特許第6472446号(P6472446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャウンベルジンズ アンドリスの特許一覧

特許6472446幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具
<>
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000006
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000007
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000008
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000009
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000010
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000011
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000012
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000013
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000014
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000015
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000016
  • 特許6472446-幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472446
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具
(51)【国際特許分類】
   A61C 5/42 20170101AFI20190207BHJP
【FI】
   A61C5/42
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-527069(P2016-527069)
(86)(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公表番号】特表2016-523687(P2016-523687A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014046832
(87)【国際公開番号】WO2015009814
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年6月22日
(31)【優先権主張番号】13/945,696
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516017042
【氏名又は名称】ジャウンベルジンズ アンドリス
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ジャウンベルジンズ アンドリス
【審査官】 小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特表昭58−501854(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0184406(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0210947(US,A1)
【文献】 特表2009−502349(JP,A)
【文献】 米国特許第04934934(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
の本体(10)を備える、歯内治療用器具であって、
前記縦の本体(10)は、前記縦の本体(10)の軸端部(13)と先端部(15)との間を延伸する均一のテーパを伴うワーキングレングス部(24)を有し、前記ワーキングレングス部は、少なくとも2つの螺旋状の溝(11)を含み、隣接する前記溝は、歯髄管の洗浄および成形に適した歯髄管の壁を切断または削るための端部を提供する螺旋状ランド(17)を形成し、前記溝は、前記縦長の本体の回転中心(19)の周りの前記ワーキングレングス部である歯内治療用ヤスリの意図する回転方向と同じ手動による方向の向きを有し、前記溝は、前記ワーキングレングス部の前記先端部から開始して前記ワーキングレングス部の全体の長さに延びるものであり、
前記螺旋状ランド(17)は、前記縦の本体の回転中心軸(19)に垂直な平面において測定すると、多くとも0.101mmのランド幅を有する、歯内治療用器具。
【請求項2】
前記螺旋状ランドのランド幅は、前記先端部と前記軸端部との間の一定のランド幅である、請求項1に記載の歯内治療用器具。
【請求項3】
前記歯内治療用器具は、サイズ8(0.08mm)の歯内治療用器具である、請求項1に記載の歯内治療用器具。
【請求項4】
前記歯内治療用器具は、サイズ10(0.10mm)からサイズ60(0.60mm)までの範囲の歯内治療用器具である、請求項1に記載の歯内治療用器具。
【請求項5】
前記歯内治療用器具は、サイズ70(0.70mm)の歯内治療用器具である、請求項1に記載の歯内治療用器具。
【請求項6】
均一のテーパを伴うワーキングレングス部は、前記先端部から前記軸端部までが+0.02〜+0.08mm/mm範囲のテーパを伴うものである、請求項1に記載の歯内治療用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、歯科学の分野に関し、特に、充填材を受け入れる準備をするために、人間の歯の歯髄管内にある材料の清浄に、および歯髄管を拡大して成形するために用いられる、歯内治療用ヤスリまたは歯内治療用リーマに関する。
【背景技術】
【0002】
歯内治療医が歯の歯髄管をクリアにして洗浄することを可能にする器具は、当該技術分野においてよく知られている。歯髄管の幾可学的形状のために、典型的には歯内治療用ヤスリと称される、これらの器具は、使用中に、破損を起こしやすい、著しい屈曲やねじれに遭遇する。破損や患者にもたらす危険の問題のために、ニッケル−チタン合金(NiTiまたはニチノール(商標))は、概して、これらの器具の製造で用いられる、ステンレス鋼よりも適切な材料と見なされる。ステンレス鋼に比べて、NiTiは、永久的変形破損に遭遇することなく、はるかに多くのねじれまたは曲げに耐えることができる。
【0003】
設計課題は、柔軟で、ねじれ破損および繰り返し疲労に耐え、効率的に切断し、切断の間に歯髄管をトランスポートしないNiTi器具を提供することであり、多次元的である。残念なことに、これらの設計目的は、相反する。そのため、従来技術の器具の設計は、これらの目標の間でなされた様々な妥協を象徴する。現在まで、従来技術の器具設計は、すべて、直線または均一テーパ器具の全体のワーキングレングスに沿った幅狭のラジアルランド幅を備えることを阻害するように、教示する。
【0004】
従来技術は、標準的なK−ヤスリ(K−file)またはリーマ(reamer)が曲がった歯髄管において用いられるときに中間の根のトランスポーテーション(mid−root transportation)をさらに防ぐ最適な切断を得るために、少なくとも0.004〜0.006インチ(約0.102〜0.152mm)の範囲内のラジアルランドが必要である、と想定されている。例えば、アーパイオ・ジュニア(Arpaio, Jr.)らに対する特許文献1、ヒース(Heath)に対する特許文献2および特許文献3、ならびにヒースらに対する特許文献4を参照。この性能を実現するために、この範囲内で選択されたランド幅は、器具のワーキングレングスに沿って一定に保持されるべきである。
【0005】
0.004インチ(約0.102mm)未満の幅を有するランドが開示される場合、器具の形状は、均一または直線テーパ形状から変更され、幅狭のランドは、器具の先端部およびシャンク部においてのみ設置される。例えば、ブキャナン(Buchanan)に対する特許文献5は、豊隆量の少ない(under−contoured)(幅狭の)中位または中間の腰部のワーキングレングスに沿って設置されたランドを除いて、0〜0.004インチの範囲の、アーパイオ・ジュニアおよびヒースのランド幅未満の、ランド幅を開示する。腰部におけるランドは、例えば0.004〜0.006インチの範囲内であり、先端部およびシャンク部におけるランドと比較して、相対的に幅広である。ブキャナンは、ワーキングレングスに沿った複数の豊隆または高さおよび複数のランド幅のバリエーションの組み合わせは、テーパロックを減少させ、切断効率を増加させ、トランスポーテーションを最小化または排除するということを主張する。ブキャナンの第0030段落(「器具の中間領域における幅広のランドは、それらの中間点における湾曲した管が真っすぐになることを防止または最小化する。」と言及する)を参照。アーパイオ・ジュニアおよびヒースと同様に、ブキャナンは、また、幅広のランド幅は、歯髄管経路のトランスポーテーションを防止するが、低減された切断効率のために(そのため一部の成形目標を成し遂げるためにさらなる回転を必要とする)、繰り返し疲労による破損の可能性が増える、ということを開示する。他方、幅狭のランド幅は、向上した切断効率のために、破損の可能性を減少させるものの、中間根のトランスポーテーションの可能性を増加させる。
【0006】
ブキャナンは、また、器具のシャンク端部に向かって幅狭のランド幅と、先端部に向かって相対的に幅広のランド幅と、中間根トランスポーテーションを容認できないレベルに増加させる先端部に向かって相対的に幅広のランド幅とを有する直線テーパ器具を見出した。ブキャナンの第0006段落を参照。このトランスポーテーションは、おそらく、器具の腰部における増大するランド幅によって生成された強度の結果である。さらに、ラジアルランドの幅が増大するにつれて、トルクの強度は増大するが、そのため、引っ張られる。
【0007】
本出願人による後続のテストは、シャンクおよび先端部において幅狭のランド幅であるが、腰部において幅広のランドを有する直線テーパ器具は、器具が歯髄管の曲線部を横断する際の腰部における応力集中によって証明される強度に結びつく、ということを発見している。本出願人は、またシャンクおよび先端部に比べて幅広の腰部と、器具の長さ方向に沿って幅狭のランドとを有する器具による実験を行なっている。これらの器具は、また、容認できない中間根トランスポーテーションに遭遇した。そして、本出願人は、その全長に沿った幅狭のラジアルランドを有する直線テーパのK−ヤスリを製造することを決定した。思いがけず意外にも、器具は、優れた切断性能と繰り返し疲労に対する耐性とを有するだけでなく、中間根トランスポーテーションを示さなかった。このヤスリの好ましい実施形態が、本明細書に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,934,934号明細書
【特許文献2】米国再発行特許第34,439号(第4,871,312号の再発行)
【特許文献3】米国特許第5,762,497号明細書
【特許文献4】米国特許第5,941,760号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0026360号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明によってなされた、改善された歯内治療用器具は、器具の回転中心軸に垂直な平面において測定さすると、多くとも0.101mmのランド幅を有する、螺旋状ランドを含む均一のテーパ状のワーキングレングスを有する。ランド幅は、もしそれが0.101mmを上回らなければ、ワーキングレングスに沿って変化してもよい。テーパは、8〜70の範囲内にある器具サイズとともに、好ましくは1mm当たり0.02〜0.08mmの範囲内にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、優れた切断性能と繰り返し疲労に対する耐性とを提供する、改善された歯内治療用器具を提供することである。本発明の別の目的は、器具が管の曲線部をナビゲートし成形する際に、歯髄管をトランスポートしない歯内治療用器具を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による歯内治療用器具の好ましい実施形態の図である。器具は、均一のテーパと、少なくとも2つのねじれ溝と、器具の全体のワーキングレングスに沿ってねじれ溝の間に設置された幅狭のラジアルランドとを有する。
図2】歯内治療用器具の好ましい実施形態を図示する、図1の断面線2−2に沿う図である。器具は、各々の隣接する溝の対の間に設置された幅狭のラジアルランドをもつ、4つの実質的に直線のねじれ溝表面を有する。
図3】歯内治療用器具の別の好ましい実施形態を図示する、図1の断面線3−3に沿う図である。器具は、各々の隣接する溝の対の間に設置された幅狭のラジアルランドをもつ、4つの凹状のねじれ溝を有する。
図4】歯内治療用器具のさらに別の好ましい実施形態を図示する、図1の断面線4−4に沿う図である。器具は、各々の隣接する溝の対の間に設置された幅狭のラジアルランドをもつ、3つの実質的に直線のねじれ溝表面を有する。
図5】曲率半径によって定義された3つの凹状のねじれ溝を有し、各々の隣接する溝の間に幅狭のラジアルランドを形成する、歯内治療用器具のさらに別の好ましい実施形態を図示する、図1の断面線5−5に沿う図である。
図6】歯内治療用器具の別の好ましい実施形態を図示する、図1の断面線6−6に沿う図である。器具は、各々の隣接する溝の対の間に設置された幅狭のラジアルランドをもつ、3つの凸状のねじれ溝を有する。
図7】湾曲した歯髄管を横断するときに器具のワーキングレングスが出現するように、ワーキングレングスの中間部分における幅広のランド(または、代替え的にはワーキングレングスの幅広の中間部分における幅狭のランド)を有する従来技術の歯内治療用器具の図形表現である。
図8】湾曲した歯髄管を横断するときにそのワーキングレングスが出現する際の、図1の歯内治療用器具の図形表現である。
図9図7の従来技術の歯内治療用器具のワーキングレングスの、曲げられて応力をかけられた中間部分の拡大図である。幅広のランド(または幅広の腰部)のために、中間部分は、繰り返し疲労および破損を受けやすくする、重度および中程度の応力集中に遭遇する。
図10図8の歯内治療用器具の中間部分の拡大図の図である。中間部分における幅狭のランドは、図9の幅広のランドの器具または幅広の腰部の器具によって、遭遇される応力集中のエリアを排除する。
図11】湾曲した歯髄管を横断し、中間根トランスポーテーションに遭遇する際の、図7の従来技術の歯内治療用器具の図である。
図12】湾曲した歯髄管を横断する際の、図1の器具の図である。器具は、中間根トランスポーテーションに遭遇しない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によってなされた歯内治療用器具の好ましい実施形態は、図面と以下の要素のナンバリングとを参照しながら、ここに記述されることになる。
【0013】
【表1】
【0014】
まず図1を参照すると、歯内治療用器具10は、器具10のシャンク端部13と先端部15との間を延伸する2つ以上の連続的に螺旋状の溝表面11を含む。隣接する溝表面11は、器具10がその回転中心軸19のまわりで手動的にまたは機械的に操作されるように管を成形するために、歯髄管の壁を切断または削るための端部を提供するラジアルランド17を形成する。そのため、ラジアルランド17は、シャンク端部13と先端部15との間に存在するアクティブ部分またはワーキングレングス24に沿って設置される。ワーキングレングス24は、好ましくは、その先端部15における径がそのシャンク端部13の径未満になるように、約16mmから25mmの長さであり、所定の直線または均一のテーパを伴う。本発明の一部を形成しないが、器具10の取手部21は、手動的または機械的な操作用に構成され、深さ較正溝23を含む。
【0015】
ここで図2図6を参照すると、溝表面11は、ラジアルランド17を形成する、直線、凸状、または凹状面であってもよい。ワーキングレングス24の断面形状は、好ましくは一定である。すなわち、溝表面11の所望の数および形状は、ワーキングレングス24に沿って1つの断面から次の断面に変化しない。本発明の中心となるのは、ランドの幅が、回転中心軸19に対して垂直な平面20において測定されるときに多くとも約0.0039インチ(0.101mm)である、ということを意味する、ラジアルランド17が幅狭のランドである、ということである。1つの好ましい実施形態において、ラジアルランド17は、鋭利な点を形成しようとするように、非常に幅狭であった。
【0016】
弧度αの観点から測定すると、1mm当たり0.02mmのテーパを有する様々なサイズの器具のための各径Dn(ここで、nは先端部15からの距離(mm)である)における最大弧度αは、表1にリストアップされるようなものを上回らない。例えば、0.02mmのテーパを有するサイズ8の器具は、0.08mmの径D1および0.10の径D2を有する。0.08mmのテーパを有するサイズ8の器具は、0.08mmの径D1および0.16mmの径D2をそれぞれ有する。任意のサイズの器具「s」およびテーパ「t」用の断面「n」のときの所定の最大ランド幅「w」を上回らないように、任意の断面「n」における最大弧度「α」を計算するために、次式が用いられてもよい。
【数1】
ここで、「n」は器具の先端部からの測定値であり、「s」は、器具サイズの100分の1である(例えば、サイズ8は、0.08mmの「s」に等しい)。
【0017】
器具が歯髄管をトランスポートしないようにするために、器具の腰部14において幅広のラジアルランドが必要である、と歯内治療用器具の設計者によって常に想定されている。腰部14は、概して、それぞれ、近位端部13から約9〜11mmで始まり、先端部15から約2の1/2〜3mmで(または遠位端部から約9〜11mmで)終了する。但し、ここで図7図9、および図11を参照すると、デジタル写真は、シャンク部13および先端部15における幅狭のラジアルランドと腰部14における幅広のラジアルランドとを有する従来技術の歯内治療用器具が、器具が樹脂ブロックBにおいて約45°の曲率のシミュレートされた歯髄管Rをナビゲートする際に、容認できないレベルの中間根トランスポーテーション25にやはり遭遇する、ということを明らかにする。熱分光学は、また、従来技術の器具が管Rの曲率を横断するので、腰部14における中程度の応力集中のエリア27および重度の応力集中のエリア29を明らかにする。これらの応力集中のエリア27および29は、器具の繰り返し疲労性能に悪影響を与える。背景技術において論じたように、これらの発見は、ブキャナンのものにしたがっている。但し、ブキャナンは、一般通念に合わせて、腰部14において幅広のランドを保持することによって、但し器具の豊隆を変更することによって、問題を解決しようとした。
【0018】
【表2】
【0019】
ブキャナンは、器具の先端部およびシャンク端部における幅狭のラジアルランドの必要性を認識したが、一般通念では器具のこの部分に幅狭のランドを設けると腰部14を広げる必要があるだろうと考えられていたため、ブキャナンは、腰部14において幅狭のラジアルランドを回避した。但し、腰部14の拡大は、幅広の腰部は強度をもたらすので、同様のトランスポーテーション25および応力集中27、29に結びつく。そのため、ブキャナンは、腰部を狭くするものの、先端部およびシャンク部に対するランドを拡大することを選択した。
【0020】
従来技術は、また、例えば、シャンク若しくは先端部13、15が歯髄管Rを通り抜ける際に、または、それらの切断若しくは切削する端部が管Rの壁を横切って引っ張られる際に腰部が曲がるために、直線または均一のテーパであるが全体のワーキングレングス14に沿った幅狭のラジアルランド17を有する器具が容認できないレベルのトランスポーテーション25に遭遇するだろう、ということを教示する。ブキャナンは、歯内治療用設計者が器具の腰部14における幅狭のランドを回避することになる長さを示す。本発明と比較して、ブキャナンの設計は、複雑で且つ製造コストがかかる。
【0021】
ここで図8図10、および図12を参照すると、本発明によってなされた歯内治療用器具の好ましい実施形態は、樹脂ブロックB内のシミュレートされた歯髄管Rにおいてテストされた。思いがけず意外にも、器具が45°の曲率を越えた際にも、器具10は、その腰部14において中間根トランスポーテーションを示さなかった。さらに、熱分光学は、腰部14におけるまたはワーキングレングス24に沿った重度若しくは中程度の応力集中のエリアを示さなかった。
【0022】
改善された歯内治療用器具10が中間根トランスポーテーションに遭遇せず、応力集中のエリアを有しない、という事実が、後続のテストにおいて実証された。2つのPROFILE(登録商標)器具(デンツプライ・タルサ・デンタル・スペシャルティーズ(DENTSPLY Tulsa Dental Specialties)米国オクラホマ州タルサ)は、本発明にしたがって作成され、同じセットの試験条件の下で他の従来技術と比較して、ランドのない鋭利な切断器具であった。PROFILE(登録商標)器具の一方は、M−WIRE(商標)NiTiワイヤ(デンツプライ・タルサ・デンタル・スペシャルティーズ、米国オクラホマ州タルサ)で作られ、他方はNiTiワイヤで作られた。M−WIREの効果は、繰り返し疲労に対する強化された耐性にある。そのワーキングレングス24に沿って幅狭のラジアルランド17に組み合わせた器具10の直線テーパは、切断効率を約1.4倍に改善された。
【0023】
【表3】
【0024】
その全体のワーキングレングスに沿った幅狭のラジアルランドを有する歯内治療用器具は、ある程度の特殊事情で記述されるが、この開示の精神および範囲から逸脱せずに、多くの変更が構造の細部およびコンポーネントの配置においてなされてもよい。そのため、この開示による歯内治療用器具は、その各要素が権利を与えられるすべての範囲の等価物を含む、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12