【実施例1】
【0028】
本発明の外装材2の保持材1は、
図1及び
図2に示す第1実施例に示すように水上側頂部が二辺から形成される菱形外装材等の外装材2を下地3に取付保持するものであり、下地3に固定される固定部11と、外装材2の水上側頂部を形成する二辺の被係合部22,22にそれぞれ係合する係止部12,12と、を有し、該係止部12,12間には前記外装材2の位置決め部24を目視可能な開口部13を備える構成である。
【0029】
この第1実施例の保持材1は、
図1(a)に示すように略平坦状で略正方形状の固定部11と、その水下側に折返し基端が連続状に形成された係止部12,12と、該係止部12,12間に設けられる略扇状に切り欠かれた開口部13を備えるピース材であって、該開口部13の開口縁部の略中央には水下側へ突起状の合わせ部131が設けられた構成である。
また、前記固定部11には、図示しない固定具を打ち込むための孔111と、支持部材(下地)3に設けた水下側縦片312の挿通可能なスリット113と、水上側縦片313を係止可能な溝114と、が設けられ、溝114の略中央にはV字状の切り込みを形成して合わせ部112とした。
【0030】
この第1実施例の外装材2は、
図2(a)に示すように略平坦状の面板部21と、該面板部21の周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部23、被係合部22をそれぞれ成形した菱形外装材であり、その水上側頂部が鈍角となるように取り付けられ、水上側頂部周辺に形成した位置決め部24を有する構成である。前記面板部21は、水上側頂部が鈍角である横長の菱型形であり、前記被係合部24は、水上側頂部を形成する二辺に形成され、プレス加工により折返し基端を連続状に形成したものである。また、前記位置決め部24は、二辺に跨がる被係合部22の折返し片の略中央の先端を略円弧状に切り込んでその中央部分を突起状に形成したものである。
【0031】
また、この第1実施例の下地3は、
図2(a)に示すように断面略ハット状で水流れ方向に連続する支持部材であって、この支持部材3の配設間隔には野地材等の断熱材4が配設されている。
前記支持部材3は、
図2(b)に示すように上面を形成する頂面部31と、側面を形成する縦面部32,32と、該縦面部32,32の下端を外側へ折り曲げて形成した固定部33,33とからなる。また、頂面部31には、前述のようにスリット113に挿通可能な水下側縦片312と、溝114に係止可能な水上側縦片313とがそれぞれ切り起こしにて設けられている。
【0032】
前記下地(支持部材)3へ、前記保持材1及び前記外装材2を取り付ける際には、
図1(a)に示すように、支持部材3に対しておおよその位置に外装材2を配した状態で、
図1(b)に示すように保持材1を水上側から臨ませ、支持部材3と外装材2との間に差し込むように配し、その係止部12,12と外装材2の被係合部22,22とが係合するように組み合わせる。その際、保持材1の合わせ部112と外装材2の位置決め部24とを一致させつつ組み合わせ、この状態で保持材1のスリット113に支持部材3の水下側縦片312を挿通させ、溝112に水上側縦片313を係止させる。
その後、
図1(c)に示すように縦片312,313を倒し込み(倒し片312',313')、支持部材3に保持材1を取り付けることができる。
なお、保持材1を支持部材3に対して取り付けた状態で、外装材2を水下側から配するようにしてもよい。
【0033】
このように本発明の保持材1を用いた取付作業(操作)は、保持材1の開口部13から外装材2の水上側頂部付近に設けた位置決め部24を目視しながら位置調整を行って外装材2を適正位置に取り付けることができる。
詳しくは、保持材1の開口部13から外装材2の位置決め部24を目視しながら保持材1に形成したV字状の切り込みである合わせ部112及び水下側の突起状の合わせ部131を直線上に並ぶように位置調整を行いつつ、外装材2を適正位置に取り付けることができる。即ち保持材1の合わせ部112,131を結ぶ直線上に外装材2の位置決め部24が位置するように配置する。また、外装材2の保持材1による保持箇所は水上側頂部の一箇所であるが、隣接する外装材2,2同士が相互に係合するので、確実に固定することができる。
したがって、優れた意匠性を有し、且つ構造的利点を備える菱葺き外装構造を容易に且つ高い精度で施工することができる。
【0034】
図3〜
図5に示す各外装構造は、前記第1実施例の保持材1を用いて、形成した位置決め部24x〜24zの形状構成がそれぞれ異なる外装材2X〜2Zを外装材2に代えて取り付けたものである。
なお、前記第1実施例の外装材2に対し、位置決め部24x〜24zの構成以外は、係止部12に係合される被係合部22の折返し片が短いという相違があるものの、それ以外は同一であるため、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
まず、
図3(a)の外装構造では、外装材2Xに形成した位置決め部24xが、
図3(b)に拡大して示すように前記
図1及び
図2における外装材2の位置決め部24とほぼ同様に、二辺に跨がる被係合部22の折返し片の略中央の先端を略円弧状に切り込んでその中央部分を突起状に形成したものである。
【0036】
次に、
図4(a)の外装構造では、外装材2Yに形成した位置決め部24yが、
図4(b)に拡大して示すように二辺の被係合部22,22が交わる直線状を指すものである。
【0037】
さらに、
図5(a)の外装構造では、外装材2Zに形成した位置決め部24zが、
図5(b)に拡大して示すように二辺に跨がる被係合部22の折返し片の略中央の先端を略V字状に切り込んで形成したものである。
【0038】
したがって、保持材1の開口部13から外装材2X〜2Zの前記位置決め部24x〜24zを目視しながら保持材1に形成した合わせ部112,131を直線上に並ぶように位置調整を行って外装材2X〜2Zを適正位置に取り付けることができる。
【0039】
図6(a)には、前記第1実施例の平面図を参考のため示した。
図6(b)に示す第2実施例では、保持材1Bは、略平坦状で略台形状の固定部11bと、その水下側に形成された係止部12b,12bと、該係止部12b,12b間に設けられる広幅の略逆V字状に切り欠かれた開口部13bを備えるピース材であって、該開口部13bの中央隅部が合わせ部131bである。また、前記固定部11bの水上側端縁には、V字状の切り込みである合わせ部112bも設けられている。
一方、上記構成の保持材1Bに保持される外装材2Bは、位置決め部24bが、二辺の被係合部22,22が交わる中央隅部である以外は、前記第1実施例における外装材2と同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
そのため、保持材1Bの開口部13bから外装材2Bの位置決め部24bを目視しながら保持材1Bに形成した合わせ部112b,131bにて位置調整を行って外装材2Bを適正位置に取り付けることができる。
【0040】
図6(c)に示す第3実施例では、保持材1Cは、略平坦状で略台形状の固定部11cと、その水下側に形成された係止部12c,12cと、該係止部12c,12c間に設けられる一定幅で切り欠かれた開口部13cを備えるピース材であって、該開口部13cの中央隅部が合わせ部131cである。また、前記固定部11cの水上側端縁には、V字状の切り込みである合わせ部112cも設けられている。
一方、上記構成の保持材1Cに保持される外装材2Cは、位置決め部24cが、二辺の被係合部22,22が交わる直線状を指す以外は、前記第1実施例における外装材2と同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
そのため、保持材1Cの開口部13cから外装材2Cの位置決め部24cを目視しながら保持材1Cに形成した合わせ部112c,131cにて位置調整を行って外装材2Cを適正位置に取り付けることができる。
【0041】
図6(d)に示す第4実施例では、保持材1Dは、略平坦状で略正方形状の固定部11dと、その水下側に形成された係止部12d,12dと、該係止部12d,12d間に設けられる深スリット状に切り欠かれた開口部13dを備えるピース材であって、該開口部13dの中央部が合わせ部131dである。また、前記固定部11dの水上側端縁には、V字状の切り込みである合わせ部112dも設けられている。
一方、上記構成の保持材1Dに保持される外装材2Dは、位置決め部24dが、二辺の被係合部22,22を折り込んだ外側角部である以外は、前記第1実施例における外装材2と同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
そのため、保持材1Dの開口部13dから外装材2Dの位置決め部24dを目視しながら保持材1Dに形成した合わせ部112d,131dにて位置調整を行って外装材2Dを適正位置に取り付けることができる。
【0042】
図6(e)に示す第5実施例では、保持材1Eは、略平坦状で略正方形状の固定部11eと、その水下側に形成された係止部12e,12eと、該係止部12e,12e間に設けられる狭幅の略逆V字状に切り欠かれた開口部13eを備えるピース材である。また、前記固定部11eの水上側端縁には、V字状の切り込みである合わせ部112eも設けられている。
一方、上記構成の保持材1Eに保持される外装材2Eは、位置決め部24eが、二辺の被係合部22,22が交わる中央隅部である以外は、前記第1実施例における外装材2と同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
そのため、保持材1Eの開口部13eから外装材2Eの位置決め部24eを目視しながら保持材1Eに形成した合わせ部112eにて位置調整を行って外装材2Eを適正位置に取り付けることができる。より詳しくは、合わせ部112eを通過する直線(=流れ方向に平行な想定線)上に位置決め部24eが位置するように配置する。
【0043】
図6(f)に示す第6実施例では、保持材1Fは、略平坦状で略台形状の固定部11fと、その水下側に形成された係止部12f,12fと、該係止部12f,12f間に設けられる略大型山状に切り欠かれた開口部13fを備えるピース材であって、該開口部13fの中央隅部が合わせ部131fである。また、前記固定部11fの水上側端縁には、V字状の切り込みである合わせ部112fも設けられている。
一方、上記構成の保持材1Fに保持される外装材2Fは、位置決め部24fが、二辺の被係合部22,22を折り込んだ外側角部である以外は、前記第1実施例における外装材2と同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
そのため、保持材1Fの開口部13fから外装材2Fの位置決め部24fを目視しながら保持材1Fに形成した合わせ部112f,131fにて位置調整を行って外装材2Fを適正位置に取り付けることができる。
【0044】
図7に示す第7実施例では、保持材1Gは、略平坦状で略矩形状の固定部11gと、その水下側を切り抜いて形成された閉鎖状の開口部13gを備えるピース材であって、該開口部13gの水下側の端縁から略団扇状に突出する舌状片の左右に外装材2Gの被係合部22gに係合する係止部12g,12gが設けられている。また、前記固定部11gには、図示しない固定具を打ち込むための孔111gが設けられている。
一方、上記構成の保持材1Gに保持される外装材2Gは、前記第1〜第6実施例とは異なり、その水上側頂部が鋭角となるように取り付けられた縦長の菱型形である。この外装材2Gも、他の実施例と同様に面板部21g周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部23g、被係合部22gを形成したものであり、先鋭な水上側頂部を水下側へ折り返した先端が位置決め部24gである。
また、この第7実施例における下地構造は、
図7(c)に示すように断面略ハット状の連続材である支持部材3Gを水流れ方向と直交するように配設したものであり、この支持部材3Gの配設間隔には断熱材4Gが配設され、その裏面側には異なる野地材等の断熱材5Gが配設されている。
【0045】
図8に示す第8実施例では、保持材1Hは、
図8(a)に示すように略平坦状で略矩形状の固定部11hと、その水下側を切り抜いて形成された開口部13hを備えるピース材であり、該開口部13hの水下側を囲うように係止部12h,12hが設けられている。また、前記固定部11hには、図示しない固定具を打ち込むための孔111hが設けられている。
一方、上記構成の保持材1Hに保持される外装材2Hは、
図8(b)に示すように前記第7実施例と同様に縦型の菱形外装材であり、面板部21hの水上側頂部周辺に設けられた突起24hが位置決め部である。なお、前記第7実施例と同様に、先鋭な水上側頂部を水下側へ折り返した先端である位置決め部24h'も設けられている。
【0046】
これらの縦型の菱形外装材である外装材2G、2Hを用いた第7,第8実施例の外装構造においても、前記第1〜第6実施例と同様に係止部12g,12hに近接して設けた開口部13g,13hから外装材2G,2Hの水上側頂部付近に設けた位置決め部24g,24h,24h'を目視しながら位置調整を行って外装材2G,2Hを適正位置に取り付けることができる。