特許第6472297号(P6472297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6472297-読取装置 図000002
  • 特許6472297-読取装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472297
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 5/02 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   G07D5/02 104
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-70140(P2015-70140)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-191976(P2016-191976A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 和則
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−319916(JP,A)
【文献】 特開平09−282513(JP,A)
【文献】 特開平08−320450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D5/02
G06T1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル状の読取対象が設置される読取部に対向して配置され、前記読取対象の画像を撮像する撮像装置と、
前記読取部の周囲に環状に配置され、前記読取部に対して外向きに照明光を出射する照明光源と、
前記照明光源の周囲に環状に配置され、前記照明光源が出射した照明光を前記読取部に向けて反射する反射体と、
前記読取部内で前記読取対象の背面側から前記撮像装置に向けて光を照射し、当該光の一部が前記読取対象の外縁で遮光される背面光照射部とを備え
前記背面光照射部は、前記読取対象が接した状態で設置される上向きの設置面に設けられていることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記背面光照射部は、前記反射体が反射した照明光を拡散反射させる拡散反射面を備えることを特徴とする請求項1記載の読取装置。
【請求項3】
前記背面光照射部は、前記読取対象の背面側から前記撮像装置に向けて光を出射する発光体を備えることを特徴とする請求項1記載の読取装置。
【請求項4】
前記設置面は、前記背面光照射部上を前記読取対象が移動できるようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル、硬貨(コイン)、トークンなどの識別に用いる読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、硬貨やメダルなどの刻印を読み取る刻印読取装置が知られている(下記特許文献1参照)。この刻印読取装置は、透明板上の読取面に対向して撮像手段(CCDカメラ)を配置し、読取面内の読取部周囲に環状に、外方に向けて照明光を出射する複数の照明光源(LED)を配置し、各照明光源の周囲に、照明光源が出射した照明光を読取部に向けて反射させる環状の反射鏡を配置し、反射鏡で反射して、読取部内に配置された硬貨などで反射した光を撮像手段で撮像するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−282513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の刻印読取装置は、照明光源から出射される照射光の照射ムラを少なくすることができるので、硬貨などの表面の凹凸(刻印)の明瞭な読取画像を得ることができる。一方、硬貨やメダルの識別を行うには、その輪郭(外径)を正確に把握することが必要になる。
【0005】
前述した従来技術は、外縁の側面が垂直に立っている正規の通貨を読取対象とする場合には、外縁で反射した光を撮像手段で撮像することで、明瞭な輪郭画像を得ることができる。しかしながら、アミューズメント装置などで用いられる硬貨やメダルは、正規の通貨と比べて、外縁の側面がなだらかに傾斜しているものなどがあり、従来の刻印読取装置では、輪郭画像を正確に撮像することができない問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、アミューズメント装置などに用いられる硬貨やメダルを対象とする場合にも、正確な輪郭画像を得ることができ、また、硬貨やメダルの表面の凹凸を明瞭に読み取ることができる読取装置を得ること、などが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の読取装置は、以下の構成を具備するものである。
メダル状の読取対象が設置される読取部に対向して配置され、前記読取対象の画像を撮像する撮像装置と、前記読取部の周囲に環状に配置され、前記読取部に対して外向きに照明光を出射する照明光源と、前記照明光源の周囲に環状に配置され、前記照明光源が出射した照明光を前記読取部に向けて反射する反射体と、前記読取部内で前記読取対象の背面側から前記撮像装置に向けて光を照射し、当該光の一部が前記読取対象の外縁で遮光される背面光照射部とを備え、前記背面光照射部は、前記読取対象が接した状態で設置される上向きの設置面に設けられていることを特徴とする読取装置。
【発明の効果】
【0008】
このような特徴を有する本発明の読取装置は、アミューズメント装置などに用いられる硬貨やメダルを対象とする場合にも、正確な輪郭画像を得ることができ、また、硬貨やメダルの表面の凹凸を明瞭に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る読取装置の全体構成を示した説明図(縦断面図)である。
図2図1におけるX−X断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る読取装置の撮影画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1及び図2は、本発明の実施形態に係る読取装置を示している。本発明の実施形態に係る読取装置1は、平面形状が略円形であり、所定の厚さを有するメダル状のもの(メダル、硬貨、トークンなど)を読取対象として、その読取画像からメダルなどの識別を行うことができるものである。
【0011】
この読取装置1は、CCDなどの撮像素子2Aと撮像光学系2Bを備える撮像装置2と、LEDなどの発光素子3Aを備える照明光源3と、反射体4と、背面光照射部5とを備えている。
【0012】
撮像装置2は、読取部Sに対向して配置されており、読取部Sに設置される読取対象となる硬貨やメダルなど(以下、ワークWという)を撮像する。撮像装置2は、ワークWが読取部Sに搬送されるタイミングで撮影動作を行い、ワークWの平面的な静止画像を撮影する。この撮影動作を自動で行うためには、撮像装置2には、ワークWが読取部Sに入ったことを検知する検知手段と、この検知手段の出力で撮影動作を行う制御手段が設けられる。
【0013】
照明光源3は、読取部Sの周囲に環状に配置され、読取部Sに対して外向きに照明光を出射する。図示の例では複数の発光素子3Aを環状に配置した例を示しているが、環状の一体光源であってもよい。照明光源3(発光素子3A)が出射する照明光は、放射状の中心線Pに対して、所定の出射角で拡がる照射範囲を有しており、その照射範囲では、中心線P付近の照度が高く出射角が拡がるに連れて照度が低くなる照度分布を有している。
【0014】
反射体4は、照明光源3の周囲に環状に配置され、照明光源3が出射した照明光を読取部Sに向けて反射する。この反射体4は、図2に示すように、個々の発光素子3Aに対面する反射面4Aを有している。反射面4Aは、その中心に溝部4Bを有する傾斜面を備えており、その溝部4Bに発光素子3Aから出射される照明光の中心線Pが延びている。
【0015】
背面光照射部5は、ワークWの背面側から撮像装置2に向けて光を照射するものであり、ワークWが読取部Sに設置された状態で、ワークWの外縁で背面光照射部5から照射される光の一部が遮光され、遮光されない光が撮像装置2に向かう。背面光照射部5は、例えば、反射体4が反射した照明光を拡散反射させる拡散反射面5Aを備えるものとすることができる。これによると、光源を追加することなく、ワークWの背面側から撮像装置2に向かう光を得ることができる。背面光照射部5は、これに限らず、ワークWの背面側から撮像装置2に向けて光を出射する発光体を備えるものであってもよい。この場合の発光体は、均一な光を出射する面発光体であることが好ましい。
【0016】
図示の例では、読取装置1は、筒状の筐体10を備えており、筐体10の下部内側に反射体4が設けられている。また、筐体10の下端には、透明板11が装着されて、透明板11を介して、反射体4で反射された照明光がワークWに照射され、ワークWで反射した光及びワークWの背面から撮像装置2に向かう光が筐体10内に入射する。筐体10内には、鏡筒12が配置され、鏡筒12内に撮像装置2が配置されている。鏡筒12の下端には、フランジ状の支持部12Aが設けられ、支持部12Aに照明光源3(発光素子3A)が配置されている。
【0017】
読取装置1は、ワークWを設置する設置面Tを有している。図示省略した搬送手段によってワークWが設置面Tに沿って搬送され、設置面Tにおける読取部S内にワークWを設置する。背面光照射部5は、設置面Tに設けられており、背面光照射部5上をワークWが移動できるようになっている。すなわち、背面光照射部5とワークWは、接しているか、極めて近接している。
【0018】
このような読取装置1によると、反射面4Aの角度と照明光源3の光出射角度が適宜設定されている。この設定により、照明光源3から出射される照明光は、反射体4の反射面4Aで反射して読取部S内に照射されるが、その際、照度の高い中心線Pに近い光が読取部Sの反射面4Aから遠い側に照射され、照度の比較的低い中心線Pに対して角度のある光が読取部Sの反射面4Aから近い側に照射される。これによって、照明光源3から出射される照明光の照射範囲に照度分布が存在する場合にも、読取部S内を均一な照度で照明することが可能になる。
【0019】
また、反射体4の反射面4Aは、中心の溝部4Bが凹んだ傾斜面になっているので、照明光源3から出射されて水平方向に拡がる照明光は、この傾斜した反射面4Aで様々な角度に反射されることになり、これによっても照度分布の均一化を可能にしている。
【0020】
このように、読取部S内に設置されたワークWの表面は、均一な照度の照明を受けることができ、これにより、撮像装置2は、ワークW表面の凹凸を明瞭に読み取る撮影が可能になる。また、読取部S内には、背面光照射部5が設けられており、ワークWの背面側から撮像装置2に向けて光が照射されるので、撮像装置2は、ワークWによって遮光される部分と遮光されない部分との間に大きなコントラストがある画像を撮像することができる。図3は、撮像装置2が撮影した画像の一例を示しているが、ワークの外縁Wsの外側に、背面光照射部5にて照射される光による明るい部分Lsが形成されるので、ワークの外縁Wsの輪郭画像を明瞭に取得することができる。これによって、本発明の実施形態に係る読取装置1によると、精度の高いメダルなどの識別を行うことが可能になる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0022】
1:読取装置,2:撮像装置,2A:撮像素子,2B:撮像光学系,
3:照明光源,3A:発光素子,
4:反射体,4A:反射面,4B:溝部,
5:背面光照射部,5A:拡散反射面,
10:筐体,11:透明板,12:鏡筒,12A:支持部,
S:読取部,W:ワーク,Ws:外縁,T:設置面,P:中心線
図1
図2
図3