【実施例】
【0061】
<実施例1:皮下投与用溶液/製剤の調製>
A.2%カルビドパ溶液/製剤を以下の通り調製した。カルビドパ[ASSIA社]にあらかじめ加熱した0.1%亜硫酸水素ナトリウム溶液を添加し、さらにアルギニン(Merck社)を最終モル比がCD(カルビドパ):Arg(アルギニン)=1:1.2になるように添加して、完全に溶解するまで60℃で撹拌を続けた。加熱をやめて、得られた調製物を室温まで放冷した。得られた溶液のpHは8.5であった。この溶液を0.22μm滅菌PVDFメンブレンを用いて濾過した。
【0062】
B.10%トルカポン溶液/製剤を以下の通り調製した。トルカポン(Synfine Research社)に適量の水を添加し、撹拌しながら最終モル比が1:1になるようにアルギニンをゆっくり添加し、完全に溶解するまで撹拌を続けて、10%のトルカポンを含む溶液を調製した。冷却後、得られた溶液のpHは7.8であった。
【0063】
C.エンタカポン(Suven Life Sciences社)に適量の水を添加して30〜35℃で撹拌し、最終モル比が1:1になるようにアルギニンをゆっくり添加し、完全に溶解するまで撹拌を続けて、10%のエンタカポンを含む溶液を調製した。冷却後、得られた溶液のpHは6.9であった。低濃度(6%)の溶液のpHは7.8であった。調製したエンタカポン溶液を希釈することにより、2重量%、3重量%または4重量%のエンタカポン製剤とすることができる。
【0064】
エンタカポンは濃度が1%を超えると、ヒスチジンやグルタミン酸などのアルギニン以外のアミノ酸の存在下では溶解せず、また種々のpHのバッファーにも溶解しなかった。
【0065】
D.7%レボドパ/2%カルビドパ溶液を以下の通り調製した。アルギニンにあらかじめ加熱した0.1%亜硫酸水素ナトリウム溶液を添加し、最終モル比がLD:Arg=1:2になるようにレボドパを添加して、完全に溶解するまで75〜80℃で撹拌を続けた。60℃に冷却した後、最終モル比がCD(カルビドパ):Arg(アルギニン)=1:1.2になるようにカルビドパおよびアルギニンを添加して、完全に溶解するまで60℃で撹拌を続けた。冷却後、約12.5%のアルギニンをさらに添加した。得られた溶液のpHは約9.2であった。
【0066】
E.7重量%レボドパ溶液を以下の通り調製した。アルギニンにあらかじめ加熱した0.1%亜硫酸水素ナトリウム溶液を添加し、最終モル比がLD:Arg=1:2になるようにレボドパを添加して、完全に溶解するまで75〜80℃で撹拌を続けた。冷却後、得られた溶液のpHは約9.4であった。
【0067】
F.2%または4%のエンタカポンまたはトルカポン溶液は、エンタカポンまたはトルカポンを1当量のメグルミンを含むpH8.23の溶液に溶解して調製した(エンタカポン/トルカポン:メグルミンのモル比=1:1)。
【0068】
<実施例2:製剤調製手順>
レボドパ(LD)製剤およびカルビドパ(CD)製剤は以下の通り調製することができる。しかし、表Aに示すように、調製方法は、各組成物の物理的安定性および化学的安定性に大きな影響を及ぼす。
【0069】
方法1(L−アルギニン溶液)
L−アルギニンおよびNa−Bis(Na−bisulfate)を水に溶解してLD粉末およびCD粉末に加え、これを75℃で13分間加熱撹拌して粉末を完全に溶解させた。このLD/CD溶液を室温で10分間放冷した。
【0070】
方法2(すべての粉末を合わせる)
すべての粉末(LD、CDおよびL−アルギニン)を量り取り、これにNa−Bisを含む水を加えた。この懸濁液を75℃で13分間加熱撹拌して粉末を完全に溶解させた。このLD/CD溶液を室温で10分間放冷した。
【0071】
方法3(あらかじめ加熱したNa−Bis溶液を用いないこと以外は方法2と同じ)
すべての粉末(LD、CDおよびL−アルギニン)を量り取り、これに水を加えた。この懸濁液を75℃で13分間加熱撹拌して粉末を完全に溶解させた。このLD/CD溶液を室温で10分間放冷した。
【0072】
方法4(段階的に調製)
LDおよび適量のL−アルギニンを量り取り、これに水およびNa−Bis溶液を加えた。この懸濁液を75℃で7分間加熱して粉末を完全に溶解させた後、室温で7分間放置した。CDおよび適量のL−アルギニンを量り取り、先に調製したLD/アルギニン溶液に60℃で加えて完全に溶解させた。最後に、さらにL−アルギニンを追加した。
【0073】
方法5(あらかじめ加熱したNa−Bis溶液を用いないこと以外は方法4と同じ)
LDおよび適量のL−アルギニンを量り取り、これに水を加えた。この懸濁液を75℃で7分間加熱して粉末を完全に溶解させた後、室温で7分間放置した。CDおよび適量のL−アルギニンを量り取り、先に調製したLD/アルギニン溶液に60℃で加えて完全に溶解させた。最後に、さらにL−アルギニンを追加した。
【0074】
冷却後、それぞれの方法によって得られた製剤はすべて3つのバイアルに分注し、各製剤の3つのバイアルに水、Na−Bis溶液またはNa−Bis−Arg溶液を加えた。各製剤の物理的安定性および化学的安定性を評価し、表A1およびA2に示した。
【表1】
−沈殿なし、+沈殿あり
【0075】
各製剤のHPLC分析用のサンプリングは、調製終了時および5日間室温で放置した後に行った。5日間室温で放置した後の回収率を算出して、T=0の値と比較した。
【0076】
表A1およびA2の結果から、調製方法が製剤の物理的安定性および化学的安定性に大きな影響を及ぼすことが明確に示された。方法3の製剤は他の製剤と比べて極めて高い安定性を示した。
【表2】
[a]2回目の試験の回収率が1回目の試験の値より低くなっているが、これはサンプリング時に技術的問題が生じたためである。
[b]2回目の試験の回収率が1回目の試験の値より低くなっているが、これはサンプリング時に技術的問題が生じたためである。
【0077】
<実施例3:レボドパ組成物およびレボドパ/カルビドパ組成物の長期安定性に対するアルギニンの効果>
レボドパ、カルビドパおよびアルギニンを含む液体製剤を実施例2に記載した手順で調製し、アルギニンおよび/またはアミノ糖(例えばメグルミン)および/または糖類(例えばデキストロース)および/または塩基(水酸化ナトリウム)またはアルギニン以外の塩基性アミノ酸(例えばリジン、ヒスチジン)をそれぞれ異なる濃度で含む各種製剤の比較検討を行った。結果を表Bに示す。
【表3】
*Lys−リジン;His−ヒスチジン;Arg−アルギニン;Dex−デキストロース;Meg−メグルミン;NA−データなし
【0078】
表Bより、レボドパおよびカルビドパが高濃度(>2.5%)である場合、アルギニンとのモル比が<1:2.5であれば、安定した溶液が形成されるが、その他の塩基性アミノ酸を用いた場合では同じ条件下でもLDは溶解しないことが分かる。モル比がLD/CD:アルギニン=1:<2である場合、メグルミンなどの対イオンを用いなければ、LD/CD溶液は長期安定性を有することができない。また、メグルミンを用いることにより、LD/CDに対するアルギニンのモル比を下げることが可能である。
【0079】
液体製剤を以下の通り調製した。すべての粉末(LD、CDおよびL−アルギニン)を量り取り、あらかじめ73±3℃に加熱した水を加えた。この懸濁液を73±3℃の水浴に移し、10分間撹拌して完全に溶解させた。このLD/CD溶液を室温で10分間放冷した。次いで、アスコルビン酸を加えた。得られた溶液をガラスバイアルに分注し、25℃および−20℃それぞれの温度で指定の期間保存した。凍結したバイアルは、分析前に室温に置いて、完全に解凍させた。次いで、各製剤を撹拌して、安定性の分析に供した。
【0080】
表C1〜C6に、25℃および−20℃における長期の物理的安定性および化学的安定性に対するL−アルギニンの効果を示す。詳細には、これらの表は、LD/CDに対するアルギニンのモル比と安定性の間には相関があることを示しており、総じて、アルギニンを多く含む組成物ほど長期安定性を有している。LD/CD:アルギニンのモル比が1:≧2.1である溶液は、室温でも−20±5℃でも少なくとも1ヶ月間は安定した状態を保つことができる。このような溶液は、固形分の濃度が極めて高い(総固形分>45%)場合においても安定性を示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0081】
LD/CDを6/1.5%および5.4/1.5%の割合で含み、各種濃度のL−アルギニンを含む製剤に酢酸(100%)または乳酸(85%)を添加し、各溶液の物理的安定性に対するpHおよびL−アルギニン濃度の影響を検討した(表D)。
【表10】
*OK沈殿なし;+/−ごくわずかに粒子が認められる;+わずかに沈殿が認められる;++多量の沈殿が認められる
【0082】
表Dより、アスコルビン酸を添加した場合、アスコルビン酸ナトリウムを添加した場合よりpHが0.1〜0.15単位低くなり、さらにその他の有機酸を添加した場合は、製剤のpHがさらに低くなることが分かる。しかし、物理的安定性試験の結果によると、pHが<9.15±0.5の場合、総じて製剤が安定していないことが分かる。アスコルビン酸ナトリウムを含む製剤は、L−アルギニン濃度が同じであればアスコルビン酸を含む製剤より安定していると考えられる。したがって、十分な量のL−アルギニンが含まれていない製剤においては、過剰な酸によって沈殿が生じる可能性があることが示唆される。
【0083】
表Eに、表Dで示した安定性試験で使用したLD/CD/アルギニンを6/1.5/14.8%の割合で含む製剤における、調製から3週間後の物理的安定性および化学的安定性を示す。
【表11】
【0084】
<実施例4:カルビドパを含むレボドパ製剤のin vitroおよびex vivoにおける安定性>
レボドパ製剤に対するカルビドパの効果を調べた。0重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%または2重量%のカルビドパ(CD)と一定濃度のアルギニンとを含むレボドパ(LD)製剤を調製した。各製剤の物理的安定性および化学的安定性を評価し、表Fに示した。
【表12】
【0085】
図1Aに示した実験結果より、空気存在下において、暗黄色への変色がカルビドパによって用量依存的に抑制されていることが分かる。一方、空気が存在しない条件下(ヘッドスペース内に窒素が充填されている場合)においては、この変色は0.5%のCDで十分に抑制されている。よって、CDはin vitroでLDの酸化を阻害することが示唆される。表Fに示した実験結果より、カルビドパはレボドパの化学的安定性にさほど影響を与えないことが分かる。また、この実験結果より、沈殿を防ぐためにはアルギニンと有効成分全体との比が重要であること、すなわち、製剤の物理的安定性はアルギニンの相対濃度によって決まることも分かる。
【0086】
別の実験において、0%、0.5%、1%または2%のCDとそれぞれ異なる濃度のアルギニンとを含むLD製剤を調製した。各製剤の物理的安定性および化学的安定性を評価し、その結果を表Gに示した。
【表13】
【0087】
表Gに示すように、L−アルギニンが十分な濃度で含まれている場合、いずれの製剤もex vivoにおいて、解凍後少なくとも1ヶ月間室温で安定した状態を保っていた。
【0088】
レボドパ製剤の安定性に対するカルビドパの効果を
図1に示す。2%CDを含む7%LD/アルギニン溶液またはCDを含まない7%LD/アルギニン溶液を、5×5cmのブタの新鮮な全層皮膚に37℃、0.08mL/時間で18時間持続的に投与した。
図1の右側は、黒色の副産物が生成されていないことを示しており、この結果より、CDがex vivoにおいてLDの酸化を阻害すること、ならびにCDがo−キノン類およびメラニンの生成を阻害する可能性があることが示唆される。
【0089】
<実施例5:レボドパを含むカルビドパ製剤の安定性>
カルビドパの安定性に対するレボドパの効果を調べた。その結果を表Hに示す。
【0090】
表Hより、LDが存在すると、CDは酸化や分解の影響を受けにくく、より安定していることが分かる。LDが存在しない場合、酸素存在下では、保持時間(R.T.)4.82、5.65、12.7、13.53および14.55に示される不純物の面積が顕著に大きくなっており、酸素が存在しない条件下であってもR.T.4.82および13.53に示される不純物の面積は大きくなっていた。これより、LDがCDの分解を防いでいる可能性が考えられる。
【表14】
【0091】
<実施例6:カルビドパを含むレボドパ製剤の毒性および薬物動態>
レボドパの局所的毒性に対するカルビドパの効果をブタを用いて調べた。6%のLDおよび0%、0.5%または1%のCDを含み、アルギニンをそれぞれ13.5%、14.2%または14.8%含む溶液をブタに0.16mL/時間で24時間持続的に皮下投与した。各製剤の投与には、それぞれ2匹のブタを使用した。皮膚サンプルは8±1日後に採取した。
図2より、in vivoにおいて1%のカルビドパの存在により、レボドパによる毒性の程度および範囲が減少することが分かる。
【0092】
レボドパおよびカルビドパの薬物動態に対するカルビドパの作用を調べた。6%のLDおよび0%、0.5%、1%または2%のCDを含み、アルギニンをそれぞれ13.5%、14.2%、14.8%または16.5%含む溶液をブタに0.16mL/時間で24時間持続的に皮下投与した。
図3より、CDがLDの薬物動態に対して大きく作用することが分かる。このCDの作用は、±0.3%〜±1.2%の濃度範囲において用量依存性および線形性を示した。
【0093】
<実施例7:皮下投与後の血漿中レボドパ濃度>
この実験における目的は、ブタを対象として、カルビドパ、レボドパもしくはエンタカポンまたはこれらの組み合わせの持続皮下投与とLD/CDの経口投与を併用して行い、その後の血漿中のLD(レボドパ)濃度を測定することである。
【0094】
体重約22kgのランドレース×ラージホワイト交雑種雌性ブタに対して、表Iに示す処置を1日目の15:00に開始した。すなわち、LD/CD(100/25)の経口投与と併用して、上記した方法で製剤化した、カルビドパ、レボドパもしくはエンタカポンまたはこれらの組み合わせとアルギニンとを含む試験製剤を皮膚パッチ(Omnipod(登録商標))を用いて速度0.08mL/時間で持続的に皮下投与した。
【0095】
表Iは、各群の処置方法を示す。使用した製剤は実施例1および2と同様の方法で調製した。
【表15】
【0096】
3回目の経口投与後、所定の時点で血液サンプルを採取し、レボドパ、カルビドパおよび3−OMDの血漿中濃度をHPLC−ECDにより分析した。
【0097】
図4は、エンタカポン(200mg/24時間)およびCD(40mg/24時間)を(それぞれ別の組成物として)それぞれ単独で、または両者を組み合わせて持続皮下投与すると共に、シネメット(経口剤100/25、LD/CD)を経口投与した場合の経口投与終了後のブタ血漿中の平均レボドパ濃度(
図4A)と、LD(140mg/24時間)およびCD(40mg/24時間)をそれぞれ単独で、または両者を組み合わせて持続皮下投与すると共に、シネメット(経口剤100/25、LD/CD)を経口投与した場合の経口投与終了後のブタ血漿中の平均レボドパ濃度(
図4B)とを示す(上記と同様に皮下投与製剤はすべてアルギニンを含有する)。
【0098】
実験結果より、CDおよびエンタカポンをそれぞれ単独で持続皮下投与した場合の血漿中のレボドパ(LD)濃度を合算して得られたLDの血漿中薬物動態(PK)と比較すると、エンタカポン(200mg/24時間)およびCD(40mg/24時間)を共に持続皮下投与した場合、エンタカポンとCDはLDの血漿中PK(ng/mL)に対して相乗効果を示すことが分かる(
図1Aおよび表2(CとB+Dとの比較))。また実験結果より、CDおよびLDをそれぞれ単独で持続皮下投与した場合の血漿中のLD濃度を合算して得られたLDの血漿中PKと比較すると、LD(140mg/24時間)およびCD(40mg/24時間)を共に持続皮下投与した場合、LDとCDはLDの血漿中PK(ng/mL)に対して相加効果を示すことが分かる(
図1Bおよび表2(EとD+Fとの比較))。さらに実験結果より、LD/CDの経口投与を行わなくても、LDとCDとの持続皮下投与で十分に血漿中のレボドパ濃度を持続的に一定に保つことができることが示唆される(
図4Bの点線および表Jの「E−A」)。表Jに、LD/CDの経口投与終了から6.5時間後および8時間後の血漿中レボドパ濃度を示す。
【表16】
*E−エンタカポン;CD−カルビドパ;LD−レボドパ;NA−データなし
【0099】
図5は、レボドパ/カルビドパ/アルギニンの配合製剤およびレボドパ/アルギニン製剤の適用部位の組織生検を示す。レボドパ/カルビドパ/アルギニン製剤を投与した場合、組織の炎症や損傷の所見は認められなかった。レボドパ/アルギニン製剤の投与部位では、組織の黒変が幾分か認められる。特定の理論に縛られるものではないが、レボドパ(アルギニン)製剤と共にカルビドパおよびアルギニンを投与することにより、レボドパの酸化による刺激性の副産物の生成が妨げられ、局所組織がレボドパによる局所損傷から守られること、およびカルビドパが強力な酸化防止剤であることが考えられる。
【0100】
<実施例8:その他のカルビドパ製剤およびレボドパ/カルビドパ製剤の例示>
表KおよびLに、その他のカルビドパ製剤およびレボドパ/カルビドパ製剤の例を提示するが、本発明はこれらに限定されない。
【表17】
【表18】
【0101】
<実施例9:カルビドパおよびレボドパの持続皮下投与ならびにエンタカポンの経口投与を行った場合のレボドパ、カルビドパおよび3−O−メチルドパそれぞれの血漿濃度>
この実験における目的は、ヒトボランティアを対象にして、カルビドパおよびレボドパの持続皮下投与とエンタカポンの経口投与を併用して行い、その後のレボドパ(LD)、カルビドパ(CD)および3−O−メチルドパ(3−OMD)それぞれの血漿濃度を測定することである。
【0102】
単一施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験を18〜40歳の健康な白人男性ボランティア6名を対象に行った。LD(6%)/CD(1.5%)は、240μL/時間(24時間に換算すると、360mgのLDおよび90mgのCDに相当)の速度で投与した。エンタカポン(200mg)は、LD/CDの点滴開始の15時間後から2時間おきに経口投与した。所定の時点における血漿中のLD、CDおよび3−OMDそれぞれの濃度を定量した。
【0103】
図6に示すように、実験結果から、エンタカポンの経口投与により、エンタカポン投与開始から9時間以内にLDの血漿濃度がLD/CDの持続皮下投与で到達可能なレベルから50%増大したことが分かる。LDの血漿濃度は、LD/CD点滴開始から24時間後すなわちエンタカポン投与開始から9時間後の試験終了時までに定常状態には達しなかった。3−OMDの血漿濃度は顕著に低下した。これらの結果から、通常、LD/CDの経口投与と併用して行われる処置として、200mgのエンタカポンを1日6〜8回投与しているが、その代わりとして、400mgのエンタカポンを例えば1日2回または3回投与することも可能であることが示唆される。
【0104】
等価物
本発明の特定の実施形態について説明してきたが、これまでの明細書の内容は例示的なものであり、本発明を限定するものではない。上記内容を鑑みれば、本発明の多くの変形は当業者にとって自明であろう。本発明の全範囲は、特許請求の範囲とその等価物の全範囲、および本明細書と上述の変形を参照することによって決定されるものである。
【0105】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されている成分量および反応条件などを表す数値は、いずれも「約」が付されているものと理解される。別段の記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲で特定の数値が記載されている箇所において、「約」は、特定の数値に対して許容される誤差範囲(例えば最大5%または10%)が想定されることを意味するものとする。
【0106】
参照による援用
本明細書に引用されているすべての特許、公開特許出願、ウェブサイトおよびその他の参考資料の全内容は、それぞれ参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる。