(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0020】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成図である。
図2は、
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0022】
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙が搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が印刷経路RP、一点鎖線で示す経路が循環経路RC、破線で示す経路が第1排紙経路RD1および第2排紙経路RD2、二点鎖線で示す経路が外部給紙経路RS1および内部給紙経路RS2である。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0023】
図1、
図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、給紙部2と、搬送印刷部3と、循環搬送部4と、排紙部5と、制御部6と、各部を収納または保持する筐体7とを備える。なお、給紙部2の一部(後述する内部給紙搬送ローラ16A〜16C)と循環搬送部4の一部(後述する上昇搬送ローラ47)とが、請求項の搬送部を構成する。
【0024】
給紙部2は、未印刷の用紙Pを搬送印刷部3に給紙する。また、給紙部2は、両面印刷時に表面印刷後の用紙Pを搬送印刷部3に再給紙する。給紙部2は、搬送経路の最も上流側に配置されている。給紙部2は、外部給紙台11と、外部給紙ローラ12と、内部給紙台13A,13Bと、内部給紙ローラ14A,14Bと、内部給紙モータ15A,15Bと、内部給紙搬送ローラ(請求項の給紙搬送部に相当)16A〜16Cと、内部給紙搬送モータ17と、縦搬送ローラ(請求項の搬送ローラに相当)18と、縦搬送モータ19と、縦搬送センサ20とを備える。
【0025】
外部給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台11は、一部が筐体7の外部に露出して設置されている。
【0026】
外部給紙ローラ12は、外部給紙台11に積層された用紙Pを1枚ずつ取り出すとともに、外部給紙経路RS1に沿って後述する搬送印刷部3のレジストローラ31へ向けて用紙Pを搬送する。
【0027】
内部給紙台13A,13Bは、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台13A,13Bは、筐体7の内部に配置されている。
【0028】
内部給紙ローラ14A,14Bは、それぞれ内部給紙台13A,13Bに積層された用紙Pを1枚ずつ取り出す。
【0029】
内部給紙モータ15A,15Bは、それぞれ内部給紙ローラ14A,14Bを回転駆動させる。
【0030】
内部給紙搬送ローラ16A,16Bは、それぞれ内部給紙ローラ14A,14Bにより内部給紙台13A,13Bから取り出された用紙Pを内部給紙搬送ローラ16Cへ搬送する。内部給紙搬送ローラ16Cは、内部給紙搬送ローラ16Aまたは内部給紙搬送ローラ16Bにより搬送されてきた用紙Pを縦搬送ローラ18へ搬送する。内部給紙搬送ローラ16Cは、内部給紙経路RS2の内部給紙ローラ14Aから延びる部分と内部給紙ローラ14Bから延びる部分との合流地点の下流側に配置されている。
【0031】
内部給紙搬送モータ17は、内部給紙搬送ローラ16A〜16Cを回転駆動させる。
【0032】
縦搬送ローラ18は、内部給紙経路RS2に沿って内部給紙搬送ローラ16Cから搬送されてくる用紙Pを後述する搬送印刷部3のレジストローラ31へ搬送する。また、縦搬送ローラ18は、両面印刷時に循環経路RCに沿って循環搬送された表面印刷後の用紙Pをレジストローラ31へ搬送する。縦搬送ローラ18は、循環経路RCの内部給紙経路RS2への合流地点の下流側において、内部給紙経路RS2に沿って配置されている。
【0033】
縦搬送モータ19は、縦搬送ローラ18を回転駆動させる。また、縦搬送モータ19は、外部給紙ローラ12を回転駆動させる。縦搬送モータ19は、縦搬送ローラ18および外部給紙ローラ12にそれぞれ図示しないワンウェイクラッチを介して接続されている。これにより、縦搬送モータ19の一方向の回転駆動により縦搬送ローラ18が回転駆動され、縦搬送モータ19の他方向の回転駆動により外部給紙ローラ12が回転駆動されるようになっている。
【0034】
縦搬送センサ20は、縦搬送ローラ18からレジストローラ31へ搬送される用紙Pを検出する。縦搬送センサ20は、縦搬送ローラ18へ用紙Pが到達したタイミングと、縦搬送ローラ18から用紙Pが抜けたタイミングとを検出するためのものである。縦搬送センサ20は、縦搬送ローラ18の下流側近傍の所定位置に配置されている。
【0035】
搬送印刷部3は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。搬送印刷部3は、給紙部2の下流側に配置されている。搬送印刷部3は、レジストローラ31と、レジストモータ32と、ベルト搬送部33と、ベルトモータ34と、ヘッドユニット35とを備える。なお、ベルト搬送部33とヘッドユニット35とが、請求項の印刷部を構成する。
【0036】
レジストローラ31は、外部給紙ローラ12または縦搬送ローラ18により搬送されてきた用紙Pを一旦止めて斜行補正した後、ベルト搬送部33へ搬送する。レジストローラ31は、搬送印刷部3の上流部の印刷経路RP上に配置されている。
【0037】
レジストモータ32は、レジストローラ31を回転駆動させる。
【0038】
ベルト搬送部33は、レジストローラ31により搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。ベルト搬送部33は、レジストローラ31の下流側に配置されている。
【0039】
ベルトモータ34は、ベルト搬送部33を駆動させる。
【0040】
ヘッドユニット35は、用紙Pの搬送方向と直交する方向(前後方向)に沿って複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有する。ヘッドユニット35は、ベルト搬送部33の上方に配置されている。ヘッドユニット35は、ベルト搬送部33により搬送される用紙Pにインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して画像を印刷する。
【0041】
循環搬送部4は、両面印刷時に表面印刷後の用紙Pを循環経路RCに沿って搬送し、表裏反転した用紙Pを縦搬送ローラ18へ渡す。循環搬送部4は、複数対の中間搬送ローラ41と、中間搬送モータ42と、反転ローラ43と、反転モータ44と、複数対の水平搬送ローラ45と、水平搬送モータ46と、複数対の上昇搬送ローラ(請求項の再給紙搬送部に相当)47と、上昇搬送モータ48とを備える。
【0042】
中間搬送ローラ41は、両面印刷時に表面印刷後の用紙Pを反転ローラ43へ搬送する。複数対の中間搬送ローラ41は、搬送印刷部3と反転ローラ43との間の循環経路RCに沿って配置されている。
【0043】
中間搬送モータ42は、複数対の中間搬送ローラ41を回転駆動させる。また、中間搬送モータ42は、後述する最上流の第1排紙ローラ55、および最下流の第2排紙ローラ57以外の第2排紙ローラ57を回転駆動させる。
【0044】
反転ローラ43は、中間搬送ローラ41により搬送されてきた用紙Pをスイッチバックして水平搬送ローラ45へ搬送する。反転ローラ43は、循環経路RCに沿って、中間搬送ローラ41の下流側に配置されている。
【0045】
反転モータ44は、反転ローラ43を回転駆動させる。
【0046】
水平搬送ローラ45は、反転ローラ43によりスイッチバックされた用紙Pを上昇搬送ローラ47へ搬送する。複数対の水平搬送ローラ45は、反転ローラ43と循環経路RCの内部給紙経路RS2への合流地点との間における循環経路RCの上流部に沿って配置されている。
【0047】
水平搬送モータ46は、複数対の水平搬送ローラ45を回転駆動させる。
【0048】
上昇搬送ローラ47は、水平搬送ローラ45により搬送されてきた用紙Pを縦搬送ローラ18へ搬送する。複数対の上昇搬送ローラ47は、反転ローラ43と循環経路RCの内部給紙経路RS2への合流地点との間における循環経路RCの下流部に沿って配置されている。
【0049】
上昇搬送モータ48は、複数対の上昇搬送ローラ47を回転駆動させる。
【0050】
排紙部5は、印刷済みの用紙Pを排紙する。排紙部5は、第1切替部51と、第1ソレノイド52と、第2切替部53と、第2ソレノイド54と、複数対の第1排紙ローラ55と、第1排紙モータ56と、複数対の第2排紙ローラ57と、第2排紙モータ58と、排紙台59とを備える。
【0051】
第1切替部51は、用紙Pの搬送経路を第1排紙経路RD1と循環経路RCとの間で切り替える。第1排紙経路RD1は、印刷経路RPの下流端から、印刷装置1の右側に配置された後処理装置(図示せず)へ向かって延びる経路である。第1切替部51は、第1排紙経路RD1と循環経路RCとの分岐地点に配置されている。
【0052】
第1ソレノイド52は、第1切替部51を駆動させる。
【0053】
第2切替部53は、用紙Pの搬送経路を第1排紙経路RD1と第2排紙経路RD2との間で切り替える。第2排紙経路RD2は、第1排紙経路RD1と循環経路RCとの分岐地点の下流側において、第1排紙経路RD1から分岐して排紙台59へ向かう経路である。第2切替部53は、第2排紙経路RD2が第1排紙経路RD1から分岐する分岐地点に配置されている。
【0054】
第2ソレノイド54は、第2切替部53を駆動させる。
【0055】
第1排紙ローラ55は、搬送印刷部3から搬送されてくる用紙Pを後処理装置へ排紙する。複数対の第1排紙ローラ55は、第1排紙経路RD1に沿って配置されている。
【0056】
第1排紙モータ56は、最上流の第1排紙ローラ55以外の第1排紙ローラ55を回転駆動させる。なお、最上流の第1排紙ローラ55は、中間搬送モータ42により回転駆動される。
【0057】
第2排紙ローラ57は、搬送印刷部3から搬送されてくる用紙Pを排紙台59へ排紙する。複数対の第2排紙ローラ57は、第2排紙経路RD2に沿って配置されている。
【0058】
第2排紙モータ58は、最下流の第2排紙ローラ57を回転駆動させる。なお、最下流の第2排紙ローラ57以外の第2排紙ローラ57は、中間搬送モータ42により回転駆動される。
【0059】
排紙台59は、第2排紙ローラ57により排紙された用紙Pが積載されるものである。排紙台59は、第2排紙経路RD2の下流端に配置されている。
【0060】
制御部6は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部6は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0061】
具体的には、制御部6は、給紙部2により用紙Pを搬送印刷部3に給紙し、搬送印刷部3において用紙Pをベルト搬送部33により搬送しつつ、ヘッドユニット35からインクを吐出して用紙Pに印刷するよう制御する。両面印刷の場合、制御部6は、表面印刷後の用紙Pを循環搬送部4により表裏反転して給紙部2の縦搬送ローラ18へ搬送し、縦搬送ローラ18により搬送印刷部3に再給紙して裏面印刷するよう制御する。制御部6は、印刷済みの用紙Pを排紙部5により排紙するよう制御する。
【0062】
制御部6は、給紙時および両面印刷における再給紙時において、用紙Pをレジストローラ31に突き当てて停止するよう給紙部2を制御する。そして、制御部6は、突き当てられた用紙Pを設定された紙間Lgでベルト搬送部33へ搬送するようレジストローラ31を制御する。
【0063】
また、制御部6は、内部給紙台13A,13Bから給紙して片面印刷または両面印刷を行う場合において、先行の用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けたタイミングから後続の用紙Pが縦搬送ローラ18へ到達したタイミングまでの時間に基づき、縦搬送ローラ18の搬送速度制御を行う。
【0064】
次に、印刷装置1の片面印刷時の動作について説明する。
【0065】
片面印刷が開始されると、未印刷の用紙Pが給紙部2から搬送印刷部3へ順次給紙される。搬送印刷部3において、用紙Pは、レジストローラ31に突き当てられて斜行補正された後、用紙長さLp、紙間Lg、および印刷搬送速度Vgに応じたタイミングでレジストローラ31によりベルト搬送部33へ搬送される。そして、用紙Pは、ベルト搬送部33において印刷搬送速度Vgで搬送されつつ、ヘッドユニット35のインクジェットヘッドから吐出されるインクにより印刷される。
【0066】
ここで、用紙長さLpは、用紙Pの搬送方向における長さである。用紙長さLpは、用紙サイズによって決まる値である。
【0067】
紙間Lgは、ベルト搬送部33における先行の用紙Pの後端と後続の用紙Pの先端との間の距離である。紙間Lgは、短いほど単位時間あたりの用紙出力枚数が増えることになる。本実施の形態では、紙間Lgは、高生産性を達成するために、ヘッドユニット35のインクジェットヘッドの性能等の条件において実現可能な最小の値が設定される。
【0068】
印刷搬送速度Vgは、搬送印刷部3における印刷時のベルト搬送部33による搬送速度である。印刷搬送速度Vgは、用紙種類等によって定められる1画素あたりの最大ドロップ数、印刷解像度等に基づいて設定される。
【0069】
搬送印刷部3で印刷された用紙Pは、排紙部5により排紙される。排紙先が後処理装置である場合、印刷済みの用紙Pは、第1切替部51および第2切替部53により第1排紙経路RD1へ導かれる。そして、用紙Pは、第1排紙ローラ55により後処理装置へ排紙される。一方、排紙先が排紙台59である場合、印刷済みの用紙Pは、第1切替部51および第2切替部53により第2排紙経路RD2へ導かれる。そして、用紙Pは、第2排紙ローラ57により排紙台59へ排紙される。
【0070】
上述のような片面印刷時の搬送印刷部3における1枚あたりの印刷時間Tpsは、以下の式(1)で表される。
【0071】
Tps=(Lp+Lg)/Vg …(1)
この1枚あたりの印刷時間Tpsの生産性で印刷を行うため、レジストローラ31は、印刷時間Tpsごとに起動し、用紙長さLpに相当する距離を搬送すると停止する動作を行う。
【0072】
次に、内部給紙台13A,13Bから給紙する片面印刷時の縦搬送ローラ18の搬送速度制御について説明する。
【0073】
図3は、内部給紙台13A,13Bから給紙する片面印刷時の縦搬送ローラ18の搬送速度制御を説明するためのタイムチャート図である。
【0074】
印刷ジョブが入力された後、1枚目の給紙のため、制御部6は、
図3の時刻t1において、縦搬送モータ19により縦搬送ローラ18を起動させる。制御部6は、縦搬送ローラ18の搬送速度が受け入れ速度Vuに達すると、受け入れ速度Vuを維持させる。
【0075】
受け入れ速度Vuは、内部給紙台13A,13Bから取り出されて搬送されてくる用紙Pを縦搬送ローラ18が内部給紙搬送ローラ16Cから受け入れる際の搬送速度である。受け入れ速度Vuは、内部給紙搬送ローラ16A〜16Cの搬送速度である内部給紙搬送速度に応じた速度に設定される。
【0076】
内部給紙搬送速度は、給紙元の給紙台によって異なる。給紙元が内部給紙台13Aの場合の内部給紙搬送速度をVka、給紙元が内部給紙台13Bの場合の内部給紙搬送速度をVkbとすると、Vkb>Vkaである。内部給紙台13Bのほうが内部給紙台13Aよりも縦搬送ローラ18まで遠いためである。
【0077】
給紙元が内部給紙台13Aの場合、縦搬送ローラ18の受け入れ速度Vu=Vkaである。給紙元が内部給紙台13Bの場合、受け入れ速度Vu=Vkbである。
【0078】
縦搬送ローラ18の搬送速度が受け入れ速度Vuに達した後、縦搬送ローラ18は、内部給紙搬送ローラ16A〜16Cにより搬送されてきた用紙Pを受け入れ速度Vuで受け入れて搬送する。
【0079】
縦搬送ローラ18が用紙Pを受け入れた後、制御部6は、時刻t2において、縦搬送ローラ18の減速を開始させる。縦搬送ローラ18が突き当て速度Vmにまで減速されると、制御部6は、その時刻t3から突き当て搬送距離Lmkだけ用紙Pが搬送されるまで突き当て速度Vmを維持させる。
【0080】
突き当て速度Vmでの搬送距離が突き当て搬送距離Lmkに達すると、その時刻t4において、制御部6は、縦搬送ローラ18を停止させるために減速を開始させる。そして、時刻t5において、縦搬送ローラ18が停止する。
【0081】
突き当て速度Vmは、用紙Pをレジストローラ31に突き当てる際の搬送速度である。突き当て速度Vmは内部給紙搬送速度Vka,Vkbより低速である。これにより、用紙Pの衝突音を抑制できる。突き当て速度Vmは、予め設定された値である。
【0082】
突き当て搬送距離Lmkは、用紙Pをレジストローラ31に突き当て、たるみを形成させて斜行補正するために、突き当て速度Vmで搬送する距離である。突き当て搬送距離Lmkは、予め設定された値である。
【0083】
縦搬送ローラ18の受け入れ速度Vuからの減速を開始させるタイミング(時刻t2)は、用紙Pにたるみ量Ltmのたるみが形成された状態で縦搬送ローラ18を停止させることができるように決定される。たるみ量Ltmは、
図4に示すように、用紙Pをレジストローラ31に突き当ててたるみを形成させたときの、用紙長さLpからの縮小分である。なお、
図4では説明の便宜のため、レジストローラ31と縦搬送ローラ18とを直線経路上に示している。たるみ量Ltmは、予め最適な量として設定された値とする。
【0084】
縦搬送ローラ18の停止後、時刻t6において、制御部6は、レジストモータ32によりレジストローラ31を起動させる。レジストローラ31の起動後、制御部6は、レジストローラ31の搬送速度をトップ速度Vtまで加速させ、その速度を所定時間だけ維持させた後、印刷搬送速度Vgへ減速させる。そして、制御部6は、レジストローラ31に印刷搬送速度Vgを維持させる。制御部6は、用紙Pの先端がベルト搬送部33へ到達するまでに、レジストローラ31を印刷搬送速度Vgまで減速させる。なお、トップ速度Vtは、予め設定された値である。
【0085】
また、制御部6は、レジストローラ31をアシストするため、時刻t6において縦搬送ローラ18を起動させる。その後、制御部6は、縦搬送ローラ18をレジストローラ31に同期させて、トップ速度Vtまで加速させた後、印刷搬送速度Vgへ減速させる。
【0086】
レジストローラ31および縦搬送ローラ18を印刷搬送速度Vgへ減速させた後、1枚目の用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けると、制御部6は、2枚目の用紙Pが縦搬送ローラ18に到達するまでの時間の計測を開始する。具体的には、制御部6は、縦搬送センサ20が1枚目の用紙後端を検出した時刻t7において、時間の計測を開始する。
【0087】
その後、時刻t8において、制御部6は、縦搬送ローラ18の印刷搬送速度Vgからの加速を開始させる。そして、制御部6は、縦搬送ローラ18の搬送速度が受け入れ速度Vuに達すると、受け入れ速度Vuを維持させる。
【0088】
2枚目の用紙Pが縦搬送ローラ18に到達すると、縦搬送ローラ18は、用紙Pを受け入れ速度Vuで受け入れて搬送する。ここで、制御部6は、2枚目の用紙Pが縦搬送ローラ18に到達して用紙Pの先端が縦搬送センサ20で検出されると、その時刻t9までの時刻t7からの計測時間Taに基づき、受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmを算出する。受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmの算出方法は後述する。
【0089】
時刻t9から受け入れ速度継続時間Tuが経過すると、その時刻t10において、制御部6は、縦搬送ローラ18の減速を開始させる。縦搬送ローラ18が突き当て速度Vmにまで減速されると、制御部6は、その時刻t11から突き当て速度搬送時間Tmだけ突き当て速度Vmを維持させる。
【0090】
時刻t11から突き当て速度搬送時間Tmが経過すると、その時刻t12において、制御部6は、縦搬送ローラ18を停止させるために減速を開始させる。そして、時刻t13において、縦搬送ローラ18が停止する。
【0091】
一方、1枚目の用紙Pがレジストローラ31を抜けた後、制御部6は、レジストローラ31を停止させる。レジストローラ31の停止タイミングは、用紙長さLpに応じて設定される。
【0092】
そして、制御部6は、1枚目の給紙時のレジストローラ31の起動タイミング(時刻t6)から印刷時間Tps後の時刻t14において、2枚目の用紙Pをベルト搬送部33へ送るためにレジストローラ31を起動させる。また、それとともに、制御部6は、レジストローラ31をアシストするため、縦搬送ローラ18も起動させる。これ以降、時刻t6〜t14の動作が繰り返される。ただし、最後の用紙Pの給紙時には、制御部6は、用紙Pの後端が縦搬送センサ20で検出されると、縦搬送ローラ18を停止させる。
【0093】
次に、受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmの算出方法について説明する。
【0094】
受け入れ速度継続時間Tuは、計測時間Taに基づく縦搬送ローラ18の搬送速度制御における、用紙Pが縦搬送ローラ18に到達して縦搬送センサ20で検出されてから、受け入れ速度Vuから突き当て速度Vmへの減速を開始するまでの時間である。
【0095】
突き当て速度搬送時間Tmは、計測時間Taに基づく縦搬送ローラ18の搬送速度制御における突き当て速度Vmでの搬送時間である。
【0096】
計測時間Taは、先行の用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けたタイミングから後続の用紙Pが縦搬送ローラ18へ到達したタイミングまでの時間の計測結果である。用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けるタイミングは、レジストローラ31の起動から用紙長さLpによって決まる所定時間だけ経過したタイミングになる。このため、用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けるタイミングは、後続の用紙Pが縦搬送ローラ18へ到達する理論上のタイミングに対する遅れ度合いを計測するための基準として用いることができる。すなわち、計測時間Taは、後続の用紙Pが縦搬送ローラ18へ到達したタイミングの遅れ度合いを示すものである。
【0097】
受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmは、用紙Pが縦搬送ローラ18に到達して縦搬送センサ20で検出されてから、レジストローラ31の起動タイミングより規定最小停止時間Tsだけ前までに、縦搬送ローラ18が規定搬送量Lを搬送できるように算出される。規定最小停止時間Tsは、縦搬送ローラ18の突き当て動作の終了タイミングとレジストローラ31の起動タイミングとの間の最小限の時間として予め設定された値である。
【0098】
規定搬送量Lは、用紙Pをレジストローラ31に突き当て、たるみ量Ltmのたるみを形成して用紙Pを停止させるための搬送量である。すなわち、規定搬送量Lは、以下の式(2)で表される。
【0099】
L=Lv+Ltm …(2)
ここで、Lvは、縦搬送センサ20とレジストローラ31との間の搬送経路上の距離である。
【0100】
突き当て速度Vmでの搬送距離を固定値である突き当て搬送距離Lmkとしても、レジストローラ31の起動タイミングより規定最小停止時間Tsだけ前までに規定搬送量Lを搬送できる場合は、突き当て速度Vmでの搬送距離を突き当て搬送距離Lmkとする。
【0101】
ここで、
図5に示すように、用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けたタイミング(時刻t21)から、レジストローラ31の起動タイミングより規定最小停止時間Tsだけ前のタイミング(時刻t27)までの時間をTkとする。突き当て速度Vmでの搬送距離を突き当て搬送距離Lmkとしても、レジストローラ31の起動タイミングより規定最小停止時間Tsだけ前までに規定搬送量Lを搬送できる場合は、
図5のように、時間Tkに対応する期間の終了タイミング(時刻t27)以前に、縦搬送ローラ18の突き当て動作が終了する。
【0102】
したがって、この場合、以下の式(3)が満たされる。すなわち、式(3)が満たされる場合、突き当て速度Vmでの搬送距離を固定値である突き当て搬送距離Lmkとする。
【0104】
そして、受け入れ速度継続時間Tu、突き当て速度搬送時間Tmは、それぞれ以下の式(4),(5)により算出される。
【0105】
Tu=(L−Vu
2/2|αd|−Lmk)/Vu …(4)
Tm=Lmk/Vm …(5)
ここで、αdは、縦搬送ローラ18の減速時の加速度である。αdは固定値である。
【0106】
式(3),(5)におけるVu
2/2|αd|は、受け入れ速度Vuからの減速開始(時刻t23)から突き当て速度Vmへの到達(時刻t24)までの搬送距離と、突き当て速度Vmからの減速開始(時刻t25)から停止(時刻t26)までの搬送距離との合計である。「L−Vu
2/2|αd|−Lmk」は、用紙Pの縦搬送センサ20への到達(時刻t22)から、受け入れ速度Vuからの減速開始(時刻t23)までの搬送距離である。
【0107】
また、式(3)におけるVu/|αd|は、受け入れ速度Vuからの減速開始(時刻t23)から突き当て速度Vmへの到達(時刻t24)までの時間と、突き当て速度Vmからの減速開始(時刻t25)から停止(時刻t26)までの時間との合計である。
【0108】
一方、式(3)が満たされない場合、突き当て速度Vmでの搬送距離は、突き当て搬送距離Lmkより短縮される。そして、
図6のように、時間Tkに対応する期間の終了タイミング(時刻t27)で、縦搬送ローラ18の突き当て動作が終了する。
【0109】
この場合、以下の式(6)〜(9)が成り立つ。
【0110】
Tu+Tm+Vu/|αd|=Tk−Ta …(6)
Tu=Lu/Vu …(7)
Tm=Lmh/Vm …(8)
Lmh=L−Vu
2/2|αd|−Lu …(9)
ここで、Luは、用紙Pの縦搬送センサ20への到達(時刻t31)から、受け入れ速度Vuからの減速開始(時刻t32)までの搬送距離である。Lmhは、突き当て搬送補正距離である。突き当て搬送補正距離Lmhは、式(3)が満たされない場合における突き当て速度Vmでの搬送距離である。突き当て搬送補正距離Lmhは、突き当て搬送距離Lmkより短い。
【0111】
式(6)〜(9)より、受け入れ速度継続時間Tu、突き当て速度搬送時間Tmは、それぞれ以下の式(10),(11)により表される。
【0113】
式(10),(11)により、式(3)が満たされない場合における受け入れ速度継続時間Tu、突き当て速度搬送時間Tmが算出される。
【0114】
ここで、式(11)で表される突き当て速度搬送時間Tmが0(ゼロ)になる場合、縦搬送ローラ18は、受け入れ速度Vuから減速加速度αdで単調に減速して停止する。このときの計測時間Taが、レジストローラ31の起動タイミングより規定最小停止時間Tsだけ前までに規定搬送量Lを搬送できる範囲内での計測時間Taの最大値である。この計測時間Taの最大値をTa_maxとすると、Ta_maxは、以下の式(12)により表される。
【0115】
Ta_max=Tk−(L−Vu
2/2|αd|)/Vu−Vu/|αd| …(12)
Ta>Ta_maxの場合は、用紙Pのジャムが発生したと判断され、印刷装置1の動作が停止される。
【0116】
ところで、内部給紙台13Aと内部給紙台13Bとに互いに異なる用紙サイズの用紙Pが積載されている場合において、用紙サイズ混在の片面印刷が行われることがある。この場合、内部給紙台13Aの用紙Pの給紙時には受け入れ速度Vu=Vkaであり、内部給紙台13Bの用紙Pの給紙時には受け入れ速度Vu=Vkbである。
【0117】
ここで、用紙サイズ混在の場合でも、紙間Lgは一定である。このため、先行の用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けるタイミングから、後続の用紙Pの給紙時のレジストローラ31の起動タイミングまでの時間(Tk+Ts)は、同一サイズの印刷時と同様に一定である。また、計測時間Taは用紙サイズに依存しない。
【0118】
したがって、用紙サイズ混在の片面印刷においても、計測時間Taを取得し、式(4),(5),(10),(11)により受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmを算出し、その結果を用いて縦搬送ローラ18の搬送速度制御を行えばよい。
【0119】
また、内部給紙台13Aと内部給紙台13Bとに同一サイズの用紙Pが積載されている場合において、印刷中に用紙切れにより給紙元を内部給紙台13A,13Bの間で切り替えることがある。この場合、給紙元の切り替えの際に、縦搬送ローラ18の受け入れ速度VuがVkaとVkbとの間で切り替わる。この場合でも、紙間Lgは一定である。したがって、この切り替えの際も、計測時間Taを取得し、式(4),(5),(10),(11)により受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmを算出し、その結果を用いて縦搬送ローラ18の搬送速度制御を行えばよい。
【0120】
外部給紙台11から給紙する場合は、制御部6は、外部給紙ローラ12により用紙Pを外部給紙台11から取り出しつつ搬送させる。そして、制御部6は、用紙Pがレジストローラ31に突き当て搬送速度Vmで突き当たり、たるみ量Ltmだけたるんで停止するよう外部給紙ローラ12を制御する。
【0121】
その後、制御部6は、レジストローラ31の起動とともに外部給紙ローラ12のアシスト動作を開始させる。具体的には、外部給紙ローラ12をレジストローラ31と同時に起動させ、レジストローラ31より小さい加速度で加速させる。これにより、用紙Pが搬送されつつ、用紙Pのたるみが徐々に減少する。そして、制御部6は、用紙Pのたるみが吸収されるタイミングで外部給紙ローラ12の減速を開始させ、その後、外部給紙ローラ12を停止させる。これにより、アシスト動作が終了する。外部給紙ローラ12は用紙Pを外部給紙台12から取り出しつつ搬送するものであるため、次の用紙Pを誤って取り出さないように、制御部6は、用紙Pの後端が外部給紙ローラ12を抜けないうちに、アシスト動作が終了するよう制御する。
【0122】
次に、両面印刷時の搬送印刷部3における印刷スケジュールについて説明する。
【0123】
両面印刷時の搬送印刷部3における印刷スケジュールは、インターリーフ方式で、片面印刷時と同等の片面あたりの生産性を実現するものである。インターリーフ方式は、複数枚の用紙Pを搬送経路上で搬送させつつ、未印刷の用紙Pの表面と表面印刷後の用紙Pの裏面とを交互に印刷する方式である。なお、両面印刷は、同一の用紙サイズで行われるものとする。
【0124】
具体的には、両面印刷時の印刷スケジュールは、
図7に示すように、表面印刷と裏面印刷とを片面あたりの印刷時間Tpsで交互に行うものである。
図7において、用紙Pの内部の数字は、何枚目の用紙であるかを示している。また、白地の用紙Pは表面印刷されるものであり、ドットハッチングされた用紙Pは裏面印刷されるものであることを示す。
【0125】
ただし、表面印刷後の1枚目の用紙Pが再給紙されて裏面印刷されるまでは、表面印刷が連続して行われる。この期間においては、
図7に示すように、先行の用紙Pの印刷と後続の用紙Pの印刷との間において1枚分の印刷時間Tpsの空きが生じる。また、最後の用紙Pの表面印刷後は、裏面印刷が連続して行われる。この期間においても、先行の用紙Pの印刷と後続の用紙Pの印刷との間において1枚分の印刷時間Tpsの空きが生じる。このため、片面印刷時と同等の片面あたりの生産性の実現は、実質的には表面印刷と裏面印刷とが交互に行われる期間が対象となる。1枚目が再給紙されて裏面印刷されるまでに連続して表面印刷される枚数は、用紙長さLpによって決まる。
【0126】
次に、印刷装置1の両面印刷時の動作について説明する。
【0127】
両面印刷が開始されると、未印刷の用紙Pが2Tpsごとに給紙部2から搬送印刷部3へ順次給紙される。搬送印刷部3において、用紙Pは、レジストローラ31に突き当てられて斜行補正された後、印刷スケジュールに応じたタイミングでレジストローラ31によりベルト搬送部33へ搬送される。そして、用紙Pは、ベルト搬送部33において印刷搬送速度Vgで搬送されつつ、ヘッドユニット35のインクジェットヘッドから吐出されるインクにより表面印刷される。
【0128】
表面印刷された用紙Pは、第1切替部51により循環経路RCに導かれ、中間搬送ローラ41により反転ローラ43へ搬送される。次いで、用紙Pは、反転ローラ43によりスイッチバックされることで表裏反転される。スイッチバックされた用紙Pは、水平搬送ローラ45および上昇搬送ローラ47により両面搬送速度Vrで縦搬送ローラ18へ搬送される。両面搬送速度Vrは、搬送印刷部3における印刷スケジュールに応じたタイミングで再給紙できるように設定される。両面搬送速度Vrは、内部給紙搬送ローラ16A〜16Cによる内部給紙搬送速度Vka,Vkbとは異なる速度である。
【0129】
次いで、表面印刷後の用紙Pは、縦搬送ローラ18によりレジストローラ31に突き当てられて斜行補正された後、印刷スケジュールに応じたタイミングでレジストローラ31によりベルト搬送部33へ搬送される。ここで、用紙Pは、反転ローラ43により反転されているので、裏面(未印刷面)が上に向けられており、ベルト搬送部33により印刷搬送速度Vgで搬送されつつ、ヘッドユニット35から吐出されるインクにより裏面印刷される。そして、両面印刷済みの用紙Pは、排紙部5により排紙される。
【0130】
このような両面印刷時の表面印刷と裏面印刷とが交互に行われる期間において、レジストローラ31は、前述の片面印刷時と同様に、印刷時間Tpsごとに起動し、用紙長さLpに相当する距離を搬送すると停止する動作を行う。表面印刷または裏面印刷が連続して行われる期間では、レジストローラ31は、2Tpsごとに起動し、用紙長さLpに相当する距離を搬送すると停止する動作を行う。
【0131】
そして、内部給紙台13A,13Bから給紙する両面印刷の場合、制御部6は、前述の片面印刷時と同様の、計測時間Taに基づく縦搬送ローラ18の搬送速度制御を行う。
【0132】
ここで、表面印刷と裏面印刷とが交互に行われる期間では、縦搬送ローラ18には、内部給紙搬送ローラ16Cと循環搬送部4とから、交互に用紙Pが搬送されてくる。内部給紙搬送ローラ16Cから搬送されてくる未印刷の用紙Pに対しては、受け入れ速度Vuは、VkaまたはVkbである。循環搬送部4から搬送されてくる表面印刷後の用紙Pに対しては、受け入れ速度Vu=Vrである。
【0133】
このように、表面印刷と裏面印刷とが交互に行われる期間では、縦搬送ローラ18には異なる経路から異なる搬送速度で用紙Pが搬送されてくるが、搬送印刷部3における紙間Lgは一定である。このため、先行の用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けるタイミングから、後続の用紙Pの給紙時のレジストローラ31の起動タイミングまでの時間(Tk+Ts)は、前述した片面印刷の場合と同様に一定である。
【0134】
表面印刷または裏面印刷が連続して行われる期間では、表面印刷と裏面印刷とが交互に行われる期間より紙間が1枚の印刷時間Tps分だけ長くなる。すなわち、紙間が(Lp+2Lg)となる。ただし、この期間においては、この紙間は一定である。このため、先行の用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けるタイミングから、後続の用紙Pの給紙時のレジストローラ31の起動タイミングまでの時間(Tk+Ts)も一定である。
【0135】
そこで、制御部6は、片面印刷の場合と同様に、計測時間Taを取得し、式(4),(5),(10),(11)により受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmを算出し、その結果を用いて縦搬送ローラ18の搬送速度制御を行う。なお、前述の片面印刷時と同様に、給紙元を内部給紙台13A,13Bの間で切り替える際にも、制御部6は、計測時間Taに基づく縦搬送ローラ18の搬送速度制御を行えばよい。
【0136】
以上説明したように、印刷装置1では、内部給紙台13A,13Bから給紙して印刷を行う場合において、制御部6は、先行の用紙Pが縦搬送ローラ18を抜けたタイミングから後続の用紙Pが縦搬送ローラ18へ到達したタイミングまでの時間を計測する。そして、制御部6は、計測時間Taに基づき、縦搬送ローラ18の搬送速度制御を行う。これにより、縦搬送ローラ18に複数通りの搬送速度で用紙Pが搬送されてくる場合でも、計測時間Taを用いることで、レジストローラ31への用紙Pの到達タイミングを容易に補正できる。
【0137】
具体的には、制御部6は、計測時間Taに基づき、受け入れ速度継続時間Tuおよび突き当て速度搬送時間Tmを制御する。これにより、受け入れ速度Vuより低速の突き当て速度Vmで用紙Pをレジストローラ31に突き当てることで衝突音を抑制する搬送速度制御において、レジストローラ31への用紙Pの到達タイミングを容易に補正できる。
【0138】
印刷装置1では、内部給紙搬送ローラ16Cと循環搬送部4とから異なる搬送速度で縦搬送ローラ18に用紙Pが搬送される両面印刷の場合でも、計測時間Taを用いることで、レジストローラ31への用紙Pの到達タイミングを容易に補正できる。
【0139】
また、印刷装置1では、用紙サイズ混在の片面印刷のように、内部給紙台13A,13Bから取り出された用紙Pが異なる搬送速度で縦搬送ローラ18に搬送される場合でも、計測時間Taを用いることで、レジストローラ31への用紙Pの到達タイミングを容易に補正できる。
【0140】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。