特許第6472318号(P6472318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472318
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】端子ボックス及び太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/34 20140101AFI20190207BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   H02S40/34
   H02G3/16
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-93358(P2015-93358)
(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公開番号】特開2016-213926(P2016-213926A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔也
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−308361(JP,A)
【文献】 特開2008−306918(JP,A)
【文献】 特開2004−214528(JP,A)
【文献】 特開2004−247708(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0195585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールで発電された電力を取り出す出力線が接続される3つ以上の端子板と、
前記3つ以上の端子板を収容する収容部を有するボックス本体と、を備え、
前記ボックス本体は、前記太陽電池モジュールに対向する面に形成され、且つ、前記3つ以上の端子板の夫々に対応した前記出力線が挿通される導入孔を備え、
前記3つ以上の端子板は、同極性である少なくとも2つの第1端子板と、前記第1端子板と絶縁され、且つ、前記第1端子板とは極性が異なる少なくとも1つの第2端子板とを有し、
2つの前記第1端子板は、2つの前記第1端子板の間に並設された前記第2端子板に対して前記収容部の底壁側に配設される接続部を介して電気的に接続され
前記ボックス本体と一体形成され、前記太陽電池モジュールに対向する面に沿って前記第2端子板と前記接続部との間に介在する絶縁部を有する端子ボックス。
【請求項2】
前記導入孔は、前記太陽電池モジュールに対向する面において前記3つ以上の端子板の占有領域の外側に形成されている請求項1に記載の端子ボックス。
【請求項3】
2つの前記第1端子板と前記接続部とが一体形成されている請求項1又は2に記載の端子ボックス。
【請求項4】
電力を取り出す出力線を縁部に設け、当該縁部に請求項1〜のいずれか一項に記載の端子ボックスが接続された太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子ボックス及び端子ボックスが接続された太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、家屋の屋根上に敷設した複数の太陽電池モジュールにおいて発電した直流電力をパワーコンディショナ(インバータ)で交流電力に変換し各電器製品に供給する。複数の太陽電池モジュールは、各太陽電池モジュールの裏面に配置された端子ボックスを介して、外部ケーブルで直列に接続される。
【0003】
一般に端子ボックスは、上面開口のボックス本体内に配設された複数の端子板に、太陽電池モジュールのプラス出力線及びマイナス出力線並びに出力ケーブルを接続し、その端子板間にバイパスダイオードを設けたものである。
【0004】
特許文献1に示されるように、3つの端子板が並設された端子ボックスが存在する。この場合には、例えば正極の第1端子板が2つと負極の第2端子板が1つの組み合わせになる。2つの第1端子板が隣接する場合には両者の接続は容易である。しかし、2つの第1端子板の間に第2端子板が配置される場合には、2つの第1端子板は第2端子板を迂回して接続される。
【0005】
特許文献2には、端子ボックスに複数の配線パターンを有する太陽電池モジュールが示されている。負極のケーブルに接続される2つの配線パターンの間に正極ケーブルに接続される1つの配線パターンが配置されており、負極用の2つの配線パターンはジャンパー線によって正極用の配線パターンの上方で接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3656391号公報
【特許文献2】特開2001−308361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
端子ボックスにおいて、太陽電池モジュールに設けられる出力線と端子板とが接続される。出力線は通常、端子板の上面部に載置されて接続される。このため、特許文献2のように、同じ極性の2枚の第1端子板を異なる極性の第2端子板の上方において接続した場合には、第2端子板に接続される出力線と、2つの第1端子板の接続部分とが接触し、第1端子板と第2端子板とが短絡するおそれがある。
【0008】
本発明の実施形態においては、極性の異なる端子板の両側に配置された同極性の端子板どうしの良好な接続を可能にとともに、異極性の端子板との短絡を確実に防止できる端子ボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る端子ボックスの実施形態の1つは、太陽電池モジュールで発電された電力を取り出す出力線が接続される3つ以上の端子板と、
前記3つ以上の端子板を収容する収容部を有するボックス本体と、を備え、
前記ボックス本体は、前記太陽電池モジュールに対向する面に形成され、且つ、前記3つ以上の端子板の夫々に対応した前記出力線が挿通される導入孔を備え、
前記3つ以上の端子板は、同極性である少なくとも2つの第1端子板と、前記第1端子板と絶縁され、且つ、前記第1端子板とは極性が異なる少なくとも1つの第2端子板とを有し、
2つの前記第1端子板は、2つの前記第1端子板の間に並設された前記第2端子板に対して前記収容部の底壁側に配設される接続部を介して電気的に接続され
前記ボックス本体と一体形成され、前記太陽電池モジュールに対向する面に沿って前記第2端子板と前記接続部との間に介在する絶縁部を有する
【0010】
太陽電池モジュールの出力線と端子ボックスに収容される端子板との接続は通常、端子板の表面側において行なわれる。一方、本構成によれば、端子ボックスに備えられた3つ以上の端子板のうち、同極性の2つの第1端子板は異なる極性の第2端子板に対して収容部の底壁側に配設される接続部を介して接続されている。これにより、同じ極性の端子板どうしが例えばボックス本体の側壁に沿って接続される構成とは異なり、出力線が収容部に導入される際に接続部は妨げにならない。接続部は、第2端子板の表面側で接続される出力線との接触が確実に回避された状態で第1端子板に接続される。また、第1端子板どうしの接続部は第2端子板に対して収容部の底壁側に位置することで、太陽電池モジュールに対する端子ボックスの実装面積を小さくできるため、太陽電池モジュールの発電効率を高めることができる。
また、本構成によれば、異なる極性の第2端子板と接続部との間に絶縁部が介在する。これにより、第2端子板と第1端子板の接続部との絶縁性が向上する。
【0011】
本発明に係る端子ボックスの実施形態の1つにおいては、前記導入孔は、前記太陽電池モジュールに対向する面において前記3つ以上の端子板の占有領域の外側に形成されている。
【0012】
太陽電池モジュールに対向する面において、3つ以上の端子板の占有領域の範囲内に導入孔が形成されている場合には、導入孔から挿入された出力線は第2端子板の裏面側に位置することがある。このため、同極性の第1端子板どうしを接続する接続部は、導入孔を避ける位置に設ける必要があることから、接続部を配置する領域が制限される。
一方、本構成のように、導入孔は、太陽電池本体に対向する面において3つ以上の端子板の占有領域の外側に形成されていると、接続部は導入孔の位置に関係なく配置できるため、接続部を配置する上で自由度が高まる。
【0013】
【0014】
【0015】
本発明に係る端子ボックスの実施形態の1つにおいては、2つの前記第1端子板と前記接続部とが一体形成されている。
【0016】
本構成の如く、2つの第1端子板と接続部とが一体形成されると、2つの第1端子板と接続部とを接続するための構成と不要となるため、2つの第1端子板の接続状態を簡単に実現することができる。また、端子ボックスの部品点数を少なくすることもできる。
【0017】
本発明に係る太陽電池モジュールの実施形態の1つは、電力を取り出す出力線を縁部に設け、当該縁部に上記構成の端子ボックスが接続される。
【0018】
太陽電池モジュールの縁部に設けられた出力線に接続される端子ボックスでは、出力線の導入孔がボックス本体の端部に形成される。一方、同極性の第1端子板の接続部は異なる極性の第2端子板の裏面側に配置されている。ボックス本体の端部から導入される出力線に対し、第1端子板の接続部は第2端子板の領域内において簡単に離間させることができるため、異なる極性の導電体とは接触しない良好な位置に接続部が配置された状態で2つの第1端子板を接続することができる。
また、端子ボックスにおいて第1端子板の接続部が第2端子板の裏面側に配置されることで、端子板の収容部が太陽電池モジュールに沿う方向に拡張されないため、端子ボックスの小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る端子ボックスの斜視図である。
図2】本実施形態に係る端子ボックスの裏側を示す斜視図である。
図3】収容部から端子板等を取り外した状態での端子ボックスの構造を表す分解斜視図である。
図4】端子ボックスの天板を取り外した状態を示す斜視図である。
図5図1のV−V矢視断面図である。
図6図1のVI−VI矢視断面図である。
図7】出力線が端子板に接続される手順を示す断面図である。
図8】出力線が端子板に接続される手順を示す断面図である。
図9】出力線が端子板に接続された状態を示す斜視図である。
図10】太陽電池モジュールに取付けられた端子ボックスの側面図である。
図11】別実施形態の端子板と接続部とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.端子ボックスの構造
以下に図面を用いて本発明に係る端子ボックスの実施形態を説明する。図1図6に示すように、端子ボックスは、ボックス本体100と、蓋体700と、ボックス本体100の内部に取り付けられた3枚の端子板200と、ダイオード400と、出力ケーブル500とを備えている。ボックス本体100と蓋体700は樹脂等の絶縁体からなり、端子板200は銅合金等の金属からなる。ボックス本体100は、上方が開口した略箱状に形成されている。ボックス本体100の上方の開口は蓋体700により閉塞することができる。なお、以後の説明で、3枚の端子板200を区別する必要があるときには、同じ極性の2つ端子板を第1端子板201,203と称し、第1端子板201,203とは極性の異なる端子板を第2端子板202と称する。
【0021】
ボックス本体100は、収容部102とケーブル保持部130とを備えている。ケーブル保持部130には2つの貫通孔(不図示)が形成されている。2つの貫通孔には正極側と負極側の2本の出力ケーブル500がそれぞれ挿入され、ケーブル保持金具(不図示)によってボックス本体100に対して固定されている。以下の説明では、ボックス本体100でケーブル保持部130がある側を後ろ、後ろに対向する側を前、開口された側を上、上に対向する側を下とする。また、前後方向及び上下方向に直交する方向(端子板200の配列方向)を左右と称する。
【0022】
収容部102は、底壁110と底壁110の周縁から立設され三方向を囲む側壁120とを備えている。底壁110は太陽電池モジュールに対向する面に設けられている。底壁110と、側壁120と、ケーブル保持部130の前方側の端壁とによって、収容空間140(空間の一例)が規定される。これにより、収容部102は、上方が開口する略箱状に構成される。収容空間140の内部には、3枚の端子板200とダイオード400が収容されている。太陽電池モジュール10(図7参照)には発電された電力を取り出す出力線600が設けられている。端子板200に出力線600と出力ケーブル500とが電気的に接続されている。これにより、太陽電池モジュール10で発電された電力が端子板200を介して出力ケーブル500から出力される。なお、端子板200の構造については後述する。出力線600は、図7図9に示すように、帯状の金属端子である。
【0023】
図3及び図4に示すように、底壁110の上面からは複数の凸部116と爪部118が形成されており、端子板200は、凸部116によって支持され、爪部118で固定されている。すなわち、端子板200は底壁110の上面から凸部116の高さの分だけ離間して載置されている。
【0024】
図1に示すように、底壁110には、前方及び左右の側壁120から外方に延出するフランジ部150が形成されている。前方のフランジ部151には後述する案内部170が設けられている。左右のフランジ部152は、側壁120の前後方向の中間部分に設けられている。フランジ部152の強度を向上するために、左右方向に延びるリブ160がフランジ部152の前方、中央、後方に夫々形成されている。また、左右の側壁120の上端部付近には、蓋体700のための係止孔122がそれぞれ2つずつ形成されている。
【0025】
図1に示すように、蓋体700は、収容部102の上方の開口を塞ぐ、平板状の部材である。蓋体700の形状は収容部102の平面視形状に適合しており、本実施形態では略矩形状となっている。本実施形態の端子ボックスでは、蓋体700が端子ボックスの上壁を構成している。
【0026】
蓋体700の左右側の側面には、側方に突出する係止爪702がそれぞれ2つずつ形成されている。係止爪702は側壁120に形成された係止孔122に嵌入する。これにより、ボックス本体100に対して蓋体700が係止固定される。
【0027】
収容部102において左右方向に並設される3つの端子板200のうち、両端に位置する2つの第1端子板201,203はいずれも正極の端子板200であり、中央に位置する第2端子板202は負極の端子板200である。第1端子板201,203と第2端子板202とは絶縁されている。第1端子板201,203は、後述する接続部210を介して導通している。第1端子板201に正極側の出力ケーブル500が接続され、第2端子板202には負極側の出力ケーブル500が接続されている。第1端子板203には正極側の出力ケーブル500との接続部は設けられていない。
【0028】
図3に示すように、端子板200は、載置部220、開口230、回動保持部240を備え、第1端子板201及び第2端子板202は更に、ダイオード接続部250、ケーブル接続部260を備える。載置部220は所定の面積を有する平坦な面であり、ここに出力線600の先端が載置されて、端子板200との間で電気的な接続が確保される。
【0029】
2つの第1端子板201,203は接続部210を介して電気的に接続されている。接続部210は、接続部本体211と立ち上り部212とを備える。
接続部本体211は矩形の平板であり、接続部本体211の左右方向の両端に立ち上り部212が夫々立設されている。立ち上り部212の上端に2つの第1端子板201,203が連結されている。本実施形態では、2つの第1端子板201,203と接続部210とが一体形成されている。
【0030】
図2及び図4に示すように、底壁110には、接続部本体211が挿入される開口113が形成されている。底壁110のうち、第2端子板202の下方には開口113の後部を覆う矩形状の閉塞体111(絶縁部の一例)が配設されている。閉塞体111は、ボックス本体100の底壁110と一体形成されている。閉塞体111は開口113の左右両側を開放した状態で配置されており、閉塞体111の左右両側に隣接する溝部114が形成されている。閉塞体111と開口113とによって底壁110の裏面側には凹部115が形成される。
【0031】
2つの第1端子板201,203と一体形成されている接続部本体211は、収容空間140から開口113に挿入される。その後、立ち上り部212を溝部114に案内して接続部本体211が底壁110に沿って後方に移動することで、接続部本体211は凹部115に配置される。第1端子板201,203は凸部116の上に載置されている。その後、第2端子板202を第1端子板201,203の間の凸部116の上に載置する。
接続部本体211は閉塞体111を挟んで第2端子板202の裏側に配置される。すなわち、閉塞体111は、底壁110に沿って第2端子板202と接続部本体211との間に介在する。
【0032】
これにより、同じ極性の端子板201,203どうしが例えばボックス本体100の側壁120に沿って接続される構成とは異なり、出力線600が収容部102に導入される際に接続部210は妨げにならない。接続部210とは、負極の第2端子板202の表面側で接続される出力線600との接触が確実に回避された状態で正極の第1端子板201,203に接続される。また、第1端子板201,203どうしの接続部210は第2端子板の裏面側に位置することで、太陽電池モジュールに対する端子ボックスの実装面積を小さくできるため、太陽電池モジュールの発電効率を高めることができる。
【0033】
第2端子板202と接続部本体211との間には閉塞体111が介在する。このため、負極側の第2端子板202と正極側の接続部本体211との絶縁性が向上する。また、接続部本体211は、凹部115内に配置され、底壁110の裏面側から突出しないよう構成されている。したがって、太陽電池モジュールに底壁110を沿わせた状態で端子ボックスを取付けることができる。
【0034】
開口230の後方には、回動保持部240が設けられている。出力線600の先端部が開口230の上方に載置された後、回動保持部240が開口230に向けて折り込まれることで出力線600が固定される。
【0035】
図3及び図4に示すように、回動保持部240は、前後方向に延在する2本のブリッジによって支持部分242が形成されている。支持部分242より前方には、支持部分242を支点にして上下方向に揺動可能であり、平坦な面を有する揺動部分241が形成されている。すなわち、回動保持部240は、支持部分242を固定端とする片持ち梁状である。これにより、支持部分242を支点として揺動部分241を変位させることができる。揺動部分241は、初期状態においては、開口230が開放されるよう、支持部分242を支点にして載置部220に対して上方へ傾斜している。揺動部分241と支持部分242とが不連続で繋がるような形状、例えば、揺動部分241の外形が矩形状で、そのうちの一辺から支持部分242が延在している形状であってもよい。また、揺動部分241の外形が円状であってもよい。
【0036】
本実施形態においては、開口230は矩形状であるが、例えば円状であってもよい。揺動部分241の外形や開口230の形状は任意の形状をとることができる。
【0037】
回動保持部240の後方には、ダイオード接続部250が形成されている。ダイオード接続部250と後述するケーブル接続部260は第1端子板201と第2端子板202にのみ形成されており、第1端子板203には形成されていない。ダイオード接続部250は左右方向に向けて開いたスリットを有しており、このスリットに左右方向に延びるダイオード400の端子402(図3参照)を圧入する。これにより、ダイオード400と第1端子板201及び第2端子板202との電気的接続を確保しつつダイオード400を保持している。
【0038】
このダイオード400はバイパスダイオードであって、任意の太陽電池モジュールが日陰に入る等の理由によって発電ができなくなったときに、その太陽電池モジュールをバイパスして電流を流す機能を有している。これによって、発電できない太陽電池モジュールが電気的負荷となってシステム全体の発電効率が低下することを防止している。
【0039】
ケーブル接続部260は、端子板200を左右方向に沿って切断したときの断面がU字状を有しており、この部分に出力ケーブル500の芯線502を載置する。そしてU字状の部分で芯線502を包んでかしめることにより、端子板200と出力ケーブル500との間の電気的接続を確保している。
【0040】
図2に示すように、ボックス本体100の前方のフランジ部151には矩形状のタブ導入孔112が3つ形成されている。3つのタブ導入孔112は貫通孔であって、左右方向に並設されている。図2及び図6に示すように、タブ導入孔112は、太陽電池モジュールに対向する面において収容部102の外側に形成された部分に形成されている。なお、タブ導入孔112は一部が収容部102の内側に形成されていてもよい。
【0041】
図6図8に示されるように、タブ導入孔112に対向する側壁120の側には、タブ導入孔112に挿入される出力線600が端子板200に向かうように案内する案内部170が形成されている。案内部170は、タブ導入孔112と前側の側壁120に形成される開口121との間に設けられており、ボックス本体100の外部と収容空間140とを連通させている。案内部170は、タブ導入孔112に対向する案内面171と、案内面171の両側の側部172(図1参照)とで構成されている。これにより、タブ導入孔112に挿通される出力線600は案内部170を介して収容空間140に導入される。
なお、タブ導入孔112は本願発明の導入孔の一例である。
【0042】
ここで、案内面171は、端子板200に近づくにつれてタブ導入孔112から離間する方向に傾斜する傾斜部173を有する。傾斜部173は案内面171の少なくとも一部に存在する。タブ導入孔112から導入された出力線600は、傾斜部173に当接することで緩やかに屈曲し端子板200に向けられて案内される。
【0043】
案内面171は、側壁120の一部が収容部102の外側に突出して形成されている。
こうして、案内面171が収容部102の外側に位置することで、収容空間140に案内面171のためのスペースが不要となる。これにより、収容部102を小型化することができ、収容部102に注入されるポッティング剤の使用量を抑制することができる。
【0044】
案内面171は、側壁120の頂部Tよりも低い位置に設けられている。端子ボックスは、例えば、図7図8及び図10に示されるように、出力線600を縁部11に設けた太陽電池モジュール10に接続される。太陽電池モジュール10を取扱う際に、太陽電池モジュール10の縁部11に接続される端子ボックスのボックス本体100は、特にその上方向の端部が他物と接触して衝撃を受け易い。
【0045】
しかし、本実施形態のように、案内面171が側壁120の頂部Tよりも低い位置に設けられることで、図10に示されるように、太陽電池モジュール10の縁部11において端子ボックスの端部である案内部170の上方向への突出量を小さくすることができる。
これにより、端子ボックスの案内部170と他物とが衝突し難くなる。また、案内面171とタブ導入孔112との間の領域の容積は小さくなるため、ボックス本体100の収容部102に注入されるポッティング剤の量を低減することができる。
【0046】
2.出力線の接続手順
次に、このボックス本体100内の端子板200に太陽電池モジュール10の出力線600を接続する手順について図面を用いて説明する。
【0047】
出力線600を端子板200に接続する際には、まず、回動保持部240を図7で示す第2端子板202のような開放姿勢にした状態で、出力線600をタブ導入孔112から挿入する。出力線600は案内面171に当接し、それに沿って屈曲されることで収容部102の外側から収容空間140に案内される。そして、出力線600の先端部分を端子板200の開口230の上方に位置させる(図8)。
【0048】
次に、マイナスドライバ等の任意の工具、又は、治具により、支持部分242を支点として回動保持部240の揺動部分241を揺動させて、下方、すなわち、開口230が閉じる方向に移動させる。すなわち、回動保持部240は開放姿勢から固定姿勢側に移動する。回動保持部240が固定姿勢になると、出力線600が端子板200の開口230と回動保持部240との間で挟持固定される。これにより、出力線600が端子板200に電気的に接続される。
【0049】
このように、収容部102の外側のタブ導入孔112から案内部170に挿入された出力線600は、端子ボックスに備えられた案内面171によって端子板200に向けて案内される。これにより、端子板200への出力線600の組付け作業が簡易になる。また、案内面171の一部は端子板200に近づくにつれてタブ導入孔112から離間する方向に傾斜しているので、案内面171に当接する出力線600は緩やかに端子板200に向かって屈曲することとなり、出力線600にストレスを与えることなく端子板200に向けることができる。
【0050】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、接続部本体211と第2端子板202との間に底壁110としての閉塞体111が介在する例を示したが、接続部本体211と第2端子板202との間に底壁110が介在しない構成であってもよい。
【0051】
(2)上記の実施形態では、2つの第1端子板201,203と接続部210とを一体形成する例を示したが、接続部210は2つの第1端子板201,203のうちの一方と一体形成してもよいし、図11に示すように、第1端子板201,203とは別の部材で構成してもよい。この場合は、例えば図11に示すように、立ち上り部212及び第1端子板201,203に設けた係合部213(例えば係合凸部)と被係合部205(例えば係合孔部)によって両者を連結する。第1端子板201,203と別部材で構成される接続部210は、例えば、底壁110に溝部114のみを設けて、第1端子板201,203を凸部116に固定した後、底壁110の裏面側から溝部114を介して第1端子板201,203に連結してもよい。
【0052】
(3)上記の実施形態では、2つの第1端子板201,203の接続部210が平板状の接続部本体211と立ち上り部212とを備える例を示したが、接続部210は2つの第1端子板201,203とを導通させる構成であれば他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、太陽電池モジュールで発電された電力を取り出す出力線に接続される端子ボックスに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 太陽電池モジュール
11 縁部
100 ボックス本体
102 収容部
110 底壁
111 閉塞体(絶縁部)
112 タブ導入孔(導入孔)
120 側壁
140 収容空間(空間)
150 フランジ
170 案内部
171 案内面
200 端子板
201,203 第1端子板
202 第2端子板
210 接続部
211 接続部本体
212 立ち上り部
220 載置部(接続部)
230 開口
600 出力線
T 頂部
図1
図2
図3
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図5
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図9
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図11