(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の構成を
図1ないし
図10を参照して説明する。
【0009】
図9および
図10において、11は電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、本実施形態では、この電気掃除機11として、被掃除面(床面)上を自律走行(自走)しつつ被掃除面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナを例に挙げて以下説明する。
【0010】
この電気掃除機11は、中空状の本体ケース12を備え、この本体ケース12は、本体部としてのケース本体14と、このケース本体14の外縁部に配置されて本体ケース12の外郭(外周面)の一部を構成する緩衝部材であるバンパ15とが対をなす(一対の)リンク機構16,16を介して可動的に接続され、全体として扁平な円柱状(円盤状)などに構成されている。そして、本体ケース12には、電動送風機21がケース本体14に収容されているとともに、この電動送風機21の吸込側に連通する集塵部22が例えば後部に位置して着脱可能に設けられている。また、この本体ケース12には、例えば複数(一対)の駆動部としての駆動輪23と、複数の従動輪24と、複数の距離検出手段としての測距センサ25と、一対の清掃部としての旋回清掃部であるサイドブラシ26,26と、回路基板などにより構成された制御手段27と、外部装置との無線通信用の通信部28と、電源部を構成する電池である二次電池29とがそれぞれ設けられている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース12)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図9などに示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向とするとともに、電気掃除機11を平坦な被掃除面上に載置した状態を基準として説明する。また、
図1および
図7については、電気掃除機11の一側(右側)のみを示しているが、電気掃除機11は幅方向に略線対称に形成されているため、他側(左側)の図示を省略している。
【0011】
ケース本体14は、概略として、例えば硬質の合成樹脂などにより形成された化粧板である上面31、化粧板である下面32および本体部外側面(ケース本体外側面)としての化粧板である後部外周面33により外面が覆われているとともに、これら上面31、下面32および後部外周面33により囲まれる内部に、複数のケース体からなる構造部34が構成されている。そして、このケース本体14の両側から前側に亘る部分は、バンパ15が嵌合される円弧状の開口部35となっている。
【0012】
上面31は、本体ケース12の上面を構成するもので、平面視で円形状の平板状であり、水平方向に沿っている。この上面31の後部には、集塵部22を着脱する際に開閉される集塵部蓋部37が設けられている。
【0013】
下面32は、本体ケース12の下面を構成するもので、平面視で円形状の平板状であり、水平方向に沿っている。この下面32には、電動送風機21からの排気を排出する複数の排気口41と、集塵部22と連通する集塵口である吸込口42とがそれぞれ開口されているとともに、この吸込口42の両側前方寄りの位置に駆動輪23,23が配置されている。この吸込口42には、回転清掃体としての回転ブラシ43が回転可能に取り付けられている。この回転ブラシ43は、外周面に毛ブラシやブレードなどの清掃部材43aが配置されており、回転駆動手段としてのブラシモータ44(
図8)により回転されてこれら清掃部材43aが被掃除面と繰り返し接触することで被掃除面の塵埃を掻き上げるものである。
【0014】
後部外周面33は、ケース本体14の両側から後側に亘る部分、すなわち本体ケース12の略後半分の外周面(外郭)を構成するもので、鉛直上下方向に沿って軸方向を有し所定の径寸法に設定された半円弧状の円筒面状に形成されて、上面31および下面32と連続的に配置されている。
【0015】
構造部34は、基本的に本体ケース12の外部に露出することなくその内部に収容されている部分である。この構造部34の前端部には、リンク機構16,16の一部をなす本体部側軸支部としての円筒状(ボス状)の軸支部51,51と、これら軸支部51,51間に位置する付勢受け部52とがそれぞれ形成されている。また、この構造部34には、各サイドブラシ26を本体ケース12(ケース本体14)の径方向に沿って案内するガイド部53がそれぞれ形成されている。
【0016】
軸支部51,51は、構造部34(本体ケース12(ケース本体14))の幅方向の中心線Lに対して互いに略線対称な位置に離間されて配置され、構造部34の上面31の下部に対向する上部から鉛直上方に向けて突設されている。
【0017】
付勢受け部52は、リンク機構16,16間の位置でバンパ15を前方に向けてケース本体14に対して進出する方向(ケース本体14から離間する方向)に付勢してバンパ15を通常位置に復帰させるバンパ付勢手段としてのコイルばね55の後端部を受けて保持する部分であり、構造部34(本体ケース12(ケース本体14))の幅方向の中心線Lと重なる位置、すなわち構造部34(本体ケース12(ケース本体14))の幅方向の中央部に位置している。
【0018】
各ガイド部53は、本体ケース12に対してサイドブラシ26,26を突出する方向とその反対方向とに往復移動可能に案内するとともに、本体ケース12に対して最大に突出した状態でのサイドブラシ26,26のストッパとなるものであり、例えば構造部34(本体ケース12(ケース本体14))の幅方向の両側、本実施形態では本体ケース12の前後方向の中心部よりも前方の斜め両側(本体ケース12の前方左右45°方向)の位置に形成されている。なお、以下、サイドブラシ26が本体ケース12の外郭から突出する方向を突出方向、その反対方向を退避方向というものとする。
【0019】
一方、バンパ15は、
図1ないし
図6、
図9および
図10などに示すように、障害物Wなどとの接触(衝突)時の衝撃を弾性的に緩和するものであり、例えば剛性を有する合成樹脂(剛体)により形成され、本体ケース12の両側から前側に亘る部分、すなわち本体ケース12の略前半分の外周面(外郭)を構成する円筒面状に湾曲したバンパ本体61と、このバンパ本体61の上端部から後方に向けて延設された板状の延設部62と、バンパ本体61に突設されリンク機構16,16の一部をなすバンパ側軸支部63,63と、これらバンパ側軸支部63,63間にてバンパ本体61に設けられたバンパ側付勢受け部64と、バンパ本体61に設けられたサイドレバー65とを備えている。そして、このバンパ15は、ケース本体14の開口部35に嵌合され、ケース本体14の径方向に沿って往復移動可能となっている。
【0020】
バンパ本体61は、鉛直上下方向に沿って軸方向を有し後部外周面33と同径の円弧に沿う半円弧状となっており、バンパ15に対して障害物Wなどが接触していない(負荷が加わっていない)通常位置で後部外周面33とともに略一つの円筒面(平面視で略一つの円)を形成するようになっている。したがって、後部外周面33とバンパ本体61とによって、本体ケース12の外周面が構成されている。また、このバンパ本体61は、ケース本体14の両側から前側に亘る外縁部に対して所定の間隙を介して径方向に離間されており、この間隙が、バンパ15が往復移動可能な最大ストロークとなっている。さらに、このバンパ本体61には、構造部34の各ガイド部53に対応する位置にて、サイドブラシ26,26が嵌合する清掃部嵌合部としてのブラシ嵌合部68,68が径方向に凹設されているとともに、これらブラシ嵌合部68のそれぞれの内部に位置し、各サイドブラシ26と当接可能な当接部69,69が設けられている。そして、このバンパ本体61には、ケース本体14に対向する内面に、押圧部としての突起部70,70が突設されている。
【0021】
各ブラシ嵌合部68は、バンパ本体61(バンパ15)の外郭をなす外周面を含む仮想的な円弧面である包絡面に対して内周側へと窪んでそれぞれ形成されている。
【0022】
各当接部69は、各サイドブラシ26が本体ケース12に対して退避方向に所定量以上移動した状態で各サイドブラシ26と当接することにより、各サイドブラシ26とバンパ15とを連動させて往復移動させるものである。
【0023】
各突起部70は、傾斜平面状の当接面73をそれぞれ有しており、この当接面73が、ケース本体14(構造部34)に配置された障害物検出手段である障害物センサ74とバンパ15の通常位置でそれぞれ常時当接して、各障害物センサ74を動作させるものである。また、各突起部70は、各ブラシ嵌合部68の近傍にて、各ブラシ嵌合部68に対して中心線L側の位置に配置されている。
【0024】
各当接面73は、中心線Lから離間するほどバンパ本体61の中心軸側(後側)への突出量が大きくなるようにバンパ本体61の内面から突出している。すなわち、各当接面73の面方向は、前後方向に沿うベクトル成分と、左右方向に沿うベクトル成分とを有している。換言すれば、各当接面73は、前後方向および左右方向とそれぞれ交差する方向に沿って傾斜状となっている。このため、当接面73,73は、上方から見てハ字状に傾斜している。また、各当接面73は、中心線L側に面を向けて配置されている。
【0025】
障害物センサ74,74は、
図1ないし
図5および
図7に示すように、バンパ15およびサイドブラシ26,26の障害物Wとの接触による退避方向への移動によって、突起部70(当接面73)またはバンパ本体61の内面と当接することでこの移動を検出し、この移動の検出により障害物Wを検出するものである。これら障害物センサ74,74は、例えば構造部34の下部にて、中心線Lの両側にてこの中心線Lの近傍に略線対称にそれぞれ配置されており、ケース本体14の下側にて下面32(
図9)に対向するとともにバンパ15の内面に対向して位置している。これら障害物センサ74,74は、本体ケース12の下面32よりも上方に位置しており、本体ケース12の内部に収容されている。また、各障害物センサ74は、バンパ15側と接触して回動可能な接触子77と、各接触子77の回動を検出する検出手段本体部であるセンサ部78と、各接触子77をバンパ15に向けて回動する方向に付勢する接触子付勢手段としての接触子ばね79とをそれぞれ備えている。
【0026】
各接触子77は、略扇形状に形成された接触子本体81と、この接触子本体81と同軸の略扇形状に形成された接触部82とを一体に備えている。そして、各接触子77は、接触子本体81および接触部82の扇形の中心位置にてケース本体14の外縁部近傍の位置に軸支されており、中心線L側が前後方向に沿って回動可能となっている。
【0027】
接触子本体81は、ケース本体14の外縁部よりも内方(反バンパ15(反バンパ本体61)側)に位置する部分である。この接触子本体81の外周面は、中心線L側に面を向けた円弧状のセンシング面84となっている。このセンシング面84は、前後方向に沿って位置しており、後端部の位置に、切欠部85が形成されている。なお、このセンシング面84は、光を反射しにくいように、例えば黒色に塗装されていることが好ましい。
【0028】
接触部82は、接触子本体81よりも径寸法が小さい扇形状であり、接触子本体81の前側に突出してケース本体14の外縁部よりも外方(バンパ15(バンパ本体61)側)に突出して位置してバンパ15(バンパ本体61)に対向している。この接触部82の前部には、バンパ15の当接面73に対してバンパ15の通常位置で常時当接する作用面87が形成されている。この作用面87は、接触部82の前縁部をなす部分であり、接触子77の回動(回動軸)の接線方向に沿って前方かつ中心線L側へと延び、バンパ15が通常位置にある状態で当接面73と略平行となっている。したがって、各作用面87の面方向は、前後方向に沿うベクトル成分と、左右方向に沿うベクトル成分とを有している。換言すれば、各作用面87は、前後方向および左右方向とそれぞれ交差する方向に沿って傾斜状となっている。また、各作用面87は、中心線Lに対して反対側である幅方向外側に面を向けて配置されている。すなわち、各作用面87は、各接触子77において、センシング面84と反対側に位置している。
【0029】
各センサ部78は、例えば非接触型のフォトインタラプタなどであり、発光部78aと受光部78bとが、各接触子77の接触子本体81のセンシング面84を挟んで互いに対向してケース本体14に配置されている。そして、これら発光部78aと受光部78bとの間には、バンパ15が通常位置にある状態で切欠部85が位置し、接触子77の回動によってセンシング面84が発光部78aと受光部78bとの間に介在されるようになっている。
【0030】
各接触子ばね79は、各接触子77(接触子本体81)に一端部が保持され、ケース本体14に設けられた付勢手段受け部としてのばね受け部89に他端部が保持されている。このばね受け部89は、バンパ15が通常位置にある状態で接触子本体81と当接することにより、接触子77のバンパ15側である前方(進出方向)への回動範囲を規制する回動規制部の機能を有している。
【0031】
延設部62は、平板状に形成され、開口部35に対して挿入されて上面31の下部に密着することで、バンパ本体61とケース本体14の外縁部との間隙の上面を閉塞するものである。すなわち、この延設部62は、バンパ15が往復移動することによって、上面31の下部に沿って摺接するようになっている。
【0032】
バンパ側軸支部63,63は、バンパ15(本体ケース12)の幅方向の中心線Lに対して互いに略線対称な位置に離間されて配置され、バンパ本体61の下部から鉛直上方に向けて突設され、延設部62によって上方が覆われている。そして、これらバンパ側軸支部63,63と構造部34の軸支部51,51とが互いに連結されるようになっている。
【0033】
バンパ側付勢受け部64は、コイルばね55の前端部を受けて保持する部分であり、バンパ本体61(本体ケース12(バンパ15))の幅方向の中心線Lと重なる位置、すなわちバンパ本体61(本体ケース12(バンパ15))の幅方向の中央部に位置している。したがって、コイルばね55は、バンパ15が通常位置にある状態で中心線Lを中心軸として前後方向に沿って直線状に保持されている。
【0034】
各サイドレバー65は、側方からの障害物Wの接触(衝突)に対してバンパ15を支持するものであり、
図2ないし
図4および
図6に示すように、バンパ本体61の両端部(両側部)のケース本体14に対向する内面にそれぞれ配置されている。これらサイドレバー65は、バンパ本体61に回動可能に軸支されたレバー本体91と、このレバー本体91を突出方向に付勢するレバー付勢手段としてのコイルばね92とをそれぞれ備えている。
【0035】
レバー本体91は、前側がバンパ本体61に軸支されており、左右方向に沿って回動可能となっている。このレバー本体91の先端部は、ケース本体14の両側部に断面円弧状に凹設された受け部93に嵌合するように半円柱状に形成されており、この受け部93への嵌合により、バンパ15の位置をケース本体14に対して前後方向に規制している。また、レバー本体91は、バンパ15が通常位置にある状態で、バンパ本体61に設けられたストッパ部94と接触することにより、バンパ本体61から突出する方向への回動が規制されている。
【0036】
各リンク機構16は、上記軸支部51と、上記バンパ側軸支部63と、これら軸支部51とバンパ側軸支部63とを連結する連結体95とによって構成され、バンパ15をケース本体14に対して相対的に水平方向に移動可能に接続している。
【0037】
連結体95は、前端部がバンパ側軸支部63に周方向に回動可能に軸支されているとともに、後端側に軸支部51が周方向に回動可能かつ摺動可能に挿通される長孔96が形成されている。そして、各連結体95が、バンパ側軸支部63(バンパ15)に対して回動し、軸支部51が、長孔96に沿って摺動するとともにこの長孔96内で回動することにより、バンパ15がケース本体14に対して水平方向に沿って移動自在となっている。すなわち、ケース本体14と、バンパ15と、連結体95,95とによって、リンク装置が構成されている。
【0038】
そして、各リンク機構16、コイルばね55、および、各サイドレバー65により、バンパ15とケース本体14との中心線Lが略一致するようにセンタリングされ、バンパ15が通常位置に維持される方向に常時付勢されるようになっている。
【0039】
電動送風機21は、例えば駆動輪23,23間の位置にて本体ケース12に収容されている。この電動送風機21の吸込側は、集塵部22と気密に接続されている。
【0040】
集塵部22は、電動送風機21の駆動により吸込口42から吸い込まれた塵埃を内部に溜めるものであり、本実施形態では、本体ケース12に対して着脱可能な集塵ボックスとなっている。
【0041】
駆動輪23,23は、本体ケース12を被掃除面上で走行(自律走行)可能とする、すなわち走行用のものであり、水平方向(幅方向)に沿って回転軸を有する円盤状に形成され、本体ケース12の下部の前後方向の中心付近の位置にて、幅方向に互いに離間されて配置されている。そして、これら駆動輪23,23は、駆動手段としてのモータ98,98(
図8)を介して回転駆動される。
【0042】
これらモータ98,98は、図示しない駆動伝達手段としてのギヤボックスを介してこれら駆動輪23,23とそれぞれ接続され、駆動輪23,23を独立して駆動させることが可能となっている。そして、これらモータ98,98は、駆動輪23,23および各ギヤボックスとともに、図示しない懸架手段(サスペンション)により、本体ケース12の下面32から下方へと突出する方向に一体的に付勢されており、この付勢により、駆動輪23,23の被掃除面に対するグリップ力が確保されている。
【0043】
従動輪24(
図9)は、本体ケース12の下面32において、駆動輪23,23とともに電気掃除機11の重量をバランスよく支持可能な位置に適宜回転自在に配置されている。特に、本体ケース12の下面32の幅方向の略中央部で、かつ、前部の位置の従動輪24は、被掃除面に対して平行に旋回可能に下面32に取り付けられた旋回輪99となっている。
【0044】
測距センサ25は、例えば超音波センサ、あるいは赤外線センサなどの非接触型のセンサであり、例えば本体ケース12のケース本体14の後部外周面33およびバンパ15(バンパ本体61)に配置され、本体ケース12の外方の障害物(壁部)Wなどの有無、およびそれらと本体ケース12との距離などをそれぞれ検出可能となっている。
【0045】
サイドブラシ26,26は、吸込口42が届かないこの吸込口42の両側、特に壁際などの本体ケース12の外郭(外周面)よりも外方あるいは駆動輪23,23の前方に位置する塵埃を掻き集めて掃除するものであり、バンパ15のブラシ嵌合部68,68の位置、すなわち本体ケース12の幅方向の両側、本実施形態では本体ケース12の前後方向の中心部よりも前方の斜め両側(本体ケース12の前方左右45°方向)の位置に配置されている。これらサイドブラシ26,26は、障害物Wとの接触などによって負荷が加わっていない通常位置で先端側が本体ケース12(バンパ15)の外郭よりも外方に突出し、基端側が本体ケース12(バンパ15)の外郭よりも内方に位置している。そして、これらサイドブラシ26,26は、本体ケース12の外郭に対してこの本体ケース12の径方向に沿って放射状に進出可能な清掃部本体としてのブラシ本体101と、このブラシ本体101を本体ケース12の外郭(外周面)から突出する方向に付勢する清掃部付勢手段としてのブラシ付勢ばね102と、ブラシ本体101の被掃除面に対向する下部に回転可能に配置された毛ブラシなどの清掃体103と、この清掃体103を回転させる旋回駆動手段としての旋回モータ104とをそれぞれ備えている。
【0046】
ブラシ本体101は、先端側が例えば円弧に沿った形状、本実施形態では楕円形状に形成されている。このブラシ本体101(サイドブラシ26)は、障害物Wなどとの接触により、所定の移動範囲でブラシ付勢ばね102の付勢に抗して本体ケース12側へと退避方向に移動するようになっている。そして、このブラシ本体101(サイドブラシ26)の移動範囲には、本体ケース12の外郭(外周面)であるバンパ15のバンパ本体61の外周面に対して外方へと突出する位置から、バンパ15のバンパ本体61の外周面に対して略面一となる位置の間、すなわちバンパ15と連動することなく往復移動可能な第1移動範囲と、このバンパ15のバンパ本体61の外周面に対して略面一となった状態のままバンパ15と一体的に連動して往復移動可能な第2移動範囲とが設定されている。すなわち、このブラシ本体101の内部には、バンパ15の当接部69,69と両端が当接可能な円弧状の清掃部当接部であるブラシ当接部106が形成されており、第1移動範囲においては、ブラシ当接部106が当接部69,69に対して離間されており、第1移動範囲と第2移動範囲との境界位置までブラシ本体101(サイドブラシ26)が移動した状態では、ブラシ当接部106が当接部69,69に当接して、バンパ15と一体的に往復移動するようになっている。本実施形態では、第1移動範囲が第2移動範囲よりも広く設定されており、第1移動範囲が例えば10mmストローク、第2移動範囲が5mmストロークとなっている。
【0047】
ブラシ付勢ばね102は、例えばコイルばねであり、一端側が旋回モータ104に保持され、他端側がケース本体14に設けられた清掃部付勢手段受け部としてのばね受け部108に保持されて、本体ケース12の径方向に沿って直線状にブラシ本体101を付勢している。
【0048】
旋回モータ104は、ブラシ本体101の基端側に一体的に取り付けられており、清掃体103を被掃除面に対して平行に回転、すなわち旋回させるように構成されている。本実施形態では、旋回モータ104,104は、本体ケース12の両側方の塵埃を本体ケース12の幅方向の中央側に掻き集めるように清掃体103,103を互いに反対方向に旋回させる。すなわち、左側に位置するサイドブラシ26の旋回モータ104は、清掃体103を時計回り(右回り)に旋回させ、右側に位置するサイドブラシ26の旋回モータ104は、清掃体103を反時計回り(左回り)に旋回させるようになっている。
【0049】
そして、制御手段27は、例えばタイマなどの計時手段、メモリなどの記憶手段およびマイコンなどの制御部を備えており、電動送風機21、測距センサ25、通信部28、ブラシモータ44、障害物センサ74,74、モータ98,98、および、旋回モータ104,104などと電気的に接続され、測距センサ25および障害物センサ74,74による検出結果に基づいて、モータ98,98を介して駆動輪23,23の駆動を制御して本体ケース12(電気掃除機11)を、障害物Wを回避するように自律走行させつつ、電動送風機21、ブラシモータ44、および、旋回モータ104,104などの駆動を制御して電気掃除機11に掃除をさせることが可能となっている。
【0050】
通信部28は、バンパ15の延設部62にて幅方向の中央部に配置されており、バンパ15と一体的に往復移動するようになっている。したがって、ケース本体14の上面31の前端部の幅方向の中央部には、通信部28との干渉を避けるための円弧状の切欠凹部109が切り欠き形成されている。
【0051】
二次電池29(
図8)は、制御手段27、電動送風機21、測距センサ25、通信部28、ブラシモータ44、モータ98,98および旋回モータ104,104などに給電するものである。この二次電池29は、例えば旋回輪の後方にて駆動輪23,23の間の位置に配置されている。そして、この二次電池29は、本体ケース12の下面32に位置する充電端子と電気的に接続されており、例えば室内(部屋)の所定位置などに設置された所定の図示しない充電台に対して充電端子が接続されることによって充電可能となっている。
【0052】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0053】
電気掃除機11を被掃除面上に載置すると、駆動輪23,23が被掃除面に接触して、電気掃除機11の自重により駆動輪23,23が懸架手段の付勢に抗して各ギヤボックスとともに本体ケース12内へと、従動輪24(旋回輪99)が被掃除面に接触する位置まで沈み込み、吸込口42と被掃除面との間に所定の間隙が形成される。そして、この電気掃除機11は、例えば制御手段27に予め設定された所定時刻などとなると、電動送風機21を駆動させ、例えば充電台から掃除を開始する。なお、掃除の開始位置は、電気掃除機11の走行開始位置、あるいは部屋の出入り口など、任意の場所に設定可能である。
【0054】
この電気掃除機11は、制御手段27が電動送風機21を駆動させるとともに、モータ98,98は、測距センサ25や各障害物センサ74を介して障害物Wなどとの距離や障害物Wとの接触を検出することで電気掃除機11の位置や走行状態を監視し、これらセンサ25,74の検出に対応して、障害物Wを回避しながら被掃除面上を走行し、必要に応じてサイドブラシ26,26および回転ブラシ43を動作させて被掃除面を掃除する。
【0055】
例えば、バンパ15が
図2に示す通常位置にある状態では、障害物センサ74,74では、それぞれ発光部78aと受光部78bとの間に切欠部85が位置して発光部78aからの発光を受光部78bによって受光可能である。
【0056】
一方、
図3に示すように、バンパ15の前部に障害物Wが接触した場合、コイルばね55の付勢に抗してバンパ15がケース本体14に対して後方、すなわちコイルばね55の付勢方向に対して反対方向へと相対的に移動する。このとき、ケース本体14の軸支部51がリンク機構16の連結体95の長孔96を相対的に摺動するとともに、サイドレバー65のレバー本体91がコイルばね92の付勢に抗して外方へと回動する。そして、各突起部70がバンパ15の後方への移動と一体に後方へと移動することにより、これら突起部70の当接面73が各障害物センサ74の接触子77の作用面87をそれぞれ後方へと押し、各接触子77が各接触子ばね79の付勢に抗してそれぞれ後方へと回動する。すなわち、バンパ15の後方への移動が各接触子77の後方への回動動作に変換される。そして、各障害物センサ74では、各接触子77が後方へと回動すると、各センサ部78の発光部78aと受光部78bとの間にセンシング面84が移動し、このセンシング面84が発光部78aからの発光の受光部78bでの受光を遮断する。したがって、受光部78bによって光を受光しなくなったことをこの受光部78bからの出力により検出することで、接触子77の回動、すなわちバンパ15の後方への移動を各センサ部78で検出し、バンパ15に対する障害物Wの接触、換言すれば障害物Wの存在を間接的に検出する。
【0057】
同様に、例えば
図4に示すように、バンパ15の一側部(右側部)に障害物Wが接触した場合、コイルばね92の付勢に抗してバンパ15がケース本体14に対して他側方(左側方)、すなわちコイルばね55の付勢方向に対して交差(直交)する方向へと移動する。このとき、リンク機構16の連結体95は、ケース本体14の軸支部51が長孔96に挿通されている後部に対してバンパ側軸支部63によって軸支されている前部が他側方(左側方)へとずれるため、互いに平行な状態を保ったまま傾斜状に回動するとともに、障害物W側である一側部(右側部)に位置するサイドレバー65のレバー本体91がコイルばね92の付勢に抗して外方へと回動する。そして、突起部70がバンパ15の他側方への移動と一体に他側方へと移動すると、この突起部70の当接面73および接触子77の作用面87が前後方向および左右方向に対してそれぞれ傾斜した形状であることにより、障害物W側である一側(右側)に位置する障害物センサ74では、この当接面73が側方へと接触子77の作用面87を押すと、この押圧が作用面87の傾斜によって後方への押圧力へと変換されて接触子77が後方へと押されることとなり、接触子77が接触子ばね79の付勢に抗して後方へと回動し、障害物W側と反対側である他側(左側)に位置する障害物センサ74では、当接面73が接触子77の作用面87を押さず、接触子77が回動しない。すなわち、障害物W側に位置する(右側の)障害物センサ74でのみ、バンパ15の側方への移動が接触子77の後方への回動動作に変換される。この結果、障害物W側に位置する(右側の)障害物センサ74のセンサ部78では、発光部78aと受光部78bとの間に移動したセンシング面84によって発光部78aからの発光の受光部78bでの受光を遮断するので、上記と同様に受光部78bによって光を受光しなくなったことをこの受光部78bからの出力により検出することで、接触子77の回動、すなわちバンパ15の側方への移動を検出し、バンパ15に対する障害物Wの接触を間接的に検出する。
【0058】
さらに、バンパ15の前部側方に障害物Wが接触した場合には、上記の
図3および
図4に示す動作を合成した動作となり、すなわちバンパ15がケース本体14に対して後方へと傾斜状に移動することとなり、障害物W側に位置する障害物センサ74の接触子77の作用面87がバンパ15の突起部70の当接面73によって押されるとともに、障害物Wと反対側に位置する障害物センサ74の接触子77の作用面87が突起部70の当接面73から離間してバンパ15の内面によって押されて、同様にこれら接触子77の回動、すなわちバンパ15の移動を検出し、バンパ15に対する障害物Wの接触を間接的に検出する。
【0059】
すなわち、上記
図3および
図4と
図5(a)および
図5(b)とに示すように、障害物センサ74は、バンパ15に接触する障害物Wの方向が前部から側部へと移動するほど、障害物W側に位置する障害物センサ74による検出がその反対側の障害物センサ74による検出よりも早くなり、バンパ15の側部に障害物Wが接触したときには、障害物W側に位置する障害物センサ74のみによって検出し、反対側の障害物センサ74では検出しない。したがって、障害物センサ74,74は、障害物Wの方向を、それぞれの検出の有無および検出タイミング(検出の時間差)に基づいて検出できることとなる。
【0060】
なお、障害物Wと接触したバンパ15は、コイルばね55の付勢によって障害物Wと接触する状態を保ち、障害物Wと接触しない位置へと電気掃除機11(本体ケース12)が移動したときに、元の通常位置に復帰する。
【0061】
また、バンパ15(本体ケース12)の外郭、すなわちバンパ15のバンパ本体61の外面よりも外方に突出する各サイドブラシ26に障害物Wが接触した場合、
図1に示すように、各サイドブラシ26はブラシ付勢ばね102の付勢に抗してガイド部53に沿って本体ケース12の中心側(退避方向)へとブラシ嵌合部68内に移動する。このとき、各サイドブラシ26は、第1移動範囲内、すなわちバンパ15(本体ケース12)の外郭よりも外方から、この外郭の包絡面と各サイドブラシ26の先端側とが略面一となる位置までの間では、バンパ15に対して独立して(連動することなく)往復移動する(
図1(a))。なお、各サイドブラシ26は、先端側が円弧に沿って形成されていることにより、例えば電気掃除機11(本体ケース12)の旋回時などに障害物Wに対して旋回の接線方向(本体ケース12の接線方向)に沿って接触した場合でも、接触により加わる外力が退避方向に変換されて、本体ケース12側へと退避方向に移動可能となっている。また、各サイドブラシ26は、第2移動範囲内、すなわちその先端側がバンパ15(本体ケース12)の外郭の包絡面と略面一となった位置からその内方の位置の間では、ブラシ当接部106がバンパ15の当接部69,69と当接することにより、バンパ15と連動して一体的に往復移動する(
図1(b))。したがって、退避方向に所定量以上移動した位置である第2移動範囲内においては、各サイドブラシ26はバンパ15の一部として作用することとなり、この第2移動範囲内で各サイドブラシ26が障害物Wと接触すると、上記の
図3ないし
図5に示すバンパ15の作用と同様に各障害物センサ74によって接触子77の回動を検出し、障害物Wを間接的に検出する。
【0062】
なお、障害物Wと接触した各サイドブラシ26は、ブラシ付勢ばね102の付勢によって障害物Wと接触する状態を保ち、障害物Wと接触しない位置へと電気掃除機11(本体ケース12)が移動したときに、先端側がバンパ15(本体ケース12)の外郭よりも外方に突出する元の通常位置に復帰する。
【0063】
この結果、本実施形態の電気掃除機11は、各障害物センサ74によって、本体ケース12の外郭のうち、略前側半分に接触する障害物Wを検出できる。
【0064】
なお、ケース体12の外郭よりも外方に突出するサイドブラシ26の清掃体103は、障害物Wとの接触により弾性的に屈曲するため、サイドブラシ26やバンパ15の障害物Wへの接触を妨げない。
【0065】
障害物Wを検出すると、電気掃除機11は、この障害物Wを回避する動作をする。例えば障害物Wに対して離間する方向すなわち後方へと、サイドブラシ26やバンパ15がぶつからない(障害物センサ74により障害物Wを検出しない)程度に走行したり、その位置で旋回して前進方向の向きを障害物Wに向かわない方向へと変えたりする。
【0066】
そして、この電気掃除機11は、電動送風機21の駆動によって発生した負圧が作用した吸込口42により、対向する被掃除面上の塵埃あるいはサイドブラシ26,26により掻き集められた塵埃を空気とともに吸い込む。また、回転ブラシ43は、被掃除面の塵埃を吸込口42から掻き上げる。
【0067】
吸込口42から吸い込まれた塵埃あるいは吸込口42に掻き上げられた塵埃は、集塵部22に導入されて捕集されるとともに、塵埃が分離された空気は電動送風機21に吸い込まれ、この電動送風機21を冷却した後、排気風となって排気口41から本体ケース12の外部へと排気される。
【0068】
掃除領域の掃除が終了したと判断した場合には、制御手段27は、電気掃除機11を充電台の位置まで自律走行させ、電動送風機21などを停止させるとともに、充電台に充電端子を(物理的および電気的に)接続させてモータ98,98を停止させ、運転を終了して二次電池29を充電する。
【0069】
以上説明した一実施形態によれば、本体ケース12の外郭に対して突出する方向とその反対方向である退避方向とに往復移動可能に設けたサイドブラシ26の障害物Wとの接触による退避方向への移動を検出することで障害物を検出する障害物センサ74を備えることにより、本体ケース12の外郭より突出したサイドブラシ26によって本体ケース12の外郭よりも外方の塵埃を確実に掃除しつつ、サイドブラシ26の位置での障害物Wの検出が可能となる。したがって、サイドブラシ26の位置でも障害物Wに対して引っ掛かることなく、障害物Wを回避して自律走行できる。
【0070】
しかも、各サイドブラシ26は障害物Wとの接触により本体ケース12の外郭側に退避するように移動するので、サイドブラシ26が障害物Wに引っ掛かりにくく、自律走行を妨げにくい。
【0071】
また、障害物センサ74は、サイドブラシ26が退避方向に所定量移動した位置(第2移動範囲)から障害物Wとの接触による退避方向への移動を検出することで障害物Wを検出可能であるため、サイドブラシ26が退避方向に所定量移動した位置となるまでの間(第1移動範囲)は、本体ケース12(電気掃除機11)が障害物Wを回避するように自律走行せず、サイドブラシ26が障害物Wに接触しながらこの障害物W近傍の被掃除面の塵埃を掃除する。したがって、本体ケース12の外郭よりも外方に位置する障害物W近傍の塵埃を、より効果的に掃除できる。
【0072】
さらに、障害物センサ74は、往復移動可能に設けたバンパ15の障害物Wの接触と、このバンパ15と連動して退避方向に移動する第2移動範囲でのサイドブラシ26の移動とのいずれかによるバンパ15の退避方向への移動を検出することで障害物Wを検出するので、バンパ15の広さを生かしてより広い範囲での障害物Wの検出が可能となるとともに、バンパ15の移動を検出する障害物センサ74によってサイドブラシ26の退避方向への移動も検出でき、構成の共通化を図れてより簡略な構成とすることができる。
【0073】
なお、上記一実施形態において、サイドブラシ26は、本体ケース12の左右いずれか一方にのみ設けてもよい。
【0074】
また、障害物センサ74は、バンパ15の移動を介して障害物Wを検出するものとしたが、サイドブラシ26の退避方向への移動を検出する専用の障害物検出手段を設けてもよい。
【0075】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。