(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るアナログ電子時計の回路構成を示すブロック図である。アナログ電子時計100は、発振回路1と、分周回路2と、パルス選択回路3と、ドライバ回路4と、ステップモーター5と、回転検出回路6と、回転失敗カウンタ回路7と、制御回路8によって構成される。
【0014】
発振回路1は、基準となる発振信号を出力する回路である。分周回路2は、各タイミング信号をそれぞれの回路に出力する回路である。パルス生成回路20は、ステップモーター5を駆動するために、駆動パルスを出力する回路であり、通常パルスSPを出力する通常パルス生成回路21と、強パルスKPを出力する強パルス生成回路22と、早送りパルスHPを出力する早送りパルス生成回路23から構成される。
【0015】
通常パルスSPは、通常運針時に用いる駆動パルスである。強パルスKPは、ローター52が、通常パルスSPを入力したときよりも強い駆動トルクを出力する駆動パルスである。早送りパルスHPは、通常運針時よりも高速でローター52を駆動する駆動パルスである。
【0016】
ここで、分周回路2が発生させる駆動パルスの数や種類は一例であり、任意である。パルス選択回路3は、分周回路2が発生させる駆動パルスである通常パルスSP、または強パルスKP、または早送りパルスHPのいずれかを選択する回路である。
ドライバ回路4は、パルス選択回路3が選択したパルスをコイル51に出力する回路である。
【0017】
ステップモーター5は、コイル51とローター52によって構成され、コイル51に入力されたパルスによりローター52を駆動することで、指針車9を回転させ、指針車9には時刻表示を行う指針が取り付けられている。なお、指針が表示する内容は、時刻情報に限らない。
【0018】
回転検出回路6は、周知の技術によりローター52の回転が成功もしくは失敗したことを判定する回路である。回転失敗カウンタ回路7は、回転検出回路6が回転失敗と判定した回数を計数する回路である。制御回路8は、計時や駆動の制御を行う回路である。
【0019】
次に、回路動作について
図1および
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るアナログ電子時計100の各状態における駆動パルス図である。
【0020】
まず、ドライバ回路4から正秒のタイミングで通常パルスSPが出力され、パルス選択回路3によって選択され、ドライバ回路4からコイル51に出力され、ローター52を駆動する。回転検出回路6は、ローター52の回転の成功もしくは失敗の検出を、回転検出期間Tkにコイル51に生じる逆起電流を検出することで行う。なお、検出の詳細は本発明とは関連しないので、その説明を省略する。
【0021】
図2(a)に示すように、通常パルスの出力後に、回転検出回路6が「回転成功」と判定した場合には、回転検出回路6は、パルス選択回路3が通常パルスKPを選択出力するように制御し、次の正秒のタイミング(T1)で通常パルスSPが出力され、計時は正確に行われる。
【0022】
次に、アナログ電子時計100が、一定強度よりも弱い外部磁場の影響を受けた場合について説明する。
図2(b)に示すように、通常パルスSPの出力後に、回転検出回路6が「回転失敗」と判定すると、回転検出回路6は、次の正秒のタイミング(T1)の前に、パルス選択回路3が強パルスKPを選択出力するように制御する。強パルスKPの出力後に、回転検出回路6が「回転成功」と判定し、次の正秒のタイミング(T1)で通常パルスSPが出力され、指針車9の指針位置がずれることなく、計時が行われる。
【0023】
続いて、アナログ電子時計100が、一定強度よりも強い外部磁場の影響を受けた場合について説明する。ここで、一定強度よりも強い外部磁場の影響を受けた場合とは一例であり、これに限らない異常運針時に適用することができる。
図2(c)に示すように、通常パルスSPの出力後に、回転検出回路6が「回転失敗」と判定すると、回転検出回路6は、次の正秒のタイミング(T1)の前に、パルス選択回路3が強パルスKPを選択出力するように制御する。強パルスKPの出力後にも、回転検出回路6が「回転失敗」と判定し、回転失敗カウンタ回路7に「1」を加算する。この場合、計時は正確に行われず、指針車9の指針位置が1ステップずれてしまう。さらに、次の正秒のタイミング(T1)では、通常パルスSPを出力するが、駆動パルスとローター52との位相がずれているため
、ローター52を回転させることができず、回転検出回路6が「回転失敗」と判定し、さらに次の正秒のタイミング(T2)の前に、パルス選択回路3が強パルスKPを選択出力するが、駆動パルスとローター52との位相がずれているため、ローター52を回転させることができず、回転検出回路6が「回転失敗」と判定し、回転失敗カウンタ回路7にさらに「1」を加算する。この場合、計時は正確に行われず、指針車9の指針位置がさらに1ステップずれてしまい、指針車9の指針位置は合計2ステップずれてしまう。ここで、ローター52の回転を失敗させることで、駆動パルスとローター52との位相を合わせる必要があるため、ローター52が回転してしまうことで、駆動パルスとローター52との位相がずれたままにならないように、このタイミング(T1)では、ローター52が回転しない弱い駆動トルクを出力する駆動パルスを出力することが好ましい。
【0024】
また、T1のタイミングにおいて、通常パルスSPで回転検出回路6が「回転失敗」と判定した後、次の正秒のタイミング(T2)の前に、回路構成を簡単にするために、正秒のタイミング(T0)と同様の動作をするように任意の駆動パルスを出力したり、消費電流を小さくするために、駆動パルスを出力しないように制御しても構わない。
一定強度よりも強い外部磁場の影響を受け続けている限り、アナログ電子時計100は上記動作を続ける。
【0025】
上記動作と指針車9の指針位置の修正動作について、
図3に基づいて説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るアナログ電子時計の指針位置を修正する制御手順を示すフローチャートである。
【0026】
まず、正秒のタイミング(T0)で通常パルスSPを出力する(ステップS11)。続いて、回転検出回路6によって回転検出を行い(ステップS12)、「回転成功」と判定した場合(ステップS12のYes)は、回転失敗カウンタ回路7が計数している数値の確認を行う(ステップS13)。回転失敗カウンタ回路7のカウント値が「0」の場合(ステップS13のYes)は、次の正秒のタイミング(T1)で、通常パルスSPを出力し、指針車9の指針位置がずれることなく、計時が行われる。
【0027】
通常パルスSPの出力後(ステップS11)に、回転検出回路6が「回転失敗」と判定した場合(ステップS12のNo)は、強パルスKPを出力する(ステップS15)。続いて、再度、回転検出回路6によって回転検出を行い(ステップS17)、「回転成功」と判定した場合(ステップS16のYes)は、次の正秒のタイミング(T1)で、通常パルスSPを出力し、指針車9の指針位置がずれることなく、計時が行われる。
【0028】
強パルスKPの出力後に、回転検出回路6が「回転失敗」と判定した場合(ステップS16のNo)は、回転失敗カウンタ回路7に「1」を加算する(ステップS17)。このとき、指針車9の指針位置は1ステップ遅れた状態で、計時が行われる。
【0029】
通常パルスSPの出力後(ステップS11)に、回転検出回路6が「回転成功」と判定(ステップS12のYes)し、回転失敗カウンタ回路7のカウント値が「0」ではない場合(ステップS14のYes)は、パルス選択回路3が早送りパルスHPを選択出力するように制御され、回転失敗カウンタ回路7のカウント値だけまとめ運針を行い、回転失敗カウンタ回路7の数値を「0」にリセットする。上記動作によって、ローター52を駆動できずに指針車9の指針位置がずれていた場合には、指針車9を正しい位置へ修正する。ここで、回転検出回路6が任意の回数連続して「回転成功」と判定した場合に、回転失敗カウンタ回路7のカウント値だけまとめ運針を行い、指針車9を正しい位置へ修正しても構わない。このようにすることで、外部磁場等の影響がない安定した環境でまとめ運針を行うことができるため、まとめ運針中にローター52を駆動できずに指針車9の指針位置がずれてしまう可能性を低減させることができる。また、指針車9を正しい位置へ修正
するまとめ運針は、通常パルスSPもしくは強パルスKPで行なっても構わない。このようにすることで、いかなる運針状態でも回転検出を行うことができるため、まとめ運針中に指針車9の指針位置がずれてしまった場合でも、正しい位置に修正することができる。
【0030】
続いて、上記フローチャートで表した制御方法における駆動パルスの出力タイミングについて、
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係るアナログ電子時計の駆動パルスのタイミングチャートである。
【0031】
アナログ電子時計100は、時刻Ta0から時刻Ta1までの期間で、ローター52を1ステップ駆動させるように制御される。その後も同様に、時刻Ta(n−1)から時刻Tanまでの期間で、ローター52を1ステップずつ駆動させるように制御される(nは整数)。
【0032】
まず、時刻Ta0から時刻Ta1の期間では、アナログ電子時計100は、外部磁場の影響を受けない状態にあり、通常パルスSPによってローター52が駆動し、回転検出回路6は「検出成功」を判定する。よって、アナログ電子時計100は正常に運針を行う。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「0」である。
【0033】
時刻Ta1から時刻Ta2の期間では、アナログ電子時計100は、一定強度よりも弱い外部磁場の影響を受けた状態にあり、通常パルスSPによってローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定する。続いて、パルス選択回路3によって強パルスKPを選択出力することで、ローター52が駆動し、回転検出回路6は「検出成功」を判定する。よって、アナログ電子時計100は正常に運針を行う。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「0」である。
【0034】
時刻Ta2から時刻Ta3の期間では、アナログ電子時計100は、一定強度よりも強い外部磁場の影響を受けた状態にあり、通常パルスSPによってローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定し、続いて、強パルスKPによってもローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定する。よって、アナログ電子時計100は運針することができず、正しい指針位置から1ステップだけ遅れた位置を表示する。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「1」加算され、「1」となる。
時刻Ta3から時刻Ta4の期間では、時刻Ta2から時刻Ta3の期間でローター52を駆動させることができなかったため、駆動パルスとローター52の位相がずれており、ローター52を駆動させることができない状態となる。よって、通常パルスSPによってローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定し、続いて、強パルスKPによってもローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定する。アナログ電子時計100は運針することができず、Ta3における指針位置から1ステップだけ遅れた位置を表示する。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「1」加算され、「2」となる。
【0035】
時刻Ta4から時刻Ta5の期間では、アナログ電子時計100は、外部磁場の影響を受けない状態にあり、通常パルスSPによってローター52が駆動し、回転検出回路6は「検出成功」を判定する。続いて、パルス選択回路3によって早送りパルスHPを出力するように選択され、回転失敗カウンタ回路7のカウント値である2ステップだけまとめ運針を行い、アナログ電子時計100は正しい指針位置へ修正される。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「0」にリセットされる。
【0036】
ここで、回転失敗カウンタ回路7のカウント値が、通常時の運針間隔内に早送りパルスHPが出力することができるパルス数よりも多い場合は、回転失敗カウンタ回路7のカウント値に、回転失敗カウンタ回路7のカウント値を早送りパルスの運針間隔で除算したと
きの商を加算した数の早送りパルスHPを出力する。
【0037】
上記のようにすることで、外部磁場の影響によって運針できずに指針位置がずれてしまった場合でも、外部磁場の影響がなくなり通常運針できるようになれば、指針位置がずれているステップ数だけをまとめ運針し、指針位置を正しい位置へ修正することができる。よって、指針位置がずれてから、正しい位置へ修正するまでの時間は、従来の光学式の指針位置検出手段を用いた方法よりも、短くすることができるため、ユーザーが正確でない時刻表示を確認する機会を減らすことができる。また、発光素子や受光素子といった光学式の指針位置検出手段を必要とせずに、指針位置を正しい位置へ修正することができるため、経済的であり、かつ、アナログ電子時計100を薄くすることができる。さらに、ローター52から指針車9までの中間車の減速比を任意に設定することができ、特定の減速比の輪列を重ねて配置する必要がないため、アナログ電子時計100を薄くすることができる。
【0038】
また、
図3では、回転検出回路6が「回転失敗」を判定(ステップS16のNo)し、回転失敗カウンタ回路7に「1」を加算した後(ステップS17)、次の通常パルスSPを出力するタイミング(ステップS11)で回転検出回路6が「回転成功」と判定すれば(ステップS12のYes)、回転失敗カウンタ回路78のカウント値だけまとめ運針を行うが、
図5のように、回転検出回路6が「回転失敗」を判定(ステップS16のNo)し、回転失敗カウンタ回路7に「1」を加算した後(ステップS17)、次に通常パルスSPを出力するタイミングで、回転検出回路6が「回転成功」と判定し(ステップS12のYes)、その後も連続したタイミングで通常パルスSPによって不図示の連続回転検出計数回路が任意の回数「回転成功」と判定すると(ステップS18のYes)、回転失敗カウンタ回路78のカウント値だけまとめ運針を行うようにしても良い。
【0039】
上記のようにすることで、アナログ電子時計100は、外部磁場の影響がなくなり通常運針できる環境下にある可能性が高くなり、指針位置を正しい位置へ修正するまとめ運針を行う場合においても、運針できない状態を回避することができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を
図6および
図8に基づいて説明する。第2実施形態は、任意のタイミングで指針を正しい位置へ修正する場合の例である。
図6は、本発明の第2実施形態に係るアナログ電子時計の指針位置を修正する制御手順を示すフローチャートであり、
図8は、本発明の第2実施形態に係るアナログ電子時計200の駆動パルスのタイミングチャートである。
なお、本実施形態のシステム構成は第1実施形態と略同じであるので、
図1を用いて説明を行う。
【0041】
まず、正秒のタイミング(T0)で通常パルスSPを出力する(ステップS21)。続いて、回転検出回路6によって回転検出を行い(ステップS22)、「回転成功」と判定した場合(ステップS22のYes)は、制御回路8によって指針位置修正タイミングかどうかの確認を行う(ステップS23)。指針位置修正タイミングではない場合(ステップS23のNo)は、次の正秒のタイミング(T1)で、通常パルスSPを出力し、指針車9の指針位置がずれることなく、計時が行われる。
【0042】
通常パルスSPの出力後(ステップS21)に、回転検出回路6が「回転失敗」と判定した場合(ステップS22のNo)は、強パルスKPを出力する(ステップS25)。続いて、再度、回転検出回路6によって回転検出を行い(ステップS26)、「回転成功」と判定した場合(ステップS26のYes)は、制御回路8によって指針位置修正タイミングかどうかの確認を行う(ステップS23)。指針位置修正タイミングではない場合(
ステップS23のNo)は、次の正秒のタイミング(T1)で、通常パルスSPを出力し、指針車9の指針位置がずれることなく、計時が行われる。
【0043】
強パルスKPの出力後に、回転検出回路6が「回転失敗」と判定した場合(ステップS26のNo)は、回転失敗カウンタ回路7に「1」を加算する(ステップS27)。このとき指針車9の指針位置は1ステップ遅れた状態で、計時が行われる。
【0044】
通常パルスSPの出力後(ステップS21)に、回転検出回路6が「回転成功」と判定(ステップS22のYes)し、指針位置修正タイミングである場合(ステップS23のYes)は、回転失敗カウンタ回路7のカウント値だけまとめ運針を行い、回転失敗カウンタ回路7の数値を「0」にリセットする。上記動作によって、ローター52を駆動できずに指針車9の指針位置がずれていた場合には、指針車9を正しい位置へ修正する。
続いて、上記フローチャートで表した制御方法における駆動パルスの出力タイミングについて、
図8を用いて説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係るアナログ電子時計200の駆動パルスのタイミングチャートである。
【0045】
アナログ電子時計200は、時刻Tb0から時刻Tb1までの期間で、ローター52を1ステップ駆動させるように制御される。その後も同様に、時刻Tb(n−1)から時刻Tbnまでの期間で、ローター52を1ステップずつ駆動させるように制御される(nは整数)。
【0046】
まず、時刻Tb0から時刻Tb1の期間では、アナログ電子時計200は、外部磁場の影響を受けない状態にあり、通常パルスSPによってローター52が駆動し、回転検出回路6は「検出成功」を判定する。時刻Tb1から時刻Tb2の期間では、アナログ電子時計100は、一定強度よりも弱い外部磁場の影響を受けた状態にあり、通常パルスSPによってローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定する。続いて、パルス選択回路3によって強パルスKPを選択出力することで、ローター52が駆動し、回転検出回路6は「検出成功」を判定する。よって、時刻Tb0から時刻Tb2の期間では、アナログ電子時計100は正常に運針を行う。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「0」である。
【0047】
時刻Tb2から時刻Tb3の期間では、アナログ電子時計200は、一定強度よりも強い外部磁場の影響を受けた状態にあり、通常パルスSPによってローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定し、続いて、強パルスKPによってもローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定する。よって、アナログ電子時計200は運針することができず、正しい指針位置から1ステップだけ遅れた位置を表示する。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「1」加算され、「1」となる。
時刻Tb3から時刻Tb4の期間では、時刻Tb2から時刻Tb3の期間でローター52を駆動させることができなかったため、駆動パルスとローター52の位相がずれており、ローター52を駆動させることができない状態となる。よって、通常パルスSPによってローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定し、続いて、強パルスKPによってもローター52は駆動せず、回転検出回路6は「検出失敗」と判定する。アナログ電子時計200は運針することができず、Tb3における指針位置から1ステップだけ遅れた位置を表示する。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「1」加算され、「2」となる。
【0048】
時刻Tb4から時刻Tb6の期間では、アナログ電子時計200は、外部磁場の影響を受けない状態にあり、正常に運針を行う。
【0049】
時刻Tb6は、毎分0秒、毎時0分や0:00など指針位置のずれを修正する任意のタ
イミングである。時刻Tb6から時刻Tb7の期間では、アナログ電子時計200は、通常パルスSPによってローター52が駆動し、回転検出回路6は「検出成功」を判定する。続いて、パルス選択回路3によって早送りパルスHPを出力するように選択され、回転失敗カウンタ回路7のカウント値である2ステップだけまとめ運針を行い、アナログ電子時計200は正しい指針位置へ修正される。このとき、回転失敗カウンタ回路7の数値は「0」にリセットされる。
【0050】
上記のようにすることで、指針位置を修正するタイミングを、ユーザーが確認する可能性が低い夜中などの時間帯にすることができるため、まとめ運針の動作をユーザーが確認する可能性を低くすることができ、変則的な運針であるまとめ運針に対するユーザーの不安感を軽減させることができる。
【0051】
また、
図7のように、強パルスKPが出力された場合は、指針修正タイミングであっても正しい指針位置へ修正するまとめ運針を行わず、指針修正タイミング後に通常パルスSPによって回転検出回路6が「回転成功」と判定したとき(S22のYes)に、まとめ運針を行い正しい指針位置へ修正しても構わない。
【0052】
このようにすることで、アナログ電子時計200は、外部磁場の影響がなくなり通常運針できる環境下にある可能性が高くなり、指針位置を正しい位置へ修正するまとめ運針を行う場合においても、運針できない状態を回避することができる。
電波受信終了後に、時刻の補正と合わせて指針位置ずれを修正しても良く、このようにすることでも、変則的な運針であるまとめ運針の動作をユーザーが確認する可能性を低くすることができる。
【0053】
また、指針位置修正タイミング(ステップS23)は任意の時刻に限らず、電波修正時計における電波受信時、受信結果表示時や、クロノグラフなどにおける帰零時など、ユーザーによる操作によって指針が運針する際に行っても良い。このようにすることで、これらのユーザーによる外部操作によって、電波受信中表示、電波受信の成功もしくは失敗表示、0秒位置など、指針がなんらかの表示を指す前に指針位置を修正することができるため、ユーザーは指針位置がずれていることを認識する機会を軽減させることができる。
【0054】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、
図9、10を用いて説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係るアナログ電子時計300の平面図であり、
図10は、本発明の第3実施形態に係るアナログ電子時計300の指針位置を修正する制御手順を示すフローチャートである。
【0055】
アナログ電子時計300は、第1実施形態、第2実施形態と同様に、発振回路1と、分周回路2と、パルス選択回路3と、ドライバ回路4と、回転検出回路6と、回転失敗カウンタ回路7と、制御回路8とを有し、秒針と分針と時針とを駆動するステップモーター(1)と、機能針10を駆動するステップモーター(2)とを有する。
図9(a)で示すように、機能針10は、通常時には曜日(M、T、W、T、F、S、S)を表示している。ただし、機能針10が表示する内容は、曜日に限らず日付や月などでも構わない。
アナログ電子時計300が、一定強度よりも強い外部磁場の影響を受けた場合について説明する。正秒のタイミング(T0)にて通常パルスSPを出力した後、回転検出回路6が「回転失敗」と判定し、回転検出回路6は、次の正秒のタイミング(T1)の前に、パルス選択回路3が強パルスKPを選択出力するように制御する。正秒のタイミング(T0)以降の正秒のタイミングにて、任意の回数連続して強パルスKPが出力されると、
図9(b)で示すように、曜日を表示していた機能針10は、一定強度よりも強い外部磁場の影響を受けた場合など異常運針状態を示すDGRを指すように制御する。
【0056】
このようにすることで、アナログ電子時計300が外部磁場の影響を受けて指針の位置がずれてしまう可能性があることをユーザーに警告することができるため、ユーザーはアナログ電子時計300を外部磁場の影響を受けない場所に移動させるなどして、指針の位置がずれないように配慮することが可能になる。また、異常運針状態を示す方法は、機能針10による表示に限らず、秒針が3秒運針を行うなど通常運針時とは異なる運針でも構わない。