特許第6472123号(P6472123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6472123手摺照明システム、及び、LEDユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472123
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】手摺照明システム、及び、LEDユニット
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   H05B37/02 A
   H05B37/02 J
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-71747(P2014-71747)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-195107(P2015-195107A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592070649
【氏名又は名称】パナソニック デバイスSUNX竜野株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 純一
(72)【発明者】
【氏名】和佐 直行
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−099004(JP,A)
【文献】 特開2013−221297(JP,A)
【文献】 特開平07−105452(JP,A)
【文献】 特開2011−113691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02 − 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺照明システムであって、
第1の直流電源に対して並列接続される複数のLEDユニットと、第1のコントローラと、第1の電圧切替部と、を備え、手摺りの中に前記複数のLEDユニットが一列状に配置され、各前記LEDユニットが前記第1のコントローラに順次ケーブルで接続されている第1のLEDユニット群と、
第2の直流電源に対して並列接続される複数のLEDユニットと、第2のコントローラと、第2の電圧切替部と、を備え、手摺りの中に前記複数のLEDユニットが一列状に配置され、各前記LEDユニットが前記第2のコントローラに順次ケーブルで接続されている1以上の第2のLEDユニット群と、
を備え、
前記第1のLEDユニット群を起点として1以上の前記第2のLEDユニット群が前記第2のコントローラを介して一列状に接続されており、
当該手摺照明システムは、通常時に前記複数のLEDユニットを全て点灯させて歩行者の足元を照明する点灯態様と、非常時に前記複数のLEDユニットを一つずつ順に点灯させて歩行者に避難する方向を案内する点灯態様とを切り替え可能であり、
各前記LEDユニットは、
複数のLEDと、
前記LEDの点灯態様を切り替える制御部と、
供給される電圧に重畳されている信号を検出して前記制御部に出力する検出部と、
当該LEDユニットの番号を記憶する記憶部と、
を備え、
前記記憶部は、前記コントローラに近い前記LEDユニットの前記記憶部ほど小さい前記番号を記憶し、
前記第1のコントローラは、前記第1のLEDユニット群の前記LEDユニットの点灯態様を指示する点灯制御信号と、前記第2のLEDユニット群の前記LEDユニットの点灯態様を指示する点灯制御信号とに応じて前記第1の電圧切替部を制御することにより、それらの前記点灯制御信号、前記第1の直流電源から供給される電圧にその点灯制御信号の宛先の前記LEDユニットの前記番号順に重畳し、
前記複数のLEDユニット群の並び方向のうち前記第1のLEDユニット群側を前側と定義したとき、前記第2のコントローラは直前の前記LEDユニット群に供給された電圧に重畳されている前記点灯制御信号のうち当該第2のコントローラを備える前記LEDユニット群以降の前記LEDユニット群に宛てた前記点灯制御信号を検出し、検出した前記点灯制御信号に応じて前記第2の電圧切替部を制御することにより、検出した前記点灯制御信号を前記第2の直流電源から供給される電圧に重畳し、
各前記LEDユニットの前記制御部は前記記憶部に記憶されている前記番号に対応する点灯制御信号を自己の点灯制御信号とし、当該点灯制御信号に基づいて前記LEDの点灯態様を切り替える、手摺照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数のLEDユニットからなる手摺照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED照明などのLEDユニットを複数連結して使用する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−254654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、連結した複数のLEDユニットの点灯態様を個別に切り替えることは検討されていなかった。
【0005】
本明細書では、連結されている複数のLEDユニットの点灯態様を簡素な構成で個別に切り替えることができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される手摺照明システムは、直流電源に対して並列接続される複数のLEDユニットと、コントローラと、を備え、手摺りの中に前記複数のLEDユニットが一列状に配置され、各前記LEDユニットが前記コントローラに順次ケーブルで接続されている手摺照明システムであって、各前記LEDユニットは、複数のLEDと、前記LEDの点灯態様を切り替える制御部と、供給される電圧に重畳されている信号を検出して前記制御部に出力する検出部と、当該LEDユニットの識別情報を記憶する記憶部と、を備え、前記コントローラは前記複数のLEDユニットに供給される電圧に前記LEDユニットの点灯態様を指示する点灯制御信号を当該LEDユニットの前記識別情報に対応付けて重畳し、前記制御部は前記記憶部に記憶されている前記識別情報に対応する前記点灯制御信号に基づいて前記LEDの点灯態様を切り替える。
【0007】
上記手摺照明システムによると、コントローラは複数のLEDユニットに供給される電圧にLEDユニットの点灯態様を指示する点灯制御信号を当該LEDユニットの識別情報に対応付けて重畳し、LEDユニットの制御部は記憶部に記憶されている識別情報に対応する点灯制御信号に基づいてLEDの点灯態様を切り替えるので、コントローラと複数のLEDユニットとをそれぞれ個別に制御ケーブルで接続しなくても複数のLEDユニットの点灯態様を個別に切り替えることができる。よって上記手摺照明システムによると、連結されている複数のLEDユニットの点灯態様を簡素な構成で個別に切り替えることができる。
【0008】
また、前記記憶部は、前記コントローラに近い前記LEDユニットの前記記憶部ほど小さい番号を前記識別情報として記憶し、前記コントローラは、前記識別情報の番号順に前記点灯制御信号を重畳し、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている番号に対応する点灯制御信号を自己の点灯制御信号とし、当該点灯制御信号に基づいて前記LEDの点灯態様を切り替えてもよい。
【0009】
上記手摺照明システムによると、コントローラは識別情報を送信しなくても点灯制御信号のみを送信するだけで目的のLEDユニットに点灯制御信号を受信させることができるので、点灯制御信号を送信するための制御を簡素にすることができる。
【0010】
また、本明細書によって開示されるLEDユニットは、手摺照明システムに用いられるLEDユニットであって、複数のLEDと、前記LEDの点灯態様を切り替える制御部と、供給される電圧に重畳されている信号を検出して前記制御部に出力する検出部と、当該LEDユニットの識別情報を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は前記記憶部に記憶されている前記識別情報に対応する点灯制御信号に基づいて前記LEDの点灯態様を切り替えてもよい。
【0011】
上記LEDユニットによると、連結されている複数のLEDユニットの点灯態様を簡素な構成で個別に切り替えることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
上記の手摺照明システムによると、連結されている複数のLEDユニットの点灯態様を簡素な構成で個別に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】手摺照明システムの全体構成を示すブロック図。
図2】コントローラの電気的構成を示すブロック図。
図3】LEDユニットの電気的構成を示すブロック図。
図4】コントローラ、及び、LEDユニットの回路図。
図5】制御信号の模式図。
図6】非常時パターンが設定されているときに制御信号を送信するタイミングを示す図。
図7】制御信号の例を示す図。
図8】実施形態2に係る手摺照明システムの構成を示すブロック図。
図9】第2のコントローラの回路図。
図10】(A)は第1のコントローラによって電圧に重畳される制御信号を示す図、(B)は第2のコントローラによって電圧に重畳される制御信号を示す図。
図11】実施形態3に係るデューティ比テーブルを示す図。
図12】実施形態4に係る係数テーブルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図7によって説明する。
(1)手摺照明システムの全体構成
先ず、図1を参照して、実施形態1に係る手摺照明システム1の全体構成について説明する。手摺照明システム1は通路や階段などの手摺りの中に設けられ、通常時には複数のLEDユニット20を全て点灯させて歩行者の足元を照明し、火災や地震などの非常時にはLEDユニット20を0.1秒間隔で一つずつ順に点灯させて歩行者に避難する方向を案内するためのシステムである。
【0015】
手摺照明システム1はコントローラ10と8個のLEDユニット20とを備えている。複数のLEDユニット20は手摺りの中に一列状に配置され、コントローラ10から順次電圧線30で接続されている。電圧線30はケーブルの一例である。コントローラ10は直流電源に接続されており、直流電源から供給される電圧を各LEDユニット20に供給する。8個のLEDユニット20はコントローラ10に対して並列に接続されている。すなわち、8個のLEDユニット20は直流電源に対してコントローラ10を介して並列接続されている。
【0016】
(2)コントローラ、及び、LEDユニットの電気的構成
先ず、図2を参照して、コントローラ10の電気的構成について説明する。コントローラ10はコントローラ制御部11、電圧切替部12、及び、操作部13を備えている。電圧切替部12についての説明は後述するものとし、ここではコントローラ制御部11、及び、操作部13について説明する。
【0017】
コントローラ制御部11はCPU11A、ROM11B、RAM11C、ボーレートジェネレータ11Dなどを備えている。CPU11AはROM11Bに記憶されている制御プログラムを実行することによってコントローラ10の各部を制御する。ROM11BにはCPU11Aによって実行される制御プログラムや各種のデータなどが記憶されている。RAM11CはCPU11Aが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。ボーレートジェネレータ11Dは電圧に信号を重畳して送信するためのクロック信号を生成するものである。
【0018】
操作部13は手摺照明システム1の点灯パターンを切り替えるためのスイッチである。手摺照明システム1の管理者は操作部13を操作することによって手摺照明システム1の点灯パターンを通常パターン又は非常時パターンに切り替えることができる。
【0019】
次に、図3を参照して、LEDユニット20の電気的構成について説明する。LEDユニット20はLED制御部21、光源部22、検出部23、及び、設定部24を備えて構成されている。光源部22及び検出部23についての説明は後述するものとし、ここではLED制御部21及び設定部24について説明する。
【0020】
LED制御部21はCPU21A、EEPROM21B、RAM21C、ボーレートジェネレータ21Dなどを備えている。CPU21AはEEPROM21Bに記憶されている制御プログラムを実行することによってコントローラ10の各部を制御する。EEPROM21Bは不揮発性の書き換え可能なメモリであり、CPU21Aによって実行される制御プログラムや設定部24によって設定された番号などが記憶されている。EEPROM21Bは記憶部の一例である。RAM21CはCPU21Aが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。ボーレートジェネレータ21Dは電圧に重畳されている信号を検出するためのクロック信号を生成するものである。
【0021】
設定部24は表示装置や各種のスイッチなどで構成されており、手摺照明システム1を組み付ける作業者からLEDユニット20の番号の設定を受け付ける。LED制御部21は設定部24によって番号が設定されると、その番号をEEPROM21Bに記憶する。本実施形態ではコントローラ10から近いLEDユニット20の順に1〜8の番号が設定されるものとする。言い換えると、EEPROM21Bは、コントローラ10に近いLEDユニット20のEEPROM21Bほど小さい番号を記憶する。設定された番号はLEDユニット20の識別情報の一例である。
【0022】
(3)コントローラ、及び、LEDユニットの回路構成
次に、図4を参照して、コントローラ10、及び、LEDユニット20の回路構成について説明する。
【0023】
先ず、コントローラ10の回路構成について説明する。前述したようにコントローラ10は電圧切替部12を備えている。電圧切替部12は二つのダイオード12A、12B、及び、これらのダイオードに並列に接続されているFET12C(Field Effect Transistor)を備えている。ダイオード12Aは直流電源に接続されており、ダイオード12BはLEDユニット20に接続されている。図4に示すようにFET12CのゲートGはコントローラ制御部11に接続されている。
【0024】
次に、LEDユニット20の回路構成について説明する。前述したようにLEDユニット20は光源部22及び検出部23を備えている。
光源部22は9個のLED(Light Emitting Diode)22A、抵抗22B、及び、FET22Cを備えて構成されている。
【0025】
検出部23はツェナーダイオード23A、ダイオード23B、コンデンサ23C、抵抗23D、抵抗23E、及び、比較回路23Fを備えて構成されている。
レギュレータ25は直流電源から供給される電圧を5Vに降圧してLED制御部21に供給する回路である。
【0026】
(4)電圧線を介した制御信号の送受信
次に、上述した図4を参照して、電圧線30を介した制御信号の送受信について説明する。コントローラ10は光源部22の点灯/消灯を制御するための制御信号を電圧に重畳することにより、電圧線30を介して各LEDユニット20に制御信号を送信する。
【0027】
ここでは直流電源からコントローラ10に+12V(ボルト)の電圧が供給されるものとする。コントローラ10がFET12Cをオンにすると直流電源から供給された+12Vの電圧がそのままLEDユニット20に供給される。
【0028】
コントローラ10からLEDユニット20に供給された12Vの電圧はツェナーダイオード23Aによって8V降圧されて4Vに降下される。4Vに降下された電圧は比較回路23Fの+入力端子に印加されると共に、ダイオード23Bによって0.6V降圧されて3.4Vとなり、比較回路23Fの−入力端子に印加される。従って、FET12Cがオンにされているときは比較回路23Fの+入力端子に印加される電圧と−入力端子に印加される電圧との差は0.6V(=4−3.4)となる。
【0029】
これに対し、コントローラ10がFET12Cをオフにすると各ダイオード12A、12Bによってそれぞれ0.6Vずつ電圧が降圧され、LEDユニット20に供給される電圧は10.8V(=12−0.6−0.6)となる。
【0030】
コントローラ10からLEDユニット20に供給された10.8Vの電圧はLEDユニット20のツェナーダイオード23Aによって8V降圧されて2.8Vに降下される。従って、この場合は比較回路23Fの+入力端子に2.8Vの電圧が印加される。ただし、この場合は12Vの電圧が供給されている間にコンデンサ23Cが充電されていることにより、比較回路23Fの−入力端子に印加される電圧は3.4Vのままとなる。従ってFET12Cがオフにされているときは比較回路23Fの+入力端子に印加される電圧と−入力端子に印加される電圧との差は−0.6V(=2.8−3.4)となり、12Vが供給されているときと電位差が逆転する。
【0031】
比較回路23Fは例えば+入力端子に印加される電圧の方が高い場合はLED制御部21に出力する信号をH(High)レベルにし、+入力端子に印加される電圧の方が低い場合はLED制御部21に出力する信号をL(Low)レベルにする。LED制御部21は比較回路23Fから出力される信号がHレベルであれば1、Lレベルであれば0に変換する。これによりコントローラ10からLEDユニット20に電圧線30を介して1ビット分の信号を送信することができる。
【0032】
LEDユニット20に送信する制御信号は複数のビットで構成されており、コントローラ10は制御信号を構成しているビットの0/1に応じてFET12Cのオン/オフを切り替えることにより、複数のビットからなる制御信号を電圧に重畳する。このときコントローラ10はボーレートジェネレータ11Dによって生成されるクロック信号に同期してFET12Cのオン/オフを切り替える。
【0033】
一方、LED制御部21も比較回路23Fから出力される信号をボーレートジェネレータ21Dによって生成されるクロック信号に同期してビット値に変換する。これにより、コントローラ10からLEDユニット20に電圧線30を介して複数のビットからなる制御信号を送信することができる。
【0034】
ここで、本実施形態ではコントローラ10とLEDユニット20との通信速度は9600bps(ビット/秒)であるとする。つまり、コントローラ10は1/9600秒間隔でFET12Cのオン/オフを切り替え、LED制御部21は比較回路23Fから出力される信号のH/Lを1/9600秒間隔でビット値に変換する。
【0035】
(5)制御信号
次に、図5を参照して、制御信号について説明する。制御信号はヘッダ信号、スペース信号、及び、点灯制御信号からなる。
ヘッダ信号はLED制御部21がコントローラ10との同期をとるための信号である。本実施形態ではヘッダ信号は55H(16進数)であるとする。55H(16進数)は2進数でいえば01010101(8ビットで表現した場合)である。
【0036】
スペース信号はヘッダ信号と点灯制御信号との間に時間を確保するために送信される信号である。本実施形態ではスペース信号はFFH(16進数)であるとする。FFH(16進数)は2進数でいえば11111111である。
点灯制御信号はLEDユニット20の点灯態様(点灯/消灯)を指示する信号である。点灯制御信号は1バイトからなり、例えば11111111が点灯、00000000が消灯を意味している。本実施形態ではLEDユニット20が8個であるので制御信号には8つの点灯制御信号が含まれている。
【0037】
各点灯制御信号は、その点灯制御信号の宛先のLEDユニット20に設定されている番号順に並んでいる。具体的には、1番目の点灯制御信号は番号として1が設定されているLEDユニット20に宛てた点灯制御信号であり、2番目の点灯制御信号は番号として2が設定されているLEDユニット20に宛てた点灯制御信号である。3〜8番目の点灯制御信号についても同様である。
【0038】
(6)制御信号の送信タイミング
次に、図6を参照して、非常時パターンに切り替えられているときにコントローラ10が制御信号を送信するタイミングについて説明する。本実施形態では非常時パターンに切り替えられているときは0.1秒(100m秒)間隔でLEDユニット20を一つずつ順に点灯させるので、コントローラ10は一の制御信号の送信を開始したときから0.1秒が経過した時点で次の制御信号の送信を開始する。
【0039】
ここで、前述した制御信号のバイト数はヘッダ信号が1バイト、スペース信号が1バイト、点灯制御信号が8バイトであるので合計10バイトである。通信速度が9600bps(ビット/秒)の場合、10バイトの送信に要する時間は8.3m秒(=80/9600)である。従って、100m秒中に制御信号が送信される時間の割合は8.3%(=8.3/100)である。
【0040】
(7)LED制御部の作動
次に、LED制御部21が制御信号を受信したときの作動について説明する。LED制御部21は制御信号を受信すると、複数の点灯制御信号のうちEEPROM21Bに記憶されている番号に対応する点灯制御信号を自己の点灯制御信号とし、当該点灯制御信号に従って光源部22の点灯態様を切り替える。例えばEEPROM21Bに記憶されている番号が1であるとすると、LED制御部21は1番目の点灯制御信号が11111111であればFET22をオンにし、00000000であればFET22Cをオフにする。FET22Cをオンにすると光源部22が点灯し、オフにすると光源部22が消灯する。
【0041】
(8)手摺照明システムの作動
次に、図7を参照して、手摺照明システム1の作動の一例について説明する。なお、前述したように点灯制御信号はLEDユニット20毎に1バイトの信号であるが、図7では理解を容易にするため点灯制御信号を1ビット(1:点灯、0:消灯)で示している。また、図7ではヘッダ信号及びスペース信号は省略している。
【0042】
コントローラ10は、操作部13によって通常パターンに切り替えられている場合は、図7に示す制御信号Aを電圧に重畳する。図7に示すように制御信号Aでは点灯制御信号が全て1であるので、全てのLEDユニット20が点灯する。なお、通常パターンでは全てのLEDユニット20を点灯させたままにするので、手摺照明システム1に電圧が供給されたとき、あるいは非常時パターンから通常パターンに切り替えられたときに1度だけ制御信号を送信すればよい。
【0043】
一方、非常時パターンに切り替えられている場合は、コントローラ10は図7に示す制御信号B1〜B8を0.1秒間隔で電圧に重畳する。制御信号B1は点灯制御信号のうち最初の1ビットが1であり、2〜8番目のビットが0であるので、1番目のLEDユニット20だけが点灯し、2〜3番目のLEDユニット20は消灯する。制御信号B2は2番目の1ビットだけがオンであり、1番目のビット、及び、3〜8番目のビットが0であるので、2番目のLEDユニット20だけが点灯し、1番目のLEDユニット20、及び、3〜8番目のLEDユニット20は消灯する。このように、制御信号B1〜B8を0.1秒間隔で電圧に重畳することにより、LEDユニット20を0.1秒間隔で一つずつ順に点灯させることができる。
【0044】
(9)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係る手摺照明システム1によると、コントローラ10は複数のLEDユニット20に供給される電圧にLEDユニット20の点灯態様を指示する点灯制御信号を当該LEDユニット20の識別情報に対応付けて重畳し、LED制御部21はEEPROM21Bに記憶されている識別情報に対応する点灯制御信号に基づいてLED22Aの点灯態様を切り替えるので、コントローラ10と複数のLEDユニット20とをそれぞれ個別に制御ケーブルで接続しなくても複数のLEDユニット20の点灯態様を個別に切り替えることができる。よって手摺照明システム1によると、連結されている複数のLEDユニット20の点灯態様を簡素な構成で個別に切り替えることができる。
【0045】
更に、手摺照明システム1によると、コントローラ10は識別情報の番号順に点灯制御信号を重畳し、各LED制御部21はEEPROM21Bに記憶されている番号に対応する点灯制御信号を自己の点灯制御信号とし、当該点灯制御信号に基づいてLED22Aの点灯態様を切り替えるので、コントローラ10は識別情報を送信しなくても点灯制御信号のみを送信するだけで目的のLEDユニット20に点灯制御信号を受信させることができる。これにより点灯制御信号を送信するための制御を簡素にすることができる。
【0046】
また、実施形態1に係るLEDユニット20によると、供給される電圧に重畳されている信号を検出し、EEPROM21Bに記憶されている識別情報に対応する点灯制御信号に基づいてLEDの点灯態様を切り替えるので、連結されている複数のLEDユニット20の点灯態様を簡素な構成で個別に切り替えることが可能になる。
【0047】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図8ないし図10によって説明する。
実施形態2では、8個のLEDユニットを一つのLEDユニット群というとき、一つのコントローラによって複数のLEDユニット群の点灯態様を制御する。
【0048】
図8を参照して、実施形態2に係る手摺照明システム2の構成について説明する。手摺照明システム2は、第1のコントローラ50、第1のLEDユニット群51、第2のコントローラ60、及び、第2のLEDユニット群61を備えている。第1のコントローラ50の構成は実施形態1に係るコントローラ10と同じである。第1のLEDユニット群51、及び、第2のLEDユニット群61はそれぞれ実施形態1に係るLEDユニット20を8個備えている。
【0049】
図8に示すように、第1のLEDユニット群51と第2のLEDユニット群61とは第2のコントローラ60を介して接続されている。第2のコントローラ60には第1のLEDユニット群51から電圧が供給されるとともに、別の直流電源から12Vの電圧が供給される。
【0050】
図9に示すように、第2のコントローラ60は検出部23、第2コントローラ制御部63、及び、電圧切替部12を備えている。検出部23の構成は実施形態1に係るLEDユニット20が備えている検出部23と同じ構成であり、第1のLEDユニット群51から供給された電圧に重畳されている制御信号を検出する。電圧切替部12は別の直流電源と第2のLEDユニット群61との間に直列に設けられている。電圧切替部12は実施形態1に係るコントローラ10が備えている電圧切替部12と同じ構成である。第2コントローラ制御部63は検出部23によって検出された信号に応じて電圧切替部12のFET12Cをオン/オフすることにより、別の直流電源から第2のLEDユニット群61に供給される電圧に信号を重畳する。
【0051】
図10(A)は第1のコントローラ50によって電圧に重畳される制御信号を示している。図10(A)に示す制御信号は、前述した実施形態1で説明した制御信号に、第2のLEDユニット群61を構成しているLEDユニット20に宛てた点灯制御信号を付加したものである。
【0052】
図10(B)は第2のコントローラ60によって電圧に重畳される制御信号を示している。第2のコントローラ60は検出部23によって検出した制御信号から第1のLEDユニット群51に宛てた点灯制御信号を除外した制御信号を電圧に重畳する。
【0053】
以上説明した実施形態2に係る手摺照明システム1によると、複数のLEDユニット群の点灯態様を一つのコントローラ(第1のコントローラ50)によって制御することができる。
【0054】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図11によって説明する。
実施形態3は実施形態1の変形例である。複数のLEDユニット20を並列に接続して電圧を供給する場合、電源から遠いLEDユニット20ほど電圧が降下してしまい、LEDユニット20間で明るさがばらついてしまう虞がある。そこで、実施形態3に係るLED制御部21は、光源部22を点灯させるとき、コントローラ10から遠い側のLEDユニット20のLED制御部21ほど、光源部22に流れる電流量が多くなるように調整する。
【0055】
具体的には、実施形態3に係るLEDユニット20のEEPROM21Bには後述するデューティ比テーブル(図11参照)が記憶されており、LED制御部21は光源部22をパルス駆動するデューティ比をそのLEDユニット20に記憶されている番号(識別情報)に基づいて決定する。そして、LED制御部21は決定したデューティ比で光源部22をパルス駆動することにより、光源部22に流れる電流量が多くなるように調整する。
【0056】
(1)デューティ比テーブル
図11を参照して、デューティ比テーブルについて説明する。ここで、本実施形態でも実施形態1と同様に各LEDユニット20にはコントローラ10から近いLEDユニット20の順に1〜8の番号が設定されるものとする。
【0057】
図11に示すように、デューティ比テーブルには小さい番号ほど小さいデューティ比が対応付けられている。言い換えると、コントローラ10に近いLEDユニット20から遠いLEDユニット20の順にデューティ比が順次大きくなる。このようにしている理由は、コントローラ10から遠くなるにつれて電圧の降下が大きくなるので、各LEDユニット20が同じデューティ比で点灯すると、コントローラ10に近いLEDユニット20に比べて、コントローラ10から遠いLEDユニット20が暗くなってしまい、LEDユニット20間で明るさが不均一になってしまうからである。
【0058】
(2)LED制御部の作動
次に、LED制御部21の作動について説明する。LED制御部21は、光源部22を点灯させるとき、デューティ比テーブルからEEPROM21Bに記憶されている番号に対応するデューティ比を読み出す。そして、LED制御部21は読み出したデューティ比でFET22Cをオン/オフすることにより、光源部22をパルス駆動する。
【0059】
(3)実施形態の効果
以上説明した実施形態3に係る手摺照明システムによると、複数のLEDユニット20を並列に接続して電圧を供給する場合の明るさのばらつきを低減することができる。
【0060】
<実施形態4>
次に、実施形態4を図12によって説明する。
実施形態4は実施形態3の変形例である。実施形態4に係るLED制御部21のEEPROM21Bには、基準となるデューティ比が記憶されていると共に、基準となるデューティ比に乗算する係数が番号に対応付けられている係数テーブル(図12参照)が記憶されている。ここでは基準となるデューティ比は100%(全点灯)であるとする。
【0061】
図12を参照して、上述した係数テーブルについて説明する。図12に示すように、係数テーブルには番号が小さいほど小さい係数が対応付けられている。例えば番号が1のLEDユニット20の場合、基準となるデューティ比(100%)に0.86が乗算される。従って、番号が1のLEDユニット20のデューティ比は86%に決定される。
【0062】
<実施形態5>
次に、実施形態5を説明する。
実施形態5は実施形態3又は実施形態4の変形例である。前述した実施形態3及び実施形態4では、実施形態1と同様に、手摺照明システム1を組み付ける作業者が設定部を操作して各LEDユニット20に番号を設定する。これに対し、実施形態5に係るLED制御部21はEEPROM21BにかえてROMを備えており、各LEDユニット20のROMに番号、及び、ディーティ比が予め固定で記憶されている。各LEDユニット20にはROMに記憶されている番号が小さいほど小さいデューティ比が記憶されているものとする。
【0063】
そして、LEDユニット20の筐体にはROMに記憶されている番号が表記されており、手摺照明システム1を組み立てる作業者はその表記に従ってLEDユニット20を配列するものとする。具体的には、作業者は表記されている番号が小さいほどコントローラ10の近くに配列するものとする。これにより、コントローラ10に近いLEDユニット20から遠いLEDユニット20の順にデューティ比が順次大きくなるように配列される。
【0064】
実施形態5に係るLED制御部21は、制御信号を受信すると、複数の点灯制御信号のうちROMに固定で記憶されている番号に対応する点灯制御信号を自己の点灯制御信号とする。そして、実施形態5に係るLED制御部21は、光源部22を点灯させるとき、ROMに記憶されているデューティ比でFET22Cをオン/オフすることにより、光源部22をパルス駆動する。
【0065】
以上説明した実施形態5に係る手摺照明システム1によると、LEDユニット20に番号を設定するための設定部を備えなくてもよいのでLEDユニット20の構成を簡素にすることができる。
【0066】
<他の実施形態>
上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0067】
(1)上記実施形態では手摺照明システム1が8個のLEDユニット20を備える場合を例に説明した。しかしながら、LEDユニット20の数は8個に限定されるものではなく、適宜に決定することができる。
また、上記実施形態1では直流電源から12Vの電圧が供給される場合を例に説明したが、供給される電圧は12Vに限られるものではなく、適宜に決定することができる。
また、上記実施形態では通信速度として9600bpsを例に説明したが、通信速度は9600bpsに限られるものではなく、適宜に決定することができる。
この他、上記実施形態で示した各種の値は一例であり、上記実施形態で示した値に限定されるものではない。
【0068】
(2)上記実施形態では手摺照明システム1の点灯パターンとして通常パターンと非常時パターンとの二つのパターンを例に説明したが、点灯パターンはこれら2つに限定されるものではない。例えば通常時には全てのLEDユニット20を点灯させるのではなく、予め設定されているイルミネーションパターンで点灯させてもよい。
【0069】
(3)上記実施形態では非常時パターンとしてLEDユニット20を一つずつ順に消灯させるパターンを例に説明したが、非常時パターンはこれに限られるものではない。例えばLEDユニット20を一つずつ順に消灯させるパターンであってもよい。この場合は図7に示す制御信号B1〜B8において点灯制御信号のビットが反転することになる。
あるいは、非常時パターンは、1番と5番のLEDユニット20を同時に点灯させ、0.1秒が経過すると2番と6番のLEDユニット20を同時に点灯させ、同様に1秒が経過するごとに3番と7番、4番と8番のLEDユニット20を同時に点灯させてもよい。
また、上述した例では非常時パターンにおいてLEDユニット20を0.1秒間隔で点灯させるが、LEDユニット20を点灯させる間隔は0.1秒に限られるものではなく、任意に設定することができる。
【0070】
(4)上記実施形態では手摺照明システム1の管理者が操作部13を操作することによって手摺照明システム1の点灯パターンを切り替える場合を例に説明した。これに対し、家屋などに設置される火災報知機などの上位システムと連動させ、非常時に上位システムが手摺照明システム1に非常時パターンへの切り替えを指示してもよい。
【0071】
(5)上記実施形態では記憶部としてEEPROM21Bを例に説明した。しかしながら、記憶部はEEPROM21Bに限られるものではない。例えば、LEDユニット20は番号を設定するためのディップスイッチを備えていてもよい。この場合、ディップスイッチが記憶部の一例である。
【0072】
(6)上記実施形態では識別情報として1〜8の番号を例に説明した。これに対し、識別情報はLEDユニット20が配列されている順を特定できる情報であればよく、例えば「A」〜「H」のアルファベットでもよい。
【0073】
(7)上記実施形態1〜4では手摺照明システム1を組み付ける作業者がLEDユニット20に識別情報(番号)を設定できる場合を例に説明した。これに対し、識別情報はLEDユニット20に固定で記憶されていてもよい。その場合、設定部24は不要である。ただし、その場合はそのLEDユニット20に記憶されている番号をLEDユニット20の筐体に表記しておくことが望ましい。そして、手摺照明システム1を組み付ける作業者は表記されている番号の順でLEDユニット20を配列することが望ましい。
【0074】
(8)上記実施形態ではLED制御部21はボーレートジェネレータ21Dによって生成されたクロック信号を補正する処理は行っていないが、LED制御部21はボーレートジェネレータ21Dによって生成されたクロック信号を補正してもよい。具体的には、LED制御部21はボーレートジェネレータ21Dが生成したクロック信号をカウントすることによって時間を計測し、コントローラ10から制御信号を受信した間隔が100msからずれている場合はそのずれに応じてカウンタを補正してもよい。
【0075】
(9)上記実施形態では各LEDユニット20に宛てた点灯制御信号をLEDユニット20に設定されている番号(識別情報)の順で重畳する場合を例に説明した。これに対し、例えば各LEDユニット20のアドレスをコントローラ10に記憶させておき、コントローラ10は目的のLEDユニット20に点灯制御信号を送信するときそのLEDユニット20のアドレスと点灯制御信号とを電圧に重畳してもよい。そして、LED制御部21は、そのLEDユニット20に設定されているアドレスが対応付けられている信号を受信した場合に、その点灯制御信号に基づいて光源部22の点灯態様を切り替えてもよい。この場合はアドレスが識別情報の一例である。
【0076】
(10)上記実施形態1及び実施形態2ではLEDユニット20を点灯させるとき100%で点灯させる場合を例に説明した。これに対し、LEDユニット20を点灯させる場合でも100%ではなく人が見ても判らない程度に高速点滅させてもよい。これによりLEDユニット20が消灯しているオフ期間での省エネルギーを図ることができる。
【0077】
(11)上記実施形態3〜5ではLED制御部21がデューティ比に従って光源部22をパルス駆動することによって電流量を調整する場合を例に説明した。これに対し、光源部22と直流電源との間に抵抗を設けてもよい。そして、コントローラ10から遠い側のLEDユニット20の抵抗ほど抵抗値を小さくしてもよい。これにより、コントローラ10から遠い側のLEDユニット20ほどLEDに流れる電流量が多くなるようすることができる。なお、上述した抵抗は可変抵抗器であってもよい。そして、コントローラ10から遠い側のLEDユニット20の可変抵抗器ほど抵抗値を小さく設定しておいてもよい。あるいは、可変抵抗器に替えて電子ボリュームを用いてもよい。
【0078】
(12)上記実施形態ではコントローラ制御部11がCPU11Aを備えている場合を例に説明した。これに対し、コントローラ制御部11はCPU11Aに替えてFPGA(Field Programmable Gate Array)を備えていてもよい。また、コントローラ制御部11はASICによって構成されてもよい。LED制御部21及び第2コントローラ制御部63についても同様である。
【符号の説明】
【0079】
1・・・手摺照明システム、2・・・手摺照明システム、10・・・コントローラ、11・・・コントローラ制御部、20・・・LEDユニット、21・・・LED制御部、21A・・・CPU、21B・・・EEPROM、22・・・光源部、22・・・FET、22A・・・LED、23・・・検出部、30・・・電圧線、50・・・第1のコントローラ、60・・・第2のコントローラ、63・・・第2コントローラ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12