(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の管継ぎ手構造>
図1(b)に示す第1の管継ぎ手構造1は、
図1(c)に示すとおり、非金属管2の開口部内に金属管4が差し込まれた状態で接合されているものである。
図1(b)に示す第1の管継ぎ手構造1は、非金属管2の第1端部2a側に
図1(a)に示す金属管4が接合されている。
図1(b)では、非金属管2の第2端部2b側には金属管4は接合されていないが、第2端部2b側にも金属管4が接合されたものでもよい。
図1に示す非金属管2は真っ直ぐな筒形状であるが、途中で1箇所または2箇所以上で曲がっているもの、波形形状のもの、螺旋形状のものなど用途に応じた所望形状にすることができる。
また
図1に示す非金属管2は、第1端部2aと第2端部2bの内径および外径の寸法が異なっているもの、第1端部2aと第2端部2bの幅方向の断面形状が異なっているものでもよい。
【0014】
図1(a)に示すとおり、金属管4は、非金属管2との接合部となる凹凸を含む粗面5と、他の管との接続手段部6を有している。
ここで接続手段部6としては、公知の接続手段であるねじ込み式、ユニオン式、溶接式、フランジ式、くい込み式、フレア式、メカニカル式、ハウジング式などから選択することができる。
凹凸を含む粗面5は、金属管4の外表面に連続波レーザー光またはパルス波レーザー光の照射により形成されたものであり、溝や多数の独立した孔のほか、孔同士が連結されて大きな孔になったものが多数存在している部分であり、場合により、溶融した金属が溝や孔の周囲に盛り上がった状態で固化したものを含んでいてもよい。
【0015】
図1(b)に示す管継ぎ手構造1は、金属管4の凹凸を含む粗面5の溝や孔に溶融状態の非金属管2の構成材料が入り込んだり、凹凸を含む粗面5を溶融状態の非金属管2の構成材料が覆ったりした後で固化することで、金属管4と非金属管2が接合されたものである。
図1(b)に示す管継ぎ手構造1は、金属管4の接続手段部6においてさらに他の管を接続して使用する。
【0016】
<第2の管継ぎ手構造>
図2(b)に示す第2の管継ぎ手構造10は、
図1(c)と同様にして、非金属管12の開口部内に金属管14a、14bが差し込まれた状態で接合されているものである。
図2に示す第2の管継ぎ手構造10は、L字形状である非金属管12の第1端部12a側と第2端部12b側に
図2(a)に示す2つの金属管14a、14bが接合されている。
図2(b)では、第1端部12a側と第2端部12bの一方のみに金属管が接合されたものでもよい。
図2に示す非金属管12はL字形状のものであるが、U字形状のようなものでもよい。
また
図2に示す非金属管12は、第1端部12aと第2端部12bの内径および外径の寸法が異なっているもの、第1端部12aと第2端部12bの幅方向の断面形状が異なっているものでもよい。
また
図2に示す非金属管12は、開口部が3つある三又形状、開口部が4つある十字形状、5以上の開口部がある形状のものでもよいし、前記開口部の内径および外径の寸法が異なっているもの、前記開口部の幅方向の断面形状が異なっているものでもよい。
【0017】
図2(a)に示すとおり、金属管14aは、非金属管12の第1端部12a側との接合部となる凹凸を含む粗面15aと、他の管との接続手段部16aを有しており、金属管14bは、非金属管12の第2端部12bとの接合部となる凹凸を含む粗面15aと、他の管との接続手段部16aを有している。
ここで接続手段部26としては、公知の接続手段であるねじ込み式、ユニオン式、溶接式、フランジ式、くい込み式、フレア式、メカニカル式、ハウジング式などから選択することができる。
【0018】
凹凸を含む粗面15a、15bは、金属管14a、14bの外表面に連続波レーザー光またはパルス波レーザー光の照射により形成されたものであり、溝や多数の独立した孔のほか、孔同士が連結されて大きな孔になったものが多数存在している部分であり、場合により、溶融した金属が溝や孔の周囲に盛り上がった状態で固化したものを含んでいてもよい。
【0019】
図2(b)に示す管継ぎ手構造10は、金属管14a、14bの凹凸を含む粗面15a、15bの溝や孔に溶融状態の非金属管12の構成材料が入り込んだり、凹凸を含む粗面15a、15bを溶融状態の非金属管12の構成材料が覆ったりした後で固化することで、金属管14a、14bと非金属管12が接合されたものである。
図2(b)に示す管継ぎ手構造10は、金属管14aの接続手段部16aと金属管14bの接続手段部16bにおいてさらに他の管を接続して使用する。
【0020】
上記した金属管と非金属管の幅方向の断面形状は、図示したとおりの円形であるが、これに限定されるものではなく、三角形、四角形、六角形などの多角形のほか、楕円形などの所望形状にすることができる。
【0021】
<第1の管継ぎ手構造と第2の管継ぎ手構造の改変構造>
改変構造は、非金属管の開口部内に金属管が差し込まれた状態で接合されているものであり、金属管と非金属管の接合方法が異なることを除いて、第1の管継ぎ手構造または第2管継ぎ手構造と同じものである。
第1の継ぎ手構造の改変構造は、
図3に示すとおり、
図1(b)、(c)に示す管継ぎ手構造1において、金属管4の凹凸を含む粗面5の溝や孔に接着剤が入り込んだり、凹凸を含む粗面5を接着剤が覆ったりして形成された接着剤層7を介して、金属管4と非金属管2が接合されている。
第2の継ぎ手構造の改変構造は、
図2(b)に示す管継ぎ手構造10において、
図3と同様にして、金属管14a、14bの凹凸を含む粗面15a、15bの溝や孔に接着剤が入り込んだり、凹凸を含む粗面15a、15bを接着剤が覆ったりして形成された接着剤層を介して、金属管14a、14bと非金属管12が接合されている。
【0022】
<第3の管継ぎ手構造>
図4(b)に示す第3の管継ぎ手構造20は、
図4(c)に示すとおり、
図4(a)に示す金属管22の第1端部22a側に外側から
図4(b)に示す非金属管24が接合されている。
図4(b)では、金属管22の第2端部22b側には非金属管24は接合されていないが、第2端部22b側にも非金属管24が接合されたものでもよい。
非金属管24は、金属管22との接合部25と他の管との接続手段部26を有している。
ここで接続手段部26としては、公知の接続手段であるねじ込み式、ユニオン式、溶接式、フランジ式、くい込み式、フレア式、メカニカル式、ハウジング式などから選択することができる。
非金属管24は、接合部25が
図1(b)に示す非金属管2のような長い形状のものにすることもでき、その場合には、接合部25が途中で1箇所または2箇所以上で曲がっているもの、波形形状のもの、螺旋形状のものなど用途に応じた所望形状であるものにすることもできる。
【0023】
図4(a)に示すとおり、金属管22の第1端部22a側は、非金属管24との接合部となる凹凸を含む粗面23を有している。
凹凸を含む粗面23は、金属管22の外表面に連続波レーザー光またはパルス波レーザー光の照射により形成されたものであり、溝や多数の独立した孔のほか、孔同士が連結されて大きな孔になったものが多数存在している部分であり、場合により、溶融した金属が溝や孔の周囲に盛り上がった状態で固化したものを含んでいてもよい。
【0024】
図4(b)に示す管継ぎ手構造20は、金属管22の凹凸を含む粗面23の溝や孔に溶融状態の非金属管24の構成材料が入り込んだり、凹凸を含む粗面23を溶融状態の非金属管24の構成材料が覆ったりした後で固化することで、金属管22と非金属管24が接合されたものである。
図4(b)に示す管継ぎ手構造20は、非金属管24の接続手段部26においてさらに他の管を接続して使用する。
【0025】
<第4の管継ぎ手構造>
図5(b)に示す管継ぎ手構造30は、
図4(c)と同様にして、L字形状である金属管32の第1端部32a側と第2端部32b側に外側から
図5(b)に示す2つの非金属管34、35が接合されている。
図5(b)では、第1端部32a側と第2端部32bの一方のみに非金属管が接合されたものでもよい。
非金属管34は、金属管32との接合部34aと他の管との接続手段部34bを有している。
非金属管35は、金属管32との接合部35aと他の管との接続手段部35bを有している。
ここで接続手段部34b、35bとしては、公知の接続手段であるねじ込み式、ユニオン式、溶接式、フランジ式、くい込み式、フレア式、メカニカル式、ハウジング式などから選択することができる。
非金属管34、35は、接合部34a、35aが
図1(b)に示す非金属管2のような長い形状のものにすることもでき、その場合には、接合部34、35が途中で1箇所または2箇所以上で曲がっているもの、波形形状のもの、螺旋形状のものなど用途に応じた所望形状であるものにすることもできる。
【0026】
図5(a)に示すとおり、金属管32は、第1端部32a側に非金属管34との接合部となる凹凸を含む粗面33aを有しており、第2端部32b側に非金属管35との接合部となる凹凸を含む粗面33bを有している。
【0027】
凹凸を含む粗面33a、33bは、金属管32の第1端部32a側と第2端部32b側の外表面に連続波レーザー光またはパルス波レーザー光の照射により形成されたものであり、溝や多数の独立した孔のほか、孔同士が連結されて大きな孔になったものが多数存在している部分であり、場合により、溶融した金属が溝や孔の周囲に盛り上がった状態で固化したものを含んでいてもよい。
【0028】
図5(b)に示す管継ぎ手構造30は、金属管32の凹凸を含む粗面33a、33bの溝や孔に溶融状態の非金属管34、35の構成材料が入り込んだり、凹凸を含む粗面33a、33bを溶融状態の非金属管34、35の構成材料が覆ったりした後で固化することで、金属管32と非金属管34,35が接合されたものである。
図5(b)に示す管継ぎ手構造30は、非金属管34、35の接続手段部34b、35bにおいてさらに他の管を接続して使用する。
【0029】
上記した金属管と非金属管の幅方向の断面形状は、図示したとおりの円形であるが、これに限定されるものではなく、三角形、四角形、六角形などの多角形のほか、楕円形などの所望形状にすることができる。
【0030】
<第3の管継ぎ手構造と第4の管継ぎ手構造の改変構造>
改変構造は、金属管の開口部側に外側から非金属管が嵌め込まれた状態で接合されているものであり、金属管と非金属管の接合方法が異なることを除いて、第3の管継ぎ手構造または第4管継ぎ手構造と同じものである。
第3の継ぎ手構造の改変構造は、
図6に示すとおり、
図4(b)、(c)に示す管継ぎ手構造20において、金属管22の凹凸を含む粗面23の溝や孔に接着剤が入り込んだり、凹凸を含む粗面23を接着剤が覆ったりして形成された接着剤層27を介して、非金属管22と非金属管24が接合されている。
第4の継ぎ手構造の改変構造は、
図5(b)に示す管継ぎ手構造30において、
図6と同様にして、金属管32の凹凸を含む粗面33a、33bの溝や孔に接着剤が入り込んだり、凹凸を含む粗面33a、33bを接着剤が覆ったりして形成された接着剤層を介して、金属管32と非金属管34、35が接合されている。
【0031】
<管継ぎ手構造の製造方法>
(1)
図1に示す第1の管継ぎ手構造1の製造方法
〔第1の管継ぎ手構造1における凹凸を含む粗面5の形成工程〕
初めの工程にて、金属管4が非金属管2と接合する面に対してレーザー光を照射して、凹凸を含む粗面5を形成する。
凹凸を含む粗面5の深さは、金属管4の外表面から約50μm〜約500μmの範囲が好ましいが、前記範囲に制限されるものではない。
金属管4は、凹凸を含む粗面5が形成されることで、例えば指で触ったときにはざらざらした感触のある表面状態になっている。
【0032】
金属管4で使用する金属は、第1の管継ぎ手構造1の用途に応じて選択することができるものであり、例えば、鉄、各種ステンレス、アルミニウム、亜鉛、チタン、銅、マグネシウムおよびそれらを含む合金、タングステンカーバイド、クロミウムカーバイドなどのサーメットから選ばれるものを挙げることができ、これらの金属に対して、アルマイト処理、めっき処理などの表面処理を施したものでもよい。
【0033】
レーザー光は、連続波レーザーまたはパルス波レーザーを使用して照射することができる。
まず、連続波レーザーを使用する方法を説明する。
連続波レーザーの照射速度は、2000mm/sec以上が好ましく、2000〜20,000mm/secがより好ましく、2,000〜18,000mm/secがさらに好ましく、2,000〜15,000mm/secが特に好ましい。
連続波レーザーの照射速度が前記範囲であると、加工速度を高めることができ(即ち、加工時間を短縮することができ)、金属管4と非金属管2の接合強度も高いレベルに維持することができる。
【0034】
連続波レーザー光を照射するときは、
図1(a)に示すように、金属管4の長さ方向に連続波レーザー光を照射する方法を適用することができる。
図1(a)は、一方向に1本のラインを形成するように照射した後、一旦レーザー光の照射を停止して、周方向に間隔をおいて再度レーザー光を照射することを繰り返した状態を示している。また、レーザー光の照射を途中で停止することなく、ジクザクのラインを形成するように連続照射することもできる。
連続波レーザー光は、複数回連続照射して1本の直線または1本の曲線を形成することもできる。
同じ連続照射条件であれば、1本の直線または1本の曲線を形成するための照射回数(繰り返し回数)が増加すると凹凸を含む粗面5の溝や孔の深さが大きくなったり、溝や孔同士が連結して複雑な構造になったりすることから、前記溝や孔内部に非金属管2の構成材料が侵入することで金属管4と非金属管2の結合力が高くなる。
【0035】
連続波レーザー光の連続照射は、例えば次のような条件で実施することができる。
出力は4〜4000Wが好ましく、50〜2500Wがより好ましく、100〜2000Wがさらに好ましく、250〜2000Wがさらに好ましい。
ビーム径(スポット径)は5〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましく、11〜80μmがさらに好ましい。
さらに出力とスポット径の組み合わせの好ましい範囲は、レーザー出力とレーザー照射スポット面積(π×〔スポット径/2〕
2)から求められるエネルギー密度(W/μm
2)より選択することができる。
エネルギー密度(W/μm
2)は、0.1W/μm
2以上が好ましく、0.2〜10W/μm
2がより好ましく、0.2〜6.0W/μm
2がさらに好ましい。
エネルギー密度(W/μm
2)が同じであるとき、出力(W)が大きい方がより大きなスポット面積(μm
2)に対してレーザー照射できることになるため、処理速度(1秒当たりのレーザー照射面積;mm
2/sec)が大きくなり、加工時間も短くすることができる。
波長は300〜1200nmが好ましく、500〜1200nmがより好ましい。
焦点位置は-10〜+10mmが好ましく、−6〜+6mmがより好ましい。
【0036】
連続波レーザーの照射速度、レーザー出力、レーザービーム径(スポット径)およびエネルギー密度との好ましい関係は、連続波レーザーの照射速度が2,000〜15,000mm/secであり、レーザー出力が250〜2000W、レーザービーム径(スポット径)が10〜100μmであり、前記レーザー出力とスポット面積(π×〔スポット径/2〕
2)から求められるエネルギー密度(W/μm
2)が0.2〜10W/μm
2の範囲である。
【0037】
連続波レーザーは公知のものを使用することができ、例えば、YVO4レーザー、ファイバーレーザー(好ましくはシングルモードファイバーレーザー)、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、紫外線レーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、He−Neレーザー、窒素レーザー、キレートレーザー、色素レーザーを使用することができる。これらの中でもエネルギー密度が高められることから、ファイバーレーザーが好ましく、特にシングルモードファイバーレーザーが好ましい。
【0038】
このときの金属管4の凹凸を含む粗面5の一実施形態を
図7〜
図9により説明する。
図7に示すとおり、レーザー光(例えば、スポット径11μm)を連続照射して多数の線(図面では3本の線161〜163を示している。各線の間隔は50μm程度。)を形成することで粗面化することができる。1本の直線への照射回数は1〜10回が好ましい。
連続波レーザーを照射した後の金属管4の凹凸を含む粗面5の表層部は、例えば、
図8(a)、
図9(a)〜(c)に示すようになっている。「金属管4の表層部」は、表面から開放孔(幹孔または枝孔)の深さ程度までの部分であり、表面から約50μm〜約500μmの範囲である。
なお、1本の直線への照射回数は10回を超えることもでき、10回を超える回数である場合には、粗面化のレベルをより高めることができ、金属管4と非金属管2の接合強度を高めることができるが、合計照射時間が長くなる。このため、目的とする金属管4と非金属管2の接合強度と製造時間との関係を考慮して、1本の直線への照射回数を決めることが好ましい。1本の直線への照射回数が10回を超える回数であるとき、好ましくは10回超〜50回以下、より好ましくは15〜40回、さらに好ましくは20〜35回である。
【0039】
金属管4の凹凸を含む粗面5の表層部は、
図8、
図9に示すように、金属管4の表面側に開口部131のある開放孔130を有している。
開放孔130は、厚さ方向に形成された開口部131を有する幹孔132と、幹孔132の内壁面から幹孔132とは異なる方向に形成された枝孔133からなる。枝孔133は、1本または複数本形成されていてもよい。
なお、第1の管継ぎ手構造1において金属管4と非金属管2の接合強度が維持できるのであれば、開放孔130の一部が幹孔132のみからなり、枝孔133がないものでもよい。
【0040】
金属管4の凹凸を含む粗面5の表層部は、
図8、
図9に示すように、金属管4の表面側に開口部のない内部空間140を有している。
内部空間140は、トンネル接続路150により開放孔130と接続されている。
【0041】
金属管4の凹凸を含む粗面5の表層部は、
図8(b)に示すように、複数の開放孔130が一つになった開放空間145を有していてもよいし、開放空間145は、開放孔130と内部空間140が一つになって形成されたものでもよい。一つの開放空間145は、一つの開放孔130よりも内容積の大きなものである。
なお、多数の開放孔130が一つになって溝状の開放空間145が形成されていてもよい。
【0042】
図示していないが、
図9(a)に示すような2つの内部空間140同士がトンネル接続路150で接続されていてもよいし、
図8(b)に示すような開放空間145と、開口孔130、内部空間140、他の開放空間145がトンネル接続路150で接続されていてもよい。
【0043】
内部空間140は、全てが開放孔130および開放空間145の一方または両方とトンネル接続路150で接続されているものであるが、第1の管継ぎ手構造1において金属管4と非金属管2の接合強度が維持できるのであれば、内部空間140のうちの一部が開放孔130および開放空間145と接続されていない閉塞状態の空間であってもよい。
【0044】
このようにレーザー光を連続照射したときに
図8、
図9で示されるような開放孔130、内部空間140などが形成される詳細は不明であるが、レーザー光を連続照射したとき、金属管4の表面に一旦は孔や溝が形成されるが、溶融した金属が盛り上がって蓋をしたり、堰き止めたりする結果、開放孔130、内部空間140、開放空間145が形成されるものと考えられる。
また、同様に開放孔130の枝孔133やトンネル接続路150が形成される詳細も不明であるが、一旦形成された孔や溝の底部付近に滞留した熱によって、孔や溝の側壁部分が溶融する結果、幹孔132の内壁面が溶融して枝孔133が形成され、さらに枝孔133が延ばされてトンネル接続路150が形成されるものと考えられる。
【0045】
次に、パルス波レーザーを使用する方法を説明する。
パルス波レーザーの照射は、特開2013−52669号公報、特開2014−18995号公報、特開2014−51040号公報、特開2014−51041号公報、特開2014−65288号公報、特開2014−166693号公報、特開2014−193569号公報に記載の方法により実施することができる。
【0046】
〔前工程において凹凸を含む粗面5が形成された金属管4と非金属管2を接合させる工程〕
次の工程では、金属管4の凹凸を含む粗面5が形成された部分と非金属管2を接合させて、第1の管継ぎ手構造1を得る。
接合方法としては、金属管4と非金属管2となる構成材料に適した公知の成形方法を適用して実施することができる。
【0047】
非金属管2の構成材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴムを使用することができる。
非金属管2の構成材料を選択することによって、非金属管2を硬いもの、柔軟性を有するもの、伸縮性を有するものなどにすることができる。
熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーを使用した場合には、溶融した樹脂に圧力などをかけることで、金属管4の凹凸を含む粗面5に形成された孔や溝やトンネル接続路内に樹脂を入り込ませた後、樹脂を冷却固化させることで一体化できる方法であればよい。射出成形や圧縮成形のほか、射出圧縮成形などの成形方法も使用することができる。
熱硬化性樹脂を使用した場合には、液状或いは溶融状態の樹脂に圧力などをかけることで、金属管4の凹凸を含む粗面5に形成された孔や溝やトンネル接続路内に樹脂を入り込ませた後、樹脂を熱硬化させることで一体化できる成形方法であればよい。射出成形や圧縮成形のほか、トランスファー成形などの成形方法も使用することができる。
ゴムを使用した場合には、圧縮成形、トランスファー成形などを使用することができる。
【0048】
圧縮成形法を適用するときは、例えば、型枠内に金属管4の凹凸を含む粗面5が露出された状態で金属管4を配置し、そこに熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂(但し、プレポリマー)を入れた後で、圧縮する方法を適用することができる。
なお、射出成形法と圧縮成形法で熱硬化性樹脂(プレポリマー)を使用したときは、後工程において加熱などをすることで熱硬化させる。
【0049】
熱可塑性樹脂は、第1の管継ぎ手構造1の用途に応じて公知の熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。例えば、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂(PA6、PA66等の脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド)、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂等のスチレン単位を含む共重合体、ポリエチレン、エチレン単位を含む共重合体、ポリプロピレン、プロピレン単位を含む共重合体、その他のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂を挙げることができる。
【0050】
熱硬化性樹脂は、第1の管継ぎ手構造1の用途に応じて公知の熱硬化性樹脂から適宜選択することができる。例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ビニルウレタンを挙げることができる。
【0051】
熱可塑性エラストマーは、第1の管継ぎ手構造1の用途に応じて公知の熱可塑性エラストマーから適宜選択することができる。例えば、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを挙げることができる。
【0052】
これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマーには、公知の各種添加剤として、難燃剤、可塑剤、各種安定剤、各種充填材などを配合することができるほか、公知の繊維状充填材を配合することができる。
公知の繊維状充填材としては、炭素繊維、無機繊維、金属繊維、有機繊維等を挙げることができる。
炭素繊維は周知のものであり、PAN系、ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等のものを用いることができる。
無機繊維としては、ガラス繊維、玄武岩繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維等を挙げることができる。
金属繊維としては、ステンレス、アルミニウム、銅等からなる繊維を挙げることができる。
有機繊維としては、ポリアミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維、ジアミンとジカルボン酸のいずれか一方が芳香族化合物である半芳香族ポリアミド繊維、脂肪族ポリアミド繊維)、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリエステル繊維(全芳香族ポリエステル繊維を含む)、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、液晶ポリエステル繊維などの合成繊維や天然繊維(セルロース系繊維など)や再生セルロース(レーヨン)繊維などを用いることができる。
【0053】
これらの繊維状充填材は、繊維径が3〜60μmの範囲のものを使用することができるが、これらの中でも、例えば金属管4の粗面5が有する孔の開口径より小さな繊維径のものを使用することが好ましい。繊維径は、より望ましくは5〜30μm、さらに望ましくは7〜20μmである。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー100質量部に対する繊維状充填材の配合量は5〜250質量部が好ましい。より望ましくは、25〜200質量部、さらに望ましくは45〜150質量部である。
【0054】
ゴムは第1の管継ぎ手構造1の用途に応じて公知のゴムから適宜選択することができる。例えば、エチレン‐プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン‐プロピレン‐ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン‐オクテンコポリマー(EOM)、エチレン‐ブテンコポリマー(EBM)、エチレン‐オクテンターポリマー(EODM)、エチレン‐ブテンターポリマー(EBDM)などのエチレン‐α‐オレフィンゴム;
エチレン/アクリル酸ゴム(EAM)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)、水添NBR (HNBR)、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、エピクロルヒドリン(ECO)、ポリブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(合成ポリイソプレンを含む) (NR)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ブロム化ポリメチルスチレン‐ブテンコポリマー、スチレン‐ブタジエン‐スチレンおよびスチレン‐エチレン‐ブタジエン‐スチレンブロックコポリマー、アクリルゴム(ACM)、エチレン‐酢酸ビニルエラストマー(EVM)、およびシリコーンゴムなどを使用することができる。
【0055】
ゴムには、必要によりゴムの種類に応じた硬化剤を含有させるが、その他、公知の各種ゴム用添加剤を配合することができる。ゴム用添加剤としては、硬化剤、硬化促進剤、老化防止剤、シランカップリング剤、補強剤、難燃剤、オゾン劣化防止剤、充填剤、プロセスオイル、可塑剤、粘着付与剤、加工助剤などを使用することができる。
【0056】
(2)
図2に示す第2の管継ぎ手構造10の製造方法
図1に示す第1の管継ぎ手構造1の凹凸を含む粗面5の形成工程と同様の方法によって、金属管14aに凹凸を含む粗面15aを形成し、金属管14bに凹凸を含む粗面15bを形成する。
次の工程において、
図1に示す金属管4と非金属管2を接合させる工程と同様の方法によって、第2の管継ぎ手構造10を得る。
【0057】
(3)
図3に示す接着剤層7を有する管継ぎ手構造の製造方法
最初に
図1に示す第1の管継ぎ手構造1を改変した継ぎ手構造の製造方法を説明する。
前工程においてレーザー光が照射された金属管4の凹凸を含む粗面5に接着剤を塗布し、凹凸を含む粗面5の溝や孔などの内部に接着剤を入り込ませ、さらに粗面5も接着剤で覆って接着剤層7を形成した後、別途成形した非金属管2を外側から嵌め込んで固定する方法、または
前工程においてレーザー光が照射された金属管4の凹凸を含む粗面5に接着剤を塗布し、凹凸を含む粗面5の溝や孔などの内部に接着剤を入り込ませ、さらに粗面5も接着剤で覆って接着剤層7を形成した後、前記接着剤層7を形成した金属管4の粗面5を含む部分を金型内に配置して、非金属管2となる構成材料を射出成形、プレス成形(トランスファー成形も含む)などの方法を使用して接合させる方法を適用することができる。接着剤は、公知の熱可塑性接着剤、ゴム系接着剤などを使用することができる。
なお、熱硬化性樹脂(プレポリマー)を使用したときは、後工程において加熱などをすることで熱硬化させる。
【0058】
図2に示す第2の管継ぎ手構造10を改変した継ぎ手構造は、上記の第1の管継ぎ手構造1を改変した継ぎ手構造の製造方法と同様にして製造することができる。
【0059】
(4)
図4に示す第3の管継ぎ手構造20の製造方法
第1の継ぎ手構造1の粗面5の形成方法と同様にして、金属管22が非金属管24と接合する面に対してレーザー光を照射して、凹凸を含む粗面23を形成する。
【0060】
次に、第1の継ぎ手構造1の金属管4と非金属管2の接合方法と同様にして、金属管22と非金属管24を接合する。
非金属管24の構成材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴムを使用することができる。
非金属管24の構成材料を選択することによって、非金属管24(接合部25と接続手段部26)を硬いもの、柔軟性を有するもの、伸縮性を有するものなどにすることができる。
非金属管24の構成材料として熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーを使用した場合には、溶融した樹脂に圧力などをかけることで、金属管22の凹凸を含む粗面23に形成された孔や溝やトンネル接続路内に樹脂を入り込ませた後、樹脂を冷却固化させることで一体化できる方法であればよい。射出成形や圧縮成形のほか、射出圧縮成形などの成形方法も使用することができる。
非金属管24の構成材料として熱硬化性樹脂を使用した場合には、液状或いは溶融状態の樹脂に圧力などをかけることで、金属管22の凹凸を含む粗面23に形成された孔や溝やトンネル接続路内に樹脂を入り込ませた後、樹脂を熱硬化させることで一体化できる成形方法であればよい。射出成形や圧縮成形のほか、トランスファー成形などの成形方法も使用することができる。
非金属管24の構成材料としてゴムを使用した場合には、圧縮成形、トランスファー成形などを使用することができる。
圧縮成形法を適用するときは、例えば、型枠内に金属管22の凹凸を含む粗面23が露出された状態で金属管4を配置し、そこに熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂(但し、プレポリマー)を入れた後で、圧縮する方法を適用することができる。
なお、射出成形法と圧縮成形法で熱硬化性樹脂(プレポリマー)を使用したときは、後工程において加熱などをすることで熱硬化させる。
【0061】
(5)
図5に示す第4の管継ぎ手構造30の製造方法
図4に示す第3の管継ぎ手構造20の凹凸を含む粗面23の形成工程と同様の方法によって、金属管32に凹凸を含む粗面33a、33bを形成する。
次の工程において、
図4に示す金属管22と非金属管24を接合させる工程と同様の方法によって、第4の管継ぎ手構造30を得る。
【0062】
(6)
図6に示す接着剤層27を有する管継ぎ手構造の製造方法
最初に
図4に示す第3の管継ぎ手構造1を改変した継ぎ手構造の製造方法を説明する。
前工程においてレーザー光が照射された金属管22の凹凸を含む粗面23に接着剤を塗布し、凹凸を含む粗面23の溝や孔などの内部に接着剤を入り込ませ、さらに粗面23も接着剤で覆って接着剤層27を形成した後、別途成形した非金属管24を外側から嵌め込んで固定する方法、または
前工程においてレーザー光が照射された金属管22の凹凸を含む粗面23に接着剤を塗布し、凹凸を含む粗面23の溝や孔などの内部に接着剤を入り込ませ、さらに粗面23も接着剤で覆って接着剤層27を形成した後、前記接着剤層27を形成した金属管22の粗面23を含む部分を金型内に配置して、非金属管22となる構成材料を射出成形、プレス成形(トランスファー成形も含む)などの方法を使用して接合させる方法を適用することができる。接着剤は、公知の熱可塑性接着剤、ゴム系接着剤などを使用することができる。
なお、熱硬化性樹脂(プレポリマー)を使用したときは、後工程において加熱などをすることで熱硬化させる。
【0063】
図5に示す第4の管継ぎ手構造30を改変した継ぎ手構造は、上記の第3の管継ぎ手構造20を改変した継ぎ手構造の製造方法と同様にして製造することができる。
【実施例】
【0064】
実施例1〜3および比較例1、2
実施例1〜3は、
図10(a)に示す金属管(SUS304)50(内径6mm、外径8mm、長さ70mm)の一端部50aからxmmの長さ範囲(表1)に対して下記条件で連続波レーザーを照射して、凹凸を有する粗面を形成した。なお、粗面は長さxの周面全体に対して形成した。
図11は、実施例1の金属管50に連続波レーザー光を照射した後のSEM写真(40倍)である。凹凸が形成されて粗面化されたことが確認できる。
【0065】
(連続波レーザーの照射条件)
波形:連続波
出力(W):274
波長(nm):1070
スポット径(μm):11
エネルギー密度(W/μm
2):3.49
レーザー照射速度(mm/sec):7500
合計ライン本数:7685
回転速度:4.0r/m
合計加工時間(s):243
【0066】
次に、
図10(a)に示す一端部50aから長さxmmの範囲に粗面が形成された金属管50を使用して、下記の条件で樹脂を射出成形して、
図10(b)、(c)に示す継ぎ手構造を得た。
実施例1〜3のそれぞれの継ぎ手構造では、金属管50と樹脂管60の接合長さは、それぞれ長さxmmの範囲である。
【0067】
(射出成形条件)
樹脂:GF60%強化PA66樹脂(プラストロンPA66−GF60−01(L7):ダイセルポリマー(株)製),ガラス繊維の繊維長:11mm
樹脂温度:320℃
金型温度:100℃
射出成形機:ファナック製ROBOSHOT S2000i100B)
【0068】
比較例1は、レーザー照射をしないで、金属管50と樹脂管60の接合長を実施例1と同じ長さにした例である。
比較例2は、連続波レーザーの照射に代えて、
図12(a)、(b)に示すとおり、金属管50の端部50aから長さ5mmの位置に合計で4個の孔52(径2mm)を形成したものを使用したほかは、実施例1〜3と同様にしてGF60%強化PA66樹脂を射出した。なお、射出時には、金属管50の内部に金属管を挿入して、4個の孔52を金属管50の内側から塞いだ。
【0069】
(引き抜き強度の測定)
図13(a)に示すとおり、
図10(b)に示す継ぎ手構造を使用して、引き抜き試験を実施した。
まず、金属管50の端部50b(
図10(b)参照)側に貫通孔55を開けた。
次に、金属管50の端部50b側から
図13(b)に示す固定治具70の孔71を通して、孔71の周縁を金属管50と樹脂管60との環状段差60aに引っ掛けた。
次に、
図13(b)に示す貫通孔55に金属ピン56を
図13(c)に示すように差し込み、金属ピン56を両側から固定した。
次に、
図13(c)の状態で、固定軸70の握り手72を矢印の方向に引っ張り、金属管50から樹脂管60が外れたときの強度を(株)エー・アンド・デイ製 テンシロン万能材料試験機(型番:RTF-1350)で測定し、最大強度を引き抜き強度とした。引っ張り速度は1mm/分で行った。
【0070】
【表1】