(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合わせたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置であって、
前記各チャンネルに対応した前記軸方向の情報を入力する入力手段と、
前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する探傷手段と、
前記探傷手段により測定された前記起電力の測定値を、前記軸方向を同じくする複数のデータ群に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された各データ群に対し、前記軸方向による感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理する演算処理手段と、
前記演算処理手段により演算処理された前記各データ群の演算結果を前記測定位置に対応するように再配列する再配列手段と、
前記再配列手段により再配列された前記演算結果を前記測定位置に対応付けて表示する表示手段とを備えていることを特徴とする渦電流探傷装置。
入力手段における軸方向の情報の入力が、個々のチャンネルを指定して行われるか、または規則性に基づき複数のチャンネルを一括して行われるかのいずれかである請求項1に記載の渦電流探傷装置。
一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合わせたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置であって、
前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する探傷手段と、
前記探傷手段により測定された前記起電力の測定値を、前記軸方向による感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理する演算処理手段と、
前記演算処理手段により演算処理された演算結果を、前記測定位置に対応付けて前記演算結果に対応して色調表示または階調表示する表示手段とを備えていることを特徴とする渦電流探傷装置。
一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合せたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置を用いて探傷する渦電流探傷方法であって、
前記各チャンネルに対応した前記軸方向の情報を入力するステップと、
前記マルチコイルプローブを用いた被検体上の走査により前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定するステップと、
前記起電力の測定値を前記軸方向を同じくする複数のデータ群に分割するステップと、
分割された前記データ群に対し、前記軸方向の感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理をするステップと、
前記演算処理された前記各データ群の演算結果を前記測定位置に対応するように再配列するステップと、
再配列された前記演算結果を前記測定位置に対応付けて表示するステップとを含むことを特徴とする渦電流探傷方法。
一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合せたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置を用いて探傷する渦電流探傷方法であって、
前記マルチコイルプローブを用いた被検体上の走査により前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定するステップと、
前記起電力の測定値を、前記軸方向の感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理をするステップと、
前記演算処理された演算結果を、前記測定位置に対応付けて前記演算結果に対応して表示するステップとを含むことを特徴とする渦電流探傷方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来の渦電流探傷装置を用いた場合、例えば
図12に示すように、探傷結果として得られる画像において、隣り合うチャンネル同士で縞状のノイズを生じる場合がある。これは、チャンネル軸の方向に依存する渦電流検出の感度特性に起因するものであり、同一の欠陥を測定する場合であっても、軸方向が互いに異なる隣り合うチャンネル同士で感度特性に相異を生じ、結果として縞状のノイズが生じてしまうためであると考えられる。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、探傷結果として得られる画像において、縞状のノイズを十分に低減可能な渦電流探傷装置および渦電流探傷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合わせたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置であって、
前記各チャンネルに対応した前記軸方向の情報を入力する入力手段と、
前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する探傷手段と、
前記探傷手段により測定された前記起電力の測定値を、前記軸方向を同じくする複数のデータ群に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された各データ群に対し、前記軸方向による感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理する演算処理手段と、
前記演算処理手段により演算処理された前記各データ群の演算結果を前記測定位置に対応するように再配列する再配列手段と、
前記再配列手段により再配列された前記演算結果を前記測定位置に対応付けて表示する表示手段とを備えていることを特徴とする渦電流探傷装置、
(2)入力手段における軸方向の情報の入力が、個々のチャンネルを指定して行われるか、または規則性に基づき複数のチャンネルを一括して行われるかのいずれかである前記(1)に記載の渦電流探傷装置、
(3)探傷手段におけるチャンネルの切り替えが、マルチプレクサにより行われる前記(1)または前記(2)に記載の渦電流探傷装置、
(4)演算処理手段における演算処理が、デジタルフィルタによる処理である前記(1)から前記(3)のいずれか1項に記載の渦電流探傷装置、
(5)再配列手段において再配列される配列が、二次元配列である前記(1)から前記(4)のいずれか1項に記載の渦電流探傷装置、
(6)表示手段における演算結果の表示が、前記演算結果に対応した色調表示または階調表示である前記(1)から前記(5)のいずれか1項に記載の渦電流探傷装置、
(7)一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合わせたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置であって、
前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する探傷手段と、
前記探傷手段により測定された前記起電力の測定値を、前記軸方向による感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理する演算処理手段と、
前記演算処理手段により演算処理された演算結果を、前記測定位置に対応付けて前記演算結果に対応して色調表示または階調表示する表示手段とを備えていることを特徴とする渦電流探傷装置、
(8)一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合せたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置を用いて探傷する渦電流探傷方法であって、
前記各チャンネルに対応した前記軸方向の情報を入力するステップと、
前記マルチコイルプローブを用いた被検体上の走査により前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定するステップと、
前記起電力の測定値を前記軸方向を同じくする複数のデータ群に分割するステップと、
分割された前記データ群に対し、前記軸方向の感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理をするステップと、
前記演算処理された前記各データ群の演算結果を前記測定位置に対応するように再配列するステップと、
再配列された前記演算結果を前記測定位置に対応付けて表示するステップとを含むことを特徴とする渦電流探傷方法、および
(9)一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合せたチャンネルを複数有し、前記チャンネルのうちの少なくとも一部において、前記励磁コイルの中心部と前記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ前記軸方向と前記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置を用いて探傷する渦電流探傷方法であって、
前記マルチコイルプローブを用いた被検体上の走査により前記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定するステップと、
前記起電力の測定値を、前記軸方向の感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理をするステップと、
前記演算処理された演算結果を、前記測定位置に対応付けて前記演算結果に対応して表示するステップとを含むことを特徴とする渦電流探傷方法
に関する。
【0009】
なお、本明細書において、「励磁コイル」とは被検体中に渦電流を発生させるための高周波発生用のコイルを意味し、「検出コイル」とは上記励磁コイルにより発生した渦電流を測定するためのコイルを意味する。また、本明細書において、「チャンネル」とは一対の励磁コイルと検出コイルとの組合せからなる測定範囲を意味し、「チャンネル軸」とは上記励磁コイルの中心部と上記検出コイルの中心部とを通るチャンネルの軸を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、探傷結果として得られる画像において、縞状のノイズを十分に低減可能な渦電流探傷装置および渦電流探傷方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<渦電流探傷装置>
本発明の渦電流探傷装置は、一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合わせたチャンネルを複数有し、上記チャンネルのうちの少なくとも一部において、上記励磁コイルの中心部と上記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ上記軸方向と上記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置であって、上記各チャンネルに対応した上記軸方向の情報を入力する入力手段と、上記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する探傷手段と、上記探傷手段により測定された上記起電力の測定値を、上記軸方向を同じくする複数のデータ群に分割する分割手段と、上記分割手段により分割された各データ群に対し、上記軸方向による感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理する演算処理手段と、上記演算処理手段により演算処理された上記各データ群の演算結果を上記測定位置に対応するように再配列する再配列手段と、上記再配列手段により再配列された上記演算結果を上記測定位置に対応付けて表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
このように、本発明の渦電流探傷装置は、上記分割手段、演算処理手段および再配列手段を備えているので、探傷結果として得られる画像において、縞状のノイズを十分に低減することができ、その結果、傷等の欠陥を確実に探知することができる。
【0014】
また、本発明は、一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合わせたチャンネルを複数有し、上記チャンネルのうちの少なくとも一部において、上記励磁コイルの中心部と上記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ上記軸方向と上記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置であって、上記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する探傷手段と、上記探傷手段により測定された上記起電力の測定値を、上記軸方向による感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理する演算処理手段と、上記演算処理手段により演算処理された演算結果を、上記測定位置に対応付けて上記演算結果に対応して色調表示または階調表示する表示手段とを備えていることを特徴とする渦電流探傷装置を含む。
【0015】
このように、本発明の渦電流探傷装置は、上記演算処理手段を備えているので、探傷結果として得られる画像において、縞状のノイズを十分に低減することができ、その結果、傷等の欠陥を確実に探知することができる。
【0016】
以下、当該渦電流探傷装置の第1および第2の実施形態について
図1〜
図11を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の渦電流探傷装置の第1の実施形態を示す概略ブロック図である。当該渦電流探傷装置1は、
図1に示すように、概略的に、探傷手段A1と、入力手段A2と、分割手段A3と、演算処理手段A4と、再配列手段A5と、表示手段A6とにより構成されている。
【0018】
探傷手段A1は、チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する手段である。この探傷手段A1は、
図1に示すように、マルチコイルプローブ110と、マルチプレクサ120と、マルチ探傷器130と、移動制御機構140とにより構成されている。
【0019】
マルチコイルプローブ110は、一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合わせたチャンネルを複数有し、上記チャンネルのうちの少なくとも一部において、上記励磁コイルの中心部と上記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ上記軸方向と上記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されている。具体的には、第1の実施形態では、
図2(a)および
図3(a)に示すように、可撓性を有する基板111上においてA列およびB列の二列で51個のコイル112(A列:26個、B列:25個)が千鳥状に配設されている。ここで、一対の励磁コイルおよび検出コイルは、後述のマルチプレクサ120を用いて複数のコイルの中から適宜選択されるものであり、例えば、
図2(b)および
図3(b)に示すように励磁コイルEおよび検出コイルDを選択することができる。また、走査方向に対して斜めに交差したチャンネル軸の軸方向の交差角は、
図5に示すように、+γおよび−γの二つの設定である。
【0020】
このように、コイル112を千鳥状に配設することで、隣り合うチャンネル軸の軸方向を走査方向に対して斜め二方向に配置させることができ、傷の向きに対して検知能力が変化するのを抑制することができる。
【0021】
マルチプレクサ120は、探傷手段A1におけるチャンネルの切り替えを行う。具体的には、マルチプレクサ120は、上記複数のコイル112の中から2個のコイル112を選び出し、選ばれた2個のコイルのうちの一方を励磁コイルE、他方を検出コイルDとして機能させ、これら一対の励磁コイルEと検出コイルDとの組合せからなる測定範囲(チャンネル、図面では「ch」とも表記し、それぞれのチャンネルを区別するために、番号を付してチャンネル1(1ch)などともいう)を電子的に順次切り替える。このようにマルチプレクサ120を用いることで、励磁コイルEと検出コイルDとを容易に割り当てることができると共に、チャンネルを容易に切り替えることができる。
【0022】
ここで、マルチコイルプローブ110の走査方向に対して直交する方向に並んだコイル112の中から一対の励磁コイルEと検出コイルDとの組合せを選択する態様を第1モード、マルチコイルプローブ110の走査方向に対して斜め水平方向に並んだコイル112の中から一対の励磁コイルEと検出コイルDとの組合せを選択する態様を第2モードとする。
【0023】
上記第1モードは、
図2(a)に示すように、例えば、A列1番目のコイル112(紙面上端のコイルを1番目のコイルとし、紙面下方に向かって2番目のコイル、3番目のコイルなどという。以下同じ)を励磁コイルE、A列3番目のコイルを検出コイルDとして選択したチャンネル1(1ch)と、A列2番目のコイルを励磁コイルE、A列4番目のコイルを検出コイルDとして選択したチャンネル2(2ch)と、以下同様にして選択したチャンネル3(3ch)〜チャンネル24(24ch)とにより構成されている。
【0024】
一方、上記第2モードは、
図3(a)に示すように、例えば、A列2番目のコイルを励磁コイルE、B列2番目のコイルを検出コイルDとして選択したチャンネル25(25ch)と、A列3番目のコイルを励磁コイルE、B列2番目のコイルを検出コイルDとして選択したチャンネル26(26ch)と、以下同様にして選択したチャンネル27(27ch)〜チャンネル72(72ch)とにより構成されている。
【0025】
なお、第1モードのチャンネル1(1ch)〜チャンネル24(24ch)は、主としてマルチコイルプローブ110の走査方向に対して直交する方向の欠陥探知を対象とし、第2モードのチャンネル25(25ch)〜チャンネル72(72ch)は、主としてマルチコイルプローブ110の走査方向と同じ方向の欠陥探知を対象とする。
【0026】
したがって、マルチコイルプローブ110を被検体sの表面(平面や曲面などの様々な面)に沿って1回走査(
図2(a)および
図3(a)に矢示する方向への走査)することで、マルチコイルプローブ110のチャンネル1〜72により、あらゆる方向に配向した欠陥に対して探傷することができる。
【0027】
マルチ探傷器130は、選択されたチャンネルの検出コイルで測定された起電力の測定値を入力し、上記起電力の測定値の中から探傷信号を取得し、A/D変換器を介してデジタル信号として出力する。マルチ探傷器130は、一般的な渦電流探傷器と同様に、上記起電力の測定値と所定の基準電圧とを比較し、上記測定値の中から上記基準電圧と同じ位相の同相成分の信号と、位相が90度遅れた異相成分の信号とを抽出する機能を有している。これら同相成分および異相成分の信号は、マルチプレクサ120を用いたチャンネルの順次切替えにより、一定の周期で後述するパソコン150に出力される。
【0028】
移動制御機構140は、マルチコイルプローブ110を走査する機構である。移動制御機構140は、
図4に示すように、概略的に、回転ステージ141と、走行アーム142と、走行レール143とにより構成されている。
【0029】
回転ステージ141は、スポンジなどの弾性体146を介してマルチコイルプローブ110を保持すると共に、マルチコイルプローブ110の走査方向(
図4中に矢示)に対する角度を調整する。通常マルチコイルプローブ110は、回転ステージ141によりコイル112の並び方向(長手方向)が走査方向に対して直交するように調整されている。
【0030】
走査アーム142は、回転ステージ141を保持すると共に、走査方向に沿ってマルチコイルプローブ110を走査する。走査アーム142は、伸縮可能な直線状のステージを連結してL字状に組み上げた治具であり、マルチコイルプローブ110を垂直方向および水平方向に移動可能となっている。この走査アーム142を操作することで、マルチコイルプローブ110を被検体sの測定位置に合わせることができる。
【0031】
走査アーム142にはマルチコイルプローブ110の水平方向の位置情報を出力するエンコーダ144が取り付けられており、このエンコーダ144からの上記水平方向の位置情報と、回転ステージ141の角度情報と、マルチコイルプローブ110のチャンネル情報とを用いて被検体s上の測定位置の情報を求めることで、この測定位置の情報と上記起電力の測定値とを対応付けることができる。なお、エンコーダ144からの情報に代えて、走査速度と走査時間との関係から算出した水平方向の位置情報を用いたり、走査速度に基づき走査時間を水平方向の位置情報の代わりに用いてもよい。
【0032】
走査レール143は、走査アーム142を摺動自在に支持する。この走査レール143は、被検体sを載置する台座145上に固定されている。この走査レール143上を走査アーム142が進退することで、被検体s上の測定位置を調整することができる。
【0033】
入力手段A2は、各チャンネルに対応した軸方向の情報を入力する手段である。この入力手段A2によれば、軸方向による感度を補正するための演算子を入力することもできる。入力手段A2を構成する入力機器160としては、例えば、マウス、キーボード等を採用することができる。
【0034】
ここで、入力手段A2で入力されるチャンネル軸の軸方向について詳述する。上記軸方向としては、第1モードに係る軸方向と、第2モードに係る軸方向とに大別される。これらのモードのうち、縞状のノイズを低減するためには、チャンネルの順番に従って交互に切り替わる第2モードに係る軸方向の指定が重要となる。これは、チャンネル軸の軸方向の角度により渦電流検出の感度特性が異なるためである。
【0035】
具体的には、
図5に示すように、一対の励磁コイル1121と検出コイル1122との組合せからなる測定範囲をチャンネル25、一対の励磁コイル1123と検出コイル1122との組合せからなる測定範囲をチャンネル26とする場合、チャンネル25の軸方向は走査方向に対して角度−γを持ち、チャンネル26の軸方向は走査方向に対して角度+γを持つ。同様にして、奇数番目のチャンネルの軸方向は走査方向に対して角度−γを持ち、偶数番目のチャンネルの軸方向は走査方向に対して角度+γを持つ。そのため、軸方向の角度によって異なる渦電流検出の感度特性を補正する目的で、奇数番目のチャンネルと偶数番目のチャンネルとを区別するように入力する。
【0036】
なお、入力手段A2における軸方向の情報の入力は、個々のチャンネルを指定して行われるか、または規則性に基づき複数のチャンネルを一括して行われるかのいずれかであることが好ましい。このような構成を適用する具体例としては、例えば、チャンネル軸の軸方向に規則性がないときに個々のチャンネルを指定して行う入力、奇数番目のチャンネル軸の軸方向(A方向)が全て同一方向であり、偶数番目のチャンネル軸の軸方向(A方向と異なるB方向)が全て同一方向であるようなときに、奇数番目であるか偶数番目であるかという規則性に基づき奇数番目のチャンネルと偶数番目のチャンネルとをそれぞれ一括して行う入力等が挙げられる。これにより、各チャンネルの軸方向の情報を効率良く入力することができる。
【0037】
分割手段A3は、探傷手段A1により測定された起電力の測定値を、軸方向を同じくする複数のデータ群に分割する。分割手段A3は、
図6に示すように、概略的に、探傷データ記録部151と、チャンネル記録部152と、データ分割処理部153と、データ分割記録部154とにより構成されている。
【0038】
探傷データ記録部151は、上記探傷手段A1で測定され測定位置に対応して並んだ起電力の測定値を記録する。ここで、
図7は、
図6の探傷データ記録部151に格納された起電力測定値配列の一例を示す図である。起電力の測定値は、測定位置(チャンネルと走査方向に走査した距離とで特定される位置)に関連づけられ、数値行列として記録されている。
【0039】
チャンネル記録部152は、上述した入力手段A2の入力機器160により入力されたチャンネルを記録する。データ分割処理部153は、入力手段A2で指定されたチャンネルごとに探傷データ記録部151に記録された測定値を分割する。ここで、
図8は、
図7の起電力測定値の配列を分割した各データ群の配列の一例であって、
図8(a)は奇数番目のチャンネルのデータ群の配列、
図8(b)は偶数番目のチャンネルのデータ群の配列をそれぞれ示している。データ分割記録部154は、起電力の測定値をデータ群ごとに分けて記録する。
【0040】
なお、データ群における起電力の測定値は、上述した
図8(a)、(b)に示すように、測定位置に対応して配列されていることが好ましい。これにより、測定位置と起電力の測定値とを容易かつ確実に対応付けることができる。
【0041】
演算処理手段A4は、分割手段A3により分割された各データ群に対し、軸方向による感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理する。演算処理手段A4は、概略的に、演算子記録部155と、フィルタ演算部156と、演算データ記録部157とにより構成されている。
【0042】
演算子記録部155は、入力手段A2により入力された演算子を記録する。フィルタ演算部156は、演算子記録部155に記録された演算子を用い、データ分割記録部154に記録された各データ群に対して軸方向による感度を補正するための演算処理を行う。演算データ記録部157は、フィルタ演算部156で処理された演算結果を記録する。
【0043】
ここで、フィルタ演算部156で用いる演算子としては、例えば、下記式(1)で表される先鋭化フィルタ(欠陥の輪郭を強調するフィルタ)としての行列演算子を例示することができる。この演算子は、データ分割記録部154に記録された各データ群と上記演算子の積和を取ることで、その値を中央値に置き換える処理を行う。
【0045】
なお、演算処理手段A4における演算処理は、デジタルフィルタによる処理であることが好ましい。本発明においては、例えば、上記先鋭化フィルタとして機能するデジタルフィルタを用いることができる。このように上記演算処理がデジタルフィルタによる処理であることで、所望の演算(各測定位置における欠陥を強調する演算)を容易に行うことができ、被検体s中の欠陥を確実に探知することができる。
【0046】
再配列手段A5は、演算処理手段A4により演算処理された各データ群の演算結果を測定位置に対応するように再配列する。再配列手段A5は、概略的に、再配列処理部158と、再配列データ記録部159とにより構成されている。
【0047】
再配列処理部158は、各データ群に対する演算結果を測定位置に対応するように再配列する。具体的には、例えば上述したように分割手段A3において奇数番目のチャンネルと偶数番目のチャンネルとに分割した場合、得られた演算結果をチャンネル順に並び替えて一つに統合する。なお、再配列の態様としては特に限定されず、例えば、二次元の測定位置に対応させた二次元配列や、被検体sの特定領域について限定するような一次元配列等を採用することができるが、再配列手段A5において再配列される配列は、二次元配列であることが好ましい。これにより、測定位置と起電力の測定値の補正値とを容易かつ確実に対応付けることができる。再配列データ記録部159は、再配列処理部158で再配列された演算結果を記録する。
【0048】
上述した分割手段A3、演算処理手段A4および再配列手段A5としては、上述の処理を実行できる限り特に限定されないが、機動性、操作性等の観点から、これらの手段を併有している単一の処理装置が好ましく、入手容易性の観点から、所望の処理性能を満たしたパソコン150であることがより好ましい。
【0049】
表示手段A6は、再配列手段A5により再配列された演算結果を測定位置に対応付けて画像として表示する。表示手段A6としては、例えば、二次元ディスプレイ等のモニタ170などを採用することができる。表示手段A6における演算結果の表示は、上記演算結果に対応した色調表示または階調表示であることが好ましく、色調表示であることがより好ましい。これにより、探知された欠陥の大きさや形状等を容易かつ確実に視認することができる。
【0050】
次に、当該渦電流探傷装置1を用いた探傷方法について説明するが、当該渦電流探傷装置1を用いた探傷方法は、下記に示す態様にのみ限定されるものではない。
(ステップa1)まず、各チャンネルに対応した軸方向の情報と軸方向による感度を補正するための演算子とを入力する。なお、上記演算子があらかじめ入力されている場合は、上記演算子の入力を省略することができる。
(ステップa2)次いで、マルチコイルプローブを用いた被検体上の走査によりチャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する。具体的には、探傷手段A1において、被検体sを当該渦電流探傷装置1の台座145に載置して固定し、移動制御機構140を操作してマルチコイルプローブ110を被検体s上の測定開始位置に配置する。マルチコイルプローブ110の配置が完了した後、マルチプレクサ120で測定するチャンネルを切り替え、マルチコイルプローブ110を用いてチャンネル1〜72についての起電力を測定し、起電力の測定値をバランス(ゼロ点校正)させる。この測定が終了した後に移動制御機構140によりマルチコイルプローブ110を走査方向に移動させて順次測定を行い、以下この一連の操作を繰り返して測定範囲全体を測定する。
【0051】
(ステップa3)次いで、起電力の測定値を軸方向を同じくする複数のデータ群に分割する。具体的には、この分割に先立ち、まず測定した起電力の測定値の中から探傷信号を取得し、この探傷信号をA/D変換する。起電力の測定値からの探傷信号の取得および上記探傷信号のA/D変換はマルチ探傷器130により行われ、このA/D変換された信号は、走査アーム142に連設されたエンコーダ144からの測定位置の情報と共に分割手段A3に送信される。分割手段A3で受信した信号は探傷データ記録部151に記録され、入力手段A2で入力した各チャンネルの軸方向の情報に基づいてデータ分割処理部153で複数のデータ群に分割する。分割されたデータ群はデータ群ごとに分けてデータ分割記録部154に記録されると共に演算処理手段A4に送信される。
【0052】
(ステップa4)次いで、分割された上記データ群に対し、軸方向の感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理をする。具体的には、入力手段A2で入力した演算子を用い、演算処理手段A4で受信した信号(データ群に分割された信号)をフィルタ演算部156で演算処理する。上記演算子としては、例えば、上記式(1)で表される行列等を適用することができる。上記演算処理により得られた演算結果は、演算データ記録部157に記録されると共に再配列手段A5に送信される。
(ステップa5)次いで、上記演算処理された各データ群の演算結果を上記測定位置に対応するように再配列する。具体的には、再配列手段A5で受信した信号(演算結果)を再配列処理部158で再配列し、この再配列したデータは再配列データ記録部159に記録されると共に表示手段A6に送信される。
(ステップa6)次いで、再配列された演算結果を上記測定位置に対応付けて表示する。表示方法としては特に限定されず、例えば、受信した演算結果を測定位置に対応付けて表示手段A6のモニタ170上に二次元画像として表示する。
【0053】
以上のようにして得られた画像を以下に示す。まず、
図12は、従来の渦電流探傷装置を用いて測定した欠陥DFの一例を示す二次元画像である。この画像は、疲労き裂を付与した150mm×150mm×25mmの被検体sについて探傷したものである。
図12から分かるように、隣り合うチャンネル同士(奇数番目のチャンネルと偶数番目のチャンネル)で縞状のノイズが観測されている。これに対し、
図9は、
図1の渦電流探傷装置1を用いて測定した欠陥DFの一例を示す二次元画像である。この画像の被検体sは、上記疲労き裂を付与したものと同じである。
図9から明らかなように、
図12のものに比べて隣り合うチャンネル同士での縞状のノイズは低減され、き裂に係る探傷信号が高SN比で検出されている。このように、SN比の改善により判定精度が向上するので、結果として詳細な検査が不要となって検査工程全体における時間短縮を図ることができる。
【0054】
[第2の実施形態]
図10は、本発明の渦電流探傷装置の第2の実施形態を示す概略ブロック図である。当該渦電流探傷装置2は、
図10に示すように、概略的に、探傷手段A1と、入力手段B2と、演算処理手段B4と、表示手段A6とにより構成されている。第2の実施形態は、特に第1の実施形態の分割手段A3および再配列手段A5を備えていない点で異なっている。なお、探傷手段A1および表示手段A6は、第1の実施形態のものと同じ構成であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0055】
入力手段B2は、軸方向による感度を補正するために用いる演算子を入力する手段である。入力手段B2を構成する入力機器260としては、第1の実施形態と同様に、例えば、キーボード等を採用することができる。なお、本実施形態では、あらかじめ定められた各チャンネルの軸方向の情報に基づき起電力の測定値を一括して演算処理するので、当該入力手段B2では上記軸方向の情報を入力する必要はない。
【0056】
演算処理手段B4は、探傷手段A1により測定された起電力の測定値を、軸方向による感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理する。演算処理手段B4は、
図11に示すように、概略的に、探傷データ記録部251と、演算子記録部255と、フィルタ演算部256と、演算データ記録部257とにより構成されている。
【0057】
探傷データ記録部251は、探傷手段A1で測定されて測定位置に対応して並んだ起電力の測定値を記録する。この探傷データ記録部251は、第1の実施形態のものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。演算子記録部255は、入力手段B2により入力された演算子を記録する。フィルタ演算部256は、演算子記録部255に記録された演算子を用い、探傷データ記録部251に記録された各データ群に対して軸方向による感度を補正する処理を行う。演算データ記録部257は、フィルタ演算部256で処理された演算結果を記録する。
【0058】
ここで、フィルタ演算部256で用いる演算子としては、例えば、下記式(2)で表される先鋭化フィルタとしての行列演算子を例示することができる。この演算子(行列)によれば、隣り合うチャンネルとの係数は0(ゼロ)であり、奇数番目のチャンネルまたは偶数番目のチャンネルのいずれか一方に関わる箇所に係数を持つので、上記二種のチャンネルを独立かつ一括して演算処理することができる。
【0060】
次に、当該渦電流探傷装置2を用いた探傷方法について説明するが、当該渦電流探傷装置2を用いた探傷方法は、下記に示す態様にのみ限定されるものではない。当該渦電流探傷装置2は、第1の実施形態で説明した分割手段A3による信号の分割および再配列手段A5による再配列を行わない点で上述した渦電流探傷装置1の探傷方法と異なっている。また、当該渦電流探傷装置2は、各チャンネルの軸方向の情報があらかじめ演算処理手段B4に記録されている。なお、本実施形態では、軸方向による感度を補正するための演算子があらかじめ入力されているものとする。
【0061】
(ステップb1)まず、マルチコイルプローブ110を用いた被検体s上の走査によりチャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定する。なお、この(ステップb1)の具体的な操作は上記(ステップa2)と同様であるため省略する。
(ステップb2)次いで、起電力の測定値を、軸方向の感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理をする。具体的には、測定した起電力信号の中から探傷信号を取得し、この探傷信号をA/D変換する。起電力の測定値からの探傷信号の取得および上記探傷信号のA/D変換はマルチ探傷器130により行われ、このA/D変換された探傷信号は、軸方向による感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理をされる。上記演算子としては、例えば、上記式(2)で表される行列等を適用することができる。
(ステップb3)次いで、演算処理された演算結果を、測定位置に対応付けて演算結果に対応して表示する。この(ステップb3)の具体的な操作は上記(ステップa6)と同様であるため省略する。
【0062】
<渦電流探傷方法>
本発明の渦電流探傷方法は、
一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合せたチャンネルを複数有し、上記チャンネルのうちの少なくとも一部において、上記励磁コイルの中心部と上記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ上記軸方向と上記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置を用いて探傷する渦電流探傷方法であって、
上記各チャンネルに対応した上記軸方向の情報を入力するステップと、
上記マルチコイルプローブを用いた被検体上の走査により上記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定するステップと、
上記起電力の測定値を上記軸方向を同じくする複数のデータ群に分割するステップと、
分割された上記データ群に対し、上記軸方向の感度を補正するための演算子を用いてそれぞれ独立に演算処理をするステップと、
上記演算処理された各データ群の演算結果を上記測定位置に対応するように再配列するステップと、
再配列された上記演算結果を上記測定位置に対応付けて表示するステップとを含むことを特徴とする。
【0063】
このように、当該渦電流探傷方法は、上記ステップを備えているので、探傷結果として得られる画像中の縞状のノイズを十分に低減することができ、欠陥を確実に識別することができる。
【0064】
なお、当該渦電流探傷方法の説明は、上述した<渦電流探傷装置>の第1の実施形態における渦電流探傷装置1を用いた探傷方法の説明と同様であるため、上記第1の実施形態の説明を援用して省略する。
【0065】
また、本発明は、一対の励磁コイルと検出コイルとを組み合せたチャンネルを複数有し、上記チャンネルのうちの少なくとも一部において、上記励磁コイルの中心部と上記検出コイルの中心部とを通るチャンネル軸の軸方向が走査方向に対して斜めに交差しかつ上記軸方向と上記走査方向との交差角が少なくとも二以上設定されているマルチコイルプローブを備えた渦電流探傷装置を用いて探傷する渦電流探傷方法であって、
上記マルチコイルプローブを用いた被検体上の走査により上記チャンネルを切り替えながら各測定位置における起電力を順次測定するステップと、
上記起電力の測定値を、上記軸方向の感度を補正するための演算子を用いて一括して演算処理をするステップと、
上記演算処理された演算結果を、上記測定位置に対応付けて上記演算結果に対応して表示するステップとを含むことを特徴とする渦電流探傷方法を含む。
【0066】
このように、当該渦電流探傷方法は、上記ステップを備えているので、探傷結果として得られる画像中の縞状のノイズを十分に低減することができ、欠陥を確実に識別することができる。
【0067】
なお、当該渦電流探傷方法の説明は、上記<渦電流探傷装置>の第2の実施形態における渦電流探傷装置2を用いた探傷方法の説明と同様であるため、上記第2の実施形態の説明を援用して省略する。
【0068】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0069】
例えば、上述した第1および第2に実施形態では、演算子を直接入力する入力手段を備えている渦電流探傷装置1、2について示したが、入力済みの複数の演算子の中から用いる演算子を選択する入力手段を備えている渦電流探傷装置や、演算子に関する情報を入力することなく既定の演算子をそのまま適用する渦電流探傷装置も本発明の意図する範囲内である。
【0070】
また、上述した実施形態では、探傷手段A1における励磁コイルEおよび検出コイルDの選出、並びにチャンネルの切り替えを行う手段としてマルチプレクサ120を例示したが、このような機能を有する限り特に限定されず、マルチプレクサ120以外の手段を用いた渦電流探傷装置も、本発明の意図する範囲内である。