特許第6472225号(P6472225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472225
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】無線マイクのアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/18 20060101AFI20190207BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20190207BHJP
   H03G 3/10 20060101ALI20190207BHJP
   H03H 7/25 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   H04B1/18 Z
   H04B1/04 K
   H03G3/10 D
   H03H7/25
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-239801(P2014-239801)
(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-106923(P2015-106923A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】13194893.7
(32)【優先日】2013年11月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514134181
【氏名又は名称】エーケージー アコースティックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ コフラー
【審査官】 浦口 幸宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−281735(JP,A)
【文献】 米国特許第05144267(US,A)
【文献】 特開平06−077858(JP,A)
【文献】 特開平11−205056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00− 3/45
H03F 3/50− 3/52
H03F 3/62− 3/64
H03F 3/68− 3/72
H03G 1/00− 3/34
H03H 7/24− 7/27
H03H 11/00−11/54
H04B 1/02− 1/06
H04B 1/10− 1/24
H04B 1/76− 3/44
H04B 3/50− 3/60
H04B 7/00− 7/015
H04B 15/00−15/06
H04N 7/10
H04N 7/14− 7/173
H04N 7/20− 7/56
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器(3)及びRFケーブル(5)を有し、入力ポート(2)において始まり且つ出力ポート(6)において終わるアンテナ経路を含む無線マイクのアンテナシステムであって、減衰器(4)が、前記増幅器(3)と前記RFケーブル(5)との間において可変スロープ補償器(7)と直列に設けられていることを特徴とし、
前記可変スロープ補償器(7)が、複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)から構成されており、前記複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)の各々が、それぞれのスイッチング素子(8a、8b、8c、・・・、8n)と接続されており、前記複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)が、マイクロコントローラによって前記それぞれのスイッチング素子(8a、8b、8c、・・・、8n)を介して前記RFケーブル(5)と接続されている、アンテナシステム。
【請求項2】
前記減衰器(4)が、前記可変スロープ補償器(7)と結合されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
入力ポート(2)に並列に位置し且つアンテナ経路における前記入力ポート(2)の代わりにスイッチ(12)によって接続されることができるRF発振器(9)を使用して、無線マイクの可変スロープ補償)及び抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)の設定を調整する方法であって、前記アンテナ経路は、前記入力ポート(2)において始まり且つ出力ポート(6)において終わり、増幅器(3)及びRFケーブル(5)を有し、減衰器(4)が、前記増幅器(3)と前記RFケーブル(5)との間において前記可変スロープ補償器(7)と直列に設けられていることを特徴とし、前記可変スロープ補償器(7)が、前記複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)から構成されており、前記複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)の各々が、それぞれのスイッチング素子(8a、8b、8c、・・・、8n)と接続されており、前記複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)が、マイクロコントローラによって前記それぞれのスイッチング素子(8a、8b、8c、・・・、8n)を介して前記RFケーブル(5)と接続されており、前記方法は、
前記増幅器(3)の前段及び前記出力ポート(6)において、RFレベルに直接比例する電圧を生成する半導体部品またはRFレベル検出器を提供することと、
前記RF発振器(9)を使用して前記アンテナ経路に信号を入力することと、
前記増幅器(3)の前段及び前記出力ポート(6)において前記半導体部品または前記RFレベル検出器を使用して信号レベルを、前記増幅器(3)の前段及び前記出力ポート(6)における前記信号レベル間の差異を決定するために測定することと、
前記複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・7n)のうちの前記信号レベル間の前記決定された差異を最小にさせる抵抗を選択することと
を含む、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線マイクに関し、特に、請求項1の前文及び米国特許第5,144,267号明細書にかかるそれらのアンテナシステムに関する。
【0002】
異なるケーブルの減衰は、無線マイクのアンテナシステムにおいて生じる。これは、傍受及び雑音指数の最適な可能な組み合わせを維持するために、アンテナにおける増幅制御が能動部品によってケーブル減衰を補償するために必要とされる場合に考慮されなければならない。アンテナシステムにおけるケーブルは、周波数依存減衰を有することから、傍受及び雑音指数の最適な組み合わせは、制御可能であろうとなかろうと又は常に増幅されようとなかろうと広帯域増幅器における1つの周波数ポイントでのみ可能である。このため、考慮すべき追加のパラメータがあるように、ケーブルの長さによる周波数依存減衰のスロープが変化することが追加されなければならない。
【背景技術】
【0003】
このいわゆるスロープ補償は、テレケーブル技術及び衛星技術の分野における役割を果たし、米国特許第4,967,169号明細書(特許文献1)及び米国特許第5,144,267号明細書(特許文献2)は、この文脈において参照される。後者の公報は、ダイオードのセットに基づいて制御される抵抗を有する補償回路を開示している。1つの直列同調回路は、色々の程度の負のスロープ補償を提供し、並列同調回路は、色々の程度の正のスロープ補償の程度を提供する。ネットワーク要素は、変更されたブリッジTの構成で接続される。これらの制御可能な減衰器は、一般に、傍受(大信号挙動)に悪影響を与える。
【0004】
しかしながら、(傍受を悪化させることなく)その後のケーブル減衰が常に補償されるように、能動素子の増幅を選択するという無線マイクの分野における本発明の根底にある問題を解決することはできない。この問題は、使用されるケーブルの種類及び使用されるケーブルの長さに応じて、能動素子の一定ではないが可変増幅を提供することが常に先行技術において必要であるために、ケーブルの減衰が異なるという事実にこの場合もやはり起因する。これは、例えば、増幅器、RFケーブル及び制御可能な減衰器の結合が0dBに設定されるように、RFケーブルと直列に制御可能な減衰器を設けることによって生じる。しかしながら、雑音指数及び/又は傍受に悪影響を一般的に与える増幅器可変の利得を形成することもまた可能である。
【0005】
増幅が使用されるRFケーブルの減衰よりも大きいことが必然的に基本的な要件である。従って、1つの周波数ポイントにおいて説明される傍受及び雑音指数の比又はこれらの組み合わせの最適性が可能である。これは、0dBの変化がこの最適な周波数ポイントにおいて生じる一方で、ケーブル減衰がより低い低周波数においては、増幅はチェーンの端部において生じ、ケーブル減衰がより高い高周波数においては、より低い増幅が生じ、又は、周波数帯域の中心が0dBに設定された場合、減衰は実際に最上の周波数に対して存在し、従って、雑音指数もまた増加することを意味する。
【0006】
特開2007/281735号公報(特許文献3)は、システム設置において所望のチャンネルの信号減衰を制御することによって隣接チャンネル間の干渉を防止する問題を扱っている。これは、高周波数混合分配器の出力に依存して減衰器を制御することによって達成される。この場合もやはり、これらの制御可能な減衰器は、一般に、雑音指数及び/又は傍受に悪影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,967,169号明細書
【特許文献2】米国特許第5,144,267号明細書
【特許文献3】特開2007/281735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、可能であれば、傍受を悪化させることなく、異なる長さ及び/又は異なる質(長さあたりの減衰量)のRFケーブルの使用中に周波数に依存しない送信が達成されるように、この問題を解決するか又は少なくとも本質的に最小化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
周波数応答が使用されるケーブルとは反対に設計された能動素子は、この解決策のみが1本のケーブルに一致することが明確であるように、理論的に理想的であり、従って達成できない前提にもかかわらず、理論的な理想として述べることができた。
【0010】
異なるケーブル長における差異は、以下に簡単に取り組まれ、短いケーブルは、長いケーブルよりもアンテナシステムにおける最下及び最上の使用周波数間においてより低い減衰差を有することは本発明とともに必須であり、それは周波数に対する減衰のスロープがケーブルの長さの増加にともなって増加することを意味する。
【0011】
これらの問題は、請求項1の特徴部にかかる減衰器を有する直列の可変スロープ補償器によって本発明に従って解決される。
【0012】
そして、スロープ補償は、RFケーブルの周波数応答の補償を引き受ける必要があり、減衰器は、増幅器と最高のケーブル減衰との差の補償を引き受ける必要がある。基本減衰を補償するため、常に傍受に対する雑音指数の最適な比率で同じ動作点で動作される増幅器が使用される。スロープ補償器は、本質的に、固定抵抗が設けられた可変スロープを有する高域通過フィルタである。本発明によれば、可変抵抗としてのFET又はピンダイオードの使用は、大信号挙動における悪影響のために拒絶される。優れた大信号挙動が達成されるように、信号に影響することなく純粋な切り替えとしてのみの抵抗の切り替えのためにFET又はピンダイオードが使用される。いわゆるMEMS(微小電気機械システム)スイッチがまた使用されることができる。本発明にかかるこの手段の予想しない結果として、この切り替えがマイクロコントローラによって容易に制御可能であり、そうでなければ必要な正確な温度安定制御電圧及びFET又はピンダイオードの製造散乱の検討が不要であるという利点を得る。
【0013】
従って、本発明によれば、対応する切り替え(実際には:ブリッジ)によって所望の減衰スロープを達成するいくつかの部分から構成されるスロープネットワークを得る。
【0014】
1つの実施形態において、減衰器がディジタル的に制御可能であり(0〜15dBの制御範囲がそこから続く、短縮されるか否かであるz.B.1dB+2dB+4dB+8dBの直列回路)且つスロープがまたディジタル的に制御されるという事実は、上述したように、スロープ及び減衰器が所定のケーブル種類の制限と組み合わせることができる場合に利用される。必要とされる減衰とスロープとの間に直接的な関係がある。この関係は、以下にさらに説明されるように、選択されたケーブル種類について一定である。
【0015】
本発明の他の実施形態において、ネットワークの調整処理を自動化することが可能である。
【0016】
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
増幅器(3)及びRFケーブル(5)を有し、入力ポート(2)において始まり且つ出力ポート(6)において終わるアンテナ経路を含む無線マイクのアンテナシステムにおいて、減衰器(4)が、増幅器(3)とRFケーブル(5)との間において可変スロープ補償器(7)と直列に設けられている、ことを特徴とするアンテナシステム。
(項目2)
スロープ補償器(7)が、マイクロコントローラによって対応するスイッチング素子(8a、8b、8c、・・・、8n)を介してRFケーブル(5)と一致するように結合された複数の抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)から構成されている、ことを特徴とする上記項目に記載のアンテナシステム。
(項目3)
少なくとも1つの減衰器(4)が、その関連するスロープ補償器(7)と結合されている、ことを特徴とする上記項目のいずれかに記載のアンテナシステム。
(項目4)
入力ポート(2)に並列に位置し且つアンテナ経路におけるこれの代わりに並びに増幅器(3)の前段及び出力ポート(6)においてスイッチ(12)によって接続されることができるRF発振器(9)を使用して、スロープ補償器抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)及び抵抗(7a、7b、7c、・・・、7n)の設定を調整する方法。
(項目5)
RFレベル検出器、マイクロコンピュータによって測定されることができるRFレベルに直接比例する電圧を生成する半導体部品が使用される、ことを特徴とする上記項目に記載の方法。
【0017】
(摘要)
無線マイクのアンテナシステム。本発明は、増幅器(3)及びRFケーブル(5)を有し、入力ポート(2)において始まり且つ出力ポート(6)において終わるアンテナ経路を含む無線マイクのアンテナシステムに関する。可変ケーブル減衰を補償するために、減衰器(4)が、増幅器(3)とRFケーブル(5)との間において可変スロープ補償器(7)と直列に設けられている。先行技術にかかる可変スロープ補償器の大信号挙動についての悪影響を回避するために、FET又はピンダイオード又は同様の「マイクロスイッチ」が、優れた大信号挙動が達成されるように、信号に影響することなく純粋な切り替えとしてのみの抵抗の切り替えのために使用される。
【0018】
本発明は、さらに、図面を参照しながら以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、アンテナシステムの概略図を示している。
図2図2は、異なる周波数についての長さに対する1本のケーブルの減衰量を示している。
図3図3は、本発明にかかる回路の概略図を示している。
図4図4は、図3と同様であるがスロープ補償器の詳細な描写を有する図を示している。
図5図5は、スロープ補償器の自動測定の概略図を示している。
図6図6は、異なる長さについての周波数に対する1本のケーブルの減衰量を示している。
図7図7は、調整の簡略化された解決策についての2つの切り替え例を示している(1つの要素に接合された減衰器及びスロープ)。
図8図8は、調整の簡略化された解決策についての2つの切り替え例を示している(1つの要素に接合された減衰器及びスロープ)。
図9図9は、完全な図を示している。
図10図10は、対応する減衰器による異なるケーブルの直列回路のシミュレーション結果を示している。
図11図11は、詳細な具体例を示している。
図12図12は、周波数に対する異なる種類及び異なる長さのいくつかのケーブルの減衰量を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、出力点であるポートアウト6までそれ自体のボックス内にマーキングされた、能動素子である増幅器3と、制御可能な減衰器4と、交換可能性を明確にするためのRFケーブル5とを介した、入力である2のポートからのアンテナ経路1を示している
【0021】
図6は、1.52mの長さを有する最下段のグラフから始まり、21.28mの長さを有する最上段のグラフで終わる、異なる長さを有するケーブルの選択された種類についての470MHzから870MHzの間の異なる周波数に対するdBでの減衰量を示している。本質的な傾向は常に互いに類似しているものの、他の関係は、必然的に他のケーブルに適用される。
【0022】
図3は、同一の構成要素にはまた同一の参照符号が付されている図1のものと同様の図における本発明にかかる解決策を示しており、スロープ補償器7は、制御可能な減衰器4の後段に直列に接続されている。
【0023】
図4は、どのように本発明にかかるスロープ補償器が、すなわち、対応する接続によって使用されるケーブル5に一致される個々の抵抗から好ましくは構築されるかをより詳細に示している。4つのスロープ補償器7a、7b、7c及び7dは、マイクロコントローラ(図示しない)を介して、対応するスイッチング素子8a、8b、8c及び8dを介して一致するように結合されている。
【0024】
冒頭で述べたように、減衰器4は、増幅器と最高のケーブル減衰との差を形成するタスクを有する一方で、1つのスロープ補償器又は複数の補償器7は、実際のRFケーブルの周波数応答を補償するタスクを想定している。
【0025】
RFケーブルの寸法を簡略化するか又はそれを不要とするために、本発明の1つの実施形態において、図5に示されるように、比較の測定は、2のポートに並列に位置し且つ経路におけるこれの代わりに並びに増幅器3の前段及び出力6(例えば、RFレベル検出器、μCによって測定されることができるRFレベルに直接比例する電圧を生成する半導体部品)において(レベルに一致するブッシング)スイッチ12によって接続されることができるRF発振器9を使用して生じることができる。従って、可変減衰要素4及び可変スロープ補償器7についての最適な調整は、その全体において見つけられることができる。調整中において、位置10及び位置11における信号間の差異は最小である。
【0026】
これから得られるように、ケーブルの特性を把握するか又はそれを確立する必要はなく、これはまた、実際には決定されないが、補償は、位置10及び11における測定値の比較によって直接行われる。
【0027】
図12は、例として、市販されている5つの異なるケーブルについての周波数に対する減衰量を示しており、この場合これらのケーブルは、異なる長さにもかかわらず、ほぼ同一の周波数応答を有することが明白である。これは、この周波数応答又は他の選択された周波数応答に十分に近くなるケーブルのみを使用する場合に利用されることができる。これは、1つの要素に減衰器をスロープ補償器と組み合わせる可能性を形成する。このための基本は、選択されたケーブル種類に制限することによって基本減衰とスロープとの間に標準関係があることであり、以下が適用される。
短いRFケーブル:高減衰及び小スロープ、又は、
長いRFケーブル:低減衰及び大スロープ。
【0028】
図に記載されているケーブルは、異なる長さにもかかわらず、密接にある特性を有し、これは、例として示されたケーブルの異なる品質の結果である。
【0029】
減衰器4として本特許出願において指定された市販のディジタルステップ減衰器は、IC内に組み込まれた場合に、例えば、直列に接続され且つそれらがブリッジされているかどうかに応じて1dBステップにおいて0から15dBの間の異なる総減衰量を許容する、1dB、2dB、4dB及び8dBについてのいくつかの非可変減衰器を有する。
【0030】
必要とされる減衰値のうちの1つについての減衰器4とスロープ補償器7との結合は、図7及び図8に例として示されており、図7は、減衰がONであってスロープがOFFであるときを示し、図8は、対照的に、減衰がOFFであってスロープがONであるときを示している。換言すれば、スロープ/減衰器ユニットの切り替え状態は、ここでは以下のように簡略化されて示されている。図7において、周波数応答(高域)を決定する構成要素は、非活性化され、定義された減衰量が許容されるのみであり、図8において、周波数応答を決定する構成要素は、活性化され、純粋な減衰器の効果は、この理由によって低減される。
【0031】
これら2つの図におけるポート1及びポート2は、L1及びC1のみならず、C2もまた、3つのオーム抵抗R1、R2及びR3と同様に一致して寸法決めされる必要がある一連のアンテナ経路の各接続を表している。ポート1及びポート2は、ここでは、図9についての1dBスロープ/減衰器要素の入力及び出力が必要とされる。各スロープ/減衰器(1dB、2dB、4dB、8dB)について、異なる寸法が必要とされる。対応する抵抗は、本質的に、減衰部を決定し、部品L_1dB、C_1dBは、スロープを決定する(関係に応じて、限定された基本減衰→高スロープ及びその逆)。C2、C4、C6及びC8はまた、スロープの決定のために使用される。
【0032】
実際には、スロープ補償器で使用される構成要素についての正確な値は、シミュレータにおいて最適化することによって決定されることができる。この場合、対応するケーブルにおけるスロープ補償器の各スイッチ位置について、それらは、シミュレータに(この場合、16の直列回路に)直列に接続され、全てが一定の総減衰量で同時に最適化される。
【0033】
例としては以下である。
スロープ=0dB+ケーブル=50.4m→総減衰量=17dB(最高スロープ)
スロープ=1dB+ケーブル=46.2m→総減衰量=17dB
スロープ=15dB+ケーブル=0m→総減衰量=17dB(補償されるべきスロープなし)
【0034】
図10は、対応する減衰器による異なるケーブルの直列回路のシミュレーション結果を示している。
【0035】
図9は、減衰器及びスロープが結合された本発明の変形例を示している。この場合もやはり、スロープが減衰の非活性化によって活性化される1dB、2dB、4dB、8dBを持つディジタル的に制御可能な減衰器がある。しかしながら、4つのそのようなブロックである必要はなく、より多くの又はより少ないブロックが所望の制御範囲に応じて使用可能である。
【0036】
図9は、この場合もやはり、接続がケーブルの寸法決めのために提供される図5と類似している。この図において、マイクロコントローラ13はまた、その制御ラインによってマーキングされている。長さは知られていないがケーブルの特性が原則として知られていることから、寸法決めについての接続は有利である。例えば830MHzにおける基本減衰とスロープとの間の(意図的に制限されたケーブル選択による)強固な接続並びに減衰器及びスロープネットワークの結合により、必要とされる調整は、上述した発振器及び2つのRFレベルメータにより、(470MHzから820MHzの間の現在の場合において)任意の周波数ポイントにおいて決定されることができる。
【0037】
例:
17dBの利得を有する増幅器を有する場合、増幅器、正確に選択されたスロープ減衰器及びRFケーブル(1dBステップの長さ)の直列回路は、常に約0dBを有する一定の周波数応答を与えるであろう。
【0038】
しかしながら、調整がスロープ減衰器(ケーブル長は未知)について選択されるべきであることが最初に知られていないことから、2つのRFレベルメータの値のみが互いに比較される必要があり、スロープ減衰器は、2つの測定値が同じであるか又は差異が最小値を形成するまで変化する。
【0039】
指定された品質のケーブル種類に対する上述した制限により、従って、任意の周波数ポイントにおける測定による未知のケーブル長によってシステムを最適に調整することが可能である。
【0040】
この制限が所定のRFケーブルに適用されない場合には、少なくとも2つの周波数ポイントで測定し、基本減衰及びスロープを互いに別個に調整する必要がある。
【0041】
アンテナシステムは、例えば、ブースタ(=増幅器+スロープ減衰器)、ケーブル、第2のブースタ、第2のケーブル及び端部における受信機から構成され得る。ブロック図に示されているRFレベルメータは、常にブースタ及び受信機における増幅器の前段にあるであろう(校正用発振器は、第1のブースタにのみ存在する)。
【0042】
アンテナと受信機との間のより長距離をブリッジするために、このようにして正確に進めなければならない。
【0043】
アンテナ−ブースタ−ケーブル−ブースタ−ケーブル−受信機
【0044】
発振器は、必然的に、第1のブースタにのみ必要とされる。
【0045】
RFレベルが装置の対応する入力においてマイクロコントローラによって測定されたかについての情報は、対応する接続を介して送信される必要がある。第1のブースタは、必然的に、μCが前者において最低レベル差に調整することができるように、第2のブースタの測定結果を受信する必要がある。
【0046】
例えば、第1のブースタにおけるレベルメータが1V(=基準発振器レベル)の電圧を測定し→第2のブースタが第1のブースタに対して測定された電圧値を送信し→第1のブースタが第2のブースタにおける電圧もまた1Vとなるまで減衰器を変更する。そして、同じプロセスは、第2のブースタとこの場合には受信機との間において生じる。目的はまた、受信機の入力において1Vを測定することである。
【0047】
スロープ補償器の考慮に関して、正確な減衰量が調整されることができるように、第2のブースタにおけるRFレベルに関する情報が最初に送信されなければならず、受信機の入力におけるRFレベルに関する後続の情報がその減衰要素についての第2のブースタに対して送信される旨が明確に言及されるべきである。
【0048】
大規模アンテナシステムがより良好な理解のために図11に示されている。各アンテナ素子(ここではAPIiと称される)において、基準発振器がある。電力分配器と受信機との間並びに受信機間のケーブルが非常に短く、スロープがもはやここでは関連性を有しないことから、電力分配器(AS8iと称される)を越えて、測定は、もはやこの場合には行われない。これは、必然的に、アンテナシステムについての多くの例のうちの1つにすぎない。
【0049】
図12は、周波数に対する異なる種類及び異なる長さのいくつかのケーブルの減衰量を示している。それらは、それらが820MHzにおいて14dBの減衰量を有するように選択された。ケーブルは、以下のとおりである。
RG58AU=約21m
RG223/U=約35m
LMR−200=約45m
LMR−240=約59m
LMR−400=約114m
【0050】
容易にわかるように、スロープに対するケーブル間にいかなる差異もほとんど存在しない(これは、ケーブル及びグラフが図12において互いに割り当てられていない理由である)。従って、ユーザは、使用される最高周波数(例えば、820MHz)における(長さの関数としての)減衰が所定の閾値(示される例において:14dB、常に利用可能な増幅器の利得に依存する)を超えない限り、多くのケーブル間で選択することができる。「より短い」ケーブル(少ない減衰)を使用する場合、本発明にかかる補償器が使用される。
【0051】
使用されるケーブルが1dBよりも小さい所定の(又は選択された、実装に応じて)最高周波数において減衰を有するのに十分短い場合には、回路(例えば、図9)は、「1dB」の表示のみでブロックを活性化させる(「1dB」−ブロックは、スロープなしで1dBの減衰を有する)。
【0052】
図12からも容易にわかるように、補償器が指定された区間である限り、校正(図9に関する説明を参照)が行われる周波数が何であるのかは大して重要ではない。図12の例において、この区間は、470MHzから820MHzまで延びている。いずれの場合においても、補償器は、選択された周波数における入力信号レベルと出力信号レベルとの差異が可能な限り「0」に近いように「調整」されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12