(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、水酸基含有樹脂、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤、及び特定のアミン化合物を含有する熱硬化性塗料組成物に関する。
以下、詳細に述べる。
なお、本明細書において、質量で表される全ての百分率や部は、重量で表される百分率や部と同様である。
【0025】
水酸基含有樹脂(A)
本発明の熱硬化性塗料組成物で用いることができる水酸基含有樹脂(A)としては、水酸基を有し、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)と架橋できる樹脂であれば、公知のものを特に制限なく使用できる。
【0026】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤と架橋できる水酸基以外の反応性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、活性メチレン基等の活性水素を有する反応性官能基の他、エポキシ基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、これらは水酸基と併用して用いることができる。
【0027】
水酸基含有樹脂(A)の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、アクリル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(A2)及びエポキシ樹脂(A3)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0028】
水酸基含有樹脂(A)は、熱硬化性塗料組成物中で溶解状態であってもよく、また、分散状態(例えば、水性溶媒中でエマルション状態)であってもよい。また、分散状態の場合、架橋樹脂粒子であってもよい。
【0029】
アクリル樹脂(A1)
本発明の熱硬化性塗料組成物に用いることができるアクリル樹脂(A1)としては、アクリルモノマーをラジカル共重合することによって製造することができる。
【0030】
上記アクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加生成物(例えばダイセル株式会社製の商品名としてプラクセルFA−2、及びFM−3)などの水酸基含有アクリルモノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
【0031】
アクリル樹脂(A1)は、上記のモノマーを公知の方法によりラジカル共重合反応することによって得ることができる。
【0032】
なお、アクリル樹脂(A1)の水酸基価は、通常0.1〜300mgKOH/gの範囲内、好ましくは10〜200mgKOH/gの範囲内、重量平均分子量は、通常1,000〜100,000の範囲内、好ましくは、2,000〜30,000の範囲内が適当である。
【0033】
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
【0034】
ポリエステル樹脂(A2)
本発明の熱硬化性塗料組成物に用いることができるポリエステル樹脂(A2)としては、酸成分とアルコール成分のエステル化反応及び/又はエステル交換反応によって製造することができる。
【0035】
上記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を特に制限なく使用することができる。上記酸成分としては、例えば、脂環族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、芳香族多塩基酸、芳香族モノカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、これらの酸の低級アルキルエステル化物等を使用することができる。
【0036】
脂環族多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。
【0037】
脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。
芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物である。
また、必要に応じて、芳香族モノカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸などを使用することもできる。
【0038】
上記アルコール成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、アルコール成分として通常使用される化合物を特に制限なく使用することができるが、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、芳香族ジオールなどの2価アルコール及び3価以上の多価アルコールを含むものが好ましい。
【0039】
上記ポリエステル樹脂(A2)の製造方法としては、上記酸成分とアルコール成分を、公知の方法で反応することにより製造することができる。
【0040】
また、上記ポリエステル樹脂(A2)は、該樹脂の調製中、もしくはエステル化反応後及び/又はエステル交換反応後に、脂肪酸、油脂、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等で変性することもできる。
【0041】
ポリエステル樹脂(A2)の数平均分子量としては、仕上り性の観点から、通常1,000〜20,000であり、好ましくは1,050〜10,000、さらに好ましくは1,100〜5,000の範囲内であることが好適である。
【0042】
また、ポリエステル樹脂(A2)の水酸基価としては、得られる塗膜の硬化性の観点から、通常20〜300mgKOH/gであり、好ましくは30〜250mgKOH/g、さらに好ましくは40〜180mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
【0043】
エポキシ樹脂(A3)
本発明の熱硬化性塗料組成物に用いることができるエポキシ樹脂(A3)としては、エポキシ樹脂(A3−1)と変性剤(A3−2)とを反応させて得ることができる。
【0044】
エポキシ樹脂(A3)の原料として用いることができるエポキシ樹脂(A3−1)としては、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であり、その分子量は、少なくとも300、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,500の範囲内の数平均分子量及び少なくとも160、好ましくは180〜2,500、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内のエポキシ当量を有するものが適している。かかるエポキシ樹脂(A3−1)としては、例えば、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン等)との反応によって得られるものを使用することができる。
【0045】
上記エポキシ樹脂(A3−1)の形成のために用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどを挙げることができる。
【0046】
また、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂(A3−1)としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式の樹脂が好適である。
【0048】
ここで、n=0〜8で示されるものが好適である。
【0049】
かかるエポキシ樹脂(A3−1)の市販品としては、例えば、三菱ケミカル(株)からjER828EL、jER1002、jER1004、jER1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
【0050】
エポキシ樹脂(A3)の原料として用いることができる変性剤(A3−2)としては、上記エポキシ樹脂(A3−1)との反応性を有する成分であれば特に限定されず、例えば、多価アルコール、一価アルコール、酸性化合物、フェノール類、アミン化合物、ラクトン類、イソシアネート化合物、キシレンホルムアルデヒド化合物などが挙げられる。
【0051】
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンシオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの二価アルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの三価アルコール;ペンタエリスリトールなどの四価アルコール;ポリエステルポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられる。
【0052】
上記一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0053】
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、オレイン酸、グリコール酸、乳酸、安息香酸、没食子酸、脂肪酸、二塩基酸などの酸性化合物などが挙げられる。
【0054】
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、パラ−tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、4−tert−ブチルカテコールなどが挙げられる。
【0055】
上記アミン化合物としては、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有するアミン化合物であれば特に制限なく用いられ、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミンなどのモノ−もしくはジ−アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノールなどのアルカノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリアミン;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのアルキレンイミン;ピペラジン、モルホリン、ピラジンなどの環状アミンなどが挙げられる。また、これら上記のアミンと、1級アミンをケチミン化したアミンとを併せて用いることもできる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0056】
上記エポキシ樹脂(A3)の製造方法としては、上記エポキシ樹脂(A3−1)、変性剤(A3−2)を、公知の方法で反応させることにより製造することができる。
また、エポキシ樹脂(A3)の数平均分子量は、塗料安定性、仕上がり性、防食性などの観点から、通常1,000〜50,000の範囲内であり、好ましくは1,300〜20,000の範囲内であり、より好ましくは1,600〜10,000の範囲内であることが好適である。エポキシ樹脂(A3)の水酸基価は、得られる塗膜の硬化性の観点から、通常10〜300mgKOH/gであり、好ましくは20〜250mgKOH/g、さらに好ましくは30〜200mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
【0057】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)は、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤とのほぼ化学理論量での付加反応生成物である。ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)で使用されるポリイソシアネート化合物としては、公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0058】
一方、上記イソシアネートブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロック化ポリイソシアネート化合物は常温において安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約80〜約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生することが望ましい。
【0059】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)で使用されるイソシアネートブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系化合物;ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物;ジメチルピラゾールなどのピラゾール系化合物などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0060】
なかでも、解離温度と塗料安定性の観点から、アルコール系化合物、ピラゾール系化合物、オキシム系化合物、及びラクタム系化合物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、アルコール系化合物が特に好ましい。
【0061】
アミン化合物(C)
本発明の熱硬化性塗料組成物は下記式(1)で示されるアミン化合物(C)を含有する。
【0063】
式(1)において、R
1〜R
5は各々独立に、水素原子または炭素数1以上の有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)は熱(例えば、100℃以上)によってブロック剤が解離する。これにより遊離のイソシアネート基が再生し、水酸基含有樹脂(A)とイソシアネート基とが反応して架橋反応が進行する。アミン化合物(C)は解離触媒、及び水酸基含有樹脂(A)とブロックイソシアネート基とのエステル交換反応の触媒として機能する。例えば、強塩基触媒としてカルバミン酸エステル交換反応が行われる。これは、アミン化合物(C)のグアニジン構造による高いプロトン受容性(カチオン種の安定化)によるものである。よって本発明の熱硬化性塗料組成物は従来のような金属触媒を使用せずとも架橋反応が進行する。
【0064】
さらに、式(1)で示されるアミン化合物において、R
1〜R
5のうち少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基が好ましく、R
2〜R
4が各々独立に、炭素数3以上の炭化水素基であることがより好ましい。これにより、アミン化合物の塩基性強度が強まり、さらに後述する平面性も高まるため、触媒効果が向上する。かかる基としては、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数3以上の炭化水素基としては、各々独立に、分岐状又は環状の炭化水素基であることがより好ましい。かかる基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0065】
アミン化合物(C)は、硬化性及び塗膜性能(耐水性など)の観点から下記式(2)で示されるアミン化合物であることが好ましい。
【0067】
式(2)において、R
1〜R
4の定義は式(1)と同義である。
【0068】
R
6は炭素数1以上の二価有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。
【0069】
R
7〜R
8は各々独立に、水素原子または炭素数1以上の有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。
【0070】
さらに、式(2)で示されるアミン化合物において、R
2〜R
4、R
7及びR
8のうち少なくとも1つが各々独立に、炭素数3以上の炭化水素基であることが好ましく、R
2及びR
3が炭素数3以上の炭化水素基であることがより好ましい。これにより、アミン化合物の塩基性強度が強まり、さらに後述する平面性も高まるため、触媒効果が向上する。かかる基としては、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0071】
また、炭素数3以上の炭化水素基としては、各々独立に、分岐状又は環状の炭化水素基であることがより好ましい。かかる基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0072】
アミン化合物(C)は、硬化性及び塗膜性能(耐水性など)の観点から下記式(3)で示されるアミン化合物であることが好ましい。
【0074】
式(3)において、R
1〜R
4、R
6、R
7の定義は式(1)及び(2)と同義である。
【0075】
R
9は、炭素数1以上の二価有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。
【0076】
R
10〜R
13は各々独立に、水素原子または炭素数1以上の有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。
【0077】
さらに、式(3)で示されるアミン化合物において、R
1〜R
4、R
7、及びR
10〜R
13のうち少なくとも1つが各々独立に、炭素数3以上の炭化水素基であることが好ましく、R
2、R
3、R
11及びR
13が炭素数3以上の炭化水素基であることがより好ましい。これにより、アミン化合物の塩基性強度が強まり、さらに後述する平面性も高まるため、触媒効果が向上する。かかる基としては、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0078】
また、炭素数3以上の炭化水素基としては、各々独立に、分岐状又は環状の炭化水素基であることが好ましい。かかる基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0079】
アミン化合物(C)は、硬化性及び塗膜性能(耐水性など)の観点から下記式(4)で示されるアミン化合物であることが好ましい。シクロヘキシル基を有することで塗料組成物の硬化性、耐水性が向上する。また、硬化反応速度が速くなる結果、イソシアネートブロック剤を解離させるための焼付け温度を下げることができる。
【0081】
式(4)において、R
6、R
7、R
9の定義は式(1)〜(3)と同義である。
【0082】
一方で、式(1)〜(3)において、R
3及びR
11の少なくとも一方が下記式(5)に示す構造であることが好ましい。R
3及びR
11の少なくとも一方が式(5)で示される構造であると、アミン化合物(C)は共役構造をとることになる。これにより熱硬化性塗料組成物の硬化性が向上する。
【0084】
式(5)において、R
31〜R
33は各々独立に、水素原子または炭素数1以上の有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。*は結合手である。
R
31〜R
33としては、水素原子、炭素数3〜6の炭化水素基、前述した数平均分子量が300以上(好ましくは600以上)の有機基などが挙げられる。なかでも、R
31〜R
33の少なくとも1つが炭素数3〜6の炭化水素基であることが好ましく、かかる基としては、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、炭素数が3〜6の有機基としては、分岐状又は環状の炭化水素基であることがより好ましく、かかる基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0085】
また、本発明のアミン化合物(C)は、式(1)〜式(4)において、R
1〜R
13のうち少なくとも1つの有機基が、数平均分子量300以上であることが好ましく、600以上であることがより好ましい。好ましくは式(1)におけるR
5の、より好ましくは式(2)、式(3)、及び式(4)におけるR
7の、数平均分子量が300以上であることが好ましく、600以上であることがより好ましい。数平均分子量が300以上の有機基を有することで、得られる塗膜の諸性能(耐水性など)が向上する。
【0086】
アミン化合物(C)が数平均分子量が300以上の有機基を有するには、例えば、式(1)〜式(4)のアミン化合物の活性水素基(例えば、1級アミノ基や2級アミノ基が有する活性水素基)と反応して有機基になり得る数平均分子量300以上の化合物(例えば、エポキシ基やイソシアネート基を有する化合物)を反応させることが挙げられる。かかる化合物としては、具体的には、例えば、エポキシ基またはイソシアネート基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0087】
また、上記の数平均分子量300以上の化合物がエポキシ基やイソシアネート基などの反応基を分子内に複数有しており、該反応基に対してアミン化合物の活性水素基が反応しているアミン化合物(C)であってもよい。(つまり、数平均分子量300以上の化合物1つに対して、複数のアミン化合物が反応している。)
【0088】
本発明のアミン化合物(C)としては、グアニジン構造が非環状であることが好ましい。
ここで言う「環状」、「非環状」とは、式(1)の「R
1及び/又はR
2」、「R
3」、並びに「R
4及び/又はR
5」の3種類の有機基のうち、少なくとも2種類の有機基が互いに繋がって環化している構造が「環状」であり、それ以外の構造が「非環状」である。
尚、R
1〜R
5の有機基が内部で環状構造の場合(例えば、R
1〜R
5のいずれかがシクロヘキシル基やベンジル基などの環状有機基を有する場合)は、グアニジン構造としては「非環状」である。
【0089】
アミン化合物(C)としては、式(6)及び式(7)のうちの少なくとも1つで示される構造を有するアミン化合物にも関する。
【0091】
式(6)において、R
1〜R
5は各々独立に、水素原子または炭素数1以上の有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。
【0092】
【化15】
式(7)において、R
1〜R
3、R
4’は各々独立に、水素原子または炭素数1以上の有機基であり、該有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子を含んでもよい。
【0093】
ここで、式(6)において、3つのN原子を含む面をP1、C(R
1)(R
2)を含む面をP2、C(R
4)(R
5)を含む面をP3としたとき、密度汎関数理論計算B3LYP/6−31G
*による構造最適化計算で得られる下記式(A)に示す平均の二面角αが、20度(°)以下である。
二面角α=〔(P1とP2の二面角)+(P1とP3の二面角)〕/2・・・(A)
【0094】
また、式(7)において、3つのN原子を含む面をP1、C(R
1)(R
2)を含む面をP2としたとき、密度汎関数理論計算B3LYP/6−31G
*による構造最適化計算で得られる下記式(B)に示す二面角αが、20度(°)以下である。
二面角α=(P1とP2の二面角)・・・(B)
【0095】
二面角αが20°以下であることで、アミン化合物(C)の熱硬化性塗料組成物における触媒効果が向上し、硬化性が高まる。
【0096】
二面角αは、アミン化合物(C)の平面性を示す指標であり、αが小さいほどP1面に対するP2面とP3面が結合する角度〔上記式(6)の場合〕、又はP1面に対するP2面が結合する角度〔上記式(7)の場合〕が小さい、すなわち平面性が高いことを意味する。式(6)及び/又は式(7)を示すアミン化合物(C)は、いわゆるグアニジン構造を有する化合物であり、強塩基性を示す化合物として知られている。その強塩基性は共役酸の正電荷が下記に示すような共鳴構造によって非局在化し、著しく安定化されることに起因すると考えられている。これらの共鳴構造は中心炭素原子のp軌道と(二重結合を有さない)窒素原子の孤立電子対のπ結合性に由来するものであり、一般に、軌道の重なりが大きいほど安定化される。したがって、「P1−P2」及び/又は「P1−P3」によって定義される二面角が小さい(平面性が高い)、すなわち中心炭素原子のp軌道と(二重結合を有さない)窒素原子の孤立電子対の重なりが大きいほど共役酸が安定化され、かつ高い塩基性度を有すると予測される。したがって、上記の二面角が小さいほど、触媒効果が向上すると考えられる。
尚、アミン化合物の分子中に2種類以上の上記構造〔式(6)及び/又は式(7)の構造〕が存在する場合、より高い触媒効果を発現できる構造の二面角(より小さい値)を当該アミン化合物の二面角とする。
【0098】
上記のような二面角によるアミン触媒の触媒効果の計算は、これまで当該分野において認識されていなかった。しかし、近年の計算科学の進歩に伴って解析することが可能となり、硬化性を示すゲル分率の実測値と比べて相関性が非常に高いことが解った。その結果、R
1〜R
5が炭素数1以上の有機基であり、好ましくはR
2〜R
5が炭素数1以上の有機基であり、さらに好ましくはR
2〜R
5がイソプロピル基やシクロヘキシル基のような嵩高い構造の有機基であると、平面性がより高く、触媒効果が高いため好ましいことがわかった。
【0099】
また、平面性を示す二面角がほぼ同程度の場合(例えば、イソプロピル基とシクロヘキシル基の二面角の差は1〜2程度)は、強い電子供与基を有する有機基の方が触媒の塩基性が強まるため硬化性も向上する。従って、上記式(6)及び式(7)におけるR
1〜R
5の有機基としては、イソプロピル基よりもシクロヘキシル基がより好ましい。
【0100】
式(1)で表されるアミン化合物(C)は、公知の方法を組み合わせることにより合成することができ、例えば、下記合成方法(I)または(II)により合成することができる。下記合成方法(I)は、式(1)におけるR
3が水素原子である場合の合成例であり、下記合成方法(II)は、式(1)におけるR
2が水素原子である場合の合成例である。
【0102】
また、上述した式(3)で表される化合物や式(4)で表される化合物、すなわちグアニジル基を2つ有し、対称なアミン化合物(C)を得るには、例えば下記合成方法(III)が挙げられる。
【0104】
〔式中、(1)の反応は、グリシジル基と2級アミンとの反応であり、(2)の反応はケチミンの加水分解反応(1級アミン生成)であり、(3)の反応はカルボジイミド化合物と1級アミンの反応である。〕
【0105】
上記合成方法において、Rzは炭素数1以上の有機基であり、数平均分子量が300以上であることが好ましい。Y
1、Y
2はアルキレン基であり、アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜3であり、特に好ましくは2である。Rx、Ryは鎖状、分岐状、または環状のアルキル基であり、好ましくは、プロピル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であり、より好ましくは、イソプロピル基、またはシクロヘキシル基であり、さらに好ましくはシクロヘキシル基である。
【0106】
また、式(5)で表される構造を有する共役グアニジン化合物は、公知の方法を組み合わせることにより合成することができ、例えば、下記合成方法(IV)または(V)により合成することができる。下記合成方法(IV)は、式(5)におけるR
33が水素原子である場合の合成例であり、下記合成方法(V)は、式(5)におけるR
31が水素原子である場合の合成例である。
【0108】
熱硬化性塗料組成物
本発明の熱硬化性塗料組成物における水酸基含有樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の配合割合としては、塗料組成物の樹脂固形分合計質量を基準にして、成分(A)が、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、成分(B)が、通常10〜60質量%、好ましくは15〜55質量%の範囲内であることが、仕上がり性、硬化性に優れた塗装物品を得る為にも好ましい。上記範囲を外れると、塗料特性及び塗膜性能のいずれかを損うことがあり、好ましくない。
また、アミン化合物(C)の含有量としては、塗料組成物の樹脂固形分合計質量を基準にして、分子量300以上の有機基が付加している場合は当該基を除いた質量において、通常0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲内であることが、硬化性の観点から好適である。
【0109】
本発明の熱硬化性塗料組成物は、特に限定されるものではないが、例えば、成分(A)〜(C)に加え、必要に応じて、顔料分散ペースト、水や有機溶剤などの溶媒、中和剤、界面活性剤、表面調整剤、増粘剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、解離触媒、可塑剤などを含有することができる。
【0110】
上記顔料分散ペーストは、着色顔料、防錆顔料及び体質顔料などの顔料をあらかじめ微細粒子に分散したものであって、例えば、顔料分散用樹脂、中和剤、溶媒及び顔料を配合し、ボールミル、サンドミル、ペブルミル等の分散混合機中で分散処理して、顔料分散ペーストを調製できる。
【0111】
上記顔料としては、公知のものを特に制限なく使用でき、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、紺青、群青、コバルトブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー、合成黄色酸化鉄、透明べんがら(黄)、ビスマスバナデート、チタンイエロー、亜鉛黄(ジンクエロー)、モノアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、べんがら、モノアゾレッド、キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンダ、アンサンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンマゼンダ、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレット等の着色顔料;バリタ粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、マイカ粉などの体質顔料;リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化亜鉛(亜鉛華)等の防錆顔料などを添加することができる。
【0112】
上記溶媒としては、水や有機溶剤など、公知のものを制限なく使用することができる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、イソブチルメチルケトンなどのケトン系;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノールなどのアルコール系、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0113】
また、イソシアネートブロック剤の解離触媒としては、本願で用いるアミン化合物(C)以外にビスマス系化合物、亜鉛系化合物、チタン系化合物、アミジン系化合物、フォスファゼン系化合物、4級塩系化合物、プロアザホスファトラン系化合物などを好適に使用することができるが、ジブチル錫ジベンゾエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドなどの有機錫化合物は、環境面への配慮から実質的に使用しないことが好ましい。
【0114】
塗膜形成方法
本発明で用いる塗膜形成方法としては、刷毛塗り、ローラー塗装、ディッピング塗装、バーコーダー塗装、アプリケーター塗装、カーテン塗装、スプレー塗装、回転霧化塗装、電着塗装など、公知の塗装方法を特に制限なく用いることができる。
【0115】
塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、乾燥塗膜に基づいて5〜60μm、好ましくは10〜40μmの範囲内とすることができる。
【0116】
また、塗膜の焼き付け乾燥は、塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機などの乾燥設備を用いて、塗装物表面の温度で60〜300℃、好ましくは80〜200℃にて、時間としては3〜180分間、好ましくは10〜50分間、加熱して行う。上記焼付け乾燥により硬化塗膜を得ることができる。
【0117】
本発明の被塗物としては、自動車ボディ、自動車部品、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられ、素材としては、金属、プラスティック、無機材料、木材、繊維材料など、特に制限はない。金属素材の場合は、例えば、必要に応じてアルカリ脱脂等の表面を洗浄した後、さらに必要に応じてリン酸塩化成処理、クロメート処理等の表面処理を行ったものが用いることができ、下塗り塗料等を塗装した被塗物でもよい。
上記した被塗物に本発明の熱硬化性塗料組成物を塗装して塗装物品を得ることができる。
【実施例】
【0118】
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
【0119】
水酸基含有樹脂(A)の製造
製造例1 (アクリル樹脂)
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル31部を仕込み、窒素ガス通気下で110℃に昇温した。110℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、2−ヒドロキシエチルアクリレート22部、メチルメタクリレート30部、2−エチルへキシルアクリレート22部、スチレン25部、アクリル酸1部、及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4部からなる混合物を4時間かけて滴下した。ついで、110℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈することにより、固形分60%のアクリル樹脂(A−1)溶液を得た。
アクリル樹脂(A−1)は、重量平均分子量15,000、水酸基価106mgKOH/gであった。
【0120】
製造例2 (エポキシ樹脂)
撹拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER1001(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量475、数平均分子量900)950部、1,6−ヘキサンジオール236部、ジメチルベンジルアミン0.2gを加え、200℃でエポキシ当量が30,000以上になるまで反応させ、更にエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分60%のエポキシ樹脂(A−2)溶液を得た。エポキシ樹脂(A−2)の数平均分子量は2,500であった。
【0121】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の製造
製造例3
撹拌機、加熱装置、冷却装置、減圧装置を備えた4つ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート272部及びメチルエチルケトン214部を仕込み、60℃に加熱した。次いで、メチルエチルケトオキシム169部を撹拌しながら1時間かけて徐々に添加した。その後、60℃で2時間反応させた後、トリメチロールプロパン59部を温度が70℃以上にならないように徐々に添加した。撹拌下、その反応混合物を赤外分光法によって、遊離のイソシアネート基が検出されなくなるまで60℃にて反応させた。反応終了後、固形分70%のブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B−1)を得た。得られたブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B−1)のNCO量は16.4%であった。
【0122】
アミン化合物(C)の製造
下記表1に示すアミン化合物(C−1)〜(C−16)のうち、市販品以外のアミン化合物(C−3)〜(C−14)を下記製造例4〜15により製造した。
尚、下記製造例4〜15により製造したアミン化合物は、表1中の化合物の他に副生成物や未反応物などが存在する場合がある。
また、製造例に記載しているエポキシ・アミン価は下記方法により測定した。
【0123】
<エポキシ・アミン価の測定方法>
本発明のエポキシ・アミン価(meq/g)は、溶媒を含んだ試料1グラムあたりのエポキシ官能基及びアミン官能基を合計したミリモル数のことである。JIS K7236:2009により測定されるエポキシ当量(1グラム当量のエポキシ基を含む当該成分のグラム数)が、本発明の試料ではエポキシ官能基とアミン官能基の両方を測定しており、下記式により算出した値である。
エポキシ・アミン価(meq/g)=1000/エポキシ当量(JIS K7236:2009の測定結果)
【0124】
【表1】
【0125】
Me:メチル基、Et:エチル基、iPr:イソプロピル基、Cy:シクロヘキシル基、記載がないものに関しては水素原子。
EP1:jER828(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)を主成分とする化合物を反応させたもの。
EP2:jER1001(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量475、数平均分子量900)を主成分とする化合物を反応させたもの。
【0126】
製造例4 アミン化合物(C−3)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、ジシクロヘキシルカルボジイミド103部、シクロヘキシルアミン49.5部、t−ブタノール275部を加え、加熱還流しながら反応を行なった。赤外吸収スペクトル(以下IRという。)による測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。減圧を行いt−ブタノールを除去した後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−3)溶液を得た。
【0127】
製造例5 アミン化合物(C−4)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、ジシクロヘキシルカルボジイミド103部、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン57.5部、t−ブタノール18部を加え、加熱還流しながら反応を行った。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。減圧を行いt−ブタノールを除去した後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−4)溶液を得た。
【0128】
製造例6 アミン化合物(C−5)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、ジイソプロピルカルボジイミド126部、N,N−ジメチルエチレンジアミン88部、t−ブタノール54部を加え、加熱還流しながら反応を行った。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。減圧を行いt−ブタノールを除去した後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−5)溶液を得た。
【0129】
製造例7 アミン化合物(C−6)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、ジシクロヘキシルカルボジイミド206部、N,N−ジメチルエチレンジアミン88部、t−ブタノール74部を加え、加熱還流しながら反応を行った。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。減圧を行いt−ブタノールを除去した後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−6)溶液を得た。
【0130】
製造例8 アミン化合物(C−7)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)190部、N−メチルエチレンジアミンのケチミンブロック体170部、イソブチルメチルケトン177部を加え、120℃に昇温し、エポキシ・アミン価(ケチミンブロック体含む)の合計が、3.75meq/g以下になるまで反応させた。次にエチレングリコールモノブチルエーテル25部、脱イオン水18部、ジシクロヘキシルカルボジイミド206部を加え95℃で反応させた。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。イソブチルメチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−7)溶液を得た。
【0131】
製造例9 アミン化合物(C−8)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER1001(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量475、数平均分子量900)475部、N−メチルエチレンジアミンのケチミンブロック体170部、イソブチルメチルケトン645部を加え、120℃に昇温し、エポキシ・アミン価(ケチミンブロック体含む)の合計が、1.57meq/g以下になるまで反応させた。次にエチレングリコールモノブチルエーテル25部、脱イオン水18部、ジシクロヘキシルカルボジイミド206部を加え95℃で反応させた。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。イソブチルメチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−8)溶液を得た。
【0132】
製造例10 アミン化合物(C−9)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、ジイソプロピルカルボジイミド252部、N,N−ビス(2−アミノエチル)メチルアミン117部、t−ブタノール92部を加え、加熱還流しながら反応を行った。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。減圧を行いt−ブタノールを除去した後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−9)溶液を得た。
【0133】
製造例11 アミン化合物(C−10)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、ジシクロヘキシルカルボジイミド413部、N,N−ビス(2−アミノエチル)メチルアミン117部、t−ブタノール133部を加え、加熱還流しながら反応を行った。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。減圧を行いt−ブタノールを除去した後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−10)溶液を得た。
【0134】
製造例12 アミン化合物(C−11)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)190部、ジエチレントリアミンのケチミンブロック体267部、イソブチルメチルケトン225部を加え、120℃に昇温し、エポキシ・アミン価(ケチミンブロック体含む)の合計が、4.43meq/g以下になるまで反応させた。次にエチレングリコールモノブチルエーテル25部、脱イオン水36部、ジイソプロピルカルボジイミド252部を加え95℃で反応させた。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。イソブチルメチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−11)溶液を得た。
【0135】
製造例13 アミン化合物(C−12)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)190部、ジエチレントリアミンのケチミンブロック体267部、イソブチルメチルケトン225部を加え、120℃に昇温し、エポキシ・アミン価(ケチミンブロック体含む)の合計が、4.43meq/g以下になるまで反応させた。次にエチレングリコールモノブチルエーテル25部、脱イオン水36部、ジシクロヘキシルカルボジイミド412部を加え95℃で反応させた。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。イソブチルメチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−12)溶液を得た。
【0136】
製造例14 アミン化合物(C−13)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER1001(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量475、数平均分子量900)475部、ジエチレントリアミンのケチミンブロック体267部、イソブチルメチルケトン742部を加え、120℃に昇温し、エポキシ・アミン価(ケチミンブロック体含む)の合計が、2.03meq/g以下になるまで反応させた。次にエチレングリコールモノブチルエーテル25部、脱イオン水36部、ジシクロヘキシルカルボジイミド412部を加え95℃で反応させた。IRによる測定で2120cm
−1におけるカルボジイミドに起因する吸収がほぼなくなることを確認した。イソブチルメチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−13)溶液を得た。
【0137】
製造例15 アミン化合物(C−14)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)190部、ジエチレントリアミンのケチミンブロック体267部、イソブチルメチルケトン225部を加え、120℃に昇温し、エポキシ・アミン価(ケチミンブロック体含む)の合計が、4.43meq/g以下になるまで反応させた。次に脱イオン水36部及びエチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分50%のアミン化合物(C−14)溶液を得た。
【0138】
顔料分散ペーストの製造
製造例16 顔料分散ペースト
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828(商品名、三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)1010部、ビスフェノールA 390部、プラクセル212(商品名、ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させた。次に、ジメチルエタノールアミン134部及び90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時間反応させた。次いで、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%の4級アンモニウム塩型顔料分散用樹脂溶液を得た。
続いて、上記顔料分散用樹脂溶液8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー8.0部、カーボンブラック0.3部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル24.5部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分50%の顔料分散ペーストを得た。
【0139】
熱硬化性塗料の製造
参考例1 熱硬化性塗料(X−1)
製造例1で得られたアクリル樹脂(A−1)溶液を58.3部(固形分35部)、製造例2で得られたエポキシ樹脂(A−2)溶液を58.3部(固形分35部)、製造例3で得られたブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B−1)を42.9部(固形分30部)、アミン化合物(C−1)1.7部(固形分1.7部、樹脂固形分100部に対して0.015mol)を配合して均一に撹拌し、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加して固形分50%の熱硬化性塗料(X−1)を製造した。
【0140】
参考例2〜8、実施例9〜13及び比較例1〜4 熱硬化性塗料(X−2)〜(X−17)
アミン化合物(C)を下記表2で示されるものに変更した以外は
参考例1と同様にして、固形分50%の熱硬化性塗料(X−2)〜(X−17)を製造した。
尚、エポキシ樹脂(EP1又はEP2)を付加したアミン化合物(C−7、C−8、C−11、C−12、C−13、C−14)を配合した熱硬化性塗料(X−7、X−8、X−11、X−12、X−13、X−14)に関しては、エポキシ樹脂(A−2)固形分質量と該エポキシ樹脂(EP1又はEP2)の固形分質量との合計が35部となるように、エポキシ樹脂(A−2)の配合を行なった。
【0141】
参考例14 熱硬化性塗料(Y−1)
製造例1で得られたアクリル樹脂(A−1)溶液を50部(固形分30部)、製造例2で得られたエポキシ樹脂(A−2)溶液を58.3部(固形分35部)、製造例3で得られたブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B−1)を42.9部(固形分30部)、製造例16で得られた顔料分散ペーストを55.6部(固形分27.8部、樹脂固形分5部)、アミン化合物(C−1)1.7部(固形分1.7部、樹脂固形分100部に対して0.015mol)を配合して均一に撹拌し、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加して固形分50%の熱硬化性塗料(Y−1)を製造した。
【0142】
参考例15〜21、実施例22〜26及び比較例5〜8 熱硬化性塗料(Y−2)〜(Y−17)
アミン化合物(C)を下記表3で示されるものに変更した以外は
参考例14と同様にして、固形分50%の熱硬化性塗料(Y−2)〜(Y−17)を製造した。
尚、
参考例15〜21、実施例22〜26においても同様に、アミン化合物(C)は、樹脂固形分100部に対して0.015mol配合した。エポキシ樹脂(EP1又はEP2)を付加したアミン化合物(C−7、C−8、C−11、C−12、C−13、C−14)を配合した熱硬化性塗料(Y−7、Y−8、Y−11、Y−12、Y−13、Y−14)に関しては、エポキシ樹脂(A−2)固形分質量35部から該エポキシ樹脂(EP1又はEP2)の固形分質量を引いてエポキシ樹脂(A−2)の配合を行なった。
【0143】
後述する方法で行った評価試験について、硬化性(ゲル分率)及び平面性(二面角)の結果を下記表2に、耐水性(光沢保持率)の結果を下記表3に示す。
【0144】
【表2】
【0145】
【表3】
【0146】
評価試験
<硬化性(ゲル分率)>
ガラス板に
参考例1〜8、実施例9〜13又は比較例1〜4の熱硬化性塗料を硬化膜厚約30μmとなるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗装し、140℃の温度で30分間加熱硬化させ、ガラス板から塗膜を剥離した。次に金網の中に入れた塗膜をセパレート型丸底フラスコの中に設置し、塗膜1gに対してアセトン100gを加え5時間還流した。取り出した塗膜を105℃×1時間で乾燥後、塗膜重量を測定し、以下の式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=還流後の塗膜重量/還流前の塗膜重量×100
尚、以下の基準で評価を行なった。S〜Cが合格、Dが不合格である。
S:ゲル分率が95%以上であり、硬化性が非常に優れている。
A:ゲル分率が90%以上、且つ95%未満であり、硬化性がやや優れている。
B:ゲル分率が80%以上、且つ90%未満であり、硬化性が優れている。
C:ゲル分率が70%以上、且つ80%未満であり、硬化性は普通である。
D:ゲル分率が70%未満であり、硬化性が劣っている。
【0147】
<平面性(二面角)>
Gaussian03(Gaussians社製)を用い、密度汎関数理論計算B3LYP/6−31G
*による構造最適化計算で、下記式(6)及び/又は(7)の構造を有するアミン化合物(C−1)〜(C−13)の二面角αを、下記式(A)及び/又は(B)により算出した。
尚、アミン化合物の分子中に2種類以上の下記構造〔式(6)及び/又は(7)〕が存在する場合〔例えば、アミン化合物(C−4)、(C−9)〜(C−13)〕は、より小さい値を当該アミン化合物の二面角とした。
【0148】
【化20】
【0149】
【化21】
【0150】
二面角α=〔(P1とP2の二面角)+(P1とP3の二面角)〕/2・・・(A)
二面角α=P1とP2の二面角・・・(B)
尚、表2中に二面角(度)と共に、S〜Cで平面性の評価基準を記載する。
S:二面角が15度未満であり、平面性が非常に優れている。
A:二面角が15度以上、且つ20度未満であり、平面性が優れている。
B:二面角が20度以上、且つ30度未満であり、平面性は普通である。
C:二面角が30度以上であり、平面性がやや劣っている。
【0151】
<耐水性(光沢保持率)>
「パルボンド#3020」(日本パーカライジング社製、りん酸亜鉛処理)を施した冷延鋼板(大きさ400×300×0.8mm)に、「エレクロンGT−10」(関西ペイント社製、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させ、該塗膜上に「TP−65」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗塗料)を乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。
次いでその上に、
参考例14〜21、実施例22〜26又は比較例5〜8の熱硬化性塗料を硬化塗膜約20μmとなるようにアプリケーターを用いて塗装し、140℃の温度で30分間加熱硬化させた。
【0152】
得られた試験板を純水に浸漬させ40℃で240時間放置し、浸漬後の光沢度を測定して光沢保持率を算出した。
光沢保持率は、その表面(試験面)をJIS Z 8741−1997に基づく方法で、鏡面光沢度を入射角60度で測定した値に基づいて、光沢保持率を以下の式により算出したものである。
光沢保持率(%)=(耐水試験後の光沢度/初期光沢度)×100
尚、以下の基準で評価を行なった。S〜Cが合格、Dが不合格である。
S:光沢保持率が95%以上であり、耐水性が非常に優れている。
A:光沢保持率が90%以上、且つ95%未満であり、耐水性がやや優れている。
B:光沢保持率が80%以上、且つ90%未満であり、耐水性が優れている。
C:光沢保持率が70%以上、且つ80%未満であり、耐水性は普通である。
D:光沢保持率が70%未満であり、耐水性が劣っている。
【0153】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2016年11月24日出願の日本特許出願(特願2016−228374)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。