【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・平成26年7月5日、東洋ゴム工業株式会社仙台工場構内において開示 ・平成26年7月7日、東洋ゴム工業株式会社タイヤ技術センター構内において開示 ・平成26年7月8日、東洋ゴム工業株式会社仙台工場構内において開示 ・平成26年7月9日、OFFICEiにおいて開示 ・平成26年7月10日、東洋ゴム工業株式会社タイヤ技術センター構内において開示 ・平成26年10月24日、http://www.toyo−rubber.co.jp/news/2014/141024.htmlのアドレスのウェブサイトにおいて発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車両外側領域のうち、タイヤ幅方向の最も外側に配置される領域において、前記横溝のうち少なくとも半数は、タイヤ幅方向全体に亘って配置されると共に、タイヤ幅方向の内側から外側にいくにつれて、幅広となるように形成される請求項1〜3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、
図1〜
図4を参酌して説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致していない。
【0014】
本実施形態に係る空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1は、ビードを有する一対のビード部(図示していない)と、各ビード部からタイヤ径方向の外側に延びるサイドウォール部(図示していない)と、一対のサイドウォール部のタイヤ径方向の外端部に連接され、
図1及び
図2に示すように、接地するトレッド面2を有するトレッド部3とを備えている。該タイヤ1は、リム(図示していない)に装着されている。
【0015】
図1及び
図2において、タイヤ周方向は、上下方向であり、タイヤ幅方向は、左右方向であり、タイヤ径方向は、紙面に対して垂直方向である。なお、
図2における1点鎖線S1は、タイヤ回転軸に直交し且つタイヤ幅方向の中心に位置するタイヤ赤道面を示している。
【0016】
タイヤ1においては、トレッド面2に形成されるトレッドパターンは、タイヤ赤道面S1に対して非対称となる構造である。斯かるタイヤは、車両への装着向きを指定されたタイヤであり、リムに装着する際に、タイヤの左右何れを車両に対面するかを指定したものである。なお、車両への装着の向きは、サイドウォール部に表示されている。具体的には、サイドウォール部は、タイヤ外表面に、表示部を有している。
【0017】
本実施形態においては、車両装着時に内側(
図1及び
図2における右側であって、以下、「車両内側」ともいう)に配置される一方のサイドウォール部は、車両内側となる旨の表示(例えば、「INSIDE」等)を付されており、また、車両装着時に外側(
図1及び
図2における左側であって、以下、「車両外側」ともいう)に配置される他方のサイドウォール部は、車両外側となる旨の表示(例えば、「OUTSIDE」等)を付されている。
【0018】
トレッド部3は、タイヤ幅方向において、車両内側に配置される車両内側領域3iと、車両外側に配置される車両外側領域3oとに区分される。車両内側領域3iは、タイヤ赤道面S1から車両内側の接地端2aまでの領域であり、車両外側領域3oは、タイヤ赤道面S1から車両外側の接地端2bまでの領域である。
【0019】
なお、接地端2a,2bは、接地面のタイヤ幅方向の外側端である。該接地面は、タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した状態でタイヤを平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときの路面に接地するトレッド面2を指す。
【0020】
正規リムは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば「Design Rim」、ETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0021】
正規内圧は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATIONPRESSURE」であるが、タイヤが乗用車用である場合には180KPaとする。
【0022】
正規荷重は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」であるが、タイヤが乗用車用である場合には内圧180KPaの対応荷重の85%とする。
【0023】
トレッド部3は、タイヤ周方向に沿って延びる複数の周溝4と、周溝4で区画される複数の区画領域5とを備えている。該周溝4は、ジグザグ状にタイヤ周方向に沿って延びて形成されている。なお、周溝4は、タイヤ周方向と平行となるように直線状に形成されていてもよい。
【0024】
本実施形態においては、周溝4は、四本備えられており、それにより、区画領域5は、五つ備えられている。そして、複数の区画領域5においては、タイヤ赤道面S1を含んでタイヤ幅方向の中央に配置される区画領域5は、センター領域5cといい、タイヤ幅方向の最も外側の各区画領域は、ショルダー領域5is,5osといい、センター領域5cとショルダー領域5is,5osとの間に配置される区画領域5は、メディエイト領域5im,5omという。なお、ショルダー領域5is,5osのタイヤ幅方向の外側端は、接地端2a,2bとしている。
【0025】
また、ショルダー領域のうち、車両内側領域3iに配置される領域は、内側ショルダー領域5isといい、車両外側領域3oに配置される領域は、外側ショルダー領域5osという。また、メディエイト領域のうち、車両内側領域3iに配置される領域は、内側メディエイト領域5imといい、車両外側領域3oに配置される領域は、外側メディエイト領域5omという。
【0026】
区画領域5は、凸状に形成されて接地する複数の陸部6と、タイヤ周方向と交差するように凹状に延びる複数の横溝7とを備えている。該横溝7の全ては、タイヤ幅方向に対して傾斜して交差するように、配置されている。また、陸部6は、横溝7より幅狭の凹状である複数のサイプ8を備えている。なお、横溝7は、幅が1.0mm以上である凹状部のことであり、サイプ8は、幅が1.0mm未満である凹状部のことである。
【0027】
図2において、区画領域5の境界線は、二点鎖線で示しており、横溝7の領域は、斜線部で示している。そして、車両内側領域3iのボイド比は、車両外側領域3oのボイド比よりも、小さくなっている。なお、ボイド比は、区画領域5の表面積に対する横溝7の表面積の比のことである。該区画領域5の表面積は、横溝7の表面積と陸部6(サイプ8を含む)の表面積とからなる。
【0028】
そして、車両内側領域3iのボイド比は、車両外側領域3oのボイド比の55%〜65%である、ことが好ましい。本実施形態においては、車両内側領域3iのボイド比は、車両外側領域3oのボイド比の54%である。なお、本実施形態においては、車両内側領域3iのボイド比は、6.7%であり、車両外側領域3oのボイド比は、10.9%である。なお、車両内側領域3iのボイド比は、車両外側領域3oのボイド比の55%より小さくてもよく、また、65%より大きくてもよい。
【0029】
車両外側領域3oにおいては、区画領域5のボイド比は、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、大きくなっている。即ち、外側ショルダー領域5osのボイド比は、外側メディエイト領域5omのボイド比よりも大きくなっており、外側メディエイト領域5omのボイド比は、センター領域5cのボイド比よりも大きくなっている。
【0030】
本実施形態においては、外側ショルダー領域5osのボイド比は、13.1%であり、外側メディエイト領域5omのボイド比は、9.4%であり、センター領域5cのボイド比は、8.9%である。なお、本実施形態においては、車両外側領域3oのセンター領域5cのボイド比と、車両内側領域3iのセンター領域5cのボイド比とは、同じである。
【0031】
また、車両外側領域3oの各領域5os,5omのボイド比は、センター領域5cのボイド比の100%〜150%であることが好ましい。本実施形態においては、外側ショルダー領域5osのボイド比は、センター領域5cのボイド比の147%であり、外側メディエイト領域5omのボイド比は、センター領域5cのボイド比の105%である。
【0032】
また、車両内側領域3iにおいても、内側ショルダー領域5isのボイド比は、内側メディエイト領域5imのボイド比よりも大きくなっている。本実施形態においては、内側ショルダー領域5isのボイド比は、6.5%であり、内側メディエイト領域5imのボイド比は、5.7%である。なお、車両内側領域3iにおいては、センター領域5cのボイド比は、内側ショルダー領域5is及び内側メディエイト領域5imの各ボイド比よりも大きくなっている。
【0033】
また、車両内側領域3iの各領域5is,5imのボイド比は、センター領域5cのボイド比の50%〜100%であることが好ましい。本実施形態においては、内側ショルダー領域5isのボイド比は、センター領域5cのボイド比の73%であり、内側メディエイト領域5imのボイド比は、センター領域5cのボイド比の64%である。
【0034】
また、内側ショルダー領域5isのボイド比は、外側ショルダー領域5osのボイド比の45%〜65%であることが好ましい。本実施形態においては、内側ショルダー領域5isのボイド比は、外側ショルダー領域5osのボイド比の50%である。
【0035】
また、内側メディエイト領域5imのボイド比は、外側メディエイト領域5omのボイド比の45%〜65%であることが好ましい。本実施形態においては、内側メディエイト領域5imのボイド比は、外側メディエイト領域5omのボイド比の61%である。
【0036】
図3及び
図4に示すように、ショルダー領域5is,5osにおいて、横溝7には、ショルダー領域5is,5osのタイヤ幅方向の全体に亘って配置されている第1の横溝7aと、ショルダー領域5is,5osのタイヤ幅方向の一部に配置されている第2の横溝7bと、が存在している。本実施形態においては、各ショルダー領域5is,5osとも、第1の横溝7aと第2の横溝7bとは、同数備えられており、タイヤ周方向で交互に配置されている。
【0037】
第1の横溝7aは、タイヤ幅方向の内側から外側にいくにつれて、幅広となるように形成されている。これにより、第1の横溝7aによりブロック状に区画される陸部6において、タイヤ幅方向の内側端のタイヤ周方向の寸法W1は、タイヤ幅方向の外側端のタイヤ周方向の寸法W2よりも大きくなっている。なお、第2の横溝7bは、幅寸法が一定となるように形成されている。
【0038】
また、ショルダー領域5is,5osにおいて、陸部6のタイヤ幅方向の内側端のタイヤ周方向の寸法W1は、第1の横溝7aのタイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3の10倍以上であることが好ましい。
【0039】
本実施形態においては、内側ショルダー領域5isにおいて、陸部6のタイヤ幅方向の内側端のタイヤ周方向の寸法W1は、第1の横溝7aのタイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3の26.4倍である。なお、本実施形態においては、陸部6のタイヤ幅方向の内側端のタイヤ周方向の寸法W1は、39.7mmであり、第1の横溝7aのタイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3は、1.5mmである。
【0040】
本実施形態においては、外側ショルダー領域5osにおいて、陸部6のタイヤ幅方向の内側端のタイヤ周方向の寸法W1は、第1の横溝7aのタイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3の13.7倍である。なお、本実施形態においては、陸部6のタイヤ幅方向の内側端のタイヤ周方向の寸法W1は、38.4mmであり、第1の横溝7aのタイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3は、2.8mmである。
【0041】
また、第1の横溝7aにおいて、タイヤ幅方向の外側端の幅寸法W4は、タイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3の1.5倍以上であることが好ましい。なお、外側ショルダー領域5osの第1の横溝7aは、接地して変形した際に、閉じないような寸法に設定されている。
【0042】
本実施形態においては、内側ショルダー領域5isの第1の横溝7aにおいて、タイヤ幅方向の外側端の幅寸法W4は、タイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3の2倍である。なお、本実施形態においては、タイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3が1.5mmであるのに対して、タイヤ幅方向の外側端の幅寸法W4が3.0mmである。
【0043】
本実施形態においては、外側ショルダー領域5osの第1の横溝7aにおいて、タイヤ幅方向の外側端の幅寸法W4は、タイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3の2.6倍である。なお、本実施形態においては、タイヤ幅方向の内側端の幅寸法W3が2.8mmであるのに対して、タイヤ幅方向の外側端の幅寸法W4が7.2mmである。
【0044】
図3に示すように、内側ショルダー領域5isの第1の横溝7aは、タイヤ幅方向の内側と外側に幅寸法が一定である一定部分と、当該一定部分の間に配置され、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて次第に幅広になる幅広部分とを備えている。当該幅広部分は、タイヤ幅方向の内側寄りに配置されている。一方、
図4に示すように、外側ショルダー領域5osの第1の横溝7aは、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて連続して幅広になるように形成されている。
【0045】
以上より、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、接地するトレッド部3を備え、前記トレッド部3は、タイヤ周方向に沿って延びる複数の周溝4と、前記周溝4で区画される複数の区画領域5とを備え、前記複数の区画領域5は、接地する陸部6と、タイヤ周方向と交差するように凹状に延びる横溝7とを備え、前記トレッド部3の車両装着時に内側に配置される車両内側領域3iにおけるボイド比は、前記トレッド部3の車両装着時に外側に配置される車両外側領域3oのボイド比よりも、小さく、前記車両外側領域3oにおける前記区画領域5のボイド比は、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、大きい。
【0046】
斯かる構成によれば、車両内側領域3iのボイド比が、車両外側領域3oのボイド比よりも小さいため、車両内側領域3iにおいては、例えば、横溝7の幅が小さかったり、横溝7の数が少なかったりしている。これにより、陸部6が接地する際に発生する打撃音を小さくしたり、打撃音の発生頻度を少なくしたりできる。したがって、騒音性能の改善を図ることができる。
【0047】
また、車両外側領域3oのボイド比が、車両内側領域3iのボイド比よりも、大きいため、例えば、車両外側領域3oの陸部6の剛性が小さくなっている。これにより、旋回時に、車両外側領域3oの接地長が大きくなるため、コーナリングパワーが大きくなる。したがって、操縦安定性能の改善を図ることができる。
【0048】
さらに、車両外側領域3oにおける区画領域5のボイド比は、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、大きくなっているため、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、例えば、陸部6の剛性が小さくなっている。これにより、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、旋回時の接地長が大きくなるため、コーナリングパワーがさらに大きくなる。したがって、操縦安定性能の改善をさらに図ることができる。
【0049】
加えて、車両外側領域3oにおける区画領域5のボイド比は、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、大きくなっているため、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、例えば、横溝7の幅が大きかったり、横溝7の数が多かったりしている。これにより、タイヤ幅方向の中央から外側に向けて水や泥が流れ易くなるため、排水性能及び排泥性能の改善も図ることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記車両外側領域3oの前記横溝7のうち少なくとも半数(具体的には、全部)は、タイヤ幅方向に対して傾斜して交差するように、配置される、という構成である。
【0051】
斯かる構成によれば、車両外側領域3oの横溝7のうち少なくとも半数(具体的には、全部)が、タイヤ幅方向に対して傾斜して交差するように、配置されているため、車両外側領域3oの陸部6の踏み込み側(タイヤ回転方向の前方側)の縁部は、同時に接地するのではなく、タイヤ幅方向の一方側から他方側の順に徐々に接地する。これにより、陸部6が接地する際に発生する打撃音を時間的に分散することができるため、ボイド比が大きい車両外側領域3oにおいても、騒音性能の改善を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、全ての前記横溝7は、タイヤ幅方向に対して傾斜して交差するように、配置される、という構成である。
【0053】
斯かる構成によれば、全ての横溝7が、タイヤ幅方向に対して傾斜して交差するように、配置されているため、全ての陸部6の踏み込み側(タイヤ回転方向の前方側)の縁部は、同時に接地するのではなく、タイヤ幅方向の一方側から他方側の順に徐々に接地する。これにより、陸部6が接地する際に発生する打撃音を時間的に分散することができるため、騒音性能の改善を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記車両外側領域3oのうち、タイヤ幅方向の最も外側に配置される領域5osにおいて、前記横溝7のうち少なくとも半数(具体的には、半数)は、タイヤ幅方向全体に亘って配置されると共に、タイヤ幅方向の内側から外側にいくにつれて、幅広となるように形成される、という構成である。
【0055】
斯かる構成によれば、車両外側領域3oのうち、タイヤ幅方向の最も外側に配置される領域5osにおいて、横溝7のうち少なくとも半数(具体的には、半数)が、タイヤ幅方向の内側から外側にいくにつれて、幅広となるように形成されているため、例えば、タイヤ幅方向の外側ほど、陸部6の剛性が小さくなっている。これにより、タイヤ幅方向の外側ほど、旋回時の接地長が大きくなるため、コーナリングパワーがさらに大きくなる。したがって、操縦安定性能の改善をさらに図ることができる。
【0056】
また、車両外側領域3oのうち、タイヤ幅方向の最も外側に配置される領域5osにおいて、横溝7のうち少なくとも半数(具体的には、半数)が、タイヤ幅方向の内側から外側にいくにつれて、幅広となるように形成されているため、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて水や泥が流れ易くなる。したがって、排水性能及び排泥性能の改善もさらに図ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記車両内側領域3iのボイド比は、前記車両外側領域3oのボイド比の55%〜65%である、という構成である。斯かる構成によれば、騒音性能の改善と操縦安定性能の改善との両立を効果的に図ることができる。
【0058】
なお、空気入りタイヤは、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤは、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0059】
上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、全ての横溝7は、タイヤ幅方向に対して傾斜して交差するように、配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤにおいては、横溝7のうち少なくとも一つは、タイヤ幅方向に平行となるように、配置されている、という構成でもよい。また、例えば、空気入りタイヤにおいては、車両外側領域3oの横溝7のうち半数は、タイヤ幅方向に対して傾斜して交差するように、配置される、という構成でもよい。
【0060】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダー領域5is,5osにおいて、複数の横溝7のうち半数が、第1の横溝7aである、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。空気入りタイヤにおいては、複数の横溝7の全部が、第1の横溝7aである、という構成であればよい。即ち、空気入りタイヤにおいては、車両外側領域3oのうち、タイヤ幅方向の最も外側に配置される領域5is,5osにおいて、横溝7のうち少なくとも半数は、タイヤ幅方向全体に亘って配置されると共に、タイヤ幅方向の内側から外側にいくにつれて、幅広となるように形成される、という構成が好ましい。
【0061】
本発明の構成と効果を具体的に示すため、空気入りタイヤの実施例とその比較例とについて、
図5を参酌して、以下に説明する。
【0062】
<騒音性能>
サイズが245/65R17であるタイヤについて、JASO C606に準拠した室内音響ドラム試験機にてノイズレベルを計測した。比較例2の結果を100とする指数で評価し、指数が小さいほど、ノイズレベルが小さく、騒音性能が優れていることを示す。
【0063】
<操縦安定性能>
サイズが245/65R17である各タイヤを車両に装着し、ドライ路面の旋回走行を実施した。そして、ドライバーによる官能試験により、操縦安定性能を評価した。比較例1の結果を100とする指数で評価し、指数が大きいほど、操縦安定性能が優れていることを示す。
【0064】
<実施例1〜3>
実施例1は、
図1〜
図4に係る上記実施形態に係るタイヤであって、車両内側領域3iのボイド比が車両外側領域3oのボイド比の62%であるタイヤである。
実施例2は、実施例1のタイヤに対して、車両内側領域3iのボイド比が車両外側領域3oのボイド比の55%である、という構成に変更したタイヤである。
実施例3は、実施例1のタイヤに対して、車両内側領域3iのボイド比が車両外側領域3oのボイド比の65%である、という構成に変更したタイヤである。
【0065】
<比較例1及び2>
比較例1は、実施例1に係るタイヤの車両内側領域3iのトレッドパターンをタイヤ赤道面S1で対称としたタイヤであって、車両内側領域3iのボイド比と車両外側領域3oのボイド比とが同じである。
比較例2は、実施例1に係るタイヤの車両外側領域3oのトレッドパターンをタイヤ赤道面S1で対称としたタイヤであって、車両内側領域3iのボイド比と車両外側領域3oのボイド比とが同じである。
【0066】
<評価結果>
比較例1が騒音性能のみ改善できており、比較例2が操縦安定性能のみ改善できているのに対して、実施例1〜3は、騒音性能と操縦安定性能との両方を改善することができている。このように、車両内側領域3iのボイド比が車両外側領域3oのボイド比よりも小さいため、騒音性能と操縦安定性能との両方を改善することができている。さらに、車両外側領域3oにおける区画領域5のボイド比が、タイヤ幅方向の外側の区画領域5ほど、大きくなっているため、操縦安定性能を効果的に改善することができている。