(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁箱に形成された一対の開口部と、これら両開口部間に形成された弁箱流路と、弁箱流路を開閉する弁体と、弁棒とを有し、少なくとも一方の開口部が弁箱流路の軸心に対して傾斜している弁の圧力試験装置であって、
弁の一方の開口部の周縁部に押圧可能な一方の治具と、他方の開口部の周縁部に押圧可能な他方の治具と、少なくとも片方の治具から弁箱内に加圧用流体を供給する加圧用流体供給手段とを有し、
少なくとも一方の治具は他方の治具に対して接近離間する方向へ移動自在であり、
一対の治具で弁を挟んだ状態で、弁箱の一対の開口部間の距離が拡大する所定方向への弁のずれを防止するずれ止め手段が備えられていることを特徴とする圧力試験装置。
ずれ止め手段は、少なくとも片方の治具に設けられ、一対の治具で弁を挟んだ状態で、所定方向において弁箱の外面に係止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力試験装置。
ずれ止め手段は、少なくとも片方の治具に設けられ、一対の治具で弁を挟んだ状態で、弁の少なくとも片方の開口部に挿入され、所定方向において弁箱に係止することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧力試験装置。
ずれ止め手段は、少なくとも片方の治具に設けられ、一対の治具で弁を挟んだ状態で、弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に外嵌され、所定方向において弁箱に係止することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧力試験装置。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の弁の圧力試験装置としては、例えば、
図15に示すように、弁200を支持する支持台201と、シール装置202と、加圧装置203とを備えたものがある。弁200は、弁箱204の両端部にフランジ205,206を有しており、支持台201上に支持されている。
【0003】
シール装置202は、一対のシール治具208,209と、これらシール治具208,209を駆動するシリンダ装置211,212とを有している。
これによると、一方のシリンダ装置211により、一方のシール治具208が移動して弁200の一方のフランジ205に押し当てられ、一方のフランジ205の開口部が密閉され、他方のシリンダ装置212により、他方のシール治具209が移動して弁200の他方のフランジ206に押し当てられ、他方のフランジ206の開口部が密閉される。この状態で加圧装置203を作動し、水圧を弁箱204内の流路に供給し、漏れ等の検査を行う。
【0004】
尚、上記のような圧力試験装置は例えば下記特許文献1に記載されている。
上記の弁200はフランジ205,206を有する一般的な汎用弁であるが、その他に、既設管等に設けられる特殊な形状をした特殊弁がある。
図16に示すように、特殊弁216は、弁箱217に形成された一対の開口部218,219を有し、両開口部218,219が流路軸心220に対してV形状に傾斜したテーパー状の特殊な形状を有している。
【0005】
このような形状の特殊弁216に対応させるために、
図16に示すように、圧力試験装置222のシール治具208,209の先端部を傾斜させることが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図16に示すように、圧力試験を行うために一対のシール治具208,209で特殊弁216の一対の開口部218,219を挟んでシールした際、特殊弁216に対するシール治具208,209の押付力fによって、特殊弁216に上向きの力Fが発生し、特殊弁216が上方向(所定方向の一例)へずれる虞がある。また、弁箱217内に水圧を印加した場合、弁箱217内において水圧が上向きに作用する面積は下向きに作用する面積よりも広いので、特殊弁216に上向きの力Fが発生し、特殊弁216が上方向へずれる虞がある。
【0008】
このようにして特殊弁216が上方向(所定方向の一例)へずれてしまうと、特殊弁216とシール治具208,209とのシールが不十分になり、圧力試験に支障を来すといった問題がある。
【0009】
本発明は、少なくとも一方の開口部が流路軸心に対して傾斜している弁の圧力試験を行う際、弁が所定方向にずれるのを防止することが可能な圧力試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本第1発明は、弁箱に形成された一対の開口部と、これら両開口部間に形成された弁箱流路と、弁箱流路を開閉する弁体と、弁棒とを有し、少なくとも一方の開口部が弁箱流路の軸心に対して傾斜している弁の圧力試験装置であって、
弁の一方の開口部の周縁部に押圧可能な一方の治具と、他方の開口部の周縁部に押圧可能な他方の治具と、少なくとも片方の治具から弁箱内に加圧用流体を供給する加圧用流体供給手段とを有し、
少なくとも一方の治具は他方の治具に対して接近離間する方向へ移動自在であり、
一対の治具で弁を挟んだ状態で、弁箱の一対の開口部間の距離が拡大する所定方向への弁のずれを防止するずれ止め手段が備えられているものである。
【0011】
これによると、弁を一方の治具と他方の治具との間に設置し、一方の治具を他方の治具に対して移動させて、一方の治具を弁の一方の開口部の周縁部に全周にわたり当接させて押圧するとともに、他方の治具を弁の他方の開口部の周縁部に全周にわたり当接させて押圧し、一対の治具間に弁を挟む。
【0012】
この際、弁に対する一方および他方の治具の押付力によって、弁に所定方向の力が発生しても、ずれ止め手段によって所定方向への弁のずれが防止される。
その後、加圧用流体供給手段で片方の治具から弁箱内に加圧用流体を供給することにより、弁箱内に流体圧を印加し、漏れ等の検査を行う。
【0013】
この際、弁箱内の流体圧によって、弁に所定方向の力が発生しても、ずれ止め手段によって所定方向への弁のずれが防止される。
このように、所定方向への弁のずれを防止することができるため、圧力試験に支障を来すことはない。
【0014】
本第2発明における圧力試験装置は、少なくとも一方の治具は、治具本体と、治具本体に着脱自在に設けられた治具端体とを有し、
少なくとも一方の治具の治具端体は弁の一方の開口部の傾斜角度と同角度で傾斜しているものである。
【0015】
これによると、弁を一方の治具と他方の治具との間に設置し、一方の治具を他方の治具に対して移動させて、一対の治具間に弁を挟む。
また、口径の異なる別の弁に対して圧力試験を行う場合、治具端体を治具本体から取り外し、上記別の弁の口径に応じた別の治具端体を治具本体に取り付けることにより、口径の異なる複数種類の弁に対して圧力試験を行うことができる。
【0016】
本第3発明における圧力試験装置は、ずれ止め手段は、少なくとも片方の治具に設けられ、一対の治具で弁を挟んだ状態で、所定方向において弁箱の外面に係止するものである。
【0017】
これによると、一対の治具で弁を挟んだ状態で、弁に所定方向の力が発生しても、ずれ止め手段が所定方向において弁箱の外面に係止することで、所定方向への弁のずれが防止される。
【0018】
本第4発明における圧力試験装置は、ずれ止め手段は、少なくとも片方の治具に設けられ、一対の治具で弁を挟んだ状態で、弁の少なくとも片方の開口部に挿入され、所定方向において弁箱に係止するものである。
【0019】
これによると、弁を一方の治具と他方の治具との間に設置し、一方の治具を他方の治具に対して移動させて、一対の治具間に弁を挟む。この状態で、少なくとも片方の治具のずれ止め手段が、弁の少なくとも片方の開口部に挿入されて、所定方向において弁箱に係止する。これにより、所定方向への弁のずれが防止される。
【0020】
本第5発明における圧力試験装置は、ずれ止め手段は先端ほど縮径するテーパー状の外周面を有し、
一対の治具で弁を挟んだ状態で、ずれ止め手段が弁の少なくとも片方の開口部に挿入されて、ずれ止め手段の外周面が弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に押圧されるものである。
【0021】
これによると、一対の治具間に弁を挟んだ状態で、少なくとも片方の治具のずれ止め手段が弁の少なくとも片方の開口部に挿入されて、ずれ止め手段の外周面が弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に押圧される。これにより、ずれ止め手段が所定方向において弁箱に係止し、所定方向への弁のずれが防止される。
【0022】
また、ずれ止め手段の外周面は先端ほど縮径するテーパー状であるため、弁の開口部の口径が異なった場合であっても、ずれ止め手段を弁の開口部に挿入してずれ止め手段の外周面を開口部の周縁部に押圧することができる。これにより、口径の異なる複数種類の弁に対して圧力試験を行うことができる。
【0023】
本第6発明における圧力試験装置は、ずれ止め手段は、少なくとも片方の治具に設けられ、一対の治具で弁を挟んだ状態で、弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に外嵌され、所定方向において弁箱に係止するものである。
【0024】
これによると、弁を一方の治具と他方の治具との間に設置し、一方の治具を他方の治具に対して移動させて、一対の治具間に弁を挟む。この状態で、少なくとも片方の治具のずれ止め手段が、弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に外嵌されて、所定方向において弁箱に係止する。これにより、所定方向への弁のずれが防止される。
【0025】
本第7発明における圧力試験装置は、ずれ止め手段は先端ほど拡径するテーパー状の内周面を有し、
一対の治具で弁を挟んだ状態で、ずれ止め手段が弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に外嵌されて、ずれ止め手段の内周面が弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に押圧されるものである。
【0026】
これによると、一対の治具間に弁を挟んだ状態で、少なくとも片方の治具のずれ止め手段が弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に外嵌されて、ずれ止め手段の内周面が弁の少なくとも片方の開口部の周縁部に押圧される。これにより、ずれ止め手段が所定方向において弁箱に係止し、所定方向への弁のずれが防止される。
【0027】
また、ずれ止め手段の内周面は先端ほど拡径するテーパー状であるため、弁の開口部の口径が異なった場合であっても、ずれ止め手段を弁の開口部の周縁部に外嵌してずれ止め手段の内周面を開口部の周縁部に押圧することができる。これにより、口径の異なる複数種類の弁に対して圧力試験を行うことができる。
【0028】
本第8発明における圧力試験装置は、弁は既設管に設置されるものである。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によると、少なくとも片方の開口部が流路軸心に対して傾斜している弁の圧力試験を行う際、弁箱内の流体圧によって、弁に所定方向の力が発生しても、ずれ止め手段によって所定方向への弁のずれが防止され、このため、圧力試験に支障を来すことはない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1〜
図3に示すように、1は、既設管に設けられる特殊な形状を有する特殊弁(弁の一例)である。また、
図4,
図5に示すように、2は特殊弁1に水圧を付加して検査を行う圧力試験装置である。
【0032】
図1〜
図3に示すように、特殊弁1は、弁箱11と、弁箱11の上部に設けられた蓋12と、弁箱11に形成された一対の開口部13,14と、これら両開口部13,14間に形成された弁箱流路15と、弁箱流路15を開閉する弁体16と、弁棒17とを有している。
【0033】
弁箱11は円形状の弁箱フランジ部18を有している。また、蓋12内には弁体16を収納する収納部19が形成され、弁体16は全開位置Oにおいて収納部18に収納される。
【0034】
両開口部13,14は、特殊弁1を流れる流体の流入出口であり、弁箱流路15を通る軸心15aに対して傾斜している。両開口部13,14間の距離を距離Aとすると、両開口部13,14は、弁体16の開方向において、上記距離Aが次第に拡大するようにテーパー状(V形状)に傾斜している。
【0035】
各開口部13,14の周縁部21は、弁箱11から弁箱流路15の軸心15aの方向へ突出した円筒状の部分である。
図4,
図5に示すように、圧力試験装置2は、特殊弁1を支持する支持台31と、特殊弁1の一方の開口部13の周縁部21に全周にわたり押圧可能な一方の治具32と、他方の開口部14の周縁部21に全周にわたり押圧可能な他方の治具33と、一方の治具32を保持する一方の保持部材34と、他方の治具33を保持する他方の保持部材35と、一方の保持部材34を他方の保持部材35に対して接近離間させる移動装置36と、一方の治具32から特殊弁1の弁箱11内に水37(加圧用流体の一例)を供給する加圧用流体供給手段38とを有している。
【0036】
支持台31は特殊弁1の弁箱フランジ部18を下方から支持する支持部31aを有している。また、支持台31は、複数の車輪40を介してレール41上に支持案内され、一方の治具32と他方の治具33との間の移動経路42に沿って移動自在である。
【0037】
一方および他方の保持部材34,35はそれぞれ円板状の部材であり、一方の保持部材34は、他方の保持部材35に対し、移動経路42に沿って移動自在である。
移動装置36としては例えば油圧シリンダ等が用いられ、ピストンロッド44の先端に一方の保持部材34が設けられている。他方の保持部材35は固定フレーム45に固定され、ピストンロッド44の伸縮により、一方の保持部材34が、移動経路42に沿って移動し、他方の保持部材35に対して接近離間する。
【0038】
図6〜
図8に示すように、一方の治具32は、治具本体47と、治具本体47に着脱自在に設けられた治具端体48とを有している。治具本体47は、円筒部材50と、円筒部材50の基端部に設けられた取付用フランジ51と、円筒部材50の先端部に設けられた受け板52とを有している。取付用フランジ51は、複数のねじ54によって、着脱自在に一方の保持部材34に取り付けられている。
【0039】
尚、一方の保持部材34の表面には、直径の異なる複数のOリング55(シール体の一例)が同心円状に設けられている。これらOリング55によって一方の保持部材34と取付用フランジ51との間がシールされ、水密性が保たれる。受け板52は、嵌込口57を有する円環状の部材であり、特殊弁1の一方の開口部13の傾斜角度と同角度で傾斜している。
【0040】
治具端体48は、連通口59と、嵌込口57に脱抜自在に嵌め込まれる嵌込部60とを有する、円環状の部材である。また、治具端体48は、嵌込部60を嵌込口57に嵌め込むことにより、特殊弁1の一方の開口部13の傾斜角度と同角度で傾斜した状態で、治具本体47に取付けられる。治具本体47内と特殊弁1の一方の開口部13とは治具端体48の連通口59を介して連通する。
【0041】
尚、治具端体48には、治具端体48と受け板52との間をシールするOリング62(シール体の一例)が設けられている。また、治具端体48には、特殊弁1の一方の開口部13の周縁部21に圧接されるシール部材64が設けられている。シール部材64は、例えばウレタンゴム等を材質とし、横断面が四角形のリング状の部材である。また、治具端体48の端面には、断面が四角形の溝65が全周にわたり形成されており、シール部材64は溝65に嵌め込まれている。
【0042】
他方の治具33も、治具本体47と治具端体48とを有しており、一方の治具32と同様に構成されている。
上記のような一対の治具32,33で特殊弁1を挟んだときに、上方向Uへの特殊弁1のずれを防止するずれ止め部材68,69(ずれ止め手段の一例)が両方の治具32,33に備えられている。尚、上方向Uは弁箱11の一対の開口部13,14間の距離A(
図1参照)が拡大する所定方向の一例であって、上記距離Aは上方向Uほど拡大している。
【0043】
このうち、一方のずれ止め部材68は、高さ調節部材76を介して一方の治具32の取付用フランジ51の上端部に取付けられ、取付用フランジ51から他方のずれ止め部材69に向って突出している。尚、一方のずれ止め部材68と高さ調節部材76とは、ボルト等の締結具77により、着脱自在に一方の治具32の取付用フランジ51に取り付けられている。
【0044】
また、他方のずれ止め部材69は、高さ調節部材76を介して他方の治具33の取付用フランジ51の上端部に取付けられ、取付用フランジ51から一方のずれ止め部材68に向って突出している。尚、他方のずれ止め部材69と高さ調節部材76とは、ボルト等の締結具77により、着脱自在に他方の治具33の取付用フランジ51に取り付けられている。
【0045】
これら両ずれ止め部材68,69は、
図5,
図6に示すように、一対の治具32,33で特殊弁1を挟んだ状態で、上方向Uにおいて弁箱フランジ部18の外面に係止する。
また、両ずれ止め部材68,69は、先端部下面に、保護部材71を有している。保護部材71は、材質が例えばポリアミド系の樹脂であり、ずれ止め部材68,69が弁箱フランジ部18に係止した際、弁箱フランジ部18の表面を保護するものである。
【0046】
図4〜
図6に示すように、加圧用流体供給手段38は、一方の保持部材34に形成された流路74と、一方の保持部材34に接続された配管75とを有している。配管75は、可撓性を有するホース等から成り、流路74の一端部に連通している。また、流路74の他端部は一方の治具32の円筒部材50内に連通している。
【0047】
以下、上記構成における作用を説明する。
図4に示すように、特殊弁1を上方から支持台31上に載置することにより、弁箱フランジ部18が支持部31aによって下方から支持される。
【0048】
その後、移動装置36のピストンロッド44を伸長し、一方の保持部材34を移動経路42に沿って移動させて他方の保持部材35に接近させることにより、
図5に示すように、特殊弁1が、一方の治具32によって押され、支持台31を介して移動経路42上を移動し、両治具32,33間に挟まれる。
【0049】
この際、
図6に示すように、一方の治具32のシール部材64が特殊弁1の一方の開口部13の周縁部21に全周にわたり当接して押圧されるとともに、他方の治具33のシール部材64が特殊弁1の他方の開口部14の周縁部21に全周にわたり当接して押圧されることで、一方の治具32と特殊弁1との間および他方の治具33と特殊弁1との間が確実にシールされる。
【0050】
このように一対の治具32,33で特殊弁1を挟んだ際、
図3,
図5,
図6に示すように、両ずれ止め部材68,69が上方向Uにおいて弁箱フランジ部18の外面に係止するため、特殊弁1に対する両治具32,33の押付力fによって、特殊弁1に上方向Uの力Fが発生しても、両ずれ止め部材68,69によって上方向Uへの特殊弁1のずれが防止される。
【0051】
その後、水37が、加圧用流体供給手段38の配管75と流路74とを通り、一方の治具32の円筒部材50内に供給され、円筒部材50内から弁箱11内に供給される。この際、特殊弁1の弁体16が開いている場合、水37は、さらに、弁箱流路15を通って他方の治具33の円筒部材50内に供給される。これにより、水37が弁箱11内と両治具32,33内とに充填され、弁箱11内に水圧(流体圧の一例)が印加され、耐圧試験や漏れ検査等が行われる。
【0052】
この際、弁箱11内において水圧が上向きに作用する面積は下向きに作用する面積よりも広いので、弁箱11内の水圧によって特殊弁1に上方向Uの力Fが発生するが、両ずれ止め部材68,69によって上方向Uへの特殊弁1のずれが防止される。
【0053】
このように、上方向Uへの特殊弁1のずれを防止することができるため、圧力試験に支障を来すことはない。
また、ずれ止め部材68,69が弁箱フランジ部18に係止した際、保護部材71が弁箱フランジ部18の表面に当接するため、弁箱フランジ部18の表面塗装が剥離したり或いは弁箱フランジ部18の表面が傷付くのを防止することができる。
【0054】
上記実施の形態では、特殊弁1の弁体16を開いた状態で水圧試験を行ったが、弁体16を全閉した状態で水圧試験を行ってもよい。この場合、水37は一方の治具32内に充填されるが他方の治具33内には充填されず、全閉位置の弁体16からの漏れ検査等が行われる。
【0055】
また、
図6に示すように、治具端体48の嵌込部60を治具本体47の嵌込口57に嵌め込むことにより、治具端体48を治具本体47に装着することができ、
図8に示すように、嵌込部60を嵌込口57から脱抜することにより、治具端体48を治具本体47から取り外すことができる。
【0056】
従って、開口部13,14の口径の異なる別の特殊弁1に対して水圧試験を行う場合、治具端体48を治具本体47から取り外し、上記別の特殊弁1の開口部13,14の口径に応じた別の治具端体48を治具本体47に装着することにより、口径の異なる複数種類の特殊弁1に対して容易に水圧試験を行うことができる。
【0057】
また、締結具77を外して、取付用フランジ51から高さ調節部材76と一方および他方のずれ止め部材68,69とを取り外し、高さ調節部材76を別の高さの高さ調節部材76と交換し、締結具77を用いて、交換した高さ調節部材76と一方および他方のずれ止め部材68,69とを各取付用フランジ51に取り付けることによって、一方および他方の治具32,33の中心から一方および他方のずれ止め部材68,69までの高さHを特殊弁1のサイズに応じて調節することができる。
【0058】
また、ねじ54を着脱することにより、一方の治具32を一方の保持部材34から取り外し、サイズの異なった別の一方の治具32に交換したり、或いは、他方の治具33を他方の保持部材35から取り外し、サイズの異なった別の他方の治具33に交換することができる。このように、特殊弁1の口径に応じて、サイズの異なった複数種類の治具32,33を保持部材34,35に取り付けることができる。この際、Oリング55を複数設けているため、一方の治具32と一方の保持部材34との間および他方の治具33と他方の保持部材35との間は確実にシールされる。
【0059】
上記第1の実施の形態では、
図4,
図5に示すように、ずれ止め部材68,69を両方の治具32,33に設けているが、いずれか片方の治具のみに設けてもよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、
図9〜
図11に示すように、一方の治具79と他方の治具80とはそれぞれ、円筒部材81と、円筒部材81の基端部に設けられた取付用フランジ51とを有している。一方の治具79の取付用フランジ51は複数のねじ54(
図6参照)によって一方の保持部材34に取り付けられ、他方の治具80の取付用フランジ51は複数のねじ54(
図6参照)によって他方の保持部材35に取り付けられている。
【0060】
円筒部材81は、上方向U(所定方向の一例)において弁箱11に係止可能なずれ止め手段の一例であって、円筒状の本体部82と、本体部82の外周に設けられたシール部83とを有している。また、シール部83は、円筒部材81の先端ほど縮径するテーパー状の外周面83aを有している。
【0061】
図10,
図11に示すように、一対の治具79,80で特殊弁1を挟んだ状態で、一対の治具79,80の円筒部材81が特殊弁1の両方の開口部13,14に挿入され、一対の治具79,80のシール部83の外周面83aが特殊弁1の両方の開口部13,14の周縁部21に押圧される。尚、シール部83は例えばウレタンゴム等の弾性材を材質としている。
【0062】
以下、上記構成における作用を説明する。
図9に示すように、特殊弁1を支持台31上に載置して両方の治具79,80間に設置し、一方の治具79を他方の治具80に対して接近させて、
図10に示すように、一対の治具79,80間に特殊弁1を挟む。この状態で、両方の治具79,80の円筒部材81が特殊弁1の両方の開口部13,14に挿入されて、
図11に示すように、両方の円筒部材81のシール部83の外周面83aが特殊弁1の両方の開口部13,14の周縁部21に押圧される。これにより、両方の治具79,80の円筒部材81が上方向Uにおいて弁箱11に係止し、上方向Uへの特殊弁1のずれが防止される。この際、特殊弁1と治具79,80との間はシール部83によってシールされる。
【0063】
また、円筒部材81のシール部83の外周面83aは先端ほど縮径するテーパー状であるため、特殊弁1の開口部13,14の口径が異なった場合であっても、円筒部材81を特殊弁1の開口部13,14に挿入してシール部83の外周面83aを開口部13,14の周縁部21に押圧することができる。これにより、口径の異なる複数種類の特殊弁1に対して圧力試験を行うことができる。
【0064】
上記第2の実施の形態では、
図9に示すように、両方の治具79,80の円筒部材81を特殊弁1の両方の開口部13,14に挿入しているが、一方の治具79と第1の実施の形態における他方の治具33(
図4参照)とを設け、一方の治具79の円筒部材81のみを特殊弁1の一方の開口部13に挿入してもよい。また、他方の治具80と第1の実施の形態における一方の治具32(
図4参照)とを設け、他方の治具80の円筒部材81のみを特殊弁1の他方の開口部14に挿入してもよい。
【0065】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、
図12〜
図14に示すように、一方の治具85と他方の治具86とはそれぞれ、円筒部材87と、円筒部材87の基端部に設けられた取付用フランジ51とを有している。一方の治具85の取付用フランジ51は複数のねじ54(
図6参照)によって一方の保持部材34に取り付けられ、他方の治具86の取付用フランジ51は複数のねじ54(
図6参照)によって他方の保持部材35に取り付けられている。
【0066】
円筒部材87は、上方向U(所定方向の一例)において弁箱11に係止可能なずれ止め手段の一例であって、円筒状の本体部88と、本体部88の内周に設けられたシール部89とを有している。また、シール部89は、円筒部材87の先端ほど拡径するテーパー状の内周面89aを有している。
【0067】
図13,
図14に示すように、一対の治具85,86で特殊弁1を挟んだ状態で、一対の治具85,86の円筒部材87が特殊弁1の両方の開口部13,14の周縁部21に外嵌され、一対の治具85,86のシール部89の内周面89aが特殊弁1の両方の開口部13,14の周縁部21に押圧される。尚、シール部89は例えばウレタンゴム等の弾性材を材質としている。
【0068】
以下、上記構成における作用を説明する。
図12に示すように、特殊弁1を支持台31上に載置して両方の治具85,86間に設置し、一方の治具85を他方の治具86に対して接近させて、
図13に示すように、一対の治具85,86間に特殊弁1を挟む。この状態で、両方の治具85,86の円筒部材87が特殊弁1の両方の開口部13,14の周縁部21に外嵌され、両方の円筒部材87のシール部89の内周面89aが特殊弁1の両方の開口部13,14の周縁部21に押圧される。これにより、両方の治具85,86の円筒部材87が上方向Uにおいて弁箱11に係止し、上方向Uへの特殊弁1のずれが防止される。この際、特殊弁1と治具85,86との間はシール部89によってシールされる。
【0069】
また、円筒部材87のシール部89の内周面89aは先端ほど拡径するテーパー状であるため、特殊弁1の開口部13,14の口径が異なった場合であっても、円筒部材87を特殊弁1の開口部13,14の周縁部21に外嵌してシール部89の内周面89aを開口部13,14の周縁部21に押圧することができる。これにより、口径の異なる複数種類の特殊弁1に対して圧力試験を行うことができる。
【0070】
上記第3の実施の形態では、
図12に示すように、両方の治具85,86の円筒部材87を特殊弁1の両方の開口部13,14の周縁部21に外嵌しているが、一方の治具85と第1の実施の形態における他方の治具33(
図4参照)とを設け、一方の治具85の円筒部材87のみを特殊弁1の一方の開口部13の周縁部21に外嵌してもよい。また、他方の治具86と第1の実施の形態における一方の治具32(
図4参照)とを設け、他方の治具86の円筒部材87のみを特殊弁1の他方の開口部14の周縁部21に外嵌してもよい。
【0071】
上記各実施の形態では、
図1に示すように、特殊弁1の両開口部13,14が傾斜しているが、いずれか片方の開口部のみが傾斜していてもよい。この場合、上記第1の実施の形態では、両方の治具32,33(
図4参照)のうち、いずれか片方の治具の治具端体48のみを傾斜させればよい。
【0072】
上記第1の実施の形態では、
図4に示すように、他方の治具33を固定し、一方の治具32を移動して他方の治具33に対し接近離間させているが、一方の治具32を固定し、他方の治具33を移動して一方の治具32に対し接近離間させてもよい。また、両方の治具32,33を共に移動して接近離間させてもよい。尚、第2および第3の実施の形態においても同様である。
【0073】
上記第1の実施の形態では、
図5に示すように、加圧用流体供給手段38で、水37を一方の治具32から特殊弁1の弁箱11内に供給可能であるが、他方の治具33から弁箱11内に供給可能であってもよく、或いは、両方の治具32,33から弁箱11内に供給可能であってもよい。尚、第2および第3の実施の形態においても同様である。
【0074】
上記各実施の形態では、
図1に示すように、仕切弁タイプの特殊弁1を挙げたが、その他のタイプの特殊弁、例えばバタフライ弁タイプの特殊弁であってもよい。
上記各実施の形態では、加圧用流体の一例として水37を用いているが、油やその他の液体又は気体を用いてもよい。