(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエステル修飾されたポリジメチルシロキサン、ポリエーテル修飾されたポリジメチルシロキサン、ポリアクリレート修飾されたポリジメチルシロキサンおよびポリエステルポリエーテル修飾されたポリジメチルシロキサンからなる群から選択されるポリシロキサンポリマーをさらに含む、請求項1に記載の中間転写体。
前記導電性要素が存在し、前記導電性要素はカーボンブラックであり、前記フルオロ脂肪族ホスフェートは、前記カーボンブラックのための分散薬剤として機能する、請求項1に記載の中間転写体。
前記フルオロ脂肪族ホスフェートは、ペルフルオロヘキシルエチルホスフェート、ペルフルオロオクチルエチルホスフェート、ジ(ペルフルオロヘキシルエチル)ホスフェート、ジ(ペルフルオロオクチルエチル)ホスフェート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の中間転写体。
フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン、フルオロシリコーン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのターポリマー、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、剥離層をさらに含む、請求項1に記載の中間転写体。
前記導電性要素が存在し、前記ポリイミド/導電性要素/フルオロ脂肪族ホスフェートの重量比は、約50/49.99/0.01〜約94.9/5/0.1である、請求項1に記載の中間転写体。
中間転写体であって、支持基材と、支持基材の上に、ポリアミド酸またはこれらの混合物から作られるポリイミド、カーボンブラック、およびペルフルオロヘキシルエチルホスフェート、ペルフルオロオクチルエチルホスフェート、ジ(ペルフルオロヘキシルエチル)ホスフェート、ジ(ペルフルオロオクチルエチル)ホスフェートおよびこれらの混合物からなる群から選択されるフルオロ脂肪族ホスフェートの混合物で構成される層とを備え、この中間転写体は、場合により、ヤング弾性率が約5,000〜約8,000MPaである、中間転写体。
【背景技術】
【0002】
種々の中間転写体(例えば、ゼログラフィーシステムで現像した画像を転写するために選択される中間転写ベルト)が知られている。例えば、受け入れられないほど弾性率または破断強さが低く、金属基材からの剥離特徴が悪い材料を含む多くの中間転写体が知られているが、主に、費用、原材料の希少性、長い乾燥時間のため、中間転写体を調製するのに費用がかかる。中間転写体を脆くし、現像した画像の受け入れが不十分となり、その後、紙のような基材への現像したゼログラフィー画像の転写が部分的になってしまうという特徴を有する中間転写体も知られている。
【0003】
中間転写体の調製に関連する欠点は、通常、金属基材の上に別個の剥離層を堆積させ、その後に、剥離層に中間転写体要素を塗布することであり、剥離層があることにより、剥がすことによって、または機械的なデバイスを用いることによって金属基材から得られた中間転写体を分離することができる。その後、中間転写体は、膜の形態であり、これをゼログラフィー画像作成システムのために選択することができるか、またはこの膜を支持基材(例えば、ポリマー層)に堆積させてもよい。剥離層を使用すると、費用および調製時間が追加され、このような層は、多くの中間転写体の特徴を変えてしまうことがある。
【0004】
さらに、多くの既知の中間転写体を用いると、通常は、剥離添加剤、レベリング添加剤および分散薬剤の3種類の別個の要素が必要となり、独立した要素が、多くのプロセス上の問題を有しており、中間転写体の費用が追加され、添加剤および選択される薬剤は、一般的な溶媒に簡単には溶解しない。
【0005】
多くの既知の中間転写体の欠点を実質的に避けるか、または最低限にする中間転写体が必要とされている。
【0006】
さらに、多くの溶剤に可溶性の単一の要素が、剥離添加剤、レベリング剤および分散剤として機能し得る中間転写体が必要とされている。
【0007】
さらになお、同時に剥離添加剤、レベリング添加剤および分散薬剤として機能し、一般的な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン(NMP))に簡単に溶解または分散することができる単一のフルオロ脂肪族ホスフェート要素を利用し、コーティングの欠陥および中間転写膜溶液混合物の相分離を避けるか、または最低限にする中間転写体が必要とされており、いくつかの実施形態において、単一のフルオロ脂肪族ホスフェート要素が、導電性材料(例えば、カーボンブラック)の分散薬剤として機能し、そのため、開示するコーティング分散物を調製するための既知の不利益な粉砕プロセスが避けられる。
【0008】
さらに、弾性率の測定によって決定されるような優れた破断強さを有し、基材から簡単に剥離可能であり、高いガラス転移温度および改良された安定性を有し、長時間にわたって変形がないか、または最低限である中間転写体が必要である。
【0009】
さらに、このような中間転写体が調製されるときに選択される多くの基材から迅速に剥離するという特徴を有し、優れた弾性特性を有する中間転写体材料が必要である。
【0010】
フローコーティングプロセスによって作成することができ、ミルによる粉砕を含まないプロセスによって調製可能であり、優れた表面特性を有する中間転写体を提供するさらに別の必要性がある。
【0011】
別の必要性は、優れた導電性または抵抗率を有し、許容範囲の湿度不感受性といった特徴を有し、解像の問題が最低限の現像された画像を導く、つなぎ目のない中間転写体を提供することに関する。
【0012】
さらに、剥離添加剤、レベリング剤および分散剤または分散薬剤の機能が1つの要素によって達成される中間転写体が必要とされている。
【0013】
さらに、剥離添加剤、レベリング剤および分散薬剤として同時に機能する能力を有するフルオロ脂肪族ホスフェート要素を含み、このフルオロ脂肪族ホスフェート要素を含む混合物を経済的かつ効率的に製造することができる中間転写体(例えば、ベルト)が必要とされている。
【0014】
これらの必要性および他の必要性が、本明細書に開示する中間転写体およびその要素を用いる実施形態において達成可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
任意の開示される数値は、それぞれの試験測定でみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を固有に含む。さらに、本明細書に開示するすべての範囲は、その範囲に包含される任意の部分範囲およびあらゆる部分範囲を包含することが理解されるべきである。例えば、約1〜約10の範囲は、その間にある任意の部分範囲およびあらゆる部分範囲を含んでいてもよく(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9および10)、約は、1より小さな値から10を超える値までの範囲を含んでいてもよい。
【0021】
開示される中間転写体は、ポリイミド前駆体、ポリイミドに変換するこれらの混合物、フルオロ脂肪族ホスフェートで構成されていてもよく、組成物が、金属基材(例えば、ステンレス鋼)から自己剥離し、金属基材上の外側剥離層を省くことができる。
【0022】
図1に、フルオロ脂肪族ホスフェート3、ポリイミド4、任意要素のシロキサンポリマー5および任意要素の導電性要素6で構成される層2を含む中間転写体を示す。
【0023】
図2に、フルオロ脂肪族ホスフェート8、ポリイミド9、任意要素のシロキサンポリマー10および任意要素の導電性要素11を含む底部層7と、剥離要素14を含む任意要素の上部または外側トナー剥離層13とを含む、2層中間転写体を示す。
【0024】
図3に、支持基材15と、フルオロ脂肪族ホスフェート17、ポリイミド18、任意要素のシロキサンポリマー19および任意要素の導電性要素21を含むその上の層16と、剥離要素24を含む任意要素の剥離層23とを含む、3層中間転写体を示す。
【0025】
(ポリイミド)
本明細書に示す中間転写体混合物のために選択されるポリイミドの例は、ポリアミド酸のポリイミド前駆体または複数のポリアミド酸(例えば、約2〜約10、約2〜約5、約2〜約3のポリアミド酸、例えば、2つのポリアミド酸の重量パーセント比は、約80/20、約75/25、約50/50である)から作成することができる。酸の例としては、ピロメリット酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリアミド酸など、およびこれらの混合物が挙げられる。加熱によって硬化させた後、得られるポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリイミド、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリイミド、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
選択されるピロメリット酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミドの市販例としては、PYRE−ML(登録商標)RC−5019(N−エチル−2−ピロリドン(NMP)中、約15〜16重量%)、RC−5057(NMP/芳香族炭化水素=80/20中、約14.5〜15.5重量%)およびRC−5083(NMP/DMAc=15/85中、約18〜19重量%)(これらはすべて、Industrial Summit technology Corp.、パーリン、NJから入手可能);FUJIFILM Electronic Materials U.S.A.,Incorporated.から市販されるDURIMIDE(登録商標)100が挙げられる。
【0027】
ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸の例としては、U−VARNISH(登録商標)AおよびS(NMP中、約20重量%)(両方ともUBE America Incorporated.、ニューヨーク、NYから入手可能)、BPDA樹脂(NMP中、約16.8重量%)(Kaneka Corporation(TX)から入手可能)、PI−2610(NMP中、約10.5重量%)およびPI−2611(NMP中、約13.5重量%)(両方ともHD MicroSystems、パーリン、NJから入手可能)が挙げられる。
【0028】
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸の例としては、RP46およびRP50(NMP中、約18重量%)(両方ともUnitech Corp.、ハンプトン、VAから入手可能)が挙げられる。
【0029】
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリアミド酸の例は、PI−2525(NMP中、約25重量%)、PI−2574(NMP中、約25重量%)、PI−2555(NMP/芳香族炭化水素=80/20中、約19重量%)およびPI−2556(NMP/芳香族炭化水素/プロピレングリコールメチルエーテル=重量比70/15/15中、約15重量%)(すべてHD MicroSystems、パーリン、NJから入手可能)が挙げられる。
【0030】
さらに具体的には、ポリイミドまたはポリイミド混合物を作成するために選択可能なポリアミド酸またはポリアミド酸エステルの例は、酸二無水物とジアミンの反応によって調製される。選択される適切な酸二無水物としては、芳香族酸二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物、例えば、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2−ビス((3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシベンゾフェノン酸二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)エーテル酸二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)スルフィド酸二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン酸二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル酸二無水物、1,2,4,5−テトラカルボキシベンゼン酸二無水物、1,2,4−トリカルボキシベンゼン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4−4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン 2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン酸二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルフィドジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、4,4’−ジフェニルスルホンジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、メチレンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、エチリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、イソプロピリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物などが挙げられる。
【0031】
ポリアミド酸の調製に用いるのに適した例示的なジアミンとしては、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ビフェニル、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−アゾベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−p−ターフェニル、1,3−ビス−(γ−アミノプロピル)−テトラメチル−ジシロキサン、1,6−ジアミノヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロ−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,1−ジ(p−アミノフェニル)エタン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)プロパンおよび2,2−ジ(p−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
酸二無水物およびジアミンは、例えば、約20:80〜約80:20の重量比、約60:40〜約40:60の重量比、約50:50の重量比で選択され、その結果、「比」という記号は、この章全体で均一である。
【0033】
開示される中間転写体層の混合物のために選択されるポリイミドの例は、以下の式/構造
【化2】
の少なくとも1つおよびこれらの混合物によって表され、式中、nは、繰り返しセグメントの数を表し、例えば、約5〜約300、約10〜約200、約20〜約100、約20〜約50および約15〜約45である。
【0034】
(フルオロ脂肪族ホスフェート)
フルオロ脂肪族ホスフェートは、カーボンブラックのような導電性要素が存在する場合には、この導電性要素のための分散薬剤として、また、開示される混合物のためのレベリング剤および剥離添加剤として機能する能力を有し、以下の式/構造
【化3】
の少なくとも1つによって表すことができ、式中、R
fは、例えば、C
nF
2n+1によって表されるペルフルオロアルキル基であり、C
nのnは、炭素置換基の数であり、さらに具体的には、nは、約1〜約18、1〜約15、1〜約10、1〜約5、約5〜約10、約2〜約18、約2〜約16、約2〜約10、約3〜約12および約3〜約8である。従って、例えば、ペルフルオロアルキル基C
nF
2n+1の場合、F
nのnは、本明細書に開示されるようなC
nについてnが2の複数である。
【0035】
開示される中間転写体のために選択されるフルオロ脂肪族ホスフェートの例としては、アルキルが約1〜約18個の炭素原子、約1〜約12個の炭素原子、約1〜約10個の炭素原子または約1〜約8個の炭素原子を含むフルオロアルキルホスフェート、例えば、Mason Chemical Company(アーリントンハイツ、イリノイ)から入手可能なペルフルオロアルキルホスフェートMASURF(登録商標)FS−3300(pHが2〜4);Innovative Chemical Technologies,Incorporated(カーターズビル、ジョージア)から入手可能なペルフルオロヘキシルエチルホスフェートTHETAWET(商標)FS−8200(pHが2.5〜4)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
フルオロアルキルホスフェートの場合、アルキル置換基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、これらの混合物などを含む。
【0037】
開示される中間転写体混合物のために選択されるフルオロ脂肪族ホスフェートの具体例としては、以下の式/構造のペルフルオロヘキシルエチルホスフェート
【化4】
ペルフルオロオクチルエチルホスフェート、ジ(ペルフルオロヘキシルエチル)ホスフェート、ジ(ペルフルオロオクチルエチル)ホスフェート、他の適切な既知のフルオロ脂肪族ホスフェート、これらの混合物などが挙げられる。
【0038】
フルオロ脂肪族ホスフェートは、剥離剤または添加剤、レベリング剤および分散薬剤の3種類の異なる物質を利用することと対照的に、剥離剤または添加剤、レベリング剤および分散薬剤として同時に機能する能力を有し、開示されるコーティング溶液混合物と相溶性であり、得られるポリイミド/フルオロ脂肪族ホスフェートを含有する混合物または組成物は、硬化後に、ステンレス鋼のような金属基材および存在する場合には、平滑なポリイミド/導電性要素から自己剥離し、フルオロ脂肪族ホスフェート組成物の中間転写体を得ることができる。
【0039】
種々の量、例えば、(合計固形分全体の)約0.01重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%、約0.1重量%〜約1重量%、約0.1重量%〜約0.9重量%、約0.1重量%〜約1.5重量%、約0.03重量%〜約0.4重量%、約0.03重量%〜約0.1重量%、約0.01重量%〜約0.5重量%、約0.01重量%〜約0.05重量%および約0.2重量%以下のフルオロ脂肪族ホスフェートが、中間転写体組成物またはコーティング混合物のために選択されてもよい。いくつかの実施形態において、ポリイミドポリマーおよびフルオロ脂肪族ホスフェートの中間転写体組成物は、約99.99/0.01〜約95/5の重量比で存在し、ポリイミド/導電性要素/フルオロ脂肪族ホスフェートの重量比は、例えば、約50/49.99/0.01〜約94.9/5/0.1、約94.9/0.11/5、約94/5/1、約94/8/5/0.2、または約88.3/11.5/0.2であるか、または、混合物、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/ジアミノベンゼンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸、カーボンブラックおよびフルオロ脂肪族ホスフェートの場合、その重量比は、約80/10/9/1、約70/15/14.8/0.2、約70.6/17.7/11.5/0.2および他の適切な比率、例えば、約65/25/9.9/0.1〜約80/8/11.9/0.1である。
【0040】
ある具体的に開示された中間転写体コーティングは、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリイミド、導電性要素、および本明細書に示す溶媒中で調製された、開示されるフルオロ脂肪族ホスフェートの混合物を、例えば、固形分の約5〜約20重量%、約5〜約16重量%、約5重量%〜約10重量%、約10〜約20重量%、約10〜約15重量%含む。
【0041】
開示するポリイミド/フルオロ脂肪族ホスフェートを含有する混合物は、例えば、ヤング弾性率が、約3,000〜約10,000MPa、約4,000〜約9,000MPa、約4,000〜約8,000MPa、約5,000〜約8,000MPaおよび約7,000〜約7,500MPaである。
【0042】
(任意要素の導電性要素またはフィラー)
開示する中間転写体は、場合により、例えば、中間転写体の導電性を変え、調節するために、1種類以上の導電性要素またはフィラーを含んでいてもよい。中間転写体が1層構造である場合、導電性フィラーが、本明細書に開示するフルオロ脂肪族ホスフェートを含有する混合物中に含まれてもよい。しかし、中間転写体が多層構造である場合、導電性フィラーが、中間転写体の1つ以上の層(例えば、支持部材、フルオロ脂肪族ホスフェートを含有する混合物の層、または支持部材とフルオロ脂肪族ホスフェートを含有する混合物の層の両方、存在する場合には剥離層を含む)に含まれていてもよい。例えば、適切なフィラーとしては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン、グラファイト、アセチレンブラック、フッ素化カーボンブラック、他の既知の適切なフィラーおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
本明細書で使用する中間転写体のために選択可能なカーボンブラックフィラーの例としては、Evonik−Degussaから入手可能なSpecial Black 4(B.E.T.表面積=180m
2/g、DBP吸収量=1.8ml/g、一次粒子径=25ナノメートル)、Special Black 5(B.E.T.表面積=240m
2/g、DBP吸収量=1.41ml/g、一次粒子径=20ナノメートル)、カラーブラックFW1(B.E.T.表面積=320m
2/g、DBP吸収量=2.89ml/g、一次粒子径=13ナノメートル)、カラーブラックFW2(B.E.T.表面積=460m
2/g、DBP吸収量=4.82ml/g、一次粒子径=13ナノメートル)、カラーブラックFW200(B.E.T.表面積=460m
2/g、DBP吸収量=4.6ml/g、一次粒子径=13ナノメートル)(すべてEvonik−Degussaから入手可能);VULCAN(登録商標)カーボンブラック、REGAL(登録商標)カーボンブラック、MONARCH(登録商標)カーボンブラックおよびBLACK PEARLS(登録商標)カーボンブラック(Cabot Corporationとして入手可能)およびOrion Chemicalsから入手可能なカーボンブラック、例えば、Special Black 4が挙げられる。導電性カーボンブラックの具体例は、BLACK PEARLS(登録商標)1000(B.E.T.表面積=343m
2/g、DBP吸収量=1.05ml/g)、880(B.E.T.表面積=240m
2/g、DBP吸収量=1.06ml/g)、800(B.E.T.表面積=230m
2/g、DBP吸収量=0.68ml/g)、L(B.E.T.表面積=138m
2/g、DBP吸収量=0.61ml/g)、570(B.E.T.表面積=110m
2/g、DBP吸収量=1.14ml/g)、170(B.E.T.表面積=35m
2/g、DBP吸収量=1.22ml/g)、VULCAN(登録商標)XC72(B.E.T.表面積=254m
2/g、DBP吸収量=1.76ml/g)、XC72R(VULCAN(登録商標)XC72の綿状形態)、XC605、XC305、REGAL(登録商標)660(B.E.T.表面積=112m
2/g、DBP吸収量=0.59ml/g)、400(B.E.T.表面積=96m
2/g、DBP吸収量=0.69ml/g)、330(B.E.T.表面積=94m
2/g、DBP吸収量=0.71ml/g)、MONARCH(登録商標)880(B.E.T.表面積=220m
2/g、DBP吸収量=1.05ml/g、一次粒子径=16ナノメートル)および1000(B.E.T.表面積=343m
2/g、DBP吸収量=1.05ml/g、一次粒子径=16ナノメートル);Orionから入手可能なチャンネルスペシャルカーボンブラック4およびチャンネルスペシャルカーボンブラック5、Evonik−Degussaから入手可能なチャンネルカーボンブラックである。本明細書に具体的に開示されていない他の既知の適切なカーボンブラックは、本明細書に開示する中間転写体のためのフィラーまたは導電性要素として選択されてもよい。
【0044】
中間転写体に組み込むために選択可能なポリアニリンフィラーの例は、PANIPOL(商標)F(Panipol Oy、フィンランドから市販される);および既知のリグノスルホン酸がグラフト接合したポリアニリンである。これらのポリアニリンは、通常は、例えば、約0.5〜約5ミクロン;約1.1〜約2.3ミクロン、または約1.5〜約1.9ミクロンの比較的小さな粒径直径を有する。
【0045】
開示する中間転写体のために選択可能な金属酸化物フィラーとしては、例えば、酸化スズ、アンチモンがドープされた酸化スズ、二酸化アンチモン、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化亜鉛、インジウムがドープされた三酸化スズ、インジウムスズ酸化物および酸化チタンが挙げられる。
【0046】
適切なアンチモンがドープされた酸化スズフィラーとしては、不活性コア粒子にコーティングされた、アンチモンがドープされた酸化スズ、例えば、ZELEC(登録商標)ECP−S、MおよびT(DuPont Chemicals、Jackson Laboratories、ディープウォーター、N.J.から入手可能)およびこれらのアンチモンがドープされたコアを含まない酸化スズ、例えば、ZELEC(登録商標)ECP−3005−XCおよびZELEC(登録商標)ECP−3010−XC(DuPont Chemicals、Jackson Laboratories、ディープウォーター、N.J.から入手可能)が挙げられる。コア粒子は、マイカ、TiO
2、または中空コアまたは中身が詰まったコアを有する針状粒子であってもよい。
【0047】
アンチモンがドープされた酸化スズフィラーのE.I.DuPontまたはDuPont Chemicalsから市販される例は、ZELEC(登録商標)ECP 1610−S、2610−S、3610−S、1703−S、2703−S、1410−M、3005−XC、3010−XC、1410−T、3410−T、S−X1、針状の中空シェルを含むZELEC(登録商標)ECP粉末、等軸型二酸化チタンコア製品(ZELEC(登録商標)ECP−T)および平板形状のマイカコア製品(ZELEC(登録商標)ECP−M)である。
【0048】
シリカシェルまたはシリカ系粒子の表面に、アンチモンがドープされた酸化スズの薄層を密に積層することによって、アンチモンがドープされた酸化スズ粒子を調製することができ、このとき、シェルは、コア粒子に堆積したものである。さらに、アンチモンがドープされた酸化スズ粒子は、十分な透明性を与えるのに十分に微細な大きさである。シリカは、中空シェルであってもよく、または、不活性コア表面に積層して中身が詰まった構造を形成してもよい。
【0049】
存在する場合、フィラーは、例えば、フィラーが含まれる固体成分の合計を基準として、約0.1〜約50重量%、約1〜約60重量%、約1〜約40重量%、約3〜約40重量%、約4〜約30重量%、約10〜約30%、約10〜約25重量%、約5〜約30重量%、約15〜約20重量%、または約5〜約20重量%の量になるように選択することができる。
【0050】
(任意要素のポリシロキサンポリマー)
開示される中間転写体混合物は、一般的に、ポリシロキサンポリマーを含んでいてもよい。本明細書に開示する中間転写体混合物のために選択されるポリシロキサンポリマーの例としては、既知の適切なポリシロキサン、例えば、BYK Chemicalから、BYK(登録商標)333、330(メトキシプロピルアセテート中、約51重量%)および344(比率80/20のキシレン/イソブタノール中、約52.3重量%)として市販される、ポリエーテルとポリジメチルシロキサンのコポリマー;BYK(登録商標)−SILCLEAN 3710および3720(メトキシプロパノール中、約25重量%);BYK Chemicalから、BYK(登録商標)310(キシレン中、約25重量%)および370(比率75/11/7/7のキシレン/アルキルベンゼン/シクロヘキサノン/モノフェニルグリコール中、約25重量%)として市販される、ポリエステルとポリジメチルシロキサンのコポリマー;BYK Chemicalから、BYK(登録商標)−SILCLEAN 3700(メトキシプロピルアセテート中、約25重量%)として市販される、ポリアクリレートとポリジメチルシロキサンのコポリマー;BYK Chemicalから、BYK(登録商標)375(ジ−プロピレングリコールモノメチルエーテル中、約25重量%)として市販される、ポリエステルポリエーテルとポリジメチルシロキサンのコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
ポリシロキサンポリマーの具体例は、ポリエステル修飾されたポリジメチルシロキサン、ポリエーテル修飾されたポリジメチルシロキサン、ポリアクリレート修飾されたポリジメチルシロキサンおよびポリエステルポリエーテル修飾されたポリジメチルシロキサンからなる群から選択されるポリシロキサンポリマーを含む。
【0052】
ポリシロキサンポリマー、またはそのコポリマーが、開示するコーティング組成物およびその中間転写体中に、存在する固体要素または成分の合計重量を基準として、例えば、約0.1〜約10重量%、約0.01〜約1重量%、約0.05〜約1重量%、約0.05〜約0.5重量%、約0.1〜約0.5重量%、約0.2〜約0.5重量%、または約0.1〜約0.3重量%の量になるように含まれていてもよい。
【0053】
(任意要素の支持基材)
所望な場合、中間転写体中に、例えば、開示するフルオロ脂肪族ホスフェートを含む混合物層の下に、支持基材が含まれていてもよい。中間体に向上した剛性または強度を付与するために、支持基材が含まれてもよい。
【0054】
開示するフルオロ脂肪族ホスフェートを含有するコーティング分散物を、種々の適切な支持基材材料に塗布し、二重層中間転写体を作成することができる。例示的な支持基材材料としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、これらの混合物などが挙げられる。
【0055】
さらに具体的には、中間転写体支持基材の例は、既知の低温で迅速に硬化するポリイミドポリマーを含むポリイミドであり、例えば、VTEC(商標)PI 1388、080−051、851、302、203、201およびPETI−5(すべて、Richard Blaine International,Incorporated、リーディング、PA.から入手可能)、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどである。熱硬化性ポリイミドは、約180℃〜約260℃の温度で短い時間で、例えば、約10〜約120分、または約20〜約60分で硬化させることができ、一般的に、数平均分子量は、約5,000〜約500,000または約10,000〜約100,000であり、重量平均分子量は、約50,000〜約5,000,000、または約100,000〜約1,000,000である。さらに、支持基材の場合、300℃より高い温度で硬化させることが可能な熱硬化性ポリイミド、例えば、PYRE M.L.(登録商標)RC−5019、RC 5057、RC−5069、RC−5097、RC−5053およびRK−692(すべてIndustrial Summit Technology Corporation、パーリン、NJから市販される);RP−46およびRP−50(両方ともUnitech LLC、ハンプトン、VAから市販される);DURIMIDE(登録商標)100(FUJIFILM Electronic Materials U.S.A.,Inc.、ノースキングストン、RIから市販される);およびKAPTON(登録商標)HN、VNおよびFN(すべてE.I.DuPont、ウィルミントン、DEから市販される)である。
【0056】
本明細書に開示する中間転写体のための支持基材として選択可能なポリアミドイミドの例は、VYLOMAX(登録商標)HR−11NN(N−メチルピロリドン中、15重量%溶液、T
g=300℃およびM
w=45,000)、HR−12N2(N−メチルピロリドン/キシレン/メチルエチルケトン=50/35/15中、30重量%溶液、T
g=255℃およびM
w=8,000)、HR−13NX(N−メチルピロリドン/キシレン=67/33中、30重量%溶液、T
g=280℃およびM
w=10,000)、HR−15ET(エタノール/トルエン=50/50中、25重量%溶液、T
g=260℃およびM
w=10,000)、HR−16NN(N−メチルピロリドン中、14重量%溶液、T
g=320℃およびM
w=100,000)(すべてToyobo Company of Japanから市販)およびTORLON(登録商標)AI−10(T
g=272℃)(Solvay Advanced Polymers,LLC、アルファレッタ、GAから市販)である。
【0057】
本明細書に開示する中間転写体のために選択可能なポリエーテルイミド支持基材の具体例は、ULTEM(登録商標)1000(T
g=210℃)、1010(T
g=217℃)、1100(T
g=217℃)、1285、2100(T
g=217℃)、2200(T
g=217℃)、2210(T
g=217℃)、2212(T
g=217℃)、2300(T
g=217℃)、2310(T
g=217℃)、2312(T
g=217℃)、2313(T
g=217℃)、2400(T
g=217℃)、2410(T
g=217℃)、3451(T
g=217℃)、3452(T
g=217℃)、4000(T
g=217℃)、4001(T
g=217℃)、4002(T
g=217℃)、4211(T
g=217℃)、8015、9011(T
g=217℃)、9075および9076であり、すべてSabic Innovative Plasticsから市販される。
【0058】
(任意要素の剥離層)
所望な場合、任意要素の剥離層が、中間転写体中に、例えば、開示するフルオロ脂肪族ホスフェート混合物を含有する層の上の層構造で含まれていてもよい。トナーを洗浄し、光伝導体から中間転写体へのさらなる現像画像の転写効率を補助するために、剥離層が含まれていてもよい。
【0059】
剥離層が選択される場合、剥離層は、任意の望ましく適切な厚みを有していてもよい。例えば、剥離層は、厚みが約1〜約100ミクロン、約10〜約75ミクロン、または約20〜約50ミクロンであってもよい。
【0060】
任意要素の剥離層は、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA TEFLON(登録商標))および他のTEFLON(登録商標)に似た材料を含む、TEFLON(登録商標)に似た材料;シリコーン材料、例えば、フルオロシリコーンおよびシリコーンゴム、例えば、Silicone Rubber 552(Sampson Coating、リッチモンド、Va.から入手可能)、ポリジメチルシロキサン/ジブチルスズジアセテート(100グラムのポリジメチルシロキサンゴムあたり、DBTDAが0.45グラムの混合物、分子量M
Wは約3,500);およびフルオロエラストマー、例えば、VITON(登録商標)として入手可能なもの、例えば、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのコポリマーおよびターポリマー(VITON(登録商標)A、E、E60C、E45、E430、B910、GH、B50およびGFのような種々の名称で商業的に知られている)を含んでいてもよい。VITON(登録商標)という名称は、E.I.DuPont de Nemours,Inc.の商標である。既知のフルオロエラストマーは、(1)VITON(登録商標)Aとして商業的に知られる、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのコポリマー型;(2)VITON(登録商標)Bとして商業的に知られる、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのターポリマー型;および(3)35モルパーセントのフッ化ビニリデンと、34モルパーセントのヘキサフルオロプロピレンと、29モルパーセントのテトラフルオロエチレンと、2パーセントのキュアサイトモノマーとを含む、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよびキュアサイトモノマーのテトラポリマー型、例えば、VITON(登録商標)GFで構成される。キュアサイトモノマーは、DuPont de Nemours,Inc.から入手可能なもの、例えば、4−ブロモペルフルオロブテン−1、1,1−ジヒドロ−4−ブロモペルフルオロブテン−1、3−ブロモペルフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロ−3−ブロモペルフルオロプロペン−1、または任意の他の適切な既知の市販キュアサイトモノマーから選択することができる。
【0061】
(中間転写体の調製)
開示する中間転写体コーティング分散物は、多くの既知のプロセスによって調製することができる。開示するコーティング組成物を調製するための1方法は、機械的な攪拌を含み、ボールミルによる粉砕を含まず、フルオロ脂肪族ホスフェート剥離添加剤/レベリング剤/分散剤を、最初に、カーボンブラックのような導電性要素および溶媒と混合することができる。その後、得られた混合物にポリアミド酸およびポリアミド酸の混合物を加えてもよい。
【0062】
さらに具体的には、開示する中間転写コーティング、例えば、中間転写ベルト(ITB)分散混合物を、以下のスキームにしたがって調製することができ、開示する溶媒(例えばNMP)中に含まれるカーボンブラック、フルオロ脂肪族ホスフェートを組み合わせた剥離添加剤/レベリング剤/分散要素または分散剤の混合物を攪拌し、そのスラリーを作成することができる。その後、作成したスラリーにポリアミド酸またはその混合物を加え、その後、攪拌してもよく、ポリアミド酸/カーボンブラック/フルオロ脂肪族ホスフェート/NMPコーティング分散物を得て、次いで、分散物を濾過してもよい。以下のスキームにおいて、「ポリアミドを加える」は、複数のポリアミド酸、例えば、2種類のポリアミド酸の混合物を指す。
【化5】
【0063】
次いで、上述のように調製した最終的な中間体転写ベルト(ITB)液体コーティング分散混合物を、ステンレス鋼基材、アルミニウム、ニッケル、銅およびこれらのアロイのような金属基材、およびガラス板にフローコーティングし、その後、170℃で30分間および320℃で120分間硬化させるか、または約50℃〜約75℃で約25〜約35分間硬化させ、その後、約180〜約195℃で約25〜約35分間加熱し、次いで、さらに、約300℃〜約325℃で約50〜約100分間加熱することによって硬化させてもよい。平坦な形状を有し、乾燥させ、室温(約22℃〜約25℃)まで冷却したときに湾曲せず、何ら外部処理の助けを借りることなく、金属基材から簡単に剥離するポリイミド中間転写体膜が得られる。すなわち、得られた中間転写体膜は、例えば、約1〜約15秒、約1〜約10秒、約5〜約15秒、約5〜約10秒、または約1秒以内で、何ら外部処理の助けを借りることなく、金属基材(例えば、ステンレス鋼基材)からすぐに剥離するか、または自己剥離する。さらに、効率的かつ経済的に作られた中間転写体膜は、金属基材から完全に(例えば、約90〜約100%、または約95〜約99%)分離し、剥離材料および別個の剥離層を省くことができる。
【0064】
自己剥離する開示された中間転写体膜コーティング分散混合物を、中間転写体として選択することができ、または得られた膜を、フローコーティング、液体スプレーコーティング、浸漬コーティング、巻き線によるロッドコーティング、流動床コーティング、粉末コーティング、静電噴霧、音波による噴霧、ブレードコーティング、成型、ラミネート加工などによって、本明細書に示す任意要素の支持基材にコーティングすることができる。非導電性または導電性の適切な材料を用い、任意要素の支持基材を種々の形状(例えば、ベルトまたは膜)で作成することができ、中間転写体の厚みは、例えば、約30〜約1,000ミクロン、約100〜約800ミクロン、約150〜約500ミクロン、約100〜約125ミクロン、または約75〜約80ミクロンである。いくつかの実施形態では、硬化させた後の中間転写膜コーティング混合物は、厚みが、例えば、約30〜約400ミクロン、約15〜約150ミクロン、約20〜約100ミクロン、約50〜約200ミクロン、約70〜約150ミクロン、または約50〜約75ミクロンであってもよい。
【0065】
ポリイミド/フルオロ脂肪族ホスフェートを含有するコーティング混合物中に、溶媒が含まれていてもよい。選択される溶媒の例は、例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、塩化メチレンおよびこれらの混合物であり、溶媒は、例えば、コーティング混合物の要素の量を基準として、約70重量%〜約95重量%、または80重量%〜約90重量%の量になるように選択される。開示されるフルオロ脂肪族ホスフェートは、上述の溶媒に容易に溶解することができ、その結果、その溶解度は、約90〜約100%の範囲であり、特に、NMP溶媒には完全に100%可溶性であり、約90〜約99%、約95〜約99%および約98〜約100%である。
【0066】
具体的な実施形態を詳細に記載する。これらの例は、説明であることを意図しており、これらの実施形態に記載する材料、条件または処理パラメータに限定されない。すべての部は、特に指示のない限り、固体重量基準である。
【実施例】
【0067】
(比較例1)
ポリアミド酸の中間転写ベルト(ITB)のコーティング分散物が調製され、加熱によって硬化させた後、ポリアミド酸は、以下の式/構造
【化6】
を有するビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリイミドに変換され、式中、nは約30である。
【0068】
さらに具体的には、Orion Chemicalsから入手可能なSpecial Carbon Black 4、N−エチル−2−ピロリドン(NMP)中のビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸(固形分が約17重量%)、および3Mから入手可能なフルオロ界面活性剤であり、NMP溶媒に簡単には溶解しないレベリング剤NOVEC(商標)FC−4432の混合物を与え、この混合物を攪拌し、Attritor研磨ミルによって、2ミリメートルのステンレスショットを用いて18時間ボールミル粉砕することによって、中間転写コーティング分散物を調製した。NMPに分散した、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸/カーボンブラック/レベリング剤のコーティング分散物を得て、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸と、カーボンブラックと、レベリング剤との重量比は、88.8/11/0.2であり、20ミクロンのナイロン布フィルターで分散物を濾過した。
【0069】
上述のように調製した液体コーティング分散物を、ステンレス鋼基材にフローコーティングし、その後、75℃で30分、190℃で30分、320℃で60分硬化させた。得られたポリイミドを含有する中間転写体(厚みが50ミクロン)は、水に約2ヶ月間浸した後でなければステンレス鋼基材から剥離しなかった。
【0070】
分散物のカーボンブラックの粒径は、MALVERN HPPS5001動的光散乱装置を用い、約150ナノメートルであると測定され、粒度分布は狭かった。
【0071】
(実施例I)
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/ジアミノベンゼンポリアミド酸およびピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸で構成されるポリアミド酸の混合物を含む、ポリアミド酸の中間転写ベルト(ITB)のコーティング分散物が調製され、加熱によって硬化させた後、ポリアミド酸は、以下の式/構造
【化7】
のビフェニルテトラカルボン酸二無水物/フェニレンジアミンのポリイミド(式中、nは、約20〜約50である);および以下の式/構造
【化8】
のピロメリット酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリイミド(式中、nは約15〜約45である)に変換された。
【0072】
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物/ジアミノベンゼンのポリアミド酸は、Kaneka Corporationから入手され(BPDE樹脂、NMP中、固形分が約16.9重量%)、このブレンドのために選択されるピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸は、Industrial Summit Technology Corporationから得られるPyre−M.L.(登録商標)RC−5019(NMP中、固形分が約16重量%)である。
【0073】
ミルによる粉砕を用いない場合、以下のスキームにしたがい、中間転写コーティング分散物を調製し、Orion Chemicalsから入手可能なSpecial Carbon Black 4、フルオロ脂肪族ホスフェートであるMason Chemical Company(アーリントンハイツ、イリノイ)から入手可能な溶媒NMPに含まれ、固形分が約16.9重量%であるMASURF(登録商標)FS−3300(pHが2〜4)、またはInnovative Chemical Technologies,Incorporated(カータースビル、ジョージア)から入手可能なペルフルオロヘキシルエチルホスフェートのフルオロ脂肪族ホスフェート剥離添加剤/レベリング剤/分散薬剤THETAWET(商標) FS−8200(pHが2.5〜4、溶媒NMPに含まれ、固形分が約16重量%)の混合物を最初に作成した。得られた混合物を3時間攪拌し、そのスラリーを作成した。
【0074】
その後、作成したスラリーに、上述のビフェニルテトラカルボン酸二無水物/ジアミノベンゼンのポリアミド酸および上述のピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸を加え、その後、18時間攪拌し、その後、上の式/構造のビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンおよびピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン、カーボンブラック/フルオロ脂肪族 ホスフェート/NMPコーティング分散物を得て、分散物を20ミクロンナイロン布フィルターで濾過した。ポリアミド酸の二重ブレンド/カーボンブラック/フルオロ脂肪族ホスフェートから得られる分散物は、重量比が70.6/17.7/11.5/0.2であり、フルオロ脂肪族ホスフェートは、NMP溶媒中に約99%可溶性であった。
【0075】
以下のスキームにおいて、「ポリアミドを加える」は、2種類のポリアミド酸を指す。
【化9】
【0076】
上述のように調製した最終的な液体コーティング分散物を、ステンレス鋼基材にフローコーティングし、その後、170℃で30分、次いで、320℃で120分硬化させた後、室温(約25℃)で乾燥させた。厚みが50ミクロンであり、平坦な構造を有し、屈曲しないか、またはコーティングの欠損がない、得られた中間転写体ポリイミド/カーボンブラック/フルオロ脂肪族ホスフェートは、ステンレス鋼基材から約5秒間で、何ら外部処理の助けを借りることなく自己剥離した。約1〜約10秒の範囲内で自己剥離を達成することが非常に望ましい。
【0077】
分散物のカーボンブラック粒径は、MALVERN HPPS5001動的光散乱装置を用い、約100ナノメートルであると測定され、粒度分布は狭かった。
【0078】
既知のASTM D882−97プロセスにしたがって、ヤング弾性率を測定した。各中間転写体のサンプル(0.5インチ×12インチ)を、市販のInstronTensile Tester測定装置に設置し、次いで、このサンプルを一定の引張速度で破壊するまで伸ばした。この間に、得られた負荷 対 サンプル伸長度を記録した。記録した曲線結果の初期の直線部分に対する任意の正接を取り、引張応力を対応する歪みで割ることによって、ヤング弾性率の値を計算した。上の負荷を、各試験サンプルの平均断面積で割ることによって、引張応力を計算した。サンプル片が破壊したときの引張応力を破断強さとして記録した。
【0079】
比較例1および実施例Iの上述のITB部材について、High Resistivity Meter(Mitsubishi Chemical Corporationから入手可能なHiresta−Up MCP−HT450)を用い、表面抵抗を測定した(さまざまな点で4〜6回の測定値を平均、72°F/部屋の湿度65%)。以下の結果が得られた。
【表1】
【0080】
開示されるフルオロ脂肪族ホスフェートは、カーボンブラックの優れた分散薬剤であったため、実施例Iのコーティング分散物を、主に粉砕を行わずに調製した。対照的に、比較例1のコーティング分散物は、ボールミルによる粉砕によって効果的に調製され、複雑でエネルギー集約的なプロセスであった。
【0081】
それに加え、実施例Iの得られた中間転写体は、改良された安定性および機械特性を示し、例えば、比較例1の中間転写体に比べ、約15%高い弾性率、約20%高い破断強さを示した。