(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の改装用新設窓は、複数の部材が互いに別々の部材(単体)となっていた。そのため、各々の部材を現場に持って行って現場で組み立て作業(連結作業)を行う必要があった。したがって、組み立てが現場の作業員に委ねられ、品質が安定しないという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、品質が安定した改装用新設窓を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の改装用新設窓は、新設窓枠と新設障子とを備え、既設窓枠に対して取り付けられる改装用新設窓であって、
前記新設窓枠は互いに別体である外枠と内枠とに分かれており、
前記内枠には、前記新設障子が取り付けられ、
前記内枠と前記外枠とは、前記内枠
が前記外枠に対し見込み方向に
おける所定のスライド量の範囲にてスライド可能
にユニット化されていることを特徴とする改装用新設窓である。
【0007】
このような改装用新設窓によれば、外枠及び内枠がスライド可能な構造とされ改装用新設窓が予めユニット化されているので、現場ではなく工場で組み立て作業(連結作業)を行うことができる。そのため、品質が安定した改装用新設窓を実現することが可能となる。
【0008】
かかる改装用新設窓であって、
前記外枠は、該外枠を前記既設窓枠に対し固定部材で固定するための固定部を有していることが望ましい。
【0009】
このような改装用新設窓によれば、新設窓枠(外枠)と既設窓枠が近い状態で、新設窓枠(外枠)と既設窓枠を固定することができるので、新設窓枠と既設窓枠の固定強度を高くすることが可能となる。
【0010】
かかる改装用新設窓であって、
前記固定部は、前記内枠が前記外枠に対し室内側にスライドされた際に前記内枠によって覆われる位置に設けられていることが望ましい。
【0011】
このような改装用新設窓によれば、新設窓枠の取り付けが終了したときには、固定部に設けられた固定部材を内枠で隠すことができ、意匠上の見栄えを向上させることが可能となる。
【0012】
かかる改装用新設窓であって、
前記改装用新設窓は、フィックス窓であることが望ましい。
【0013】
このような改装用新設窓によれば、窓の種類がフィックス窓である場合でも、内枠が外枠に対し見込み方向にスライド可能となっている構成により、改装用新設窓を既設窓枠に固定するための固定部材を設けるための適切なスペースを作り出す効果が奏されることとなる。
【0014】
かかる改装用新設窓であって、
前記外枠と前記内枠には、前
記スライド量を制限するための係合部が設けられていることが望ましい。
【0015】
このような改装用新設窓によれば、作業者は、内枠を外枠に対しスライドさせる際にどこまでスライドさせるかを意識することなくスライド作業を行うことができる。また、スライドさせて内枠と外枠が係合した際には、内枠と外枠の相対移動が係止されるため、作業者は、安全に各種作業が行える。
【0016】
かかる改装用新設窓であって、
前記内枠には、前記改装用新設窓を前記既設窓枠に対して取り付けた際に、前記内枠と前記既設窓枠との間を塞ぐ乾式シール材が設けられていることが望ましい。
【0017】
このような改装用新設窓によれば、改装用新設窓を既設窓枠に対して取り付けるだけで、窓の防水性を確保することが可能となる。
【0018】
次に、互いに別体である外枠と内枠と
を有し、前記内枠と前記外枠とが、前記内枠が前記外枠に対し見込み方向に
おける所定のスライド量の範囲にてスライド可能
にユニット化されている新設窓枠と、前記内枠に取り付けられた新設障子と、を備えた改装用新設窓を、既設窓枠に挿入するステップと、
前記外枠と前記内枠を固定するステップと、
を有することを特徴とする窓の改装方法。
【0019】
このような窓の改装方法によれば、外枠及び内枠がスライド可能な構造とされ改装用新設窓が予めユニット化されているので、外枠に内枠が収まった状態でユニット窓として工場から出荷し、現場で既設窓枠にユニット窓とした改装用新設窓を嵌め込み、その後、内枠を外枠に対して室外側にスライドさせて、既設窓枠に外枠を固定することができる。この構成によるため、現場ではなく工場で改装用新設窓の組み立て作業を完結することができる(現場では、外枠と内枠の固定作業を行えば良い)。そのため、品質が安定した改装用新設窓を実現することが可能となる。
【0020】
かかる窓の改装方法であって、
前記既設窓枠に挿入された前記改装用新設窓の前記外枠を前記既設窓枠に対し固定部材で固定するステップと、
前記外枠に設けられた前記固定部材を前記内枠で覆うように前記内枠を前記外枠に対して見込み方向にスライドさせるステップと、
を有し、
前記外枠と前記内枠を固定するステップにおいては、スライド後の前記内枠を前記外枠に固定することが望ましい。
【0021】
このような窓の改装方法によれば、新設窓枠(外枠)と既設窓枠が近い状態で、新設窓枠(外枠)と既設窓枠を固定することができるので、新設窓枠と既設窓枠の固定強度を高くすることが可能となる。さらには、固定部に設けられた固定部材を内枠で隠すことができ、意匠上の見栄えを向上させることが可能となる。
【0022】
かかる窓の改装方法であって、
前記外枠と前記内枠とを固定した後、前記新設障子にガラスを装着するステップを有することが望ましい。
【0023】
このような窓の改装方法によれば、新設障子が存在しない状態、つまり、改装用新設窓の重量が小さい状態で、外枠と内枠とを固定する前の作業を行えることとなり、当該作業を楽に行うことが可能となる。
【0024】
かかる窓の改装方法であって、
前記新設窓枠の室内側に位置する部位と前記既設窓枠とに跨がって止水材を取り付けるステップを有することが望ましい。
【0025】
このような窓の改装方法によれば、新設窓枠と既設窓枠との間の防水、気密性能を高くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、品質が安定した改装用新設窓を実現することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
===本実施の形態に係る改装用新設窓1について===
本実施の形態に係る改装用新設窓1について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、改装用新設窓1の縦断面図である。
図2は、改装用新設窓1の横断面図である。なお、
図1及び
図2は、改装用新設窓1が最終的に既設窓枠70に取り付けられた状態(以下、最終状態とも呼ぶ)が示されている。また、本実施の形態においては、改装用新設窓1として、アルミニウム製の縦すべり出し窓を例に挙げて説明する。
【0029】
また、以下の説明においては、改装用新設窓1が既設窓枠70に取り付けられた状態において、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。
【0030】
改装用新設窓1は、既設の窓の一部を外して新設の窓を導入する際に使用されるユニットである。本実施の形態においては、既設の窓のうちの障子のみを外して窓枠(既設窓枠70と呼ぶ)を残したまま、当該既設窓枠70に対して改装用新設窓1を取り付けるようになっている。
【0031】
ここで、既設窓枠70は、既設のアルミニウム製枠体であり、既設上枠72と既設下枠74と左右の(二つの)既設縦枠76とを備えている。そして、既設窓枠70は、これら4つの枠体が矩形状に枠組みされて、全体として開口を形成している。既設上枠72と既設下枠74は、左右方向に延びた長尺状の部材であり、既設縦枠76は、上下方向に延びた長尺状の部材である。
【0032】
そして、改装用新設窓1は、このような既設窓枠70に挿入され、固定されることとなる。つまり、改装用新設窓1は、既設窓枠70の上記開口に収容されることとなる。
【0033】
改装用新設窓1は、窓枠(新設窓枠10と呼ぶ)と、窓枠内に取り付けられた障子(新設障子40と呼ぶ)とを備えている。新設障子40は、新設窓枠10に対し、開閉自在に支持されている。
【0034】
本実施の形態に係る新設窓枠10は、互いに別体である外枠12と内枠20に分かれている(内枠20は、外枠12よりも左右方向及び上下方向において内側に位置している)。つまり、新設窓枠10は、二部構成となっており、互いに別部材である外枠12と内枠20とを有している。
【0035】
そして、内枠20が外枠12に対し見込み方向にスライド可能となっている。ここで、「内枠20が外枠12に対しスライド可能」とは、相対的なスライドを意味するものである。つまり、内枠20に対し外枠12が移動する場合と外枠12に対し内枠20が移動する場合の双方を含む概念である。なお、詳細については後述するが、内枠20の外枠12に対するスライドは改装用新設窓1の改装作業中に実行される。そして、
図1や
図2の最終状態においては、内枠20は外枠12に固定され、内枠20は外枠12に対してもはや相対移動できない状態となっている。
【0036】
外枠12は、内枠20よりも左右方向及び上下方向において外側に位置し、既設窓枠70に直接的に固定される窓枠である。外枠12は、上外枠13と下外枠14と左右の(二つの)縦外枠15とを備えている。そして、外枠12は、これら4つの枠体が矩形状に枠組みされて、全体として開口を形成している。上外枠13と下外枠14は、左右方向に延びた長尺状の部材であり、縦外枠15は、上下方向に延びた長尺状の部材である。
【0037】
そして、外枠12には、当該外枠12を既設窓枠70に対し固定部材の一例としてのネジ80で固定(ネジ止め)するためのネジ穴部12a(固定部に相当)が設けられている。
【0038】
このネジ穴部12aは、上外枠13と下外枠14と左右の(二つの)縦外枠15の各々に対応して設けられている。つまり、
図1及び
図2に示すように、上外枠13には上外枠ネジ穴部13aが(
図1参照。
図1において、1箇所)、下外枠14には、下外枠ネジ穴部14a(
図1参照。
図1において、2箇所)が、縦外枠15には、縦外枠ネジ穴部15a(
図2参照。
図2において、2箇所)が、それぞれ設けられている。
【0039】
また、外枠12には、当該外枠12と内枠20をネジ80で固定(ネジ止め)するためのネジ穴部(ネジ穴部12aと区別するために、便宜上、第二ネジ穴部12bと呼ぶ)が設けられている。この第二ネジ穴部12bは、上外枠13と下外枠14と左右の(二つの)縦外枠15の各々に対応して設けられている。つまり、
図1及び
図2に示すように、上外枠13には上外枠第二ネジ穴部13bが(
図1参照。
図1において、1箇所)、下外枠14には、下外枠第二ネジ穴部14b(
図1参照。
図1において、2箇所)が、縦外枠15には、縦外枠第二ネジ穴部15b(
図2参照。
図2において、2箇所)が、それぞれ設けられている。
【0040】
内枠20は、外枠12よりも左右方向及び上下方向において内側に位置し、新設障子40が取り付けられている窓枠である。内枠20は、上内枠23と下内枠24と左右の(二つの)縦内枠25とを備えている。そして、内枠20は、これら4つの枠体が矩形状に枠組みされて、全体として開口を形成している。上内枠23と下内枠24は、左右方向に延びた長尺状の部材であり、縦内枠25は、上下方向に延びた長尺状の部材である。
【0041】
そして、内枠20には、当該内枠20と外枠12をネジ80で固定(ネジ止め)するためのネジ穴部20aが設けられている。このネジ穴部20aは、上内枠23と下内枠24と左右の(二つの)縦内枠25の各々に対応して設けられている。つまり、
図1及び
図2に示すように、上内枠23には上内枠ネジ穴部23aが(
図1参照。
図1において、1箇所)、下内枠24には、下内枠ネジ穴部24a(
図1参照。
図1において、2箇所)が、縦内枠25には、縦内枠ネジ穴部25a(
図2参照。
図2において、2箇所)が、それぞれ設けられている。
【0042】
また、内枠20には、改装用新設窓1を既設窓枠70に対して取り付けた際に、内枠20と既設窓枠70との間を塞ぐ乾式シール材21が設けられている。つまり、乾式シール材21は、改装用新設窓1を設置した際に、既設窓枠70と接触する位置に備えられている。乾式シール材21は、例えばEPDMや塩化ビニル樹脂からなる部材であり、上内枠23と左右の(二つの)縦内枠25に設けられている。上内枠23に設けられた乾式シール材21は、左右方向に延びた長尺状の部材となっており、縦内枠25に設けられた乾式シール材21は、上下方向に延びた長尺状の部材となっている。
【0043】
新設障子40は、框体42とガラスの一例としての複層ガラス50とを有しており、新設窓枠10のうちの内枠20に備えられている。
【0044】
框体42は、上下の上框43及び下框44と左右の縦框45からなり、矩形状に框組みされている。そして、框体42に囲まれた領域を塞ぐように複層ガラス50が設けられている。
【0045】
複層ガラス50は、外側ガラス50aと内側ガラス50bとが見込み方向において間隔を隔てて対面し、外側ガラス50aと内側ガラス50bの上下方向と左右方向の内周端には、内部に乾燥剤が封入されたスペーサー50cが設けられている。そして、スペーサー50cは、不図示のシールにより、外側ガラス50aと内側ガラス50bの各々に接着されている。
【0046】
また、新設窓枠10の室内側に位置する部位と既設窓枠70には、当該部位と当該既設窓枠70を跨ぐように止水材の一例としての止水テープ85(本実施の形態においては、ブチルテープ)が取り付けられている。この止水テープ85は、
図1及び
図2に示すように、L字状に(換言すれば、略直角に折り曲げられて)、四周貼り付けられている。本実施の形態においては、新設窓枠10の外枠12と内枠20とに跨がり、さらに既設窓枠70に跨がって、止水テープ85が貼り付けられている。
【0047】
また、新設窓枠10の内枠20には、止水テープ85を覆うようにカバー材87が設けられている。各々のカバー材87は、上内枠23の室内側、下内枠24の室内側、縦内枠25の室内側に、それぞれ取り付けられている。また、下内枠24の室外側にもカバー材87が設けられている。
【0048】
===本実施の形態に係る窓の改装方法について===
次に、本実施の形態に係る窓の改装方法について、
図3A乃至
図3Eを用いて説明する。
図3A乃至
図3Eは、窓の改装手順を説明するための説明図である。窓の改装は、
図3A→
図3B→
図3C→
図3D→
図3Eの順に、進められる。
図3Eは、前述した最終状態であり、したがって、
図1及び
図2と同様の状態を示している。なお、
図3A乃至
図3Eにおいては、改装用新設窓1の縦断面と、横断面のうちの左右方向における一方側を示している。
【0049】
先ず、作業者は、開梱した改装用新設窓1を既設窓枠70に室外側から挿入する(
図3A参照)。そして、下外枠14を既設窓枠70に対しネジ80で固定する(
図3Aの矢印参照)。つまり、下外枠ネジ穴部14aにネジ80を通すことにより、下外枠14を既設窓枠70に対し固定する。
【0050】
ここで、改装用新設窓1を挿入する際に当該改装用新設窓1と物理的な干渉が生じ得る部分(ヒレ部70aと呼ぶ)が、既設窓枠70に存在するのであれば、改装用新設窓1の挿入前に、当該ヒレ部70aを予めカットしておく(改装用新設窓1が収容される既設窓枠70の開口を整えておく)。
図3Aには、ヒレ部70aが表されているが、これは、改装用新設窓1の挿入の際には、既にカットされているものである。
【0051】
また、改装用新設窓1を挿入する際には、内枠20に新設障子40が取り付けられているものの、取り付けられているのは框体42だけであり、複層ガラス50は取り付けられていない(外された状態となっている)。当該複層ガラス50は、後の手順において、取り付けられる。
【0052】
次に、作業者は、既設窓枠70に挿入された改装用新設窓1の外枠12(上外枠13及び縦外枠15)を既設窓枠70に対しネジ80で固定する(
図3Bの矢印参照)。つまり、上外枠ネジ穴部13a(縦外枠ネジ穴部15a)にネジ80を通すことにより、上外枠13(縦外枠15)を既設窓枠70に対し固定する。
【0053】
なお、本実施の形態においては、
図3Aに示したように、内枠20が外枠12に進入した状態(便宜上、内枠20が外枠12と重なったオーバーラップ状態とも呼ぶ)で改装用新設窓1が既設窓枠70に挿入されるが、作業者は、当該状態から、
図3Bに示したように、内枠20が外枠12から進出した状態(便宜上、内枠20が外枠12と重ならない非オーバーラップ状態とも呼ぶ)へ改装用新設窓1の状態を移行させる。つまり、作業者は、外枠12に対し内枠20を見込み方向にスライドさせて(すなわち、内枠20を見込み方向室外側へスライドさせて)、改装用新設窓1を非オーバーラップ状態とする。そして、非オーバーラップ状態で、上外枠13及び縦外枠15を既設窓枠70に対しネジ80で固定する。なお、本実施の形態においては、上外枠13及び縦外枠15を既設窓枠70に対しネジ80で固定する際に、冶具100を用いて非オーバーラップ状態を維持する。
【0054】
また、外枠12と内枠20には、内枠20の外枠12に対するスライド量を制限するための係合部(外枠側の係合部を外枠係合部12cと内枠側の係合部を内枠係合部20bと呼ぶ)が設けられている。そして、作業者が、内枠20を見込み方向室外側へスライドさせると、やがて外枠係合部12cと内枠係合部20bとが係合し(接触し)、内枠20のスライドが係止されるようになっている。本実施の形態において、外枠係合部12cは上外枠13と縦外枠15に、内枠係合部20bは上内枠23と縦内枠25に、それぞれ設けられている。
【0055】
次に、作業者は、冶具100を外して、改装用新設窓1の状態を非オーバーラップ状態からオーバーラップ状態へ移行させる(戻す)。つまり、作業者は、外枠12に対し内枠20を見込み方向にスライドさせて(すなわち、内枠20を見込み方向室内側へスライドさせて)、改装用新設窓1をオーバーラップ状態とする。そして、かかるオーバーラップ状態で、外枠12と内枠20を固定する(
図3Cの矢印参照)。つまり、スライド後の内枠20を外枠12にネジ80で固定する。具体的には、上外枠第二ネジ穴部13b及び上内枠ネジ穴部23a、下外枠第二ネジ穴部14b及び下内枠ネジ穴部24a、縦外枠第二ネジ穴部15b及び縦内枠ネジ穴部25aに、それぞれネジ80を通すことにより、内枠20を外枠12に固定する。
【0056】
なお、
図3Cに示すように、作業者が、改装用新設窓1の状態を非オーバーラップ状態からオーバーラップ状態へ移行させると(内枠20を見込み方向室内側へスライドさせると)、外枠12(上外枠13及び縦外枠15)を既設窓枠70に対し固定するために取り付けられたネジ80が内枠20により覆われる(隠される)ようになっている。換言すれば、当該ネジ80を通すためのネジ穴部12a(上外枠ネジ穴部13a及び縦外枠ネジ穴部15a)は、内枠20が外枠12に対しスライドされた際に内枠20によって覆われる位置に設けられており、作業者は、外枠12(上外枠13及び縦外枠15)に設けられた当該ネジ80を内枠20で覆うように内枠20を外枠12に対して見込み方向にスライドさせることとなる。
【0057】
次に、作業者は、新設窓枠10の室内側に位置する部位と既設窓枠とに跨がって止水テープ85を取り付ける(
図3D参照)。つまり、作業者は、止水テープ85を、L字状に四周貼り付ける。
【0058】
そして、作業者は、外枠12と内枠20とを固定し止水テープ85を取り付けた後に、新設障子40に複層ガラス50を装着するとともに、前述したカバー材87を取り付ける(
図3E参照)。このことにより、本実施の形態に係る窓の改装方法が完了する。
【0059】
===本実施の形態に係る改装用新設窓1、及び、窓の改装方法の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る改装用新設窓1は、新設窓枠10と新設障子40とを備え、既設窓枠70に対して取り付けられることとした。そして、新設窓枠10は互いに別体である外枠12と内枠20とに分かれており、内枠20には、新設障子40が取り付けられ、内枠20は、外枠12に対し見込み方向にスライド可能となっていることとした。
【0060】
従来の改装用新設窓1は、複数の部材が見込み方向にスライド可能となっておらず、互いに別々の部材(単体)となっていた。そのため、各々の部材を現場に持って行って現場で組み立て作業(連結作業)を行う必要があった。したがって、組み立てが現場の作業員に委ねられ、品質が安定しないという問題が生じていた。
【0061】
これに対し、本実施の形態においては、外枠12及び内枠20がスライド可能な構造とされ改装用新設窓1が予めユニット化されているので、外枠に内枠が収まった状態でユニット窓として工場から出荷し、現場で既設窓枠にユニット窓とした改装用新設窓を嵌め込み、その後、内枠を外枠に対して室外側にスライドさせて、既設窓枠に外枠を固定することができる。この構成によるため、現場ではなく工場で改装用新設窓の組み立て作業を完結することができる。そのため、改装用新設窓1の品質が安定することとなり、品質管理も楽になる。
【0062】
また、本実施の形態において、外枠12は、該外枠12を前記既設窓枠70に対しネジ80で固定するためのネジ穴部12aを有していることとした。
【0063】
そのため、改装用新設窓1を既設窓枠70に取り付ける際に、内枠20を見込み方向室外側へスライドさせてから(すなわち、改装用新設窓1を非オーバーラップ状態としてから)、外枠12に対するネジ固定作業ができる。したがって、新設窓枠10(外枠12)と既設窓枠70が近い状態で、新設窓枠10(外枠12)と既設窓枠70を固定することができるので、新設窓枠10と既設窓枠70の固定強度を高くすることが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態において、前記ネジ穴部12aは、内枠20が外枠12に対し室内側にスライドされた際に内枠20によって覆われる位置に設けられていることとした。
【0065】
そのため、ネジ穴部12aに設けられたネジ80を内枠20で隠すことができ、意匠上の見栄えを向上させることが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態において、外枠12と内枠20には、内枠20の外枠12に対するスライド量を制限するための係合部(外枠係合部12c及び内枠係合部20b)が設けられていることとした。
【0067】
そのため、作業者は、内枠20を外枠12に対しスライドさせる際にどこまでスライドさせるかを意識することなくスライド作業を行うことができる。また、スライドさせて内枠20と外枠12が係合した際には、内枠20と外枠12の相対移動が係止されるため、安全に各種作業が行える。
【0068】
また、本実施の形態において、内枠20には、改装用新設窓1を既設窓枠70に対して取り付けた際に、内枠20と既設窓枠70との間を塞ぐ乾式シール材21が設けられていることとした。
【0069】
そのため、改装用新設窓1を既設窓枠70に対して取り付けるだけで、窓の防水性を確保することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態に係る窓の改装方法は、互いに別体である外枠12と内枠20とに分かれており内枠20が外枠12に対し見込み方向にスライド可能な新設窓枠10と、内枠20に取り付けられた新設障子40と、を備えた改装用新設窓1を、既設窓枠70に挿入するステップと、外枠12と内枠20を固定するステップと、を有することとした。
【0071】
そのため、上述したとおり、外枠12及び内枠20がスライド可能な構造とされ改装用新設窓1が予めユニット化されているので、現場ではなく工場で組み立て作業(連結作業)を行うことができる(現場では、外枠12と内枠20の固定作業を行えば良い)。したがって、改装用新設窓1の品質が安定することとなり、品質管理も楽になる。
【0072】
また、本実施の形態においては、既設窓枠70に挿入された改装用新設窓1の外枠12を既設窓枠70に対しネジ80で固定するステップと、外枠12に設けられた当該ネジ80を内枠20で覆うように内枠20を外枠12に対して見込み方向にスライドさせるステップと、を有し、外枠12と内枠20を固定するステップにおいては、スライド後の内枠20を外枠12に固定することとした。
【0073】
そのため、前述したとおり、新設窓枠10(外枠12)と既設窓枠70が近い状態で、新設窓枠10(外枠12)と既設窓枠70を固定することができるので、新設窓枠10と既設窓枠70の固定強度を高くすることが可能となる。さらには、前述した通り、ネジ穴部12aに設けられたネジ80を内枠20で隠すことができ、意匠上の見栄えを向上させることが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態においては、外枠12と内枠20とを固定した後、新設障子40に複層ガラス50を装着するステップを有することとした。
【0075】
そのため、新設障子40が存在しない状態、つまり、改装用新設窓1の重量が小さい状態で、外枠12と内枠20とを固定する前の作業を行えることとなり、当該作業を楽に行うことが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態においては、新設窓枠10の室内側に位置する部位と既設窓枠70とに跨がって止水テープ85を取り付けるステップを有することとした。
【0077】
そのため、新設窓枠10と既設窓枠70との間の防水、気密性能を高くすることが可能となる。
【0078】
===その他の実施の形態===
上記実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0079】
上記実施の形態においては、改装用新設窓1として縦すべり出し窓を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、横すべり出し窓、開き窓、突き出し窓、内倒し窓、外倒し窓、引き違い窓、フィックス窓であってもよい。
【0080】
なお、改装用新設窓1が、フィックス窓であるケースを
図4及び
図5に示す。
図4及び
図5は、それぞれ
図1及び
図2に対応する図であり、改装用新設窓1がフィックス窓である場合の改装用新設窓1の縦断面図と横断面図である。改装用新設窓1がフィックス窓である場合には、以下に述べる追加の効果が生じる。
【0081】
改装用新設窓1がフィックス窓である場合には、新設障子40を開閉させることができないため、内枠20が外枠12に対し見込み方向にスライド可能となっている構成がより有用に働く。すなわち、新設障子40を開閉させることができる場合には、仮に内枠20が外枠12に対しスライド不能であっても、改装用新設窓1を既設窓枠70に固定するためのネジ80を止めるための適切なスペースを前記開閉により何とか確保できる。しかしながら、新設障子40を開閉させることができないフィックス窓において、仮に内枠20が外枠12に対しスライド不能であると、改装用新設窓1を既設窓枠70に固定するためのネジ80を止める適切なスペースを確保することが困難になる。したがって、改装用新設窓1がフィックス窓である場合には、内枠20が外枠12に対し見込み方向にスライド可能となっている構成により、改装用新設窓1を既設窓枠70に固定するためのネジ80を止めるための適切なスペースを作り出す効果が奏されることとなる。
【0082】
また、上記実施の形態においては、改装用新設窓1としてアルミニウム製の窓を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、樹脂製の窓であってもよい。また、既設窓枠70がアルミニウム製であり、改装用新設窓1が樹脂製の窓であった場合には、金属製の既設窓を樹脂製の新設窓に改装できることとなるので窓の断熱性能を高めることが可能となる。