(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流下案内体は、上部側に位置する案内始端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が大きい急傾斜部を備え、下部側に位置する案内終端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が小さい緩傾斜部を備えている請求項4から6のいずれか1項に記載のコンバイン。
前記脱穀装置は、扱室の内部に、前後軸芯周りで回転する扱胴及びその扱胴の外周部に沿って円弧状に設けられた受網を備えるとともに、前記扱室の下方に、脱穀処理物を選別する揺動選別装置を備え、
前記緩傾斜部が、上下方向において、前記扱室の後壁の下端と前記揺動選別装置の上端との間に位置している請求項7に記載のコンバイン。
前記脱穀装置は、扱室の内部に、前後軸芯周りで回転する扱胴及びその扱胴の外周部に沿って円弧状に設けられた受網を備えるとともに、前記扱室の下方に、脱穀処理物を選別する揺動選別装置を備え、
前記流下案内体の案内始端側箇所の上端位置が、上下方向において、前記扱胴の回転軸芯と前記受網の下端部との間における前記回転軸芯寄りに位置している請求項5〜9のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、排ワラカバーから排出される排ワラは、左右両側の側壁によって横側外方への飛散を防止しながら案内され、平面視で脱穀装置の横幅の範囲内で後方側に向けて排出される。上述したように、脱穀装置は、機体横幅方向中央位置に対して左側に偏倚した状態で走行機体に備えられるので、排ワラは、機体横幅方向中央位置に対して左側に偏倚した箇所に排出されることになる。
【0006】
このように排ワラが機体横幅方向中央位置に対して左側に偏倚した箇所に排出されると、排ワラカバーにより排ワラが脱穀装置から平面視で脱穀装置の横幅の範囲内で後方側に向けて排出される場合であっても、排出された排ワラの一部が機体横側外方側に位置する未刈り領域に排出されることがある。
【0007】
排ワラが未刈り領域に排出されると、次回の作業行程で走行するときに、未刈り作物に降りかかった排ワラが刈取作業の際に邪魔になったり、走行装置が地上に排出された排ワラを踏みつけてしまう等の不利な面があった。脱穀処理量が多い種類の作物を刈り取る場合には、排ワラの排出量が多くなり、排ワラの一部が未刈り領域に排出されるおそれが大きいので、このような場合には特に問題となっていた。
【0008】
そこで、排ワラが未刈り領域側に向けて排出されないようにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、
左右一対の走行装置を備えた走行機体と、刈取作物を脱穀処理する脱穀装置とが備えられ、
前記脱穀装置が、機体横幅方向中央位置に対して左右いずれかに偏倚した状態で前記走行機体に備えられ、
前記脱穀装置の後方に、前記脱穀装置から排出される排ワラを受け入れて下方側から外部に排出する排ワラカバーが備えられ、
前記排ワラカバーにおける機体横幅方向内方側に位置する内側側壁が、機体後方側ほど機体左右中央位置側に位置する傾斜姿勢となって
おり、
前記脱穀装置にて得られた穀粒を貯留する穀粒タンクが、前記脱穀装置と機体横幅方向に並ぶ状態で設けられ、
前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間において、前記排ワラカバーにおける前記内側側壁と隣り合う位置に燃料タンクが備えられ、
前記内側側壁は、前記燃料タンクの上面よりも下側まで延びている点にある。
【0010】
本発明によれば、走行機体を走行させながら刈取作業を行うと、脱穀装置により作物の脱穀処理が行われ、脱穀処理後の排ワラが脱穀装置の後方側から外部に排出される。そのとき、脱穀装置の後方に備えられた排ワラカバーによって脱穀装置から排出される排ワラが受け入れられ、排ワラカバーの下方側から外部に排出される。
【0011】
排ワラカバーは、内側側壁が機体後方側ほど機体左右中央位置側に位置する傾斜姿勢となっているから、脱穀装置から排出されて受け入れた排ワラを外部に排出させる際に、機体横幅方向内方側箇所では、排ワラを内側側壁に沿って案内することで、排ワラをできるだけ機体左右中央位置側に寄せた状態で排出させることができる。
【0012】
その結果、脱穀処理物の処理量が多くなる場合であっても、排ワラをできるだけ機体左右中央位置側に寄せることによって、未刈り領域に向けて排出させないようにすることが可能となる。
さらに、本発明によれば、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空き領域を有効に利用して、機体外方へ突出させる等の大型化を招くことなくコンパクトに燃料タンクを配備することができる。排ワラカバーの内側側壁が機体後方側ほど機体左右中央位置側に位置する傾斜姿勢であるから、内側側壁は燃料タンクに近づく状態となる。その結果、内側側壁によって排ワラが燃料タンク側に向けて案内されるが、内側側壁は燃料タンクの上面よりも下側まで延びているので、排ワラカバーから排出される排ワラが燃料タンクの上面に降り掛かるおそれは少ない。従って、空き領域を有効に利用して燃料タンクをコンパクトに配備する構成において、排ワラを未刈り領域に向けて排出させないようにしながら、排ワラが燃料タンクの上部に堆積することを回避させることができる。
【0013】
本発明においては、前記排ワラカバーにおける機体横幅方向外方側に位置する外側側壁が、機体前後方向に沿う前後向き姿勢となっていると好適である。
【0014】
本構成によれば、排ワラカバーの外側側壁が機体前後方向に沿う前後向き姿勢となっているから、排ワラカバーの後部側の内部空間が横幅方向に拡がり、排ワラカバー内部で脱穀装置から排出される排ワラが詰まったり引っ掛かったりして滞留するおそれが少なく、円滑に外部に排出させることができる。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
本発明においては、前記内側側壁の後端が、前記燃料タンクの側面に近接する位置まで延びていると好適である。
【0020】
本構成によれば、脱穀装置と燃料タンクまでの空間を無駄なく利用して、内側側壁を機体左右中央位置側へ傾斜させることができる。
本発明においては、
左右一対の走行装置を備えた走行機体と、刈取作物を脱穀処理する脱穀装置とが備えられ、
前記脱穀装置が、機体横幅方向中央位置に対して左右いずれかに偏倚した状態で前記走行機体に備えられ、
前記脱穀装置の後方に、前記脱穀装置から排出される排ワラを受け入れて下方側から外部に排出する排ワラカバーが備えられ、
前記排ワラカバーの内部に、機体横幅方向外方側に位置する外側側壁から前記内側側壁に向けて延び且つ機体横幅方向内方側ほど下方に位置する傾斜姿勢の流下案内体が備えられ、
前記脱穀装置は、扱室の内部に、前後軸芯周りで回転する扱胴及びその扱胴の外周部に沿って円弧状に設けられた受網を備えるとともに、前記扱室の下方に、脱穀処理物を選別する揺動選別装置を備え、
前記流下案内体の案内終端側箇所の下端位置が、上下方向において、前記扱室の後壁の下端と前記揺動選別装置の上端との間に位置していると好適である。
本構成によれば、走行機体を走行させながら刈取作業を行うと、脱穀装置により作物の脱穀処理が行われ、脱穀処理後の排ワラが脱穀装置の後方側から外部に排出される。そのとき、脱穀装置の後方に備えられた排ワラカバーによって脱穀装置から排出される排ワラが受け入れられ、排ワラカバーの下方側から外部に排出される。
又、脱穀装置から排出される排ワラが、排出カバーの内部において傾斜姿勢に設けられた流下案内体によって、機体横幅方向外方側から機体横幅方向内方側に向けて流下案内され、下方側から外部に排出される。排ワラカバー内部において、排ワラを機体横幅方向内方側に寄せた状態で機体外部に排出させることができ、機体横幅方向外方側の未刈り領域に排ワラが放出されることを確実に回避させることができる。
さらに、扱室内で前後軸芯周りで回転する扱胴と受網とによって作物が脱穀処理され、扱室の下方に漏下する脱穀処理物が揺動選別装置により穀粒と排ワラ等の塵埃とに選別される。穀粒は穀粒タンクに貯留され、排ワラは扱室の後端部から後方に排出される。
揺動選別装置に対しては、前部側から選別風が供給されて細かな塵埃は排ワラと共に後方に排出される。この選別風は、扱室の後壁の下端と揺動選別装置の上側との間に形成された開口を通して塵埃と共に脱穀装置の後方に排出される。扱室の後端部においては、扱胴の回転に伴って排ワラが連回りしながら後方に向けて排出されることになる。
流下案内体の案内終端側箇所の下端位置が、上下方向において、扱室の後壁の下端と揺動選別装置の上端との間に位置している。扱室の後壁の下端と揺動選別装置の上端との間は、選別風が通過する箇所である。流下案内体により流下案内される排ワラが案内終端側箇所に至ると、選別風が作用することになり、選別風を利用して排ワラを後方側に向けて放出させることができ、滞留することなく円滑に排ワラを排出させることができる。
【0021】
本発明においては、
左右一対の走行装置を備えた走行機体と、刈取作物を脱穀処理する脱穀装置とが備えられ、
前記脱穀装置が、機体横幅方向中央位置に対して左右いずれかに偏倚した状態で前記走行機体に備えられ、
前記脱穀装置の後方に、前記脱穀装置から排出される排ワラを受け入れて下方側から外部に排出する排ワラカバーが備えられ、
前記排ワラカバーの内部に、機体横幅方向外方側に位置する外側側壁から前記内側側壁に向けて延び且つ機体横幅方向内方側ほど下方に位置する傾斜姿勢の流下案内体が備えら
れ、
前記流下案内体は、上部側に位置する案内始端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が大きい急傾斜部を備え、下部側に位置する案内終端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が小さい緩傾斜部を備えており、
前記脱穀装置は、扱室の内部に、前後軸芯周りで回転する扱胴及びその扱胴の外周部に沿って円弧状に設けられた受網を備えるとともに、前記扱室の下方に、脱穀処理物を選別する揺動選別装置を備え、
前記緩傾斜部が、上下方向において、前記扱室の後壁の下端と前記揺動選別装置の上端との間に位置していると好適である。
【0022】
本構成によれば
、走行機体を走行させながら刈取作業を行うと、脱穀装置により作物の脱穀処理が行われ、脱穀処理後の排ワラが脱穀装置の後方側から外部に排出される。そのとき、脱穀装置の後方に備えられた排ワラカバーによって脱穀装置から排出される排ワラが受け入れられ、排ワラカバーの下方側から外部に排出される。
又、脱穀装置から排出される排ワラが、排出カバーの内部において傾斜姿勢に設けられた流下案内体によって、機体横幅方向外方側から機体横幅方向内方側に向けて流下案内され、下方側から外部に排出される。排ワラカバー内部において、排ワラを機体横幅方向内方側に寄せた状態で機体外部に排出させることができ、機体横幅方向外方側の未刈り領域に排ワラが放出されることを確実に回避させることができる。
又、脱穀装置から排出される排ワラが、排出カバーの内部において傾斜姿勢に設けられた流下案内体によって、機体横幅方向外方側から機体横幅方向内方側に向けて流下案内され、下方側から外部に排出される。
排ワラカバー内部において、排ワラを機体横幅方向内方側に寄せた状態で機体外部に排出させることができ、機体横幅方向外方側の未刈り領域に排ワラが放出されることを確実に回避させることができる。
さらに、流下案内体により案内される排ワラは、案内始端側箇所に位置する急傾斜部にて流下案内されたのち、引き続いて、案内終端側箇所に位置する緩傾斜部にて案内される。急傾斜部は水平面に対する傾斜角度が大きいので、排ワラは勢いをつけた状態で案内される。勢いをつけた状態で案内される排ワラは緩傾斜部にて水平方向又はそれに近い方向に向けて勢いよく案内されて外部に排出される。
このように構成することで、流下案内体は、全長が短いコンパクトな形状でありながら、排ワラを勢いよく流下させながら案内して、機体横幅方向内方側に向けて放出させることができる。
緩傾斜部が、上下方向において、扱室の後壁の下端と揺動選別装置の上端との間に位置しているから、緩傾斜部に沿って案内される排ワラに対して選別風が作用することになる。つまり、緩傾斜部における広い範囲で選別風による案内作用を受けるので、排ワラが滞留することなく円滑に排出させることを一層的確に行うことができる。
【0023】
【0024】
本発明においては、前記流下案内体は、前記排ワラカバーの機体横幅方向中央位置よりも機体外方側に設けられていると好適である。
【0025】
流下案内体は、排ワラを機体横幅方向内方側に向けて流下案内するものであり、例えば、この流下案内体を機体横幅方向中央位置よりも機体内方側に設けると、排ワラカバー内部において、排ワラが通過する領域が狭くなり、排ワラが多量に排出される場合等において排ワラカバー内部で排ワラが詰りを起して排出処理が妨げられるおそれがある。
【0026】
これに対して、本構成によれば、流下案内体が排ワラカバーの機体横幅方向中央位置よりも機体外方側に設けられているので、排ワラが詰りを起すおそれが少なく円滑な排出処理を行うことができる。
【0027】
本発明においては、前記流下案内体は、上部側に位置する案内始端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が大きい急傾斜部を備え、下部側に位置する案内終端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が小さい緩傾斜部を備えていると好適である。
【0028】
本構成によれば、流下案内体により案内される排ワラは、案内始端側箇所に位置する急傾斜部にて流下案内されたのち、引き続いて、案内終端側箇所に位置する緩傾斜部にて案内される。急傾斜部は水平面に対する傾斜角度が大きいので、排ワラは勢いをつけた状態で案内される。勢いをつけた状態で案内される排ワラは緩傾斜部にて水平方向又はそれに近い方向に向けて勢いよく案内されて外部に排出される。
【0029】
このように構成することで、流下案内体は、全長が短いコンパクトな形状でありながら、排ワラを勢いよく流下させながら案内して、機体横幅方向内方側に向けて放出させることができる。
本発明においては、
前記脱穀装置は、扱室の内部に、前後軸芯周りで回転する扱胴及びその扱胴の外周部に沿って円弧状に設けられた受網を備えるとともに、前記扱室の下方に、脱穀処理物を選別する揺動選別装置を備え、前記緩傾斜部が、上下方向において、前記扱室の後壁の下端と前記揺動選別装置の上端との間に位置していると好適である。
本構成によれば、緩傾斜部が、上下方向において、扱室の後壁の下端と揺動選別装置の上端との間に位置しているから、緩傾斜部に沿って案内される排ワラに対して選別風が作用することになる。つまり、緩傾斜部における広い範囲で選別風による案内作用を受けるので、排ワラが滞留することなく円滑に排出させることを一層的確に行うことができる。
【0030】
本発明においては、前記流下案内体は、前記緩傾斜部に水平姿勢の水平部を備えていると好適である。
【0031】
本構成によれば、急傾斜部によって勢いよく流下案内された排ワラが、水平姿勢の水平部によって略水平方向に放出されることにより、機体横幅方向内方側に向けてより一層遠くへ放出させることができる。
【0032】
本発明においては、
前記脱穀装置は、扱室の内部に、前後軸芯周りで回転する扱胴及びその扱胴の外周部に沿って円弧状に設けられた受網を備えるとともに、前記扱室の下方に、脱穀処理物を選別する揺動選別装置を備え、
前記流下案内体の案内始端側箇所の上端位置が、上下方向において、前記扱胴の回転軸芯と前記受網の下端部との間における前記回転軸芯寄りに位置
していると好適である。
【0033】
本構成によれば、扱室内で前後軸芯周りで回転する扱胴と受網とによって作物が脱穀処理され、扱室の下方に漏下する脱穀処理物が揺動選別装置により穀粒と排ワラ等の塵埃とに選別される。穀粒は穀粒タンクに貯留され、排ワラは扱室の後端部から後方に排出される。
【0034】
揺動選別装置に対しては、前部側から選別風が供給されて細かな塵埃は排ワラと共に後方に排出される。この選別風は、扱室の後壁の下端と揺動選別装置の上側との間に形成された開口を通して塵埃と共に脱穀装置の後方に排出される。扱室の後端部においては、扱胴の回転に伴って排ワラが連回りしながら後方に向けて排出されることになる。
【0035】
そして、流下案内体の案内始端側箇所の上端位置が、上下方向において、扱胴の回転軸芯と受網の下端部との間における回転軸芯寄りに位置している。つまり、流下案内体が排ワラを案内し始める位置が、扱胴の回転軸芯寄りの高い位置となる。その結果、扱室から排出される排ワラに対して高い位置から案内を開始できるので、排ワラを流下案内させ易い。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0042】
〔全体構成〕
図1及び
図2に、稲や麦などの作物を収穫対象とする普通型コンバインが示されている。このコンバインは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を装備した走行機体Vの前部に、収穫対象の作物としての植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送部3を昇降揺動可能に連結している。そして、走行機体Vは、機体フレーム1上に、刈取搬送部3から搬送される作物としての刈取穀稈を扱き処理するとともに、その扱き処理で得られた脱穀処理物を穀粒と排ワラとに選別する脱穀装置4、脱穀装置4にて得られた穀粒を貯留する穀粒タンク5、穀粒タンク5に貯留される穀粒を機外に排出するための穀粒排出装置6、操縦者が搭乗して運転操作を行う運転部7等を備えている。
【0043】
運転部7は機体前部右側に位置しており、運転部7の後方に穀粒タンク5が備えられている。そして、運転部7の下方側には、駆動用のエンジン8が備えられている。走行機体Vにおいて、脱穀装置4が左側に位置し、穀粒タンク5が右側に位置する状態で、脱穀装置4と穀粒タンク5とが左右方向に並ぶ状態で備えられている。
図3に示すように、脱穀装置4は、機体横幅方向中央位置に対して左側に偏倚した状態で走行機体Vに備えられている。
【0044】
このコンバインは、植立穀稈の株元を切断して刈り取り、刈り取った刈取穀稈の全部を脱穀装置4に投入する全稈投入型に構成されている。
【0045】
この実施形態で、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、
図1,2に符号(F)で示す方向が機体前側、
図1,2に符号(B)で示す方向が機体後側である。
図2に符号(L)で示す方向が機体左側、
図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。従って、機体左右方向が機体横幅方向に対応する。
【0046】
刈取搬送部3は、機体走行に伴って、植立穀稈を刈り取る刈取処理部9と、刈取処理部9にて刈り取られた刈取穀稈を機体後部側の脱穀装置4に向けて搬送するフィーダ10とを備え、機体フレーム1とフィーダ10とにわたって架設した刈取昇降用の油圧シリンダ11が伸縮作動することで、横軸芯P1周りで昇降揺動自在に支持されている。
【0047】
刈取処理部9は、刈取処理部9全体を支持する枠体としての刈取フレーム12と、刈取対象となる植立穀稈と非刈取対象の植立穀稈とを分草する左右一対のデバイダ13と、収穫対象の植立穀稈を後方に向けて掻き込む回転リール14と、収穫対象の植立穀稈の株元側を切断して刈り取るバリカン形の刈刃15と、切断後の刈取穀稈を左右方向の中間側に横送りして寄せ集めて後方に向けて送り出すオーガ16とを備えている。
【0048】
フィーダ10は、
図1に示すように、角筒状のフィードケース17の内部に、後上部側に位置する駆動輪体18と、前下部側に位置する従動輪体19とにわたって、左右一対の無端回動チェーン20が巻回され、左右一対の無端回動チェーン20に亘って所定ピッチ毎に係止搬送体20a(
図4参照)が架設されている。フィードケース17の前端部に刈取処理部9に連通する入口が形成され、フィードケース17の後端部は、脱穀装置4に連通接続されている。そして、無端回動チェーン20が回動することで、刈取処理部9から受け渡された収穫作物(刈取穀稈)を脱穀装置4に向けて搬送する。
【0049】
〔脱穀装置〕
次に脱穀装置4について説明する。
【0050】
参照)、前端部に位置する前壁部26、後端部に位置する後壁部27(
図4参照)、上部に位置する天板21を備え、その内部に形成された内部空間において、上部に扱室28が備えられ、その扱室28の下方に選別部29が備えられて、刈取穀稈がフィーダ10によって搬送されて前端の入口部30から扱室28内に供給されるように構成されている。
【0051】
扱室28内には、機体前後向きの水平向き軸芯X1周りに回転駆動されて作物を扱き処理する扱胴22が備えられている。扱胴22は、前壁部26と後壁部27とにわたって水平軸芯X1周りに回転自在に支持される扱胴軸31を備え、その扱胴軸31を中心に一体回転するように構成されている。この扱胴軸31は、エンジン8からの動力により回転駆動される。扱胴22は、機体正面視において右回り(時計回り)に駆動回転される。
【0052】
扱胴22は、円板状に形成され且つ扱胴軸31に一体回転自在に連結固定された複数の支持プレート32、扱胴22の周方向に等間隔で分散配置して各支持プレート32の夫々に連結された複数の支持杆33、各支持杆33の軸芯方向に並ぶ複数箇所から扱胴22外周側に突出するバー形の扱歯34を備えている。
【0053】
扱胴22の外周部のうち下方側の半周部分に円弧状の受網23が備えられている。詳述はしないが、受網23は、円弧状の多数の横桟と横桟同士を連結する軸芯方向に沿う縦桟とを連結して、穀粒が通過するための通過孔が多数形成された周知構造の網状体にて構成されている。扱室28の上方を覆う天板には、扱胴22の回転に伴って、処理物を扱胴22の回転軸芯方向に沿って機体後方側に向けて移送案内する送塵弁35が備えられている。
【0054】
図4に示すように、扱室28の下方に位置する選別部29は、受網23から下方に漏下した処理物を移送しながら選別処理する揺動選別装置36と、揺動選別装置36から漏下した一番物としての穀粒を回収する一番物回収部37と、揺動選別装置36から漏下した枝付き穀粒等の二番物を回収する二番物回収部38と、揺動選別装置36に選別風を供給する唐箕39とを備えている。唐箕39は、脱穀装置4を横方向に貫通する状態で備えられた回転軸である唐箕軸39aの回転に伴って選別風を生起するように構成されている。
【0055】
一番物回収部37は、回収した穀粒を横送りスクリュー37aにより脱穀装置4の横側外方に搬送するように構成されている。そして、一番物回収部37にて回収された穀粒は、脱穀装置4の横側外方に搬送されたのち、穀粒搬送装置40(
図2参照)によって上方に搬送されて穀粒タンク5に貯留される。
【0056】
二番物回収部38は、回収した二番物を横送りスクリュー38aにより脱穀装置4の横側外方に搬送するように構成されている。そして、二番物回収部38にて回収された二番物は、脱穀装置4の横側外方に搬送されたのち、二番物還元装置41により扱室28内に還元されて扱き処理される。
【0057】
揺動選別装置36は、平面視で矩形枠状のシーブケース42を備え、そのシーブケース42内に、第一グレンパン43、第二グレンパン44、篩い線45、チャフシーブ46、グレンシーブ47、ストローラック48等を備えている。
【0058】
シーブケース42は機体前部側が図示しないスライド支持機構により前後にスライド自在に支持され、シーブケース42の機体後部側箇所の下部に、クランク式の揺動駆動部52が備えられている。この揺動駆動部52の作動によってシーブケース42の機体後部側箇所が円運動により揺動駆動される。従って、シーブケース42全体が上下方向の成分を備えた前後揺動運動を行うように構成されている。
【0059】
第一グレンパン43は、側面視で略波形に形成した板体にて構成され、揺動選別装置36における処理物の移送方向上手側端部(前端部)に備えられ、扱室28における移送方向上手側から漏下した処理物を後方に移送する。
【0060】
篩い線45は、ピアノ線等からなり、第一グレンパン43の移送方向下手側端部から移送方向下手側に向けて片持ち状に延設され、第一グレンパン43から送り出される処理物を後方に移送しながら穀粒や二番物を下方に漏下させる。
【0061】
第二グレンパン44は、第一グレンパン43と同様に、側面視で略波形に形成した板体にて構成され、第一グレンパン43の移送方向下手側で且つ下方側に位置して第一グレンパン43の処理物移送方向下手側から漏下した処理物及び篩い線45から漏下した処理物を後方に移送する。
【0062】
チャフシーブ46は、第二グレンパン44の移送方向下手側に位置して、第二グレンパン44から送り出される処理物、篩い線45から漏下した処理物、及び、扱室28の受網23から漏下した処理物について、揺動移送しながら穀粒や二番物を下方に漏下させる。
【0063】
グレンシーブ47は、穀粒通過用の開口を多数備えたクリンプ網からなり、チャフシーブ46の下方側に位置して、シーブケース42の左右側板にわたって架設支持されている。このグレンシーブ47は、チャフシーブ46から漏下した処理物を揺動移送しながら穀粒を下方の一番物回収部37に漏下させ、二番物を移送方向下手側の二番物回収部38に移送する。
【0064】
ストローラック48は、チャフシーブ46の移送方向下手側に備えられている。ストローラック48は、鋸歯状に形成された複数の板体からなり、処理物を受け止めて後方に揺動移送することができる。ストローラック48を漏下しなかった排ワラ等の処理物は後方の排塵口から外方に排出される。
【0065】
〔伝動構造〕
図9に示すように、機体右側に位置する運転部7の下方に備えられたエンジン8からの動力が、唐箕軸39aを介して脱穀装置4の左側に伝達され、唐箕軸39aから脱穀装置4の左側に備えられた脱穀用のベルト伝動機構55を介して脱穀装置4の各部、すなわち、一番物回収部37、二番物回収部38、揺動駆動部52に伝達される。
【0066】
図10及び
図11に示すように、唐箕軸39aの左側端部から第一ベルト伝動機構56を介して扱胴駆動用の中継伝動軸57に動力が伝達される。中継伝動軸57から第二ベルト伝動機構58を介してフィーダ駆動軸59に動力が伝達される。図示はしないが、このフィーダ駆動軸59から刈取搬送部3の各部に動力が伝達される。
【0067】
第一ベルト伝動機構56は、唐箕軸39aに備えられた第一駆動プーリ60と、中継伝動軸57に備えられた第一従動プーリ61と、それらにわたって巻回された第一伝動ベルト62と、第一伝動ベルト62に緊張力を付与するテンション機構63とを備えている。
第一ベルト伝動機構56は、テンション機構63により緊張力が付与され、常に伝動状態を維持する。
【0068】
第二ベルト伝動機構58は、中継伝動軸57に備えられた第二駆動プーリ64と、フィーダ駆動軸59に備えられた第二従動プーリ65と、それらにわたって巻回された第二伝動ベルト66と、テンション輪体67と、テンション輪体67を支持するテンションアーム68とを備えている。テンションアーム68は、
中継伝動軸57に揺動自在に外嵌装着されている。運転部7に備えられた刈取クラッチレバー69の操作により操作ワイヤ70を介して引き操作されると、テンションアーム68が揺動して、第二伝動ベルト66に緊張力を付与する状態となり、引き操作が解除されると、緊張状態を解除するように構成されている。テンション輪体67はバネ71により緊張解除側に揺動付勢されている。
【0069】
従って、第二ベルト伝動機構58は、刈取クラッチレバー69の操作に基づいて刈取処理部9への動力伝達を行う入り状態と、動力伝達を行わない切り状態とに切り換え自在なベルトテンション式の刈取クラッチを構成する。
【0070】
テンション輪体67は、テンションアーム68を挿通する状態で設けられた支軸72に支持されており、支軸72はテンション輪体67とは反対側に突出しており、操作ワイヤ70は、ストローク吸収用のスプリング73を介して支軸72の反対側の突出部に連結されている。このように支軸72をワイヤ連結部と兼用してテンション輪体67の支持構造を簡素化させている。
【0071】
第二ベルト伝動機構58は、第一ベルト伝動機構56に対して脱穀装置4の横外方側に位置する状態で備えられている。第二ベルト伝動機構58は、第一ベルト伝動機構56に比べて伝動ベルトの交換等のメンテナンス作業の頻度が大である。そこで、第二ベルト伝動機構58を第一ベルト伝動機構56よりも横外方側に備えることにより、第二ベルト伝動機構58の修理点検等のメンテナンス作業を機体外方側から容易に行うことができる。
【0072】
操作ワイヤ70のアウターワイヤの端部を支持するワイヤ受け部材74が脱穀装置4の側壁部24から片持ち状に延設された支持ステー75に取り付けられている。
図12にも示すように、ワイヤ受け部材74は、支持ステー75に対する連結位置からさらに横側外方に延びるとともに、テンションアーム68に近づく方向に延びるように帯板材を略Z字状に折り曲げて形成されている。第二ベルト伝動機構58が脱穀装置4の側壁部24から外方側に離れた位置にあっても、操作ワイヤ70が真っ直ぐに引き操作されて刈取クラッチの入り切り操作を円滑に行うことができる。
【0073】
〔脱穀装置のカバー体〕
上述したように、
図8に示すように、脱穀装置4の左側外部には、脱穀用のベルト伝動機構55、第一ベルト伝動機構56、第二ベルト伝動機構58等が備えられるので、それらの外方側を覆う合成樹脂製の第一カバー体76、第二カバー体77、及び、第三カバー体78が備えられている。扱室28に相当する箇所には、その外方側を覆う第四カバー体79が備えられている。
【0074】
図10及び
図13に示すように、第一カバー体76、第二カバー体77、及び、第三カバー体78は、夫々、下部に備えられた被係止具80を側壁部24に設けられた係止部81に引っ掛け係止し、上部側をノブボルト82にて側壁部24に設けられた固定部83に締め付けて固定するように構成されている。各カバー体76,77,78は、ノブボルト82の締め付けを解除すると、係止部81にて前後軸芯X3周りで揺動自在であり、簡単に取り外すことができる。
【0075】
図10、
図13及び
図15に示すように、三個のカバー体76,77,78のうち下側に位置する第二カバー体77及び第三カバー体78は、ノブボルト82による締結箇所が機体内方側に凹入する形状となっている。第四カバー体79は、その外面部の左右方向の位置が、第二カバー体77及び第三カバー体78の凹入部77a,78aの外面部と同じ位置になる状態で備えられている。第一カバー体76は、上述したような2つのベルト伝動機構56,58を内装するので、第二カバー体77よりも外方側に位置する状態で備えられている。ノブボルト82による締結箇所が機体内方側に凹入することで、植立穀稈がノブボルト82に引っ掛かり、植立穀稈を引き千切ったり、ノブボルト82に茎稈屑が付着する等の不利を回避できる。
【0076】
第四カバー体79が備えられる箇所には、側壁部24に側面視矩形状に形成されたメンテナンス用の大型の開口84が形成されており、第四カバー体79は、この開口84を覆う閉じ状態と外方に揺動する開放状態とに揺動開閉自在に構成されている。すなわち、第四カバー体79は、左側の側壁部24の上部箇所に対して前後軸芯X2周りで揺動自在に支持されている。第四カバー体79を開放させると、開口84を通して受網23を取り外したり取り付けることができる。第四カバー体79は図示しないガスダンパにて開放状態で位置保持自在である。
【0077】
図13及び
図14に示すように、第四カバー体79は、その閉じ位置にて受網23に隣接する内壁板79a、内壁板79aの左外側に間隔をあけて位置する外壁板79b、内壁板79aの前端部と外壁板79bの前端部とにわたる前壁板79c、内壁板79aの後端部と外壁板79bの後端部とにわたる後壁板79d、内壁板79aと外壁板79bと前壁板79cと後壁板79dとの夫々の下端部にわたる底板79e等を備えて、略矩形箱状に形成されている。
【0078】
この第四カバー体79の内方側には、第四カバー体79の閉じ位置において受網23の下方に入り込む前後一対のガイド部86が備えられている。ガイド部86は、受網23の下方への入り込み量が下方側ほど大きくなる状態で内壁板79aの上下中間部から右下方に延出する傾斜ガイド面86A、正面視で略三角形状の前側縦面86Bと後側縦面86C、底面86Dの夫々を備えて、正面視で略三角形の箱状に形成されている。
【0079】
脱穀処理物の漏下量が多くなる受網23の左端部から濾過した選別対象物の多くを、ガイド部86の傾斜ガイド面86Aにより、揺動選別装置36の左右中央側に案内することができる。これにより、受網23から漏下した選別対象物が、揺動選別装置36の左端側に集中して供給されることに起因した揺動選別装置36での選別不良の発生を防止することができる。
【0080】
そして、ガイド部86を、内壁板79aに対して着脱可能なようにボルト連結する構成とし、内壁板79aにおけるガイド部86が装着される箇所に開口Kを形成する。この構成では、ガイド部86を内壁板79aから取り外すと、開口Kを通して第四カバー体79の内部が開放された状態となるので、開口Kを通して、第四カバー体79の内部に収納物(例えば、修理用の道具や部品類等)を収納しておくことができる。ガイド部86を取り付けると、開口Kは閉塞されるので、収納物が外方に露出することはない。
【0081】
〔排ワラカバー〕
脱穀装置4の後方に、脱穀装置4から排出される排ワラを受け入れて下方側から外部に排出する排ワラカバー90が備えられている。
図2、
図3及び
図6に示すように、排ワラカバー90は、機体横幅方向外方側としての機体左側に位置して側面視で略台形状の外側側壁90Aと、機体横幅方向内方側としての機体右側に位置して側面視で略台形状の内側側壁90Bと、機体後側に位置する後部壁90Cとを備えて、それらが一体的に連結され、扱室28に臨む前部上部側及び下方側が開口された平面視での横断面形状が略U字状となるカバー体を形成している。
【0082】
排ワラカバー90は、外側側壁90Aの前端部と内側側壁90Bの前端部とを夫々、脱穀装置4の左右両側の側壁部24,25に上下複数箇所にてボルトで連結して支持されている。
【0083】
図6に示すように、外側側壁90Aは、機体前後方向に沿う前後向き姿勢となっており、内側側壁90Bは、機体後方側ほど機体右側すなわち機体左右中央位置側に位置する傾斜姿勢となっている。
図2及び
図3に示すように、脱穀装置4と穀粒タンク5との間の左右方向中間部における空き領域を利用して、その空き領域の機体後部側に燃料タンク91が配備されている。内側側壁90Bは燃料タンク91と隣り合う位置に位置している。
【0084】
図3に示すように、内側側壁90Bは、燃料タンク91の上面よりも下側まで延びており、
図2及び
図6に示すように、内側側壁90Bの後端が、燃料タンク91の側面93に近接する位置まで延びている。具体的には、内側側壁90Bは、脱穀装置4の後端部の右側箇所から右後側の斜め方向に向けて延設されており、燃料タンク91の後端よりも機体後方にまで延びている。このように構成することで、排ワラカバー90により排出される排ワラが燃料タンク91に降り掛かることを防止できる。
【0085】
図5及び
図6に示すように、排ワラカバー90の内部に、外側側壁90Aから内側側壁90Bに向けて延び且つ機体右側ほど下方に位置する傾斜姿勢の流下案内体94が備えられている。この流下案内体94は、排ワラカバー90の機体横幅方向中央位置よりも機体左側に設けられている。すなわち、
図5に示すように、流下案内体94の全体が機体前後方向視で排ワラカバー90の機体横幅方向中央位置よりも機体左側に片寄った状態で備えられている。
【0086】
図6及び
図7に示すように、流下案内体94は、機体側面視で、排ワラカバー90の上部側箇所において排ワラカバー90の内部空間を前後方向に沿って略塞ぐように前後に亘る状態で設けられている。流下案内体94の案内始端側箇所の上端位置が、上下方向において、扱胴22の回転軸芯X1と受網23の下端部との間における回転軸芯寄りの高い位置に位置し、流下案内体94の案内終端側箇所の下端位置が、上下方向において、扱室28の後壁95の下端と揺動選別装置36の上端との間に位置している。
【0087】
図4及び
図6に示すように、流下案内体94に対応する箇所では、受網23が存在しないが、扱胴22の後端部が臨む状態となっている。説明を加えると、受網23は、前壁(図示せず)と後壁95とにより前後に区画された扱室28の内部に位置する状態で備えられる。扱胴22は扱室28の前壁よりも前方に延び、扱室28の後壁95よりも後方に延びている。扱胴22は前部側には作物搬入用の螺旋羽根97を備え、後壁95よりも後部側には、扱室28内と同じ扱歯34を備えている。後壁95は、扱胴22の回転を許容するとともに、作物の通過を許容すべく、略U字状の切欠きが形成されている。
【0088】
扱室28の後壁95を通過して後方に排出されるのは、受網23を漏下しなかった茎稈屑等の排ワラである。この排ワラは、脱穀装置4の後端部から後方外方に排出される。受網23を漏下した脱穀処理物のうち揺動選別装置36から漏下しなかった排ワラも脱穀装置4の後方外方に排出される。
【0089】
図5に示すように、流下案内体94は、上部側に位置する案内始端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が大きい急傾斜部98を備え、下部側に位置する案内終端側箇所に、水平面に対する傾斜角度が小さい緩傾斜部99を備えている。緩傾斜部99は、上下方向において、扱室28の後壁95の下端と揺動選別装置36の上端との間に位置している。
【0090】
緩傾斜部99は、急傾斜部98よりも小さい傾斜角度で水平面に対して傾斜する傾斜部分99aと、その傾斜部分99aに対して案内終端部側に連なり水平面に対する傾斜角度が略零である水平姿勢の水平部99bとを備えている。この水平部99bは、傾斜部分99aに対してボルト連結にて取り付けられている。従って、不要であるときは、水平部99bを取り外すことができ、さらに幅広の水平部に取り換えることもできる。
【0091】
流下案内体94は、上端部が脱穀装置4の左側の側壁部24にボルト連結にて固定されている。このボルト連結箇所は排ワラが接当する側とは反対側に位置している。流下案内体94の上下途中位置がブラケット100を介して扱室28の後壁95にボルトで固定されている。そして、流下案内体94の下端部がブラケット101(
図7参照)を介して排ワラカバー90の後部壁90Cにボルトで固定されている。
【0092】
上述したように、流下案内体94に対応する箇所では、受網23が存在しないが、扱胴22の後端部が臨む状態となっているから、扱胴22の回転に伴って、排ワラが排ワラカバー90内に向けて扱歯34によって放擲しながら排出される。そのとき、排出される排ワラが、流下案内体94によって機体右側に寄せるように案内されて、下方から外方に排出される。扱室28の後壁95の下端と揺動選別装置36の上端との間においては、唐箕39からの選別風が供給されるので、扱胴22の回転に伴う放擲案内作用に加えてその選別風によってさらに右側に向けて排ワラが案内される。
【0093】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、排ワラカバー90の外側側壁90Aが、機体前後方向に沿う前後向き姿勢に設けられる構成としたが、外側壁90Aが、機体後方側ほど機体左右中央位置側に位置する傾斜姿勢に設けられるものでもよい。
【0094】
(2)上記実施形態では、脱穀装置4と穀粒タンク5との間において燃料タンク91が備えられる構成としたが、燃料タンク91は別の箇所に配備してもよい。
【0095】
(3)上記実施形態では、排ワラカバー90に流下案内体94が備えられ、流下案内体94は、急傾斜部98と緩傾斜部99とを備え、緩傾斜部99に水平姿勢の水平部99bを備える構成としたが、この構成に代えて、水平部99bを備えない構成としてもよく、傾斜角度が全範囲で一定に設けられる構成としてもよい。流下案内体94の設置位置も適宜変更して実施してもよい。
【0096】
(4)上記実施形態では、稲、麦等を対象とするコンバインに搭載された脱穀装置に適用したものを示したが、トウモロコシ等の他の種類の作物を対象とするコンバインに搭載された脱穀装置に適用してもよい。