(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るロボット制御ユニットの概略構成を示す図である。
図1に示す制御装置としてのロボット制御ユニット100は、アクチュエータ等に搭載されるモータ300a1、300a2、300b1、300b2、300c1、300c2、300d1、300d2を制御するものである。ロボット制御ユニット100は、基板であるベースボード102、電源ボード104、ドライバボード110a、110b、110c、110d、及び、ゲートウェイボード122を含んで構成される。
【0016】
ベースボード102には、電源ボード104、ドライバボード110a、110b、110c、110d、及び、ゲートウェイボード122が取り付けられる。ドライバボード110aは、モータ300a1、300a2を接続し、当該モータ300a1、300a2の制御を行う。同様にドライバボード110bは、モータ300b1、300b2を接続し、当該モータ300b1、300b2の制御を行い、ドライバボード110cは、モータ300c1、300c2を接続し、当該モータ300c1、300c2の制御を行い、ドライバボード110dは、モータ300d1、300d2を接続し、当該モータ300d1、300d2の制御を行う。
【0017】
図2は、第1実施形態に係るロボット制御ユニットの詳細構成を示す図である。
図2に示すロボット制御ユニット100において、電源ボード104は、ドライバボード110aに接続される電流制限回路151a及び電解コンデンサ152aと、ドライバボード110bに接続される電流制限回路151b及び電解コンデンサ152bと、ドライバボード110cに接続される電流制限回路151c及び電解コンデンサ152cと、ドライバボード110dに接続される電流制限回路151d及び電解コンデンサ152dとを含んで構成される。
【0018】
電流制限回路151aは、入力電源に接続され、当該入力電源からの電流を、ドライバボード110aを介して当該ドライバボード110aに接続されるモータへ供給する制御を行う。電流制限回路151bは、入力電源に接続され、当該入力電源からの電流を、ドライバボード110bを介して当該ドライバボード110bに接続されるモータへ供給する制御を行う。電流制限回路151cは、入力電源に接続され、当該入力電源からの電流を、ドライバボード110cを介して当該ドライバボード110cに接続されるモータへ供給する制御を行う。電流制限回路151dは、入力電源に接続され、当該入力電源からの電流を、ドライバボード110dを介して当該ドライバボード110dに接続されるモータへ供給する制御を行う。
【0019】
また、電流制限回路151aは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ152aに供給し、充電させる制御を行う。電流制限回路151bは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ152bに供給し、充電させる制御を行う。電流制限回路151cは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ152cに供給し、充電させる制御を行う。電流制限回路151dは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ152dに供給し、充電させる制御を行う。
【0020】
図3は、第1実施形態に係る電流制限回路の詳細構成を示す図である。
図3に示す電流制限回路151aは、電流制御IC(Integrated Circuit)172、電流検出抵抗174及び半導体スイッチ176を含んで構成される。なお、電流制限回路151b、151c、151dも同様の構成である。
【0021】
電流検出抵抗174は、電源ライン160上に設けられ、一端が入力電源に接続され、他端が半導体スイッチ176に接続される。半導体スイッチ176は、電源ライン160上に設けられ、一端が電流検出抵抗174の他端に接続され、他端が電解コンデンサ152aの+端子とドライバボード110aとに接続される。半導体スイッチ176は、電源ライン160の導通と遮断を制御するものであり、オン状態では、電源ライン160が導通して電解コンデンサ152aに電流が供給されるとともに、ドライバボード110aを介してモータ300a1、300a2に電流が供給可能となり、オフ状態では電源ライン160が遮断されて電解コンデンサ152aやモータ300a1、300a2に電流が供給されない。
【0022】
再び、
図2に戻って説明する。ドライバボード110aは、当該ドライバボード110aに接続されるモータに対する電流供給を制御するCPU(Central Processing Unit)162aと、電圧監視回路164aとを含んで構成される。ドライバボード110bは、当該ドライバボード110bに接続されるモータに対する電流供給を制御するCPU(Central Processing Unit)162bと、電圧監視回路164bとを含んで構成される。ドライバボード110cは、当該ドライバボード110cに接続されるモータに対する電流供給を制御するCPU(Central Processing Unit)162cと、電圧監視回路164cとを含んで構成される。ドライバボード110dは、当該ドライバボード110dに接続されるモータに対する電流供給を制御するCPU(Central Processing Unit)162dと、電圧監視回路164dとを含んで構成される。
【0023】
ゲートウェイボード122は、ロボット制御ユニット100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)168を含んで構成される。
【0024】
ドライバボード110a内のCPU162aは、2つの入力端が電圧監視回路164aの出力端と、ゲートウェイボード122内のCPU168の出力端とに接続されるとともに、2つの出力端がゲートウェイボード122内のCPU168の入力端と、電源ボード104内の電流制限回路151aの入力端とに接続される。電圧監視回路164aは、入力端が電源ボード104内の電解コンデンサ152aに接続され、出力端がCPU162aに接続される。
【0025】
ドライバボード110b内のCPU162bは、2つの入力端が電圧監視回路164bの出力端と、ゲートウェイボード122内のCPU168の出力端とに接続されるとともに、2つの出力端がゲートウェイボード122内のCPU168の入力端と、電源ボード104内の電流制限回路151bの入力端とに接続される。電圧監視回路164bは、入力端が電源ボード104内の電解コンデンサ152bに接続され、出力端がCPU162bに接続される。
【0026】
ドライバボード110c内のCPU162cは、2つの入力端が電圧監視回路164cの出力端と、ゲートウェイボード122内のCPU168の出力端とに接続されるとともに、2つの出力端がゲートウェイボード122内のCPU168の入力端と、電源ボード104内の電流制限回路151cの入力端とに接続される。電圧監視回路164cは、入力端が電源ボード104内の電解コンデンサ152cに接続され、出力端がCPU162cに接続される。
【0027】
ドライバボード110d内のCPU162dは、2つの入力端が電圧監視回路164dの出力端と、ゲートウェイボード122内のCPU168の出力端とに接続されるとともに、2つの出力端がゲートウェイボード122内のCPU168の入力端と、電源ボード104内の電流制限回路151dの入力端とに接続される。電圧監視回路164dは、入力端が電源ボード104内の電解コンデンサ152dに接続され、出力端がCPU162dに接続される。
【0028】
ゲートウェイボード122内のCPU168は、4つの入力端がドライバボード110a内のCPU162aの出力端、ドライバボード110b内のCPU162bの出力端、ドライバボード110c内のCPU162cの出力端、及び、ドライバボード110d内のCPU162dの出力端に接続され、4つの出力端がドライバボード110a内のCPU162aの入力端、ドライバボード110b内のCPU162bの入力端、ドライバボード110c内のCPU162cの入力端、及び、ドライバボード110d内のCPU162dの入力端に接続される。
【0029】
次に、
図2及び
図3を参照しつつ、ロボット制御ユニット100によるモータに対する電流供給の制御について説明する。
【0030】
初期状態においては、電源ボード104の電流制限回路151a、151b、151c、151d内の半導体スイッチ176は、オフになっており、入力電源からの電流は電解コンデンサ152a、152b、152c、152dやモータ300a1、300a2、300b1、300b2、300c1、300c2、300d1、300d2には供給されていない。この初期状態において、ゲートウェイボード122内のCPU168は、ドライバボード110a内のCPU162aに対して、電流制限回路151a内の半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。ドライバボード110a内のCPU162aは、入力されたオン信号を、電源ボード104内の電流制限回路151aに対して出力する。
【0031】
電流制限回路151a内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ152aが充電されるとともに、電流制限回路151aに接続されているドライバボード110aへ電流が供給される。
【0032】
ドライバボード110a内の電圧監視回路164aは、電解コンデンサ152aの電圧を監視しており、その電圧値をCPU162aへ出力する。ゲートウェイボード122内のCPU168は、ドライバボード110a内のCPU162aへ電圧値が所定値以上になったか否かを所定の周期で問い合わせる。CPU162aは、電圧値が所定値以上になった場合、その旨の信号(電圧通知信号)をゲートウェイボード122内のCPU168へ出力する。
【0033】
ゲートウェイボード122内のCPU168は、電圧通知信号が入力されると、ドライバボード110b内のCPU162bに対して、電流制限回路151b内の半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。ドライバボード110b内のCPU162bは、入力されたオン信号を、電源ボード104内の電流制限回路151bに対して出力する。
【0034】
電流制限回路151b内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ152bが充電されるとともに、電流制限回路151bに接続されているドライバボード110bへ電流が供給される。
【0035】
ドライバボード110b内の電圧監視回路164bは、電解コンデンサ152bの電圧を監視しており、その電圧値をCPU162bへ出力する。ゲートウェイボード122内のCPU168は、ドライバボード110b内のCPU162bへ電圧値が所定値以上になったか否かを所定の周期で問い合わせる。CPU162bは、電圧値が所定値以上になった場合、その旨の信号(電圧通知信号)をゲートウェイボード122内のCPU168へ出力する。
【0036】
ゲートウェイボード122内のCPU168は、電圧通知信号が入力されると、ドライバボード110c内のCPU162cに対して、電流制限回路151c内の半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。ドライバボード110c内のCPU162cは、入力されたオン信号を、電源ボード104内の電流制限回路151cに対して出力する。
【0037】
電流制限回路151c内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ152cが充電されるとともに、電流制限回路151cに接続されているドライバボード110cへ電流が供給される。
【0038】
ドライバボード110c内の電圧監視回路164cは、電解コンデンサ152cの電圧を監視しており、その電圧値をCPU162cへ出力する。ゲートウェイボード122内のCPU168は、ドライバボード110c内のCPU162cへ電圧値が所定値以上になったか否かを所定の周期で問い合わせる。CPU162cは、電圧値が所定値以上になった場合、その旨の信号(電圧通知信号)をゲートウェイボード122内のCPU168へ出力する。
【0039】
ゲートウェイボード122内のCPU168は、電圧通知信号が入力されると、ドライバボード110d内のCPU162dに対して、電流制限回路151d内の半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。ドライバボード110d内のCPU162dは、入力されたオン信号を、電源ボード104内の電流制限回路151dに対して出力する。
【0040】
電流制限回路151d内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ152dが充電されるとともに、電流制限回路151dに接続されているドライバボード110dへ電流が供給される。
【0041】
ドライバボード110d内の電圧監視回路164dは、電解コンデンサ152dの電圧を監視しており、その電圧値をCPU162dへ出力する。CPU162dは、電圧値が所定値以上になった場合、その旨の信号(電圧通知信号)をゲートウェイボード122内のCPU168へ出力する。
【0042】
上述した第1実施形態における電流供給制御が行われることによって、ロボット制御ユニット100を流れる突入電流を減少させ、更には、電圧降下を抑制することができる。具体的には、従来の電流供給制御では、同時に電解コンデンサ152a、152b、152c、152dに対して電流が供給されることにより、
図4(A)に示すように、電源ボード104に大きな突入電流(例えば約40(A))が流れて、その結果、
図4(B)に示すように電圧降下(例えば約2(V))が生じる。
【0043】
これに対し、上述した第1実施形態における電流供給制御が行われることによって、所定の時間差(例えば10(ms))で、順次、電解コンデンサ152a、152b、152c、152dに対して電流が供給されることになる。このため、
図5(A)に示すように、電源ボード104に流れる突入電流は小さくなり(例えば従来の1/4の約10(A))、その結果、
図5(B)に示すように電圧降下を抑制することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係るロボット制御ユニットの概略構成を示す図である。
図6に示す制御装置としてのロボット制御ユニット200は、アクチュエータ等に搭載されるモータ300a1、300b1、300c1、300d1を制御するものである。ロボット制御ユニット200は、入力電源に接続される4つの単軸コントローラ210a、210b、210c、210dを含んで構成される。単軸コントローラ210aは、モータ300a1を接続し、当該モータ300a1の制御を行う。同様に単軸コントローラ210bは、モータ300b1を接続し、当該モータ300b1の制御を行い、単軸コントローラ210cは、モータ300c1を接続し、当該モータ300c1の制御を行い、単軸コントローラ210dは、モータ300d1を接続し、当該モータ300d1の制御を行う。
【0045】
図7は、第2実施形態に係るロボット制御ユニットの詳細構成を示す図である。
図7に示すロボット制御ユニット200において、単軸コントローラ210aは、CPU(Central Processing Unit)251a、電流制限回路252a、電解コンデンサ253a、前段電圧監視回路254a及び後段電圧監視回路258aを含み、単軸コントローラ210bは、CPU(Central Processing Unit)251b、電流制限回路252b、電解コンデンサ253b、前段電圧監視回路254b及び後段電圧監視回路258bを含み、単軸コントローラ210cは、CPU(Central Processing Unit)251c、電流制限回路252c、電解コンデンサ253c、前段電圧監視回路254c及び後段電圧監視回路258cを含み、単軸コントローラ210dは、CPU(Central Processing Unit)251d、電流制限回路252d、電解コンデンサ253d、前段電圧監視回路254d及び後段電圧監視回路258dを含んで構成される。なお、第2実施形態において、後段電圧監視回路258a、258b、258c、258dは含まれていなくてもよい。
【0046】
CPU251a及び電流制限回路252aは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ253aと、単軸コントローラ210aに接続されるモータ300a1とへ供給する制御を行う。CPU251b及び電流制限回路252bは、入力電源からの電流を、単軸コントローラ210bに接続されるモータ300b1へ供給する制御を行う。CPU251c及び電流制限回路252cは、入力電源からの電流を、単軸コントローラ210cに接続されるモータ300c1へ供給する制御を行う。CPU251d及び電流制限回路252dは、入力電源からの電流を、単軸コントローラ210dに接続されるモータ300d1へ供給する制御を行う。
【0047】
また、CPU251a及び電流制限回路252aは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ253aに供給し、充電させる制御を行う。CPU251b及び電流制限回路252bは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ253bに供給し、充電させる制御を行う。CPU251c及び電流制限回路252cは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ253cに供給し、充電させる制御を行う。CPU251d及び電流制限回路252dは、入力電源からの電流を、電解コンデンサ253dに供給し、充電させる制御を行う。
【0048】
単軸コントローラ210a内のCPU251aは、入力端が前段電圧監視回路254aの出力端、及び、後段電圧監視回路258aの出力端に接続され、出力端が電流制限回路252aの入力端に接続されている。電流制限回路252aは、入力端が入力電源及びCPU251aの出力端に接続されている。前段電圧監視回路254aは、入力電源に接続され、出力端がCPU251aの入力端に接続されている。後段電圧監視回路258aは、電解コンデンサ253aに接続され、出力端がCPU251aの入力端に接続される。
【0049】
単軸コントローラ210b内のCPU251bは、入力端が前段電圧監視回路254bの出力端、及び、後段電圧監視回路258bの出力端に接続され、出力端が電流制限回路252bの入力端に接続されている。電流制限回路252bは、入力端が入力電源及びCPU251bの出力端に接続されている。前段電圧監視回路254bは、入力電源に接続され、出力端がCPU251bの入力端に接続されている。後段電圧監視回路258bは、電解コンデンサ253bに接続され、出力端がCPU251bの入力端に接続される。
【0050】
単軸コントローラ210c内のCPU251cは、入力端が前段電圧監視回路254cの出力端、及び、後段電圧監視回路258cの出力端に接続され、出力端が電流制限回路252cの入力端に接続されている。電流制限回路252cは、入力端が入力電源及びCPU251cの出力端に接続されている。前段電圧監視回路254cは、入力電源に接続され、出力端がCPU251cの入力端に接続されている。後段電圧監視回路258cは、電解コンデンサ253cに接続され、出力端がCPU251cの入力端に接続される。
【0051】
単軸コントローラ210d内のCPU251dは、入力端が前段電圧監視回路254dの出力端、及び、後段電圧監視回路258dの出力端に接続され、出力端が電流制限回路252dの入力端に接続されている。電流制限回路252dは、入力端が入力電源及びCPU251dの出力端に接続されている。前段電圧監視回路254dは、入力電源に接続され、出力端がCPU251dの入力端に接続されている。後段電圧監視回路258dは、電解コンデンサ253dに接続され、出力端がCPU251dの入力端に接続される。
【0052】
電流制御回路252a、252b、252c、252dの詳細な構成は、
図3と同様に、それぞれ電流制御IC172と、電源ライン160上に設けられた電流検出抵抗174a及び半導体スイッチ176が含まれる。但し、
図3と異なり、半導体スイッチ176の他端はドライバボードには接続されず、モータ300a1等に対する電流供給を制御する回路等に接続される。
【0053】
単軸コントローラ210a内のCPU251aはレジスタ260aを内蔵し、単軸コントローラ210b内のCPU251bはレジスタ260bを内蔵し、単軸コントローラ210c内のCPU251cはレジスタ260cを内蔵し、単軸コントローラ210d内のCPU251dはレジスタ260dを内蔵する。レジスタ260a、260b、260c、260cは、入力電源による電流供給が開始されて対応する前段電圧監視回路254a等の電圧が所定値以上になったタイミングを基準として、電源ライン160を導通させて電解コンデンサ152aが充電させるタイミングである突入許可時間の情報が記憶されている。レジスタ260a、260b、260c、260dが記憶する突入許可時間はそれぞれ異なっており、例えば、レジスタ260aには0(ms)、レジスタ260bには10(ms)、レジスタ260cには20(ms)、レジスタ260dには30(ms)が記憶されており、10(ms)の時間差が設けられている。なお、突入許可時間の情報は、作業者が任意に設定可能であり、作業者の操作等に応じて生成された突入許可時間の情報がレジスタ260a等に記憶される。
【0054】
次に、
図7を参照しつつ、ロボット制御ユニット200によるモータに対する電流供給の制御について説明する。
【0055】
初期状態においては、単軸コントローラ210aの電流制限回路252a内、単軸コントローラ210bの電流制限回路252b内、単軸コントローラ210cの電流制限回路252c内、単軸コントローラ210dの電流制限回路252d内のそれぞれに設けられている半導体スイッチ176は、オフになっている。
【0056】
単軸コントローラ210a内の前段電圧監視回路254aは、電源ライン160における半導体スイッチ176よりも入力電源側の電圧を監視しており、その電圧値を、CPU251aへ出力する。初期状態において入力電源からの電流の供給が開始されると、前段電圧監視回路254aが監視する電圧値は上昇する。CPU251aは、電圧値が所定値以上になったタイミングから、レジスタ260aに記憶された突入許可時間が経過したタイミング(例えば0(ms)であり、即時)で、電流制限回路252aに対して、半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。電流制限回路252a内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253aが充電されるとともに、単軸コントローラ210aに接続されているモータ300a1への電流供給が可能となる。
【0057】
単軸コントローラ210b、210c、210dにおいても同様の制御が行われる。すなわち、単軸コントローラ210b内の前段電圧監視回路254bは、電源ライン160における半導体スイッチ176よりも入力電源側の電圧を監視しており、その電圧値を、CPU251bへ出力する。初期状態において入力電源からの電流の供給が開始されると、前段電圧監視回路254bが監視する電圧値は上昇する。CPU251bは、電圧値が所定値以上になったタイミングから、レジスタ260bに記憶された突入許可時間が経過したタイミング(例えば10(ms)経過後のタイミング)で、電流制限回路252bに対して、半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。電流制限回路252b内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253bが充電されるとともに、単軸コントローラ210bに接続されているモータ300b1への電流供給が可能となる。
【0058】
単軸コントローラ210c内の前段電圧監視回路254cは、電源ライン160における半導体スイッチ176よりも入力電源側の電圧を監視しており、その電圧値を、CPU251cへ出力する。初期状態において入力電源からの電流の供給が開始されると、前段電圧監視回路254cが監視する電圧値は上昇する。CPU251cは、電圧値が所定値以上になったタイミングから、レジスタ260cに記憶された突入許可時間が経過したタイミング(例えば20(ms)経過後のタイミング)で、電流制限回路252cに対して、半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。電流制限回路252c内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253cが充電されるとともに、単軸コントローラ210cに接続されているモータ300c1への電流供給が可能となる。
【0059】
単軸コントローラ210d内の前段電圧監視回路254dは、電源ライン160における半導体スイッチ176よりも入力電源側の電圧を監視しており、その電圧値を、CPU251dへ出力する。初期状態において入力電源からの電流の供給が開始されると、前段電圧監視回路254dが監視する電圧値は上昇する。CPU251dは、電圧値が所定値以上になったタイミングから、レジスタ260dに記憶された突入許可時間が経過したタイミング(例えば30(ms)経過後のタイミング)で、電流制限回路252dに対して、半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。電流制限回路252d内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253dが充電されるとともに、単軸コントローラ210dに接続されているモータ300d1への電流供給が可能となる。
【0060】
上述した第2実施形態における電流供給制御が行われることによって、ロボット制御ユニット200を流れる突入電流を減少させ、更には、電圧降下を抑制することができる。具体的には、第1実施形態と同様の作用効果が生じる。すなわち、従来の電流供給制御では、同時に電解コンデンサ253a、253b、253c、253dに対して電流が供給されることにより、
図4(A)に示すように、ロボット制御ユニット200に大きな突入電流(例えば約40(A))が流れて、その結果、
図4(B)に示すように電圧降下(例えば約2(V))が生じる。
【0061】
これに対し、上述した第2実施形態における電流供給制御が行われることによって、所定の時間差(例えば10(ms))で、順次、電解コンデンサ253a、253b、253c、253dに対して電流が供給されることになる。このため、
図5(A)に示すように、ロボット制御ユニット200に流れる突入電流は小さくなり(例えば従来の1/4の約10(A))、その結果、
図5(B)に示すように電圧降下を抑制することができる。
【0062】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0063】
上述した実施形態では、電流制限回路151a等の構成を
図3に示すものとしたが、他の構成であってもよい。例えば、
図8に示す汎用的な構成の電流制限回路551aでもよい。
図8に示す電流制限回路551aは、モータ電源遮断リレー576、トランジスタ577を含んで構成される。
【0064】
モータ電源遮断リレー576は、電源ライン560上に設けられ、一端が入力電源に接続され、他端が電解コンデンサ152aの+端子とドライバボード110aとに接続される。トランジスタ577は、NPN形であり、コレクタがモータ電源遮断リレー576に接続され、エミッタが接地されている。モータ電源遮断リレー576は、電源ライン560の導通と遮断を制御するものである。
【0065】
第1実施形態の電流制限回路に電流制限回路551aが用いられる場合には、ゲートウェイボード122内のCPU168が、モータ電源遮断リレー576をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力し、ドライバボード110a内のCPU162a等が、入力されたオン信号をトランジスタ577のベースに出力すると、モータ電源遮断リレー576は、オン状態となり、電源ライン160が導通して電解コンデンサ152a等に電流が供給されるとともに、ドライバボード110a等を介してモータ300a1、300a2等に電流が供給可能となる。一方、トランジスタ577のベースに電源ライン560を導通させるためのオン信号が入力されていないときには、モータ電源遮断リレー576は、オフ状態となり、電源ライン560が遮断されて電解コンデンサ152a等やモータ300a1、300a2等に電流が供給されない。なお、CPU168がモータ電源遮断リレー576をオンにする際に、ドライバボード110a内のCPU162a等を経由せずに、電源ボード104内の電流制限回路551aへ直接にオン信号を出力してもよい。
【0066】
また、第2実施形態の電流制限回路に電流制限回路551aが用いられる場合には、CPU251a等がモータ電源遮断リレー576をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力すると、モータ電源遮断リレー576は、オン状態となり、電源ライン160が導通して電解コンデンサ253a等に電流が供給されるとともに、モータ300a1等に電流が供給可能となる。一方、トランジスタ577のベースに電源ライン560を導通させるためのオン信号が入力されていないときには、モータ電源遮断リレー576は、オフ状態となり、電源ライン560が遮断されて電解コンデンサ253a等やモータ300a1等に電流が供給されない。
【0067】
上述した実施形態では、電流制御回路151a等の構成を
図3、
図8に示すものとしたがこれに限定されず、電源ライン160、560を導通及び遮断することが可能な構成であればよい。
【0068】
上述した第1実施形態では、ドライバボード110a等には、それぞれ2つのモータ300a1、300a2等が接続されていたが、モータの数はこれに限定されず、1つあるいは3つ以上のモータが接続された構成であってもよい。
【0069】
上述した実施形態では、レジスタ260a等には、入力電源による電流供給が開始されて対応する前段電圧監視回路254a等の電圧が所定値以上になったタイミングを基準として、電源ライン160を導通させて電解コンデンサ152aが充電させるタイミングである突入許可時間の情報が記憶されているようにしたが、突入許可時間と1対1に対応するパラメータを記憶しておき、CPU251a等は、レジスタ260a等に記憶されたパラメータに基づいて、突入許可時間を一意に特定するようにしてもよい。なお、パラメータは、作業者が任意に設定可能であり、作業者の操作等に応じて生成されたパラメータがレジスタ260a等に記憶される。
【0070】
また、第1実施形態において、各ドライバボード110a等のCPU162a等にレジスタを設けて、突入許可時間の情報や突入許可時間と1対1に対応するパラメータを記憶しておくようにしてもよい。これにより、第1実施形態の構成においても、ドライバボード110a〜110dが独立して制御を行うことが可能となる。
【0071】
この場合、電流制限回路151a内の電流検出抵抗174は、電源ライン160の電流を検出する。初期状態において入力電源からの電流の供給が開始されると、電流検出抵抗174が検出する電流値は上昇する。ドライバボード110a内の電圧監視回路164aは、電解コンデンサ152aの電圧を監視しており、その電圧値をCPU162aへ出力する。CPU162aは、電圧値が所定値以上になったタイミングから、レジスタに記憶された突入許可時間が経過したタイミングで、電流制限回路151aに対して、半導体スイッチ176をオンにすることを指示する信号(オン信号)を出力する。電流制限回路151a内の電流制御IC172は、オン信号が入力されると、当該オン信号に従って半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ152aが充電されるとともに、ドライバボード110aに接続されているモータ300a1、300a2への電流供給が可能となる。他のドライバボード110b、110c、110dにおいても同様の制御が行われる。
【0072】
また、第2実施形態において、単軸コントローラ210a、210b、210c、210dが相互に接続された構成でもよい。この場合には、以下のような制御が行われる。
【0073】
初期状態においては、単軸コントローラ210aの電流制限回路252a内、単軸コントローラ210bの電流制限回路252b内、単軸コントローラ210cの電流制限回路252c内、単軸コントローラ210dの電流制限回路252d内のそれぞれに設けられている半導体スイッチ176は、オフになっている。初期状態において入力電源からの電流の供給が開始されると、単軸コントローラ210a内のCPU251aは、半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253aが充電されるとともに、単軸コントローラ210aに接続されているモータへの電流供給が可能となる。
【0074】
単軸コントローラ210a内の後段電圧監視回路258aは、電解コンデンサ253aの電圧を監視しており、その電圧値をCPU251aへ出力する。CPU251aは、電圧値が所定値以上になった場合、その旨の信号(電圧通知信号)を単軸コントローラ210b内のCPU251bへ出力する。
【0075】
単軸コントローラ210b内のCPU251bは、電圧通知信号が入力されると、当該入力から所定時間経過後(例えば10(ms)経過後)に、半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253bが充電されるとともに、単軸コントローラ210bに接続されているモータへの電流供給が可能となる。
【0076】
単軸コントローラ210b内の後段電圧監視回路258bは、電解コンデンサ253bの電圧を監視しており、その電圧値をCPU251bへ出力する。CPU251bは、電圧値が所定値以上になった場合、その旨の信号(電圧通知信号)を単軸コントローラ210c内のCPU251cへ出力する。
【0077】
単軸コントローラ210c内のCPU251cは、電圧通知信号が入力されると、当該入力から所定時間経過後(例えば10(ms)経過後)に、半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253cが充電されるとともに、単軸コントローラ210cに接続されているモータへの電流供給が可能となる。
【0078】
単軸コントローラ210c内の後段電圧監視回路258cは、電解コンデンサ253cの電圧を監視しており、その電圧値をCPU251cへ出力する。CPU251cは、電圧値が所定値以上になった場合、その旨の信号(電圧通知信号)を単軸コントローラ210d内のCPU251dへ出力する。
【0079】
単軸コントローラ210d内のCPU251dは、電圧通知信号が入力されると、当該入力から所定時間経過後(例えば10(ms)経過後)に、半導体スイッチ176をオンにする。これにより、電源ライン160が導通し、電解コンデンサ253dが充電されるとともに、単軸コントローラ210dに接続されているモータへの電流供給が可能となる。
【0080】
上述した単軸コントローラ210a、210b、210c、210dが相互に接続された構成においても、電解コンデンサ253a、253b、253c、253dに対して、所定の時間差で順次電流が供給されるため、ロボット制御ユニット200に流れる突入電流を減少させて、電圧降下を抑制することができる。
【0081】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。