びゲルマニウムエトキシドが含まれる。
【0020】
本明細書に記載された各実施態様について、Xは、周期表の3〜13族からの3価元素及び5価元素からなる群から選択される。一のサブの実施態様では、Xは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、鉄(Fe)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。別のサブの実施態様では、Xは、B、Al、Ga、In、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一のサブの実施態様では、XはAlである。組成変数Xのために選択される元素の供給源には、Xのために選択される元素(単数種又は複数種)の酸化物、水酸化物、酢酸塩、シュウ酸塩、アンモニウム塩及び硫酸塩が含まれる。XがAlである場合、Alに有用な供給源には、アルミン酸塩、アルミナ、並びにAlCl、Al(SO、Al(OH)、カオリンクレイ、及び他のゼオライト等のアルミニウム化合物が含まれる。酸化アルミニウムの供給源の例としては、ゼオライトYがある。ホウ素、ガリウム、インジウム、チタン及び鉄は、それらのアルミニウム及びケイ素の対応物(counterpart)に相当する形態で添加することができる。
【0021】
本明細書に上記したように、本明細書に記載された各実施態様について、反応混合物は、周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源を使用して形成することができる(本明細書中でMと称する。)。一のサブの実施態様では、反応混合物は、周期表の1族からの元素の供給源を使用して形成される。別のサブの実施態様では、反応混合物は、ナトリウム(Na)の供給源を使用して形成される。結晶化プロセスに有害ではない任意のM含有化合物が適している。このような1族及び2族の元素のための供給源には、それらの酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩が含まれる。
【0022】
本明細書に記載された各実施態様について、分子ふるい反応混合物は、複数の供給源から供給することができる。また、2種以上の反応成分は、1つの供給源から提供することもできる。
【0023】
反応混合物を、バッチ式又は連続的のいずれかで調製することができる。本明細書に記載された分子ふるいの結晶サイズ、形態及び結晶化時間は、反応混合物の性質及び結晶化条件に応じて変えることができる。
【0024】
結晶化及び合成後の処理
実際には、分子ふるいは、(a)本明細書に上記したような反応混合物を調製すること;及び(b)前記反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、により調製する(参照:例えば、H.Robson,“Verified Syntheses of Zeolitic Materials”、第2回改訂版、Elsevier、2001年)。
【0025】
反応混合物を、分子ふるいの結晶が形成されるまで高められた温度に維持する。水熱結晶化は、通常は加圧下で、そして通常は、反応混合物が自原性の圧力を受けるようにオートクレーブ中で、125℃から200℃の間の温度で行う。
【0026】
反応混合物を、結晶化段階の間、穏やかに攪拌する又はかき混ぜることができる。本明細書に記載の分子ふるいには、非晶質材料のような不純物、分子ふるいとは一致しない骨格トポロジーを有する単位セル、及び/又は他の不純物(例えば、有機炭化水素)が含有される場合があることを、当業者は理解するであろう。
【0027】
水熱結晶化段階の間に、分子ふるい結晶は、反応混合物から自然に核形成させることができる。種材料として分子ふるいの結晶を使用すると、完全な結晶化が起こるのに必要な時間を減少させる点で有利になる場合がある。加えて、播種(seeding)により、望ましくない相よりも、分子ふるいの核形成及び/又は形成を促進させることによって、得られる生成物の純度を高めることができる。種として使用する場合、種結晶は、反応混合物中で使用される組成変数Tに対する供給源の重量の1%から10%の間の量で添加される。
【0028】
分子ふるい結晶が形成された後、その固体生成物を、ろ過等の標準的な機械的分離技術によって反応混合物から分離する。結晶を、水洗し、そしてその後、乾燥して、合成されたままの分子ふるい結晶を得る。乾燥段階は、大気圧又は減圧下で行うことができる。
【0029】
分子ふるいは、合成されたままで使用することができるが、典型的には熱的に処理(か焼)する。「合成されたまま」という用語は、結晶化後でSDAカチオン除去前の形態の分子ふるいを指す。SDAは、熱処理(例えば、か焼)により除去することができるが、好ましくは酸化性雰囲気(例えば、空気、0kPaより高い酸素分圧を有するガス)中で、分子ふるいからSDAを除去するのに十分な、当業者により容易に決定できる温度にて行われる。また、SDAは、米国特許第6,960,327号に記載されるような光分解技術(例えば、分子ふるいから有機化合物を選択的に除去するのに十分な条件下で可視光よりも短い波長を有する光又は電磁放射線にSDA含有分子ふるい生成物を曝すこと)によっても除去することができる。
【0030】
分子ふるいは、続いて、200℃から800℃の温度範囲のスチーム、空気又は不活性ガス中で、1から48時間又はそれより長い範囲の時間、か焼することができる。通常は、イオン交換によって骨格外カチオン(例えば、Na)を除去し、そしてそれを水素、アンモニウム、又は任意の所望の金属イオンで置換することが望ましい。
【0031】
形成された分子ふるいが中間材料である場合、目的の分子ふるいは、ヘテロ原子格子置換技術等の合成後の技術を使用して得ることができる。また、目的の分子ふるいは、酸浸出等の既知の技術により、格子からヘテロ原子を除去することによっても得ることができる。
【0032】
本明細書に開示した方法により作製した分子ふるいは、多種多様な物理的形状に形成することができる。概して、分子ふるいは、粉末、顆粒、又は2メッシュ(タイラー)スクリーンを通過し且つ400メッシュ(タイラー)スクリーン上に保持されるのに十分な粒子サイズを有する押出成形物等の成形品の形態にすることができる。触媒を、有機バインダーを用いて押出し等により成形する場合、分子ふるいは、乾燥前に押出すことができ、又は乾燥後(若しくは部分的に乾燥後)に押出すことができる。
【0033】
分子ふるいは、有機転化プロセスに用いられる温度及び他の条件に耐性のある他の材料と複合化することができる。このようなマトリックス材料には、活性及び不活性材料並びに合成又は天然に生じるゼオライト、並びに粘土、シリカ及び金属酸化物等の無機材料が含まれる。このような材料及びそれらを使用することができる方法の例は、米国特許第4,910,006号、及び第5,316,753号に開示されている。
分子ふるいの特徴付け
【0034】
本明細書に開示した方法により作製した分子ふるいは、合成されたままで且つ無水状態にて、以下の表3に記載したような組成(モル比換算で)を有する:
【表4】

表中、組成変数T、X、Q及びM、並びに化学量論的変数bは、本明細書に上記した通りである。
【0035】
一のサブの実施態様では、本明細書に開示した方法により作製した分子ふるいは、合成されたままで且つ無水状態にて、以下の表4に記載したような組成(モル比換算で)を有する:
【表5】

表中、組成変数Q及びMは、本明細書に上記した通りである。
【0036】
本明細書に開示した方法により合成された分子ふるいは、それらのXRDパターンによって特徴付けられる。表5のX線回折パターンの線は、本開示に従って作製された合成されたままのSSZ−101を表す。回折パターンの小さな変動は、格子定数が変化するために特定のサンプルの骨格種のモル比が変化することから生じる場合がある。加えて、十分に小さい結晶は、ピークの形や強度に影響し、かなり広がったピークになるであろう。また、回折パターンの小さな変動は、調製に使用する有機化合物の変化にも起因する場合がある。か焼は、XRDパターンに小さなシフトを引き起こす場合もある。これらの小さな変動にもかかわらず、基本的な結晶格子構造は変わらず維持される。
【表6】
【0037】
表6のX線回折パターンの線は、本開示に従って作製した、か焼されたSSZ−101を表している。
【表7】
【0038】
本明細書に提示した粉末X線回折パターンを、標準的な技術によって収集した。放射線はCuKα線であった。ピーク高さと位置を、θがブラッグ角のとき2θの関数として、ピークの相対強度から読取り(バックグラウンドについて調整し)、そしてd、つまり記録された線に対応する面間隔を算出することができる。
SSZ−101を使用するプロセス
【0039】
SSZ−101は、ガス分離のための吸着剤として有用である。SSZ−101は、含酸素化合物(例えば、メタノール)をオレフィンに転化させ、そして小さなアミンを製造するための触媒としても使用することができる。SSZ−101は、自動車排気ガス等のガス流中の窒素酸化物を還元するために使用することができる。SSZ−101は、燃焼機関の汚染制御システムのコールドスタート炭化水素トラップとしても使用することができる。SSZ−101は、C3フラグメントをトラップするのに特に有用である。
【実施例】
【0040】
以下の例示としての諸例は、非限定的であることを意図する。
例1
N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオンの合成
【0041】
オーバーヘッド撹拌機を備えた1000mLの三口丸底フラスコに、24.29gのトリエチルアミン(TEA)、17.42gのピペリジン及び400mLのトルエンを入れた。混合物を氷浴で冷却した。滴下漏斗に、100mLのトルエン中の29.55gのシクロヘキサンカルボニルクロリドの溶液を入れた。その後、シクロヘキサンカルボニルクロリド溶液を丸底フラスコ中の混合物に滴下し、そして混合物を一晩撹拌した。その後、反応混合物を減圧下で濃縮して、大部分のトルエンを除去した。水(113g)を残留する白色固体に添加し、続いて酢酸エチル(200mL)を添加した。有機層を集め、そして減圧下で濃縮して、シクロヘキシル−ピペリジン−1−イル−メタノンを得た。
【0042】
添加漏斗に、200mLの塩化メチレン中の38.82gのシクロヘキシル−ピペリジン−1−イル−メタノンの溶液を入れた。2Lの三口丸底フラスコに、350mLの塩化メチレン及び10.17gの水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)を入れた。丸底フラスコ中の混合物を氷浴で冷却し、そして窒素雰囲気下に保った。シクロヘキシル−ピペリジン−1−イル−メタノン溶液を丸底フラスコに2時間かけて滴下した。更に30分後、氷浴を除去し、そして反応混合物を室温まで温め、そして一晩撹拌した。その後、得られた懸濁液を氷浴で冷却した。水(12g)を激しく撹拌しながら混合物にゆっくり添加し、続いて12gの15%NaOH水溶液を添加した。更に50mLの塩化メチレンを混合物に添加して、蒸発した溶媒の一部を置換した。更に40gの水を混合物にゆっくり添加した。その後、混合物を室温まで温めた。固体をろ過し、そして塩化メチレンで2回洗浄して、混入した生成物を除去した。濾液を集め、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、34.15gのN−シクロヘキシルメチルピペリジンを得た。
【0043】
N−シクロヘキシルメチルピペリジン(34.15g)を300mLのメタノールに溶解した。添加漏斗に、100mLのメタノール中の62gのヨウ化エチルの溶液を入れた。ヨウ化エチル溶液をN−シクロヘキシルメチルピペリジン溶液に滴下し、そしてその後、48時間還流した。混合物を減圧下で濃縮して、ヨウ化エチル及びメタノールの大部分を除去した。N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムヨージド(49.9g)を高温のアセトン及びジエチルエーテルから再結晶させた。
【0044】
得られたN−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムヨージドを脱イオン水(1mLのHO/1mmolの塩)に溶解し、そしてその後、1.1gの水酸化物系イオン交換樹脂/1mmolの塩を添加した。得られたスラリーを数時間穏やかに撹拌した。スラリーを濾過し、そして濾液を少量のアリコートについて希HClで滴定して分析した。この交換により、N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムヒドロキシドがほぼ定量的収率で得られた。
【0045】
以下のスキーム1は、N−シクロヘキシルメチル−N−エチルピペリジニウムカチオンの合成を示す。
【化2】

例2
SSZ−101の合成
【0046】
2.06gのケイ酸ナトリウム溶液、0.28のUSYゼオライト(CBV300(登録商標、Zeolyst International、SiO/Alモル比=5.1)、1.31gの1NのNaOH、及び1.36gのSDAの水酸化物溶液(1.08mmol/g)を23mLのPEEKカップ中で混合した。ゲルの最終的なモル組成は以下の通りであった:
1SiO:0.05Al:35HO:0.1SDA−OH:0.6NaOH
PEEKカップをキャップし、そしてステンレススチール製オートクレーブに密閉し、そしてオーブン内で7から14日間、135℃で加熱した。結晶化の際に、ゲルをオートクレーブから回収し、濾過し、そして脱イオン水で洗浄した。
【0047】
得られた生成物を粉末XRDにより分析した。得られたXRDパターンを図1に示す。
【0048】
合成されたままの生成物は、ICP元素分析によって測定して、8のSiO/Alモル比を有していた。

例3
SSZ−101のか焼
【0049】
例2の合成されたままの生成物をマッフル炉内で1℃/分の昇温速度で595℃に加熱した空気流下でか焼し、そして595℃で5時間保持し、冷却し、そしてその後、粉末XRDで分析した。得られた生成物の粉末XRDパターンを図2に示す。粉末XRDパターンは、有機SDAを除去するためにか焼した後に材料が安定していることを示す。
例4
マイクロ細孔容積分析
【0050】
か焼されたSSZ−101を、吸着質としてNを使用してBET法により微細孔容積分析に供した。分子ふるいは、0.097cm/gの微細孔容積を示した。
例5
炭化水素の取込み
【0051】
例3のか焼されたSZ−101の気相n−ヘキサンの吸着容量を、C.Y.Chenら(Micropor.Mesopor.Mater.2007年、104巻、39−45頁)に記載されたように測定した。か焼されたSSZ−101は、室温でn−ヘキサンの取込みを示さず、SSZ−101は小さな細孔分子ふるい(即ち、3Åから5.0Å未満の細孔サイズを有する分子ふるい)であることを示した。
【0052】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的について、特に断りがない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される量、百分率又は比率、及び他の数値を表す全ての数は、全ての場合に「約」の用語により修飾されているものと理解されるべきである。従って、特に断りがない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるような「a」、「an」及び「the」の単数形には、明白且つ明確に1つの対象に限定されない限り、複数の対象が含まれることが留意される。本明細書で使用されるような「含む(include)」の用語及びその文法的変形は、リスト内の項目の列記によって、リストされた項目に置換又は追加可能な他の類似項目が排除されないように、非限定的であることを意図している。本明細書で使用されるような「を含んでいる(comprising)」の用語は、その用語に続いて記載される要素又は工程を含むことを意味するが、そのような要素又は工程は網羅的ではなく、ある実施態様に、他の要素又は工程を含ませることができる。
【0053】
特に明記しない限り、個々の成分又は成分の混合物を選択することができる要素、材料又は他の成分の属の列挙により、リストされた成分及びそれらの混合物の全ての可能な下位の属の組合せを含むことを意図する。
【0054】
特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって定義され、そして当業者が思いつく他の例を含むことができる。このような他の例が特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構成要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの文言と僅かな相違を有する等価な構成要素を含む場合、そのような他の例は、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。本明細書と矛盾しない程度に、本明細書で言及する全ての引用文献は、参照により本明細書に援用される。

図1
図2