特許第6472326号(P6472326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472326
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】呼吸用気体の加温加湿器
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   A61M16/16 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-104435(P2015-104435)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-214648(P2016-214648A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】若林 啓介
(72)【発明者】
【氏名】小林 心一
(72)【発明者】
【氏名】田邉 佳史
(72)【発明者】
【氏名】大友 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】松原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】松原 照己
【審査官】 家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−516698(JP,A)
【文献】 特開2004−103761(JP,A)
【文献】 特表2013−543753(JP,A)
【文献】 特開2008−136664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/10
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溜めたチャンバ内に呼吸用気体を流通させて加温加湿する呼吸用気体の加温加湿器であって、
前記チャンバに該チャンバの個体を識別するとともに情報を入出力可能な識別タグが設けられ、前記チャンバが着脱可能に取り付けられる本体に、前記識別タグとの通信を行う通信部と、前記通信部を介して前記識別タグとの間の情報を管理する制御部とが設けられており、
前記制御部は、
前記識別タグに現在時間情報を記録する時間記録手段と、
前記識別タグに前記チャンバが最初に使用されたことを示す開始時間情報を記録する使用開始記録手段と、
前記開始時間情報により前記チャンバの使用履歴を管理する履歴管理手段とを有し、
前記履歴管理手段は、
前記識別タグに前記開始時間情報が既に記録されているか否かを判定する使用判定手段と、
前記使用判定手段により前記開始時間情報が確認された場合に、前記識別タグに記録済みの前回の前記チャンバ使用時の最も新しい現在時間情報である最後時間情報と新たに前記チャンバの使用が開始された際の現在時間情報である再使用開始時間情報との差分から前記チャンバの休止時間を算出する休止時間算出手段と、
前記休止時間により前記チャンバの再使用を管理するチャンバ再使用管理手段とを有し、
前記チャンバ再使用管理手段は、前記休止時間が予め設定された規定休止時間以上の場合に、前記チャンバの再使用を停止する手段を有し、
前記制御部は、前記識別タグに既に記録されている制御情報により、前記規定休止時間の設定を変更する時間設定変更手段を有することを特徴とする呼吸用気体の加温加湿器。
【請求項2】
前記履歴管理手段は、前記時間記録手段により時間の経過に伴い更新される最新の現在時間情報と前記開始時間情報との差分から前記チャンバの継続使用時間を算出して、前記チャンバの継続使用を管理するチャンバ継続使用管理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の呼吸用気体の加温加湿器。
【請求項3】
前記チャンバ継続使用管理手段は、前記継続使用時間が予め設定された推奨使用時間を経過した場合に警告を行う警告手段を有することを特徴とする請求項に記載の呼吸用気体の加温加湿器。
【請求項4】
前記チャンバ継続使用管理手段は、前記継続使用時間が前記推奨使用時間より長い時間として予め設定された規定使用時間を経過した場合に、新たな警告を行う第2警告手段を有することを特徴とする請求項に記載の呼吸用気体の加温加湿器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記識別タグに既に記録されている制御情報により、前記呼吸用気体の温度、流量の少なくともいずれかの設定を変更する呼吸用気体設定変更手段を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の呼吸用気体の加温加湿器。
【請求項6】
前記時間設定変更手段は、前記識別タグに既に記録されている制御情報により、前記推奨使用時間又は前記規定使用時間の少なくともいずれかの設定を変更することを特徴とする請求項に記載の呼吸用気体の加温加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸器や酸素吸入療法等に用いられる呼吸用気体を適度の温度、湿度に維持するための加温加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
所定量の酸素を含んだ呼吸用気体を患者の気道へ送る人工呼吸器や、酸素吸入療法のための装置が知られている。このような装置においては、患者に乾燥した呼吸用気体が供給されると、時間の経過とともに患者の喉、鼻腔及び粘膜を乾燥させ、患者に不快感を与えるだけではなく、気道の損傷をもたらすおそれがある。このため、従来から呼吸用気体に水蒸気を取り込んで適度の温度、湿度に維持するための加温加湿器が用いられてきた。
【0003】
このような呼吸用気体の加温加湿器としては、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されているような水を溜めたチャンバ内に呼吸用気体を通過させ、蒸発した水分で加湿するもの等が知られている。
例えば、特許文献1では、水を溜めるチャンバに発熱体が設けられており、チャンバ内の水を加熱することにより、蒸発速度を増加させ、チャンバを通過する呼吸用気体(呼吸ガス)に取り込まれる水蒸気の量を増加させた加温加湿器(加湿器)が提案されている。
また、特許文献2では、チャンバの底壁部に伝熱プレートを設けており、その伝熱プレートによりチャンバ内に溜められた水を加熱して温められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011‐512889号公報
【特許文献2】特開2012‐185825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、チャンバ内に溜められた水を加熱することにより加湿を行う加温加湿器では、チャンバの長期使用による汚染防止のため、チャンバは一定期間使用した後に交換される。一方、チャンバを一旦取り外した後、再使用する場合、チャンバ内に残った残留水が腐敗して雑菌等が繁殖するおそれがあり、このようなチャンバを再度使用して加湿を行うと、呼吸用気体を汚染するリスクが高まる。
ところが、加温加湿器において、チャンバの継続使用時間や使用履歴の管理は、人為的な管理に委ねられる場合が多く、確実性を欠くものとなっている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、衛生面が管理された呼吸用気体を供給することができる安全性の高い呼吸用気体の加温加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水を溜めたチャンバ内に呼吸用気体を流通させて加温加湿する呼吸用気体の加温加湿器であって、前記チャンバに該チャンバの個体を識別するとともに情報を入出力可能な識別タグが設けられ、前記チャンバが着脱可能に取り付けられる本体に、前記識別タグとの通信を行う通信部と、前記通信部を介して前記識別タグとの間の情報を管理する制御部とが設けられており、前記制御部は、前記識別タグに現在時間情報を記録する時間記録手段と、前記識別タグに前記チャンバが最初に使用されたことを示す開始時間情報を記録する使用開始記録手段と、前記開始時間情報により前記チャンバの使用履歴を管理する履歴管理手段とを有し、前記履歴管理手段は、前記識別タグに前記開始時間情報が既に記録されているか否かを判定する使用判定手段と、前記使用判定手段により前記開始時間情報が確認された場合に、前記識別タグに記録済みの前回の前記チャンバ使用時の最も新しい現在時間情報である最後時間情報と新たに前記チャンバの使用が開始された際の現在時間情報である再使用開始時間情報との差分から前記チャンバの休止時間を算出する休止時間算出手段と、前記休止時間により前記チャンバの再使用を管理するチャンバ再使用管理手段とを有し、前記チャンバ再使用管理手段は、前記休止時間が予め設定された規定休止時間以上の場合に、前記チャンバの再使用を停止する手段を有し、前記制御部は、前記識別タグに既に記録されている制御情報により、前記規定休止時間の設定を変更する時間設定変更手段を有する。
【0008】
チャンバ自体に識別タグを設けて、その識別タグに記録された開始時間情報の履歴により、チャンバを適切に管理することができる。このため、複数のチャンバがある場合にも、各チャンバを取り違えることなく、円滑に作業を行うことができるとともに、安全性を確実に維持することができる。
一度使用されたチャンバが比較的長い期間放置された場合、チャンバ内に残った残留水が時間の経過に伴い腐敗するおそれがある。このため、過去に使用されたことがあるチャンバを再使用することは、呼吸用気体を汚染するリスクが高まることから望ましくなく、汚染のおそれがあるチャンバの再使用を確実に排除する必要がある。一方、過去に使用されたことのあるチャンバであっても、チャンバ内の残留水が腐敗することなく再使用を開始する場合、例えば、放置された時間が短時間であり、直ちにチャンバの再使用を開始する場合であれば、チャンバ内の残留水が腐敗することなく、安全に使用できる。そこで、過去に使用履歴のあるチャンバについては、休止時間が規定休止時間以上のものだけを排除し、規定休止時間未満のものを救済して、継続して使用できるようにした。これにより、汚染リスクのあるチャンバだけを確実に排除して安全性を確保するとともに、無駄を排除してコスト低減を図ることができる。
チャンバの長期使用による汚染防止のため、一定期間の使用時間が経過したチャンバは清掃や交換を行い、呼吸用気体の衛生状態を保つことが必要である。そこで、時間の経過に伴い更新される現在時間情報と開始時間情報との差分により、チャンバの継続使用を管理することで、衛生面が管理された安全な呼吸用気体を供給することができる。
識別タグに記録された加温加湿器の運転制御方法を変更するための情報(制御情報)に基づいて、規定休止時間の設定を自動的に変更することで、チャンバ毎に、その制御情報に基づいて最適化された制御を自動的に行うことができる。
【0013】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記履歴管理手段は、前記時間記録手段により時間の経過に伴い更新される最新の現在時間情報と前記開始時間情報との差分から前記チャンバの継続使用時間を算出して、前記チャンバの継続使用を管理するチャンバ継続使用管理手段を有するとよい。
【0015】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記チャンバ継続使用管理手段は、前記継続使用時間が予め設定された推奨使用時間を経過した場合に警告を行う警告手段を有するとよい。
警告を行い、チャンバの交換や清掃を促すことにより、呼吸用気体の汚染リスクを低減することができる。
【0016】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記チャンバ継続使用管理手段は、前記継続使用時間が前記推奨使用時間より長い時間として予め設定された規定使用時間を経過した場合に、新たな警告を行う第2警告手段を有するとよい。
継続使用時間が推奨使用時間を経過した後に、さらに警告を行うことで、チャンバ使用の安全性をより高めることができる。
【0017】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記制御部は、前記識別タグに既に記録されている制御情報により、前記呼吸用気体の温度、流量の少なくともいずれかの設定を変更する呼吸用気体設定変更手段を有するとよい。
【0018】
識別タグに記録された加温加湿器の運転制御方法を変更するための情報(制御情報)に基づいて、例えば、大人用、子供用に呼吸用気体の温度、流量の少なくともいずれか(両方でも良い)の設定を自動的に変更することができる。
【0019】
本発明の呼吸用気体の加温加湿器において、前記時間設定変更手段は、前記識別タグに既に記録されている制御情報により、前記推奨使用時間又は前記規定使用時間の少なくともいずれかの設定を変更するとよい。
【0020】
識別タグに記録された加温加湿器の運転制御方法を変更するための情報(制御情報)に基づいて、推奨使用時間又は規定使用時間の少なくともいずれか(全てでも良い)の設定を自動的に変更することで、チャンバ毎に、その制御情報に基づいて最適化された制御を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、チャンバの使用履歴を管理することにより、衛生面が管理された安全な呼吸用気体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態の呼吸用気体の加温加湿器を示す斜視図である。
図2図1に示す加温加湿器のチャンバ部分の要部断面図であり、図1に示す状態からチャンバを取り外した状態を示す。
図3図1に示す呼吸用気体の加温加湿器のブロック図である。
図4図1に示す呼吸用気体の加温加湿器のメイン制御フローのフローチャートである。
図5図4の識別タグ認識処理のフローチャートである。
図6図4のカウンタ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る呼吸用気体の加温加湿器の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1図3に示す本実施形態の呼吸用気体の加温加湿器100は、例えば、自発呼吸を補助して呼吸障害を治療するためのCPAP装置等に接続されて用いられる。CPAP装置は、持続気道陽圧(CPAP:continuous positive airway pressure)と呼ばれる方式の補助喚起法を用いて患者に治療を施す装置であり、ネーザルプロング、気管挿管チューブ、鼻マスク等の患者インターフェースを介して所定量の酸素と空気との混合気体からなる呼吸用気体を患者に供給する。そして、加温加湿器100は、患者に供給される呼吸用気体を適度の温度及び湿度に維持するために設けられており、図示は省略するが、ガス供給機(例えば、CPAP装置)から送られる呼吸用気体は加温加湿器100で加温加湿され、患者に供給されるようになっている。
【0024】
加温加湿器100は、図1に示すように、制御部等が内蔵された本体1と、本体1と一体に設けられた基台2と、基台2に着脱可能に設けられたチャンバ3と、チャンバ3内に呼吸用気体を送り込む供給用ホース4と、加温加湿後の呼吸用気体をチャンバ3から患者インターフェースに送り出すインターフェース接続ホース5と、チャンバ3内に水を供給する給水部6とを備える。
なお、加温加湿器100は、図1に示すように、キャスタ71により移動自在な架台7上に載置されており、架台7とともに全体を移動可能になっている。また、図示は省略するが、加温加湿器100には、チャンバ3内に呼吸用気体を送り込むためのガス供給機が接続される。
【0025】
基台2は、図2に示すように、チャンバ3の側面部と下部を嵌め込むことによりチャンバ3を装着可能な凹部21が形成されており、その凹部21の中心部にほぼ円柱状のヒータ22が垂直に立設されている。そして、ヒータ22の表面は、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)からなるヒートシンク23で気密に覆われた構成とされている。また、図1及び図2では図示されていないが、基台2には、チャンバ3内に溜められた水の水位を検出するための水位センサ25(図3参照)が設けられており、加温加湿器100の運転時にチャンバ3内の水位に応じて、給水部6から水が供給されるようになっている。
【0026】
チャンバ3は、図2に示すように、水を溜める容器部8とその容器部8の上部に取り付けられる蓋部9とから構成されており、容器部8と蓋部9とで形成されるチャンバ3の内部空間に呼吸用気体を通過させることにより、呼吸用気体を加温加湿できるようになっている。チャンバ3は、上述したように、基台2に着脱可能に設けられ、使用状況に応じて交換可能とされる。なお、チャンバ3内には、図2に示すように、例えばレーヨンやポリエステル、綿などの天然素材により形成された不繊布等の吸水性及び通気性に優れたシート状加湿部材85が設けられ、このシート状加湿部材85の下端部を容器8内の水に浸漬した状態で加温加湿が行われる。
【0027】
また、チャンバ3としては、必要とする流量レンジによって、供給用ホース4やインターフェース接続ホース5との接続口のサイズ、シート状加湿部材85のサイズ等の仕様が変更された複数の異なるバリエーションのチャンバを使用できる。
具体的には、例えば、大人用のチャンバと子供用のチャンバとは、容量(外形のサイズ)は同じに形成されるが、供給用ホース4やインターフェース接続用ホース5の接続口の径や、内部に取り付けられるシート状加湿部材85の大きさ等が、大人用のチャンバよりも子供用のチャンバの方が小さく形成されている。なお、子供用のチャンバを使用する際には、内部空間を通過させる呼吸量気体の流量が大人用のチャンバを使用する場合よりも低く設定され、ヒータの出力も大人用のチャンバを使用する場合と比べて子供用のチャンバを使用する場合の方が低く設定される。
【0028】
そして、複数用意される各チャンバ3には、図1及び図2では図示されていないが、それぞれの識別(個体の識別)を行うための識別タグ41が取り付けられている。なお、加温加湿器100には、呼吸用気体の温度を計測する温度センサ26(図3参照)が設けられるが、さらに呼吸用気体の湿度を計測する湿度センサを設けることもできる。
【0029】
容器部8及び蓋部9は、例えばポリカーボネート樹脂(PC)やPMMA等のアクリル樹脂、ポリスルホン樹脂(PSU)等の透明な樹脂により形成されている。なお、本実施形態の各チャンバ3においては、容器部8と蓋部9とは接着された状態で使用される。また、チャンバ3は、基台2に設けられるヒンジ機構部24に着脱可能に設けられており、加温加湿器100においては、チャンバ3とヒンジ機構部24とを連結することで、チャンバ3が正規の位置に搭載されていることを検知するようになっている。
【0030】
各チャンバ3に取り付けられる識別タグ41は、複数種類の情報を記録するとともに、使用状況に応じた追加の情報を読み書き(入出力)することが可能なものである。識別タグ41には、例えばRFID等の無線通信可能な識別タグが好適に用いられる。また、パスワードによるロック機能等を有する識別タグを用いることで、書き込み情報の改ざんを防止することができる。その情報として、識別タグ41には、加温加湿器100の運転制御方法を変更するための情報(制御情報)の他、各チャンバ3の製造年月日、ロット番号、バージョン情報、サイズ、有効期限等のチャンバの仕様に関する情報(仕様情報)等の複数種類の情報が記録されている。
【0031】
本体1の内部には、図3のブロック図に示すように、加温加湿器100の運転制御を行う制御部11と時間を計る時計手段12とが収容されている。また、本体1の外観の見えやすい位置には、加温加湿器100の電源のオン・オフを行う電源スイッチ等を備える操作部13と、加温加湿器100の運転状況等を表示する表示部14とが設けられている。さらに、本体1には、チャンバ3が基台2に載置された状態において、チャンバ3に取り付けられた識別タグ41との通信を行う通信部15が設けられ、通信部15を介して識別タグ41からの情報の読み取りと、識別タグ41への情報の書き込みとの双方が行えるようになっている。
【0032】
制御部11の入力部は、操作部13、水位センサ25や温度センサ26等の各種センサ及び時計手段12に接続され、出力部は、表示部14、給水部6、ヒータ22及び外部のガス供給機に接続されている。そして、制御部11は、入力部に接続された各部位からの信号を受信して、出力部に接続された各部位を制御する。すなわち、制御部11は、水位センサ25や温度センサ26等の各種センサからの検出データを受けて、通信部15、給水部6及びヒータ22等に指令を行う。具体的には、通信部15による識別タグ41への情報の読み書き、表示部14への運転状況の表示、給水部6によるチャンバ3内への給水及び停止、ヒータ22の駆動及び停止等を行う。
【0033】
次に、加温加湿器100の動作について、図4図6のフローチャートを用いて説明する。図4は加温加湿器100の制御動作のメインフローであり、図5図4に示す識別タグ認識処理のフローであり、図6図4に示すカウンタ処理のフローである。
まず、チャンバ3を基台2に載置し、蓋部9とヒンジ機構部24とを連結することにより、チャンバ3を本体1に固定する。また、蓋部9に供給用ホース4等の接続を行う。
【0034】
次に、本体1の操作部13を操作して、電源スイッチをオンにする(ステップS11)。ステップS11により電源スイッチが入れられると、時計手段12が作動し、時刻の計測が開始される。そして、ステップS11からステップS12に移行し、制御部11はセルフチェックを行う。ステップS12のセルフチェックは、ヒータ22の接続状態、水位センサ25や温度センサ26等の各種センサ系統の接続状態、チャンバ3の載置状態等が正常であるかを確認する。セルフチェックで異常が確認された場合は、ステップS19に移行し、制御部11は、各部位に運転停止の指令を出し、運転を停止する。
【0035】
一方、セルフチェックが正常に終了した場合は、ステップS13に移行し、制御部11は、チャンバ3内の水位が所定水位であるかを確認する。チャンバ3内の水位は、水位センサ25の検出データにより確認される。そして、チャンバ3内の水の水位が所定水位以下である場合には、制御部11から給水部6に指令を出し、ポンプ64を駆動して給水バック62からチャンバ3内に給水を行う。この際、チャンバ3内の水の水位が所定水位に到達するまで、給水部6によるチャンバ3内への給水と、水位センサ25によるチャンバ3内の水位の確認とが繰り返される。チャンバ3内の水の水位が所定水位まで到達したら、ステップS15に移行する。
【0036】
ステップS15の識別タグ認識処理は、図5で定義されるフローに沿って行われる。
図4のメインフローでステップS15に移行すると、図5のステップS21に移行し、チャンバ3に取り付けられた識別タグ41の認識を行う。つまり、制御部11は通信部15を介して、識別タグ41が認識可能であるか、すなわち読み書きが可能であるかを確認する。このステップS21において識別タグ41の認識ができない場合には、すなわち、識別タグ41がチャンバ3に正常に取り付けられていない場合や、書き込み異常により識別タグ41が使用できない場合等には、ステップS22に移行し、表示部14に警告表示を点灯する。ここでは、表示部14に「お知らせ表示C」を点灯することにより、識別タグ41が認識できないことを使用者に警告する。「お知らせ表示C」は、例えば、チャンバ3の形状を模した青色のピクトグラムを比較的長い間隔で点滅させることにより行う。ステップS22からステップS23に移行し、制御部11は、各部位に運転停止の指令を出して運転を停止する。
【0037】
ステップS21において識別タグ41が正常に認識できた場合は、ステップS24に移行する。ステップS24では、制御部11は、通信部15を介して予め識別タグ41に記録されているチャンバ3の制御情報を読み出し、その制御情報に基づいて規定休止時間、推奨使用時間又は規定使用時間の少なくともいずれかの設定を変更する。具体的には、基体1に固定されているチャンバ3が、例えば、大人用のチャンバであるのか、子供用のチャンバであるのかが識別タグ41に記録された制御情報から判断され、その制御情報に基づいて、規定休止時間、推奨使用時間又は規定使用時間の少なくともいずれかの設定を変更する。この際、規定休止時間、推奨使用時間又は規定使用時間の全ての設定を変更することもできる。このステップS24を実行する手段が、本発明の時間設定変更手段に相当し、通信部15を介して制御部11により実行される。
【0038】
次に、ステップS25に移行し、ステップS25では、制御部11は、通信部15を介して識別タグ41に記録された開始時間情報を読み出し、チャンバ3の使用履歴を確認する。このステップS25を実行する手段が、本発明の使用判定手段に相当し、通信部15を介して制御部11により実行される。チャンバ3が過去に使用された履歴は、チャンバ3が最初に使用されたことを示す開始時間情報が既に記録されているか否かにより判定する。つまり、識別タグ41に開始時間情報の記録が存在しない場合には、新規のチャンバ3であると判定してステップS26に移行する。ステップS26では、現在時間情報を開始時間情報として識別タグ41に新たに書き込みを行う(記録する)。このステップS26を実行する手段が、本発明の使用開始記録手段に相当し、通信部15を介して制御部11により実行される。そして、制御部11は、開始時間情報の書き込みから加温加湿器100の運転が停止されるまでの間、時計手段12がカウントする現在時間情報を10分毎に、通信部15を介して識別タグ41に記録する。この10分毎に通信部15を介して識別タグ41に記録する手段が、本発明の識別タグに現在時間情報を記録する時間記録手段に相当し、時計手段12の計時の下に通信部15を介して制御部11により実行される。なお、現在時間情報としては、時計手段12の計時のように年月日時分秒等の時刻そのものの情報の他にも、システム内で時刻と同様に扱うことが可能なカウント値等を使用することができる。識別タグ41に開始時間情報を記録した後、メインフロー(図4)に戻ってステップS16に移行する。
【0039】
一方、識別タグ41に開始時間情報の記録が存在する場合、すなわち開始時間情報が既に記録されている場合には、ステップS25においてチャンバ3が過去に使用されたもの(使用済み)であると判定して、ステップS31に移行する。ステップS31では、識別タグ41に記録済みの最も新しい現在時間情報である最後時間情報の呼出しを行う。次いで、ステップS32に移行して、時計手段12がカウントする現在時間情報を識別タグ41に書き込む。そして、この新たに計測開始され際の現在時間情報である再使用開始時間情報を識別タグ41に記録した後、ステップS33で、識別タグ41に既に記録済みの最後時間情報と再使用開始時間情報との差分から、チャンバ3の休止時間を算出する。このステップS33を実行する手段が、本発明の休止時間算出手段に相当し、制御部11により実行される。ステップS34では、ステップS33で算出された休止時間が予め設定された規定休止時間以内であるかを確認する。
【0040】
一度使用されたチャンバ3が比較的長い期間放置された場合、チャンバ3内に残った残留水が時間の経過に伴い腐敗するおそれがある。このため、過去に使用されたことがあるチャンバ3を再使用することは、呼吸用気体を汚染するリスクが高まることから望ましくなく、汚染のおそれがあるチャンバ3の再使用を確実に排除する必要がある。一方、過去に使用されたことのあるチャンバ3であっても、チャンバ3内の残留水が腐敗することなく再使用を開始する場合、例えば、放置された時間が短時間であり、直ちにチャンバ3の再使用を開始する場合であれば、チャンバ3内の残留水が腐敗することなく、安全に使用できる。そこで、加温加湿器100では、過去に使用履歴のあるチャンバ3については、休止時間が規定休止時間を超えるものだけを排除し、規定休止時間以下のものを救済して継続して使用できるように、ステップS34で管理する。なお、加温加湿器100では、ステップS24において、予めチャンバ3の制御情報に基づいて規定休止時間が設定されている。
【0041】
具体的には、規定休止時間は、菌の繁殖の観点から設定される。菌は、チャンバ内部よりも患者に装着されたカニューラ等のインターフェース付近で繁殖することが多い。呼吸用気体の加温加湿器100を保育器と連携して使用する場合、すなわち子供用のチャンバを使用する場合には、保育器の清拭や交換の際に加温加湿器100が休止されることとなるが、この休止時間中には、必ず子供(児)の身体やインターフェース等の機器を清拭することから、菌の繁殖が抑制されており、規定休止時間は比較的長く設定できる。一方、大人の場合には、子供ほどに看護が手厚くなく、休止時間中にインターフェースの清拭等は行われないことが多いため、菌の繁殖が懸念され、規定休止時間を長くすることは望ましくない。そこで、規定休止時間は、例えば子供用のチャンバの場合は12時間、大人用のチャンバの場合は6時間を目安に設定される。
【0042】
そして、ステップS34では、休止時間が規定休止時間以内の場合は、メインフローに戻ってステップS16に移行する。一方、休止時間が規定休止時間を超える場合は、ステップS34に移行し、表示部14に警告表示を行った後、ステップS35に移行して各部位の動作を停止する。この場合も、制御部11は、新たな現在時間情報の記録から加温加湿器100の運転が停止されるまでの間、時計手段12がカウントする現在日時を10分毎に、通信部15を介して識別タグ41に記録する。なお、識別タグ41に一度記録された開始時間情報は上書きされることなく、チャンバ3の使用が複数回休止されることがあっても、最初に記録された開始時間情報が保持される。ここまでのステップS34〜S36を実行する手段が、本発明のチャンバ3の再使用を管理するチャンバ再使用管理手段に相当し、制御部11により実行される。
【0043】
上述したように、識別タグ41に開始時間情報の記録が存在しないチャンバ3、又は休止時間が規定休止時間以内であると判断されたチャンバ3は、メインフローのステップS16に移行する。そして、制御部11は、ヒータ22を作動して加温加湿(運転)を開始し、呼吸用気体が所定温度に温められると、ガス供給機と連動して呼吸用気体の供給を開始する。なお、ヒータ22の作動中は、チャンバ3内の水が消費されることに伴い水位が低下するが、チャンバ3内の水位の低下が水位センサ25により検知されると、制御部11は給水部6に指令を出し、給水部6からチャンバ3内に水が自動給水される。
そして、ヒータ22の作動を開始した後、ステップS17のカウンタ処理が開始され、図6で定義されるフローに沿ってチャンバ3の継続使用時間が管理される。継続使用時間は、10分毎に更新される最新の現在時間情報と記録済みの開始時間情報との差分により算出される時間である。
【0044】
図4のメインフローでステップS17に移行すると、図6のステップS41に移行し、チャンバ3の継続使用時間の経過がモニタリングされ、予め設定された推奨使用時間(例えば6日間)を経過したか否かを繰り返し確認する。このステップS41を実行する手段は、後述するステップS43を実行する手段とともに、本発明のチャンバ継続使用管理手段に相当するものであり、時計手段12の計時を下に制御部11により実行される。
チャンバ3の長期使用による汚染防止のため、一定期間経過したチャンバ3は清掃や交換を行い、呼吸用気体の衛生状態を保つことが必要である。そこで、ステップS41やステップS43では、現在時間情報と開始時間情報との差分から算出される継続使用時間により、チャンバ3の継続使用を管理する。
【0045】
この場合、制御部11は、10分毎に現在時間情報を識別タグ41に書き込むとともに、更新された最新の現在時間情報に基づいて継続使用時間を確認する。この継続使用時間が予め設定された推奨使用時間以内であれば、ステップS41に戻り、次に更新される最新の現在時間情報に基づいて継続使用時間が判断される。そして、継続使用時間が推奨使用時間を超えるまで、ステップS41が繰り返される。なお、加温加湿器100では、ステップS24において、予めチャンバ3の制御情報に基づいて推奨使用時間が設定されている。
【0046】
一方、ステップS41で継続使用時間が推奨使用時間を経過したことが確認されると、ステップS42に移行して、表示部14に警告表示を点灯する。ここでは、表示部14に「お知らせ表示A」を点灯することにより、チャンバ3の継続使用時間が推奨使用時間を超えたことを使用者に警告し、使用者にチャンバ3の交換を促す。「お知らせ表示A」は、例えば、チャンバ3の形状を模した青色のピクトグラムを、常時点灯することにより行う。なお、ステップS42による警告後も、チャンバ3の継続使用時間のモニタリングが継続される。このステップS42を実行する手段が、本発明の警告手段に相当し、制御部11により表示部14に警告を表示することにより実行される。
【0047】
次に、ステップS42の警告後は、ステップS43に移行し、予め設定された規定使用時間(例えば、7日間)を経過したか否かを繰り返し確認する。この規定使用時間は、推奨使用時間よりも長い時間に設定され、加温加湿器100では、ステップS24において、予めチャンバ3の制御情報に基づいて規定使用時間が設定されている。ステップS43を実行する手段は、本発明のステップS41とともに、本発明のチャンバ継続使用管理手段に相当するものであり、時計手段12の計時を下に制御部11により実行される。この場合も、10分毎に更新される最新の現在時間情報に基づいて、継続使用時間を確認する。継続使用時間が規定使用時間以内であれば、継続使用時間が規定使用時間を超えるまでステップS43が繰り返される。一方、継続使用時間が規定使用時間を経過すると、ステップS44に移行して、表示部14に警告表示を点灯する。ここでは、表示部14に表示されている「お知らせ表示A」を「お知らせ表示B」に切り替えることにより、チャンバ3の継続使用時間が規定使用時間を超えたことを使用者に警告し、チャンバの交換を促す。「お知らせ表示B」は、例えば、「お知らせ表示A」と同様のチャンバ3の形状を模した青色のピクトグラムを、常時点灯から比較的短い間隔で点滅に切り替えることにより行う。このステップS44を実行する手段が、本発明の第2警告手段に相当し、制御部11により表示部14に警告を表示することにより実行される。
【0048】
ここまでのステップS25〜S44、すなわち使用判定手段(ステップS25)、休止時間算出手段(ステップS33)、チャンバ再使用管理手段(ステップS34)、チャンバ継続使用管理手段(ステップS41,S43)、警告手段(ステップS42)、第2警告手段(ステップS44)等を実行する手段が、本発明の履歴管理手段に相当し、上述したように、これらの手段は制御部11により実行される。
【0049】
そして、ステップS44による警告後、メインフローに戻ってステップS18に移行する。なお、ステップS44による警告後も、加温加湿器100の運転は継続され、制御部11は、最新の現在時間情報を、10分毎に識別タグ41に書き込む。
ステップS18では、操作部13の運転スイッチがオフにされるか、チャンバ3が基台2から取り外されるかして、制御部11から運転停止命令が受信されるまで、加温加湿器100の運転を継続する。この際も、制御部11は、最新の現在時間情報を10分毎に識別タグ41に書き込み、識別タグ41の現在時間情報の記録を更新する。そして、制御部11は、運転停止命令が受信されると、ヒータ22及び給水部6の動作を停止し、加温加湿器100の運転が停止される。
なお、メインフロー(図4)や、識別タグ認識処理フロー(図5)及びカウンタ処理(図6)には図示していないが、これらフローのいずれのステップにおいても、制御部11から運転停止命令が受信された場合は運転停止命令が優先され、加温加湿器100の運転が停止される。
【0050】
上記実施形態では、識別タグ認識処理フロー(図5)を通過して、加温加湿運転が開始された後は、加温加湿の強制的な運転停止を行わず、推奨使用時間や規定使用時間の経過後も継続して運転を可能としている。このため、使用者は好適なタイミングでチャンバ3の清掃や交換を行うことができる。なお、上記実施形態では、使用者からの指示(操作部13の電源スイッチのオフ、又はチャンバ3の取外し)があるまで加温加湿の運転を継続することとしたが、継続使用時間が規定使用時間を経過した後に、警告だけではなく、強制的に運転を終了するフローとすることもできる。また、規定使用時間の経過後の警告を行った後、さらに一定時間経過するまでに停止の指示が行われない場合に限り、加温加湿器100の運転を強制的に停止するフローとすることもできる。
【0051】
本実施形態の呼吸用気体の加温加湿器100によれば、開始時間情報の記録の有無により、過去に使用履歴のあるチャンバ3を確実に検出することができる。また、識別タグ41に記録された最後時間情報により、現在までの休止時間を算出して、休止時間が規定休止時間を超えるものだけを排除し、規定休止時間以下のものを救済して継続して使用できる。これにより、汚染リスクのあるチャンバ3だけを確実に排除して安全性を確保するとともに、無駄を排除してコスト低減を図ることができる。
【0052】
また、チャンバ3の長期使用による汚染防止のため、一定期間の使用時間が経過したチャンバは清掃や交換を行い、呼吸用気体の衛生状態を保つことが必要であるが、一定時間ごとに更新される現在時間情報と開始時間情報との差分から算出される継続使用時間により、チャンバ3の継続使用を管理することで、衛生面が管理された安全な呼吸用気体を供給することができる。
そして、継続使用時間が予め設定された推奨使用時間を経過した場合に、警告手段により警告を行い、使用者にチャンバ3の交換や清掃を促すこととしているので、呼吸用気体の汚染リスクを低減することができる。さらに、継続使用時間が推奨使用時間を経過した後に、第2警告手段により再度の警告を行うこととしているので、チャンバ使用の安全性をより高めることができ、呼吸用気体の汚染を確実に防止することができる。
【0053】
また、呼吸用気体の加温加湿器100では、識別タグ41に記録された加温加湿器100の運転制御方法を変更するための情報(制御情報)に基づいて、規定休止時間、推奨使用時間又は規定使用時間の少なくともいずれか(全てでも良い)の設定を自動的に変更することとしている。したがって、チャンバ3毎に、その制御情報に基づいて最適化された制御を自動的に行うことができる。
【0054】
なお、上述のように、チャンバの制御情報に基づいて時間管理を行う他にも、チャンバ3の制御情報に基づいてヒータ出力や流量の設定を自動的に変更してもよい。この場合、前述したステップS24の設定変更処理において、制御部11が、通信部15を介して予め識別タグ41に記録されている加温加湿器100の運転制御方法を変更するための制御情報を読み出し、その制御情報(例えば大人用、子供用の制御情報)に基づいて呼吸用気体の温度(ヒータ出力)、流量の少なくともいずれか(両方でも良い)の設定を変更する。この設定変更のための手段を呼吸用気体設定変更手段とし、通信部15を介して制御部11により実行される。
【0055】
このように、本実施形態の呼吸用気体の加温加湿器100においては、チャンバ3自体に識別タグ41を設けて、その識別タグ41に記録された開始時間情報の履歴により、チャンバ3の衛生面を適切に管理することができる。このため、複数のチャンバ3がある場合にも、各チャンバ3を取り違えることなく、円滑に作業を行うことができ、安全性を確実に維持することができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、使用者への警告の手段は、表示部14への警告表示だけではなく、ブザー等の報知手段を設けて警告音を発することにより行うこととしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、識別タグ41に記録された過去の開始時間情報や現在時間情報の時間情報により、休止時間と継続使用時間とを管理することとしていたが、継続使用時間から休止時間を減じた通電時間を管理することもできる。また、これらの時間管理以外にも、識別タグに記録された製造年月日、ロット番号、バージョン情報、サイズ、有効期限、通電時間等のチャンバの仕様に関する情報(仕様情報)等の複数種類の情報に基づいて、チャンバ毎に異なる制御を行うことも可能である。
例えば、チャンバは、上述したように、呼吸用気体を供給する流量レンジの異なる複数のバリエーションのものが用いられ、呼吸用気体の加温加湿器においては、必要とする流量レンジによって供給用ホースやインタフェース接続ホースとの接続口のサイズ等の仕様が変更されたチャンバを適宜交換して使用可能としている。ところが、チャンバの仕様によって必要なヒータ出力や反応速度が異なることから、チャンバの仕様に合わせてヒータ出力等を最適化する必要があるが、これらの情報を予め識別タグに記録しておくことで、識別タグの情報に基づいて自動的に流量レンジの異なる制御を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 本体
2 基台
3 チャンバ
4 供給用ホース
5 インターフェース接続ホース
6 給水部
7 架台
8 容器部
9 蓋部
11 制御部
12 時計手段
13 操作部
14 表示部
15 通信部
21 凹部
22 ヒータ
23 ヒートシンク
24 ヒンジ機構部
25 水位センサ
26 温度センサ
41 識別タグ
62 給水バック
64 ポンプ
71 キャスタ
100 呼吸用気体の加温加湿器
図1
図2
図3
図4
図5
図6