(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の検査対象部品を含んで構成される回路網における当該各検査対象部品を検査する際に検査用プローブを接触させる接触点を示す接触点データ、および当該接触点において測定されるべき被測定量をシミュレーションして求めたシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成するデータ生成装置であって、
前記検査用プローブの接触が可能な前記回路網内の接触可能点および複数の当該接触可能点間に位置する前記検査対象部品を特定可能な回路網データと、前記各検査対象部品の定数を特定可能な定数データとを記憶する記憶部と、
1つ以上の前記検査対象部品を挟んで位置する一対の前記接触可能点で構成される接触可能点対を前記回路網データに基づいて特定して当該接触可能点対を前記接触点として設定する設定処理を実行して前記接触点データを生成すると共に、当該設定した接触点における前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを前記定数データに基づいて生成するデータ生成部とを備え、
前記データ生成部は、前記設定処理において、1組の前記接触可能点対の間に位置するすべての前記検査対象部品に加えて他の前記検査対象部品を挟んで位置する他の1組の接触可能点対が存在するときには、当該2組の接触可能点対のうちの前記他の1組の接触可能点対だけを前記接触点として設定すると共に、当該接触点について互いに異なる複数の測定条件を規定して、当該測定条件毎にシミュレーションした当該接触点についての複数の前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成するデータ生成装置。
前記データ生成部は、前記他の1組の接触可能点対の間に位置する前記検査対象部品のすべてが良好であるときの前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成する請求項1記載のデータ生成装置。
前記データ生成部は、前記他の1組の接触可能点対の間に位置する前記検査対象部品の中に不良の検査対象部品が1つ以上存在するときにおける当該不良の検査対象部品のすべての組み合わせにそれぞれ対応する前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成する請求項1または2記載のデータ生成装置。
複数の検査対象部品を含んで構成される回路網における当該各検査対象部品を検査する際に検査用プローブを接触させる接触点を示す接触点データ、および当該接触点において測定されるべき被測定量をシミュレーションして求めたシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成するデータ生成方法であって、
前記検査用プローブの接触が可能な前記回路網内の接触可能点および複数の当該接触可能点間に位置する前記検査対象部品を特定可能な回路網データに基づき、1つ以上の当該検査対象部品を挟んで位置する一対の当該接触可能点で構成される接触可能点対を特定して当該接触可能点対を前記接触点として設定する設定処理を実行して前記接触点データを生成すると共に、前記検査対象部品の定数を特定可能な定数データに基づき、当該設定した接触点における前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成し、
前記設定処理において、1組の前記接触可能点対の間に位置するすべての前記検査対象部品に加えて他の前記検査対象部品を挟んで位置する他の1組の接触可能点対が存在するときには、当該2組の接触可能点対のうちの前記他の1組の接触可能点対だけを前記接触点として設定すると共に、当該接触点について互いに異なる複数の測定条件を規定して、当該測定条件毎にシミュレーションした当該接触点についての複数の前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成するデータ生成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、位置データおよびシミュレーションデータを生成する機能を有する上記のデータ生成装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、このデータ生成装置では、例えば、回路基板に実装されている複数の電子部品における各々の両端部に検査用プローブを接触させる一対の接触点が存在するときには、一対の接触点の各組に対してシミュレーション値がそれぞれ存在することとなる。このため、このデータ生成装置によって生成された位置データおよびシミュレーションデータを用いて、数多くの電子部品が実装された(数多くの接触点が位置する)回路基板における各電子部品の検査を行うときには、検査回数が多くなり検査効率の向上が困難であるという課題が位置する。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検査効率の向上が可能な接触点データおよびシミュレーションデータを生成し得るデータ生成装置およびデータ生成方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のデータ生成装置は、複数の検査対象部品を含んで構成される回路網における当該各検査対象部品を検査する際に検査用プローブを接触させる接触点を示す接触点データ、および当該接触点において測定されるべき被測定量をシミュレーションして求めたシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成するデータ生成装置であって、前記検査用プローブの接触が可能な前記回路網内の接触可能点および複数の当該接触可能点間に位置する前記検査対象部品を特定可能な回路網データと、前記各検査対象部品の定数を特定可能な定数データとを記憶する記憶部と、1つ以上の前記検査対象部品を挟んで位置する一対の前記接触可能点で構成される接触可能点対を前記回路網データに基づいて特定して当該接触可能点対を前記接触点として設定する設定処理を実行して前記接触点データを生成すると共に、当該設定した接触点における前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを前記定数データに基づいて生成するデータ生成部とを備え、前記データ生成部は、前記設定処理において、1組の前記接触可能点対の間に位置するすべての前記検査対象部品に加えて他の前記検査対象部品を挟んで位置する他の1組の接触可能点対が存在するときには、当該2組の接触可能点対のうちの前記他の1組の接触可能点対だけを前記接触点として設定する
と共に、当該接触点について互いに異なる複数の測定条件を規定して、当該測定条件毎にシミュレーションした当該接触点についての複数の前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成する。
【0008】
また、請求項2記載のデータ生成装置は、請求項1記載のデータ生成装置において、前記データ生成部は、前記他の1組の接触可能点対の間に位置する前記検査対象部品のすべてが良好であるときの前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成する。
【0009】
また、請求項3記載のデータ生成装置は、請求項1または2記載のデータ生成装置において、前記データ生成部は、前記他の1組の接触可能点対の間に位置する前記検査対象部品の中に不良の検査対象部品が1つ以上存在するときにおける当該不良の検査対象部品のすべての組み合わせにそれぞれ対応する前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成する。
【0011】
また、請求項
4記載のデータ生成方法は、複数の検査対象部品を含んで構成される回路網における当該各検査対象部品を検査する際に検査用プローブを接触させる接触点を示す接触点データ、および当該接触点において測定されるべき被測定量をシミュレーションして求めたシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成するデータ生成方法であって、前記検査用プローブの接触が可能な前記回路網内の接触可能点および複数の当該接触可能点間に位置する前記検査対象部品を特定可能な回路網データに基づき、1つ以上の当該検査対象部品を挟んで位置する一対の当該接触可能点で構成される接触可能点対を特定して当該接触可能点対を前記接触点として設定する設定処理を実行して前記接触点データを生成すると共に、前記検査対象部品の定数を特定可能な定数データに基づき、当該設定した接触点における前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成し、前記設定処理において、1組の前記接触可能点対の間に位置するすべての前記検査対象部品に加えて他の前記検査対象部品を挟んで位置する他の1組の接触可能点対が存在するときには、当該2組の接触可能点対のうちの前記他の1組の接触可能点対だけを前記接触点として設定する
と共に、当該接触点について互いに異なる複数の測定条件を規定して、当該測定条件毎にシミュレーションした当該接触点についての複数の前記シミュレーション値を示す前記シミュレーションデータを生成する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のデータ生成装置、および請求項
4記載のデータ生成方法では、1組の接触可能点対の間に位置するすべての検査対象部品に加えて他の検査対象部品を挟んで位置する他の1組の接触可能点対が存在するときに、他の接触可能点対だけを接触点として設定して接触点データを生成すると共に、設定した接触点データにおけるシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成する。つまり、このデータ生成装置およびデータ生成方法では、共通する検査対象部品を挟んで位置する接触可能点対が複数存在するときには、より多くの検査対象部品を挟む接触可能点対を接触点として設定して接触点データおよびシミュレーションデータを生成することができる。このため、この接触点データおよびシミュレーションデータを用いることで、接触点に接触させた検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて測定した被測定量の測定値とシミュレーション値とを比較する1回の検査処理でより多くの検査対象部品を一度に検査することができる結果、検査効率を十分に向上させることができる。したがって、このデータ生成装置およびデータ生成方法によれば、1つの検査対象部品毎に設定された接触点を示す接触点データおよび各接触点毎のシミュレーション値を示すシミュレーションデータを作成する構成および方法と比較して、検査効率を十分に向上させることが可能な接触点データおよびシミュレーションデータを生成することができる。
また、このデータ生成装置およびデータ生成方法では、接触点について互いに異なる複数の測定条件を規定して、測定条件毎にシミュレーションした接触点についての複数のシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成する。このため、このデータ生成装置によれば、1つの測定条件で求めたシミュレーション値を示すシミュレーションデータを作成する構成と比較して、検査対象部品の良否状態をより正確に特定することが可能なシミュレーションデータを生成することができる。
【0013】
また、請求項2記載のデータ生成装置では、接触点として設定した他の1組の接触可能点対の間に位置する検査対象部品のすべてが良好であるときのシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成する。このため、このデータ生成装置によれば、接触点間に存在するすべての検査対象部品が良好であるか否かだけを検査する簡易な検査処理を行う場合において、検査効率を十分に向上させることが可能な接触点データおよびシミュレーションデータを生成することができる。
【0014】
また、請求項3記載のデータ生成装置では、接触点として設定した他の1組の接触可能点対の間に位置する検査対象部品の中に不良の検査対象部品が1つ以上存在するときにおける不良の検査対象部品のすべての組み合わせにそれぞれ対応するシミュレーション値を示すシミュレーションデータを生成する。このため、このデータ生成装置によれば、接触点間に位置する検査対象部品が複数存在するときに、それらの検査対象部品のうちのどの検査対象部品が不良であるかを検査する詳細な検査処理を行う場合において、検査効率を十分に向上させることが可能な接触点データおよびシミュレーションデータを生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、データ生成装置およびデータ生成方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
最初に、データ生成装置1の構成について説明する。
図1に示すデータ生成装置1は、データ生成装置の一例であって、後述するデータ生成方法に従い、例えば、
図2に示すように、回路基板100内において複数の検査対象部品51(電子部品)を含んで構成される回路網50の各検査対象部品51を検査する際に用いるデータを生成可能に構成されている。具体的には、データ生成装置1は、
図1に示すように、操作部2、表示部3、記憶部4および制御部5を備えて構成されて、回路網50の各検査対象部品51を検査する際に検査用プローブ(図示せず)を接触させる接触点(例えば、
図2に示す接触点P1,P2:以下、区別しないときには「接触点P」ともいう)を特定し、接触点Pを示す接触点データDc、および接触点Pにおいて測定されるべき被測定量のシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを生成する。
【0019】
操作部2は、操作に応じて制御部5に対して操作信号を出力する。表示部3は、制御部5の制御に従い、各種の画像を表示する。
【0020】
記憶部4は、制御部5によって実行されるデータ生成処理30(
図3参照)において用いられる回路網データDaおよび定数データDbを記憶する。また、記憶部4は、データ生成処理30において生成される接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを記憶する。
【0021】
この場合、回路網データDaは、検査用プローブの接触が可能な回路網50内の接触可能点(
図2に示す接触可能点Pp1〜Pp5:以下、区別しないときには「接触可能点Pp」ともいう)、および各接触可能点Pp間に位置する検査対象部品51を特定可能なデータであって、回路基板100に形成される配線パターン、ランドおよびレジスト(いずれも図示を省略する)の形状や形成位置、並びに回路基板100に実装される検査対象部品51の形状や実装位置を示す各種のデータ(CADデータ、ガーバデータおよびマウントデータ)を含んでいる。また、定数データDbは、検査対象部品51毎に規定されている定数(抵抗値や容量値)を特定可能な情報を含んでいる。
【0022】
制御部5は、操作部2から出力される操作信号に従ってデータ生成装置1を構成する各部を制御する。また、制御部5は、データ生成部として機能し、
図3に示すデータ生成処理30を実行することにより、接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成する。
【0023】
次に、データ生成装置1を用いてデータ生成方法に従って接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成する手順、およびその際のデータ生成装置1の動作について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、回路基板100(
図2参照)についての回路網データDaおよび定数データDbを記憶部4に記憶させる。次いで、操作部2を操作して、生成処理の実行を指示する。これに応じて、制御部5が、
図3に示すデータ生成処理30を実行する。このデータ生成処理30では、制御部5は、回路網データDaを記憶部4から読み出す(ステップ31)。
【0025】
続いて、制御部5は、読み出した回路網データDaに含まれているCADデータ、ガーバデータおよびマウントデータに基づき、回路基板100内において複数の検査対象部品51を含んで構成される(各検査対象部品51が配線パターン等によって接続された)回路網を特定する(ステップ32)。この場合、制御部5は、一例として、
図2に示すように、検査対象部品51としての4つの抵抗R1〜R4(以下、区別しないときには「抵抗R」ともいう)を含んで構成されて、他の回路網とは分離して存在する回路網50を特定したものとする。
【0026】
次いで、制御部5は、回路網データDaに基づき、検査用プローブの接触が可能な回路網50内の接触可能点Ppを特定する(ステップ33)。具体的には、制御部5は、回路網データDaに基づき、回路網50を構成する配線パターンやランドのうちの回路基板100の表面に形成されている部位(表面部位)を特定し、さらに、表面部位の中でレジストによって覆われていない部位(露出部位)を特定し、この露出部位を接触可能点Ppとする。この場合、制御部5は、
図2に示すように、5つの接触可能点Pp1〜Pp5を特定したものとする。
【0027】
続いて、制御部5は、特定した接触可能点Ppの中から、1つ以上の抵抗R(検査対象部品51)を挟む部位に位置する一対の接触可能点Pp(以下、一対の接触可能点Ppを「接触可能点対」ともいう)を、接触可能点Ppの組み合わせが異なるすべてについて特定する(ステップ34)。この場合、制御部5は、
図4に示すように、1つの抵抗R(検査対象部品51)を挟む部位に位置する接触可能点対として、抵抗R1を挟む部位に位置する接触可能点Pp1,Pp2、抵抗R2を挟む部位に位置する接触可能点Pp2,Pp3、抵抗R3を挟む部位に位置する接触可能点Pp3,Pp4、および抵抗R4を挟む部位に位置する接触可能点Pp4,Pp5を特定する。
【0028】
また、制御部5は、
図4に示すように、2つの抵抗Rを挟む部位に位置する接触可能点対として、抵抗R1,R2を挟む部位に位置する接触可能点Pp1,Pp3、抵抗R2,R3を挟む部位に位置する接触可能点Pp2,Pp4、および抵抗R3,R4を挟む部位に位置する接触可能点Pp3,Pp5を特定する。
【0029】
さらに、制御部5は、
図4に示すように、3つの抵抗Rを挟む部位に位置する接触可能点対として、抵抗R1,R2,R3を挟む部位に位置する接触可能点Pp1,Pp4、および抵抗R2,R3,R4を挟む部位に位置する接触可能点Pp2,Pp5を特定し、4つの抵抗Rを挟む部位に位置する接触可能点対として、抵抗R1〜R4を挟む部位に位置する接触可能点Pp1,Pp5を特定する。
【0030】
次いで、制御部5は、上記のようにして特定した、1つ以上の抵抗Rを挟む部位に位置する複数組の接触可能点対の中の1組または2組以上の接触可能点対を、回路網50の各検査対象部品51を検査する際に検査用プローブを接触させる接触点Pとして設定する設定処理を実行する(ステップ35)。この設定処理では、制御部5は、次の手順で、複数組の接触可能点対の中から1組または2組以上の接触可能点対を絞り込み、その接触可能点対を接触点Pとして設定する。まず、制御部5は、1つの検査対象部品51を挟む部位に位置する接触可能点対として、例えば、接触可能点Pp1,Pp2を選択して、接触点Pの候補とする。
【0031】
続いて、制御部5は、接触可能点Pp1,Pp2に挟まれている(接触可能点対の間に位置する)抵抗R1(接触可能点Pp1,Pp2に挟まれている全ての検査対象部品51)に加えて他の抵抗R(他の検査対象部品51)を挟む部位に位置する他の接触可能点対が存在するか否かを判別する。この場合、
図4に示すように、抵抗R1,R2を挟む部位(抵抗R1に加えて抵抗R2を挟む部位)に接触可能点Pp1,Pp3が位置しているため、制御部5は、接触可能点Pp1,Pp2を接触点Pの候補から除外し、接触可能点Pp1,Pp3を接触点Pの新たな候補とする。
【0032】
次いで、制御部5は、新たに接触点Pの候補とした接触可能点Pp1,Pp3に挟まれている抵抗R1,R2に加えて他の抵抗Rを挟む部位に位置する他の接触可能点対が存在するか否かを判別する。この場合、
図4に示すように、抵抗R1〜R3を挟む部位(抵抗R1,R2に加えて抵抗R3を挟む部位)に接触可能点Pp1,Pp4が位置しているため、制御部5は、接触可能点Pp1,Pp3を接触点Pの候補から除外し、接触可能点Pp1,Pp4を接触点Pの新たな候補とする。
【0033】
続いて、制御部5は、新たに接触点Pの候補とした接触可能点Pp1,Pp4に挟まれている抵抗R1〜R3に加えて他の抵抗Rを挟む部位に位置する他の接触可能点対が存在するか否かを判別する。この場合、
図4に示すように、抵抗R1〜R4を挟む部位(抵抗R1〜R3に加えて抵抗R4を挟む部位)に接触可能点Pp1,Pp5が位置しているため、制御部5は、接触可能点Pp1,Pp4を接触点Pの候補から除外し、接触可能点Pp1,Pp5を接触点Pの新たな候補とする。
【0034】
次いで、制御部5は、新たに接触点Pの候補とした接触可能点Pp1,Pp5に挟まれている抵抗R1〜R4に加えて他の抵抗Rを挟む部位に位置する他の接触可能点対が存在するか否かを判別する。この場合、
図4に示すように、該当する接触可能点Ppが存在しないため、制御部5は、
図2に示すように、接触可能点Pp1,Pp5を接触点P1,P2として設定する。続いて、制御部5は、接触点P1,P2を示す接触点データDcを生成して(ステップ36)、記憶部4に記憶させる。
【0035】
次いで、制御部5は、記憶部4から定数データDbを読み出す。続いて、制御部5は、定数データDbに基づき、設定した接触点P1,P2において測定されるべき被測定量(例えば、抵抗値)をシミュレーションしたシミュレーション値を求める。この場合、制御部5は、各抵抗R(検査対象部品51)のすべてが、ショートや断線がない良好状態であるときのシミュレーション値を求めると共に、抵抗R1〜R4の中に不良の抵抗Rが1つ以上存在する不良状態における不良の抵抗Rのすべての組み合わせにそれぞれ対応するシミュレーション値を求める。なお、以下の説明において、良好状態および不良状態を合わせて「良否状態」ともいう。
【0036】
次いで、制御部5は、各良否状態とシミュレーション値とを対応づけたシミュレーションデータDdを生成して(ステップ37)、記憶部4に記憶させて、データ生成処理30を終了する。以上により、回路網50についての接触点データDcおよびシミュレーションデータDdの生成が完了する。なお、制御部5が、回路網50を特定した際に、回路網50を示す画像を表示部3に表示させたり、特定した接触可能点Ppや設定した接触点P1,P2を回路網50の画像上に表示させたりする構成および方法を採用することもできる。
【0037】
次いで、制御部5は、他の回路網が存在するときには、上記したデータ生成処理30を実行し、すべての回路網についてのデータ生成処理30が終了したときに、回路基板100についての回路網データDaおよび定数データDbの生成を終了する。
【0038】
次に、生成した接触点データDcおよびシミュレーションデータDdの使用方法について説明する。一例として、検査装置を用いて、例えば
図2に示す回路基板100内における回路網50の各検査対象部品51を検査する際の使用方法について説明する。
【0039】
まず、検査装置の記憶部に接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを記憶させ、続いて、検査装置に対して検査の開始を指示する。これに応じて、検査装置が、接触点データDcを読み出し、次いで、検査処理を実行する。この検査処理では、接触点データDcに示される接触点P1,P2に接触させた検査用プローブを介して測定用信号を供給する。続いて、検査装置は、検査用プローブを介して入力した電気信号基づいて被測定量としての抵抗値を測定する。
【0040】
次いで、検査装置は、記憶部からシミュレーションデータDdを読み出す。続いて、検査装置は、測定した抵抗値(被測定量)の測定値と、シミュレーションデータDdによって示されるシミュレーション値とを比較して、測定値に合致するシミュレーション値を特定する。次いで、検査装置は、合致したシミュレーション値に対応する良否状態を特定する。続いて、検査装置は、特定した良否状態を検査結果とする。
【0041】
この場合、測定値が、良好状態(すべての抵抗Rが良好な状態)のシミュレーション値に合致するときには、すべての抵抗Rが良好との検査結果を得ることができる。また、測定値が、いずれかの不良状態(不良の抵抗Rが1つ以上存在する状態)のシミュレーション値に合致するときには、その不良状態における不良の抵抗R(4つの抵抗Rのうちのどの抵抗Rが不良であるか)を特定することができ、その抵抗Rが不良であるとの検査結果を得ることができる。
【0042】
ここで、上記したように、このデータ生成装置1およびデータ生成方法で生成した接触点データDcによって特定される接触点P1,P2の間には、4つの抵抗R(複数の検査対象部品51)が挟まれている(位置している)。また、このデータ生成装置1およびデータ生成方法で生成したシミュレーションデータDdには、すべての抵抗Rが良好な良好状態のシミュレーション値、および抵抗R1〜R4の中に不良の抵抗Rが1つ以上存在する不良状態における不良の抵抗Rのすべての組み合わせにそれぞれ対応するシミュレーション値が含まれている。このため、この接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを用いることで、接触点P1,P2に接触させた検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて測定した被測定量の測定値とシミュレーション値とを比較する1回の検査処理で、4つの抵抗Rの個々の良否を一度に検査することが可能となる。したがって、この接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを用いることで、1つの抵抗R毎に一対の接触点Pが設定された接触点データやシミュレーションデータを用いる構成および方法と比較して、検査回数を少なくすることができる結果、検査効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0043】
なお、シミュレーションデータDdを生成する際に、互いに異なる複数の測定条件でそれぞれシミュレーションした複数のシミュレーション値を各良否状態について求め(つまり、1つの良否状態毎に複数のシミュレーション値を求め)、各良否状態とシミュレーション値とを対応づけたシミュレーションデータDdを生成することもできる。このようなシミュレーションデータDdを用いるときには、検査装置が行う検査処理において、各測定条件でそれぞれ測定した被測定量と対応する測定条件でシミュレーションしたシミュレーション値とを比較して良否状態をそれぞれ特定し、各良否状態が一致したときにその良否状態を検査結果としたり、最も多い良否状態を検査結果としたりすることができる。
【0044】
このように、このデータ生成装置1およびデータ生成方法では、1組の接触可能点対の間に位置するすべての検査対象部品51に加えて他の検査対象部品51を挟む部位に他の1組の接触可能点対が存在するときに、他の接触可能点対だけを接触点Pとして設定して接触点データDcを生成すると共に、設定した接触点データDcにおけるシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを生成する。つまり、このデータ生成装置1およびデータ生成方法では、共通する検査対象部品51を挟んで位置する接触可能点対が複数存在するときには、より多くの検査対象部品51を挟む接触可能点対を接触点Pとして設定して接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成することができる。このため、この接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを用いることで、接触点P1,P2に接触させた検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて測定した被測定量の測定値とシミュレーション値とを比較する1回の検査処理でより多くの検査対象部品51を一度に検査することができる結果、検査効率を十分に向上させることができる。したがって、このデータ生成装置1およびデータ生成方法によれば、1つの抵抗R毎に設定された接触点Pを示す接触点データDcおよび各接触点P毎のシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを作成する構成および方法と比較して、検査効率を十分に向上させることが可能な接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成することができる。
【0045】
また、このデータ生成装置1およびデータ生成方法では、検査対象部品51のすべてが良好であるときのシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを生成する。このため、このデータ生成装置1およびデータ生成方法によれば、接触点P間に存在するすべての検査対象部品51が良好であるか否かだけを検査する簡易な検査処理を行う場合において、検査効率を十分に向上させることが可能な接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成することができる。
【0046】
また、このデータ生成装置1およびデータ生成方法では、検査対象部品51の中に不良の検査対象部品が1つ以上存在するときにおける不良の検査対象部品51のすべての組み合わせにそれぞれ対応するシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを生成する。このため、このデータ生成装置1およびデータ生成方法によれば、接触点P間に位置する検査対象部品51が複数存在するときに、それらの検査対象部品51のうちのどの検査対象部品51が不良であるかを検査する詳細な検査処理を行う場合において、検査効率を十分に向上させることが可能な接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成することができる。
【0047】
また、このデータ生成装置1およびデータ生成方法では、互いに異なる複数の測定条件における複数のシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを生成する。このため、このデータ生成装置1およびデータ生成方法によれば、1つの測定条件で求めたシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを作成する構成および方法と比較して、検査対象部品51の良否状態をより正確に特定することが可能なシミュレーションデータDdを生成することができる。
【0048】
なお、データ生成装置およびデータ生成方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、検査対象部品51としての複数の抵抗Rだけを含んで構成される回路基板100についての接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成する例について上記したが、例えば、コンデンサ、インダクタおよびダイオードなどの抵抗R以外の検査対象部品51を含んで構成される回路網についての接触点データDcおよびシミュレーションデータDdを生成することができる。この場合、回路網を構成する検査対象部品51の種類に応じて、抵抗値以外の被測定量(例えば、電圧、電流、静電容量、インダクタンスおよびインピーダンス等の物理量)のシミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを生成することができる。
【0049】
また、検査対象部品51のすべてが良好状態であるときのシミュレーション値を求めると共に、検査対象部品51の中に不良の検査対象部品51が1つ以上存在する不良状態における不良の検査対象部品51のすべての組み合わせにそれぞれ対応するシミュレーション値を求めて各シミュレーション値を示すシミュレーションデータDdを生成する例について上記したが、良好状態におけるシミュレーション値のみを示すシミュレーションデータDdを生成する構成および方法や、不良状態におけるシミュレーション値のみを示すシミュレーションデータDdを生成する構成および方法を採用することもできる。