(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記振動低減制御手段は、前記異常振動判定手段により異常振動発生が判定されたときには、当該異常振動判定手段が異常振動発生無しの判定をするまで振動低減制御を繰り返し実行する請求項1から4のいずれか一項記載の洗濯機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1実施形態による洗濯機について
図1から
図8を参照して説明する。この第1実施形態の洗濯機1は、縦軸形であり、例えば乾燥機能を備えた洗濯機である。この乾燥機能は無くても良い。
図1において、外箱2は矩形箱状をなしていて、この外箱2と、当該外箱2の上部に装着されたトップカバー3とにより、洗濯乾燥機の外殻が形成されている。外箱2の下面には脚部4が設けられている。外箱2の内部には、水槽5と、この水槽5内に配設された回転槽6とが設けられている。
これら水槽5と回転槽6は、共に有底円筒状をなしていて、それぞれの軸中心線が上下方向に指向する縦軸状に配置されている。水槽5は、吊り棒7aを主体とする弾性吊持機構7を介して外箱2に弾性的に吊持されている。水槽5は、貯水が可能な構成となっている。
【0011】
回転槽6は、周壁部に多数の孔部8を有している。回転槽6の底部には、水槽5に通じる通水部9が形成されている。
回転槽6の上端開口部の周縁部には、回転バランサ10が設けられている。回転槽6内には、図示しない洗濯物が収容される。回転槽6は、洗い時には洗濯槽として、脱水時には脱水槽として、そして乾燥時には乾燥槽として機能する。回転槽6は縦軸状の回転中心軸を回転中心として回転可能である。
【0012】
回転槽6内底部には撹拌体11が回転可能に配設されている。前記水槽5の底部には、排水口5aが形成されており、この排水口5aには、排水弁12及び排水管12aが接続されている。さらに水槽5には、排水口5aに連通して水位検知用のエアトラップ5bが形成されている。
【0013】
水槽5の外底部にはモータ13が配設されている。このモータ13はアウターロータ形であり、モータ13の内部にクラッチ14が配設されている。クラッチ14は、撹拌体11に連結された撹拌軸11aと回転槽6に連結された回転軸6aとを一体的に回転させる場合(回転槽・撹拌体連結モード)と、回転軸6aは固定して撹拌軸11aのみを回転させる場合(撹拌体モード)とを切り替える構成となっている。
【0014】
前記排水弁12とクラッチ14とは、連結具16により連動するように連結されている。排水弁12とクラッチ14とは、
図4に示すクラッチモータ15により動作する。つまり、クラッチモータ15を所定動作させることにより連結具16を介して排水弁12が開放され且つクラッチ14が回転槽・撹拌体連結モードとされる。又、この状態から、クラッチモータ15を所定動作させることにより連結具16を介して排水弁12が閉鎖され且つクラッチ14が撹拌体モードとされる。
【0015】
水槽5の上面には、環状をなす槽カバー18が設けられていて、この槽カバー18に、二つ折りの内蓋19が開閉可能に設けられている。
上記トップカバー3には、内蓋19の上方に位置させて、回転槽6に対して洗濯物を出し入れするための洗濯物出入口20(
図2参照)が形成されているとともに、この洗濯物出入口20を開閉する二つ折りの蓋21が設けられている。
【0016】
トップカバー3の後部には、乾燥用の温風供給装置22(乾燥手段)が配設されている。この温風供給装置22は、機外の空気を吸い込んで吐出部22aから回転槽6内に吐出するファン23(
図4参照)と、回転槽6内に吐出する空気を加熱するヒータ24(
図4参照)などを備えて構成されている。前記ファン23及びヒータ24により生成された温風は、前記吐出部22aから主に回転槽6内に供給された後、孔部8を通して、回転槽6と水槽5との間にも供給される。そして、水槽5内の温風は、詳しい温風経路は図示しないが、水槽5の側壁に形成された排出ダクト(図示せず)から外部に出て、一部は回転槽6内に戻され、残りは機外に排出されるようになっている。
【0017】
さらに、トップカバー3の後部には、給水弁50が設けられており、回転槽6内(水槽5内)に給水するようになっている。
トップカバー3の前部の上面には、
図3に示す操作パネル25が設けられている。この操作パネル25には、夫々使用者により操作される操作入力部としての、電源の入りスイッチ26、切りスイッチ27、スタートと一時停止を兼ねるスタートスイッチ28、全自動コースのうち洗濯コースを選択するための洗濯コース選択スイッチ29、洗濯・乾燥コースを選択するための洗乾コース選択スイッチ30、乾燥コースを選択するための乾燥コース選択スイッチ31、洗い運転の実行時間などを設定するための洗い運転設定スイッチ32、すすぎ回数などを選択するためのすすぎ運転設定スイッチ33、脱水時間などを設定するための脱水運転設定スイッチ34、乾燥時間などを設定するための乾燥運転設定スイッチ35、水位を設定するための水位設定スイッチ36、風呂水を使用するか否かを設定するための風呂水スイッチ37、予約運転を設定するための予約スイッチ38、蓋21をロックするためのドアロックスイッチ39、スタートスイッチ28の周囲に配置された環状の操作ダイヤル40が設けられている。
【0018】
又、この操作パネル25には、各種選択、設定内容、運転状況などを表示する表示部41が設けられている。前記スタートスイッチ28は、運転停止状態でオン操作されると、運転スタートスイッチとして機能し、運転状態でオン操作されると一時停止スイッチとして機能する。
【0019】
さらに、
図1において、水槽5の外面には、水槽5の振動を検出する振動検出手段としての加速度センサ42が設けられている。この加速度センサ42は振動の大きさ(加速度の大きさ)に応じた信号を出力する。この場合この振動の大きさは、例えば振動レベル0〜512まで区分されている。
【0020】
又、前記排水口5aと排水弁12との間の排水路には、循環ポンプ43の吸込み口が接続されている。この循環ポンプ43の吐出口には循環パイプ44が接続されている。この循環パイプ44は、水槽5の側方を通って上方へ導かれ、槽カバー18を貫通して回転槽6上方に臨んでいる。この循環ポンプ43と循環パイプ44とで循環機構45を構成している。
【0021】
電気的構成を示す
図4において、制御装置46は、マイクロコンピュータを主体に構成されたもので、ソフトウエア構成により、洗濯機の作動全般を制御する制御手段46aとして機能する。この制御手段46aには、洗濯運転制御手段46a1、異常振動判定手段46a2、振動低減制御手段46a3、洗濯物重量検出手段46a4が含まれる。
【0022】
前記異常振動判定手段46a2は、加速度センサ42による振動検出結果に対する判定基準として複数の判定基準である第1判定基準と第2判定基準とを有する。
図5に示すように、前記各判定基準は、前記振動検出結果に対して設定された判定用閾値(第1判定基準にあっては第1判定用閾値A、第2判定基準にあっては第2判定用閾値B)と、前記振動検出結果が当該判定用閾値以上となった回数に対して設定された判定基準回数(第1判定基準にあっては第1判定基準回数M、第2判定基準にあっては第2判定基準回数N)との組み合わせである。
【0023】
この場合、各判定基準は、相互に前記判定用閾値A、Bが異なり、前記判定基準回数(第1判定基準にあっては第1判定基準回数M、第2判定基準にあっては第2判定基準回数N)も相互に異なる。例えば第1判定基準における判定用閾値である第1判定用閾値Aは、洗濯物重量が3kg以上〜4kg未満であるとき振動レベル「300」に設定され、第1判定基準における判定基準回数としての第1判定基準回数Mは「1」に設定されている。又、第2判定基準における判定用閾値としての第2判定用閾値Bは同じく洗濯物重量が3kg以上〜4kg未満であるとき振動レベル「150」に設定され、第2判定基準における判定基準回数としての第2判定基準回数Nは「4」に設定されている。つまり、判定用閾値A、Bが小さいほど判定基準回数M、Nが多くなるといった関係性にある。
上記第1判定基準及び第2判定基準は洗濯物重量によって
図5に示したように異なる。判定基準は3つ以上であっても良い。
なお、振動低減制御手段46a3、洗濯物重量検出手段46a4については後述する。
【0024】
又、制御装置46には、入力側の機器として、前記各スイッチ26〜39、前記操作ダイヤル40、前記加速度センサ42、水槽5内の水位を検知する水位検出手段としての水位センサ47、蓋21の開閉(開放と閉鎖)を検知する蓋開閉センサ48、モータ13の回転速度を検知する回転センサ49、モータ13に流れる電流を検知する電流センサ55が接続されている。
【0025】
制御装置46は、上記入力側の機器からの各入力信号、並びに予め記憶された制御プログラムに基づいて、出力側の機器である、前記表示部41、前記モータ13、前記給水弁50、前記排水弁12及びクラッチ14を作動させるクラッチモータ15、前記ファン23、前記ヒータ24、前記循環ポンプ43、風呂水ポンプ52、ブザー53を、それぞれ駆動回路54を介して制御するようになっている。なお、この駆動回路54は夫々対応する機器の駆動回路を総称している。
【0026】
前記制御装置46の洗濯運転制御手段46a1が実行する洗い行程及びすすぎ行程について説明する。洗い行程では、ステップS10で洗濯物の重量を検出する(洗濯物重量検出手段46a)。
【0027】
この洗濯物重量検出は、回転槽6内に洗濯物を収容した状態でモータ13に一定の電力を与えて撹拌体11を回転させて得られた回転数と、回転槽6内に洗濯物が収容されていない状態でモータ13に一定の電力を与えて撹拌体11を回転させて得られている回転数との比較から、洗濯物重量(重量)を検出するものである。この検出データは水位設定や異常振動判定などに用いる。この重量検出では、重量を1kg未満、1kg以上〜3kg未満、3kg以上〜4kg未満、4kg以上〜6kg未満、6kg以上のいずれかであるかを検出する。
【0028】
なお、この洗濯物重量検出は、モータ13に流れる電流に基づいて洗濯物の重量を検出するようにしても良い。
ステップS20〜ステップS40では、給水を実行する。この給水は、排水弁12を閉塞した状態で、給水弁50を開放して回転槽6内(水槽5内)に給水し(ステップS20)、設定された水位となると(ステップS30で判断)、給水を停止する(ステップS40)。この後、ステップS50で、洗い行程開始からの経過時間が予め設定された洗い時間を経過したか否かを判断し、経過していなければ、加速度センサ42による振動検出結果(振動検出値)が第1判断基準及び第2判断基準のいずれかに合致するか否かを実行する。
【0029】
すなわち、ステップS60に移行し、加速度センサ42による振動検出結果(振動検出値)が第1判定基準の第1判定用閾値A(
図5参照)以上となったか否かを判断し、「NO」であれば、ステップS70で振動検出結果が第2判定基準の第2判定用閾値B以上となったか否かを検出する。前記判定用閾値A、B、判定基準回数Nは
図5に示したように重量検出結果に応じて選択される。なお、第1判定基準回数Mも「1」以外に変更しても良い。
【0030】
このステップS70でも「NO」であれば、ステップS80に移行して通常制御の洗い運転を実行する(洗濯運転制御手段46a1)。この洗い運転では、撹拌体11を
図6(a)で示すモードで正逆回転させる(通常制御)。すなわち、撹拌体11を駆動するモータ13を、正転方向へ時間Taで回転数Raまで立ち上げ、この回転数Ra状態を時間Ka継続して断電する。その後休止時間Daを置いて、モータ13を逆転方向へ上述と同じパターンで回転させ、その後正転、逆転を繰り返す。さらに、この洗い運転時には循環ポンプ43を駆動させて回転槽6内の水を、水槽5外に出し循環パイプ44を通して、回転槽6の上部から回転槽6内の洗濯物にかける。これにより洗濯物に対する洗浄効果が上がる。なお、この循環パイプ43による水の循環により、回転槽6内の水位は若干下がる。
【0031】
ステップS60で「YES」であって、ステップS90で「YES」であれば、つまり、振動検出結果が第1判定基準の第1判定用閾値A以上であって、当該以上となった回数が当該第1判定基準の第1判定基準回数Mである1回であれば、ステップS100に移行して、異常振動が発生したと判定する(異常振動判定手段46a2)。そしてステップS110に移行して振動低減制御(モータ13の制御変更)を実行する(振動低減制御手段46a3)。この振動低減制御は、
図6(b)に示すように、モータ13の正逆回転における回転数を通常の洗い運転時における回転数RaからRbまで下げる制御である。これにより、撹拌体11の上限回転数が下げられ、振動が低減する。
【0032】
前記ステップS70で「YES」であってステップS120でも「YES」である場合、つまり、振動検出結果が第2判定基準の第2判定用閾値B以上であって、当該以上となった回数が第2判定基準回数N(
図5参照)であれば、前記ステップS100に移行して異常振動発生有りと判定し、ステップS110で振動低減制御を実行する。
【0033】
前記ステップS80及びステップS110の後は前記ステップS50に戻る。
この後、ステップS100で再度異常振動発生有りが判定されたときには、振動低減制御が再度実行される(繰り返し実行される)。すなわち、異常振動判定手段46a2により異常振動発生が判定されたときには、当該異常振動判定手段46a2が異常振動発生無しの判定をするまで、振動低減制御手段46a3が、振動低減制御を繰り返し実行する。
【0034】
ステップS70で「NO」又はステップS120で「NO」の場合、つまり異常振動発生無しが判断されると、ステップS80で通常制御の洗い運転に戻る。
ステップS50で「YES」であれば、ステップS130に移行して洗い行程(洗い運転)を終了し、次のすすぎ行程へ移行する。このすすぎ行程の制御内容を
図8に示している。この
図8において、ステップS140では、排水を実行する。この排水は、排水弁12を開放して回転槽6内の水を排出し、所定水位であるリセット水位となったところで(ステップS150で判断)、ステップS160に移行して脱水運転を開始する。この脱水運転は、時間の進行と共に回転槽6の回転を所定パターンに応じて立ち上げる。この脱水運転が、設定された脱水時間を経過すると(ステップS170で判断)、ステップS180に移行して脱水運転を停止する。このとき排水弁12も閉鎖する。
【0035】
次のステップS190〜ステップS210では、回転槽6内に予め設定された水位まで水を給水する。そして、ステップS220で、予め設定されたすすぎ時間が経過したか否かを判断し、「NO」であれば、ステップS230に移行する。このステップS230では洗い運転において異常振動発生有りの判定結果があったか否かを判断し、「YES」、つまり洗い運転で既に異常振動発生有りと判定されたときには、ステップS240に移行して、最初から振動低減制御を実行する。上記ステップS230で「NO」の場合は、
図7のステップS60〜ステップS120と同じ制御であるステップS250〜ステップS310を実行する。但しステップS270では洗い運転に代えてすすぎ運転を実行するが運転パターン(モータ制御パターン)は同じである。つまり、洗い運転の場合と同様に異常振動発生の有無を判定して異常振動発生無しであれば、通常制御のすすぎ運転(洗い運転と同様のモータ13制御)を実行し、異常振動発生有りであれば振動低減制御を実行する。上記すすぎ運転時にも循環ポンプ43による水の循環を行う。
【0036】
ステップS220で「YES」であれば、ステップS320に移行してすすぎ行程(すすぎ運転)を終了し、次の行程へ移行する。
上記実施形態においては、制御装置46のソフトウエア構成による異常振動判定手段46a2が、振動検出手段としての加速度センサ42による振動検出結果に対する判定基準として第1判定基準及び第2判定基準を有し、洗い運転時又はすすぎ運転時に、前記振動検出結果がいずれかの判定基準と合致したときに異常振動発生と判定する。
【0037】
一つの判定基準のみ(例えば一つの閾値のみ)で異常振動と判定する場合では、当該判定基準を大きな異常振動のパターンを判定すべく大きめに設定しておくと、比較的小さい異常振動が多く発生するパターンは異常振動発生と判定できない。又、前記閾値を単に小さく設定しておくと、頻繁に異常振動発生有りを判定してしまう。又、収束する可能性のある比較的小さな振動も異常振動発生と判定してしまう。
【0038】
この点、上述の実施形態によれば、判定基準として複数の判定基準を設定し、振動検出結果がいずれかの判定基準と合致したときに異常振動発生と判定するから、複数の異常振動のパターンのいずれかが発生すればこれを異常振動発生有りと判定することができ、異常振動判定精度を高めることが可能である。
【0039】
又、本実施形態においては、第1判定基準及び第2判定基準を、振動検出結果に対して設定された判定用閾値(第1判定基準にあっては第1判定用閾値A、第2判定基準にあっては第2判定用閾値B)と、前記振動検出結果が当該判定用閾値以上となった回数に対して設定された判定基準回数(第1判定基準にあっては第1判定基準回数M、第2判定基準にあっては第2判定基準回数N)との組み合わせとした。且つ、各判定基準の判定用閾値を相互に異なる値とし、さらに判定用閾値A、Bが小さいほど前記判定基準回数M、Nが多くなるといった関係性とした。そして、異常振動判定手段46a2は、振動検出結果が少なくとも一つの判定基準における判定用閾値以上となり且つ以上となった回数が当該判定基準における判定基準回数となったときに異常振動発生と判定するようにした。
【0040】
これによれば、発生頻度の少ない大きな異常振動といったパターンでも、発生頻度が比較的多い小さな異常振動といったパターンでも、異常振動発生有りと判定することができ、異常振動判定精度を高めることができる。
そして、異常振動判定手段46a2により異常振動発生が判定されたときに振動低減制御手段46a3により振動低減制御を実行するので、異常振動を解消することができる。このため、洗濯機1内の電気配線や、循環パイプ44などにストレスがかかることを少なくできる。
【0041】
特に、この実施形態では、高い閾値である第1判定用閾値Aの第1判定基準回数Mを1とし、つまり最小回数とし、低い閾値である第2判定用閾値Bの第2判定基準回数Nを1より多い回数としたから、大きな異常振動発生時には直ちにこれを判定でき、又、比較小さな異常振動発生時には収束が見込めない第2判定基準回数Nの第2判定用閾値Bの場合に限って異常振動発生有りと判定できる。
【0042】
特に、この実施形態では、洗い運転時及びすすぎ運転時に循環ポンプ43による水の循環を行うことで洗浄効果の向上を図り得る。しかし、その反面、循環ポンプ43の運転により回転槽6内の水位が低下することで、振動の発生が多くなることも予想される。この点、この実施形態では、異常振動判定精度を高め得るから、異常振動が発生したままで洗い運転が継続されることがない。
【0043】
又、本実施形態においては、洗濯物の重量を検出する洗濯物重量検出手段46a4を備え、異常振動判定手段46a2が、判定用閾値A、B、及び判定基準回数Nを、洗濯物重量検出手段46a4により検出した洗濯物重量に応じて変更するようにした。
異常振動の大きさや発生頻度は、洗濯物の重量に相関する。例えば、洗濯物重量が軽い場合、加速度センサ42による振動検出結果が大きくても、内部配線や循環パイプ44等への影響は小さく、洗濯物量が重い場合には、加速度センサ42による振動検出結果が比較的小さくても、内部配線や循環パイプ44等への影響は大きい。
【0044】
この点を考慮した本実施形態によれば、
図5から判るように、大きな異常振動判定用である第1判定用閾値A、又比較的小さな異常振動判定用である第2判定用閾値Bのいずれも、洗濯物重量が軽いほど大きくしている。又、第2判定用閾値B用の第2判定基準回数Nも、洗濯物重量が軽いほど多くしている。これにより、内部配線や循環パイプ44等への影響を少なくできる。
【0045】
又、本実施形態においては、洗い運転時において異常振動判定手段46a2が異常振動発生を判定した場合には、すすぎ運転時には、最初から振動低減制御手段46a3による振動低減制御を実行するようにした。
【0046】
洗い運転時において異常振動判定手段46a2が異常振動発生を判定したとすると、洗い運転とほぼ同じ運転内容であるすすぎ運転時でも異常振動発生を判定する確率が高い。これを考慮した上記実施形態によれば、洗い運転時において異常振動判定手段46a2が異常振動発生を判定した場合には、すすぎ運転時には、最初から振動低減制御手段46a3による振動低減制御を実行することで、すすぎ運転での異常振動を未然に防ぐことができる。
【0047】
又、本実施形態においては、異常振動判定手段46a2により異常振動発生が判定されたときには、当該異常振動判定手段46a2が異常振動発生無しの判定をするまで振動低減制御を繰り返し実行するから、異常振動を順次小さくできる。
【0048】
又、本実施形態では、循環機構45を備えたことで、この循環機構45の運転時には、洗浄効果が上がるものの、回転槽6内の水位が減少して振動が発生しやすくなる。そこで、本実施形態では、前述したように異常振動発生の有無を判定し、その判定結果に応じて振動低減制御を行うので、このような振動が発生しやすい状況でも振動低減を図ることができる。
【0049】
なお、循環機構45を運転する場合としない場合とを、運転コースに応じてあるいはユーザが任意に切り替えるようにしても良く、さらに、循環機構45を運転する場合としない場合とで、前記判定用閾値A、Bと、各閾値A、Bごとに設定された判定基準回数M、Nとを変更するようにしても良い。例えば、すなわち、循環機構45を運転する場合の判定用閾値A、B、及び各閾値ごとの判定基準回数M、Nを、循環機構45を運転しない場合の判定用閾値A、B、及び各閾値の判定基準回数M、Nより低く(小さく)設定すると良い。
【0050】
図9は第2実施形態を示している。この第2実施形態では、振動低減制御手段46a3による制御内容が第1実施形態と異なる。この第2実施形態における振動低減制御は、モータ13の回転立ち上がり時間を時間Tbとしている。この時間Tbは、
図6(a)に示す通常制御でのモータ13の回転数Raまでの回転立ち上がり時間Taより長く設定されている。これにより、モータ13従って撹拌体11の立ち上がりを緩やかにできて振動が低減する。
【0051】
図10は第3実施形態を示している。この第3実施形態における振動低減制御は、モータ13の休止時間を時間Dbとしている。この時間Dbは、
図6(a)に示す通常制御でのモータ13の休止時間Daより長く設定されている。これにより、モータ13従って撹拌体11の非駆動時間が長くなって振動が低減する。
【0052】
図11及び
図12は第4実施形態を示している。この第4実施形態では、第1実施形態の
図7のフローチャートに対して、ステップS90の「YES」に続くステップを、ステップS140、ステップS150に変更し、ステップS120の「YES」に続くステップを、ステップS160、ステップS170を追加した点が第1実施形態と異なる。すなわち、加速度センサ42の検出結果が大である第1判定用閾値A(振動程度:大)であって回数1回という検出内容で異常振動発生有りと判定した場合(ステップS140)と、加速度センサ42の検出結果が第1判定用閾値Aより小さい第2判定用閾値B(振動程度:中)であって第2判定基準回数Nという検出内容で異常振動発生有りと判定した場合(ステップS160)とで、振動低減制御(ステップS150、ステップS170)の制御内容が異なる。
【0053】
ステップS140で異常振動発生有り(振動検出結果:大)と判定した場合、
図12(a)に示すようにモータ13の上限回転数をRb(振動低減制御(大))に設定し、ステップS160で異常振動発生有り(振動検出結果:中)と判定した場合、
図12(b)に示すようにモータ13の上限回転数を前記Rbより若干高い(通常制御の上限回転数Raより低い)回転数Rc(振動低減制御(中))に設定する。
【0054】
この第4実施形態によれば、異常振動の大きさに応じて、振動低減制御におけるモータ13の上限回転数を変更することで、振動低減制御を過不足なく行うことができる。
図13は第5実施形態を示しており、次の点が第4実施形態と異なる。振動検出結果:大での異常振動発生有りと判定した場合、
図13(a)に示すように、モータ13の立ち上がり時間を時間Tbに設定し、振動検出結果:中での異常振動発生有りと判定した場合、
図13(b)に示すようにモータ13の立ち上がり時間を時間Tc(Ta<Tc<Tb)に設定する。
この第5実施形態によれば、異常振動の大きさに応じて、振動低減制御におけるモータ13の回転立ち上がり時間を変更することで、振動低減制御を過不足なく行うことができる。
【0055】
図14は第6実施形態を示しており、次の点が第4実施形態と異なる。振動検出結果:大での異常振動発生有りと判定した場合、
図14(a)に示すように、モータ13の休止時間を時間Dbに設定し、振動検出結果:中での異常振動発生有りと判定した場合、
図14(b)に示すようにモータ13の休止時間を時間Dc(Da<Dc<Db)に設定する。
【0056】
この第6実施形態によれば、異常振動の大きさに応じて、振動低減制御におけるモータ13の休止時間を変更することで、振動低減制御を過不足なく行うことができる。
図15及び
図16は第7実施形態を示している。この第7実施形態では、洗濯機1がこれの設置環境の温度を検出する温度センサ60を備えている。この温度センサ60は例えば外箱の内面に取り付けられている。さらに、異常振動判定手段46a2は、第1判定用閾値A、第2判定用閾値Bと、第2判定基準回数Nを、温度センサ60により検出した温度に応じて
図16に示すように変更するようにしている。この場合、検出温度が10℃未満の場合、10℃以上20℃未満の場合、20℃以上30℃未満の場合、30℃以上の場合で、重量検出結果に応じた各閾値A、Bと判定基準回数Nとを変更する。
【0057】
例えば、洗濯機の設置環境温度が高くなるにつれ、加速度センサ42による振動検出結果が実際の水槽5の振動よりも大きくなる傾向がある。この場合、水槽5の振動が実際には小さいため内部配線や循環パイプ44等への影響は小さい。
この点を考慮した上記第7実施形態においては、第1判定用閾値A、第2判定用閾値Bと、第2判定基準回数Nを、温度センサ60により検出した温度に応じて変更するので、実際の水槽5の振動に合った振動低減制御が可能となる。なお、第1判定基準回数Mも変更するようにしても良い。
【0058】
図17は第8実施形態に関し、次の点が第1実施形態と異なる。この第8実施形態では、制御手段46aが実行する運転のコースとして、複数の運転コース、例えば標準的な重量で標準的な布質(綿や化繊混合)の洗濯物を洗濯するのに好適する標準コース、水や電力を節約する節約コース、洗濯物をつけおきしてから洗濯するつけおきコース、毛布を洗濯するのに好適する毛布コース、ドライ洗濯に好適するドライコースを備えている。そして、異常振動判定手段46a2は、第1判定用閾値A、第2判定用閾値B、及び第2判定基準回数Nを、
図17に示すように上記運転コースに応じて変更する。
【0059】
この第8実施形態では、運転コースに応じた振動低減制御が可能となる。なお、第1判定基準回数Mも変更するようにしても良い。
図18は第9実施形態に関し、次の点が上記第8実施形態と異なる。この第9実施形態では、運転コースとして、通常時の運転コース(これは上記標準コース、節約コース、つけおきコース、毛布コース、ドライコース)と、予約設定時の運転コース(これは上記標準コース、節約コース、つけおきコース、毛布コース、ドライコースについて予約設定をしたコース)とを備える。そして、異常振動判定手段46a2は、第1判定用閾値A、第2判定用閾値B、及び第2判定基準回数Nを、
図18に示すように上記運転コースに応じて変更する。すなわち、通常時の運転コースの第1判定用閾値A、第2判定用閾値B、及び第2判定基準回数Nを、予約設定時の運転コースでは低く(小さく)設定している。
【0060】
予約設定時の運転コースが実行される場合、実行時間帯が夜中とか明け方といった静かな時間帯であることが多い。この場合、異常振動が発生すると、騒音をうるさく感じるユーザも多い。これを考慮した上記第9実施形態では、通常時の運転コースの第1判定用閾値A、第2判定用閾値B、及び第2判定基準回数Nに対して、予約設定時の運転コースの場合の第1判定用閾値A、第2判定用閾値B、及び第2判定基準回数Nを低く(小さく)設定しているので、予約設定時の運転コースの実行時に、異常振動が小さいうちに振動低減制御を実行でき、騒音発生を低減できる。なお、第1判定基準回数Mも変更するようにしても良い。
【0061】
図19から
図21は第10実施形態を示しており、次の点が第1実施形態と異なる。
図19に示すように、制御装置46は、記憶手段として、振動低減制御手段46a3が振動低減制御を実行した回数を記憶する不揮発性メモリ61を備えている。又、表示部41及びブザー53は報知手段に相当する。制御手段46aは、洗濯運転の終了時に
図20に示す制御を実行する。まず、ステップT10では、不揮発性メモリ61から、振動低減制御手段46a3が振動低減制御を実行した回数を読み出す。最初の段階では、実行回数は0である。次にステップT20で、今回の洗濯運転において振動低減制御手段46a3が振動低減制御を実行したか否かを判断し、実行していれば、ステップT30に移行して実行回数を一つカウント(カウントアップ)する。次のステップS40では、カウント値を不揮発性メモリ61に記憶する。そして、ステップT50に移行して、カウント値(実行回数)が所定回数以上となったか否かを判断し、所定回数以上であればステップT60に移行して前記表示部41に、
図21に示すように、「点検」の文字を点滅又は点灯表示させる。この場合ブザー53を鳴らすようにしても良い。
【0062】
前記「点検」表示の趣旨は、振動低減制御が頻繁に実行されるということ(異常振動発生有りの判定が頻繁になされることも同じ)は、洗濯機1の設置状況に問題があったり、部品劣化により振動が大きくなったりすることが考えられるため、それらの点検を促す意味である。なお、振動低減制御の実行回数に代えて異常振動発生有り判定回数をカウントし、このカウント回数が所定回数以上となったときに報知を行うようにしても良い。
【0063】
図22は第11実施形態を示している。この第11実施形態では、第1実施形態の
図7におけるフローチャートに対し、ステップS51〜ステップS56を設けた点が、第1実施形態と異なる。すなわち、ステップS50の「NO」に続くステップとしてステップステップS51が設けられている。このステップS51では回転槽6内の水位(水位センサ47により検出される水位)が所定水位未満であるか否かを判断する。この所定水位は比較的低い水位に設定されている。ステップS51で、回転槽6内の水位が所定水位未満であると判断されると、ステップS52に移行して、加速度センサ42による振動検出結果が第1判定基準の第1判定用閾値A(判定用閾値としては第2判定用閾値Bよりは大きい)以上であるか否かを判断する。そして振動検出結果が第1判定基準の第1判定用閾値A以上であって、当該以上となった回数が当該第1判定基準の第1判定基準回数Mである1回であれば(ステップS53で「YES」)、ステップS55に移行して、異常振動が発生したと判定する(異常振動判定手段46a2)。そして、振動低減制御を実行する(ステップS56)。なお、ステップS52又はステップS53で「NO」であれば、ステップS54に移行して通常制御の洗い運転を行う。
【0064】
前記ステップS51で「NO」(水位が所定水位以上である場合)には既述のステップS60〜ステップS110を実行する。つまり、第1実施形態と同様、振動検出結果が、第1判定基準及び第2判定基準のいずれかに合致するか否かを判定し、その判定結果に応じて振動低減制御又は通常制御を実行する。
【0065】
この第11実施形態においては、異常振動判定手段46a2が、回転槽6内の水位が所定水位未満であるときには、複数の判定基準のうち、判定用閾値が大きい判定基準である第1判定基準を用い、前記水位が前記所定水位以上であるときには、複数の判定基準である第1判定基準及び第2判定基準を用いて異常振動発生を判定する。
【0066】
回転槽6内の水位が少ない場合、撹拌体11の撹拌動作により洗濯物が良く動き、このため水槽5も良く動く。つまり異常振動としては大きな異常振動が発生しやすい。そこで、この第11実施形態においては、少ない水位では判定用閾値が大きい判定用閾値Aを有する第1判定基準のみを用いて異常振動を判定することで、小さな異常振動に対する監視を行わずに済む。又、前記水位が前記所定水位以上であるときには、複数の判定基準である第1判定基準及び第2判定基準を用いて異常振動発生を判定するから、大きな異常振動も、収束せずに頻発する小さな異常振動も良好に判定できる。
【0067】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。