特許第6472260号(P6472260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472260
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】スプライスユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   G02B6/46
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-25106(P2015-25106)
(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公開番号】特開2016-148755(P2016-148755A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水上 実
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3065295(JP,U)
【文献】 特開2003−149456(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0245743(US,A1)
【文献】 特開2002−296427(JP,A)
【文献】 特開2003−329845(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202771068(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44,6/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にアダプタ取付部を備え、マウントレールに取付けて段積みされるスプライスユニットであって、ユニット本体は左右の端部にマウントレールへの取付部を備え、一方の取付部からユニット本体の内側に離間した位置に、引き出し部を前方に引き出し可能に支持する引き出しレールを設け、この引き出しレールと前記一方の取付部との間に2次側配線の余長収納空間を形成し、この余長収納空間に、前部の一端が引き出し部に固定され、前部の他端がユニット本体に固定され、後部をU字状に湾曲させた変形可能なケーブルガイドを取り付け、このケーブルガイドの内部に2次側配線を支持させたことを特徴とするスプライスユニット。
【請求項2】
2次側配線はユニット本体の前端部から引き出されることを特徴とする請求項1記載のスプライスユニット。
【請求項3】
ユニット本体の1次側配線入線部を、2次側配線の余長収納空間とは反対側に設けたことを特徴とする請求項1記載のスプライスユニット。
【請求項4】
2次側配線の余長収納空間に、2次側配線を支持するケーブルガイドを着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のスプライスユニット。
【請求項5】
ユニット本体を一体に形成し、その左右の側面にマウントレールへの取付部を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のスプライスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラックに段積みされ、光ファイバの接続に用いられるスプライスユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラックに段積みされて用いられるスプライスユニットは、特許文献1に示されるように従来から知られている。このスプライスユニットは、ユニット本体にレールに沿って手前側に引き出し可能な引き出し部を設けたもので、この引き出し部の前面に、光ファイバの芯線の本数に対応する多数のアダプタを備えている。
【0003】
光ファイバケーブルはユニット本体に背面から引き込まれてケーブルクランプで固定され、屈曲自在なケーブルダクトによって、光ファイバの許容曲げ半径を確保しつつ保持されながら、引き出し部に接続されている。ケーブルダクトは引き出し部の動きに追随できる長さを備えており、光ファイバケーブルの引き出し余長を確保している。このように、アダプタの1次側の光ファイバケーブルの余長は、スプライスユニットの内部に収納されている。
【0004】
しかし、アダプタの前面に接続される多数本の光ファイバの2次側配線は、引き出しに必要な余長を確保するためにスプライスユニットの前面にたるませて配線されている。このため、他の段のスプライスユニットの引き出し操作をする際に、垂れ下がった2次側配線が邪魔になるという問題があった。
【0005】
またこの問題を解決するために、前面にアダプタが取付けられたユニットが蝶番によって水平面内で開閉できるようにした構造のスプライスユニットも開発されている。この構造では引き出しは行われないので、蝶番の近傍に2次側配線を集めれば、下方にたるませる必要はなくなる。
【0006】
しかしこの構造は、蝶番を中心とした開閉式であるため、ユニットの奥行をスプライスユニットの幅より大きくすると回転できなくなる。このためユニットの奥行に制限がある。また、蝶番による片持ち構造であるため、強度上の制約があり、スプライスユニットの幅も大きくすることができない。従ってユニットのサイズが制約され、多心数の光ファイバケーブルを収納することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−148327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、引き出し構造でありながら、2次側配線をたるませて余長を持たせる必要がなく、しかもユニットを大型化して多心数の光ファイバケーブルを収納可能としたスプライスユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、前面にアダプタ取付部を備え、マウントレールに取付けて段積みされるスプライスユニットであって、ユニット本体は左右の端部にマウントレールへの取付部を備え、一方の取付部からユニット本体の内側に離間した位置に、引き出し部を前方に引き出し可能に支持する引き出しレールを設け、この引き出しレールと前記一方の取付部との間に2次側配線の余長収納空間を形成し、この余長収納空間に、前部の一端が引き出し部に固定され、前部の他端がユニット本体に固定され、後部をU字状に湾曲させた変形可能なケーブルガイドを取り付け、このケーブルガイドの内部に2次側配線を支持させたことを特徴とするものである。
【0010】
なお請求項2のように、2次側配線はユニット本体の前端部から引き出されることが好ましく、また請求項3のように、ユニット本体の1次側配線入線部を、2次側配線の余長収納空間とは反対側に設けた構造とすることが好ましい。また請求項4のように、2次側配線の余長収納空間に、2次側配線を支持するケーブルガイドを着脱自在に取り付けた構造とすることが好ましい。さらに請求項5のように、ユニット本体を一体に形成し、その左右の側面にマウントレールへの取付部を設けた構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユニット前面のアダプタ取付部に取り付けられるアダプタに接続される2次側配線の余長を、ユニット本体に形成された余長収納空間に設けられたケーブルガイドに収納することができ、従来のように2次側配線をたるませる必要はない。このため、他の段のスプライスユニットの引き出し操作をする際に、垂れ下がった2次側配線が邪魔になることがない。また、引き出し操作を行なっても2次側配線の光コードが断線するおそれがない。さらにユニット本体は左右の端部にマウントレールへの取付部を備え両側で支持されるので、幅を拡大することができる。しかも開閉式ではないので、引き出し部の奥行サイズも十分に取ることができ、ユニットを大型化して多心数の光ファイバケーブルを収納することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、1次側配線と2次側配線をユニット本体の左右に分けることができるので、効率的な配置を取ることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、ケーブルガイドを簡単に取外すことができるので、ケーブルガイドを取り外した状態で光ケーブルの配線作業を行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、ユニット本体を一体に形成し、ユニット本体の内部に引き出しレールが取付けられているので、サイズを大型化しても十分な強度を得ることができ、構造も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態を示す水平断面図である。
図4】引き出し状態を示す水平断面図である。
図5】引き出し状態を示す斜視図である。
図6】引き出し状態を示す反対側からの斜視図である。
図7】2次側配線を支持するためのケーブルガイドの取付け構造を示す斜視図である。
図8】2次側配線を支持するためのケーブルガイドの取付け構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態を示す斜視図、図2はその正面図である。これらの図に示されるように、本発明のスプライスユニットは、ラックに多段に段積みされて使用されるものである。
【0017】
本発明のスプライスユニットは、図1図3に示されるように、四角形のボックス状のユニット本体1の左右両端にマウントレールへの取付部2を備え、ラックの両側のマウントレール3、3にボルト4で固定されている。ユニット本体1は一体構造の金属板製であり、十分な強度を備えている。取付部2はこの実施形態では水平断面がL字状の金具である。
【0018】
ユニット本体1の一方の端部(図面の右側端部)からユニット本体1の内側に離間した位置に、(右側の)引き出しレール5が前後方向に設けられている。またユニット本体1の他方の端部(図面の左側端部)には、(左側の)引き出しレール6が前後方向に設けられている。図5に明示されるように、これらの引き出しレール5、6は固定レール5a、6aとスライドレール5b、6bとからなり、固定レール5a、6aがユニット本体1に固定され、スライドスライドレール5b、6bには引き出し部7が取付けられている。
【0019】
引き出し部7は扁平な四角枠状のもので、その前面には多数のアダプタが取付けられる。しかし本願の各図面には、アダプタ取付部8のみが図示されており、アダプタ及びアダプタに接続される2次側配線は省略されている。これらの引き出しレール5、6に支持された引き出し部7は、図3に示した収納位置から図4に示した引き出し位置まで、前方に引き出すことができる。引き出し部7の前面にはマネージメントパネル23が設けられており、2次側配線の整線を容易化するとともに、2次側配線の下方への垂れ下がりを防止している。
【0020】
なお、図5に示されるように引き出しレール5の内側のユニット本体1には仕切り板9が設けられており、引き出しレール5を取付けるための部材として機能するとともに、横幅の大きいユニット本体1の補強部材として機能している。
【0021】
ユニット本体1の片側側面には、1次側配線入線部10が形成されており、この1次側配線入線部10から引き込まれた1次側配線は、従来と同様に屈曲自在なケーブルダクト11によって、光ファイバの許容曲げ半径(30mm)を確保しつつ保持されながら、引き出し部7に接続されている。この1次側配線入線部10は引き出しレール5の下側に形成されているので、図3図4に示すように引き出し部7を引出した場合にも、1次側配線を引き出し部7に接続することができる。この構造によって、1次側配線の引き出し余長をユニット本体1の内部に確保することができる。
【0022】
前記したように、(右側の)引き出しレール5はユニット本体1の一方の端部(右側の端部)から離間した位置にある。本発明ではこの引き出しレール5と一方の取付部2との間に、2次側配線の余長収納空間12が形成されている。この2次側配線の余長収納空間12と1次側配線入線部10はユニット本体1の反対側に形成されている。
【0023】
2次側配線の余長収納空間12には、2次側配線を支持するためのケーブルガイド13が着脱自在に取付けられており、その内部にアダプタから引き出された多数本の2次側配線を収納できるようになっている。ケーブルガイド13としては市販品を用いることができ、その一端は引き出し部7の前端部に固定され、その他端はユニット本体1の前端部に固定されている。また図3図4に示すように、その後部はU字状に湾曲している。このため、アダプタから引き出された2次側配線は引き出し部7の前端からケーブルガイド13内に引き込まれ、ユニット本体1の前端部からラック内に引き出される。
【0024】
図3図4に示すようにケーブルガイド13は引き出し部7の引き出しに応じて変形しつつ、2次側配線をその内部に支持する。このため本発明によれば、従来のように2次側配線をユニット本体1の前面側にたるませて引き出し余長を確保する必要がなくなり、他の段のスプライスユニットの引き出し操作をする際に、垂れ下がった2次側配線が邪魔になることがない。
【0025】
図7図8に示すように、ケーブルガイド13の両端には固定板14が設けられており、複数本のボルト15によって水平断面が7字状の取付板16に固定されている。この取付板16は単一の取付けねじ17によって、引き出し部7の前端面18に固定され、またユニット本体1の前端面19に固定されている。この構造により、取付けねじ17を操作するだけでケーブルガイド13を簡単に着脱することが可能となり、配線作業性を向上させることができる。
【0026】
なお図7に示すように、引き出し部7の前端部には引き出し用のフック20が設けられているが、その背面であってスライドレール5b、6bの上方位置には弾性爪を備えたロック機構21が設けられている。また図5に示すように、ユニット本体1にはこのロック機構21の受け部22が設けられている。このため常時は引き出し部7を、図3に示す収納位置にロックしておくことができる。これらのロック機構21とその受け部22はスペースの有効利用を図るため、引き出しレール5の上部のスペースに設けられている。
【0027】
以上に説明したように、本発明のスプライスユニットは、引き出し構造を採用したためユニットの奥行を十分に取ることができる。また一体形成されたユニット本体1の両側をマウントレール3に保持させた構造であるから、ユニットの横幅も大きく取ることができる。従ってユニットを大型化して多心数の光ファイバケーブルを収納することができる。
【0028】
また本発明のスプライスユニットは、ユニットの内部に2次側配線の収納用空間12を形成したので、従来のように2次側配線が垂れ下がることもなく、配線作業性を大幅に高めることができる利点がある。
【符号の説明】
【0029】
1 ユニット本体
2 マウントレールへの取付部
3 マウントレール
4 ボルト
5 引き出しレール
5a 固定レール
5b スライドスライドレール
6a 固定レール
6b スライドスライドレール
7 引き出し部
8 アダプタ取付部
9 仕切り板
10 1次側配線入線部
11 ケーブルダクト
12 2次側配線の余長収納空間
13 ケーブルガイド
14 固定板
15 ボルト
16 取付板
17 取付けねじ
18 引き出し部の前端面
19 ユニット本体の前端面
20 引き出し用のフック
21 ロック機構
22 受け部
23 マネージメントパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8