特許第6472251号(P6472251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社大久保製作所の特許一覧

<>
  • 特許6472251-自転車用チャイルドシートカバー 図000002
  • 特許6472251-自転車用チャイルドシートカバー 図000003
  • 特許6472251-自転車用チャイルドシートカバー 図000004
  • 特許6472251-自転車用チャイルドシートカバー 図000005
  • 特許6472251-自転車用チャイルドシートカバー 図000006
  • 特許6472251-自転車用チャイルドシートカバー 図000007
  • 特許6472251-自転車用チャイルドシートカバー 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472251
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシートカバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/20 20060101AFI20190207BHJP
   B62J 1/28 20060101ALI20190207BHJP
   B62J 1/16 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   B62J1/20 A
   B62J1/28
   B62J1/16 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-4490(P2015-4490)
(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公開番号】特開2016-130073(P2016-130073A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2017年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−129052(JP,A)
【文献】 特開2014−37236(JP,A)
【文献】 特開2014−24517(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0275257(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1980585(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/16 − 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定され、上下動自在のヘッドレストを有するチャイルドシートの底面部以外の略全体を被覆することができるチャイルドシートカバーにおいて、
当該カバーの背面部内側には係着部材が設けられ、
この係着部材と係着することができる係着部材がその表面に設けられ、前記カバーとは別体に形成された板状のものからなる固定部材をチャイルドシートのヘッドレストの背面部に装着し、
この固定部材の係着部材と前記カバーの背面部内側に設けた係着部材を相互に係着することにより、チャイルドシートカバーの背面部が適宜高さ位置に確保され、
前記係着部材が設けられたチャイルドシートカバーの背面部に芯材を配設して、この係着部材が設けられた背面部の部分が上下方向に起立するように補強したことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項2】
前記固定部材に環状の止めバンドを少なくとも2本縦方向に設け、これらの止めバンドをチャイルドシートのヘッドレストに止着することによってこの固定部材をヘッドレストの背面部に装着できることを特徴とする請求項1に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項3】
前記チャイルドシートカバーの背面部内側に設けた係着部材が所定上下長さ範囲に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項4】
前記チャイルドシートカバーに設けた係着部材及び前記固定部材に設けた係着部材がそれぞれ相互に係着できる面ファスナーから形成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部中央の略U字形状に湾曲された部分に固定された前部チャイルドシート又は自転車の後部荷台部に固定された後部チャイルドシートのほぼ全体を被覆することができるチャイルドシートカバーの改良に関するものである。
このカバーは、幼児がシートに腰掛けているとき、或いはシートの不使用時の何れのときにも装着したままで使用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
まず、本願発明においては、上記した通り、前部チャイルドシート又は後部チャイルドシートの略全体を被覆できるチャイルドシートカバーの改良に関するものである。
そのチャイルドシートとしては、現在良く知られているように、前部チャイルドシートにあっては、その座部が自転車のハンドル部中央の略U字形状に湾曲した部分に固定され、座部の前方には開閉自在で使用時に下方に開放される足乗せ部が設けられ、その背面部である背凭れ部には上下に摺動可能なヘッドレストが設けられたデラックスな形態を有するものである。
【0003】
他方、後部チャイルドシートにあっては、その座部は自転車の後部荷台部に固定され、足乗せ部は自転車の後輪の両側に配設され、座部の背面部である背凭れ部にはやはり上下に摺動可能なヘッドレストが設けられたデラックスな形態を有するものである。
【0004】
これらの前後のチャイルドシートには、その座部の底面部を除く略全体を被覆することができる各種形態のチャイルドシートカバーが市販されている。
下記特許文献1に記載の発明は、後部チャイルドシートカバーに関するものであり、カバー内部の温度上昇及び蒸し暑さを低減させることを目的としたものである。
【0005】
その構成は、自転車の後部荷台に固定したチャイルドシートの全体を被覆できる底面開口のボックス形状を有し、前面部に透明部を設け、前面部と一方の側面部の境界線部にスライドファスナーを設け、両側面部の前面部側にはそれぞれ外気導入口を設け、背面部には排気口を設けている。更に、前面部の下方部分に横方向の全体にスライドファスナーの開閉による第2外気導入口を設けたものである。
【0006】
下記特許文献2に記載の発明は、幼児が着席した使用状態であっても、幼児と共にその全体を被覆できる前部チャイルドシートカバーである。
その構成は、カバー本体部がシートの全体を被覆でき、上面開口部に開閉自在の閉鎖シート部材を設け、更に、前記本体部に開閉カバー部材を着脱自在に連結したものから成る。この開閉カバー部材は透明の前面部を有し、その前方側面部である連結部の内側の係着部を本体部の係止具受部に係着することにより相互に連結できる。これにより本体部の閉鎖シート部材を巻回して開放し、この閉鎖シート部材を集束部材によって括り留めた状態で幼児をチャイルドシートに着席させ、開閉カバー部材の背面部をチャイルドシートの伸張したヘッドレストの上縁部に引っ掛けるように被覆することができるものである。
【0007】
この前部チャイルドシートカバーにおいては、上面開口部を閉鎖する閉鎖シート部材を無くして構成することもでき、その際は、開閉カバー部材を常時その前端部で本体部に連結しておけばよいものである。
【0008】
上記従来の前後何れのチャイルドシートカバーにおいても、その透明の前面部には窓部が設けられていないが、現在市販されているものは、この前面透明部分に上方に捲り上げることができる窓部が形成されているものも存在する。
より詳しくは、チャイルドシートカバーの前面部において、その上辺が前面部に連続し、その両側辺と下辺の3辺が前面部と分離して窓部が形成され、この窓部の3辺はスライドファスナーによって開閉される構成を有して、スライドファスナーを開放して上方に捲り上げるようにして窓部を開放することができるのである。
【0009】
このように窓部を前面部に設けたのは、チャイルドシートカバーをシートに装着した状態で、雨が上った際に、カバーを外す手間を無くし、カバー内部に外気を導入させ、内部の温度上昇を低減させるためである。
通常、このようなチャイルドシートカバーは、降雨時に使用するためのものとして開発されたのであるが、一旦これをシートに装着してしまうと、これを取り外す手間が掛り、カバーを装着したままで使用するということが常態と成って来たのである。
【0010】
従って、降雨時以外でもそのまま快適に使用できるようにするために、カバー前面部に大きな窓部が形成されたものが一般的になったのである。
本発明においては、この種の窓部が形成されたチャイルドシートカバーにも適用することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2014−28617号公報(後部/実用基礎)
【特許文献2】特開2014−37236号公報(前部/実用基礎)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明においても、上記従来のチャイルドシートカバーと同様に、これを装着したままの状態で、自転車の不使用時は勿論のこと、雨天、強風又は寒冷時、若しくは晴天時のどのような天候の際にも、幼児を乗せて使用することができるものを提供することをその基本としている。
【0013】
そして、本発明においては、チャイルドシートに幼児を腰掛けさせた際に、その幼児の頭頂部ができる限りカバーの天部に接触しないようにすること、仮に接触しても幼児の頭頂部にカバーの重みがあまり掛らないようなチャイルドシートカバーを提供することをその課題としている。
このようにすることにより、シートに腰掛けた幼児の頭頂部の圧迫が減少し、カバー内での居住環境が非常に良くなるからである。
【0014】
更に、本発明においては、幼児の座高も高低様々であり、これに対応できることもその課題となる。
また、チャイルドシートカバー自体の外形形状もそれ自身で自立できるものとしてより保形性の高いものを提供することもその課題となる。
また、本発明においては、カバーの前面部の窓部は必ずしも設けられていなくともこの発明を適用でき、その効果を発揮できるものを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定され、上下動自在のヘッドレストを有するチャイルドシートの底面部以外の略全体を被覆することができるチャイルドシートカバーにおいて、当該カバーの背面部内側には係着部材が設けられ、この係着部材と係着することができる係着部材がその表面に設けられ、前記カバーとは別体に形成された板状のものからなる固定部材をチャイルドシートのヘッドレストの背面部に装着し、この固定部材の係着部材と前記カバーの背面部内側に設けた係着部材を相互に係着することにより、チャイルドシートカバーの背面部が適宜高さ位置に確保され、前記係着部材が設けられたチャイルドシートカバーの背面部に芯材を配設して、この係着部材が設けられた背面部の部分が上下方向に起立するように補強したことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0016】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記固定部材に環状の止めバンドを少なくとも2本縦方向に設け、これらの止めバンドをチャイルドシートのヘッドレストに止着することによってこの固定部材をヘッドレストの背面部に装着できることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0017】
(削除)
【0018】
(削除)
【0019】
本発明の第のものは、上記第1又は第2の何れかの発明において、前記チャイルドシートカバーの背面部内側に設けた係着部材が所定上下長さ範囲に設けられていることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【0020】
本発明の第のものは、上記第1乃至第の何れかの発明において、前記チャイルドシートカバーに設けた係着部材及び前記固定部材に設けた係着部材がそれぞれ相互に係着できる面ファスナーから形成されていることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1のものにおいては、チャイルドシートカバー(以下、単に「カバー」という。)の背面部の内側に係着部材が設けられ、この係着部材と相互に係着する係着部材がその表面に設けられた固定部材がカバーとは別体に形成され、この固定部材をヘッドレストの背面部に装着しているため、これら固定部材の係着部材とカバー背面部内側の係着部材とを相互に係着することにより、カバーの背面部が適宜高さ位置に確保されることとなるのである。
【0022】
これにより、チャイルドシート(以下、単に「シート」という。)に腰掛ける幼児の座高に合わせて、カバー背面部を固定部材に係着することにより、カバーの天部の高さ位置を適宜設定することができ、カバーの内部空間で、幼児の頭頂部がカバー天部に接触しないか、接触してもカバーの重みがもろに幼児の頭部に掛ることが少なくなり、居住環境が向上することとなる。
また、前記係着部材が設けられたカバーの背面部に芯材を配設して、この係着部材が設けられた背面部の部分が上下方向に起立するように補強したものであり、これにより背面部に設けた係着部材の部分が自立できるようになり、係着部材の係着位置も上下の適切な位置で固定部材と相互に係着できるようになる。
【0023】
本発明の第2のものにおいては、上記固定部材をより限定したものである。
即ち、この固定部材には、環状の止めバンドを少なくとも2本縦方向に設け、これらの止めバンドをシートのヘッドレストの両端部から挿通させることによってこの固定部材を簡単にヘッドレストの背面に装着できるようにした。
この止めバンドは、伸縮自在のものであってもよいし、その先端部に係止部が設けられ相互に係止できるタイプのものであってもよい。
【0024】
(削除)
【0025】
(削除)
【0026】
本発明の第のものにおいては、カバーの背面部内側に設けた係着部材を上下方向に延長するよう所定上下長さ範囲に設けているために、固定部材との相互の係着位置を上下方向の所定範囲でその高さ位置を調節することができることとなるのである。
【0027】
本発明の第のものにおいては、カバー背面部の係着部材と固定部材の係着部材を限定し、これらが面ファスナーであることを限定したものである。
これにより、両者の係着及び離脱がより簡単なものとなり、取り扱いが容易なものとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の自転車用チャイルドシートカバーに係る第1実施形態の全体説明図であり、このカバーは後部チャイルドシートを被覆することのできる後部チャイルドシートカバーを図示している。
図2】上記第1実施形態において、窓部を上方に捲り上げ開放した状態を示す説明図である。
図3】上記チャイルドシートの背面部を示す説明図であり、このシートに上記第1実施形態に係る固定部材を装着した状態を図示している。
図4】上記実施形態に係るカバーの内面部を窓部側から見た説明図である。
図5】上記実施形態に係るカバーの背面部側から見た説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るチャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに被覆した状態の全体説明図である。
図7】上記第2実施形態に係るカバーの背面部の裏を表側に反転して下方に折り返し、チャイルドシートのヘッドレストの背面部の構成を図示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下添付の図面と共に、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の自転車用チャイルドシートカバーに係る第1実施形態の全体説明図であり、このカバーは後部チャイルドシートを被覆することのできる後部チャイルドシートカバーを図示している。
【0030】
この後部チャイルドシートカバーの本体部10は、底面が開口した上下に細長いボックス形状を有し、後部チャイルドシートのほぼ全体を被覆することができる。
この本体部10は、前面部11と、その両側の側面部12、12と、天部13と、背面部とから成る。
【0031】
前面部11には、上辺が接続し、その両側辺と底辺が分離した透明な窓部15が設けられている。
前面部11の窓部15の両側も透明の素材から形成され、前面部11の下方部分11sも透明素材から形成されている。
【0032】
上記窓部15の両側辺及び下辺の縁部にはスライドファスナー15fが設けられ、開閉自在で、前面部11に接続した上辺で上方に捲り上げることができる。
この窓部は、上辺と左右の一方の側辺と下辺を前面部11から分離させて、左右の何れか一方の横方向に開閉できるように構成することもできる。
【0033】
また、このスライドファスナー15fには、2つのスライダーを設けて開閉し易く形成することが望ましい。
このスライダーを2つ設けることにより、適宜位置にて両スライダーを離隔した状態にすることにより、その部分が開口し、外気をカバー内部に導入させることができる。
【0034】
窓部15の適宜位置に引き手又は摘み部を設けるのも自由である。
両側の側面部12も、その上方部分を透明な素材から形成した透明部12tを設け、内部に腰掛けた幼児の視界が広がるように形成している。
【0035】
それぞれの側面部12の前面部11側には、図には現れていないが、メッシュ生地からなるエアー流通孔が設けられ、このエアー流通孔を覆う雨除け用の被覆部材12hが、側面部12と前面部11との縫製ラインに沿って縫着されている。
このエアー流通孔は、前面部11に設けた窓部15を開放した際、又は少し開放した際のエアーの排出口にもなる。
このエアー流通孔は、後面部にも設けられているが、後に説明する。
【0036】
このカバーの本体部10は、前面部11と図中右側(向こう側)の側面部との境界線部(側縁部)が分離して、その上下方向の境界線部にスライドファスナーを設けて開閉自在と成し、この境界線部のスライドファスナーを開放して、チャイルドシートに取り付けることができ、また幼児を内部に着席させることができる。
【0037】
この取り付けの際に、従来のカバーにおいては、背面部の内側上部に2つの輪状ゴムバンドが設けられており、これらの輪状ゴムバンドをシートのヘッドレストの両端部から挿通してカバーの背面部を固定していたのである。
本発明においては、この背面部の固定方法が全く異なっており、その構成については後に詳説する。
【0038】
尚ここで、後部チャイルドシートの構成について簡単に説明すると、この後部チャイルドシートは、既に良く知られている通り、座面と両側面部と背面部(背凭れ部)とからなる座席部と、前記背面部の上縁部で上下に往復摺動するヘッドレスト(ヘッドサポート)と、座席部の前方両側で下方に延長する足乗せ部と、座席部の座面前方に位置する逆U字形状の取手部とから構成された合成樹脂製のものから形成され、自転車の後部荷台に固定されたものである。
勿論、座面の上及び背面部の内側等、適宜必要個所にはクッション材が配設されている。
【0039】
カバー本体部10の前記透明部分は、PVC製であり、その他の非透明部分は、ポリエステル生地製である。
この図1から解る通り、本実施形態に係るカバーの本体部10の天部13は、チャイルドシートのヘッドレストHの上縁部から約10cm程度上方に位置し、その位置が確保されているものである。その理由は後に説明する。
【0040】
図2は、上記第1実施形態において、窓部を上方に捲り上げ開放した状態を示す説明図である。
この図2によって、カバーの窓部15の部分の詳細を見て取ることができる。
この窓部15は、その上辺が前面部11の上部に接続し、上方に捲り上げることができ、その両側辺と下辺は前面部と分離し、これら3方の側縁部で前面部11とスライドファスナー15fにて開閉自在に形成されている。
【0041】
この3方に設けられたスライドファスナー15fから雨水等が侵入しないように、この実施形態では、このスライドファスナー15fの内側に雨水侵入防止部材15rを設けている。
即ち、このスライドファスナー15fの部分が二重構造となっており、雨水の浸入を防止している。
【0042】
尚、この雨水侵入防止部材15の下方両端部には排水孔を設けているが、この雨水の排水孔部分及び前記雨水侵入防止部材の構成については本願出願人の先の特許出願において特許請求を行っているため、詳細は割愛する。
【0043】
更に、この第1実施形態においては、前記図1においては明瞭に図示していないが、窓部15の両側の前面部11に挿通孔部を設け、この挿通孔部の内部に透明の可撓性を有する合成樹脂製のチューブ17を配設している。
このチューブ17を配設することにより、前面部17の特にチャイルドシートの取手部Tの上方部分の保形性が向上するのである。勿論、このチューブ17はチューブ等の管体でなく、棒状の長尺状のものであって可撓性を有していればよい。
しかしながら、このチューブ17は、任意の構成要素であり、本発明においてはこれを設けずに実施することができる。
【0044】
尚、この図2においては、窓部15が上方の天部に巻き上げられているために、その開放した窓部15から内部を見ることができ、チャイルドシートの構成も見て取れる。
即ち、このチャイルドシートは、座席部が座面と両側の側面部と背凭れ部である背面部Sと、この背面部Sの上縁部で上下に往復摺動できるヘッドレストHとからなり、座面の前方には取手部Tが設けられ、カバーで隠れているが、取手部Tの両側部下方には足乗せ部が設けられている。
このチャイルドシートには幼児の身体を保持する複数本のシートベルトBも備えられているものである。
【0045】
図3は、前記チャイルドシートの背面部を示す説明図であり、このシートに上記第1実施形態に係る固定部材を装着した状態を図示している。
まず上記した通り、チャイルドシートは、座席部Zと、この座席部Zの背面部Sの上縁部には上下往復摺動可能で、その高さ位置を調整できるヘッドレストHと、座席部Zの前端部両側から下方に延長する足乗せ部F、Fを有している。
【0046】
前記背面部Sの背面には、前記ヘッドレストHを支持する支持枠B、Bが上下に摺動し、当該背面部Sの背面で締着螺子Nで固定され、ヘッドレストHの高さ位置が調整される。
【0047】
本実施形態では、前記ヘッドレストHや、前記支持枠Bに固定部材18、19が固定され、更には、座席部Zの背面部Sの部分に孔部が設けられているものにあっては、この孔部を利用して固定部材18を装着することができるのである。
この固定部材18は、平面視横長略矩形形状の板状体のものからなり、内部にはクッション材を設け、その表面部(図中背面側の表面部)には、係着部材18kとしての面ファスナーが横方向の全体に帯状に設けられたものである。
【0048】
他方、固定部材19は、平面視略矩形形状の板状体のものからなり、上記同様に内部にクッション材を配設し、その表面部(図中背面側の表面部)には、係着部材19kとしての面ファスナーが横方向の全体に帯状に設けられたものである。
【0049】
前記係着部材18は、その両端部に2本のベルト部材の端部を縫着し、その2本のベルト部材の先端部には相互に係止できる係止部材、例えばワンタッチ式の雄雌バックルを設けたものから構成することができる。
【0050】
前記係着部材19は、その両端部分に環状ゴムバンドからなる伸縮自在の止めバンド20、20が縦方向に設けられ、これらの止めバンド20、20をチャイルドシートのヘッドレストHの両端部から挿通して図3に示した通り装着することができる。
そして、これらの固定部材18、19に設けた係着部材18k、19kが後に説明するカバーの背面部の内側に設けた係着部材と相互に係着することができ、カバー背面部の高さ位置を所定高さ位置に確保することができることとなるのである。
【0051】
尚、この固定部材18、19は、ヘッドレストHの背面部、座席部Zの背面部、或いは、ヘッドレストHの支持枠Bに装着することができる。
チャイルドシートには、各種のものがあるが、座席部Zの背面部SやヘッドレストHの部分に適宜孔部が形成されているため、これらの孔部に上記ベルト部材を挿通して取り付けることができるのである。
【0052】
図4は、上記チャイルドシートカバーの内面部を窓部側から見た説明図である。
図5は、同じくカバーの背面部側から見た説明図である。
図4においては、窓部15を上方に巻き上げた状態を図示しており、窓部15の開放部分から背面部22の内側を見て取ることができる。
他方、図5においては、その背面部を後方の外側から見た状態を示している。
【0053】
この背面部22は、上方の上方被覆部22uと下方被覆部22sの2枚の生地から構成され、上方の上方被覆部22uが下方被覆部22sの上縁部の外側を被覆するように配設されて、両者の中央部分の中央縫着部22c(図5参照)で縫着されている。
従って、この中央縫着部22cの両側部分は縫着さておらず、これらの両側部分がエアー排気口22h、22hとなっている。
【0054】
窓部15などから流入した外気がこの背面部22のエアー排気口22h、22hから外部に排出されるのである。
そして、本発明の特徴部分である。上下に長い帯状の係着部材25が背面部22の内側の略中央部の上下方向に設けられているのである。
【0055】
この係着部材25は、前記背面部の下方被覆部22sの裏面及び上方被覆部22uの裏面の略中央部上下方向に延長するように設けられており、この係着部材は帯状でその表面部に面ファスナーが設けられたものから構成されている。
更に、この係着部材25が設けられた下方被覆部22sの内部には芯材26としてペフ或いはベルポーレン等の可撓性を有する合成樹脂製板材を内設しているのである。
【0056】
これらの芯材26の存在により、背面部22の下方被覆部22sがその保形性を確保し、背面部22が上下方向に起立した状態を維持することができることとなるのである。
勿論、この芯材26は、背面部22の上方被覆部22uの係着部材25が設けられた部分にも配設してもよいことは勿論のことである。
【0057】
尚、図4においては、前面部11と右側の側面部12との境界部のスライドファスナー15fを開放した状態を示しており、従って、側面部12に設けたエアー流通孔12m、12mであるメッシュ部が見えている状態である。
【0058】
以上、図3及び図4から解る通り、図4に示したカバーの背面部22の裏面に設けた係着部材25を、図3に図示した固定部材18、19に設けた係着部材18k、19kに相互に係着することにより、カバーの背面部22の高さ位置、ひいてはカバーの天部13の高さ位置を上下に調節することができることとなるのである。
【0059】
これにより、シートに着席した幼児の座高高さに応じて、両者の係着位置を変更して調節することができ、幼児の頭頂部にカバー天部が押圧することがないようにすることができるのであり、カバーの室内空間の天部高さ位置を自在に変更することができることとなるのである。
【0060】
図6及び図7は、本発明の第2実施形態を図示するものであり、当該カバーは前部チャイルドシートを被覆することができる前部チャイルドシートカバーに関するものである。
図6は、本発明の第2実施形態に係るチャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに被覆した状態の全体説明図である。
【0061】
このカバーの本体部30は、底面が開口した袋状の形態を有し、図6では、チャイルドシートの前方下端部の足乗せ部が下方に開放された状態で、幼児が着席して使用できる状態である。
この足乗せ部を被覆する前面部11の部分は透明素材から形成されている。
【0062】
この前部チャイルドシートは、既に知られている通り、自転車のハンドル部の中央の略U字形状部に固定されているものであって、座面部と両側面部と背面部(背凭れ部)とからなる座席部と、座席の前端部に設けられ、下方に開放される足乗せ部と、座席の前端部に設けられた取手部と、座席の背面部の上縁部で上下方向に往復摺動するヘッドレストから成る。
【0063】
本発明に係る前部チャイルドシートカバーの本体部30は、上記チャイルドシートの底面を除くほぼ全体を被覆することができ、前面部11及び天部13と両側面部12、12と背面部32とからなり、前面部11と天部13とが連続的に形成され、前面部11の中間部位から天部13前端にかけて窓部15が形成されている。
【0064】
また、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、上記第1実施形態では前面部11と一方の側面部12との境界線部にスライドファスナーが設けられており、このスライドファスナーを開放してシートに装着したり、幼児を内部に入れてシートに腰掛けさせることができたが、この第2実施形態では、側面部12、12と背面部32の上縁部で、前面部11及び天部13とが上下に分離しており、当該前面部11の上方部分と天部13とが開閉部31を形成し、この開閉部31を開放して内部に幼児を入れて、シートに腰掛けさせることができるものである。
【0065】
そして、シートの背面部からヘッドレストが上方に摺動することができ、ヘッドレストの上縁部の高さ位置が変更でき、本発明に係るカバーはその背面部の高さ位置を高低自在に変更できる構成である。
【0066】
開閉部31の上面は、前面部11の上方部分と天部13とが連続して形成され、この開閉部31には、その両側の側面部31s、31sとその後方の背面部31bを有している。
即ち、この開閉部31の下端周縁部がカバー本体部30の両側面部12、12と背面部32の上縁部を上から被覆するように閉鎖することができるのである。
【0067】
或いは、この開閉部31の下端周縁部とカバー本体部30の上端周縁部との閉鎖は、スライドファスナーによって行うこともできる。図6はこの形態を示している。
この場合には、スライドファスナーの部分から雨水等が侵入しないように、雨水侵入防止部材をスライドファスナーの内側に設けておくことが極めて好ましい。
【0068】
前記開閉部31の上面部には窓部15が形成され、天部13の側に巻き上げて開放することができる点は、上記第1実施形態と同じである。
また、第1実施形態と同様に、この窓部15の両側の前面部11の側縁部の上下方向(前後方向)に可撓性を有する合成樹脂製のチューブを挿通させることもできる。
本体部30の底面開口部の周縁部には、伸縮自在の弾性紐部材を挿通して、その底面開口部の周縁部が収縮するような構成を採用することも自由である。
【0069】
図7は、上記第2実施形態に係るカバーの背面部の裏を表側に反転して下方に折り返し、チャイルドシートのヘッドレストの背面部の構成を図示した説明図である。
図7にある通り、チャイルドシートの背面部SからヘッドレストHが上方に引き出され、このヘッドレストHに固定部材19が装着されている。
【0070】
この固定部材19は、上記第1実施形態のものと同様のものであり、即ち、合成樹脂製の柔軟な略矩形形状の板状のものからなり、その背面側の中央縦方向の全体に渡り帯状の面ファスナーからなる係着部材19kが設けられている。
この固定部材19は、その両端部に取り付けられた伸縮自在の環状の帯状部材(止めバンド20)によって、ヘッドレストHの両側から挿通され、ヘッドレストHの背面部に装着されるのである。
【0071】
この固定部材19の係着部材19kと相互に係着する係着部材25としての面ファスナーがカバーの背面部32の内側略中央部上下方向に延長するように設けられている。
【0072】
これらカバーの係着部材25と固定部材19の係着部材19kを適宜係着させることによって、カバーの背面部32の高さ位置を変更しつつ、シートにカバーを取り付けることができることとなるのである。
【0073】
このように、カバーの背面部32の高さ位置を変更することにより同時にその上に配置される開閉部の天部13の高さ位置も変更でき、カバーの内部空間の天部の高さも調整され、内部に着席する幼児の頭頂部の押圧又は圧迫を低減化させることができることとなるのである。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を種々変更して実施することができる。
カバー本体部の具体的な外形形状、大きさ等は、シートの形状に適合させて適宜設計変更することができる。
【0075】
その取り付けに当たり、カバーの底面が開口していればよく、幼児の着席に際しては、後部シートに装着する後部カバーであれば、その前面部と一方の側面部との境界線部にスライドファスナー等の開閉部材を設けておけばよく、前部シートに装着する前部カバーであれば、上方の開閉部の開閉により行うことが可能である。
【0076】
本発明にあっては、シートのヘッドレスト又はその支持枠、更には座席部の背面部(背凭れ部)に装着した固定部材の係着部材と、カバー背面部の内側に設けた係着部材との相互の係着により、そのカバー背面部の装着高さ位置を変更でき、その高さ位置を調整できることがその中心的特徴部分であり、カバーのその他の構成については、シートに適合するように種々設計変更して実施することができるものである。
【0077】
上記実施形態では、カバーの前面部や天部、或いは、側面部の上方部に透明部を設けたが、この透明部を設ける部分についても自由に設計変更することができるが、少なくとも窓部や前面部は透明とすることが極めて好ましい。内部に着席する幼児の居住性を高めるためである。
【0078】
窓部の周縁部には開閉自在のスライドファスナーが設けられているが、このスライドファスナーには2個のスライダーを設け、これを適宜間隔に保持して外気の導入口とすることもでき、このスライドファスナーの裏面に雨水等の浸入を防止る侵入防止部材を配設することもできる。
【0079】
窓部は、上記実施形態では、上方に巻き上げるように開放することができるように構成したが、これを左右の何れか一方の横方向に開放できるようにすることも可能である。前面部との接続辺を上又は横にすればよいからである。
勿論、この窓部は本発明の任意の構成要素であり、これを設けずに実施することもできる。
【0080】
窓部の両側の前面部の側縁部に沿って、可撓性を有する合成樹脂製の管体(チューブ)を配設させることもでき、これにより、窓部が設けられた前面部の保形性が保持される。
【0081】
固定部材の外形形状も自由であり、板状の柔軟な素材から形成されていればよいが、硬質のものであっても実施可能である。
柔軟な素材を使用したのは、シートの外形形状に適切に沿うからである。
【0082】
この固定部材をヘッドレスト等に装着する装着手段も自由に選択することができ、環状の伸縮性のある帯状部材であってもよく、2本のベルトからなり、その先端部で相互に係止できるものであってもよい。
【0083】
勿論、単なる2本の紐部材から構成され、これらの紐部材の先端部を相互に締着する形態のものであってもよく、その装着手段は自由に選択することができる。
要するにヘッドレスト又は座席部の背面部に装着できるものであればよいのである。
【0084】
この固定部材に設ける係着部材も、その背面側の全体に設けてもよいし、帯状に横方向の全体に渡り設けたものであってもよい。
他方、カバーの背面部の内側に設ける係着部材についても、その形態を自由に変更することができ、少なくとも帯状に上下方向に延長するように設けてあればよいものである。
カバー背面部の高さ位置を上下に変更できるようにするためである。
【0085】
この係着部材が設けられたカバー背面部の部分に芯材を配設することも極めて好ましく、その芯材の素材は、ペフやベルポーレン等自由に選択して利用することができるものである。
【0086】
以上、本発明は、自転車の前部又は後部チャイルドシートに被覆して使用できるチャイルドシートカバーであって、その本体部の背面部内側に設けた係着部材と、シートに装着された固定部材に設けた係着部材を相互に係着させることによって、本体部の背面部及び天部の高さ位置を変更して調整でき、内部に着席する幼児の頭頂部を圧迫しない自転車用チャイルドシートカバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0087】
10、30 本体部
11 前面部
12 側面部
13 天部
15 窓部
15f スライドファスナー
17 チューブ
18、19 固定部材
18k、19k 係着部材
20 止めバンド
22、32 背面部
25 係着部材
26 芯材
31 開閉部
F 足乗せ部
S 背面部(背凭れ部)
Z チャイルドシート
H ヘッドレスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7