特許第6472311号(P6472311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472311
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】1
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-83069(P2015-83069)
(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公開番号】特開2016-202209(P2016-202209A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(72)【発明者】
【氏名】澤田 信次
(72)【発明者】
【氏名】中西 貴
【審査官】 辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−233449(JP,A)
【文献】 特開2015−000242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸を中心として回転可能な可動体と、
前記可動体を回転させる駆動源と、
前記駆動源の動力を前記可動体に伝達し、所定形状の回転制限部を有する伝達部材と、
前記伝達部材の前記回転制限部に接触する位置と前記伝達部材の前記回転制限部に接触しない位置とに移動可能であり、前記伝達部材の前記回転制限部と接触することにより前記伝達部材の回転を制限可能な前記所定形状とは異なる特定形状の回転制限部を有するストッパ部材を備え
前記伝達部材の所定形状の回転制限部と前記ストッパ部材の特定形状の回転制限部とが接触して前記伝達部材の回転が停止すると、前記ストッパ部材が前記伝達部材から外れることが抑制可能になるとともに、前記可動体の回転が停止可能になることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技中に抽選契機が発生すると、図柄の変動表示を行った後に抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、サブ液晶が所定の回転軸を中心に所定角度のなかで正逆回転動作する遊技機が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、別の先行技術として、液晶表示装置を所定の回転軸を中心として回転させるとともに、液晶表示装置の最大回転角度を例えば、90度、180度、360度、720度等の任意の角度に設定することができる遊技機が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−215428号公報
【特許文献2】特開2005−329085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の先行技術は、可動体(例えばサブ液晶表示器)が回転するため、遊技者に対して驚きを与えることができる。
ここで、回転する可動体を所定の角度で綺麗に停止させるためには、回転する可動体とは別に機械的なストッパが必要となる。
【0006】
しかし、可動体の回転の勢いが強いと、機械的なストッパがその勢いに負けて外れてしまうという問題がある。この点、上述した各先行技術では、回転体の回転を制限するストッパに関する対策はなされていない。
【0007】
そこで本発明は、ストッパの不具合を低減させることができる技術の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
解決手段1:本解決手段の遊技機は、所定の回転軸を中心として回転可能な可動体と、前記可動体を回転させる駆動源と、前記駆動源の動力を前記可動体に伝達し、所定形状の回転制限部を有する伝達部材と、前記伝達部材の前記回転制限部に接触する位置と前記伝達部材の前記回転制限部に接触しない位置とに移動可能であり、前記伝達部材の中心に向かわない方向で前記伝達部材の前記回転制限部と接触することにより前記伝達部材の回転を制限するストッパと、前記ストッパと前記伝達部材の前記回転制限部とが接触する際の回転制限時に、前記ストッパと前記伝達部材の前記回転制限部とが接触することにより発生する力を利用して、前記伝達部材の前記回転制限部と接触している前記ストッパを前記伝達部材の内側の方向に向かわせるストッパ外れ抑制機構とを備えることを特徴とする遊技機である。
【0009】
本解決手段の遊技機は、以下の構成を備える。
(1)所定の回転軸(Z軸、前後方向の軸)を中心として回転可能な可動体(サブ液晶)が備えられている。
(2)上記(1)の可動体を回転させる駆動源が設けられている。駆動源は例えばモータである。
【0010】
(3)上記(2)の駆動源の動力を上記(1)の可動体に伝達し、所定形状の回転制限部を有する伝達部材が設けられている。伝達部材は、機構の単純化の観点からするとギアであることが好ましいが、ギアに限定されるものではなく、駆動源の動力を可動体に伝達することができるもの(例えばリンク機構等)であればギアに限定されるものではない。所定形状は、例えば長穴や、半円、楕円、多角形形状の溝等の切り欠き又は凹部であり、ストッパの先端部分を受け入れる。回転制限部は、機構の単純化の観点からすると溝であることが好ましいが、溝に限定されるものではなく、穴や突起等であってもよい。
(4)上記(3)の伝達部材の回転制限部に接触する位置と伝達部材の回転制限部に接触しない位置とに移動可能(可動可能)であり、上記(3)の伝達部材の中心に向かわない方向で上記(3)の伝達部材の回転制限部と接触することにより上記(3)の伝達部材の回転を制限するストッパが設けられている。ストッパは、ソレノイドやモータ等の駆動源によって移動(可動)する。
【0011】
(5)上記(4)のストッパと上記(3)の伝達部材の回転制限部とが接触する際の回転制限時(回転停止時)に、上記(4)のストッパと上記(3)の伝達部材の回転制限部とが接触することにより発生する力を利用して、上記(3)の伝達部材の回転制限部と接触している上記(4)のストッパを上記(3)の伝達部材の内側の方向に向かわせるストッパ外れ抑制機構が設けられている。
【0012】
このように、本解決手段では、ストッパは、伝達部材の中心に向かわない方向で伝達部材と接触する。このため、伝達部材の中心に向かう方向で伝達部材と接触するストッパと比較して、回転制限時(回転停止時)にストッパが外れやすい性質を有している。すなわち、伝達部材の中心に向かってストッパが接触すれば、伝達部材に対してストッパは安定して接触するが、伝達部材の中心から外れた位置に向かってストッパが接触すると、伝達部材に対してストッパは安定して接触せず、伝達部材からストッパが外れやすくなってしまう。
【0013】
そこで、本解決手段では、回転制限時(回転停止時)に、ストッパと伝達部材の回転制限部とが接触することにより発生する力を利用して、伝達部材の回転制限部と接触しているストッパを伝達部材の内側の方向に向かわせるストッパ外れ抑制機構が設けられている。このため、伝達部材に対してストッパを強制的に接触させ続けることができ、回転制限時にストッパが伝達部材から外れてしまうという問題を低減させることができる。
【0014】
また、本解決手段では、ストッパは、伝達部材の回転制限部に接触する位置と伝達部材の回転制限部に接触しない位置とに移動可能であるため、ストッパが伝達部材の回転制限部に接触しない状態を作り出すことができ、伝達部材の回転を制限しない際には、ストッパが伝達部材の回転時の負荷になることがなくなる。
【0015】
解決手段2:本解決手段の遊技機は、解決手段1において、前記回転制限部は、前記所定形状としての第1形状を有する第1回転制限部と、前記第1形状とは異なる第2形状を有する第2回転制限部とを有し、前記ストッパは、前記ストッパの先端の一部に形成され、前記伝達部材の前記第1回転制限部と接触する第1突起と、前記ストッパの先端の別の一部に形成され、前記伝達部材の前記第2回転制限部と接触する第2突起とを有し、前記ストッパ外れ抑制機構は、前記ストッパの前記第1突起と前記伝達部材の前記第1回転制限部とが接触する際の第1回転制限時に、前記ストッパの前記第1突起と前記伝達部材の前記第1回転制限部とが接触することにより発生する力を利用して、前記ストッパの前記第2突起側を前記伝達部材の内側の方向に向かわせ、前記ストッパの前記第2突起と前記伝達部材の前記第2回転制限部とが接触する際の第2回転制限時に、前記ストッパの前記第2突起と前記伝達部材の前記第2回転制限部とが接触することにより発生する力を利用して、前記ストッパの前記第1突起側を前記伝達部材の内側の方向に向かわせることを特徴とする遊技機である。
【0016】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)回転制限部は、所定形状としての第1形状を有する第1回転制限部と、第1形状とは異なる第2形状を有する第2回転制限部とを有する。
(2)ストッパは、ストッパの先端の一部に形成され、伝達部材の第1回転制限部と接触する第1突起と、ストッパの先端の別の一部に形成され、伝達部材の第2回転制限部と接触する第2突起とを有する。
【0017】
(3)ストッパ外れ抑制機構は、ストッパの第1突起と伝達部材の第1回転制限部とが接触する際の第1回転制限時に、ストッパの第1突起と伝達部材の第1回転制限部とが接触することにより発生する力を利用して、ストッパの第2突起側を伝達部材の内側の方向に向かわせる。
また、ストッパ外れ抑制機構は、ストッパの第2突起と伝達部材の第2回転制限部とが接触する際の第2回転制限時に、ストッパの第2突起と伝達部材の第2回転制限部とが接触することにより発生する力を利用して、ストッパの第1突起側を伝達部材の内側の方向に向かわせる。
【0018】
本解決手段によれば、第1回転制限部でストッパの第1突起を受け入れることにより、ストッパの第2突起側を伝達部材の内側の方向に向かわせることができる。また、第2回転制限部でストッパの第2突起を受け入れることにより、ストッパの第1突起側を伝達部材の内側の方向に向かわせることができる。このように、本解決手段では、2つの突起と2つの回転制限部を用いた簡易的な機構でストッパが外れてしまうことを抑制することができる。また、2つの突起は1つのストッパの先端の別の箇所に配置されているため、ストッパの部品点数を減少させることができる。
【0019】
解決手段3:本解決手段の遊技機は、解決手段2において、前記第1突起は、前記ストッパの長手方向を延長した延長線と平行な前記伝達部材の中心を通る水平線から離れた位置に配置されており、前記第2突起は、前記第1突起よりも前記水平線に近い位置に配置されており、前記第1回転制限部の前記第1形状は、前記第1突起と接触した状態で、前記ストッパが移動可能となる形状であり、前記第2回転制限部の前記第2形状は、前記第2突起と接触した状態で、前記ストッパが移動不能となる形状であることを特徴とする遊技機である。
【0020】
本解決手段の遊技機には、以下の特徴が追加される。
(1)第1突起は、ストッパの長手方向を延長した延長線と平行な伝達部材の中心を通る水平線から離れた位置に配置されている。
(2)第2突起は、第1突起よりも水平線に近い位置に配置されている。
【0021】
(3)第1回転制限部の第1形状は、第1突起と接触した状態で、ストッパが移動可能となる形状である。すなわち、ストッパは、第1突起と第1回転制限部とが接触している状態で移動可能である。このため、第1突起と第1回転制限部とは、簡易的に結合している状態であり、簡単に外れる状態である。
【0022】
(4)第2回転制限部の第2形状は、第2突起と接触した状態で、ストッパが移動不能となる形状である。すなわち、ストッパは、第2突起と第2回転制限部とが接触している状態で移動不能である。このため、第2突起と第2回転制限部とは、強固に結合している状態であり、簡単に外れる状態ではない。
【0023】
本解決手段では、第1突起と第1回転制限部との結合関係と比較して、第2突起と第2回転制限部との結合関係の方が強い。
そして、第2突起は、第1突起よりも水平線に近い位置に配置されていることから、第2回転制限部が第2突起に強く衝突すると、第2突起が水平線から離れる方向に力を受けるため、これにより第1突起及び第2突起を先端に有するストッパが伝達部材から外れる方向に強く力が作用する。したがって、第2突起及び第2回転制限部に関しては、ストッパが伝達部材から外れ難くするためのさらなる対策が必要である。
【0024】
一方、第1突起は、第2突起よりも水平線に遠い位置に配置されていることから、第1回転制限部が第1突起に強く衝突すると、第1突起が水平線に近づく方向に力を受けるため、これにより第1突起及び第2突起を先端に有するストッパが伝達部材に向かう方向に強く力が作用する。したがって、第1突起及び第1回転制限部に関しては、ストッパが伝達部材から外れ難くするためのさらなる対策は不用である。
【0025】
そして、本解決手段によれば、ストッパが外れる方向に強く力が作用する第2突起及び第2回転制限部に関しては、第1突起及び第1回転制限部よりも結合関係を強化しているため、ストッパが伝達部材から外れることを抑制することができる。
【0026】
解決手段4:本解決手段の遊技機は、解決手段1から3のいずれかにおいて、前記伝達部材は、複数の伝達部材により構成されており、前記ストッパ及び前記ストッパ外れ抑制機構は、前記複数の伝達部材のうち前記可動体に最も近い伝達部材に配置されていることを特徴とする遊技機である。
【0027】
本解決手段によれば、ストッパ及びストッパ外れ抑制機構は、複数の伝達部材のうち可動体に最も近い伝達部材に配置されているため、最後の伝達部材は可動体の動きに直結していることから、途中の伝達部材にストッパ及びストッパ外れ抑制機構を設置した場合と比較して、可動体の停止位置に関する累積誤差を小さくすることができる。
【0028】
解決手段5:本解決手段の遊技機は、解決手段1から4のいずれかにおいて、前記ストッパは、前記回転制限時よりも前に前記伝達部材の前記回転制限部の一部に接触し、前記伝達部材の前記回転制限部に接触した状態で前記回転制限時を迎えることを特徴とする遊技機である。
【0029】
本解決手段によれば、ストッパは、回転制限時よりも前に伝達部材の回転制限部の一部に接触し、伝達部材の回転制限部に接触した状態で回転制限時を迎えるため、回転制限時を待ち構えておくことができる。このため、回転制限時を狙ってストッパが伝達部材に接触する方式と比較して、伝達部材の停止の確実性を向上させることができる。また、本解決手段では、前もってストッパを可動させることができるので、ストッパを可動させるタイミングに制約が少なくなり、制御を行いやすくすることができる。
【0030】
他の解決手段:本解決手段の遊技機は、上記のいずれかの解決手段において、前記可動体は、少なくとも所定の抽選の結果を表示するメイン表示器とは別のサブ表示器を含んでいることを特徴とする遊技機である。
【0031】
本解決手段によれば、可動体は、少なくとも所定の抽選の結果を表示するメイン表示器とは別のサブ表示器を含んでいるため、回転させたサブ表示器を任意の位置でしっかりと停止させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ストッパの不具合を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】パチンコ機の正面図である。
図2】パチンコ機の背面図である。
図3】遊技盤ユニットを単独で示す正面図である。
図4】サブ液晶可動役物ユニット700が出現した状態における遊技盤ユニットの正面図である。
図5】遊技盤ユニットの一部を拡大して示す正面図である。
図6】サブ液晶可動役物ユニット700を示す斜視図である。
図7】サブ液晶可動役物ユニット700を示す分解斜視図である。
図8】サブ液晶ユニット730を示す分解斜視図である。
図9】サブ液晶可動役物ユニット700を斜め後方から見た斜視図である。
図10】サブ液晶可動役物ユニット700を斜め後方から見た斜視図である。
図11】回転ギア716を示す図である。
図12】回転ギア716及びストッパ900の第1動作例を示す図である。
図13】回転ギア716及びストッパ900の第2動作例を示す図である。
図14】第1回転制限時に第1突起910及び第1回転制限溝m1に作用する力を概念的に示す図である。
図15】第2回転制限時に第2突起920及び第2回転制限溝m2に作用する力を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照しつつパチンコ機1の全体構成について説明する。
【0035】
〔全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
【0036】
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
【0037】
一体扉ユニット4は、その下部位置に受皿ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0038】
図1中の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
【0039】
また、受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0040】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤ユニット8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、一体扉ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
【0041】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で上記の内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(盤面、遊技盤)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0042】
受け皿ユニット6は、全体的に一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また、受け皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受け皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
【0043】
受け皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、CRユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
【0044】
また、受け皿ユニット6の上面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きボタン6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きボタン6dを例えば押し込み操作することで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また、遊技者は、下皿球抜きレバー6eを例えば左方向へスライドさせることで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
【0045】
受け皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内(盤面、遊技盤)の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0046】
〔枠前面の構成〕
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素として左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうち左トップレンズユニット47にはガラス枠トップランプ46及び左側のガラス枠装飾ランプ48が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のガラス枠装飾ランプ50が組み込まれている。その他にも一体扉ユニット4には、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49の下方にそれぞれ連なるようにして左右のガラス枠装飾ランプ52が設置されており、これらガラス枠装飾ランプ52は、一体扉ユニット4の左右縁部から受皿ユニット6の前面部にまで回り込むようにして延びている。一体扉ユニット4においてガラス枠トップランプ46や左右のガラス枠装飾ランプ48,50,52等は、ガラスユニットを取り巻くようにして配置されている。
【0047】
上述した各種ランプ46,48,50,52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、一体扉ユニット4の上部において、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49にはそれぞれガラス枠上スピーカ54,55が組み込まれている。一方、外枠ユニット2の左下位置には外枠スピーカ56が組み込まれている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0048】
また、受け皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45が設置されている。演出切替ボタン45は、例えば押し込み式の円形状ボタンとその周囲に回転式のジョグリング(ジョグダイアル)を組み合わせた形態である。遊技者は、この演出切替ボタン45を押し込み操作又は回転操作することで演出内容(例えばメイン液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
【0049】
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。
【0050】
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aは内枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受け皿ユニット6に向けて案内する。
【0051】
また、上記の外部端子板160は、パチンコ機1を外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続するためのものであり、この外部端子板160からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)が外部の電子機器に向けて出力されるものとなっている。
【0052】
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。また、アース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
【0053】
〔盤面の構成〕
図3は、遊技盤ユニット8を単独で示す正面図である。遊技盤ユニット8は、ベースとなる遊技板8bを備えており、この遊技板8bの前面側に遊技領域8aが形成されている。遊技板8bは、例えば透明樹脂板で構成されており、遊技盤ユニット8が内枠アセンブリ7に固定された状態で、遊技板8bの前面はガラスユニットに平行となる。遊技板8bの前面には、略円形状に設置された発射レール(参照符号なし)の内側に上記の遊技領域8aが形成されている。
【0054】
遊技領域8a内には、その中央位置に比較的大型の演出ユニット40が配置されており、この演出ユニット40を中心として遊技領域8aが左側部分、右側部分及び下部分に大きく分かれている。遊技領域8aの左側部分は、通常遊技状態(低確率非時間短縮状態)で使用される第1遊技領域(左打ち領域)であり、遊技領域8aの右側部分は、有利遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態、低確率時間短縮状態、高確率時間短縮状態等)で使用される第2遊技領域(右打ち領域、特定の領域)である。また、遊技領域8a内には、演出ユニット40の下部周辺に始動ゲート20、普通入賞口22,24、左始動入賞口26,中・右始動入賞口28a、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30、振り分け装置入口202及び3方向振り分け装置200等が分布して配置されている。
【0055】
なお、始動ゲート20は3方向振り分け装置200内と可変始動入賞装置28の上方の2箇所に配置されているが、以降の記述において単に始動ゲート20と称する場合は、3方向振り分け装置200内に設けられた始動ゲートを指すものとする。また、始動入賞口28aについても同様に、3方向振り分け装置200内と可変始動入賞装置28の内部の2箇所に設けられているが、以降の記述において中始動入賞口28aと称する場合は、3方向振り分け装置200内に設けられた始動入賞口を、右始動入賞口28aと称する場合は可変始動入賞装置28の内部に設けられた始動入賞口を、それぞれ指すものとする。
【0056】
遊技領域8aの下部分の中央位置には3方向振り分け装置200が配置されており、この内部において、左始動入賞口26、始動ゲート20及び中始動入賞口28aが横一列に配列されている。3方向振り分け装置200の上端部には振り分け装置入口202が形成されている。遊技領域8aの右側部分に連なる下部分には、まず可変入賞装置30が配置され、その中央寄りの下方には普通入賞口24と第2の始動ゲート20(可変始動入賞装置28の上方の始動ゲート20)とが隣接し、さらに第2の始動ゲート20の下方には可変始動入賞装置28が配置されている。遊技領域8aの左側部分に連なる下部分には、普通入賞口22が配置されている。3方向の振り分け機構は、特に図示していないが、例えば3つの穴の開いた回転体や、3つの方向に傾斜した面を有する回転体、3つのルートに振り分けることができる三つ又の構造物等を用いることにより遊技球を3方向に振り分けることができる。
【0057】
遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、3方向振り分け装置200に入球したり、或は、普通入賞口22,24や、中始動入賞口28a、左始動入賞口26に入賞(入球)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は引き続き遊技領域8a内を流下するが、入賞口に入賞した遊技球は遊技板8bに形成された貫通孔を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0058】
また、遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、作動時の可変始動入賞装置28、開放動作時の可変入賞装置30(大入賞口)に入球したりする。ここで、遊技領域8aの左側領域を流下する遊技球は、主に3方向振り分け装置200に進入して左始動入賞口26に入球するか、始動ゲート20を通過するか、中始動入賞口28aに入球したりする。また、3方向振り分け装置200に進入しない遊技球は普通入賞口22に入球する可能性がある。一方、遊技領域8aの右側領域を流下する遊技球は、主に第2の始動ゲート20を通過するか、作動時の可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)に入球するか、開放動作時の可変入賞装置30(大入賞口)に入球するか、普通入賞口24に入球する可能性がある。
【0059】
ここで、本実施形態では、遊技領域8a(盤面)の構成上、振り分け装置入口202や普通入賞口22に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の左側部分の領域(左打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「左打ち」を実行する)必要がある。
【0060】
一方、第2の始動ゲート20に遊技球を通過させる場合、又は、可変始動入賞装置28や可変入賞装置30、普通入賞口24に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の右側部分の領域(右打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「右打ち」を実行する)必要がある。
【0061】
本実施形態において、上記の可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、それに伴って右始動入賞口28a(所定の入球口)への入球を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28には、一対をなす羽根型(いわゆる電チュータイプ)の開閉部材28bが設けられている。図示の状態にて、一対の開閉部材28bは、盤面に対して直立した位置(閉鎖位置)にあり、遊技球が右始動入賞口28aに入球することを不能(又は極めて困難)にしている。一方、一対の開閉部材28bが盤面に沿って左右方向に開いた(いわゆる拡開した)位置(開放位置)に移動すると、一対の開閉部材28bは上方から流下してくる遊技球を受け止め、右始動入賞口28aに遊技球を案内する。なお、可変始動入賞装置28は、単一の開閉部材がその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むように変位して、右始動入賞口28aを開放する装置であってもよいし、舌片型(ベロタイプ)の開閉部材が盤面に対して前後方向に往復動作(いわゆる突没)して右始動入賞口28aを開放する装置であってもよい。
【0062】
また可変入賞装置30は、既定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口への入球を可能にする(特別電動役物、特別入球事象発生手段)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき大入賞口への入賞は困難(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が容易な状態となり、大入賞口への入賞という事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。また、可変入賞装置30は、開閉部材が盤面の内部にスライドするタイプの装置(スライド式のアタッカ)であってもよい。
【0063】
遊技盤ユニット8には、その中央位置から右側部分にかけて上記の演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の可動装飾体500,800等を備えている。これら可動装飾体500,800等はその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。さらに可動装飾体500,800は、それぞれ固有の演出動作を行うことができる。また、演出ユニット40の内側にはメイン液晶表示器42(演出表示器)が設置されており、このメイン液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤ユニット8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。また、本実施形態のように遊技板8bが透明樹脂板(例えばアクリル板)である場合、前面側だけでなく遊技板8bの背後に配置された各種の装飾体(可動体や発光体を含む)による装飾性を付加することができる。
【0064】
演出ユニット40の内部には、演出用の可動装飾体500,800とともに駆動源(例えばモータ、ソレノイド等)や各種の動力伝達機構(歯車伝達機構、リンク機構等)が付属している。可動装飾体500,800は、メイン液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行することができる。これら可動装飾体500,800を用いた演出により、二次元の画像を用いた演出とは別の訴求力を発揮することができる。また、メイン液晶表示器42の下部にはサブ液晶可動役物ユニット700(サブ液晶ユニット730)が配置されている。
【0065】
また、演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ400が形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ400上に放出される。転動ステージ400の上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ400上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ400の中央位置には高確放出路420が、その両側には普通放出路410がそれぞれ形成されている。転動ステージ200から高確放出路420に案内された遊技球は、その真下にある3方向振り分け装置200への入口となる振り分け装置入口202に流入しやすくなる。
【0066】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、各種入賞口に入球(入賞)しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。また、普通入賞口22,24や左始動入賞口26、中始動入賞口28a、右始動入賞口28a、可変入賞装置30に入球した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0067】
図3に示されるように、可動装飾体500,800は、非作動時には格納位置に格納されてその外形の全容を視認することができない状態となる。これらは、メイン液晶表示器42による画像の表示と同期して又は単独で演出を行う際にそれぞれの可動領域内で移動して視認可能な位置まで出現する。
【0068】
また遊技盤ユニット8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34(第1図柄表示手段)、第2特別図柄表示装置35(第2図柄表示手段)、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が設けられている(普通図柄表示手段、特別図柄表示手段、抽選要素記憶手段)。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
【0069】
図4は、サブ液晶可動役物ユニット700(サブ液晶ユニット730)が出現した状態における遊技盤ユニットの正面図である。サブ液晶可動役物ユニット700は、その初期状態(非作動時の退避位置)では下側の一部がステージ400の後方に隠れる位置にあり、演出に合わせて作動することにより上昇すると全体が視認しやすくなる。サブ液晶可動役物ユニット700は、その液晶部分に演出画像を表示し或は発光し、その左右両端を支持するアーム部材の上下動に伴い上昇し、下降し、或は上昇しながら回転する等、多様に動作する。
【0070】
サブ液晶可動役物ユニット700は演出に用いられる可動体の1つであり、他の可動装飾体500,800と同様に専用の駆動源の動力伝達機構が用意されている。また、液晶を内蔵している性質上ある程度の厚みを有しており、上述のように回転動作も可能であることから、その可動領域は演出ユニット40の上下方向のみならず奥行方向にも及んでいる。
【0071】
図5は、遊技盤ユニット8の一部を拡大して示す正面図である。具体的には、第1特別図柄や第2特別図柄を含む遊技状態の表示が行われる遊技状態表示装置38が取り付けられた箇所を拡大して示している。
【0072】
先ず第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせで構成される表示態様により、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する(記憶数表示手段)。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。
【0073】
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、上記の左始動入賞口26に遊技球が流入するごとに、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、上記の中始動入賞口28a又は可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)に遊技球が流入するごとに、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化し(最大4個まで)、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化する。なお本実施形態では、第1特別図柄作動記憶ランプ34aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第1特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で左始動入賞口26に遊技球が流入しても表示態様は変化しない。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第2特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で中始動入賞口28aに遊技球が流入しても表示態様は変化しない。すなわち、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示態様により表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入賞の回数を表している。
【0074】
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ38a,38b,38c、確率変動状態表示ランプ38d、時短状態表示ランプ38e、発射位置指定ランプ38fにそれぞれ対応するLEDが含まれている。なお本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に取り付けられている。
【0075】
〔賞球数及び獲得遊技球数について〕
第1特別図柄の始動口(左始動入賞口26)の賞球数及び第2特別図柄の始動口(中・右始動入賞口)の賞球数は、それぞれ1個以上の規定数に設定されている。また、第1特別図柄の始動口と第2特別図柄の始動口とでは、賞球数を異ならせてもよい。さらに、特別図柄の当選確率や、総獲得遊技球数の期待値(初当りから時間短縮状態が終了するまでの一連の期間に得られる平均出球数)に基づいて、最低賞球数を設定してもよい。さらにまた、特別図柄の当選確率、総獲得遊技球数の期待値、大入賞口の開放回数、大入賞口の開放時間、大入賞口の最大入賞数、大入賞口の賞球数が所定の条件を満たした場合、1回の大当りによる獲得遊技球数が最大の獲得遊技球数の1/4未満となる大当りを設定してもよい。
【0076】
〔サブ液晶可動役物ユニット700〕
次に、サブ液晶可動役物ユニット700に関する構成について説明する。図6はサブ液晶可動役物ユニット700を示す斜視図であり、図7はサブ液晶可動役物ユニット700を示す分解斜視図であり、図8はサブ液晶ユニット730を示す分解斜視図である。
【0077】
図示のように、サブ液晶可動役物ユニット700は、アームユニット710、ホルダーユニット720(可動体)、サブ液晶ユニット730(表示器ユニット、可動体)から構成されている。アームユニット710を上下させることで、演出ユニット40の手前において、サブ液晶可動役物ユニット700をステージ400の後方に隠れる位置から可動装飾体800の位置まで上下動作させることができる。サブ液晶ユニット730は、少なくとも所定の抽選の結果(演出図柄等)を表示するメイン液晶表示器42とは別のサブ表示器を含んでいる。
【0078】
また、アームユニット710は、モータ712、アーム部714内のリンク部(ギア列)、回転ギア716などを備え、モータ712を駆動させることで、リンク部を通して回転ギア716を回転させ、その回転ギア716の回転により前後の軸を中心にホルダーユニット720を回転させることができる。すなわち、アームユニット710内のモータ712を駆動させることで、ホルダーユニット720に内包する形態で保持されるサブ液晶ユニット730を前後の軸(Z方向に延びる軸、遊技盤ユニットの奥行方向に延びる軸)を中心に回転動作させることができる。
【0079】
サブ液晶ユニット730は、サブ液晶前カバー740、サブ液晶部750、サブ液晶可動ユニット760(回転機構)、サブ液晶可動制限ユニット770(回転制限機構)、サブ液晶後カバー780から構成されている。サブ液晶部750、サブ液晶可動ユニット760及びサブ液晶可動制限ユニット770は、サブ液晶前カバー740とサブ液晶後カバー780に内包する形態で備えられる。画像や映像などを演出を表示する液晶パネル752(表示パネル)は、サブ液晶部750に備えられ、サブ液晶部750の前面には液晶パネル752を保護しつつ、液晶パネル752の演出を視認可能な透明な材質から構成されるサブ液晶前カバー740が取り付けられている。
【0080】
サブ液晶部750の背面には、左側にサブ液晶可動ユニット760が備えられている。サブ液晶可動ユニット760は駆動源と複数種類のギアから構成され、この駆動源を駆動させることで左右方向の回転軸(X方向に延びる軸、遊技盤ユニットの左右方向(水平方向)に延びる軸)を中心に回転することができる。具体的には、ホルダーユニット720にインサートピン761が固定した状態で接続され、そのインサートピン761に固定ギア762が固定した状態で接続されることで、そのインサートピン761を回転軸としてサブ液晶可動ユニット760が回転動作する。すなわち、サブ液晶可動ユニット760の駆動源を駆動することで、ホルダーユニット720に内包する形態で保持されるサブ液晶ユニット730が左右方向の回転軸を中心に回転することとなる。
【0081】
また、サブ液晶部750の背面の右側にサブ液晶可動制限ユニット770が備えられている。サブ液晶可動制限ユニット770は、複数のギアと軸受け部材(固定ギア)などから構成され、サブ液晶可動ユニット760の回転に連動して軸受け部材を介して複数のギアが回転する。そして、そのギアの回転が可動限界位置まで到達するとサブ液晶可動制限ユニット770のストッパ機能が働き、サブ液晶ユニット730の回転を制限することができる。
【0082】
図9及び図10は、サブ液晶可動役物ユニット700を斜め後方から見た斜視図である。なお、図9は、アームユニット710及びホルダーユニット720に保持されているサブ液晶ユニット730が原点位置(0度)の位置にある状態を示しており、図10はアームユニット710及びホルダーユニット720に保持されているサブ液晶ユニット730が回転軸730zを中心に原点位置から90度回転した位置にある状態を示している。ここで、アームユニット710の後方側のカバーは、内部のギアの視認性を向上させるために、図示を省略している。
【0083】
アームユニット710には、サブ液晶ユニット730を回転させるための駆動源となるモータ712と、モータ712の回転に伴って回転するモータギア713(伝達部材)と、モータギア713に連結されたリンク部715(伝達部材)と、サブ液晶ユニット730に固定され、かつ、リンク部715に連結された回転ギア716(伝達部材)などが配置されている。なお、リンク部715は、複数のギアからなるギア列であり、図中ではすべてのギアに番号を付していない。
【0084】
モータギア713、リンク部715及び回転ギア716は、モータ712の動力を可動体としてのサブ液晶ユニット730に伝達するギアである。
【0085】
そして、モータ712を駆動させると、リンク部715を通して回転ギア716が回転し、その回転ギア716の回転により回転軸730zを中心にホルダーユニット720を回転させることができる。すなわち、アームユニット710内のモータ712を駆動させることで、ホルダーユニット720に保持されているサブ液晶ユニット730を回転軸730zを中心に回転させることができる。
【0086】
また、回転ギア716の側方には、回転ギア716の側面に接触するストッパ900が配置されている。
ストッパ900は、アームユニット710の内部に配置されたアーム902を介して図示しないソレノイドに連結されている。そして、ストッパ900は、図示しないソレノイドを駆動源として回転ギア716に接触する位置と回転ギア716に接触しない位置とに移動可能である。例えばソレノイドがONになると、ストッパ900は、回転ギア716に接触する位置(可動位置)に移動し、ソレノイドがOFFになると、ストッパ900は、回転ギア716に接触しない位置(退避位置)に移動する。また、ストッパ900は、回転ギア716の中心に向かわない方向で回転ギア716と接触することにより回転ギア716の回転を制限する。
【0087】
このように、本実施形態では、ストッパ900は、回転ギア716の中心に向かわない方向でギアと接触するが、このような構成としている理由は、回転ギア716が1回転したときに物理的に回転を停止するロック部材990が回転ギア716の中心に向かう位置に配置されているためであり、そのロック部材990を避けてストッパ900を配置しているからである。
【0088】
図11は、回転ギア716を示す図である。
図11中(A)に示すように、回転ギア716の表面側には、周方向に沿って歯716aが形成されている。歯716aは、リンク部715の複数の歯車のうち、回転ギア716に最も近い歯車と噛み合う。
【0089】
図11中(B)に示すように、回転ギア716の裏面側には、第1回転制限溝m1(回転制限部、第1回転制限部)と、第2回転制限溝m2(回転制限部、第2回転制限部)とが形成されている。
第1回転制限溝m1は、所定形状としての第1形状を有する溝であり、第2回転制限溝m2は、第1回転制限溝m1の第1形状とは異なる第2形状を有する溝である。なお、第1回転制限溝m1及び第2回転制限溝m2は、溝の深さや溝の長さに関する形状は概ね同一であるが、各溝の端部の形状が異なっている。
【0090】
具体的には、第1回転制限溝m1及び第2回転制限溝m2における他方の溝に近い方の端部の形状はストッパを受け入れやすくするための滑らかな傾斜形状となっており、他方の溝に遠い方の端部の形状はストッパの突起と接触するための形状となっている。
より詳細には、第1回転制限溝m1及び第2回転制限溝m2のそれぞれの溝の向かい合う側の端部の形状は、ストッパを受け入れやすくするための滑らかな傾斜形状となっており、第1回転制限溝m1及び第2回転制限溝m2のそれぞれの溝の向かい合わない側の端部の形状は、ストッパの突起と接触するための形状となっている。
【0091】
図12は、回転ギア716及びストッパ900の第1動作例を示す図である。
ストッパ900は棒状の部材であり、先端が胴体部分よりも幅広な形状となっている。
そして、ストッパ900の先端の一部には、図中の左方向に先端が尖った第1突起910が形成されており、ストッパ900の先端の別の一部には、図中の上方向に先端が尖った第2突起920が形成されている。
第1突起910と第2突起920との間は、回転ギア716の側面に接触しやすくするために、斜めの又は内側に湾曲した傾斜面となっている。また、第1突起910と第2突起920との間は、回転ギア716の周面(側面)に沿う形状となっている。
【0092】
第1突起910は、第1回転制限溝m1の回転方向に沿う後端部(図中の左端部)と接触し、第2突起920は、第2回転制限溝m2の回転方向に沿う後端部(図中の左端部)と接触する。
【0093】
ここで、本実施形態では、ストッパ900と回転ギア716とが接触する際の回転制限時に、ストッパ900と回転ギア716とが接触することにより発生する力を利用して、回転ギア716と接触しているストッパ900を回転ギア716の内側の方向に向かわせるストッパ外れ抑制機構が設けられている。ストッパ外れ抑制機構は、第1及び第2突起910,920と、第1及び第2回転制限溝m1,m2とにより構成される。
【0094】
また、ストッパ900及びストッパ外れ抑制機構は、サブ液晶ユニット730に最も近い回転ギア716に配置されている。
【0095】
さらに、第1突起910は、ストッパ900の長手方向を延長した延長線Eと平行な回転ギア716の中心を通る水平線Sから離れた位置に配置されており、第2突起920は、第1突起910よりも水平線Sに近い位置に配置されている。
【0096】
図12中(A)に示すように、サブ液晶ユニット730が原点位置(0度)の位置にある状態では、ストッパ900は退避位置にある。
【0097】
図12中(B)に示すように、回転ギア716が反時計回りに45度回転し、サブ液晶ユニット730が原点位置から45度回転した位置まで移動すると、ストッパ900は可動位置に移動する。このため、ストッパ900は、回転制限時よりも前に回転ギア716の第1回転制限溝m1の一部に接触し、回転ギア716の第1回転制限溝m1に接触した状態で回転制限時を迎える。
【0098】
図12中(C)に示すように、回転ギア716が反時計回りに90度回転し、サブ液晶ユニット730が原点位置から90度回転した位置まで移動すると、ストッパ900の第1突起910と、回転ギア716の第1回転制限溝m1の回転方向に沿う後端部(図中の左端部)が接触し、回転ギア716の回転が止まる。なお、ストッパ900が退避位置に戻ることにより、サブ液晶ユニット730は原点位置から45度を越えた位置にさらに移動することができる。
【0099】
図13は、回転ギア716及びストッパ900の第2動作例を示す図である。
【0100】
図13中(A)に示すように、回転ギア716が反時計回りに290度回転し、サブ液晶ユニット730が原点位置から290度回転した位置まで移動すると、ストッパ900は可動位置に移動する。このため、ストッパ900は、回転制限時よりも前に回転ギア716の第2回転制限溝m2の一部に接触し、回転ギア716の第2回転制限溝m2に接触した状態で回転制限時を迎える。
【0101】
図13中(B)に示すように、回転ギア716が反時計回りに290度回転したところから、回転ギア716が時計回りに20度回転すると、つまり、回転ギア716が反時計回りに270度回転したところまで戻ると、ストッパ900の第2突起920と、回転ギア716の第2回転制限溝m2の回転方向に沿う後端部(図中の右端部)が接触し、回転ギア716の回転が止まる。
【0102】
ここで、第1回転制限溝m1の形状は、第1突起910と接触した状態で、ストッパ900が移動可能となる形状を有しているが、第2回転制限溝m2は、第2突起920と接触した状態で、ストッパ900が移動不能となる形状(ストッパ900が水平方向に移動することができないカギ状の形状)を有する。このため、図13中(C)に示すように、回転ギア716の回転の制限を解除するためには、回転ギア716が反時計回りに270度回転したところから、回転ギア716を反時計回りに290度回転したところまで戻す必要がある。
【0103】
図14は、第1回転制限時に第1突起910及び第1回転制限溝m1に作用する力を概念的に示す図である。なお、図14は、図12の二点鎖線XIVの拡大図である。
【0104】
ここで、第1回転制限時とは、ストッパ900の第1突起910と回転ギア716の第1回転制限溝m1の回転方向に沿う後端部(図中の左端部)とが接触し、回転ギア716が反時計回りに90度回転した時点である。
【0105】
本実施形態のストッパ外れ抑制機構は、ストッパ900の第1突起910と回転ギア716の第1回転制限溝m1とが接触する際の第1回転制限時に、ストッパ900の第1突起910と回転ギア716の第1回転制限溝m1とが接触することにより発生する力を利用して、ストッパ900の第2突起920側を回転ギア716の内側の方向に向かわせる。
【0106】
すなわち、第1回転制限時には、第1突起910に対して第1回転制限溝m1の回転方向に沿う後端部E1が衝突する。
そうすると、ストッパ900を上方に持ち上げる力(図中、矢印Aで示す力)が作用することから、ストッパ900の第2突起920側を回転ギア716の内側の方向に向かわせる力が発生する。これにより、ストッパ900が回転ギア716から外れてしまうことを抑制することができる。
【0107】
また、第1回転制限溝m1の形状は、第1突起910と接触した状態で、ストッパ900が移動可能となる形状である。すなわち、ストッパ900は、第1突起910と第1回転制限溝m1の回転方向に沿う後端部E1とが接触している状態で移動可能である。このため、第1突起910と第1回転制限溝m1とは、水平方向(左右方向)においては簡易的に結合している状態であり、簡単に外れる状態である。このため、回転ギア716を回転させなくても、ストッパ900を退避位置に戻すことができる。
【0108】
図15は、第2回転制限時に第2突起920及び第2回転制限溝m2に作用する力を概念的に示す図である。なお、図15は、図13の二点鎖線XVの拡大図である。
【0109】
ここで、第2回転制限時とは、ストッパ900の第2突起920と回転ギア716の第2回転制限溝m2の回転方向に沿う後端部(図中の右端部)とが接触し、回転ギア716が反時計回りに270度回転した時点である。
【0110】
本実施形態のストッパ外れ抑制機構は、ストッパ900の第2突起920と回転ギア716の第2回転制限溝m2とが接触する際の第2回転制限時に、ストッパ900の第2突起920と回転ギア716の第2回転制限溝m2とが接触することにより発生する力を利用して、ストッパ900の第1突起910側を回転ギア716の内側の方向に向かわせる。
【0111】
すなわち、第2回転制限時には、第2突起920に対して第2回転制限溝m2の回転方向に沿う後端部E2が衝突する。
そうすると、ストッパ900を左側に押し込む力(図中、矢印Bで示す力)が作用することから、ストッパ900の第1突起910側を回転ギア716の内側の方向に向かわせる力が発生する。これにより、ストッパ900が回転ギア716から外れてしまうことを抑制することができる。
【0112】
また、第2回転制限溝m2の形状は、第2突起920と接触した状態で、ストッパ900が移動不能となる形状である。すなわち、ストッパ900は、第2突起920と第2回転制限溝m2の回転方向に沿う後端部E2とが接触している状態で移動不能である。このため、第2突起920と第2回転制限溝m2とは、水平方向(左右方向)において強固に結合している状態であり、簡単に外れる状態ではない。このため、ストッパ900を退避位置に戻す場合には、回転ギア716を回転させて、第2突起920と第2回転制限溝m2の回転方向に沿う後端部E2とが接触している状態を解除する必要がある。
【0113】
ここで、第2回転制限時には、第1回転制限時とは異なり、ストッパ900を下方に押し下げる力も作用することから、ストッパ900が回転ギア716から外れる方向に力が作用することもある。しかし、第2回転制限溝m2の回転方向に沿う後端部E2の形状は第2突起920を覆うカギ状の形状となっているため、ストッパ900を下方に押し下げる力をストッパ900を回転ギア716の内側の方向に向かわせる力に変換することができ、すなわち、第2回転制限溝m2の後端部E2がストッパ900の第2突起920の外から回り込んで第2突起920を内側に押し込むことにより、ストッパ900自体を左側に押し込むことができ、ストッパ900が回転ギア716から外れてしまうことを抑制することができる。
【0114】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態では、ストッパ900は、回転ギア716の中心に向かわない方向で回転ギア716と接触する。このため、回転ギア716の中心に向かう方向で回転ギア716と接触するストッパと比較して、回転制限時にストッパ900が外れやすい性質を有している。すなわち、回転ギア716の中心に向かってストッパ900が接触すれば(ロック部材990の位置にストッパ900を配置すれば)、回転ギア716に対してストッパ900は安定して接触するが、回転ギア716の中心から外れた位置に向かってストッパ900が接触すると、回転ギア716に対してストッパ900は安定して接触せず、回転ギア716からストッパ900が外れやすくなってしまう。そこで、本実施形態では、回転制限時に、ストッパ900の第1及び第2突起910,920と回転ギア716の第1及び第2回転制限溝m1,m2とが接触することにより発生する力を利用して、回転ギア716の第1及び第2回転制限溝m1,m2と接触しているストッパ900を回転ギア716の内側の方向に向かわせるストッパ外れ抑制機構が設けられている。このため、回転ギア716に対してストッパ900を強制的に接触させ続けることができ、回転制限時にストッパ900が回転ギア716から外れてしまうという問題を低減させることができる。
【0115】
(2)本実施形態では、ストッパ900は、回転ギア716の第1及び第2回転制限溝m1,m2に接触する位置と回転ギア716の第1及び第2回転制限溝m1,m2に接触しない位置とに移動可能であるため、ストッパ900が回転ギア716の第1及び第2回転制限溝m1,m2に接触しない状態を作り出すことができ、回転ギア716の回転を制限しない際には、ストッパ900が回転ギア716の回転時の負荷になることがなくなる。
【0116】
(3)本実施形態によれば、第1回転制限溝m1でストッパ900の第1突起910を受け入れることにより、ストッパ900の第2突起920側を回転ギア716の内側の方向に向かわせることができる。また、第2回転制限溝m2でストッパ900の第2突起920を受け入れることにより、ストッパ900の第1突起910側を回転ギア716の内側の方向に向かわせることができる。このように、本実施形態では、2つの突起910,920と2つの溝m1,m2を用いた簡易的な機構でストッパ900が外れてしまうことを抑制することができる。また、2つの突起910,920は1つのストッパ900の先端の別の箇所に配置されているため、ストッパ900の部品点数を減少させることができる。
【0117】
(4)本実施形態では、水平方向(左右方向)に関しては、第1突起910と第1回転制限溝m1との結合関係と比較して、第2突起920と第2回転制限溝m2との結合関係の方が強い。そして、第2突起920は、第1突起910よりも水平線Sに近い位置に配置されていることから、第2回転制限溝m2が第2突起920に強く衝突すると、第2突起920が水平線Sから離れる方向に力を受けるため、これにより第1突起910及び第2突起920を先端に有するストッパ900が回転ギア716から外れる方向に強く力が作用する。そして、本実施形態では、ストッパ900が外れる方向に強く力が作用する第2突起920及び第2回転制限溝m2に関しては、第1突起910及び第1回転制限溝m1よりも水平方向(左右方向)に関する結合関係を強化しているため、ストッパ900が回転ギア716から外れることを抑制することができる。
【0118】
(5)本実施形態によれば、ストッパ900及びストッパ外れ抑制機構は、複数のギアのうち可動体に最も近い回転ギア716に配置されているため、最後のギアは可動体の動きに直結していることから、途中のギアにストッパ900及びストッパ外れ抑制機構を設置した場合と比較して、サブ液晶ユニット730の停止位置に関する累積誤差を小さくすることができる。
【0119】
(6)本実施形態によれば、ストッパ900は、回転制限時よりも前に回転ギア716の第1及び第2回転制限溝m1,m2の一部に接触し、回転ギア716の第1及び第2回転制限溝m1,m2に接触した状態で回転制限時を迎えるため、回転制限時を待ち構えておくことができる。このため、回転制限時を狙ってストッパ900が回転ギア716に接触する方式と比較して、回転ギア716の停止の確実性を向上させることができる。また、本実施形態では、前もってストッパ900を可動させることができるので、ストッパ900を可動させるタイミングに制約が少なくなり、制御を行いやすくすることができる。
【0120】
(7)本実施形態によれば、サブ液晶ユニット730は、少なくとも所定の抽選の結果を表示するメイン液晶表示器42とは別のサブ液晶部750を含んでいるため、回転させたサブ液晶部750を任意の位置(例えば、原点位置から90度及び270度回転した位置)でしっかりと停止させることができる。
【0121】
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態で挙げた演出の態様は例示であり、上述した演出の態様に限定されるものではない。また、パチンコ機1の構造や盤面構成、具体的な数値等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。
【0122】
上述した実施形態では、回転させたサブ液晶ユニット730を原点位置から90度及び270度回転した位置で停止させる例で説明したが、回転させたサブ液晶部750を原点位置から90度又は270度回転した位置で停止させることにしてもよい。
例えばサブ液晶部750を原点位置から90度回転させた位置だけで停止させる場合は、ストッパ900に第1突起910を形成し、回転ギア716に第1回転制限溝m1を形成すればよい。また、例えばサブ液晶部750を原点位置から270度回転させた位置だけで停止させる場合は、ストッパ900に第2突起920を形成し、回転ギア716に第1回転制限溝m2を形成すればよい。すなわち、ストッパに形成する突起の数と回転制限溝の数とは停止させたい状況に応じて適宜増減させることができる。
【0123】
上述した実施形態では、可動体は、サブ液晶ユニット730等の例で説明したが、可動体としてその他の表示器(メイン液晶表示器、ドット表示器、7セグ表示器等)を用いてもよく、画像を表示しない構造物や役物等を可動体としてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 パチンコ機
8 遊技盤ユニット
8a 遊技領域
20 始動ゲート
28 可変始動入賞装置
33 普通図柄表示装置
33a 普通図柄作動記憶ランプ
34 第1特別図柄表示装置
35 第2特別図柄表示装置
34a 第1特別図柄作動記憶ランプ
35a 第2特別図柄作動記憶ランプ
38 遊技状態表示装置
42 メイン液晶表示器
45 演出切替ボタン
700 サブ液晶可動役物ユニット
730 サブ液晶ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15