(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この燃料電池セルによって生成された電力を外部回路へと取り出すために、燃料電池セルに端部集電部材を接合することが考えられる。この場合、端部集電部材は、接合材などを用いて、燃料電池セルに接合する。また、電力を外部回路に取り出すために、端部集電部材は、燃料電池セルから延びている。
【0005】
このような構成のセルスタック装置において、端部集電部材に外部回路の部品を取り付けると、端部集電部材に引張り荷重が作用し、端部集電部材が燃料電池セルから剥離してしまうおそれがある。そこで本発明の課題は、燃料電池セルから剥離しにくい端部集電部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に係る端部集電部材は、燃料電池セルから電力を取り出すように構成されている。この端部集電部材は、接合部、連結部、及び引出し部を備えている。接合部は、第1端部及び第2端部を有している。また、接合部は、燃料電池セルに接合されるように構成されている。連結部は、接合部の第1端部から第2端部に向かって延びている。引出し部は、連結部の先端部から延びるとともに、接合部から離れる方向に延びている。
【0007】
引出し部に外部回路の部品などを取り付ける際に、引出し部に引張り荷重が掛かることがある。このように引出し部に引張り荷重が掛かった場合であっても、この引張り荷重が接合部に直接作用しない。すなわち、引出し部に掛かる引張り荷重は、引張り荷重と交差する方向に延びる連結部の先端部が引張られる方向に移動することによってこの引張り荷重が吸収されるため、接合部に掛かる荷重を軽減できる。この結果、端部集電部材は、燃料電池セルから剥離しにくくなる。
【0008】
好ましくは、連結部の基端部は、延びる方向が反転するように屈曲する。
【0009】
好ましくは、接合部は、長手方向と短手方向とを有する。そして、接合部の第1端部は、短手方向における一方の端部であり、接合部の第2端部は、短手方向における他方の端部である。この場合、好ましくは、連結部は、短手方向において、接合部の第2端部を超えて延びている。
【0010】
なお、接合部の第1端部は、長手方向における一方の端部であり、接合部の第2端部は、長手方向における他方の端部であってもよい。
【0011】
好ましくは、接合部は、矩形状である。
【0012】
好ましくは、接合部の長手方向は、燃料電池セルの幅方向に沿って延びる。
【0013】
好ましくは、接合部、連結部、及び引出し部は、1つの部材によって構成される。
【0014】
好ましくは、接合部、連結部、及び引出し部は、一枚の金属板から構成される。例えば、接合部と連結部と引出し部とが互いに別の部材から構成される場合、接合部と連結部と引出し部とを接合する箇所が生じる。すると、この各接合箇所での抵抗発生による電力損失が問題となる。これに対して、接合部と連結部と引出し部とが一枚の金属板から構成された場合、上述したような接合箇所が生じない。このため、接合箇所での抵抗が発生せず、燃料電池セルから電流を外部に取出す際の電力損失をより低減することができる。
【0015】
好ましくは、接合部は、中央領域と、前記中央領域を幅方向において挟むように配置される第1及び第2領域と、を有する。そして、引出し部は、接合部の第1及び第2領域のどちらか一方側に配置される。
【0016】
好ましくは、連結部の先端部は、接合部の第1及び第2領域のどちらか一方側に配置される。
【0017】
好ましくは、連結部は、接合部の第1及び第2領域のどちらか一方の第1端部から延びる。
【0018】
好ましくは、連結部は、接合部の中央領域の第1端部から延びる。
【0019】
好ましくは、引出し部は、リード線を取り付けるための取付孔を有する。
【0020】
好ましくは、引出し部の取付孔は、引出し部の延びる方向に長い長孔形状である。
【0021】
好ましくは、引出し部の取付孔は、引出し部の延びる方向と交差する方向に長い長孔形状である。
【0022】
本発明の第2側面に係るセルスタック装置は、マニホールド、燃料電池、及び上記いずれかの端部集電部材を備えている。燃料電池セルは、マニホールドから上方に延びる。端部集電部材は、燃料電池セルと電気的に接続される。端部集電部材の接合部は、燃料電池セルに接合される。
【0023】
好ましくは、セルスタック装置は、筐体をさらに備える。筐体は、取出し孔を有し、マニホールド及び燃料電池セルを収容する。端部集電部材の引出し部は、筐体の取出し孔を介して、筐体の外部へと延びる。
【0024】
好ましくは、マニホールドは、マニホールド本体と、板状部材とを有する。マニホールド本体は、上方または下方が開口する箱状である。板状部材は、開口を塞ぐ。マニホールド本体は、複数の平板部と、平板部を連結する角部と、を有する。角部の厚さは、平板部の厚さよりも小さい。
【0025】
この構成によれば、箱状のマニホールド本体において平板部の厚さよりも角部の厚さが小さい。このため、マニホールドに接合材を用いて燃料電池セルが接合されたセルスタック装置の動作時に、高温になり温度分布が生じると、角部が優先的に変形する。角部が歪みを吸収できるので、燃料電池セルとマニホールドとの接合領域の変形を抑制できる。したがって、マニホールドと燃料電池セルとを接合する接合材に、マニホールドの変形に起因したクラックを抑制することができる。
【0026】
好ましくは、マニホールドは、台座に配置されている。そして、マニホールドは、底壁と、側壁と、上壁と、複数の突起部とを有している。側壁は、底壁から上方に延びる。上壁は、側壁の上端部を塞ぎ、かつ燃料電池セルが接合される。複数の突起部は、底壁に取り付けられ、かつ台座に接する。突起部は、底壁を構成する材料と異なる材料で構成されている。
【0027】
この構成によれば、接合材を用いてマニホールドの上壁に燃料電池セルが接合されたセルスタック装置の動作時において、燃料電池セルがマニホールドよりも高温になる場合に、底壁から台座に高温の熱を伝達する経路は、複数の突起部になる。複数の突起部と台座とが接触しているため、マニホールドと台座との接触面積を低減できる。このため、マニホールドから台座への熱損失を抑制できる。また、突起部及び底壁を構成する材料は異なるので、底壁に取り付ける突起部の自由度が高い。このため、仕様に応じて、マニホールドから台座への熱損失を効果的に抑制できる位置に突起部を設けることができる。したがって、マニホールドの温度低下を効果的に抑制できるため、燃料電池セルを接合する接合材に加えられる応力を抑制できる。よって、接合材におけるクラックを抑制できるので、セルスタック装置に用いたときに接合材から反応ガスが漏れ出すことを抑制することができる。
【0028】
好ましくは、底壁において台座と対向する面の表面粗さRzは、0.01z以上である。この場合、底壁と台座との接触面積をより低減できるので、マニホールドの温度低下をより抑制できる。このため、燃料電池セルを接合する接合材に加えられる応力をより抑制でき、接合材におけるクラックをより抑制できる。
【0029】
好ましくは、底壁の下面の面積に対して、突起部と台座とが接触する面積の比(接触する面積/下面の面積)は、15%以下、より好ましくは10%以下である。この場合、底壁と台座との接触面積が小さいので、マニホールドの温度低下をより抑制できる。このため、燃料電池セルを接合する接合材に加えられる応力をより抑制でき、接合材におけるクラックをより抑制できる。
【0030】
好ましくは、突起部は、無機材料で構成される。マニホールドを備えるセルスタック装置は高温で作動するとともに、突起部にはセルスタック装置全体の荷重がかかるが、無機材料では金属材料と比較して高温クリープ現象に対する耐性が高い。したがって、突起部の材料として、無機材料で構成されることが好ましい。
【0031】
好ましくは、突起部は、底壁を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する材料で構成されている。これにより、台座と接触する突起部は、底壁よりも熱伝導率が小さいので、マニホールドから台座への熱損失をより抑制できる。このため、マニホールドの温度の低下をより抑制できるので、燃料電池セルを接合する接合材におけるクラックをより抑制できる。
【0032】
好ましくは、突起部を構成する材料の熱伝導率は、好ましくは40W/m・K以下、より好ましくは20W/m・K以下である。この場合、マニホールドから台座への熱伝導によるマニホールドの温度低下をより抑制できる。このため、燃料電池セルをより安定的に支持できる。
【0033】
好ましくは、突起部は、鉱物またはセラミックスで構成される。鉱物またはセラミックスで構成される突起部は、底壁に容易に取り付けることができる。
【0034】
好ましくは、マニホールドは、底壁の下面に形成されたコーティング膜を有する。そして、突起部は、コーティング膜を介して底壁に取り付けられている。コーティング膜により、突起部を底壁に容易に取り付けることができる。なお、突起部とコーティング膜とは同じ材料で形成してもよく、コーティング膜の一部を突起状に形成してもよい。
【0035】
好ましくは、上壁は、クロムを含む材料で構成され、上壁の表面全体に形成されたコーティング膜をさらに有している。コーティング膜により、上壁を構成するクロムが揮発することを防止できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、燃料電池セルから剥離しにくい端部集電部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[セルスタック装置]
以下、本発明に係る端部集電部材、及びセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に示すように、セルスタック装置100は、複数の燃料電池セル1と、マニホールド2と、一対の端部集電部材3と、を備えている。このセルスタック装置100は、筐体90によって覆われている。筐体90は、金属材料から構成されている。例えば、筐体90は、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、又はNi基合金などによって構成されている。
【0039】
[マニホールド]
マニホールド2は、各燃料電池セル1にガスを分配するように構成されている。マニホールド2は、中空状であり、内部空間を有している。マニホールド2の内部空間には、導入管201を介して燃料ガスなどのガスが供給される。マニホールド2は、この内部空間と外部とを連通する複数の貫通孔27を有している。
【0040】
マニホールド2は、各燃料電池セル1を支持している。マニホールド2は、マニホールド本体21と、上壁22(蓋部材の一例)とを備えている。マニホールド本体21と上壁22とは、互いに別部材であって接合されている。なお、マニホールド本体21と上壁22とは、一体的に形成されていてもよい。このマニホールド本体21と上壁22とによって、マニホールド2の内部空間を画定している。
【0041】
マニホールド本体21は、直方体状であって、上面が開口した内部空間を有する。詳細には、マニホールド本体21は、底壁23と、側壁24と、を有している。側壁24は、底壁23の周縁部から上方に延びている。導入管201は、側壁24に取り付けられており、マニホールド2の内部空間と連通している。導入管201は、例えば、上方に延びている。
【0042】
例えば、マニホールド本体21は、耐熱性を有するような金属あるいは絶縁性セラミックスによって形成される。より具体的には、マニホールド本体21は、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、Ni基合金、MgO(酸化マグネシウム)、Al
2O
3(酸化アルミニウム)、MgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)、MgO・SiO
2(ステアタイト)、及び2MgO・SiO
2(フォルステライト)よりなる群から選ばれる少なくとも1種から形成されている。
【0043】
上壁22は、マニホールド本体21の上面を塞ぐように、マニホールド本体21に取り付けられている。例えば、上壁22とマニホールド本体21とは、結晶化ガラス等によって接合されている。上壁22は、上述したマニホールド本体21の材料の少なくとも一種から形成することができる。
【0044】
上壁22は、各燃料電池セル1が取り付けられるように構成されている。詳細には、上壁22は、複数の貫通孔27を有している。各貫通孔27は、マニホールド2の幅方向(y軸方向)に延びている。また、各貫通孔27は、配列方向(z軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。
【0045】
[燃料電池セル]
各燃料電池セル1は、マニホールド2から上方に延びている。詳細には、各燃料電池セル1は、マニホールド2の上壁22から上方に延びている。燃料電池セル1の下端部は、貫通孔27内に挿入されている。燃料電池セル1の下端部は、上壁22から下方に突出していてもよい。燃料電池セル1の長手方向(x軸方向)の長さは、例えば、100〜300mm程度とすることができる。なお、燃料電池セル1の下端部が貫通孔27内に挿入された状態において、燃料電池セル1の下端部の外周面と貫通孔27の内壁面との間には隙間が形成されている。この隙間に、後述する第3接合材103が充填されていてもよい。
【0046】
各燃料電池セル1は、配列方向(z軸方向)に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。なお、各燃料電池セル1は、配列方向に沿って、等間隔に配置されていることが好ましいが、等間隔に配置されていなくてもよい。
【0047】
図3に示すように、燃料電池セル1は、複数の発電素子部11と、支持基板12とを備えている。
【0048】
[支持基板]
支持基板12は、マニホールド2から上方に延びている。すなわち、支持基板12は、上下方向に延びている。支持基板12は、支持基板12の長手方向(x軸方向)に延びる複数のガス流路121を内部に有している。各ガス流路121は、支持基板12の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。ガス流路121は、マニホールド2の内部空間と連通している。
【0049】
支持基板12の長手方向(x軸方向)は、燃料電池セル1の長手方向と同じ方向である。各ガス流路121は、互いに実質的に平行に延びている。各ガス流路121は、支持基板12の長手方向の両端面において開口している。
【0050】
図4に示すように、支持基板12は、複数の第1凹部123を有している。各第1凹部123は、支持基板12の両面に形成されている。各第1凹部123は支持基板12の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0051】
支持基板12は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板12は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板12は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板12の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
【0052】
[発電素子部]
各発電素子部11は、支持基板12の両面に支持されている。なお、各発電素子部11は、支持基板12の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部11は、燃料電池セル1の長手方向(x軸方向)において、配列されている。すなわち、各発電素子部11は、上下方向に配列されている。本実施形態に係る燃料電池セル1は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。
【0053】
各発電素子部11は、発電素子本体部110と、電気的接続部111と、を有している。発電素子本体部110は、燃料極13、電解質14、及び空気極15を有している。また、各発電素子部11は、反応防止膜16をさらに有している。燃料極13は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極13は、燃料極集電部131と燃料極活性部132とを有する。
【0054】
燃料極集電部131は、第1凹部123内に配置されている。詳細には、燃料極集電部131は、第1凹部123内に充填されており、第1凹部123と同様の外形を有する。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。詳細には、燃料極活性部132は、第2凹部131a内に充填されている。
【0055】
燃料極集電部131は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部131は、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、並びに第1凹部123の深さは、50〜500μm程度である。
【0056】
燃料極活性部132は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部132は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、5〜30μmである。
【0057】
電解質14は、燃料極13上を覆うように配置されている。詳細には、電解質14は、隣り合うインターコネクタ112間を長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル1の長手方向において、電解質14とインターコネクタ112とが交互に配置されている。
【0058】
電解質14は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質14は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質14は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質14の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0059】
反応防止膜16は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜16は、電解質14と空気極15との間に配置されている。反応防止膜16は、電解質14内のYSZと空気極15内のSrとが反応して電解質14と空気極15との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。
【0060】
反応防止膜16は、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成されている。反応防止膜16は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜16の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0061】
空気極15は、空気極活性部151と、空気極集電部152とを有している。空気極活性部151は、反応防止膜16上に配置されている。空気極活性部151は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極活性部151は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極活性部151は、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極活性部151は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極活性部151の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0062】
空気極集電部152は、空気極活性部151上に配置されている。空気極集電部152は、空気極活性部151上から隣の発電素子部11に向かって延びている。詳細には、空気極集電部152は、隣の発電素子部11の電気的接続部111であるインターコネクタ112まで延びている。空気極集電部152は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。
【0063】
空気極集電部152は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部152は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部152は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部152の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0064】
各発電素子部11のうち、最も下方に配置される下側発電素子部11aを除いた残りの発電素子部11は、電気的接続部111としてインターコネクタ112を有している。インターコネクタ112は、隣り合う発電素子本体部110同士を互いに電気的に接続するように構成されている。
【0065】
インターコネクタ112は、第3凹部131b内に配置されている。詳細には、インターコネクタ112は、第3凹部131b内に埋設(充填)されている。インターコネクタ112は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ112は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ112は、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ112の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0066】
図5に示すように、各発電素子部11のうち、最も下方に配置される下側発電素子部11aは、発電素子本体部110と、電気的接続部111とを有している。なお、支持基板12の両面に発電素子部11が配置されている場合、支持基板12の両面のそれぞれに下側発電素子部11aが配置されている。電気的接続部111は、発電素子本体部110と電気的に接続している。また、電気的接続部111は、発電素子本体部110から下方に延びている。この下側発電素子部11aの電気的接続部111は、第1接続部113と、第2接続部114とを有している。
【0067】
第1接続部113は、上述したインターコネクタ112と同様の構成を有している。すなわち、第1接続部113は、燃料極集電部131の第3凹部131b内に配置されている。第1接続部113は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される。第1接続部113は、上述したインターコネクタ112の材料のいずれかで形成することができる。
【0068】
第2接続部114は、上述した空気極集電部152の材料のいずれかで形成することができる。第2接続部114は、第1接続部113と電気的に接続されている。また、第2接続部114は、第1接続部113から下方に延びている。
【0069】
燃料電池セル1の下端部は、緻密膜18によって覆われている。詳細には、緻密膜18は、支持基板12を覆っている。緻密膜18は、第2接続部114と支持基板12との間から下方に延びている。
【0070】
緻密膜18は、緻密膜18の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜18の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜18の気孔率は、例えば、10%以下である。また、緻密膜18は、絶縁性セラミックスで構成されている。
【0071】
具体的には、緻密膜18は、上述した電解質14と反応防止膜16とによって構成することができる。緻密膜18を構成する電解質14は、支持基板12を覆っており、第1接続部113から支持基板12の下端近傍まで延びている。また、緻密膜18を構成する反応防止膜16は、電解質14と第2接続部114との間に配置されている。なお、緻密膜18は、電解質14のみで構成されていてもよいし、電解質14及び反応防止膜16以外の材料によって構成されていてもよい。
【0072】
[端部集電部材]
図1及び
図2に示すように、一対の端部集電部材3は、複数の燃料電池セル1から構成されるセルスタックから電力を取り出すように構成されている。各端部集電部材3は、各燃料電池セル1のうち、配列方向(z軸方向)の両端部に配置される各燃料電池セル1に取り付けられている。なお、一対の端部集電部材3は、取り付けられる位置が互いに異なるだけであって互いの構成は実質的に同じであるため、以下では、一方の端部集電部材3のみについて説明する。
【0073】
図5に示すように、端部集電部材3は、配列方向(z軸方向)の端部に配置された燃料電池セル1の下側発電素子部11aと電気的に接続される。詳細には、端部集電部材3は、下側発電素子部11aの電気的接続部111に接続されている。
【0074】
図6及び
図7に示すように、端部集電部材3は、接合部31と、連結部32と、引出し部33とを有している。接合部31、連結部32、及び引出し部33は、1つの部材によって構成されている。例えば、接合部31、連結部32、及び引出し部33は、一枚の金属板から構成されている。この接合部31、連結部32、及び引出し部33の板厚は、例えば、0.1〜2.0mm程度とすることができる。
【0075】
接合部31、連結部32、及び引出し部33は、金属材料から構成されている。接合部31、連結部32、及び引出し部33は、鉄及びクロムを含んでいる。好ましくは、接合部31、連結部32、及び引出し部33は、ステンレス材料から構成される。具体的には、接合部31、連結部32、及び引出し部33は、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、又はNi基合金から構成されている。
【0076】
[接合部]
接合部31は、燃料電池セル1に接合されるように構成されている。接合部31は、板状である。具体的には、接合部31は、配列方向視(z軸方向視)において、長手方向と短手方向とを有する矩形状である。接合部31の長手方向は、燃料電池セル1の幅方向(y軸方向)に沿って延びている。また、接合部31の短手方向は、燃料電池セル1の長手方向(x軸方向)に沿って延びている。
【0077】
接合部31は、第1端部31a及び第2端部31bを有している。第1端部31aは、短手方向(x軸方向)における一方の端部であり、第2端部31bは、短手方向(x軸方向)における他方の端部である。すなわち、第1端部31aと第2端部31bとは互いに反対側に位置する。
【0078】
接合部31は、複数の貫通孔310を有している。貫通孔310は、スリット状に形成されており、接合部31の長手方向(y軸方向)に延びている。接合部31の幅W1は、例えば、下側発電素子部11aの幅と同じ程度とすることができる。
【0079】
図5に示すように、接合部31は、下側発電素子部11aに接合されている。詳細には、接合部31は、電気的接続部111に接合されている。例えば、接合部31は、第1接合材101によって、下側発電素子部11aに接合されている。なお、第1接合材101は、例えば、(Mn,Co)
3O
4、(La,Sr)MnO
3、及び(La,Sr)(Co,Fe)O
3などから選ばれる少なくとも1種である。
【0080】
図7に示すように、第1接合材101は、発電素子部11と接合部31との間に配置されるとともに、接合部31の各貫通孔310内に入り込んでいる。このため、端部集電部材3は、発電素子部11に対して強固に接合されている。また、第1接合材101の一部が、接合部31上にはみ出すことで、アンカー効果によって、さらに強固に接合される。
【0081】
図6に示すように、接合部31は、一対の第1外周部311と、一対の第2外周部312と、中間部313と、複数のリブ部314と、を有している。
【0082】
各第1外周部311は、長手方向(y軸方向)に延びている。また、各第1外周部311は、短手方向(x軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。
【0083】
各第2外周部312は、短手方向(x軸方向)に延びている。各第2外周部312は、長手方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。そして、各第2外周部312は、各第1外周部311の端部同士を連結している。このように、一対の第1外周部311、及び一対の第2外周部312は、環状に連結されている。すなわち、一対の第1外周部311、及び一対の第2外周部312によって、接合部31の外周部が構成される。
【0084】
中間部313は、一対の第2外周部312の間に配置されている。そして、中間部313は、短手方向(x軸方向)に延びており、一対の第1外周部311同士を連結している。すなわち、中間部313は、一方の第1外周部311から他方の第1外周部311まで延びている。好ましくは、中間部313は、一対の第1外周部311の中央部同士を連結している。すなわち、中間部313は、接合部31の中央部において短手方向に延びている。
【0085】
各リブ部314は、各第2外周部312と、中間部313とを連結するように、長手方向(y軸方向)に延びている。詳細には、各リブ部314のうち、いくつかのリブ部314は、一方の第2外周部312と中間部313との間を延びており、他のリブ部314は、他方の第2外周部312と中間部313との間を延びている。各リブ部314は、第1外周部311と略平行に延びている。
【0086】
各貫通孔310のうちいくつかの貫通孔310は、第1外周部311、第2外周部312、中間部313、及びリブ部314によって画定されている。また、その他の貫通孔310は、第2外周部312、中間部313、及びリブ部314によって画定されている。
【0087】
[連結部]
連結部32は、接合部31の第1端部31aから延びている。好ましくは、連結部32は、第1端部31aのうち、長手方向の中央部から延びている。また、連結部32は、接合部31の第2端部31bに向かって延びている。すなわち、連結部32は、接合部31の短手方向(x軸方向)に沿って延びている。連結部32の先端部32bは、短手方向(x軸方向)において、接合部31の第2端部31bを超えて延びている。すなわち、本実施形態において、連結部32の先端部32bは、接合部31の第2端部31bよりも下方に位置している。このように、連結部32の長さは、接合部31の短手方向の長さよりも長い。
【0088】
連結部32の基端部32aは接合部31に連結されている。連結部32の先端部32bは、引出し部33に連結されている。連結部32は、基端部32aの一部を除き、配列方向(z軸方向)において、接合部31と間隔をあけて配置されている。
【0089】
連結部32の基端部32aは、延びる方向が反転するように屈曲している。詳細には、基端部32aは、接合部31の長手方向視(y軸方向視)において、U字状に屈曲している。すなわち、基端部32aは、接合部31の第1端部31aから上方に延びた後、屈曲して下方に延びている。
【0090】
[引出し部]
図6に示すように、引出し部33は、連結部32の先端部32bから延びている。また、引出し部33は、接合部31から離れる方向に延びている。引出し部33は、接合部31の面方向と直交する方向(z軸方向)に延びている。好ましくは、引出し部33は、連結部32の先端部32bから水平に延びている。
【0091】
引出し部33の幅W2は、例えば、連結部32の幅と同じである。なお、接合部31の幅W1は、連結部32の幅又は引出し部33の幅w2よりも大きい。なお、端部集電部材3の各部分の幅W1,W2は、長手方向(y軸方向)における寸法を意味している。
【0092】
図2に示すように、引出し部33の先端部は、筐体90を超えて、筐体90の外部まで延びている。筐体90は取出し孔91を有しており、引出し部33はこの取出し孔91を介して筐体90の外部へと延びている。この引出し部33の先端部に、外部回路のリード線などが取り付けられている。例えば、引出し部33の先端部には、リード線を取り付けるための取付孔331又は取付凹部などの取付部が形成されている。取付孔331は接合部31の短手方向(x軸方向)に開口している。すなわち、取付孔331は、鉛直方向に開口している。
【0093】
[セル間集電部材]
図2に示すように、各燃料電池セル1は、セル間集電部材4を介して互いに電気的に接続されている。セル間集電部材4は、各燃料電池セル1の間に配置されており、隣り合う各燃料電池セル1を電気的に接続している。セル間集電部材4は、導電性を有する材料から形成されている。例えば、セル間集電部材4は、酸化物セラミックスの焼成体又は金属などによって形成されている。なお、セル間集電部材4は、第2接合材102によって各燃料電池セル1に接合されている。第2接合材102は、例えば、第1接合材101の材料として挙げたいずれかの材料で構成することができる。
【0094】
[表裏接続部材]
各燃料電池セル1において、支持基板12の一方面に形成された発電素子部11と、支持基板12の他方面に形成された発電素子部11とは、表裏接続部材5によって電気的に接続されている。詳細には、表裏接続部材5は、支持基板12の一方面及び他方面のそれぞれにおいて最も上方に配置される各発電素子部11同士を電気的に接続している。
【0095】
[第3接合材]
各燃料電池セル1は、第3接合材103によって、マニホールド2に固定されている。第3接合材103は、燃料電池セル1とマニホールド2の上壁22とを接合している。第3接合材103は、燃料電池セル1の下端部とマニホールド2の上壁22とを接合している。
図5に示すように、第3接合材103は、緻密膜18と接触している。
【0096】
第3接合材103は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO
2−B
2O
3系、SiO
2−CaO系、又はSiO
2−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、第3接合材103の材料として、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第3接合材103は、SiO
2−MgO−B
2O
5−Al
2O
3系及びSiO
2−MgO−Al
2O
3−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0097】
[発電方法]
以上のように構成されたセルスタック装置100は、次のようにして発電する。マニホールド2を介して各燃料電池セル1のガス流路121内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板12の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質14の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。このセルスタック装置100を端部集電部材3を用いて外部の負荷に接続すると、空気極15において下記(1)式に示す電気化学反応が起こり、燃料極13において下記(2)式に示す電気化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O
2+2e
−→O
2− …(1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
− …(2)
【0098】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0099】
変形例1
上記実施形態では、接合部31は複数の貫通孔310を有していたが、接合部31は貫通孔310を有していなくてもよい。
【0100】
変形例2
上記実施形態では、端部集電部材3は、下側発電素子部11aの電気的接続部111に接合されているが、特にこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、端部集電部材3は、下側発電素子部11aの発電素子本体部110に接合されていてもよい。この場合、下側発電素子部11aは、電気的接続部111を有していなくてもよい。
【0101】
変形例3
上記実施形態では、端部集電部材3は、下側発電素子部11aに電気的に接合されているが、下側発電素子部11a以外の発電素子部11に接合されていてもよい。例えば、
図9に示すように、端部集電部材3は、上側発電素子部11bに接合されていてもよい。この場合、接合部31の第1端部31aが下側、第2端部31bが上側に位置するように端部集電部材3を配置することが好ましい。
【0102】
変形例4
上記実施形態では、マニホールド2は、上面が開口したマニホールド本体21を有していたが、マニホールド2の構成はこれに限定されない。例えば、マニホールド本体21は、底面が開口しており、底壁によってマニホールド本体21の底面が塞がれていてもよい。
【0103】
変形例5
上記実施形態では、導入管201は、マニホールド2の側壁24に取り付けられているが、導入管201の取り付け位置はこれに限定されない。例えば、導入管201は、マニホールド2の上壁22に取り付けられていてもよい。
【0104】
変形例6
上記実施形態では、連結部32の先端部32bは、接合部31の第2端部31bを超えて延びているが、これに限定されない。例えば、連結部32の先端部32bは、接合部31の短手方向(x軸方向)において、接合部31の第2端部31bと同じ位置であってもよいし、接合部31の第2端部31bよりも上方に位置していてもよい。
【0105】
変形例8
上記実施形態では、貫通孔310は、スリット状に形成されているが、貫通孔310の構成はこれに限定されない。例えば、
図10に示すように、貫通孔310は円形状であってもよい。
【0106】
変形例9
上記実施形態では、接合部31の第1端部31aは、短手方向(x軸方向)における一方の端部であり、第2端部31bは、短手方向(x軸方向)における他方の端部であったが、接合部31の構成はこれに限定されない。
【0107】
例えば、
図11に示すように、第1端部31aは長手方向(y軸方向)における一方の端部であり、第2端部31bは長手方向(y軸方向)における他方の端部であってもよい。連結部32は、接合部31の第1端部31aから第2端部31bに向かって延びるため、接合部31の長手方向(y軸方向)に沿って延びている。なお、連結部32の先端部32bは、長手方向(y軸方向)において、接合部31の中央部まで延びている。そして、引出し部33の主面は、接合部31の長手方向(y軸方向)を向いている。このため、取付孔331は接合部31の長手方向に開口している。すなわち、取付孔331は、水平方向に開口している。
【0108】
変形例10
上記実施形態では、引出し部33は、接合部31の中央領域R3側に配置されているが、これに限定されない。なお、接合部31は、第1領域R1,第2領域R2、及び中央領域R3を有する。第1領域R1及び第2領域R2は、幅方向(y軸方向)において、中央領域R3を挟むように配置されている。すなわち、幅方向において、第1領域R1、中央領域R3、第2領域R2の順で並んでいる。なお、中央領域R3は、幅方向において、接合部31の中央に配置され、接合部31の幅の10%程度を占める領域である。
【0109】
図12に示すように、引出し部33は、接合部31の第2領域R2側に配置されていてもよい。連結部32の先端部32bは、接合部31の第2領域R2側に配置されている。なお、引出し部33は、第1領域R1側に配置されていてもよい。このとき、連結部32の先端部32bは、接合部31の第1領域R1側に配置されている。
【0110】
連結部32は、接合部31の第2領域R2の第1端部31aから延びている。すなわち、連結部32の基端部32aは、接合部31の第2領域R2側に配置されている。
【0111】
変形例11
図13〜15に示すように、引出し部33が第1領域R1側に配置され、且つ、連結部32が接合部31の中央領域R3の第1端部31aから延びていてもよい。例えば、連結部32は、接合部31の第1端部31aから第2端部31bに向かって延びるとともに、接合部31の中央領域R3から第1領域R1に向かって延びている。なお、引出し部33は、第2領域R2側に配置されていてもよい。この場合、連結部32は、接合部31の第1端部31aから第2端部31bに向かって延びるとともに、接合部31の中央領域R3から第2領域R2に向かって延びている。
【0112】
図13では、連結部32は、傾斜して延びている。
図14及び
図15では、連結部32は、第1連結部321と第2連結部322とを有している。第1連結部321は、接合部31の第1端部31aから第2端部31bに向かって延びている。第2連結部322は、中央領域R3から第1領域R1に向かって延びている。なお、
図14では、第1連結部321の主面と第2連結部322の主面とが同じ方向(z軸方向)を向いている。
図15では、第1連結部321の主面と第2連結部322の主面とが異なる方向を向いている。詳細には、第1連結部321の主面は、接合部31の主面と同じ方向(z軸方向)を向いている。第2連結部322の主面は、引出し部33の主面と同じ方向(x軸方向)を向いている。
【0113】
変形例12
上記実施形態では、引出し部33の取付孔331は円形状であったが、取付孔331の形状はこれに限定されない。例えば、
図16及び
図17に示すように、引出し部33の取付孔331は、長孔形状であってもよい。
図16では、取付孔331は、引出し部33の延びる方向(z軸方向)に長く延びている。
【0114】
図17では、取付孔331は、引出し部33の延びる方向と交差する方向(y軸方向)に長く延びている。なお、この場合、引出し部33の取付孔331が形成される部分は、他の部分よりも幅(y軸方向の寸法)が広くなっていてもよい。
【0115】
変形例13
引出し部33の取付孔331は、ボルトが螺合するようにネジ孔となっていてもよい。また、
図18に示すように、引出し部33の取付孔331は、ボルトの頭部が収容されるような形状となっていてもよい。すなわち、取付孔331は、大径部331aと、大径部331aよりも径が小さい小径部331bとを有していてもよい。この場合、小径部331bはネジ孔となっていてもよい。
【0116】
変形例14
図19に示すように、マニホールド本体21は、角部26が他の部分よりも薄くなるように構成されていてもよい。詳細には、マニホールド本体21は、複数の平板部と、この平板部を連結する角部26とを有している。平板部は、平坦な板状の部分である。なお、角部は、角を形成する部分、すなわち、角近傍である。複数の平板部は、底壁23の大部分を占める矩形状の平板部と、側壁24の大部分を占める4つの矩形状の平板部と、フランジ部25の大部分を占める環状の平板部とを有している。角部26は、底壁23と側壁24との境界部、及び、側壁24とフランジ部25との境界部である。このように、本実施の形態のマニホールド本体21は、複数の平板部と、複数の角部とからなる。
【0117】
なお、角部26はR形状であるが、角部の形状は特に限定されない。角部は、複数の平面部が直交してなる直角であってもよく、複数の平面部の交差部分を平面状に湾曲している形状(C面取りされた形状)であってもよい。
【0118】
角部26の厚さT2は、平板部の厚さT1よりも小さい。このため、角部26は、平面部よりも優先して変形する部位であり、変形可能部である。複数の平板部の厚さが異なる場合には、最小の厚さを厚さT1とする。マニホールド本体21は複数の角部26を有し、複数の角部26の厚さが異なる場合には、最小の厚さをT2とする。本変形例では、すべての角部26の厚さT2が平板部の厚さT1よりも小さいが、複数の角部26のうち少なくとも1つの角部26の厚さT2が平板部の厚さT1よりも小さければよい。なお、厚さT1、T2は、板厚である。
【0119】
角部26の厚さT2は、平板部の厚さT1の70.0%以上99.5%以下であることが好ましく、75.0%以上98.0%以下であることがより好ましい。70.0%以上の場合、マニホールドの強度を向上でき、75.0%以上の場合、マニホールド2の強度をより向上できる。99.5%以下の場合、変形しやすいので、第3接合材103の変形を抑制することで、第3接合材103におけるクラックを抑制でき、98.0%以下の場合、第3接合材103におけるクラックを効果的に抑制できる。また、70.0%以上の場合、加工時にマニホールド2の角部26が破断することを防止できる。
【0120】
平板部の厚さT1は、例えば、0.5mm以上4.0mm以下である。角部26の厚さT2は、例えば、0.35mm以上3.9mm以下である。
【0121】
上壁22の外周部は、フランジ部25上に配置されており、フランジ部25に接合されている。上壁22は、例えば、接合材、溶接などによって、フランジ部25に接合されている。なお、フランジ部25は、側壁24の上端から外方に延びている。なお、板状部材を構成する上壁22の厚さは、特に限定されないが、マニホールド本体21の角部26の厚さT1よりも小さくすることができる。
【0122】
変形例15
変形例14では、マニホールド本体21は上方が開口していたが、マニホールド本体21は下方が開口していてもよい。この場合、
図20に示すように、マニホールド本体21は、上壁22、側壁24、及びフランジ部25を有している。フランジ部25は、側壁24の下端部から外方に延びている。このマニホールド本体21の下面を塞ぐように、底壁23(板状部材の一例)が取り付けられている。
【0123】
この変形例15に係るマニホールド本体21において、複数の平板部は、上壁22の大部分を占める矩形状の平板部と、側壁24の大部分を占める4つの矩形状の平板部と、フランジ部25の大部分を占める環状の平板部とを有している。そして、角部26は、上壁22と側壁24との境界部、及び、側壁24とフランジ部25との境界部である。
【0124】
変形例16
図21に示すように、底壁23に複数の突起部28が取り付けられていてもよい。複数の突起部28は、底壁23の下面231に取り付けられている。このため、台座Bにマニホールド2を配置すると、複数の突起部28が台座Bに接する。複数の突起部28は、底壁23の下面231に、偏析せずに、分散している。このため、マニホールド2は、安定して台座Bに配置される。
【0125】
突起部28を構成する材料は、底壁23を構成する材料と異なる材料で構成されていれば特に限定されないが、金属を除く材料で構成されていることが好ましく、無機材料で構成されていることがより好ましい。無機材料としては、セラミックスであることが好ましい。SOFCは高温で作動するが、金属材料は高温環境下で一定応力を連続的に与えられると高温クリープ変形が発生し、形状が変わってしまう恐れがある。マニホールド2の底壁23に取り付けられて台座に接する突起部28には、セルスタック装置100全体の荷重がかかるため、高温クリープ変形が懸念される。一方、無機材料では金属材料と比較して高温クリープ現象に対する耐性が高いため、台座と接する突起部28として無機材料を用いることが好ましい。
【0126】
また、突起部28は、底壁23を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する材料で構成されていることが好ましい。このような材料として、例えば、鉱物、セラミックス、ガラス、または繊維が挙げられる。鉱物としては、例えば、マイカ(雲母)、バーミキュライト、石英などが挙げられる。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化鉄、酸化クロムなどが挙げられる。ガラスとしては、例えば、結晶化ガラスなどが挙げられる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO
2−B
2O
3系、SiO
2−CaO系、またはSiO
2−MgO系が採用され得る。繊維としては、例えば、石英ウール、アルミナ、シリカアルミナなどが挙げられる。
【0127】
突起部28を構成する材料の熱伝導率は、40W/m・K以下であることが好ましく、20W/m・K以下であることがより好ましい。底壁23から台座Bへの熱伝導を低減できるので、熱伝導率は低いほど好ましいが、容易に実現できる観点から、下限値は、例えば0.01W/m・Kである。
【0128】
上記熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により750℃で測定される値である。
【0129】
台座Bと対向する面の表面粗さRzは、0.01z以上であることが好ましく、0.05z以上であることがより好ましい。底壁23と台座Bとの接触面積を低減できるので、表面粗さRzは高いほど好ましいが、セルスタック装置1の高さを考慮すると、上限値は、例えば10zである。
【0130】
上記「台座Bと対向する面」とは、本変形例では、底壁23の下面231と突起部28とで構成される面である。上記表面粗さRzは、JIS B0601に準拠して測定される値である。
【0131】
底壁23の下面231の面積に対する、突起部28と台座Bとが接触する面積の比は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0132】
突起部28は、下方に突出する凸形状である。突起部28は、例えば、下方(下面231から台座Bに)に向けて幅が小さい。突起部28は、部材として設けられる突起部と、粒子からなる突起部とを含む。突起部28と台座Bとの接触は、点接触であってもよい。また、突起部28が部材である場合には、例えば、平面視において矩形の片状であってもよく、繊維の切片であってもよい。
【0133】
突起部28を底壁23の下面231に取り付ける工程では、例えば以下のように実施する。底壁23を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する材料で構成されている突起部28となる材料を準備する。突起部28となる材料として、例えば、結晶化ガラスなどのガラスとなる材料などを準備する。この材料を、底壁23の下面231に接するように配置して、焼き付ける。
【0134】
変形例17
変形例16のように、突起部28を底壁23に取り付ける態様において、マニホールド2は、コーティング膜29をさらに備えていてもよい。
図22に示すように、コーティング膜29は、底壁23の下面231に形成されている。突起部28は、コーティング膜29を介して底壁23に取り付けられている。突起部28の少なくとも一部は、コーティング膜29から下方に突出している。なお、突起部28と同じ部材がコーティング膜29に埋設されていてもよい。
【0135】
また、コーティング膜29は、露出する表面全体に形成されている。つまり、コーティング膜29が、外部に露出する。具体的には、コーティング膜29は、底壁23、側壁24、上壁22及びフランジ部25の表面全体に形成されている。つまり、コーティング膜29は、底壁23、側壁24、上壁22及びフランジ部25の外側面及び内側面の全体に形成されている。外側面とは、マニホールド2の外部を臨む面であり、内側面とは、マニホールド2の内部空間を臨む面である。
【0136】
詳細には、コーティング膜29は、底壁23の上面232、下面231及び側面の全体に形成されている。また、コーティング膜29は、側壁24の内側面及び外側面の全体に形成されている。また、上壁22の上面、下面、側面、及び貫通孔27を構成する内壁面の全体に形成されている。また、コーティング膜29は、フランジ部25の上面、下面及び側面の全体に形成されている。なお、マニホールドの各部材を被覆するコーティング膜は、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0137】
コーティング膜29は、例えばガラス、セラミックスなどで構成されており、ガラスで構成されていることがより好ましい。ガラスとしては、例えば結晶化ガラスを用いることができる。この結晶化ガラスは、第3接合材103と同様の材料であってもよい。セラミックスとしては、アルミナ、シリカ、ペロブスカイト系材料、スピネル系材料などを用いることができる。コーティング膜29は、複数の層で構成されてもよい。
【0138】
コーティング膜29の厚みは、例えば3〜200μmである。コーティング膜29の気孔率は、例えば0〜30%である。
【0139】
なお、本変形例における「台座Bと対向する面」は、下面231に形成されたコーティング膜29と突起部28とで形成される面である。
【0140】
また、突起部28は、コーティング膜29と同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0141】
本変形例では、例えば、コーティング膜29を形成し、その後に突起部28を形成する。
【0142】
具体的には、まず、マニホールド本体21の表面全体、つまり露出する面全体に、コーティング膜29となるペーストを形成する。ペーストは、例えばガラス粉末を含み、クロムは含まない。ペーストは、例えば、塗布、ディッピング法などによって形成される。
【0143】
次に、底壁23の下面に形成されたペーストに、突起部28となる材料を付着して、この状態で焼成する。この工程では、焼成容器(セッター)に突起部となる材料を配置し、次いで、この材料上に底壁23の下面231を配置し、この状態で焼成してもよい。